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コラム

複雑化した業務を効率化し、個人の生産性をアップするためにAIができること ~AIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」とは~

私たちは日々の業務の中で様々なシステムや複数のアプリケーションを活用し、多数の自動化ツールを使って業務をこなしています。しかし、複数のツールが独立して存在しシステム間の連携に負担を強いられているのであれば、本当の意味での業務の効率化とはいえません。

今回は、業務効率化に対して AI ができることとは何か、その効果について解説するとともに、自然言語処理を使用し従業員の意図を理解して作業をサポートすることで複雑な作業を自動化・効率化する、IBM の AIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」をご紹介します。

「部分最適」が従業員の業務効率化を阻む

1990年代以降、世界は PC の誕生および普及とともにコンピューターの歴史上大きな転換点となった「オープンシステム全盛時代の自動化」に突入し、PC とオープンシステム、インターネットの登場と普及は事務処理の速度や柔軟性を向上させました。

オープンシステム全盛時代の自動化では、ジョブ管理や資産管理、インシデント管理、データ活用など、それぞれのエリアに対する最適化を目指し、業務のシステム化およびアプリケーション・パッケージによる自動化が行われました。しかし、同時にそれは「部分最適」であるがために、システムが追加されるごとに人手による業務が発生し、実際に運用する従業員の業務を増加させました。

例えば、様々なシステムやアプリケーションを導入した結果、社内に複数の自動化ツールが乱立するようになり、従業員がそれらの扱いを理解するための負担や操作の手間が増えて思うように生産性を上げられないといったケースがあります。

社内に次々と導入される新たなシステムによる様々な自動化ツールが従業員の負担を増し、それが効率化を阻む要因にもなっていたのです

企業内に残された自動化されていない業務

”業務の自動化”は、企業が取り組むべき課題の上位にランクインしています。

2022年8月に公開された ITR のホワイトペーパー『業務自動化に向けた国内企業の現状と展望』*1 によれば、業務自動化をテーマにした国内大企業(年商規模500億円以上)の部長級以上の役職者に対するアンケート調査の結果、”業務の自動化” を最重要事項と認識している回答者の割合は45%と、”コミュニケーション/コラボレーションの高度化” に次ぐ2番目に高い値を示しています。

DXテーマの重視度(最重要課題と認識している割合)
図1. DXテーマの重視度(最重要課題と認識している割合)

*1. 出典:ITRプレスリリース「ITRがホワイトペーパー『業務自動化に向けた国内企業の現状と展望』を発行 – 目的に即した自動化テクノロジの選定アプローチを解説」(2022年8月18日)

一方で、自動化から取り残されている業務もあります。

例えば、定常的に行わない処理や例外処理、さまざまな認証情報の管理やログイン、システム間でのデータのコピー、反復的な作業など、手作業中心のプロセスや紙・Eメール・表計算ソフトなどからなっている業務、複数システムが必要で処理が煩雑な作業などがそれに当たります。

これらは本来、もっとも自動化したい中位・低位のスキルやリソースで対応可能な業務が自動化から取り残されている要因の1つとして、RPA をはじめとする既存の自動化技術の決定的な弱点である「柔軟性の欠如」があります。
状況によって判断が必要な業務の自動化を事前定義するのは、一定の ITスキルがあっても難しいことです。加えて、たとえ複雑な処理を定義して業務を自動化できたとしても、得られるメリットとコスト・手間を比較した時、それらは「費用対効果が低い」と評価されがちです。

そのような理由で、自動化されないまま企業内のあちこちに残ってしまっている業務が数多く存在します。

複数のアプリによる「部分最適」な自動化を「全体最適」する「エージェント型AI」

企業における業務の自動化を実現する方法として注目されている手法に、ハイパーオートメーションがあります。

ハイパーオートメーションとは、RPA、AI、機械学習(ML)、ローコード/ノーコードプラットフォームなど、様々なテクノロジーとツールを組み合わせてビジネスプロセスやタスクを実行し、複数の部署にまたがるものも含めた業務プロセス全体を自動化・最適化する概念です。
RPA よりも高度で範囲の広い業務の自動化が可能なため、組織の効率化や俊敏性の向上、イノベーションの加速、ビジネス成果の改善を目指す包括的なプロセス改善において、その効果が期待されています。

その中において、これまで手がつけ難かった個人の業務を効率化するツールとして注目されているのが、「エージェント型AI(Agentic AI)」です。

エージェント型AI は、ユーザーが目標をインプットすることでルールベースのアルゴリズムや機械学習モデルを用いて意思決定を行い、適切な行動を選択し、人間の介入なしに特定のタスクを実行することが可能な自律型インテリジェントシステムです。
例えば、反復的なタスクを AIエージェントに任せることにより、仮想労働力として仕事を補強して人の作業負荷を軽減し組織全体の生産性を向上させ、個々人がよりコアな業務に集中することを可能にします。

Gartner社は、2025年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド*2 における3つのカテゴリの一つとしてこの「Agentic AI」を取り上げています。

*2. 出典:Gartner社サイト「Gartner、2025年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表」(2024年10月28日)

