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2020年09月02日

【てくさぽBLOG】IBM Cloud Pak for DataのトライアルとCloud Pakシリーズアップデート情報 [2020年8月更新版]

こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの佐野です。 およそ9か月前にCloud Pak for Dataのトライアルに関する記事を書きましたが、その後「触ってみてどういうものか理解できた!」「機能が豊富すぎて全部を理解するのは難しい」などの反響も頂きました。 この9か月の間にいくつかCloud Pak for Data関連のアップデートがありましたのでその情報をお届けします。 大きなトピックとして2点あります。 ・トライアルだけでなくビデオでの説明・紙芝居のような操作確認をIBM Demosでご提供 ・Cloud Pak for Data v3.0の出荷開始 まずはIBM Demosに関することから共有します。   1.IBM Demos 「Cloud Pak ExperienceというサイトでCloud Pak for Dataのトライアルができますよー」と利用方法含めて前回の記事で記載しました。 しかし、チュートリアルに従って簡単な利用方法を確認できるとはいえ、環境だけあっても「具体的にどんな機能があるんだ?」「こういう使い方できるんだろうか?」というところは自力で探して理解するしかありませんでした。 そこに対しての解決策の一つとなるのが”IBM Demos”です。 IBM Demosのサイトにアクセスをするといろいろな製品のデモや概要説明ビデオなどを探すことができます。 この中にCloud Pak for Dataもありますので、Cloud Pak for Dataに関する内容を閲覧することができます。 下の図の赤枠で括った箇所をクリックすると、IBM Demos内のCloud Pak for Dataサイトに飛びます。 サイトの表示は英語ですが、URLの最後の「?lc=en」を「?lc=ja」に変えることで日本語表示に変更することができます。ただ、一部違和感がある表現があったり、日本語字幕入りのビデオしか表示されないため、本記事では英語表示のままで説明をします。 IBM Demosはいくつかのパートに分かれています。Cloud Pak for Dataでは以下の3つです。 ・Video ・Product Tour ・Hands on Lab Videoでは概要を把握できるような説明ビデオが流れます。一部は日本語字幕有なので、英語が分からなくても内容が理解できるようになっています。 私のお勧めは「Overview of IBM Cloud Pak for Data」です。このビデオではCloud Pak for Dataの概要を理解することができます。他にはCloud Pak for Dataの特長の一つであるデータ仮想化の機能について説明している「IBM Cloud Pak for Data - Intro to Data Virtualization」も(英語ですが)見ておいた方がよいと思います。 Product Tourでは特定の機能を製品画面の操作をすることでより深く把握することができます。ただし、自由な操作はできずに、シナリオに沿った操作を紙芝居のようにできるぐらいです。 本記事の執筆時点では4つのみですが、ご自身が使いたい機能がこの中にあるようでしたら操作方法が分かりますので確認した方がよいでしょう。 Hands on Labsではトライアル用マシンを使って実際の操作を体験することができます。ここから先はIBM idが無いと操作ができません。「Experience IBM Cloud Pak for Data」ではIBM Demosから離れてCloud Pak Experienceへ移動します。 Cloud Pak Experience Cloud Pak Experienceですが、Cloud Pak for Dataのトライアル環境です。画面が前のブログと若干異なりますが、画面左側に表示されているHands-on Learning項目のCloud Pakシリーズのリンクを押すとIBM Demosに遷移する動作は変わっていません。 トライアルを始めるといっても、いくつかの基本的なシナリオの操作をすることがベースなので、まずはデータを収集するための”Collect”から始めましょう。 画面を少し下に移動して「Log in to explore」を押します。 IBMidを持っている人はIBMidとパスワードを入力し先に進みます。お持ちでない人はIBMidを作成します。画面の真ん中に「IBMid の作成」というリンクがあるのでこちらから作成してください。 こんな画面が出ることもあるようですが、問題なければ「次に進む」を押します。 デモ環境へアクセスするために、利用条件やプライバシーに関する同意を求められますので、内容を読んだうえで「次へ」を押します。 Cloud Pak Experienceのサイトにログインした状態で戻ってきました。「Explore」を押して早速Cloud Pak for Dataを体験してみましょう。 Exploreを押すと「しばらく待て」というメッセージがでるので、少し待ちます。 しばらく待つと自動的に画面が遷移します。 ここで自分自身で操作するか、ガイド付きかを選択できます。今回は「Let's go!」を押します。 ここから先は詳細を飛ばしますが、画面表示が日本語になっているのがうれしいですね。日本語で操作ができるなら見た目でも何が書いてあるのか理解しやすいですし、自力でなんとかなりそうな気もしてきます。 ただ、ガイド文は英語なので、どういうことをしようとしているのか?を読むのが大変かもしれません。 本ブログを書いている時点で、Cloud Pak Experience環境で使っているCloud Pak for Dataのバージョンは「3.0.1 enterprise」という最新バージョンでした。 なので、導入を検討しているようなステップにある場合でも画面や操作感が変わらない状態で確認できます。 是非、データ分析基盤の導入を検討する際にはCloud Pak Experienceを使ってみて下さい。   2.Cloud Pak for Data v3アップデート情報 Cloud Pak for Data v3が2020/6/19に出荷開始となりました。主なアップデート内容は以下になります。 DataOps機能拡張 Watson Knowledge Catalog機能拡張およびデータ仮想化連携強化 セキュリティ強化 ⾮構造化データ管理の拡張(InstaScan) AIの機能拡張 ML Ops Auto AIの機能拡張 コンポーネントの拡張 Planning Analytics、Virtual Data Pipeline、Master Data Managementを含む新たなサービス群の追加 運用機能拡張 監査、バックアップといった運用機能強化 OpenShift v4.3対応 UIの変更 Cloud Pak for Dataライセンス名称の変更(Cloud Native→Standardへ変更)及びnon-productionライセンスの提供(Enterpriseのみ) 紙面の関係上、具体的な機能のアップデートは省略してコンポーネント拡張とライセンスについてご説明します。 Cloud Pak for Data v3で利用できるコンポーネントの一覧を図にまとめました。 ベースコンポーネント列にある製品(機能)はCloud Pak for Dataを購入すれば利用できます。追加サービス列にある製品(機能)はCloud Pak for Dataライセンスには含まれず、個別にライセンスを購入する必要があります。 表の中でも青文字で書かれた製品が今回のv3の提供に伴って追加となっています。この提供形態はv2.5からですが、追加サービスはどんどん増えているので今後の拡張にも期待できます。 追加サービスを購入する場合、例えばDataStageは個別の製品ライセンスとしても販売していますので既にDataStage自体をご利用になられているお客様もいらっしゃるのではないかと思います。 そういったお客様がCloud Pak for Dataへ移行しやすくなるように、一部の追加サービス製品においては既存環境のライセンスをCloud Pak for Dataの追加サービスに置き換えることで既存環境・Cloud Pak for Data環境どちらでも利用可能となるものもあります。 具体的な例を図に表しました。 この例では既に2,800PVU(40VPC相当)のDataStage環境をお使いのお客様がCloud Pak for Data DataStage追加サービス×40VPCへ置き換えたケースです。 図に示しているいずれのシーンにおいても、ライセンスを追加購入する必要がないため、Cloud Pak for Dataへ移行している最中であっても、もちろんCloud Pak for Dataへ移行した後であっても追加のライセンス費用はかかりません。 また、単体製品としてのDataStageからCloud Pak for Data DataStage追加サービスへのトレードアップもできますので、ゼロからライセンス買い直しをせずにCloud Pak for Dataを利用することができるようになり、非常にお得です。 注:ライセンス情報・コンポーネント情報は更新される場合がありますので最新情報を必ずご確認下さい。   3.まとめ Cloud Pak for Dataはまだまだ発展しており、更新情報も全部ご説明ができていませんが情報てんこ盛りになってしまいました。 データ分析基盤をご検討頂いている方には自社のデータ分析をどのように効率できるのか、是非ともCloud Pak for Dataを体験頂き、その体験をするためにこの記事がお役に立てれば幸いです。 また、別のコラムやホワイトペーパーでデータ分析基盤について解説していますので、そちらもあわせてご確認下さい。   お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp  

2020年08月18日

【てくさぽBLOG】IBM Cloud Pak for Applicationsを導入してみた(概要編)

