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こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの高村です。 いきなりですが、AIと聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか? "人間と同じ様に意識や思考を持ったロボット"や"質問に対して答えてくれる製品”など、様々に思いつかれるのではないでしょうか。 AIの定義は定まっておりませんが、最近は大きく2つに分けることができると言われています。 1つ目は「強いAI」と言われ、前述に挙げた人間と同じ意識や思考をもつ人工知能です。現在のAI製品はこの「強いAI」に まだ至っていないと言われています。 2つ目は「弱いAI」です。「強いAI」に対して意識や思考を持たず、人間の知能の一部に特化した機能を実現します。視覚による画像処理や質問に対する回答、分類が該当します。昨年11月に掲載された「【てくさぽBLOG】H2O Driverless AIを使ってみた」のH2O Driverless AIは「弱いAI」になります。 今回のブログはこの「弱いAI」に分類される、機械学習(Machine Learning)をIBM Cloud上でデモを体験しましたのでリポートしたいと思います。 機械学習 -Machine Learning- AIの話をしていると"ML"や"DL"という単語を耳にします。"ML"とはMachine Learningの略(以下ML)、”DL"はDeep Learningの略(以下DL)になります。どちらも冒頭で説明した「弱いAI」に分類されますが、簡単に説明します。 MLとは沢山のデータを基にアルゴリズムを使用してパターンや特徴を見つけ予測を行います。図1の様に、分析するデータの状況によってMLは大きく「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種に分けられます。 図1:機械学習の分類 (出典:クラウドオンライン道場資料 Cloud Online dojo_WatsonStudio_20191209.pdf P12) 「教師あり学習」「教師なし学習」は統計学に基づいた「統計的機械学習」が一般的です。よって回帰分析、分類分析、クラスター分析など統計の知識が必要になります。一方「強化学習」は入力されたデータから何らか行動し、それに対して報酬(評価)が与えられ試行錯誤し、より良い行動の選択をしていく学習方法になります。(参考資料:総務省 ICTスキル総合習得教材 [コース3]データ分析 3-5:人工知能と機械学習) これから行うMLデモはIBM Cloud Watson Studioの機能の一つ「機械学習用GUI ツール(以下Auto AI)」を使用します。Auto AIは「教師あり学習」になり、「回帰」「分類」をプログラミング無しで実行することができます。 一方DLはMLと別のものと思われがちですが、MLで使用するアルゴリズムの1つを指します。人間の脳神経の仕組みを応用して作られたアルゴリズムにより非構造化データ(画像やスピーチなど)を処理するようコンピューターを訓練します。製品化の例を挙げると、公共施設での顔認証システムなどがDLを応用したシステムとなっています。図2はAI,ML,DLの関係を表したものです。DLはMLの一部であることがわかります。 図2:AI,ML,DLの関係図 IBM CloudでMLデモを体験してみた 1.MLデモの概要 IBM Cloud Watson StudioのAuto AIを使用してデモを行います。Auto AIはデータの前処理、機械学習モデル(以下Auto AIモデル)の選定、特徴量の最適化などを自動的に行うことができます。 今回のデモは図3の流れで行います。まずWatson Studioでプロジェクト、サービスを作成します。次にcsvファイルのデータをアップロードします。サービスを実行するとAuto AIが自動でAuto AIモデルを作成します。最後に作成されたモデルをデプロイし、テストを行います。 図3:MLデモの流れ 2.IBM Cloudのアカウント取得 今回のデモはIBM Cloudのライトアカウント(無料)で行うことができます。まずライトアカウントを取得しましょう。ライトアカウントならクレジットカード不要で、期間無制限でWatson含めた多数のAPIとサービスが無料で使用できます。取得方法はこちらのIBM Cloudのライトアカウントを作成しよう- IBM Developer チャンネル-をご参照ください。 3.デモの実行 3-1.データ準備 デモで使用する架空の電話会社の顧客データ「customer_churn.csv」をURLからダウンロードし、自分の 作業端末 に保存します。このデータは顧客の属性と契約を解約したかしないか(CHURN)があります。このデータから顧客の属性とCHURNを予測するモデルを作成します。 3-2.Watson Studioプロジェクト、サービス作成 それでは、デモをやってみます。 まずIBM Cloudにログインします。「カタログ」から地域をダラスにし、「Watson Studio Lite」を選択します。左上のダッシュボードのサービスからWatson Studioのサービスを選択、「Get Started」をクリックしてWatson Studioを起動します。 次にプロジェクトを作成します。「Create a Project」「Create an empty project」をクリックします。任意のプロジェクト名を入力します。「Select Storage Service」の「Add」をクリックし、Cloud Object Storageの画面に入ります。Liteが選択されていることを確認して「Create」をクリックします。これでプロジェクトが作成できました。 次にサービスを作成します。Settingから「+Add Services」をクリックしてWatsonを選択します。Machine Learningの「Add」をクリックし、Liteが選択されていることを確認、「Create」をクリックします。Confirm画面でダラスが選択されていることを確認して「Confirm」をクリックします。Settingの画面に戻り、追加したサービスのインスタンスが追加されていることを確認します。 3-3.Auto AIモデルの作成 いよいよAuto AIモデルを作成します。「Add to Project」をクリックし、「Auto AI experiment」をクリックします。Asset nameに”Churn Analysis”と入力し、自分のWatson Machine Learning Service Instance がセットされているのを確認して「Create」 をクリックします。 ダウンロードした「customer_churn.csv」をドラッグ&ドロップしてデータをアップロードします。「Select column to predict 」から予測したい項目で「CHURN 」を選択します。「Run experiment 」をクリックして、モデル作成を開始します。 モデルは複数のステップを経て4つのモデルを生成します。「Run Finished」が表示されるまで待ちます。1、2分でしょうか。下にスクロールするとモデルが作成されています。一番上のモデルが最もよいモデルとなっています。 このモデルの評価基準は変更でき画面は”ROC AUC”という基準で「1」に近いほど判別能が高いことを示しています。 一番上のモデル「Pipeline1」を保存します。「Save as model」をクリックし、Model name を "Churn Analysis Model "に変更して、「 Save 」ボタンをクリックします。 3-4.モデルのデプロイとテスト 最後に出来上がったモデルをデプロイして、テストを行います。先ほど保存したChurn Analysis Modelの画面から「Deployments」タブをクリック、「Add Deployment+」をクリックします。Name に”Churn model deployment ”と入力後、「 Save 」ボタンをクリックします。 STATUS が Initializing からready に変わったら「 Churn model deployment 」をクリックします。 「Test」タブをクリックします。今回のテストはJSONで入力します。テキストのマークをクリックして右画面のJSON構文を入力します。この構文は記された属性が契約を解約したかしないかをモデルに判別させます。入力後「Predict」をクリックします。 「Predict」をクリックすると右側に予測結果が表示されます。この場合はF(解約しない)と表示されました。 今回はJSON構文の入力で分析を試みましたがフォーム欄(ID,Genderなどの欄)に直接データを入れても分析できます。JSON構文の経験が無い方でも簡単に操作できますね。 MLデモを体験してみて はじめてIBM CloudでMLを体験してみました。複雑な作業なんだろうな…と思っていたのですが、準備するものは作業端末と分析したいデータ(csvファイル)で難しいインストールや設定作業はありませんでした。任意のファイル名の入力と「Add」や「Start」を押すだけでAuto AIモデルが作れてしまいます。 作業もサクッと進みこんなに簡単でいいのかと思ってしまいましたが、この容易さがIBM Cloudサービスの良いところだと思います。オンプレミス製品ではH2O DriverlessAIやIBM製品のPowerAI Visionなどがありますが環境準備、インストール、設定作業が発生します。もちろんオンプレミス製品の良いところもありますが、作業工数に余裕が無い、技術者が不足しているなどの課題がございましたら是非IBM Cloud Watson Studioをお試しください。 まとめ 今回はIBM Cloud Watson Studioの機能の一つであるAuto AIを体験しました。上述しましたが操作の容易さ、便利さに驚きました。 ところでWatson StudioはAuto AIの他にも多くの機能が提供されています。Auto AIは「データ分析」のフェーズで使用する機能ですが、その前段階の「データベースアクセス、データ蓄積」、「データ加工」のフェーズにおいても複数の機能が提供されています。また「データ分析」の機能ではAuto AIの他、SPSS ModelerやCognos Serviceなどのラインナップがあり、目的にあったツールを使用することができます。 分析プロセスの「データベースアクセス、データ蓄積」「データ加工」「データ分析」は、少し前まではフェーズ毎に使用ツールが分かれ異なる環境で作業しなければいけませんでした。図4の通り、Watson Studioではこの3フェーズを1つの環境上で使用することができ、作業効率の向上が期待できます。 図4:Watson Studio 概念図 (出典:クラウドオンライン道場資料 Cloud Online dojo_WatsonStudio_20191209.pdf P17) 「時間が無い、技術者も不足している」「CloudでAIなんて難しい!」と思っている方がいらっしゃいましたら是非一度IBM CloudでAIを体験してみてください。「思った以上に簡単、便利!これならお客様の要件にマッチするかも」と感じて頂ければ幸いです。 この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
※「こちら」で2020年8月更新版のアップデート情報をご紹介しています。 (さらに…)
こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの河野です。 突然ですが、「Driverless AI」ってご存知ですか? (さらに…)
こんにちわ。 てくさぽBLOGメンバーの佐野です。 2019年7月9日に IBM が RedHat の買収完了を発表しました。 RedHat の買収で IBM が得るものはいくつかありますが、その中でも特に "OpenShift" がハイブリッドクラウドのプラットフォームとして注目を集めています。 IBM は OpenShift を使って、IBM Cloud だけでなく AWS や Azure、GCP 上などのパブリッククラウド上でも簡単に IBM のソリューションを利用できるようにすることを考えています。 それを実現するための製品が "IBM Cloud Paks" シリーズとなっています。 1.IBM Cloud Paks とは? IBM Cloud Paks には2019年9月17日時点で5つの製品が出ています。 IBM Cloud Paks は単に 既存のIBM のソリューションをコンテナ化して提供しているだけでなく、可用性・拡張性が確保された上で企業ユース向けの様々な機能が実装された状態で利用できるようになっています。 そのため、個別に製品を購入し自力で様々なインフラ設計・設定をする必要がありません。 そんな IBM Cloud Paks シリーズの中でも今回は IBM Cloud Pak for Data(以下 ICP4D)の導入をしていきます。 ちなみに、今回の導入は kubernetes 環境としては OpenShift ではなく IBM Cloud Private を利用します。 2.IBM Cloud Pak for Data さて、今回導入する ICP4D はそもそもどういうソリューションなのでしょうか? 一言でいうなら、「データ分析のためのプラットフォーム」となります。 ICP4D を使って、データの収集・整形・カタログを整備して分析ツールにデータを渡し活用することができます。 このソリューションが特に効果を発揮するのはデータを分析ツールに渡すための前処理の効率化です。 データのカタログを作るための自動化支援機能(割り当てる用語の推奨やデータクラスの自動判別)を持っているため、人間がゼロから登録をする必要がありません。 また、本ソリューションに組み込まれている製品だけでなく、Add-on として使いたい製品を追加することができるので、「今は使わないけれど将来的に・・・」という対応も可能です。 「データ分析を個別の部署内だけでなくて対象を広げたい」「データ分析のためにいろいろなツールを使っていて運用負荷が高くなってきた」というようなお客様には最適なソリューションとなります。 3.事前準備 ICP4D 導入前の事前準備としては、 システム要件の確認 OS の設定 が必要になります。 システム要件は IBM の Knowledge Center を確認しましょう。 Installing Cloud Pak for Data 日本語での表示もできますが、最新の情報を確認する場合には英語表示にしてください。 今回は検証環境なので3ノードクラスタ(Master/Worker の機能を3台に導入する)構成とします。 環境は以下の図のようになっています。 今回はオンプレ環境なので ICP4D の画面へアクセスするために割り当てる仮想 IP を2つ用意します。 また、Add-on を追加で導入するため、CPU /メモリは最小要件よりも多く確保しています。 準備する環境について簡単にポイントを整理しておきます。 <CPU> 最新の CPU であればそれほど気にする必要はありませんが、SSE4.2 や AVX/AVX2 をサポートしている必要があります。 また、10ユーザー程度を想定した要件であるため、追加の Add-on やユーザー数が増加する場合には、コア数を多くした方がよいでしょう。 特にデータ仮想化機能を使う時にはインスタンスを作成するときに CPU やメモリを割り当てる必要がありますので、事前にどの機能に対してどれぐらいの割り当てをするのか検討をしておきましょう。 <メモリ> メモリについても CPU 同様に、使う機能やユーザー数に応じてどれぐらいのリソースが必要になるかを検討します。 <ディスク> ディスクについてはシステム要件内にも記載がありますが、root ファイルシステムで最低 100GB、インストールパス (ex. /ibm) で 500GB、データパス (ex. /data) で 500GB が必要になります。 この容量は最小要件なので、追加でインストールする Add-on やデータ容量によって追加のリソースを用意する必要があります。 また、root 容量はインストール前に警告が出てくるので 200GB 程度は割り当てしておいた方がよいでしょう。 ディスクにはパフォーマンス要件もあります。 よっぽど変なディスクでなければ問題ありませんが、Latency テストで 286 KB/s、Throughput テストで 209 MB/s が必要になります。※詳細はこちらの「Disk requirements」パートを参照下さい。 パフォーマンスについてもインストール前にチェックされるため、満たさない場合には警告が出てきます。 ※警告なのでインストールを進めることはできます。 <OS> OS としては Redhat Enterprise Linux 7.5 以上が必須となります。 