2023年07月

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アプリケーションサーバーのデメリットを克服し、新しいトレンドに対応したWASの現在と未来

2023年、IBMの主力製品である「IBM MQ」「Db2」および「WebSphere Application Server」が、それぞれ30周年と25周年のアニバーサリー・イヤーを迎えました。
この3製品は IBM のソフトウェアの歴史の中でも特に長い活躍の歴史を持っています。

その最大の特長は、既存の業務アプリケーションを保護しながら常に最適化や運用費用の削減、DX・UX の向上を目指して新しいアーキテクチャーや標準技術を導入し続けてきたことにあります。
これによりアプリケーションの近代化やクラウド移行への要望にも柔軟に対応し、現在に至ってますますその存在感を増しています。

その中でも特に注目すべき製品が、通称 WAS と呼ばれる「IBM WebSphere Application Server」です。
WAS は、業務アプリケーションの既存資産を守りつつアプリケーションサーバーの持つデメリットを克服し、Java EE 8 / Java 11 や MicroProfile への対応、コンテナ対応の強化など、お客様の様々な環境に合わせて進化し続けてきました。

本コラムでは、この WAS の現状と将来の展望についてご紹介します。

WASの歴史

25年にわたりJava EEサーバーをリード

WAS は、Webアプリケーションをホストする APサーバーの IBM の主力となる製品です。
WebSphereブランドの中核をなす製品として1998年の発表以来現在に至るまで継続的に進化し、Java EEサーバーをリードする存在として業界技術への継続的な対応と信頼性・管理機能の強化、製品戦略に基づく一貫した機能拡張を続けてきました。

近年、企業は “アプリケーションの最適化”“運用費用の削減” に焦点を当てる新たなアーキテクチャーや標準技術の実装を求めています。
同様に、“アプリケーションのモダナイズ” や、マルチクラウドやハイブリッドクラウドへの対応を迅速かつ安全に実現するための “クラウドネイティブ化” にも関心が高まっています。

これらの要求に応えるために WAS が活用されており、Java EEサーバーのリーディングプロダクトとしての地位を堅持し続けています。
さらに将来においても、WAS は競争力のあるシステムを構築するための最新鋭ソリューションとして役割を果たすことが期待されています。

WAS年表

図1:WAS年表

アプリケーションの最新化戦略をサポート

現在、企業の IT部門には競争力を高めるためのビジネス戦略が求められています。
その中でアプリケーションやサービスの開発を迅速化するためには、アプリケーションの最新化に合わせた反復的なアプローチを提供するソリューションが重要です。

これらのソリューションは、ビジネスニーズやアプリケーションの複雑さに即応して ITインフラ管理の対応を迅速化することで、変化の速い現在の市場に対応した製品の導入や更新を行うことができます。
また、信頼性のある既存のソフトウェア投資やインフラストラクチャーを活用することも重要です。そのためには、新しいテクノロジーの採用だけでなく組織のペースに合わせた制御と実装も必要です。

さらに、企業がビジネスの俊敏性と速度を向上させるためには、アプリケーションを素早く組み立てるための再利用可能なコンポーネントが必要です。
このアプローチには次のような技術と環境を提供するアプリケーションプラットフォームが必要となります。

  1. モジュラーなアーキテクチャー
  2. 次世代の統合技術
  3. クラウドファーストおよびモバイルファーストのマインドセット
  4. ハイブリッドな環境でのシームレスな移植性

こうした要件に最も適しているのが WAS です。
IBM は WAS を通じて、次にご紹介する2つのランタイムを提供しています。
これにより、お客様の既存の資産を活用しながらビジネス変換の基礎となるアプリケーションの最新化戦略をサポートしています。

WASの現在

2つのランタイム

WAS は1998年の初リリース以来、数多くのバージョンアップを経て進化し続けてきました。

既存資産を活用するための従来の「WebSphere Traditionalランタイム」に加え、2012年にはモダンなアプリケーション開発とサーバー運用に対応した「WebSphere Libertyランタイム」が登場します。
WebSphere Liberty は、更新頻度の増加(年4回から12回)、Java EE 8 / Java 11 への対応、MicroProfile対応、コンテナ対応など、お客様の要求に合わせて進化し続けています。