IBM Cloud Pak for Applicationsの新規販売は終了いたしました。 今後のアプリケーションランタイムソリューションは、2021年1月15日に発表されたWebSphere Hybrid Editionとなります。 こんにちわ。 てくさぽBLOGメンバーの佐野です。 今回はIBM Cloud Pakシリーズの1つである「Cloud Pak for Applications」の導入を弊社内で検証してみたので3回シリーズで検証で得られた知見をお伝えします。 第1回目の本記事では、概要編として検証の目的・背景や環境周りをご紹介いたします。   *連載の続きはこちら 【やってみた】IBM Cloud Pak for Applications導入してみた:OpenShift導入編(第2回) 【やってみた】IBM Cloud Pak for Applications 導入してみた:Cloud Pak for Applications 導入編(第3回)   Cloud Pak for Applicationsの導入検証をした 背景・目的 以前のブログでCloud Pak for Dataの導入について紹介をしました。 その際はIBMの製品であるIBM Cloud Privateをコンテナ基盤としたCloud Pak for Data 2.1の導入であったため、インストーラを実行するとIBM Cloud PrivateとCloud Pak for Dataの両方を導入できました。 その後、Cloud Pakシリーズを導入するための基盤としてOpenShift Container Platform(以下OpenShift)に一本化となり、OpenShiftを導入した上でCloud Pakシリーズを導入する方式となりました。 Cloud Pakシリーズを導入するためにOpenShiftが前提となるなら、OpenShiftのスキル習得しなくては!ということでOpenShiftの導入スキルを習得することを主な目的として導入の検証をしてみることにしました。 OpenShiftだけを導入したのではCloud Pak導入までの確認ができないため、手順や製品の中身を確認した上で一番導入が簡単にできそうなCloud Pak for Applicationsの導入もしてみよう。ということになったのが今回の検証をすることになった背景です。   OpenShift/Cloud Pak for Applicationsを利用する メリット さて、何故Cloud Pakシリーズを動かすための基盤がOpenShiftに一本化されたのでしょうか? この説明のためにはIBMの戦略とRed Hatを買収した目的を理解する必要があります。 まず、IBMは企業向け(の中でも特に大企業向け)のソフトウェアソリューション提供を強みにしている会社です。 10年前であればサーバーといえば自社データセンターに置くものでしたがAWSやAzureといったパブリッククラウドが普及し、アプリケーションを稼働させる環境が自社データセンター内に留まらず、パブリッククラウドで動かすことも多くなってきています。 IBMとしても手をこまねいているわけではなく2013年にSoftLayer社を買収し本格的にパブリッククラウド市場へ参入していますが、2020年3月時点のシェアを見ても決して成功している状況ではありません。 そんな中2018年10月にRed Hat社を買収すると発表し、2019年7月に買収が完了しました。 これらの動きから見て取れるIBMの戦略は、どのクラウドであってもIBMソフトウェアを稼働させることができる「ハイブリッドクラウド・マルチクラウド化の推進」です。 それを実現するために、既にAWSやAzure上でもサービスとして提供されているOpenShiftを共通基盤として据えることが必要だったのです。 OpenShift上で稼働するCloud Pakシリーズであればお客様がクラウド上(自社データセンター含む)で動かしたい、といった場合であってもほとんど対応することができ、Cloud Pakのコンポーネントがコンテナ化されているため、単独で提供されている製品よりも可用性・拡張性にも優れます。 Cloud Pakシリーズの中でもCloud Pak for Applicationsはお客様が開発したアプリケーションのモダナイゼーションを支援するツールが含まれており、Cloud Pak for Applications上で現在のアプリケーションを動かしつつ、モダナイゼーション支援ツールを使ってアプリケーションのクラウドネイティブ化を進めることができます。 もちろん、企業として担保すべきガバナンスや品質を維持・向上させるための機能も含んでいます。 このCloud Pak for Applicationsを使うことでアプリケーションをモダナイゼーションし稼働させることができる、ということが大きなメリットです。   導入検証環境 導入検証で利用した環境ですが、今回はAWSを利用しました。 理由としては、IaaSとしてシェアが高いサービスであり、AWS上での知見を得ておくことで構築プロジェクトでも役立てることができると考えたためです。 導入方式 AWS上で検証することを決めたわけですが、AWS上での構築方法を調べると大きく2種類あることが分かりました。 1つはIPI(Installer Provisioned Infrastructure)と呼ばれる方法、もう1つがUPI(User-Provisioned Infrastructure)と呼ばれる方法です。 簡単に違いを上げると、IPIではドメイン名などの初期設定を定義してインストーラーを実行すると自動的にOpenShiftのノードが展開され、利用可能となります。 インストールが自動化されているので展開は楽ですが、設定がある程度固まった状態での展開となるため細かい変更ができません。また、最小のWorkerノード数もAWSの場合では3ノードであるため、導入検証するには少し勿体ないです。 UPIではユーザー自身がロードバランサーやOpenShiftのノードを導入・設定する必要がありますが、設定を自身で決められるので柔軟性が高いといえます。またOpenShiftとしての最小構成でWorkerノード2台の構成とするためには自身でインストール時に設定する必要があります。 今回は最小構成でCloud Pak for Applicationsの導入検証をするため、UPIでの導入検証をしています。 導入検証の環境 今回導入検証をする環境について簡単に説明をします。 環境・サーバー構成の概要図は以下となります。 簡単に構成を説明します。 OpenShift 4.2での導入検証を行うため、Masterノード(Control Plane)を3台が最小構成です(図の中央)。Workerノードは2台となります(図の右側)。 それ以外にはDNSのサービスであるRoute 53でOpenShift用のインターネットドメインを登録・管理しています。(図の左側中段) ユーザーからのアクセスを3台のMasterノードが受けるために外部ロードバランサーが必須で、MasterノードからWorkerノードへのトラフィック用に内部ロードバランサーも構成しています。(それぞれInternetGatewayとControl Planeの間、Control PlaneとWorkerの間) また、永続ストレージ用にNFSサーバーを構築し、OpenShift環境に割り当てすることでデータを保管します。(図の右下) 特長的なのは図の左下にあるBootstrapというサーバーで、OpenShiftのインストールコマンドをインストール作業用PCで実行した後はこのBootstrapサーバーから各ノードへOpenShiftのインストールを実行します。初期導入が完了した後にはこのサーバーを削除します。(図の左下) なので、Bootstrapサーバーは本番運用が始まった時には削除して稼働していない状態となります。インストール専用マシンですね。 インストールを実行するための作業用端末も別途必要となり、こちらはLinuxかMacがOS要件です。WindowsがNGなので用意するのが意外と大変かもしれません。(図の左端) 今回の検証ではVirtual Box上にCentOSを導入し、インストール作業を実施しています。   最後に 第1回目の本記事でCloud Pak for ApplicationsをOpenShift上に導入検証をする目的とその環境・構成がどのようになっているかがご理解頂けたと思います。 第2回ではOpenShiftを実際に導入した手順と苦労した点についてお伝えしますので次回のブログもご覧ください!   お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp     関連情報 全ての企業が AI カンパニーになる!「IBM THINK Digital 2020」に参加した (ブログ) - 全世界から9万人以上の参加者が! 【やってみた】IBM Cloud Pak for Applications導入してみた:概要編 (ブログ) - シリーズ第1回目!概要編として検証の目的・背景や環境周りをご紹介します。 【やってみた】Cloud Pak for Applications 導入してみた:Cloud Pak for Applications 導入編 (ブログ) - AWS 上に構築した Openshift 環境に Cloud Pak for Applications をインストールしてみました。 今、デジタルサービスに求められる必須要件とは!? アプリケーションのコンテナ化で得られる5つのメリット (コラム) - 今注目されている「コンテナ化」。コンテナ化とは?そのメリットとは? IBM Cloud Paks シリーズ ご紹介資料 (資料) ※会員専用ページ - 6つの Cloud Paks について、お客様の理解度に応じて必要な資料を選択できる形式になっています。 【外部ページ】 IBM Cloud Pak for Applications (IBMサイト)  