OS 設定するポイントが多いので簡単ですが以下にまとめます。 ネットワークポートへ静的 IP アドレスの付与 DNS サーバーは必須 タイムゾーン設定 時刻同期設定(chrony) Firewall の無効化 SELinux の設定(permissive) インストールパス/データパスに対してファイルシステムの設定変更(noatime 設定) First Master ノードから他のノードへの SSH 接続設定(パスワード無し接続) (必要に応じて)Docker registry 設定 インストールする環境の準備は以上になります。 事前準備まで完了したら一度バックアップを取得しておきましょう。インストールに失敗した時に、OS を再導入し、1から設定をやり直すのは結構時間がかかりますので。 ※ここは結構重要なポイントです。 4.導入 ICP4D を導入するためのプログラムを Passport Advantage サイトからダウンロードしましょう。 入手方法はこちら インストールの実行には、当然ファイルに対して実行権限をつけないと進まないので、tar ファイルを解凍した後の "installer.x86_64.nnn" に +x 権限を付与することを忘れずに。 ICP4Dのインストール実行する前に、設定ファイルを作る必要があります。 環境に応じてファイルの内容を変える必要がありますので、こちらを参照しながら設定ファイル(wdp.conf)を作成しインストールパスに配置しましょう。 インストール実行前に事前チェックツールをダウンロードし実行します。 入手方法や実行方法はこちらに記載があります。 エラーや警告が出ていれば何か問題が発生していますので、メッセージをよく読んで解消しましょう。 事前チェックツールの実行をクリアすればいよいよインストールの実行です。 インストールの実行方法は設定ファイル(wdp.conf)作成の URL の項番5に記載があります。 が、インストール実行前にちょっと待ってください。 v2.1.0.2 でのインストールには約2.5時間ほどかかります。(環境や設定によって前後することがあります。) インストール開始後にコンソールを切断すると途中経過が分からなくなってしまうので、十分な時間を確保した上で実行するか、screen 上で実行して、切断した後でも途中経過が分かるようにしておくことをお勧めします。 また、インストールのログは以下のディレクトリ下に "wdp ほにゃらら"というファイル名で出力されているので、必要に応じて確認してください。 (インストールパス)/InstallPackage/tmp/ インストールを実行したコンソール上で出ないログも表示されるので、止まっているように見える場合にはこちらも確認した方がよいかもしれません。 ※インストールイメージを他ノードへ転送するところで結構時間がかかる場合が多いです。 インストール完了するまでの間ずっとログを見ていてもよいですが、(上記のような時間がかかる処理で)止まったり、Warning が大量に出るとドキドキヒヤヒヤしますので、「止まったら対処する」ぐらいの気持ちでいた方が精神衛生上よいです。 5.ICP4D 導入後 環境や構成にも依存しますが ICP4D v2.1.0.2 では約2.5-3時間程度で導入が完了するので、その間はひたすら待ちます。 インストールが無事に終わると、以下のようなメッセージが出てきます。 Installation was successful and took 02:55:05 Access the zen web portal using the following URL: https://xxx.xxx.xxx.xxx:31843 このメッセージが表示されれば無事 ICP4D の導入は完了です。記載されている URL にアクセスをして ICP4D の画面にログインしてみましょう。 ログインできて下のような画面が表示されれば OK です。必要に応じて Add-on の導入などを実施ください。 ※画面表示はブラウザの言語設定に依存します。添付画面は日本語設定になっているので日本語で表示されていますが、英語表示になっている場合にはブラウザの言語設定をご確認下さい。 Add-on の導入については Knowledge Center に記載がありますので、導入する Add-on 毎に用意するもの・手順をご確認下さい。該当箇所はこちら。 もし、エラーや Warning がログ上に表示されるようであれば、各ノードに対して設定変更をするなどで問題を解消するように対処して下さい。 6.まとめ ICP4D のインストーラは自動化されており、実行したらインストールが完了するまで人間が何か操作をする必要がありません。(最初に Y や A や Enter を押す必要はありますが。) 半面、途中でインストーラがエラーで止まってしまうと retry で先に進められれば問題は無いのですが、同じ場所で何度も止まってしまい、先に進まない場合にはエラーの原因を取り除くために多大な労力がかかります。 なので、本番導入前に何度もインストールを試してみるといった事前準備をしっかりしておくことが重要です。 OS 設定が漏れている、必要スペックが不足している、などの環境・事前設定以外の要因で止まってしまった場合には、原因究明や対処が難しい場合がほとんどです。 同じ環境・設定であっても OS レベルから再導入することでうまくいくこともあるので、うまくいかない場合には自力での問題解決にはある程度で見切りをつけて OS レベルから再導入することもご検討ください。 この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
こんにちは。2019年7月4日(水)に大手町プレイスカンファレンス・センタービルで開催された「IBM i World 2019 東京」 に、高橋・河野の2名で参加してきました。 約400人収容の会場は満席、会場参加以外にも LIVE 配信で約200人が聴講との事で、IBM i World への関心度の高さが見受けられます。2019東京のアジェンダは AI にフォーカスしており、IBM i の方向性が示されていると感じました。 アジェンダ I (アイ=わたし=お客様ご自身)、AI、IBM i。基幹業務にAIを実装するための最適解とは 【お客様講演】検証!AI認識画像は基幹システムを強化できるのか 【お客様講演】全社員参加によるデータ分析の実現!データxAIによるDXの実現に向けて 【パネルディスカッション】『RPG vs .Java』より快適なビジネスアプリ開発言語は I (アイ=わたし=お客様ご自身)、AI、IBM i。基幹業務にAIを実装するための最適解とは セッション開始時に、毎度のことながら、IBM 久野さんによる IBM i に関する聴講者のイメージ調査があり、「堅牢性」、「継承性」、「信頼性」、「手間いらず」等が上位ワードとして浮かび上がっておりました。従来からの IBM i のイメージ通りですが、最終講演でどのように変わるのか、あるいは変わらないのか、といった点が毎度の楽しみでもあります。 当講演のキーワードは”アジリティ”です。IBM i は、その特長である、HW+OS+DB+Application の垂直統合に加え、リアルタイムで AI /モバイル/ DB / Application の水平連携を通じてシステムをアジャイル開発することで、精度を高めつつスピードアップした対応を実現させます。さらに Application では既存資産を活かしつつ機能強化を図れるのが、IBM i です。 [caption id="attachment_68350" align="alignnone" width="600"] IBM i での水平統合・垂直統合のイメージ[/caption] [caption id="attachment_68351" align="alignnone" width="600"] IBM i とAIソリューションの水平連携イメージ1[/caption] [caption id="attachment_68352" align="alignnone" width="600"] IBM i と AI ソリューションの水平連携イメージ2[/caption] 【お客様講演】 検証!AI認識画像は基幹システムを強化できるのか お客様講演の1つ目は、コンビニ向け食品や冷凍総菜等の食品製造の会社です。 コンビニでの商品の入れ替えは年間1000品目以上あり、さらに今後も増え続けていくことは確実で、それに伴った労働力不足の問題がますます深刻化することが懸念されています。