【イベントレポート】IBM Bobが切り拓くエンタープライズITの未来〜AI主導の開発パートナー活用最前線〜
本記事では、弊社が5月27日に開催したオンラインセミナー「ここまでできる!〜IBM Bob活用最前線〜」のサマリーをお届けいたします。
本セミナーでは、単なるコード自動補完の枠を超え、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を包括的に支援する「AI主導の開発パートナー」であるIBM Bobに焦点を当てました。具体的な活用ナレッジから最新のモダナイズ手法まで、エンタープライズITの未来を切り拓く実践的なインサイトをご体感ください。
AI主導の開発パートナー「IBM Bob」の実力を紐解く
今年の「IBM Think 2026」で大きな話題を呼んだ「IBM Bob」は、すでに実活用のフェーズへと突入しています。本イベントでは、エヌアイシー・パートナーズおよび日本アイ・ビー・エムのテクニカルリーダーが登壇し、現場目線でのリアルな検証結果や、エンタープライズのシステム移行を劇的に効率化する最新手法が共有されました。
講演セッション
自社業務改善を進めて分かった、「IBM Bob」の実践的活用ナレッジ
【登壇者】
エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション推進部
佐野 肇
本セッションでは自社の「クライアントゼロ」の取組として、見積もりデータの取り込みや作成を行う実業務のツール改善において、IBM Bobを活用したリアルな検証結果を共有しました。
オープン仕様対応と国内データセンター開設が後押しするエンタープライズ利用
具体的な事例に入る前に、IBM Bobの特性について触れました。BobはMCP(Model Context Protocol)に加えて、Agents.mdやSkillsといったオープンな仕様に対応しており、特定のベンダー仕様に縛られないという特徴があります。また、まもなく日本国内のデータセンターが開設予定であること、さらに今後は数十年前のRPGやCOBOLをサポートする機能(Premium Package)の追加も控えており、企業がお持ちのレガシーシステムに対する課題を解決するための進化を続けていることが強調されました。
※6/30現在、日本データセンターは開設済み、Premium Packageもご提供開始しております。
ブラックボックス化したExcelマクロの可視化
Bobを使ってExcelマクロの解析を依頼したところ、Bobは自らスクリプトを作成してコードを抽出し、処理のステップをわかりやすく解説しました。また、追加で自分が知りたいことを質問をすることで非表示のテンプレートや特定セルへの書き込み内容など、人間が見落としがちな部分も含めて高い網羅性で仕様を可視化しました。
このように、コードや仕様を知らなくても、Bobによってどのような動きをしているのか、そのデータ項目は何なのか、を把握することができます。

パフォーマンスの劇的な改善(実行時間を1/3に短縮)
業務部門の担当者が実行に20〜30分かかっていたツールのパフォーマンスチューニングをBobに依頼した結果、優先度付きで6つの改善ポイントが提示されました。そのうち優先度の高い4つを実装したところ、サンプルデータの処理時間が60秒から19秒へと大幅に短縮され、300%のパフォーマンス向上という目覚ましい成果を達成しました。Bobからの返答は30分程度で得られ、チューニングのハードルが大きく下がることが示されました。
パフォーマンスチューニングは手間のかかる作業であり、Bobが支援することで容易にパフォーマンス改善できるというのは既存コードに対しても非常に重要かつ有用なことであることを共有しました。

プラットフォーム移行における精度の高い「壁打ち」
ExcelマクロからGoogle Apps Script(GAS)への移行においては、社内で利用中のSalesforceとの比較検討の壁打ち相手としてBobを活用しました。Bobは、Salesforceのガバナ制限(CPUやメモリの制約)とGASのCPU/メモリ、実行時間制限などの制約条件をクリティカルなリスクとして提示し、それぞれの環境においてどのぐらいのデータ量がこの制限の影響を受けるかを示しました。わずか1時間程度で有益なアドバイスを得られ、実際のデータ量を当てはめることでどちらが移行先として最適なのかを判断することができました。