つまり WAS は、最も長い歴史を持つアプリケーションサーバーでありながら、最新の技術も取り入れた最新のアプリケーションサーバーでもあるのです。

WebSphere Traditional は、従来の運用を継続したいお客様に、”JAX-RPC” や “Entity Bean” などの古い API を使用しているアプリケーションの実行環境として活用されています。
そのため、Java EE 7 / Java 8 に対応した最新の実装が最後のバージョンとなり、今後は新機能の実装や新しい仕様への対応は行われません。
ただし、8.5.5/9.0.5 に対する標準サポートは少なくとも2030年まで延長される予定です。

一方 WebSphere Liberty は WebSphere Traditional とは異なる設計思想を持ち、モダンなアプリケーション開発とサーバー運用に特化しています。2017年にオープンソース化され “Open Liberty” としても知られています。

Open Liberty にはオープンソースのソフトウェアのライセンスの1つである “EPL(Eclipse Public License)” が採用されており、拡張されたソースコードの公開義務がないため、ビジネスにおいても使いやすいのが大きな特長です。
そのため新機能は Open Liberty で開発され、IBM はこれをベースに製品版である WebSphere Liberty として提供しています。

WebSphere Libertyランタイムのメリット

WebSphere Liberty はオープンソースの Open Liberty で開発されているため、継続的な統合と配信により、ビジネス価値を提供するアプリケーションを高速でデプロイできるように設計されています。その構成は非常にシンプルであり、自動化やコンテナ化に適しています。

WebSphere Liberty のもう一つの大きな特長は、機能が “Feature” としてモジュール化されていることにあります。
これにより、必要な機能だけを有効化できるだけでなく、わずか数秒で起動できるランタイムのサイズ(数十MBのメモリ消費と100MB以下)によって需要に応じて環境を柔軟に構築することができます。

また、軽量さを活かした Agile開発や継続的デリバリー(CD)、自動化された運用や DevOps(Platform as a Code / Immutable Infrastructure)に対応することも可能です。
そのため、クラウド環境やコンテナ環境、リソースが限られた限定された IoT環境に最適だといえます。

さらに、WebSphere Liberty独自の機能として “ゼロマイグレーションポリシー” があります。
WebSphere Liberty はオープンソースの “Open Libertyプロジェクト” に基づき、年に12回の頻繁な更新に頻繁な更新(年に12回)によって常に最新の状態を保っていますが、その一方で古いバージョンのモジュールも提供し続けています。
これがゼロ・マイグレーション・ポリシーと呼ばれる機能で、新しいバージョンの仕様が提供されても古いバージョンのモジュールも提供し続けるため、構成ファイルのバージョンを変更することなく古いバージョンのフィーチャーを利用することが可能です。
このゼロマイグレーションポリシーは、Java EE から Jakarta EE への移行にも大きな効果を発揮します。

WebSphere Libertyのメリット

図2:WebSphere Libertyのメリット

WASのこれから

最先端のソフトウェア・ベンダーおよびオープン・ソフトウェア・コミュニティーとの連携でさらに進化

Java EE は2018年に「Jakarta Enterprise Edition(Jakarta EE)」に名称変更されました。
しかし、Java EE / Jakarta EE は今後もクラウド・ネイティブの基幹業務アプリケーションのデプロイメントや開発者のスキル向上において重要な役割を果たし続けるでしょう。

IBM は Jakarta EE をサポートする WAS の将来のリリースを提供する予定を表明する一方で、クラウド・ネイティブの世界向けにビジネスアプリケーション開発を加速するために Java EEテクノロジーを Eclipse Foundation に移行する取り組みも行っています。
これにより、最先端のソフトウェアベンダーやオープンソフトウェアコミュニティと連携し、さらなる進化を遂げる考えです。

Eclipse MicroProfileをサポートし、マイクロサービス・アプリケーションにも対応

WAS はさらに、”Eclipse MicroProfileプログラミングモデル” をサポートしています。
これは、マイクロサービスアーキテクチャーを採用する際に必要な機能を多数のベンダーで標準化する取り組みです。
そのため、WAS はマイクロサービスアプリケーションに最適な Java EEプラットフォームとしても活用されています。