2020年08月18日

今、デジタルサービスに求められる必須要件とは!?アプリケーションのコンテナ化で得られる5つのメリット

IBM Cloud Pak for Applicationsの新規販売は終了いたしました。 今後のアプリケーションランタイムソリューションは、2021年1月15日に発表されたWebSphere Hybrid Editionとなります。 アプリケーションを稼働させる環境として、コンテナに注目が集まっています。 デジタルサービスに対する顧客のニーズが多様化し、かつ加速度的に変化している中、その顧客ニーズに対応しようとしている企業にとって、DevOps によるアプリケーションの開発・運用と共にコンテナ化には様々なメリットがあるのがその理由です。 本記事では、そんなアプリケーションの迅速な開発・展開が可能となるコンテナ化について、従来の仮想マシン上でアプリケーションを稼働させる場合との違いやメリットを解説します。   Index コンテナとは? コンテナと従来の仮想化技術との違い コンテナのメリット コンテナ化の注意点 今日のビジネスにおけるコンテナの活用シーン IBM Cloud Pak for Applications について この記事に関するお問い合わせ 関連情報   コンテナとは? コンテナとは、アプリケーション本体やライブラリといったアプリケーションの実行環境をパッケージングした上で、ホスト OS のコンテナエンジン上でプロセスやネットワークといったリソースを切り離して仮想環境を構築する技術のことです。 コンテナの中核をなしているソフトウェアは、主に以下の2つです。 コンテナエンジン コンテナエンジンは、ホスト OS 上でのコンテナの作成、削除、実行などを担います。代表的なコンテナエンジンとしては Docker がよく知られています。 オーケストレーションツール 単に開発環境としてではなく本番環境もコンテナ化する場合には、コンテナの運用管理を徹底する必要があります。そこで登場したのが、オーケストレーションツールです。 オーケストレーションツールは、コンテナ起動中のロールアウトやロールバック、データを保持するための外部ストレージのマウント、クラスタの構成、各コンテナの管理やログといったコンテナの運用に関わる様々な役割を担います。 代表的なオーケストレーションツールとしては、Kubernetes や OpenShift がよく知られています。   コンテナと従来の仮想化技術との違い これまで、アプリケーション稼働環境の構築手法としては仮想マシン型が一般的でした。 仮想マシン型の場合、物理サーバー上にアプリケーションやライブラリのほかにゲスト OS を含む仮想マシンを複数実装することで仮想環境を構築し、リソースの効率的な利用を実現します。 一方でコンテナの場合、各コンテナはアプリケーション本体やライブラリなどで構成されており、ゲスト OS は含みません。コンテナエンジンがホスト OS からネットワークやリソースを切り離した上で、単一のホスト OS 上での複数アプリケーション(コンテナ)の実行を制御しているからです。 これにより、仮想マシン型と比べるとより小さなリソース(CPU・メモリ・ディスク)でアプリケーションを稼働させることができるようになります。   コンテナのメリット 前項で述べたコンテナと仮想マシン型の仮想環境の実装を比べると、コンテナには次のようなメリットがあります。   1. 起動が速い 仮想マシン型の場合、アプリケーションを起動するためにはゲスト OS の起動をともなうため、アプリケーションが利用可能となるまでに数分から数十分程度の待ち時間が発生します。 一方コンテナの場合、アプリケーションを実行するための各コンテナはゲスト OS を含まないので、ゲスト OS を起動する待ち時間が発生しません。そのため、コンテナ起動後は数秒から数十秒程度でアプリケーションの利用を開始できます。   2. 処理が速い 仮想マシン型の場合、各仮想マシンからハードウェアにアクセスする際にハイパーバイザーとホストOS を経由します。そのため、物理環境と比べると処理速度が低下する難点があります。 コンテナの場合には、各コンテナからハードウェアへのアクセスをホスト OS が直接制御します。そのため、仮想マシン型と比べて物理環境に近い処理速度で仮想環境を利用可能です。   3. ハードウェアのリソース消費を減らせる 仮想マシン型の場合、アプリケーションを実行するためのサーバーを増やす(スケールアウト)にはアプリケーションやライブラリのほかにゲスト OS を含む仮想マシンを追加しなければなりません。 特にゲストOS自身が多くのリソースを消費するので、スケールアウトすることによってハードウェアのリソースを消費し、アプリケーションで利用できるリソースが逼迫してしまいます。 繰り返しになりますが、コンテナの場合、各コンテナはゲストOS を含みません。 そのため、ハードウェアのリソース消費を抑えながらアプリケーションをスケールアウトすることができます。   4. 環境を選ばず実行できる ゲスト OS を含む OS 単位で構成された仮想環境の仮想マシン型とは異なり、コンテナはアプリケーション単位で構成された仮想環境です。 そのため、作成したコンテナは、パブリッククラウドやオンプレミスといったアプリケーションの配置場所や物理サーバー・仮想サーバーのようなサーバー環境の違いに依存せずに実行できます。   5. ほかのアプリケーションから分離された開発環境で作業できる エンジニアは、コンテナ上で開発したアプリケーションをほかのアプリケーションから分離された開発環境で扱えるようになります。 また、コンテナには特定のバージョンのプログラミング言語ランタイムやライブラリ、アプリケーションの実行に関わる依存関係などを組み込めるので、最終的にそのコンテナがどの環境にデプロイされてもアプリケーションとしての一貫性を保つことが可能です。   コンテナ化の注意点 前項で挙げたように、アプリケーションのコンテナ化には様々なメリットがあります。 一方で、コンテナ内でデータを保持する場合には注意が必要です。コンテナを削除すると、コンテナ内のデータも一緒に削除されるからです。 したがって、コンテナで扱うデータを保持する場合には、データを永続化させるための構成を検討する必要があります。 具体的な方法としては2つあります。 コンテナエンジンを稼働させているホスト OS 上にデータを保管する 外部(共有)ストレージにデータを保管する 1.では、コンテナ上で保存するデータをホストOS上の領域に保管する設定ができます。 しかし、サービスを提供する本番環境では可用性・拡張性を確保する必要があり、一般的には複数台のホストOS 環境を用意することになります。 この方法の問題点として一番大きいのは、アプリケーションのスケールアウトや、障害対応のために当初稼働していたホストOS とは別のホストOS でコンテナを稼働させるといった場合に、データの引き継ぎが行われず結果としてデータロストが発生してしまう可能性があります。 2.では、複数のホストOS からアクセス可能な共有ストレージにデータを保管します。 その場合は1.で実現できなかったホストOS をまたいだコンテナのスケールアウト・移動にも対応できるようになります。 また、コンテナを停止するとコンテナ内に保存していたデータが消えるという特性上、仮想マシン型のようなバックアップ取得は難しくなります。 そのため、アプリケーション内にバックアップ機能を追加する、データの保管先を意識した設計に変えるといった考慮が必要になります。 今日では、コンテナ化にあたっての懸念材料となるデータの永続化について、バックアップ機能を持ったオーケストレーションツールや NAS とのパッケージングなどによって解消できるソリューションも登場しています。   今日のビジネスにおけるコンテナの活用シーン ここまで解説したように、アプリケーションのコンテナ化には様々なメリットがあります。冒頭でも述べたように、これらのメリットは顧客ニーズの多様化に対して自社のデジタルサービスをスピーディーに適合させようとしている企業にとって大きなインパクトがあります。 今日のようにビジネス環境の変化が著しい中で、企業は顧客ニーズを自社サービスに素早く反映することが求められています。 とはいえ、これまでの「ウォーターフォール」型手法ではスピーディーな実現が難しくなります。「アジャイル開発」的な発想で自社のデジタルサービスを日々アップデートしていく必要があります。 これまで、デジタルサービスはモノシリックな形で作り上げるのが一般的でした。モノシリックとは、単一のアプリケーションとしてデジタルサービスを作り上げるソフトウェアのアーキテクチャのことです。 小規模なデジタルサービスの開発には適していますが、コードベースの拡大に伴って修正・テストに時間がかかる・コードのバージョン管理といったメンテナンスが煩雑化しやすいという難点があります。 そのため、サービスの改修や追加をスピーディーに実行することが難しく、高頻度でのアップデートを前提としたデジタルサービスを開発するアーキテクチャに適しているとは言えません。 こうした中で、多くの企業の関心を得ているのがデジタルサービスのマイクロサービス化です。 マイクロサービスとは、細分化された個々のサービスを連携させて1つのデジタルサービスを作り上げるというソフトウェアのアーキテクチャです。すでに一部の企業は、自社のデジタルサービスをマイクロサービス化した上で、それぞれを高頻度でアップデートすることにより顧客ニーズに素早く対応しています。 そして、前述したようにアプリケーションをコンテナ化することによって、開発者はほかのアプリケーションから分離された環境で開発を行うことができるようになります。 これはつまり、アプリケーションをマイクロサービス化・コンテナ化することによって、コンテナ上で開発したアプリケーションをマイクロサービス化した機能単位でスピーディーに開発できるようになるということです。 したがって、アプリケーションのコンテナ化・マイクロサービス化によってマイクロサービス単位のアップデートを繰り返すことが容易にになり、顧客ニーズを早期にキャッチアップした継続的なアップデートを行うことで顧客満足度を向上し企業価値を高めることができます。   IBM Cloud Pak for Applications について 本コラムは、アプリケーションのコンテナ化とそのメリットについて解説しました。 今日、デジタルサービスに求められる必須要件としてのアプリケーションのコンテナ化をスピーディーに実現できるツールの1つが、IBM Cloud Pak for Applications です。 IBM Cloud Pak for Applications は、Red Hat OpenShift を基盤としてアプリケーションのモダナイゼーションを支援する製品です。 Cloud Pak シリーズには他に、データ管理、システム連携、マルチクラウド管理、セキュリティといった様々な機能に特化した製品があります。 ユーザーは、IBM が築き上げたベストプラクティスとして提供されるコンテナ・イメージを活用できるので、オンプレミスやクラウドといった環境を問わず、IBM Cloud Pak for Applications を利用して既存アプリケーションのコンテナ化を実現できます。 アプリケーションのコンテナ化に関心をお持ちの方は、ぜひ、IBM Cloud Pak for Applications をご検討ください。     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 全ての企業が AI カンパニーになる!「IBM THINK Digital 2020」に参加した (ブログ) - 全世界から9万人以上の参加者が! 【やってみた】IBM Cloud Pak for Applications導入してみた:概要編 (ブログ) - シリーズ第1回目!概要編として検証の目的・背景や環境周りをご紹介します。 IBM Cloud Paks シリーズ ご紹介資料 (資料) ※会員専用ページ - 6つの Cloud Paks について、お客様の理解度に応じて必要な資料を選択できる形式になっています。   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2020年08月17日

AIによる需要予測はどこまで使えるのか?成功と失敗の分岐点を解説

AI 活用が期待される分野の1つが「需要予測」です。 工場での生産量や仕入れ、販売量から営業成績、不動産の価格変動など、従来はベテランスタッフの経験や勘に頼ることが多かった領域を AI で代替できれば大きな効果につながります。 AI・機械学習のなかでも導入が進んでいる需要予測ですが、いざ自社で導入するとなると懸念も大きいもの。 本記事では、需要予測に成功したケースと失敗したケースの違いとともに、その分岐点がどこにあるのかを考えます。   Index 「需要予測」では、精度UPのための試行錯誤が必須 成功・失敗の分岐点は「必要なデータが揃っているか」 データサイエンティストに代わるツールの登場で、AI導入のハードルは下がっている 「H2O Driverless AI」をPoC環境でお試しいただけます この記事に関するお問い合わせ 関連情報   「需要予測」では、精度UPのための試行錯誤が必須 AI による「需要予測」では、過去のデータや気象情報、周辺市場といった変動要素などを学習し、変化のトレンドを導き出すことで次の変化を予測します。 「ベテランの経験や勘」と言われているものもこれらの情報をベースにしているはずですが、どの情報をもとに考えているのか明確になっていないケースが多く、「経験や勘」を別のメンバーに引き継ぐにはかなりの時間がかかってしまいます。 AI を利用すれば「どの情報が関連しているか」「より影響が大きい情報がどれか」などが可視化され、データをもとにした需要予測が可能になります。 もちろん AI も最初から正確な予測ができるわけではなく、様々なデータを学習させ、試行錯誤しながら精度を改善する必要があります。 一般的には、直近1年間について AI による予測データと実績データを突き合わせることで検証し、相関性の高いデータや結果への影響度が大きいデータを見極めながらチューニングを繰り返します。   成功・失敗の分岐点は「必要なデータが揃っているか」 AI による需要予測も、成功するケースと精度があがらず失敗に終わるケースがあります。両者の違いはどこにあるのでしょうか? 成功ケースを見ると、信用できるデータを大量に確保できており、その中から需要予測につながるデータを特定することで高い精度での予測を実現しています。 一方失敗したケースの要因としては、関連するデータの種類が少ない、データの精度が信用できない、予測モデルの設計に問題がある、などが挙げられます。 このように、成功と失敗の分岐点には「必要なデータが揃っているかどうか」が大きく関わってきます。 上述したとおり、AI にできるのは「大量のデータから相関関係を導くこと」です。そのために必要なデータがなければ、AI を導入しても期待する成果は得られません。 また、必要なデータといっても予測したい内容に直接関係するものばかりでなく、様々な観点から関連するデータが揃っていることも重要ですし、適切な予測モデルを採用したうえでデータごとに関連性・重みづけをチューニングする必要があります。 需要予測を成功させるためには、関連するデータの質と量を揃えるとともに、適切なモデルを設計できるデータサイエンティストの存在が不可欠と言えそうです。   データサイエンティストに代わるツールの登場で、 AI導入のハードルは下がっている AI 導入を成功させるには必要なデータを揃えることが重要…とはいえ、データを用意するのは一筋縄ではいきません。 「社内にどのようなデータがあるのか分からない」「必要なデータがどこにあるか分からない」「手入力のためデータの精度が不安定」「部門間で連携できない」など様々なハードルがあるほか、そもそも「属人的な要素が強く、データ化できない」というケースも。 まずはデータ連携を進め、データを統合管理できる環境を整備することも大切です。 予測モデルの設計やデータの重みづけに関しては、専門知識・スキルを持つデータサイエンティストが担っており、精度を上げるためにチューニングを繰り返し、かなりの時間がかかるのが一般的でした。 しかし、これらの作業を自動化する "H2O Driverless AI" のようなツールが登場したことでハードルが大きく下がっているのも事実。高い分析スキルを持つ人材がいなくても、短期間で一定の成果を導くことは十分可能になってきています。 これまで二の足を踏んでいた企業も、そろそろ本格的に AI 導入を検討するタイミングと言えるのではないでしょうか? 「H2O Driverless AI」をPoC環境でお試しいただけます 記事内で取り上げた「H2O Driverless AI」のPoC環境をご用意していますので、検証などの用途でご利用いただけます。ご利用いただき効果や使い易さなど、検証から導入の可否を判断できるのが大きなメリットです。 AIによる機械学習の導入をお考えの企業様には、要件定義前の検討段階でのご利用をおすすめしております。 PoC環境の利用をご希望の場合は、お取引のあるパートナー様経由での申請をお願いいたします。お取引のあるパートナー様が不明の場合はお問い合わせください。 ※競合製品取り扱い企業様のお申し込みについてはお断りする場合がありますので、予めご了承ください。   この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 IBM Maximo Visual Inspection (旧 IBM Visual Insights) (製品情報) - D/L の経験とノウハウを、誰もが使いやすい GUI でのツールとして画像・動画に関するディープラーニングに特化して提供します。 AI導入はどこまで現実的? 5大ハードルとその解決策を解説 (ホワイトペーパー) - よく聞かれるAIの5つのハードルについて、解決策とあわせて解説します。 【やってみた】H2O DriverlessAIをIBM Power System AC922で動かして競馬予想する (その1) (ブログ) - Driverless AI で競馬の予測 (回帰分析) に挑戦しました。 【やってみた】超簡単データ分析!H2O Driverless AI を使ってみた (ブログ) - 「本当に初心者でもできるのかな?」ということで、今回実際にその Driverless AI を試してみました! 普及が進む、機械学習による異常検知。導入の課題はここまで解決している (コラム) - 機械学習の活用が進む現状。導入の課題とその解決策までをまとめて紹介します。 Driverless AI ご紹介資料 (資料) ※会員専用ページ - IBM i や AIX ユーザへの提案のポイントを取り纏めた資料です。 IBM AI ソリューションの事例ご紹介(IBM PowerAI Vison、Driverless AI)(事例) ※会員専用ページ - 業種毎の活用ケースや導入事例をはじめ、案件発掘事例についてご紹介しています。   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2020年08月03日