開発工数を1/10に圧縮する圧倒的なスピード
WBSを引くと人間では約30営業日かかると見積もった実装やテストなどの作業を、Bobはわずか2.5日間で完了させ、該当作業において1/10の短縮を実現しました。要件定義や非機能要件の検討、セキュリティ設計など人間が担うべき領域を含めたプロジェクト全体で見ても、4割から5割の工数削減が見込めるという、非常に価値の高いインサイトが示されました。

IBM Bob × AMAで始める、Javaランタイムのモダナイズ
【登壇者】
日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部
野村 拓未 様
本セッションでは脆弱性を突いた攻撃の高速化や、2030年末に迫るJava 8のサポート終了といった背景から、Java 21や25などの長期サポートバージョンへの対応とランタイムのモダナイズが急務であることを指摘しています。
クラウドネイティブ環境に最適な「WebSphere Liberty」
移行先のランタイムとして紹介された「WebSphere Libertyランタイム」は、軽量かつ高速に起動し、自動化やクラウドネイティブ環境に適合する設計となっています。それに加え従来のJava EE仕様にも対応しているため、既存のアプリケーション資産や開発者のスキルを活かしたままスムーズに移行できるという大きな強みがあります。

移行支援ツール「AMA」による既存環境の移行支援
従来型のJavaランタイムからLibertyへの移行において絶大な威力を発揮するのが、IBMが提供している移行支援ツール「Application Modernization Accelerator(AMA)」とIBM Bobを組み合わせたソリューションです。リモートサーバーに配置したディスカバリーツールが既存環境をスキャンし、依存関係を可視化した「移行計画ファイル」を自動生成します。

Bobを活用した安全な自動修正/移行支援
デモ動画では、生成された移行計画ファイルをBobにアップロードし、IDE画面上でソースコードを修正していく様子が紹介されました。Bobは簡単な処理をルールベースで自動変換した後、非互換の修正タスクを生成します。修正前後のコード差分が色分け(削除箇所は赤、追加箇所は黄色)で分かりやすく表示されるため、ユーザーは内容を確認・承認しながら安全にモダナイゼーションを実行できます。
また、リアルタイムで脆弱性を検知するセキュリティファーストなアーキテクチャは、エンタープライズ用途において非常に重要です。

移行後も続く継続的な運用開発の効率化
Libertyへの移行後もBobが活躍し続けます。新しいJavaバージョンへの継続的な追随支援、起動時間の高速化に向けたサーバー設定の最適化、さらには開発資産全体やログファイルを横断的に分析した迅速な障害原因特定など、運用と開発の双方において継続的な効率化が可能となります。

AMAの提供形態とリリース時期について
なお、今回紹介されたIBM BobのAMA連携機能(Premium Package for Java)は、2026年6月24日よりリリースされることが共有されました。移行支援ツール「AMA」については単体製品ではなく、WebSphere Application Server(WAS)の上位ライセンスであるEnterprise Application Runtimeの中のモダナイズツールとして提供されるため、トレードアップやアドオンによる導入が可能になります。

総括:属人化の解消からJava刷新まで、IBM Bobで実現するモダナイズ
本セミナーでは、ブラックボックス化しやすい「Excelマクロ」をIBM Bobで解析し、GAS(Google Apps Script)へ移行した実例を紹介しました。マクロの紐解きから移行までの時間を大幅に短縮し、さらにリスクの提示をはじめとする有益なアドバイスを受けながら安全に移行を進められたことは、IBM Bobが生み出した大きな成果です。
また、「IBM Bob × AMA」によるJavaランタイムのモダナイズにおいては、Java 8のサポート終了問題に対応しつつ、traditional WASを効率よく安定的にWAS Liberty へ移行できるアプローチを紹介しました。基幹システムで採用されているが故に、なかなかモダナイズに足を踏み入れられなかったユーザー様へ、新しい革新をもたらすアイデアとなったはずです。
IBM Bobは、身近なツールの改善から基幹システムの刷新まで、幅広いモダナイゼーションを強力に加速させます。
同様のお悩みを持つパートナー様、または既存システムのモダナイズにお悩みのパートナー様は、ぜひお気軽に弊社にお問い合わせください。
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エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術企画本部
E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp