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ブログ

【現地レポート】IBM TechXchange 2026 Atlanta 参加ブログ 〜AIエージェントは「構築」から「企業規模のスケール」へ〜

はじめに

こんにちは。 ソリューション推進部 TechXchange参加チームです。
アメリカ、ジョージア州アトランタで開催された「IBM TechXchange 2026」の現地レポートをお届けします!

本イベントは技術者のためのテクノロジーイベントで、今年はHashiConfと統合・同時開催された記念すべき機会となりました。 会場には85か国から約6,500人のエンジニアが集結し、1,000件超のセッションに加え、230件を超える実践的なハンズオンが展開されるなど、会場全体が熱気に包まれていました!

基調講演

1日目

初日の基調講演において、SW Senior Vice PresidentのDinesh Nirmal氏は、AIエージェントが「構築」から「企業規模でのスケール」のフェーズへと移行したと宣言しました。2028年までに企業内のエージェント数が1万倍に急増すると見込まれる中、本番運用における課題が提起され、その解決の柱として以下の3領域が示されました。

  1. データ(Streamhouse)
    エージェントが的確に動作するには、最新の業務データの把握が不可欠です。APIへの頻繁な問い合わせによる高負荷やデータ集約の遅れを防ぐため、「Streamhouse」というアーキテクチャが登場しました。Confluent、Kafka、Flinkなどを軸に、分散環境下でも常に最新の業務コンテキストを複数エージェントへリアルタイムに供給するアプローチが提示されました。
  2. 展開・統合(Bob 2.0 / watsonx Orchestrate)
    開発環境「Bob」が「Bob 2.0」へと進化しました。非開発者向けの「Bob Desktop」、MCPやツールを共有・標準化するマーケットプレイス「Bob Bazaar」、セキュリティを開発全工程に組み込む「Bob DevSecOps」が発表されました。さらに、マルチベンダー製エージェントを束ねる「watsonx Orchestrate」と、社内に蓄積された既存APIやワークフローを発見・再利用する「Intelligence Hub」の連携が紹介されました。
  3. ランタイム(IBM Identity / Terraform / Concert)
    エージェントが人間のIDを使い回すと責任の所在が曖昧になるため、エージェント固有のIDを付与して安全に統制する「IBM Identity」、TPMや量子耐性暗号に対応した「Vault Two」、シークレットを一元管理する「ID Secure Hub」が発表されました。運用面では、Terraformや環境全体を可視化する「InfraGraph」、統合運用基盤「Concert」を連動させ、脆弱性の修正からインフラ展開・コスト監視までを自律的かつガバナンス下で実行できる将来像が示されました。

最後に、参加者向けに多数のセッションとハンズオンラボが用意されていることが案内され、「今後の焦点はエージェントを作ることだけでなく、大規模に拡張することにある」と締めくくられました。

2日目

2日目は「企業向けAIエージェントの構築・運用と人間の制御」を主題に、実務への適用と安全な実行環境について語られました。AIの能力向上に伴い、最終的な成果や責任を担う「人間の判断と専門知識」の重要性が改めて強調されました。

  • 業務分析と近代化の実装(Bob Desktop / Java Modernize)
    SaaSに加えオンプレミス版が発表されたIBM Bobを活用し、CRMの分散データから短時間で営業分析を作成するデモが実演されました。さらに、Java 8からJava 21への移行や、600万行超のRPGコードを抱えるIBM System iのレガシー近代化を大幅に効率化する事例が紹介されました。
  • インフラ自律運用と「Paver」(IBM Cloud Paver / Power Autonomous Ops)
    インフラ運用を担うAIエージェントとして「IBM Cloud Paver」および「IBM Paver」アシスタントが紹介されました。監視コンソール上でのメモリ異常の検知、原因特定、リスク評価、緩和策の立案を迅速に行い、定常運用を最大15倍効率化しながらも、最終的な実行判断や自律度の調整は人間が行う運用モデルが実演されました。

AIの自律性を高めながらも、人間の承認と監視によってガバナンスと説明責任を維持する実践方針が示された基調講演となりました。

IBM Bob

IBM Bobセッションでは、「Bob Desktop」「Bob Bazaar」「Bob Premium Package for DevSecOps」の紹介がありました。

  • Bob Desktop:開発者以外の従業員が利用することを想定した製品です(発表時点ではBob IDEから利用可能)。基調講演のデモでは、Excelにある案件データの取得・分析を起点に、マーケティング調査やプレゼンテーション資料の作成までの一連業務を自動化する様子が実演されました。
  • Bob Bazaar:ツールやMCPサーバー、スキルを共有・再利用するためのマーケットプレイスです。管理者の承認・設定を経て、組織全体または特定のワークスペースへ導入できます。
  • Bob Premium Package for DevSecOps:AI支援開発にセキュリティを組み込み、コードや依存関係の脆弱性を早期に検出・調査して安全なCI/CDパイプラインを提供する製品です。