普及が進む機械学習による異常検知。導入の課題はここまで解決している。

様々な用途への活用が進む機械学習。なかでも実用化が進んでいる分野の1つが異常検知です。 従来は人がチェックしていた異常を機械学習で検知することにより、負担軽減・精度向上などにつながると期待を集めています。 また、モデル生成などを自動化する機械学習ソリューションが登場、導入のハードルが大きく下がったことも後押しとなり、普及が本格化しつつあります。 本記事では、活用が進む現状とともに、導入の課題とその解決策までをまとめて紹介します。   Index 機械学習の異常検知では、何を検知できるのか? 人材・データ・インフラ、異常検知導入を阻む3つのハードル 導入のハードルを大きく下げる、最新ツール・ソリューションとは 「H2O Driverless AI」をPoC環境でお試しいただけます この記事に関するお問い合わせ 関連情報   機械学習の異常検知では、何を検知できるのか? 機械学習の異常検知はセンサーデータや画像データなどを学習させ、正常として定義したデータとマッチしないデータパターンを検知することで実現します。 大きく、期待されるデータと異なるデータが現れたときに検知する「外れ値検知」、異常が起きているタイミングを部分的に検知する「異常部位検出」、データの急激な変化を検知する「変化点検知」の3つの手法があります。 これらの手法や機械学習のモデルなどを用途にあわせて選択、チューニングすることで、精度を高めていくのです。 実際に活用が進んでいる事例として、製造業における検品作業があります。設備から出力されるセンサーデータから問題発生を検知するのとあわせ、画像データからキズや欠陥がないかを検知することで高い精度を実現。ベテランスタッフのスキル継承、検品作業の負担軽減、人件費削減など大きな効果につながっています。 ほかにも、小売業では店舗における人の振る舞いの異常検知や、売り場の状態(欠品や位置ずれなど)を監視・分析することで売り場メンテナンスの効率化につなげる事例、金融業における不正検知など様々なシーンで導入されています。   人材・データ・インフラ、異常検知導入を阻む3つのハードル このように活用が進む異常検知ですが、いざ自社で取り入れるとなるとハードルが高いもの。なかでもまず挙げられるのが「人材」です。 機械学習の手法やモデルから自社の目的にあったものを適用し、精度を上げるには専門知識が欠かせません。 これらの知識・スキルを持つデータサイエンティストが、自社にそろっている企業は少ないのではないでしょうか。 また、もう1つ課題となるのが「データ」。 機械学習を行うには適切なデータがそろっていることが前提であり、データ量が多ければ多いほど精度が上がります。ですが、「機械学習に使える適切なデータがない」「データ量が少ない」といったケースは多く、この準備に機械学習のワークロードのうち大半を費やすとも言われています。 最後に検討が必要なのがインフラです。 クラウドファーストが当たり前になった今、特に機械学習のような最新技術はクラウド上に構築するケースも多く見られます。 しかし、利用するデータは機密レベルが高いことが多く、精度を上げるためにデータ量を増やすとネットワークのコスト増にもつながります。また、機械学習では様々なデータで試行錯誤し精度を上げるため、その都度、大量のデータをクラウドにアップロードする必要があります。 予算・パフォーマンス・セキュリティのバランスを考慮すると、オンプレミスでの導入が有力候補に。オンプレミスでどのように機械学習の環境を構築するかも大きなハードルとなるのです。   導入のハードルを大きく下げる、最新ツール・ソリューションとは 上記の状況の解決策として今注目されているのが、モデル生成など従来データサイエンティストが担っていた部分を自動化し、コーディング不要で機械学習を開発できるツールです。 なかでも「H2O Driverless AI」は使いやすいUIで、精度の高いモデルを作成できることが強み。「どのデータが結果への影響が大きいか」といった重みづけも自動でおこなうため、データサイエンティストのような専門家がいなくても自社で導入することが可能になります。 もちろん「期待する結果を得るために、どういったデータが影響するか、そのデータはどこにあるのか」といったツールを活用する前段階の作業が必要なことは変わりません。ただし、これらは自社業務に密接にかかわるもの。社内業務に精通した人材で対応できるケースも多いでしょう。 こういったソリューションを利用することで、環境構築のハードルは大きく下がるはずです。オンプレミスでの導入が容易になれば、クラウドにはあげられなかったデータを分析できるなど活用の幅も広がります。 従来、人が手作業でしていた異常のチェックを機械学習で自動化することにより、業務効率化・コスト削減・負担軽減・品質向上など得られる効果は大きいもの。すでにこのようなツールを駆使し、機械学習による異常検知を導入している企業も増えています。「業務に活用するとしたら、どこに取り入られるのか」をまずは検討してみてはいかがでしょうか。   「H2O Driverless AI」をPoC環境でお試しいただけます 記事内で取り上げた「H2O Driverless AI」のPoC環境をご用意していますので、検証などの用途でご利用いただけます。ご利用いただき効果や使い易さなど、検証から導入の可否を判断できるのが大きなメリットです。 AIによる機械学習の導入をお考えの企業様には、要件定義前の検討段階でのご利用をおすすめしております。 PoC環境の利用をご希望の場合は、お取引のあるパートナー様経由での申請をお願いいたします。お取引のあるパートナー様が不明の場合はお問い合わせください。 ※競合製品取り扱い企業様のお申し込みについてはお断りする場合がありますので、予めご了承ください。     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 IBM Maximo Visual Inspection (旧 IBM Visual Insights) (製品情報) - D/L の経験とノウハウを、誰もが使いやすい GUI でのツールとして画像・動画に関するディープラーニングに特化して提供します。 AI導入はどこまで現実的? 5大ハードルとその解決策を解説 (ホワイトペーパー) - よく聞かれるAIの5つのハードルについて、解決策とあわせて解説します。 【やってみた】H2O DriverlessAIをIBM Power System AC922で動かして競馬予想する (その1) (ブログ) - Driverless AI で競馬の予測 (回帰分析) に挑戦しました。 【やってみた】超簡単データ分析!H2O Driverless AI を使ってみた (ブログ) - 「本当に初心者でもできるのかな?」ということで、今回実際にその Driverless AI を試してみました! AIによる需要予測は、どこまで使えるのか?成功と失敗の分岐点を解説 (コラム) - 需要予測に成功したケースと失敗したケースの違いとともに、その分岐点がどこにあるのかを考えます。 Driverless AI ご紹介資料 (資料) ※会員専用ページ - IBM i や AIX ユーザへの提案のポイントを取り纏めた資料です。 IBM AI ソリューションの事例ご紹介(IBM PowerAI Vison、Driverless AI)(事例) ※会員専用ページ - 業種毎の活用ケースや導入事例をはじめ、案件発掘事例についてご紹介しています。   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2020年07月13日

【てくさぽBLOG】H2O Driverless AIをIBM Power System AC922で動かして予想する(その2)

皆さま、こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの佐藤です。 前回の続きになります。 【てくさぽBLOG】H2O Driverless AIをIBM Power System AC922で動かして競馬予想する(その1)   今回の目的 Driverless AIによって予測した内容と実際の結果を照らしあわせ、予測の精度が有用かどうか検証します。 前回、回帰分析が終了したところまで、書きました。 回帰分析した内容を確認します。   回帰分析結果を確認 イテレーション検証スコア まず、左下の赤枠の中、イテレーション検証スコアから確認します。 こちらの内容はどのくらいの精度で的中するかになります。 0に近づくほど精度が高くなります。 スコアリングについては前回記載した通りMAEやRMSEをご確認ください。 スコアが、2.6021という値ですので、仮にスコアが1として1着予測としても3着程度までが平均精度になります。   特徴量の重要度 次に下中央の特徴量の重要度です。 こちらの内容はどのようなデータを用いて予測するのか?になります。どのデータを元にしどのような割合で利用するのか、予測の調合データです。 上に行くほど高い重要度になりますので、より着順に関係性が深い値ということになります。 一番上の CVTE とは Cross Validation Target Encoding の略で、着順が低いともう一方の数値の傾向があるという関連性を見つけており、CID調教素点は調教データを数値化した指数となります。 つまり、調教が良い状態であれば結果(着順)も良いという事になります。 2行目にご注目ください。 Freq とありますが、Frequency Encoding の略になります。Frequency Encoding とは、こういう条件のときにこうなりやすいという確率です。 例えば、"芝で1枠だと1着になりやすい" といった傾向分析になります。 このケースの場合、"情報指数" "条件" "距離適性" という3つのデータの特定条件が揃うと着順に対して傾向がある事を Driverless AI が発見しています。 Driverless AI の特徴として個々の列データの特徴だけでなく、複数列のデータを組み合わせ新たな条件を作り出せます。 複数の列データの組み合わせ及び抽出条件を様々テストするというのは手作業でやるには大変な労力になります。また人間の目でみて関係なさそうな組み合わせからも有効な組み合わせを発見できる、これが Driverless AI の強味になります。   予測 回帰分析が完了しましたので次は予測してみます。 まずは予測したいファイルを用意します。 今回回帰分析したデータは2020年3月頭までになるため、それより後の日付のデータを用意します。 回帰分析したデータを予測データとして読み込むと予測は可能ですが、非常に高い精度で的中してしまいますので、回帰分析に用いたデータより未来の2020年4月~2020年5月16日までのデータを用意しました。 Experience 画面から他のデータセットを用いて予測を押し、データを選択します。 するとしばらく待った後ファイルダウンロードが始まりますので保存します。 Driverless AI の内部では回帰分析で生成された条件式に従い計算するという作業しますが、答え合わせの処理ですので、回帰分析する時間よりはかなり短い時間で終わります。 少し待った後ファイルダウンロードが始まりますので保存します。 保存したファイルを開くと最終列に "着順.predicted" という列が追加されています。 これが Driverless AI が予測した順位になります。 予測結果は小数点で表示されます。   検証 実際の結果と予測データを照らし合わせます。 的中率を算出します。 今回は3連複、ボックス6頭という Driverless AI の結果の数字が低い順に6頭を選ぶと仮定して当たりはずれを検証しました。 3連複は任意の3頭が1着2着3着に入ることを予測する買い方になります。BOX は任意の数でのすべての組み合わせとなります。6頭BOX ですと20通りになります。 仮に12~18頭レースとすると三連複の組み合わせは220~816通りありますので、単純な確率ですと6頭BOX の場合の的中率は 2.5%~9% となります。 結果444レース中187レース的中しました。的中率約 41% となります。 純粋に的中率でいえば、完全なランダムと比較して圧倒的に高い数字ですので、予測は機能してるという事はわかります。   さらに精度を上げる ここからはもう少し結果に対して掘り下げを行います。根気よくデータを見ることによってさらに精度を上げることができます。 今回のケース、条件によって的中率に変化があるのか検証します。 エクセルで頑張りましたが、この作業の時に IBM SPSS のような BIツールがあれば便利ではないかなと感じました。 いくつか見方を試してみたところ、レース番号と距離よって的中率にばらつきがあることがわかりました。   レース番号と的中率の関係 レース番号 レース数 あたり はずれ 的中率 1 37 23 14 62% 2 37 17 20 46% 3 37 16 21 43% 4 37 19 18 51% 5 37 11 26 30% 6 37 16 21 43% 7 37 19 18 51% 8 37 12 25 32% 9 37 16 21 43% 10 37 17 20 46% 11 37 9 28 24% 12 37 10 27 27% レース距離と的中率の関係 レース距離 レース数 あたり はずれ 確率 1000 3 0 3 0.0% 1150 13 5 8 38.5% 1200 76 23 53 30.3% 1300 5 4 1 80.0% 1400 57 27 30 47.4% 1600 57 25 32 43.9% 1700 26 11 15 42.3% 1800 97 40 57 41.2% 1900 4 1 3 25.0% 2000 47 21 26 44.7% 2100 5 2 3 40.0% 2200 11 4 7 36.4% 2300 2 0 2 0.0% 2400 15 11 4 73.3% 2500 1 1 0 100.0% 2600 5 3 2 60.0% 2750 5 2 3 40.0% 2770 5 3 2 60.0% 2880 1 0 1 0.0% 2890 3 1 2 33.3% 3140 1 1 0 100.0% 3200 1 0 1 0.0% 3380 1 1 0 100.0% 3930 1 0 1 0.0% 4250 1 0 1 0.0% 第5レースと第11レースと第12が的中率が悪いため、外してみます。 次に20レース以上ある中で的中率が悪い距離を見てみます。 1200mが30%程で悪いので外します。 276レース中137的中で的中率49.6%という事でほぼ半分当てることができました。   払戻金傾向 払戻金に傾向があるか回帰分析してみます。 今度は配当金のデータを Driverless AI で解析してみます。 やり方は同じで Terget を配当金にします。 "このモデルを解釈" をクリックすると、データの傾向がわかります。 発走時刻で見ますと14:45以降が配当金が高い傾向がわかります。 14時45分以降ですと10R~12Rとなります。 こちらの条件で絞ると、狙い目のレースを絞ることができます。   AC922の優位性 最後に今回のデータを使って、AC922 と一般的な IAサーバとで Driverless AI の回帰分析時間を比較してみました。 条件をそろえるためにどちらもGPUは "無効"、 AC922 については、"48スレッド(Power9は1Coreあたりのスレッド数4)" "メモリ128GB" に制限して実行しました。 【AC922(8335-GTH)】 Power9 2.4GHz~3.0GHz 40コア160スレッド →48スレッドに制限 メモリ1024GB →128GBに制限 GPU NVIDIA V100 16GB ×2 →GPU無効 960GB SSD ×2(RAID1) 回帰分析完了までの時間:2時間39分43秒 【IAServer】 Xeon E5-2680v3 2.5GHz~3.3GHz 12コア24スレッド メモリ128GB GPU Titan RTX ×1 →GPU無効 480GB SSD ×1 回帰分析完了までの時間:4時間23分54秒   まとめ AIで競馬予測のまとめに入ります。 今回、出た予測結果に対して内容を掘り下げることをによって、適用条件を絞ることによりさらに高い精度で運用できる事を確認できました。Driverless AI の結果そのままではうまくいかない場合は範囲を絞って運用し、知見を貯め、追加のデータを用意し、徐々に適用範囲を広げていくのが良いと感じました。 また、AC922 Power9 の強力な演算性能により短時間で終わらせることも確認できました。   お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp  