複雑な作業を自動化・効率化するAIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」

生成AI を活用して業務をサポートし、複雑な作業を自動化・効率化するのが、IBM の AIアシスタント(エージェント型AI)「watsonx Orchestrate」です。

watsonx Orchestrate は、自然言語を用いてユーザーと様々なシステムやアプリケーションの間に入り、事前定義された「スキル」と呼ばれる自動化のタスクで外部の API を呼び出し、これまで人間にしかできなかった柔軟な処理を実行してシステム化の対象外だった日常業務を支援します。コンシェルジュのように様々な業務の相談に対応し、ユーザー一人ひとりの「アシスタント」として一緒に仕事を進めてくれます。

そのプロセスは、

  1. 相互作用する:
    ユーザーがwatsonx Orchestrateのチャット機能で対話すると、watsonx Orchestrateがユーザーの意図や要求を理解し、業務を把握する上で必要な情報を把握する
  2. 考える:
    把握した意図の実現に必要なプロセスを自動的に考える
  3. 実行する:
    必要な処理の流れを自動的に判断して実行する

というもので、自動化で求められる「相互作用する」「考える」「実行する」という人間の認知能力を watsonx Orchestrate が代替します。

watsonx Orchestrateの仕組み
図2. watsonx Orchestrateの仕組み

watsonx Orchestrateの特長とその効果

watsonx Orchestrate の特長を3つにまとめてご紹介します。

1. 自然な対話形式で操作が可能

1つ目のポイントは「自然な対話形式」です。

watsonx Orchestrate は、関連キーワードや口語を入力することで簡単にスタートさせることができます。人と話すようにチャットするだけで操作でき、ユーザーと相互作用することで双方向に対話し、必要な処理の呼び出しや次に行う処理を提案してくれます。

例えば、”経費精算をしたい” ”営業日報・議事録を作成したい” といったことをチャットで指示するだけで、watsonx Orchestrate が「業務における疑問に対して解決策を提案」し「業務を代行」してくれます。

対話型AI とオートメーション機能を備え、仕事のやり方を変革しながら生産性向上やコスト削減、アジリティ向上を実現し、大切な業務により多くの時間を割くことが可能になります。

2. 多様なアプリとの連携が可能

2つ目のポイントは、多様なアプリとの連携が可能であることです。

基幹システム、ERP、外部サービスなどに対する操作を、watsonx Orchestrate に登録した「スキル」を呼び出すことで実行します。watsonx Orchestrate では標準機能として Salesforce や Box のような「業務アプリ」がスキル・カタログに「プリビルド・スキル」として登録されているため、導入後すぐに利用することができます。
現在40のアプリケーションと1000以上のスキルを利用でき、今後も順次ラインナップの強が予定されています。

これらのスキルを組み合わせてフローとして構成したものを「スキルフロー」と呼び、スキルを組み合わせて1つの一連のスキルとして利用することができます。

また、スキルとして生成AI を呼び出すことにより、メールや申請書、議事録の文章の要約や作成などの様々な処理も実行してくれます。watsonx Orchestrate に搭載された IBM の生成AI は AI for Business を念頭にオープンソースでライトな LLM(大規模言語モデル)となっており、ビジネスユースに最適化されています。

さらに、OpenAPI に準拠したサービスと接続できるため、OpenAPI の定義ファイルを作成しインポートすればスキル・カタログに登録が無い外部アプリも「カスタム・スキル」として容易に取り込むことができ、これまで使ってきたアプリも簡単に watsonx Orchestrate上で操作することが可能です。

3. ローコード・ノーコードで簡単設定

3つ目のポイントは、「ローコード・ノーコード」で簡単に設定が可能なことです。

watsonx Orchestrate では自動化する業務プロセスを定義する際、コーディングを行うことなく処理を組み込むことができます。

例えば、複数の手続きやその変更、関連部署への連携を行うためには、複数システムの連携による業務の自動化が必要ですが、これに対してもwatsonx Orchestrateは、スキルの選択から、情報の抽出、関連部署の担当者へのメールの作成・送信まで、各業務処理の一連のワークフロー設定をすべてグラフィカルな設定画面で行うことができ、ノーコードで編集可能な GUI となっています。

わかりやすい設定画面から最小限の編集を行うことで、様々な業務処理を自動で実行するワークフローを構築することができます。

また、スキルと自動化機能を構築するための「スキル・スタジオ」を使用すれば、部門の専門家が独自のカスタム・スキルとワークフローを迅速かつ容易に構築でき、さらにカスタマイズ版の AIアシスタントを作成できるため、人事や財務、営業、調達など、企業の様々な職務に役立ちます。

まとめ

エヌアイシー・パートナーズは IBM ソフトウェアおよびハードウェアの認定ディストリビューターとして、watsonx Orchestrate だけではなく、watsonx.ai をはじめとした watsonxシリーズの支援が可能です。

お客様のニーズや要件に合わせて IBM の SW と HW を組み合わせた最適な提案へのカスタマイズを支援するとともに、IBM製品の特徴や利点をわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案をサポートいたします。

「お客様に業務自動化を勧めたい」
「watsonx Orchestrateについて詳しく知りたい」
「watsonx Orchestrateをはじめとしたwatsonxシリーズを絡めたセールスを支援してほしい」

といったご要望があれば、いつでもお気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。

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