【冷却問題の最適解】高スペックサーバーの課題を解決する密閉型液冷技術に迫る
この冷却課題を解決するソリューションとして注目を集めるLenovoの密閉型液冷システム「Neptune Air」について、その仕組みや省電力効果、コスト感を含めて詳しく解説します。
サーバーの性能向上に伴う「排熱と電力」の限界
最新のCPUやGPUは演算処理能力が飛躍的に向上した反面、プロセッサー1台あたりの発熱量(TDP)も大幅に増加しています。従来の空冷ファンによる冷却方式では、以下のような課題に直面するケースが増えています。
- 熱によるパフォーマンス低下:排熱が追いつかず、プロセッサーがクロック数を下げて熱破損を防ぐ「サーマルスロットリング」が発生する。
- ファン消費電力の肥大化:サーバー内部を冷やすためにファンが高回転化し、システム全体の電力消費量を押し上げる。
- ラックあたりの高密度実装が困難:空冷の限界により、サーバーラックのスペースをフル活用できない。
特殊な水冷設備(CDU)が不要な「Lenovo Neptune Air」とは?
一般的に水冷サーバーを導入する場合、ラック外に冷却水を循環させるための大型装置「CDU(Cooling Distribution Unit)」を設置したり、配管工事を行ったりする必要があります。CDUは、データセンターの施設側から供給される冷却水と、サーバーラック内部の冷却水回路の間で熱交換を行い、安定した水温と流量を制御・分配するための装置です。大規模な水冷サーバー導入では、このCDUを介してラック全体に冷却水を循環させる必要があります。
しかし、Lenovo Neptune Air(密閉型液冷プロセッサーヒートシンク)は、従来の液冷導入におけるハードルを大幅に下げた製品です。
密閉型液冷プロセッサーヒートシンクの内部構造
Neptune Airは、冷却液がシステム内部で完結する密閉型液冷プロセッサーヒートシンクを採用しています。- 冷却プレートとチューブ配管:各プロセッサーの上部に直接「冷却プレート」が取り付けられ、そこからアルミ製チューブがシステムファン前面に配置された「ラジエーター」へと接続されています。
- 密閉された循環液:チューブ内には水とエチレングリコール(EGW)の混合液が充填されています。この液体がパイプ内を循環することで、プロセッサーから効率的に熱を奪い、ラジエーターで放熱する仕組みです。
- 外付けCDU・配管工事が「完全不要」:システム内部で完全に密閉・完結しているため、水漏れリスクが極めて低く、外部の水冷設備や特別な施工を行う必要がありません。通常の空冷サーバーと全く同じ感覚で既存ラックへ納品・設置が可能です。

図:ThinkSystem SR630 V4(7DG8/7DG9)システムガイドより引用 https://download.lenovo.com/pccbbs/dcgesupport/sg_sr630v4_20260710.pdf
実用データ:ファン消費電力を最大56%削減
Neptune Airを導入する最大のメリットの一つが、「ファン回転速度の低下による大幅な電力削減」です。
Lenovoの社内テストデータ(ThinkSystem SR630 V4における検証結果)によると、密閉型液冷を採用することで以下の省エネ効果が確認されています。
- ノード(サーバー1台)あたり:ファン消費電力 56% 削減
通常サーバーとの比較:価格差は10%以下
水冷システムの導入検討時に懸念されるのが「コスト」です。本格的な水冷設備は億単位のインフラ投資になることも珍しくありませんが、Neptune Airと同スペックの標準的な空冷サーバーを比較した場合、本体の価格差は10%以下に収まります。 さらに、導入に関わるトータルコストで比較しても非常に優秀です。
| 比較項目 | 本格液冷システム | Neptune Air(密閉型液冷) |
|---|---|---|
| 外部冷却設備(CDU) | 必要(大型装置の設置) | 不要 |
| 配管工事・設計期間 | 必要(高額かつ長期) | 不要(即日ラックイン可能) |
| サーバー本体価格差 | 高額になりやすい | 通常サーバー+50万円程度 |
| 冷却効率・省エネ性 | 非常に高い | ファン電力 最大56%削減 |
| 設置のハードル | 施工場所・建物の耐荷重制限あり | 既存の空冷ラックに設置可能 |
LenovoでNeptune Air対応のモデルは下記になります。
SR630 V4/SR635 V3/ SR645 V3
※参考としたサーバー構成(同スペック)の本体価格は下記になります。
Neptune Air:約600万円
非Neptune Air:約550万円
まとめ:既存環境のまま液冷化を実現するベストな選択
サーバーのスペック向上に伴う排熱・電力課題は、今後のITインフラ運用において避けては通れないテーマです。
- 高スペックCPUのパフォーマンスを余すことなく発揮させたい
- CDUの導入工事や設備予算を確保するのが難しい
- 冷却にかかる電力コストや騒音を抑えたい
LenovoはIBMのHPC(高性能計算)事業を買収して以来、10年以上この水冷技術を磨いており、数多くの特許を持っています。
世界のスーパーコンピューター性能ランキングである「TOP500」や、エネルギー効率の「Green500」のトップクラスのスパコンに、このNeptune技術が標準採用されています。
今後ますます増加するデータセンターインフラの発熱、排熱処理、消費電力などの諸問題の解決策として、Lenovoの水冷テクノロジー「Neptune」搭載サーバーの導入をご検討ください。