バージョン19.0.0.1以降では OpenJDK(11.0.2以降)を使用した OpenJ9 を活用し、Java SE 11 もサポートしています。
WebSphere Liberty はクラウドに適した軽量かつ高速な起動性能を維持しながらプログラミングモデルの追加や DevOpsワークフローとの簡単な統合を通じて機能を拡張してきたため、最新のアプリケーションデリバリー・ライフサイクルを短縮するだけでなくオンプレミス環境にも容易にデプロイでき、適切な構成でサブキャパシティライセンスを適用できるのです。

WebSphere Liberty は Java EE / Jakarta EE に対応しながらも従来のアプリケーションサーバーのデメリットを克服し、新しい流れである MicroProfile や Spring Framework にも対応できる柔軟なランタイムです。
この多様な要件に対応できる万能な実行環境は多くの技術者にとって非常に重要な存在となっており、国内での WebSphere Traditional からの移行実績が増えています。

25周年おめでとうございます

この25年間、WAS は多くの企業の業務プロセスやアプリケーションの開発に貢献し、現在もなお企業のビジネスの発展に欠かせない存在でい続けています。
一方世界では、デジタルトランスフォーメーションの時代とともに AI や IoT、クラウドコンピューティングをはじめとする多数の新しいテクノロジーが登場し、企業のビジネスプロセスが劇的に変貌し始めました。

WAS が引き続き利用される理由は何でしょうか?

まず第一に挙げられるのは “高い安全性” です。多数の企業にビジネスプロセスにおける基幹として現在に至るまで使用されて続けていることが、そのことを十分に証明しています。
また、“他のテクノロジーとの相互運用性に対する強力なサポート” も WAS の魅力であり、“常に発揮し続ける高いパフォーマンス” も、WAS が活用され続ける大きな理由です。

高度なスケーラビリティと信頼性に優れた WAS は、企業のビジネスにおけるデータ処理やアプリケーションの展開において、将来も軽快なパフォーマンスを保ち続けるでしょう。

エヌアイシー・パートナーズは IBM の認定ディストリビューターとして、WAS の長年にわたる信頼性と高いパフォーマンスを称えて25周年を祝し、今後も WAS が高性能のアプリケーション・サーバーとして企業を支援し続けることを強く期待しています。

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2025年12月24日

【イベントレポート】Automation テクニカルワークショップ第一回 開催しました

公開日:2025-12-24 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの和田です。 2025年11月26日に「Automation テクニカルワークショップ」第一回を開催しました。 本ワークショップは、2025年7月および9月に実施した「watsonx Orchestrate ハンズオンセミナー」に続く取り組みとして、IBM Automation製品群の中で弊社が注力しているAIOpsソリューションを中心に企画検討し、利用イメージがつきやすいInstanaのハンズオンを実施しました。 ハンズオンだけでなくワークショップ形式でのセッションを通じて、ITシステム運用の現場で直面する課題をどのように解決できるのか、Instanaを活用した具体的な方法を参加者同士が議論しました。また、セッションの最後には各チームごとに成果を発表・共有する場を設け、Instanaに対する理解を深めるとともに、参加者間の交流を促進することを目的としました。 本ブログでは、このテクニカルワークショップの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 ワークショップアジェンダ Instana概要 Instanaハンズオン グループワーク まとめ お問い合わせ ワークショップアジェンダ ワークショップのアジェンダについては以下の通り実施いたしました。 IBM AIOpsソリューション概要 Instana 座学 Instana ハンズオン Instana最新情報 グループワーク IBM AIOpsソリューション概要では、IBMが取り揃えているAIOpsソリューションのラインナップと利用シーンをご紹介し、その中でもお客様のROIが高いお勧めのソリューションをピックアップしてご紹介しました。 また、Instana最新情報ではIBM様にご登壇いただき、DBMarlinとの連携やAIでの監視支援、LLMのトークン数を収集できる機能など最新アップデート情報をご紹介いただきました。 Instana概要 Instanaについては過去にこちらの記事でご説明しております。 今回はInstanaのAgentを導入することからハンズオンで実施しますので、Instana Agentがどのようにデータを収集するかについてご説明します。 InstanaはAgentのセンサー機能が監視対象を自動検出してデータ収集します。 Agent自体がセンサー機能を持っているわけではなく、Agentインストール後にセンサー機能をインストールし、そのセンサー機能で各コンポーネントを検出しデータを収集しています。 Instana Agentは収集したデータをInstana バックエンド(SaaSもしくは自己ホスト)に送信します。   Instanaハンズオン Instana Agentの導入からInstanaでの情報確認、障害発生時のエラー発生箇所確認をハンズオンで体験頂きました。 実施内容 環境の説明/ログイン Instana Agentのインストール インフラストラクチャー情報確認 アプリケーション設定/アプリケーション情報確認 アラートチャネル作成/アラート設定 障害注入/エラー発生箇所確認   今回のハンズオンではサンプルアプリケーションを導入してあるサーバーを参加人数分ご用意したので、参加者の方々全員がInstana Agentの導入を体験いただけました。 ハンズオンではInstana Agentの導入を行うためCLIでサーバーにログインいただきました。 普段CLIを利用されないかたもいらっしゃったのでログインに苦戦された方もいましたが、AgentのインストールはLinuxの場合ワンライナーで導入できるため、Agent導入はスムーズに行えてました。 実際にAgent導入したサーバの情報やアプリケーションの情報をみていただくことで、Instanaではどういった情報が表示されるのか、どういった操作感なのかを体験していただけました。 また、サンプルアプリケーションにエラーを発生させるスクリプトもご用意しましたので、実際にエラーが起きた場合正常時と比較しどのように見えるか、アラート設定をした場合、どのような通知がくるのかを体験いただきました。 その他のハンズオンについて詳しく知りたい方は、ブログの最後に記載している「お問い合わせ」までお気軽にご連絡ください。 グループワーク 今回、ハンズオンだけでなくITシステム運用の現場における課題を洗い出し、それらの課題を解決する手段としてInstanaがどう使えるかという観点でチームに分かれてグループワークを行いました。 1チーム4,5人の合計3チームに分かれてNI+C Pメンバーがファシリテートしながらアイディア出し・ディスカッションを行いました。 当日上がった課題及びInstanaを活用することで改善できることをいくつかピックアップします。 運用の属人化がおきている 障害原因の特定までをInstanaがガイドしてくれるためどんな人でも対応できる ログの分析に時間がかかる Instanaの画面上でログの確認・分析ができるため時間短縮できる ご参加して頂いたパートナー様が携わっていらっしゃる業務や、業務の経験年数が異なることより多様な意見が出ておりました。 アドバイザーで参加いただいたIBM様も含め、各チーム貴重な意見交換をできるグループワークとなりました。 グループワークの感想について、「他の会社の意見が聞けてよかった」や、「Instanaを利用するシーンがより理解できた」といったような意見をいただきました。 まとめ このたび、Automation製品に関する初めてのワークショップを無事に開催することができ、安堵しております。 ご参加いただいた皆様からのアンケートでは、「はじめてInstanaに触れましたが、実際に障害が発生した際の挙動を見ることができたうえ、他社の方々との交流や意見交換の機会もあり、大変有意義な時間となりました」とのご意見をいただきました。このようなお声をいただけたことで、準備を重ねてきた甲斐があったと感じ、心より嬉しく思っております。 今後も、製品を実際に体験いただけるハンズオンや、参加者同士が交流・情報共有を行えるワークショップを継続的に開催してまいります。ご興味ある方は是非ご参加いただけますと幸いです。 また、「こんなことをやってほしい」「この製品を使ったワークショップをお願いしたい」といったご要望がございましたら、ぜひお気軽にお聞かせください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2025年12月24日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateでAIエージェント開発してみた(Part1)