また、不良品の発生は経営に多大な影響を及ぼすため、検品・検査の強化が経営課題でもあります。 そこで検品・検査業務への AI 活用を検討しましたが、社内には AI の知識を持った人材がおらず、メンバーとして加入している IBM ユーザー研究会に相談してみましたが、研究会メンバーにも AI に精通した人材がいなかったため、研究会の研究テーマとして取り上げてもらい検討を進める事となりました。 その活動の中で、データサイエンティストなしでディープラーニングが可能であり、学習データの加工、ディープラーニング学習モデルの作成、推論と表示を GUI で誰でも実行できる PowerAI Vision であれば今回のニーズにマッチするのではないかとの推論に基づき、PowerAI Vision を用いての検証を進めることになりました。 「サンドイッチ製造の最終検品作業で画像解析を用い、NG 商品を検出して作業員により最終確認を行う」というのが命題でしたが、NG となるべき状態が検知できずに OK となるケースがあり、改善が必要でした。 そこで、精度を高める施策として「画像判定コンテスト」を実施しました。コンテスト参加者が競い合い試行錯誤した結果、チューニングの勘所として特徴的な NG 画像の学習データ化、一つの画像データを角度を変えて枚数を増やし、学習データを増やす(学習データ数が多いほど、ディープラーニングは精度が高まる)、色を付けずモノクロにする(色の判断要素は、今回のケースでは無駄な要素になるため無くす)等様々なアイデアが生まれ、精度向上に繋がりました。 AI では「100%の精度ではなく、80%を目指して最後は人間が判断する」という完全自動化ではなく、支援システムの位置づけとした事が成功につながった要因とのことでした。 今回得られた知見を参考に、今後は IBM i の基幹システムと AI の連携を深め AI 活用の領域を拡げていく予定とのことです。 講演者も、「AI 活用がどこまで会社全体の生産性向上に寄与できるか」ということを期待されていました。 【お客様講演】全社員参加によるデータ分析の実現! データxAIによるDXの実現に向けて お客様講演の2つ目は、ポリエチレン製ゴミ袋、食品保存袋、水切り袋、紙製ゴミ袋などの製造・販売の会社です。 本来の分析の目的とは、何が起きているのかを “早く知り”、“早く施策を打つ”事です。そのためには、「何のために分析を行うのか」、「現状の理解」、「目的の確認」、そして何と言っても「施策の実施」が重要であるということを強調されていました。 以前のシステムは基幹システムを IBM i で運用し、データ分析はバッチ処理でした。DWH サーバーは別途構築した専用のシステムで、IBM i のデータと連携していました。その結果、データ準備からバッチ計算で解析するまでの流れで大変時間がかかっていました。 そこで、データ準備から解析開始までのタイムラグによるデータの齟齬を発生させず、かつ、分析プログラム開発のためのスキルをカバーしてくれる Db2 Web Query for i を2010年に採用されました。筆者が素晴らしいと感じたのは、この分析システムに「ウェブQ」という愛称まで作り、社内の誰でも使えるところまでデータ分析業務を全社に展開・浸透されていたことです。そうした「全員参加によるデータ分析の実現」が、より高度なデータ分析業務へ進む原動力になったのであろうと納得いたしました。 次のステージである機械学習によるデータ分析は、ハードルが高かったものの、2019年5月 から1ヶ月間 H2O Driverless AI で検証を行ったことにより、月別販売数予測(時系列データ)で従来の経験者による予測を上回る結果を出せました。 30名の営業がそれぞれ、毎月、数日をかけて計算している予測業務のワークロードを削減し、かつ予測精度も向上するため、営業生産性の大幅な向上が期待されるとのことです。 今後は、2020年2月の本番稼働を目指してデータ整備等の準備を進めていくとともに、デジタル化のステップアップを続けていきたいという意気込みを感じました。 【パネルディスカッション】 『RPG vs .Java』より快適なビジネスアプリ開発言語は パネルディスカッションは、RPG と Java のプロ同士による高質なデュエットのように味わい深いものでした。一方は、IBM iという閉じた世界の中で60年間使い続けられた RPG であり、一方は、オープン・システムの旗手として、あらゆるデバイスで稼働する命題をもった Java です。 しかし、どちらもアプリケーション開発の生産性向上とシステム安定性を追求し、どちらが優れているという競合ではなく、企業での開発アジリティを高めることに注目しているというディスカッションになっていきました。既存の RPG コードをすべて Java 化するのではなく、変わらない RPG の基幹系ロジック部分などはそのまま生かして利用し、新しい機能やユーザーインターフェース部分は Java 化するのが効率的ではないかとの結論で、双方言語のプロ同士で合意されていました。 これを老舗の温泉旅館のリノベーションに例えて、「古い部分を作り直すのではなく、よい良いところは残しつつ、現代的な空間や機能追加部分を建て増した方がより優れた旅館になるのでは」という説明に、多くの方が頷かれていました。 今後 DX と呼ばれるデジタルトランスフォーメーションが進むと、基幹系業務をクラウドやモバイルにて利用しなければならなくなります。そのようになったとき、「基幹系業務を一から作り直すのではなく、一部を取り込む方が生産性も安定性も高くなるだろう」というディスカッションは、IBM i ユーザーやパートナー企業の方々にとって朗報だったと思われます。 会場の皆さんは、食いつくように壇上の一挙手一投足に反応されていました。 最後に 全過程終了後、再び IBM 久野さんによる IBM i に関する再度のイメージ調査があり、上位キーワードは「アジリティ」や「温泉旅館」に変わっておりました。 IBM i の未来を会場の皆様と共有した、一体感を感じる今年の IBM i World でした。 ※この記事は2019年7月5日時点の情報をもとに作成しています。 お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 e-Mail:voice_partners@NIandC.co.jp
こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの河野です。 今回は2019年6月26日(水)~28日(金)の3日間、日本アイ・ビー・エム株式会社本社にて開催されました「Power Systems テクニカル・ワークショップ 2019」に参加してきました。 このワークショップは年に1度 米国の IBM Power Systems の技術担当者が招聘され、最新情報だけではなく、IBMの今後の戦略と方向性を直接聞けるワークショップになります。今年は IBM ラボサービスから実際にお客様先でデリバリーを実施している技術者によるセッションもありました。複数の OS を統合する Power Systems の特徴などを米国の技術者から直接聞けるため、オーディエンスも多く、非常に盛り上がりました。このあたりからも、参加者の期待が伝わってきたワークショップでした。 3日間の内容は、以下の通りです。 Day 1 26日(水) 【Cognitive/AI, High Availability】 Power Systems Software 最新情報 Power HA for Linux/VMRM HA and DR 情報 AI/Watson Studio Local/Watson Machine Learning Accelerator 情報 IBM Cloud Private/Hortonworks Data Platform 情報 Day 2 27日(木) 【Power Systems, AIX and IBM i】 AIX アップデート・戦略情報 Nutanix Power Systems H/W 最新情報 Hybrid / Multi Cloud 戦略 IBM i 7.4 最新情報 Power HA for IBM i / Db2 Mirror Day 3 28日(金) 【IBM i】 IBM i アップデート・戦略情報 IBM i 開発環境 全体感としては、新製品発表などの目新しい情報はありませんでしたが、最新情報と Power Systems の進む方向性という点でハードウェアというより ソフトウェアを含めたクラウドを意識したメッセージを打ち出しており、今まで以上に クラウドを中心としたソリューションへの関心度を高くする必要があると感じました。