2020年06月29日

OpenShiftに代表されるコンテナ環境へのIBMストレージの対応

IBMの岡田です。前回の「全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要」はいかがでしたか? 今回は、今流行りのコンテナ環境とIBMのストレージがどのようにこれらの環境に対応しているのかに触れてみたいと思います。   コンテナって何? ある調査によると、クラウドファーストを掲げて次々とクラウド環境に IT を移していくといった流れは世界中の ITワークロードの5分の1ほど移ったところで一段落していると言われています。今日では従来型IT環境、仮想化環境、プライベートクラウド環境などのオンプレミス環境と、複数から成るパブリッククラウド環境を上手く使い分ける時代に入ってきたという人もいます。 何れにせよ、今後の IT はこう言った環境の種類に依存することなく、適材適所かつ必要に応じていかなる環境でも同じようにアプリケーション開発や検証ができ、完成されたアプリケーションをどこでも同じように作動させることができ、場合によってはそれぞれの環境で連携して動くと言った技術が必要になってきます。 この要求に応えることができるのがコンテナ技術です。 [caption id="attachment_90768" align="alignnone" width="600"]図1. 仮想環境とコンテナの比較[/caption]   コンテナのメリット [caption id="attachment_90871" align="alignnone" width="600"]図2.コンテナを使うことのメリット[/caption] どうしてコンテナ技術を用いるとこれらの要求を解決することができるのでしょうか? それはコンテナ技術を用いることで、動かすべき対象つまりアプリケーションと、動かすための環境つまりインフラストラクチャーを明確に分けることができ、前者は同じコンテナ基盤であればどこでも同じように動かすことができ、後者はどんなプラットフォームでもこのコンテナ基盤を使えばどこでも同じ動作環境をアプリケーションに提供することができるからです。 別の見方をすると、従来型IT環境では機能要件と非機能要件を分けて考えることが時には困難な場合もありましたが、コンテナ環境ではこれらを明確に分けることができるわけです(図3参照)。 [caption id="attachment_90771" align="alignnone" width="600"]図3. 従来型IT環境とコンテナ環境での考え方の違い[/caption]   Red Hat OpenShift について このようなコンテナですが、その方式はいくつか存在し、ここ数年いろいろな方々が実際に触っていくうちに自然と多くの人に使われるものが絞られてきました。 また、その周りを司る管理機能についてもやはり幾つかの方式からここに至ってある程度代表的なものに絞られてきました。いわゆるデファクトという呼び方をしたりするものですが、恐らく現在デファクトのコンテナ用オーケストレーターと言えるものは Kubernetes ではないでしょうか? この Kubernetes についての詳しい話はネット上にも沢山出てくると思いますので、ここではこれ以上触れません。 ちなみに最近はよくこの Kubernetes を "K8s" と書くことがあります。この K8s の "8" は Kubernetes の頭の "K" と最後の "s" に挟まれた "ubernete" の8文字を表しています。 Ruby 関連で i18n が internationalization を指すのと同じことです。そもそも IT の根本は如何にシステムを使って楽するかという怠け者の発想ですのでこんな略し方もわかる気がしますね。 (以下このブログでは、"Kubernetes" を "K8s" と表記します。) さて本題に戻ります。 K8s 環境は実際にちゃんと作ろうとすると、周辺機能を選びつつ構築していくことが必要となります。 またこれらは通常 OSS で組むこととなるため、ミッションクリティカルな環境への適用は、何かあった際のクイックなサポート等の面から非常に難しくなります。 Red Hat OpenShift は、K8s を中心に置き、必要な周辺モジュールを全てパッケージ化した上で評価を完了させてある商用パッケージです。 そのため、要らぬところに労力を割くことなく、正しい K8s環境を短時間で構築することができます。しかも、商用であるがゆえに保守等もちゃんと付いています。 [caption id="attachment_90872" align="alignnone" width="600"]図4.OpenShift について[/caption] IBM はこの OpenShift をベースに各用途向けにコンテナ化された IBMソフトウェアを搭載し、パッケージ化した6つの IBM Cloud Pak というソリューションを提供しています。 (※詳しくは「製品・ソリューション/ソフトウェア」内で紹介されている、各種 IBM Cloud Pak をご参照ください。)   コンテナ環境下でのストレージのあり方 コンテナのメリットは先程ご説明しましたが、その中でも特にポータビリティという点は十分に考えられたソリューションです。 しかし、果たしてそれだけで十分でしょうか? アプリケーションの作りにもよりますが、普通にコンテナ内のストレージを使いアプリケーションを動かすと、コンテナが不要となり消し去った際データも一緒に消えてしまいます。 複数のコンテナを並列に動かすような作りの場合にはデータを連携する必要があるかもしれません。 [caption id="attachment_90873" align="alignnone" width="450"]図5.永続ストレージの必要性[/caption] つまり、コンテナから独立したデータの器が必要となります。 これが永続ストレージというものです(図5参照)。 最近の IT の記述書などでよく "PV" という文字を見かけます。それは "Persistent Volume" の略であり、永続ストレージはその PV を使って定義づけられます。 では、永続ストレージにはどのような接続形態があるのでしょうか?   永続ストレージの接続形態 図6で示す通り、永続ストレージにはいくつかの形態があります。ちなみに一番左は通常のコンテナでのストレージのあり方で、この方法だとコンテナと共にデータは消えることとなります。 [caption id="attachment_90773" align="alignnone" width="600"]図6. K8s 環境でのストレージのあり方[/caption] ノード内の永続ストレージという点では OpenShift においては Red Hat OpenShift Container Storage が使われます。こちらはノード依存性がありますので複数ノードにまたがって連携することはできません。 それに対し、外部にストレージを保つ方法があります。ソフトウェア・デファインド・ストレージかハードウェア製品かに関わらず、K8s ノード外にあるストレージを使うため、仮にノードごとに何らかの理由で停止するようなことがあってもデータはキープされます。 (※どのような製品が対応可能かは後ほど触れます。) これらの接続方法は、実は K8s のバージョンによって変わってきます。 ここでは K8s を包含した OpenShift のバージョンでお話しします。 [caption id="attachment_90774" align="alignnone" width="600"]図7. OpenShift のバージョンによる接続方法の違い[/caption]   CSI CSI とは Container Storage Interface の略です。K8s のストレージはこうあるべきという考えに基づき、K8s とは独立にプロトコルを標準化したものです。 よって、CSI を使うことで K8s ユーザーはストレージのメーカーや製品を意識することなく同じに使うことができるようになります。逆に言うと各メーカーの優位性を出すことが難しくなります。 とは言え、IBMストレージとしては後述の通りハードウェア製品とソフトウェア・デファインド・ストレージ製品との連携でより便利に使うことが可能です。   IBM のストレージ対応 さて、ここまではどちらかと言うとコンテナ側のお話をしてきましたが、いよいよ IBM のストレージの対応についてお話していきましょう。   ブロックストレージ編 [caption id="attachment_90775" align="alignnone" width="600"]図8. IBM のブロックストレージの CSI 対応状況[/caption] IBM FlashSystem は、IBMストレージのブロックストレージにあたります。 FlashSystem はいち早く CSI にも対応しています。 もちろん FlashSystem 同様 IBM Spectrum Virtualize ファミリーのアプライアンス製品 SAN Volume Controller も、ソフトウェア・デファインド・ストレージとしてクラウド上にポーティング済みの IBM Spectrum Virtualize for Public Cloud も、対応済みです。 オンプレミスとパブリック・クラウド間でのデータ連携も永続ストレージ間で実施できるため、コンテナ上のアプリのポータビリティをオンプレミスとパブリック・クラウドの間でデータも含めて実現することができます。 実際、図2で示したコンテナのメリットは、ちゃんと永続ストレージを使ってどのプラットフォーム上でもできないと完璧にこなすことはできません。これが IBM のコンテナ対応のバリューです。 当然のことながら、フラグシップであるところの DS8000シリーズも CSI 対応済みです。   ファイルストレージ編 次にファイルストレージについて見てみましょう。 [caption id="attachment_90776" align="alignnone" width="600"]図9. IBM のファイルストレージの CSI 対応状況[/caption] IBMのファイルストレージと言えば、IBM Spectrum Scale というソフトウェア・デファインド・ストレージ製品ですが、アプライアンス製品として IBM Elastic Storage Server という製品があります。(第一回目のブログでもご紹介しましたね。) この ESS についても CSI 対応済みということになります。 こちらも IBM Spectrum Scale の機能を使ってプラットフォーム間でデータを連携することができます(Active File Management 機能は後日別の回での解説を予定しています)。 IBM Spectrum Scale を用いると、ある面白いこともできます。 これも詳しくは後日解説しますが、少しだけお話すると、IBM Spectrum Scale は NAS、オブジェクトストレージを含むマルチプロトコル対応です。CSI で静的プロビジョニングを用いてコンテナからアクセスできるようにすると、既存で NAS 等で使っているボリュームを見せることも可能となります。 さらに IBM Spectrum Scale は Unified Access という機能で同じファイルを NAS としてもオブジェクト・ストレージとしても共有できる機能があるため、コンテナでも同一ファイルを使うことが可能となり、実質的に従来型IT とコンテナとの間でもデータが連携できることになります。 従来型のシステムとコンテナのアプリ間でデータ連携できることのメリットは、まさに最初に述べた環境を用途などで使い分ける現在の IT環境には無くてはならない機能です。 これも IBMストレージの大きなメリットです。 ハードウェア製品、アプライアンス製品、ソフトウェア製品を通じてブロックストレージ、ファイルストレージ共に IBM はコンテナ対応済みであると言えます。   オブジェクト・ストレージ編 オブジェクト・ストレージは基本的に RESTful API による HTTP 接続が使われます。 よってコンテナに限ったことではありませんが、ブロックやファイルストレージとは異なり、独自ドライバや CSI を介する必要はなく、アプリケーションから直接 I/O することが可能です。 IBM は IBM Cloud Object Storage というソフトウェア・デファインド・ストレージを扱っています。 また IBM Spectrum Scale もオブジェクト・ストレージとして使用可能です。 オブジェクト・ストレージについては AI&Bigデータの回で詳しくお話することにしましょう。   ソフトウェア・デファインド・ストレージのもう一つの対応 [caption id="attachment_90777" align="alignnone" width="600"]図10. IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks[/caption] 現在取り扱っているコンテナ対応済みソフトウェア・デファインド・ストレージを取りまとめて、IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks という名前で IBM Cloud Paks 向けに提供を始めました。 ここには IBM の前述のソフトウェア・デファインド・ストレージ製品3つと、メタデータ、タグマネージメントといった機能を持った IBM Spectrum Discover、それに Red Hat OpenShift でネイティブなRed Hat OpenShift Container Storage と根強いファンの多い Red Hat Ceph Storage を加えた6つをワンパッケージにしました。 この Suite 製品の面白いところは、OCS(Red Hat OpenShift Container Storage)の契約 VPC数(契約対象の仮想プロセッサコア数)に応じた容量分を自由に何種類でも組合わせて使うことができるというところです(もちろん単体で全容量使うのもありです)。 この手のコンテナ環境・クラウド環境でストレージを使うことは、はじめは何をどのくらい使うべきかわかっていない状況だったりするものです。特にアジャイル、アジャイルと言われる昨今、「とにかくやってみよう」という傾向が強いのも事実です。 そんな時にこのパッケージを使うと、容量を超えない限りどのストレージをいくら使っても自由ですので、使ってみて決めていくということができます。 まさに現在のクラウド時代にふさわしいストレージパッケージと言えるでしょう。   今回のまとめ ここまで見てきた通り、IBM のストレージ製品は2020年7月現在取り扱っているものとしてはブロック、ファイル、オブジェクト・ストレージであり、これらすべてコンテナ対応が完了しています。 [caption id="attachment_90778" align="alignnone" width="600"]図11. IBMストレージの OpenShift 対応状況[/caption] Red Hat OpenShift あるいは各種 IBM Cloud Pak においては、接続性も含めて検証済みであり安全にお使いいただけます。 もしコンテナ環境をご検討中であれば、ハードウェアもクラウド上のソフトウェア・デファインド・ストレージもあり上下のデータ連携が可能な IBM のストレージ製品を、ぜひご活用ください!   お読みいただきまして、ありがとうございます。 次回はハイブリッド・クラウド、マルチ・クラウドに適切なストレージについてお話する予定です。お楽しみに!     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 IBMストレージ製品 (製品情報) 全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要 (ブログ) 最新のデータライフサイクル管理とは?(前編)(ブログ) 最新のデータライフサイクル管理とは?(後編)(ブログ) ハイブリッド/マルチクラウド時代だからこそIBMのストレージ (ブログ) AI導入はどこまで現実的? 5大ハードルとその解決策を解説 (ホワイトペーパー) 普及が進む、機械学習による異常検知。導入の課題はここまで解決している (コラム)   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2020年06月05日