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 8月は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateのADKを使ってみた」でADKの操作感や感想をご紹介しました。今回は、2025年6月のアップデート後のwatsonx OrchestrateのUIからエージェントを開発し、操作感や感想を2回に分けてご紹介いたします。なお、Part2ではエージェントのデモ動画もご紹介する予定ですのでぜひご期待ください! 目次 はじめに サンプルエージェントのシナリオ サンプルエージェント開発 さいごに お問い合わせ はじめに 6月のアップデートで、watsonx Orchestrateはメニュー構成・操作方法・機能名称が変更されました。例えば、従来「Skill」と呼ばれていたものが「Tool」に変更されています。Toolとは、AIエージェントが呼び出して実行するアクションの部品と考えて頂ければと思います。ユーザーがチャットへ自然言語で問い合わせると、AIエージェントは内容に応じて適切なツールを選択して実行します。これにより、生成AIによる要約や抽出などのテキスト処理だけでなく、外部システムやサービスと連携した処理も行うことができます。 その他の変更点については、「【イベントレポート】watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ第一回 開催しました」内でもご紹介していますのをご参照ください。 サンプルエージェントのシナリオ サンプルエージェントのシナリオは、企画担当者が在庫商品を参照し、在庫情報に基づいて顧客へキャンペーンメールを送信する作業を想定しています。 通常は、担当者が在庫情報を確認するためにデータベースへログインし、目視でキャンペーン対象商品を選定したうえでメールの文面を作成することが想定されます。キャンペーンメール送信対象はSFAなどのシステムで確認し、メールツールを利用して送信します。振り返ると、データベース・SFA・メールツールと複数のシステムを利用し、対象商品の選定やメール内容を人力で考える必要があるため、作業は煩雑で時間と労力を要します。 watsonx Orchestrateを導入すると、AIエージェントが在庫情報と顧客情報の取得し、在庫の多い商品のキャンペーンメール文面をAIが作成し、メールの作成・送信までを一気通貫で実行することが可能です。 サンプルエージェントの開発 それではサンプルエージェントを開発します。開発ではIBM Cloud 上の watsonx Orchestrate、メールツール(Brevoに弊社アカウントを紐づけて利用)、SFA の Salesforce(弊社 Sandbox 環境)を利用します。 本記事Part1では図のピンクで囲った部分「Salesforceから顧客情報を取得」と「在庫情報の取得」をご紹介いたします。 watsonx Orchestrateへログイン・環境のご紹介 watsonx Orchestrateへのログイン方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part1)」をご参照ください。ログインすると下記のチャット画面に入ります。作成したAIエージェントをデプロイすると、このチャット画面から問い合わせをすることができます。 左上のメニューバーをクリックします。一番上の「Chat」をクリックすると前述のチャットインターフェース画面に遷移します。「Discover」をクリックするとwatsonx Orchestrateに事前定義されたエージェントやツールのカタログをみることができます。 「Discover」内の事前定義エージェント、ツールを簡単にご紹介します。TypeをAgentsに絞ります。事前定義エージェントとは、特定のシステムとの接続が定義されたエージェントが提供されており、環境接続設定を行うとすぐ利用することが可能です。(watsonx Orchestrateのプランによっては追加費用がかかるエージェントがございます。) TypeをToolsに絞ると特定システムで利用できるツールが提供されています。下記画面はSalesforceで利用できる事前定義ツールの一覧です。今回はSalesforceから顧客情報を取得するため「List accounts in Salesforce」と「List contacts in Salesforce」のツールを使用します。ツールの機能は下記になります。 List accounts in Salesforce:ユーザーの入力に基づき、Salesforceからアカウント情報を表示 List contacts in Salesforce:ユーザーの入力に基づき、Salesforce からアカウントの連絡先を表示 Salesforceとの接続設定 Salesforceの事前定義ツールを用いてエージェントが顧客情報を取得できるようにするため、はじめにSalesforceとの接続設定を行います。 1. Salesforce側設定(コンシュマー鍵と秘密鍵の生成) Salesforceへログインし、設定>外部クライアントアプリケーション>外部クライアントアプリケーションマネージャーをクリックします。コールバックURLは「https://ご使用リージョン/mfe_connectors/api/v1/agentic/oauth/_callback」と設定します。OAuth範囲は下記画面の通りを設定します。 コンシュマー鍵と秘密鍵をクリックし、生成されたコンシュマー鍵と秘密鍵をメモをしておきます。Salesforceの設定は以上です。 2. watsonx Orchestrate側設定(接続設定と接続確認) watsonx OrchestrateのメニューからManage>Connectionsをクリックします。 接続設定の一覧が表示されるのでSalesforceを探し、鉛筆マークをクリックします。 下記画面が表示されます。Draft環境、Live環境と環境を分けて設定することができます。今回はDraftで設定します。各項目には以下を値を入力します。 