また何よりも講師の方の説明に力が入っていたのが記憶に残っています。 以下、特にメッセージの強かった Day 1、 Day 3 のセッションについてお伝えします。 Day 1 Power Systems Software 最新情報では、クラウドへの移行を容易にするツールが増えている点が印象的でした。特に印象に残っているツールとしては、Private Cloud Management での PowerVC(プライベートクラウド向け管理ツール)や CMC(IBM Cloud Management Console)です。 PowerVCについて PowerVC の説明では、サーバーや ストレージ 以外に VMware Cloud も管理可能 (VMware vRealise) なツールであり、ユーザーニーズに応じた Edition を揃えている、とのことでした。以下の1~3の内容からもクラウドの技術がベースになってきていることがわかりますし、今後ますます積極的に取り入れていく方針を打ち出していました。 PowerVCのEditionラインナップ 1 Power VC Standard Edition 数分で VM を Deploy、VM の自動回復など 2 IBM Cloud Power VC Manager Power VC Standard Edition に加え 単一クリックによる展開 3 IBM Cloud Power VC Manager for SDI IBM Cloud VC Manager に加え IBM Spectrum Scale を包含 ※Data Management Edition 5.0 PowerVC バージョン1.4.3 先月にあたる6月21日にはバージョン 1.4.3 がリリースされ、バージョン1.4.3では 次の1~6の機能が提供されるなど、クラウド以外にもマルチベンダー(SW)を意識しています。 全 POWER9 エンタープライズサーバーをサポート 冗長化された HMC の自動フェールオーバーをサポート Dell EMC の PowerMAX のサポート 日立の GAD をサポート VMAX REST のアップグレード OpenStack Stein のサポート 上図のように、PowerVC は Software-Defined Network、Software-Defined Storage、Software-Defined Compute と連携され、機能拡張が可能な次世代のシステム基盤となります。 IBM Cloud Management Console (CMC)について CMC は SaaS ベースの管理ツールであり、複数のシステム、地域、データセンターに跨った環境でも、統合ビューの提供を可能にするツールです。運用管理において クラウド環境の管理を可能にする機能が備わってきています。 その他のトピック さらに POWER9 のリリースから PowerVM Enterprise Edition(Power VM EE) は必須機能となっており、これによりいつでも クラウドへの移行が可能となります。今後ますます多くなるワークロード(多くのワークロードを処理する必要がでてくる)を最適なリソースで対応していく基盤には、POWER9 をベースとしてクラウドや仮想化技術を取り入れる方向であることを打ち出していました。 Power HA for Linux/VMRM HA and DR では、VMRM (VM Recovery Manager) HA と VMRM DR を PowerHA の廉価版ソリューションとして発表されている点や、 PowerHA for Linux が AIX 版より廉価な点からも、今後のセリングでクラウドを意識した提案が多くなってくると考えます。(PowerHA に GUI のツールが備わっているというのは個人的には大きなニュースでした。) また、データ量が増え続け、計算機能に強いインフラの必要性が増すことが予想されるため、業界の Hadoop デファクトである Hortonworks と IBM インフラ・AI ソリューションのコラボレーションに対する需要が高まるという説明がありました。一連のイメージとしては、まず IBM Cloud Private for Data をベースに、Watson Studio でベースモデルを構築します。次に Watson Machine Learning で、マシンラーニングやディープラーニングのモデルの管理・展開を実現します。最後に Watson OpenScale でモデルの監視・運用を実施する、という流れです。AI のポートフォリオの(リマインドの観点での)説明もあり、この説明でスッキリとソフトウェアの整理ができました。 Day 3 セッションでの注目は「アプリケーションのモダナイゼーション戦略」です。 IBM i のモダナイゼーションが注力しているのは、”アプリケーション”、”データベース”、”基幹データの分析”の3点でした。 ビジネスの迅速な変化に対応するためには、システム基盤の在り方も クラウドやモバイルへの対応を強化する必要があるとメッセージしています。また、 IBM i では多くのアプリケーションやツールをサポートしている点も強調しています。 RPG は IBM i では主力言語であり、パフォーマンスや性能が良くユーザー離れが極めて低いことを強みに昔から根強いファンがいます。一方で新しい技術者の育成という点では、なかなか若い世代を取り込めていないことが懸念されていましたが、RPG は進化してきており、従来のカラム指向が現在ではフリーフォーマットとなっている点など、新しい技術者にも触れ易い環境に進化しているとのことです。 RPG のモダナイゼーション化ツールとして ARCAD (5733-AC1 ARCAD RPG Converter for i) が提供されており、従来の RPG からフリーフォームの RPG への変換を可能にします。 また、 ILE によるモジュールやサービス・プログラムにより、迅速な環境提供だけでなく、機能単位でアプリケーションを切り出した構成であるため保守容易性の観点でも利点が多いとメッセージしています。 データベースに関しては、Db2 for i は多様なインターフェースを提供しています。従来の CL コマンドや API での手法から、簡単な SQL 文で済ませられることが可能となります。アプリケーションと同様に携わり易い環境に進化しており、パフォーマンスにも効果が表れてきていることもメッセージしていました。また基幹データ分析では、Db2 Web Query for i による機能拡張があり、進化していることを伝えています。 まとめ Power Systems の戦略として、システム基盤へのクラウドの取り込みを積極的に推進するなど、ソフトウェアの機能を強化しています。IBM i の開発環境では”モダナイゼーション”というキーワードの元、RPG など従来の開発言語環境(オンプレミス)から、ハイブリッドクラウド環境を意識したサービス指向に向かっています。 数年前と比較して、ハイブリッドクラウドや Hadoop、IBM i のモダナイゼーションがリアル・ビジネスに向けたフェーズに移ってきていることを実感できるワークショップでした。 今後は IBM が打ち出している方向を意識しながら、提案の幅を広げて訴求していこうと考えます。 ※この記事は2019年6月28日時点の情報をもとに作成しています。 この記事に関するご質問は、下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