全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要

こんにちは、IBM でストレージ・ソリューション・セールスのパートナー様向け技術支援を担当している岡田です。 今回は IBM の最新情報を交えつつ、IBM のストレージ製品の概要をご紹介させていただき、次回以降でその詳細に触れていきたいと思います。   はじめに 皆さんはどのくらい IBM のストレージ製品にご興味がおありでしょうか? 興味のあるなしに関わらず、多くの方は知らず知らずのうちに IBM や他のメーカー のストレージ上に様々なデータを書き込んでいることでしょう。ストレージの使用は、あえてデータを保管しようとせずとも無意識に行なっているものです。   例えば… 例えば、コンサートやイベントのチケットなどのケース。 発売当日は予想を超えるアクセス数がありますね。昔ならサーバーを増強してサーバーがパンクしないように対策し、それでもなおかつ処理能力を超えてしまいダウンしてしまったなどという話を聞いたことがあると思います。 しかし今では、クラウド上で一時的に仮想サーバーを増やして難なく対応するというように、時代とともにやり方は変化してきています。 でもその時データを貯めるストレージはどう扱うのでしょう? オンプレミスでもクラウドでも連携してハイブリッド・クラウド環境でデータをきちんと管理できるのが IBM のストレージです。 また、景品やポイント目当てで今日もスマホからアンケートに答えている方も多いことでしょう。 そのデータは、しばらくは価値のあるデータとして集計やいろんな解析に回されたりするかもしれません。少し時間が経過してもアンケートのコメント欄に書かれた内容を閲覧する人もまだちらほらといるかもしれません。 でもいずれは旬を過ぎたデータとしてどこかに保存だけされ、そのうち不要なデータとして削除しなければならなくなる。 これが、まさにデータのライフサイクルです。 しかし、実際はこのようなデータを正しく管理するのは非常に手間がかかります。場合によってはどこかでミスを起こし、まさかのデータ流出なんてことになりかねません。 データの「揺り籠から墓場まで」を実際にきちんと自動管理できるのが IBM のストレージです。 そして、さらに考えてみてください。そのデータはどうやって守られているのかを。 「守られている」というのには幾通りかの解釈があります。盗まれない・改ざんされないように守るセキュリティ、無くならないように守る信頼性、壊れないように守るインテグリティ、セキュアな移動に耐えうるポータビリティなど、これら「守る」をきちんと管理できる機能があるのも IBM のストレージです。 では、それらを実現する IBM のストレージの概要をみていきましょう。   IBMストレージ製品の紹介 IBM は現在、あらゆるお客様の規模・業種あるいはユースケースなどに対応するためにストレージ製品群を以下の4つのカテゴリーに分けて考えております。 図1. IBMストレージ製品カテゴリー これらのカテゴリーにはハードウェア製品のみならず、IBM Spectrum Storage ファミリーというソフトウェア・デファインド・ストレージ製品もマッピングされています。 IBM はいち早くソフトウェア・デファインド・ストレージに取り組み、今やストレージのみならず、バックアップ、マネージメントと幅広いカバレージで展開しております。 それでは一つ一つ見ていきましょう。   Hybrid Multi Cloud Storage ハイブリッド・マルチクラウド・ストレージに属するものとして、FlashSystem という FlashCore Module(以下 FCM)や SSD などの半導体メモリー系記憶デバイスを活用したストレージ製品群があります。 いわゆるオープン系と呼ばれていた分野は仮想化という過程を経てクラウド時代へ突入しており、コンテナ時代も本格化の兆しを呈しております。この分野で扱うのに適しているストレージ群という位置付けです。 IBM FlashSystem 9200 このラインアップはエントリークラスからハイエンド製品まで、お客様の規模等に合わせた製品を選択でき、なおかつ統一された操作性を実現する製品です。 またこれら FlashSystem の制御機能を外出しした IBM Spectrum Virtualize のパブリック・クラウド版と連携することで、オンプレミスや他のクラウド環境との容易なデータ連携を実現します。 (※詳細は第三回のブログで明らかにします。) 同じカテゴリーに位置する IBM Storage Insights は SaaS として提供される統合ストレージ管理サービスです。 複数の IBM ストレージを一括管理できるだけでなく、他のメーカー様のストレージも管理対象としています。世界中で培われた数多くの知見と AI により提供されるアドバイザリー機能は、ストレージの障害発生率の劇的削減につながります。   AI & Big Data Web Scale という言葉で代表される分野です。 特徴としては IoT のデータのように無限に増えていくデータに対応しうる拡張性、分散保管系、そして広いエリアでファイルやオブジェクトを一意的に扱えるグローバル・ネーム・スペースといったところが挙げられます。 製品で言うと IBM Cloud Object Storage や Elastic Storage System(ひとつ前のモデルまでは Elastic Storage Server と呼んでいました)がこれにあたります。 IBM Cloud Object Storage はオブジェクト・ストレージ機能に特化しており、ペタバイト級のデータを、高信頼性・高可用性・高安全性を保ちつつ扱うことができる分散保管型のストレージで、拡張性にも優れた製品です。業界ではデファクトとなっているオブジェクト・ストレージの AWS(Amazon Web Services)の S3 に準拠した API により、多くのサードパーティーのゲートウェイ・ソフト製品にも対応しております。 IBM Cloud Object Storage はアプラアンス製品としてハードとともに提供しておりますが、評価済みの汎用サーバーをお持ちであればソフトウェアのみでの提供も可能です。また IBM Cloud 上では IaaS としての IBM Cloud Object Storage が月額で使用可能です。 Elastic Storage System は IBM Spectrum Storage 製品のうち IBM Spectrum Scale という分散型ファイル・システムのアプライアンス製品です。GPFS(General Parallel File System)という Power 製品の分野で培った高度なファイル・システムをベースとしており、自動階層化機能、マルチプロトコル対応、拡張性といった特徴のみならず、分散ノードの並列度を上げることで高パフォーマンスな用途にも対応できます。 今日時点最新である2019年11月18日発表のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP 500」で、1位2位を独占する Summit という IBM のスーパーコンピュータにも搭載されている優れものです。 (※次回以降、階層化機能を中心に明らかにします。) また AI や BigData を扱うエリアでは、膨大なデータにおけるカテゴライズや検索といったことが重要になってきます。 通常はシステムにより自動付加される情報に頼ることが多いですが、メタデータ、タグ情報といったもので効率的にデータを扱える仕組みがあります。このメタデータやタグ情報を管理できるのが IBM Spectrum Discover で、上記2つの製品群と一緒に使われることでデータにより一層の価値を持たせることが可能となります。   Modern Data Protection 一番わかりやすいのがモダン・データ・プロテクションのエリア。災害や障害に耐えうるバックアップやディザスター・リカバリーに特化した製品群です。 いかに短い時間で効率的にバックアップを取得するかということは当然のことながら、いかにロス無く早くシステムを復旧できるかということが重要になってきます。 また、以前より障害やヒューマンエラー、災害対策、争乱と対象が発展し、今やサイバー攻撃にも対応する必要が出てきました。 さらに守るべき対象もオンプレミスだけではなく有機的にクラウドと結びついている場合もあり、これらに対応していくということが、まさにモダン・データ・プロテクションたる所以であります。 ここでの中心となるのはテープ製品群です。 現在の企業向けテープ規格のスタンダードと言えば LTO(Leaner Tape-Open)を思い浮かべる方が多いと思いますが、IBM は規格立案時代より中心的に関わっており、LTO および企業向けに発展させた 3592エンタープライズ向けテープ(IBM 独自フォーマット)の2本立てのテープカートリッジ規格に対応した製品群を扱っております。 IBM TS4500 Tape Library 同じカテゴリーの IBM Spectrum Storage ファミリー製品としては、IBM Spectrum Protect というバックアップ・ソリューション・ソフトウェアがあります。 これは Tivoli Storage Manger というバックアップ・ソフトを Spectrum ファミリーに統合したもので、長い歴史と実績を持っています。完全なる永久増分バックアップ機能と各種データ圧縮機能を用いることでバックアップ容量およびバックアップ時間を格段に削減することが可能です。 仮想サーバー環境に特化した IBM Spectrum Protect Plus という製品もあり、すでにいくつかのパブリック・クラウド上での月額使用も可能となっております。 昨今、テープ装置は物理的にシステムから切り離すことができるストレージとして、「エアー・ギャップ」という言葉のもと、サイバー攻撃にも耐えうるソリューションとして見直されつつあります。 (※詳細は第五回のブログで明らかにします。)   Storage for Z IBM のフラグシップとも言えるメインフレーム製品にも対応するハイエンド・ストレージ機器群となります。 技術の結晶とも言われるこの分野の製品は信頼性・可用性共に高いレベルにあり、過去から現在に至るまで世界中の経済を支えてきたと言っても過言ではありません。 DS8000 シリーズはホスト製品のみならず、オープン系の分野も含め 2000年代初頭から現在までの長い間、高可用性・高性能の分野で一役を担ってきました。 遠隔のストレージ同士をミラーリングするという考えは、もともとホスト系ストレージ・システムで行なっていた PPRC、XRC と呼ばれるミラーリングに始まり、現在の Metro Mirror、Global Mirror といった同期・非同期のミラーリングに受け継がれているもので、今ではエントリー製品にもあたりまえのように使われる技術となっています。 IBM DS8900F DS8000 シリーズは今でも進化しており、最新ラインアップ DS8900F シリーズではオール・フラッシュ製品に変化を遂げ、超低遅延・高可用性の他、クラウドとの連携やマルウェア・ランサムウェア対策など最新の技術を投入され、今後のIT環境にも活用いただけるフラグシップ製品です。   図2. IBMストレージ製品ポートフォリオ まだまだ説明したい製品がありますが、別の機会にご説明させていただきたいと思います。   おわりに 今後も、以下のようなテーマでブログを掲載させていただく予定ですのでお楽しみに! (もしかしたら突発的な話題や多少の変更はあるかもしれませんがご了承ください。) 第二弾:「OpenShiftに代表されるコンテナ環境へのIBMストレージの対応」 第三弾:「ハイブリッド/マルチクラウド時代だからこそIBMのストレージ」 第四弾:「最新のデータライフサイクル管理とは?(前編)」「最新のデータライフサイクル管理とは?(後編)」 第五弾:「データを守ることについて」 このブログで少しでも IBM のストレージ製品にご興味を抱いていただけると幸いです。     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 IBMストレージ製品 (製品情報) 全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要 (ブログ) 最新のデータライフサイクル管理とは?(前編)(ブログ) 最新のデータライフサイクル管理とは?(後編)(ブログ) ハイブリッド/マルチクラウド時代だからこそIBMのストレージ (ブログ) AI導入はどこまで現実的? 5大ハードルとその解決策を解説 (ホワイトペーパー) 普及が進む、機械学習による異常検知。導入の課題はここまで解決している (コラム)   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2020年05月21日