Data

IBMが推進するエンタープライズ向けAIエージェントの実現には、「Streamhouse」アーキテクチャが不可欠となります。自律的に動くAIエージェントは、過去の蓄積データだけでなく、「今まさに何が起きているか」という最新のコンテキストをリアルタイムに理解しなければ、正確な判断や業務自動化を行えないためです。

Streamhouseを利用することで、データを一箇所へ集約せずとも、企業の“現在の状態”を継続して接続・ストリーミング・処理・統制・提供できるようになります。適用対象はエージェント、アプリケーション、データ分析基盤など多岐にわたります。

Confluentのストリーミング技術と組み合わせることで、このStreamhouseアーキテクチャを用いたエンタープライズへの本格導入が加速します。

Automation

webMethods Hybrid IntegrationとCP4I(Cloud Pak for Integration)が統合されたIBM Integrationにおいて、IBMはAIエージェントと既存のエンタープライズシステムやレガシーシステムを接続する新機能「IBM Integration Intelligence Hub」を発表しました。

企業の現場では、すでに8,140億件を超えるトランザクションがIBM Integration技術によって処理されており、多種多様なAPIやワークフローが存在しています。しかし、新しく開発されたAIエージェントがこれらを活用する際、連携のたびにコネクタを再構築しなければならないという課題がありました。

Intelligence Hubは、MCPサーバーを介してMQやJira、Salesforceなどの外部システムと連携し、統合資産を自動で検出・可視化できるサービスです。既存のフローや依存関係を容易に把握できるようになり、改修時の影響範囲の確認を大幅に効率化できます。これにより、開発者は連携基盤をゼロから作り直すことなく、AIエージェントに既存の業務プロセスや顧客データをシームレスに組み込めるようになります。

また、「IBM Concert」はエージェントファーストの統合プラットフォームであり、可観測性(Observability)やキャパシティの最適化、インシデント管理機能を提供します。

Concertがアプリケーションからインフラレイヤーに至るフルスタックの運用コンテキストを提供することで、ドメイン横断的なエージェント型IT運用への道筋が拓かれます。Terraformなどの既存ワークフローやBobの対話型コマンドと連携し、CVE(脆弱性)の検知から影響範囲(ブラストラジアス)の特定、自動修復までをシームレスに実現します。ライブデモでは、脆弱性の根本原因を素早く分析し、IBM Concert Protectを活用してCVE件数を削減するなど、ハイブリッド環境における迅速かつ確実なセキュリティ運用と自動化の効率化が実証されました。

Infrastructure

「IBM Paver」は、アプリケーションの運用やデプロイを支援するAIエージェント基盤です。自然言語による指示を通じて、脆弱性の影響調査やパッチの特定、ログ・メトリクス分析、容量計画、コスト最適化、セキュリティ評価などを効率化します。高リスクな操作に対しては「Paver Guard」がリスク評価を行い、リソース削除などの破壊的な処理を実行する前に人による承認を求めることで、運用上の安全性を確保します。IBM Cloud、Storage、IBM Zなどへの統合も進められており、IBM Power環境においては「IBM Power Autonomous Operations」のAIエージェント機能として提供される予定です。Bobがアプリケーションの構築を担い、Paverが環境の構成・運用を担うという緊密な連携も特徴です。

今回はPaverのハンズオンにも参加しました。IBM Cloud上のPaverを利用し、自然言語でクラウドリソースを参照しながら、PostgreSQLとCode Engineを活用したアプリケーションのデプロイまでを体験しました。さらに、GitHubで修正したコードの反映や脆弱性分析も実施しました。ハンズオン環境は英語でしたが、設定変更により日本語プロンプトでの入力も可能です。従来はリソースごとにプロビジョニング、構築、デプロイといった個別作業が必要でしたが、Paverを用いることで一連の作業を対話形式でスムーズに進められます。開発工程にとどまらず、分析や本番運用まで一気通貫で支援してくれる点に高い実用性を感じました。

さいごに

Sandbox会場には、AI、Application、Automation、Infrastructureなどのテーマ別に最新テクノロジーの展示ブースが設置されていました。世界各国の技術者と直接ディスカッションを行い、技術トレンドに関する密度の濃い情報交換ができました。

各ブースを巡るスタンプラリー形式でキーキャップを集めると、オリジナルのキーホルダーを作成できるユニークな企画も用意されていました。

大盛況のうちに幕を閉じたTechXchange Atlanta 2026ですが、日本国内でも12月11日(金)に「IBM TechXchange Japan 2026」(日本アイ・ビー・エム株式会社 本社:虎ノ門ヒルズ ステーションタワー)が開催されます! ぜひ皆さまも会場で、IBMが描く最新のテクノロジーを体感してみてください。

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