こんにちは。 企画推進部の久田です。 新時代のバックアップと言われている IBM Cloud Storage Solution for i (以下 CS4i)についてご紹介したいと思います。CS4i はIBM Cloud や Amazon S3 のクラウド上へ IBM i のデータをバックアップし、簡易な災害対策としても注目されているソリューションです。 IBM i でのバックアップ方法 従来の IBM i では、多くの場合(バックアップ対象のデータ容量によっては) IBM i 筐体内のディスクへのバックアップや、外部媒体へ保管するケースでも物理テープへのバックアップ(バックアップ後は物理搬送で遠隔地保管)を行っていました。ただし、ここ数年は「生産性向上」や「業務効率化」、「デジタルトランスフォーメーションの推進」により、クラウドファーストへと IT 変革を進める企業が増加しています。 CS4i も2016年の発表以降、年々導入されるユーザー様は増加の傾向にあります。それはまさに、「生産性向上」、「業務効率化」、「コスト削減」においてユーザー様から評価を得られている証拠です。そこで今回、具体的に CS4i 導入のメリットをご紹介いたします。 従来の主なIBM i でのバックアップ取得とCS4i を利用したクラウド連携のバックアップイメージ CS4i のメリット CS4i を採用することによるメリットをご紹介いたします。 コスト低減 クラウドへのバックアップによりコスト低減 バックアップ先のハードウェアやメディアを準備する必要がないため、初期および運用時のコストを削減できる 圧縮機能によるデータ量削減の結果、クラウド使用料やデータの転送時間短縮が期待できる 新スキルの習得が不要 IBM i からのコマンドラインや GUI からバックアップリストアを実行するため、既存のスキルをそのまま流用することが可能 ※既存スキルの流用が可能 運用の負担軽減 テープ媒体が不要なため、それにまつわる運用コストの低減が期待できる 特にメディアの世代管理のわずらわしさから解放される オンプレミスの VTL 装置と比較して、クラウドの場合バックアップの容量追加が簡単 ※VTL装置は仮想テープライブラリとして、ハードディスク上に仮想のテープドライブを疑似的に作り、システム(OS)からテープドライブが接続されているかのように見せかける仕組み 以上のメリットによりユーザー様から評価を得られ、採用実績が増えております。 考慮事項 CS4i を導入するうえでは考慮すべき点もあります。 障害対策やDR 対策の観点で、データ容量や帯域などがRPO (Recovery Point Objective:目標復旧時点)やRTO (Recovery Time Objective:目標復旧時間)を満たせる構成になるか、事前にシミュレーションをする必要があります。 ※CS4i はレベル1に該当します。 クラウドへの保管対象であるバックアップデータ容量でのコストシミュレーションが必要です。具体的には、リカバリーポイントまで定めた業務復旧時間内にリストア処理が完了するかのシミュレーションをクラウド使用時のコスト v.s. オンプレミス構成時のコストの観点で必要になります。また、業務復旧時間内に完了しないシミュレーション結果の場合は、回線帯域を増やした場合のコストシミュレーションも状況に応じて必要になります。 クラウドを利用する場合は自社のセキュリティポリシーに抵触しないか確認が必要です。 ご参考情報(CS4i V1.2 の参考価格) CS4i を導入するうえでは、CS4iの費用とCloudの費用が必要になります。また、IBM Cloud Object Storage(ICOS)は、IBM CloudのStorageを示します。 ※以下のCS4i V1.2 価格参考情報ではIBM Cloudでの試算です まとめ CS4i では簡単にクラウド環境へ仮想テープ・イメージをバックアップすることが可能です。操作も OS コマンドと同様なため、実装に際し高度な技術を要しません。クラウドや別拠点へのバックアップを行うことで災害時の対策にもなります。価格も廉価でありますので直ぐに検討に踏み切れるソリューションです。HW の更改時やデータの活用方法を改革される際は、是非、CS4i 導入をご検討下さい。 ※この記事は2019年5月8日時点の情報を基に作成しています。
こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの河野です。 昨今、データ分析やAIといったキーワードを目にしない日は無いというくらい日常会話で使われてきています。データ分析やAIが重要視されるようになってきた背景には、流行語にもなったビッグデータの出現により、例えば顧客に商品を買ってもらうために有効な広告を検討するための分析をすることで、購入してもらう確率を上げることができるようになります。 このように、大量のデータは企業にとっての価値をもたらす要素であり、戦略を考えるにはとても重要な役割を担っています。 このような”ビッグデータ”を効率的に利用・保管/管理するためのソリューションをご紹介いたします 増大し続けるデータ量 データという観点で一番ホットなトピックは、メディア業界における4K,8Kの商業放送の開始です。4K,8K放送が始まったことで映像コンテンツのデータ容量が爆発的に増えています。 どれぐらいデータが増えるのか?については、具体的には画面サイズが HDから4K に変わることで画素数が4倍となり、4Kから8Kに解像度をあげることでも4倍となります。(図 フルハイビジョン, 4K, 8Kの画素数 参照) 更に1画素あたりのビット数や1秒あたりのフレーム数(コマ数)も増加傾向になりますので、データ量もそれに比例して増加していきます。 図 フルハイビジョン, 4K, 8Kの画素数 どれぐらいのデータ量が必要となるのか?についても計算してみましょう。実際の映像データ自身は圧縮して送信されますが、ここでは計算を簡単にするために非圧縮の場合で計算してみます。 1画素あたりはRGBをそれぞれ8bitでの表現と想定し、8bit×3=24bitとなります。 1分あたりに必要な容量は、「総画素数」×24bit×1秒当たりのコマ数(今回は60fpsを想定)×60秒 で計算できます。 フルHD・4K・8Kのそれぞれで容量を計算し、1年間に必要な容量とともに表にまとめてみました。 1分程度であれば、フルHDの画質でスマートフォンのストレージに入るぐらいですが、8Kともなると保管が難しくなるぐらいの容量であることが分かります。 これを1年分保管するとなると、フルHDでも11.7PBと莫大な容量が必要となってきます。 データ分析の観点では、分析対象となるデータが多いほど精度が高まるため大量のデータを保管・準備することが必要になります。 このような大容量データを保管するために最適なストレージは”テープ”となります。 テープはLTO8で1巻あたり12TB(非圧縮)/30TB(圧縮)の保管が可能で、360MB/s(非圧縮:FHドライブ)/900MB/s(圧縮:FHドライブ)の速度で読み書きが可能です。 また、読み書きしないときには電力を消費しないので、消費電力が少なくてランニングコストも少なく済みます。そのため、長期保管するようなデータを保管する先としては最適なストレージといえます。 高速な分析処理の重要性 データ量の増加とともに着目されるのが、高速な分析処理です。 蓄積され続ける大量データを分析するために翌日にならないと結果が出ないというようなタイムスパンでは、情報が飽和している今の時代では適切なアクションのタイミングを逸してしまいます。 適切なアクションを適切なタイミングで実施するためにデータの収集や分析に費やす時間を短縮して、ビジネスに反映することができる環境を用意することが重要です。 サーバの処理性能はもちろんのことデータを読み書きするストレージも分析処理を高速化する上で重要な検討課題です。 分析処理を高速化するための最も簡単な方法がフラッシュ・ストレージの採用です。理想としてはストレージをすべてフラッシュ・ストレージにするオール・フラッシュ化をすることが望ましいところですが、フラッシュ・ストレージはディスクストレージと比べて高価なため、コスト的な観点から導入を躊躇されるユーザーの方も多数いらっしゃいます。 そこでお勧めしたいのがフラッシュ・ストレージとテープとを組み合わせたソリューションです。 フラッシュ・ストレージとテープ装置を組み合わせたソリューション 「コストと性能」という相反する課題は、既存の複数のソリューションを組合せることで解決ができます。コストはテープによって、性能はフラッシュ・ストレージによって得られます。ここで更に組み合わせるSoftware Defined Storage(以降SDS)ソリューションにより、運用面・管理面でもユーザーに負担をかけずに自動化することができます。 このソリューションであれば、企業の生産性も向上し導入のハードルも下がってくるのではないかと考えます。 この統合ソリューションは、以下3点が特長になります。 (1) フラッシュ・ストレージの性能 (2) 一定期間アクセスの無いするアーカイブ・データはコスト・メリットのあるテープ・ライブラリに自動的に移管 ※フラッシュ・ストレージ上ではアーカイブ・データは削除され、フラッシュ・ストレージの容量に余裕が生まれます (3) テープ・ライブラリのデータは、ユーザーからのアクセスに応じてフラッシュ・ストレージへ簡単にデータ移動および再利用が可能 上記により、ユーザーとシステム運用管理者の双方にメリットをもたらします。 IBM製品で実現するソリューション IBM製品で構成すると以下のようなイメージになります。 