【てくさぽBLOG】「IBM Think Digital 2020」に参加した ~全ての企業がAIカンパニーになる!~

こんにちは。てくさぽBLOGメンバー山田です。 2018年はラスベガス、2019年はサンフランシスコと、アメリカの主要都市で開催されていた「IBM Think」ですが、2020年は COVID-19 の影響でデジタル開催となりました。 エンターテイメント的な高揚感や全世界から集まる参加者の熱気を体感できなかったものの、機械翻訳による日本語字幕やアジア地域の時間帯に合わせた配信などの新しい試みも随所にあり、2年連続して参加した私も今回は自宅から参加することになりました。 デジタル配信とはいえ9万人もの事前登録があり、現在もオンデマンドで100以上ものセッションが視聴可能です。 Think 2020 オンデマンドはこちら。(※IBMid が必要となります) IBM サイト:「Think Digital Event Experience -On Demand Sessions-」   ハイブリッド・クラウド、AI、5G が DX を牽引する 4月に新たに CEO となったアービンド・クリシュナ氏は、以下のように語りました。 "ハイブリッド・クラウド、AI そして 5G といったテクノロジーが企業のデジタル変革を牽引し、このパンデミックな状況が重要な転換期となって適応スピードがさらに加速する。" クリシュナ氏の講演では、ハイブリッド・クラウドと AI が実現する新しいソリューションとして以下の3つの発表がありました。 IBM Watson AIOps エッジ・コンピューティング 金融サービス向け ISV提携 エッジ・コンピューティングについては後程ご紹介しますが、5G の活用や金融サービスの ISV提携など、この数年の発表としてはインダストリー色が少し強くなった印象があります。 IBM Watson AIOps は、2019年の Think で紹介されたテクノロジーやコンセプトが具現化された製品のように思えました。 2019年の Think では AI関連のセッションは省力化についてフォーカスされたものが多く、Watson を手組で取り入れながら個別のプロジェクトで対応する、または PoC での評価段階だったように感じていたためです。 今年の Think では、効率化に加えて "スピードと自動化" の重要性がより前面に出ていたように感じました。 COVID-19 発生のような、予測や分析が難しく人々が自由に動けなくなってしまうような事態であっても、事業は継続しなくてはなりません。そのためには業務プロセス全体の効率化を考えるとともに、AI による運用自動化のような取り組みが必要ということでしょう。 今回発表された IBM Watson AIOps  は、まさに AI を IT インフラのオペレーションに組み込んだソリューションです。既存の IT 運用ツールを置き換えるものではなく、それらをデータソースとして AI が働き、異変を検出、対処方法の診断・自動化が可能となります。 図1:IBM Watson AIOpsの概念 エンタープライズの世界では企業 IT の世界では予期しない IT ダウンタイムの発生によって、年間約2.8兆円規模の損失が発生していると言われています。予兆検知により早期にトラブルを予測できれば大きなアドバンテージとなりますし、IT オペレーションの自動化を促進することで、IT 人材不足の課題にも対応できます。 また、ユーザーインタフェースに Slack を採用することで "ChatOps" が実現され、同時に他システムとのプロセス連携/自動化のための API も提供されるなど、まさに "オペレータをスーパーマンにする" ソリューションと言えます。 図2のように、インシデントや緊急停止の件数、顧客のロイヤリティ(NPS:Net Promoter Score)や従業員の満足度といった CIO の指標を改善することで、CIO を支援するソリューションであることも強調していました。 図2:セッション "Keeping IT Costs Down While Still Delivering Impact" より抜粋 当製品は OpenShift ベースの IBM Cloud Pak for Data 上に構築されているため、ハイブリッド・クラウド環境のどこにでも展開でき、日本では2020年内に提供開始予定です。   エッジ・コンピューティングへの拡がり "一度作ったアプリケーションがどこでも動かせるというオープン性の価値と、それを実現する統合プラットフォームの IBM Cloud Paks、そして統合プラットーフォームの中心に RHEL と OpenShift がある。" これは、クリシュナ氏とともに4月に新社長に就任した 元 Red Hat 社 CEO のジム・ホワイトハースト氏のメッセージです。 またエッジ・コンピューティングについては、工場や空港などの現場(=エッジ)で生まれるワークロードに対してもデータや AI の取り組みが必要であり、コンテナベースでアプリケーションが構築されるようになると述べられました。 5G のテクノロジーと組み合わせて、ポリシーを使ったコンテナ・アプリケーションの自動配布やライフサイクルの自律的な管理を可能にするユニークなソリューション「IBM Edge Application Manager」の発表がありました。 図3:IBM Edge Application Manager 4.1 architecture   欠かせないパートナー様とのエコシステム 従来は IBM ビジネス・パートナーのエグゼクティブしか参加できなかった PW at Think も、今回はデジタル配信ということで視聴することができました。 興味深かったのは、パートナー様の収益の 58% は⾃社の知的財産から生じていることや、マネージドサービスに対するお客様の需要は伸びており、2019年にクラウドサービスの再販が 17% 以上増加した、という IDC データの紹介でした。 そういった分析結果を踏まえ、構築(Build)、サービス提供(Service)、販売(Sell)といったパートナー様のビジネス・モデルに合わせた支援サービスが発表されており、常に IBM が、顧客の多様化したニーズに応えるにはビジネス・パートナー様とのエコシステムが必須であるとメッセージし、エコシステムのための施策もしっかり打ち出していると改めて感じました。 図4:セッション "IBM Partner Ecosystem: The Power of Ecosystem" より抜粋   さいごに ほんの数年前にはあこがれのような存在だった AI が、「Watson Anywhere:どこでもWatsonが使える」、そして「全ての企業が AI カンパニーになる。それは必然だ。」と、更に身近で、かつ避けられない存在になったことを実感したイベントでした。 来年の Think でどんな新しいメッセージが聞けるのか、今から楽しみです。  

2020年05月12日

【てくさぽBLOG】クラウド環境へのOSの持ち込みって出来るの?

こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの瓜谷です。 最近、クラウド上のソフトウェアのライセンス購入に関して 「自社で購入して持ち込んでいいの?」 「オンプレミス環境と同じ種類のライセンスでいいの? 」 「いくつ購入すればいいの? 」 といったお問い合わせが増えてきています。 そこで、よくお問い合わせいただくIBM Cloud ベアメタルへのWindows ServerとRed Hat Enterprise LinuxのOSの持ち込みライセンスの考え方についてご説明したいと思います。 IBM Cloud ベアメタル環境への持ち込み可否 「IBM Cloud ベアメタル環境へOSのライセンスを持ち込めるの?」に関して、結論から申しますと “Yes” です。 ただし、持ち込むOSによっては、オンプレミスで使用しているエディションが使用できない場合があります。 では最初に、IBM Cloud ベアメタルで使用できるOSのエディションの種類を説明します。 Windows Serverのエディションには、下記の2つがあります。 Windows Server DataCenter Core 2ライセンス ⇒"持ち込み可" Windows Server Standard Core 2ライセンス     ⇒"持ち込み可" この2つのエディションに関しましては、両方ともIBM Cloud ベアメタルへ持ち込むことが出来ます。 Windows Serverの場合には、エディションの種類を考慮しなくてもよいことなります。 それでは、次にRed Hat Enterprise Linuxを見ていきましょう。 Red Hat Enterprise Linuxのエディションには、下記の2つあります。 Red Hat Enterprise Linux Server                                   ⇒"持ち込み可" Red Hat Enterprise Linux for Virtual Datacenters   ⇒"持ち込み不可" 残念ながらRed Hat Enterprise Linux for Virtual Datacenters(ゲストOS無制限)は、IBM Cloud ベアメタルへの持ち込みはできません。 Red Hat Enterprise Linuxの場合には、オンプレミスとクラウドでライセンスポリシーが違うので注意が必要です。 IBM Cloud ベアメタルへの持ち込み可能なOSのエディションの種類がわかったところで、次に「IBM Cloud ベアメタルへ持ち込むOSライセンスの考え方」を説明します。 IBM Cloud ベアメタルへ持ち込むOSライセンスの考え方 Windows Server とRed Hat Enterprise Linux Server は、IBM Cloud へ持ち込む場合でもオンプレミス環境と同じカウント方法になります。 【Windows Server を仮想OS上で使用する場合】 Windows Server のライセンスは、仮想OSが搭載されているサーバのCPUのソケット数とコア数やゲストOS数によってライセンスの数量が変わってきます。 ここでは、一番問い合わせが多い2CPU以下のサーバを例にとって説明します。 ■Windows Server DataCenter Core 2ライセンスの場合 このライセンスは、サーバにゲストOSを無制限に搭載することができます。 そして、ライセンスの数量を考えるには、2つのルールがあります。 2コアで1ライセンスとして算出します。 1.サーバのCPUの合計コア数が16コア以上の場合には、合計コア数必要 2.サーバのCPUの合計コア数が16コア未満の場合、16コアとして計算 上記1、2の説明に対する図を、下の図1に示しています(説明1は左側の図、説明2は右側の図です) ■Windows Server Standard Core 2ライセンスの場合 このライセンスは、サーバのCPUの合計コア数とゲストOS数によってライセンス数が変わってきます。 サーバのCPUの合計コア数分のライセンスで、ゲストOS2つまで使用できますが それ以上使用する場合には、サーバのCPUの合計コア数分のライセンスを加算することでさらにゲストOS2つ追加して使用することができます。 2コアで1ライセンスとして算出します。 ライセンスの数量の考え方の例を3つにまとめます。 1.サーバのCPUの合計コア数が16コア以上の場合には、合計コア数でゲストOSを2つまで使用可能 2.サーバのCPUの合計コア数が16コア未満の場合、16コアとしてゲストOSを2つまで使用可能 上記の1と2を式にて表現してみると次のようになります。 変数α  =  サーバのCPUの合計コア数(但し、16コア未満の場合には16コアとして計算します) 変数β  = ゲストOS数(但し、ゲストOS数が奇数の場合には+1にして偶数にします) ライセンス数 = 変数α ÷ 2(2コアライセンスのため) × 変数β ÷ 2(2ゲストOS毎のため) 3.サーバ毎に、最大ゲストOSを数えて計算(待機系であっても課金対象) 上記1、2、3の説明に対する図を、下の図2に示しています(説明1は左側の図、説明2は真ん中の図、説明3は右側の図です) 【Red Hat Enterprise Linux Serverを仮想OS上で使用する場合】 Red Hat Enterprise Linux Server は、仮想OSが搭載されているサーバのCPUのソケット数とコア数は関係なく、搭載するゲストOSの数量によってサブスクリプション数が決定されます。 ■Red Hat Enterprise Linux Serverの場合 ライセンスの数量を考えるには、3つのルールがあります。 1.サブスクリプション毎に、2ゲストまで使用可能 2.稼動するRed Hat Enterprise Linux Server のOSの数量の合計で課金 3.同時稼動するRed Hat Enterprise Linux Server OSの最大数で課金 上記1、2、3の説明に対する図を、下の図3に示しています(説明1は左側の図、説明2は真ん中の図、説明3は右側の図です) 最後に 皆様、 IBM Cloud ベアメタルへのWindows ServerとRed Hat Enterprise LinuxのOSの持ち込みライセンスの考え方は、ご理解いただけましたでしょうか? 「意外と簡単だった!」 「理解できたけど、数を数えるの間違えちゃいそう!」 人それぞれ感想が異なるかと思います。 ここで注意してほしいのは、クラウド業者やOSのメーカーによって、持ち込みの可否や購入する際のルールや考え方等は異なるということです。 また、バージョンが変わることでライセンスのポリシーが変更になることもありますので、その都度確認が必要です。 常にライセンス見積に携わっていない方は「調べるのが大変!面倒!」と思われるかもしれませんが、そんな時はNI+C Pに是非ご相談ください。 また、クラウドに関わらず、●●●のライセンスの考え方を掲載してほしい等のご要望等ありましたらご連絡ください。要望が多いものから掲載していきたいと思います。   お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp     商標帰属 すべての名称ならびに商標は、それぞれの企業の商標または登録商標です。 ※上記の記載は、2020/5/11現在の内容となります。

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