データ管理用にフラッシュ・ストレージとテープ・ライブラリーを接続したサーバー および サーバーに導入されたIBM Spectrum ScaleとIBM Spectrum Protect等のSDS製品でこのソリューションが成り立ちます。 IBM Spectrum Scaleは、データ階層管理機能をもち使用頻度の高いデータはフラッシュ・ストレージに配置し、使われなないデータは自動的にテープ・ライブラリーへデータ移管を行います。 IBM Spectrum Protectは、IBM Spectrum Scaleが使われないデータと判断したデータをテープ・ライブラリーへ転送(アーカイブ)させます。テープ・ライブラリー上で管理されているデータであっても、ユーザー自身のディレクトリーやフォルダー上にあるファイルとしてアクセスが可能です。 ユーザーは、ファイルをクリックすることにより、テープ・ライブラリーからフラッシュ・ストレージへデータのアップロードさせることも可能です。その後 一定期間放置すると、フラッシュ・ストレージからテープ・ライブラリーへ自動的に移管されます。この階層管理の仕組みの中にSASやSATAなどのHDDメディアを組み合わせることも可能ですが、ソリューション全体が複雑になりやすいこと、運用設計や運用管理の検討が不可欠であり、高度なノウハウが必要になるため、どういう構成にするのかは状況次第といったところでしょうか。 まとめ 今後、増え続けるデータをいかに安く保管するのかは重要な課題です。また、データ分析やAI利用の高速化のためのフラッシュ・ストレージの検討も重要な要素です。 コストの観点で利用できるフラッシュ・ストレージのリソースが限られることも考えられますので、フラッシュ・ストレージ上に格納したいが消去してはいけないようなデータをテープ・ライブラリーに移管させる機能をSDSを用いて自動化することで、分析業務の高速化と運用コストの低減を同時に図れます。 データ爆発の時代の備えとして”「高速なテープライブラリー」と「フラッシュ・ストレージ」を活用したデータ階層管理ソリューション”を是非ご検討下さい。 ※この記事は2019年2月20日時点の情報を基に作成しています。 この記事に関するご質問は、下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの佐野です。 最近世間で業務の効率化ツールとして注目を集めているソリューションであるRPA(Robotic Process Automation)。 第一回は概要編 (業務の効率化に役立つRPAとは?~概要編~)、 第二回はWinActor (業務の効率化に役立つRPAとは? ~WinActor編~) についてでしたが、今回の第三回はIBM社が提供している「IBM RPA with Automation Anywhere」(以下IBM RPA with AA)を紹介します。 IBM RPA with AAとは? IBM RPA with AAは、IBM社の製品ではありますが、RPA部分の中身はAutomation Anywhere社の製品を利用しています。 Automation Anywhereという会社とその製品を日本国内で聞くことはまだ少ないかもしれませんが、Automation Anywhere社の製品は2018年2QのForrester WaveにおいてLeaderポジションと位置付けられています。 日本国内でのシェアは高くありませんが、全世界的に見ると認知度が高く実績も多い製品です。 さて、そのAutomation Anywhere社のRPA製品と組み合わせたIBM RPA with AAですが、他の製品と何が違うのでしょうか? 一番大きな違いは、業務全体を最適化するための支援ツールであるBusiness Automation Workflow製品(旧Business Process Manager)が同梱されていることです。 この製品と組み合わせて利用すると、対象業務の全体像やどこがボトルネックとなっているのかを把握できるようになり、またプロセスのどこが人間でどこをロボットに実施させるのか、を設定ができます。 IBM RPA with AAの製品としては"Platform"と"Platform Express"の2種類が提供されており、PlatformにはBusiness Automation Workflowだけでなく判断ロジックを外部で管理するIBM Operational Decision ManagerとOCR機能であるIBM DataCapも同梱されています。 なので、Platformを購入すればOCRの利用や複雑な判断が入るような処理を実装する時に別の製品を購入する必要がありません。 また、SAP連携やCitrix連携モジュールが製品内に用意されているため、これらの操作を自動化する際には楽にロボットを作成することができます。 IBM RPA with AAの使い方 まず、IBM RPA with AAは"サーバー型"の製品なので、管理サーバー(Control Room)が必須です。 ロボットの実行やステータスは管理サーバーで管理されますので、普段は管理サーバーを確認しておけば済みます。 サーバーでロボットを管理するので、勝手にロボットが増殖し誰も管理できていないという状況を防げるのが強みです。 ロボットを作る時には、一からロボットの動作を定義するのではなく、レコード機能を利用することができます。 オブジェクトを取得する"Smart Recorder"、座標を取得する"Screen Recorder"、HTMLの構造を取得する"Web Recorder"の3つのレコードを搭載しているので、場面に応じた最適な方法を選択することができます。 また、ロボットに実装できるコマンドは約500種類もあるため、大体の操作はAutomation Anywhereの機能で実現できます。 では、実際の操作を見てみましょう。 まずは簡単にメモ帳に"demo"と打ってそれを"demo.txt"ファイルとして保存するということをレコードします。 "Record"ボタンを押すと画面の右下に四角い"Recording"ウィンドウが表示されます。これがレコード中ということを示すもので、レコードが終わったら"Stop"ボタンを押すだけです。 結果は切れてしまっているので次の画面を見てください。 "Actions List"にレコードした結果が自動的に出力されています。 正しく実行できるのか"Run"ボタンを押して確認をすると、先ほどレコードした操作が同じように実行できていることが分かります。 ※ファイル保存処理の部分が目視できないほど高速処理となってしまっています。分かりづらく申し訳ありません。 "Actions List"内の内容がロボットが実行する動作を定義したものですが、一見するとプログラミング言語で記載されているように見えます。 自分でロボットを作る時に全部書かないといけないとするとしんどい、と思うかもしれませんがご安心ください。 コードのように見えますが、ここは直接編集できず、設定はすべてGUIベースとなります。 例えば"If"の動作設定画面は以下のようになります。 画面では設定した特定のフォルダーがある時の動作を定義しています。If文で使う条件と比較する対象を設定するだけなのでコーディングとは全く違うものになります。 画面左側の"If/Else"カテゴリから"Folder Exists"を右側のペインにドラッグ&ドロップし、設定をするだけで1から3行目の動作が自動的に挿入されます。 ですので、簡単にロボットを作ることができるということが理解頂けるかと思います。 まとめ 今回はIBM RPA with Automation Anywhereの導入部分のみのご紹介で全てをご紹介しきれていません。 ロボットの動作を定義する部分の見た目はコーディングしているように見えますが、実際にはGUIで設定をしていること、レコード機能をうまく使えば手作業で動作を設定することが少なく済むことを理解頂ければ今回のブログは成功です。 より詳細なご説明をご希望される場合は、遠慮なくお問合せ下さい。 この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
こんにちは。企画推進部の久田です。 今回は、昨今話題のブロックチェーンについて、考えたいと思います。 ブロックチェーンというキーワードは、ここ1~2年で露出が増えてきました。 仮想通貨の盛り上がりにより、「ブロックチェーン」に注目が集まってきていると思われますが、その「ブロックチェーン」や「仮想通貨」と聞いて、皆様はどのようなイメージを持たれますか? 日本では残念ながら一般的に、ブロックチェーン → 仮想通貨 → ビットコイン → 資産消失… という流れでなかなか良いイメージを持たれていない、というのが現状です。 世界に目を向けると、実は2008年頃からブロックチェーンへの取り組みが始まっており、ブロックチェーン技術への期待がどんどん高まっています。それは、オープンソースかつ中央集権的でないこの技術はある意味、上手く応用すれば、多岐に渡って使途が広がると考えられているからです。 日本企業のブロックチェーンへの取り組み状況 従業員数500人以上の日本企業を対象として2018年2月にガートナーが実施したブロックチェーンへの取り組み状況に関する調査の結果、42.6%の企業が、調査など初期的なものも含めブロックチェーンに何かしらの形で取り組んでいることが明らかになりました。 (図1. 日本企業のブロックチェーンへの取り組み状況参照) 出典:ガートナープレスリリース 「ガートナー、ブロックチェーンへの取り組みに関する調査結果を発表 40%以上の日本企業は既に何らかの取り組みを開始していることが明らかに」2018年4月5日 「3年以内にブロックチェーンに取り組む日本企業は、60%程度に達するとガートナーでは予測しています。将来を見通した場合、ブロックチェーンの応用から社会が変化していくことは、ほぼ間違いないとみています」 出典:ガートナープレスリリース 「ガートナー、ブロックチェーンへの取り組みに関する調査結果を発表 40%以上の日本企業は既に何らかの取り組みを開始していることが明らかに」2018年4月5日 という状況のようです。数年後にはブロックチェーン技術を利用して新ビジネス創出は必然的な流れになってくると考えます。 そもそもブロックチェーンとは? まず、「ブロックチェーン」について基本的なところの押さえとして、Wikipedia には、 「ブロックチェーン(英語: Blockchain、ブロックチェインとも)とは、分散型台帳技術、または、分散型ネットワークである。ビットコインの中核技術(サトシ・ナカモトが開発)を原型とするデータベースである。ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。」 出典:「ブロックチェーン」 Wikipedia とあります。従いまして「一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することができない」ことが特徴で、主だった活用はデータ改ざんが許されない金融情報などでの活用から広がっていくと期待されています。 次はブロックチェーンの技術を活用した国際送金の例になります。 国連の難民支援に活用されているブロックチェーン MIT TECHNOLOGY REVIEW の記事によると、ヨルダンにおける国連の難民支援にブロックチェーンが一役買っているとのことです。 2017年にWFP(World Food Programme)は食料支援全体の30%に相当する13億ドル強を金融機関に送金し、何百万食に相当する資金が手数料などとして消えてしまった(実際の食事にならなかった)。ブロックチェーンを利用することで(これはまだ初期の結果ではあるが)、手数料などを98%減らせたという。 出典:「ヨルダン現地ルポブロックチェーンが変える国連難民支援のいま」、『MITテクノロジーレビュー』(https://www.technologyreview.jp/)、角川アスキー総合研究所、アクセス日:(2018年10月17日) ファイル共有などを行うための P2P 技術をベースとしています。中央集権的なサーバーを持たず分散型でデータを確保することが特徴で、大規模な投資を抑え、確実な台帳管理を可能にしています。 大規模投資を必要としない仮想通貨の根幹技術が、世界的な食料支援金の資金管理に活用され社会貢献している、というのは、日本でのイメージを払拭する活用方法ではないでしょうか。 地方自治体でも取り組みが開始されています 石川県加賀市では、ブロックチェーンの技術を中心に電子行政などの社会コスト削減と利便性向上や地域活性化分野の研究に取り組み始めています。 電子化の点ではブロックチェーンでなくても可能ですが、強固なセキュリティを必要とする場合には結果としてコストが嵩むケースが多いと思います。そこをブロックチェーン技術でコスト低減を図りつつ高いセキュリティの実現でコスト削減を目指されております。また、更にIT活用を進め、庁内での作業について自動化を促進して、市民が役所へ出向くといった面倒で時間のかかる作業への軽減も目指されております。 まずファーストステップとしては、本人認証基盤「KYC(Know Your Customer)認証基盤」を構築し、地域内サービスの認証を一元化することによるコスト削減や、集積したデータを活用した研究開発などから着手されるようです。 出典:「PC-Webzine 人口減少などの課題をブロックチェーン技術で解決へ~加賀市の取り組み~」 茨城県つくば市でのケースでは、ブロックチェーンの技術とマイナンバーカードを用いて国内初のインターネット投票の実証実験が実施されました。 実証実験では、投票内容の改ざん防止や秘匿性を確保しつつ、適正で効率的な投票の実現を目的として実施され、結果、投票の正当性、秘密投票、非改ざん性が、ブロックチェーン技術を活用した今回の投票によって実証されたと報告されております。 出典:「仮想通貨Watch つくば市、ブロックチェーンとマイナンバーカードを活用したネット投票を実施」 出典:「仮想通貨Watch つくば市のネット投票実証実験が成功、パイプドビッツが構築した投票システム」 このように日本のそれも地方自治体においてもブロックチェーン技術の活用は始まっています。今後、官民問わずこの流れは加速することが予想されます。 増々盛り上がるブロックチェーン技術をどのように活用すれば良いのか? 私見になりますが、日本ではガートナーのレポートからもわかるように、「Blockchain は取り組むべき技術ではあるが、どこから始めて良いかわからない」、という状況にあります。しかし、今後増々データ量が増え続けるという現実において、”どのデータを信用して良いか”、”改ざんされない安全なデータであることの証明はどうすれば良いか”という観点の取り組みが必要になってきます。そうなると、ブロックチェーンの技術が、様々な仕組みに取り込まれていくと考えるのが妥当でしょう。 どのように取り組むべきか、という点では、国内外400社以上のお客様とブロックチェーン構築した知見をもとにしたIBM Blockchain スタートアップ・プログラムを通じて、ノウハウを享受することが、ブロックチェーンに対するファーストステップの取り組みとして良いのではないかと考えます。 多数のブロックチェーン技術活用事例を保有する日本アイ・ビー・エム あらゆる企業で Blockchain の取り組みが検討されていると思いますが日本ブロックチェーン協会の会員でJBAブロックチェーン部門の日本アイ・ビー・エムでは「Hyperledger Fabric」の基盤を用いて、サプライチェーンや地方創生への取り組み、委託作業や契約締結の可視化など、多数事例(知見)があります。 日本アイ・ビー・エムではIBM Cloudサービスである「IBM Blockchain Platform」の提供を通じて、「開発」「ガバナンス」「運用」までを包括したソリューションの提供が可能であり、具体的には「分散台帳(*1)」、「スマート・コントラクト(*2)」、「合意形成(*3)」、「暗号技術(*4)」の機能などを通じて、IBM Cloud 経由で本番利用に求められるシステム性能と高度なセキュリティーの提供をいたします。 (*1)分散台帳:取引履歴と資産の状況を保存し共有 (*2)スマート・コントラクト:取引ルールを規定し処理を自動化 (*3)合意形成:取引をシステム上で確定 (*4)暗号技術:匿名性や秘匿性レベルを選択して取引の安全性を確保および認証 まとめ 既に地方創生の分野で研究や実証実験に着手しているように、あらゆる分野でブロックチェーン技術の活用が広がってくると考えられます。 自動車や建設業界においては複数企業との連携で製造や建設が成立しているため、現場で取り扱うデータの管理という点でも有益な技術になります。 透明性という観点では、IoTとの連携による第一次産業でも活用されるだけではなく、増々 企業や各国での研究(取り組み)が盛んになり、今までは考えがつかなかった取り組みが生まれてくる可能性があります。 最新技術だけではなく、あらゆる動向にアンテナを張り巡らし、市場の流れという点も意識することも重要ではないでしょうか。