Server URL:Salesforce環境のURL TokenURL:Salesforce環境のURL/services/oauth2/token Authorization URL:Salesforce環境のURL/services/oauth2/authorize ClientID:Salesforceで取得したコンシュマー鍵 Client Secret:Salesforceで取得した秘密鍵 下にスクロールし、Credential typeを選択します。Member credentialsにするとユーザーは個人の認証情報を使用してアプリケーションにアクセスできます。ここではTeam credentialsにし、チームメンバーが資格情報を使用してアプリケーションにアクセスできるようにします。最後にConnectをクリックします。 Webブラウザが開き、Salesforceのログイン画面が表示されます。ユーザ名、パスワードを入力してログインします。 watsonx Orchestrateの画面に戻り、Connectedとなっていることを確認しSaveします。 下記の様にConnectされている状態で緑のチェックがついていることを確認します。 Salesforceとwatsonx Orchestrateの接続設定は完了です。 Salesforceの事前定義ツール構成 それではエージェントを作成し、Salesforceから顧客情報を呼び出すツールをエージェントに構成していきます。 メニューのBuildをクリックします。 Create agent +をクリックしてエージェント作成画面に入ります。 Nameには任意のエージェント名、Decriptionはエージェントの説明を入力します。最後にCreateをクリックします。 下記画面が表示されます。エージェントが使用するモデルを選択します。2025年12月時点はllama-3-2-90b-vision-instruct(Default)、llama-3-405b-instruct、GPT-OSS 120B-OpenAI(via Groq)が利用できます。Agent Development Kitからは外部のLLMを紐づけることも可能です。弊社環境はgpt-oss-120bを紐づけています。今回はGPT-OSS 120B-OpenAI(via Groq)を指定します。 下にスクロールします。Welcomeメッセージとクイックスタートプロンプトを設定することができます。今回はデフォルトのままにします。 Agent Styleを設定することができます。Agent styleとはユーザの要求に対してどのように理解、決定、タスクを完了するか定義するものです。現在は DefaultとReActの2種類から選択することができます。今回はDefaultを指定します。 なお、Voice modalityではユーザとのコミュニケーションに音声を利用することができますが、今回は利用しません。 KnowledgeはエージェントでRAGを実装することができます。後程設定します。 エージェントが使用するツールを設定します。Toolset欄のAdd tool+をクリックします。 以下画面が表示されるのでCatalogをクリックします。 Appsの中からSalesforceにチェックを入れます。右側にエージェントが使用できるSalesforceのツール一覧が表示されます。 List accounts in Salesforceを選択しAdd to agentをクリックします。同様にList contacts in Salesforceも追加します。 Toolsetの画面に戻ると以下の様にツールが登録されています。 Behaviorのセクションまで下にスクロールします。Behaviorではエージェントがユーザの要求に対してどのように反応し、応答するか振る舞いを定義します。以下のように振る舞いを定義します。 ここまで設定したところでエージェントの動きを確認します。検証ではデプロイはせず右画面のPreviewから確認したいと思います。 チャットに「アカウントリストを教えて」と入力します。しばらくするとエージェントが登録したList accounts in Salesforceを使用してSalesforceからアカウント情報を取得、回答してくれました。(企業名は検証用に疑似的に作成しています) 次に担当者の連絡先を知りたいので、チャットへ「D&Gソリューションのコンタクトリストを表示して」と問い合わせます。しばらくすると、エージェントが指定した企業名をキーに「List contacts in Salesforce」を実行し、担当者名と連絡先を回答してくれました。このように、ツール自体はSalesforceからアカウント情報やコンタクトリストを取得する機能ですが、チャットで指定した企業名をキーとして、エージェントが絞り込んで回答することができます。 Salesforceの事前定義ツールの構成は完了です。 Knowledgeの構成 エージェントが在庫データから情報検索できるようにKnowledgeを構成します。2025年12月時点、構成できるデータソースはwatsonx.dataのMilvus、Elasticserch、AstraDB、カスタムサービス、watsonx Orchestrateへ直接アップロードの6つです。ここではサンプルのCSVファイルを用意し、直接watsonx Orchestrateへアップロードします。 Knowledgeセクションまでスクロールし、Add source +をクリックします。 New knowledgeをクリックします。 Select sourceからUpload filesを選択してNextをクリックします。 CSVファイルをドラッグアンドドロップしてNextをクリックします。 NameにはKnowledgeの任意の名前を、Descriptionにはユーザーからどのような要求でKnowledgeを使用するかを入力します。最後にSaveをクリックします。 下記画面の通り、Knowledgeが作成されました。 PreviewからエージェントがKnowledgeを使用して回答できるか確認します。チャットから「在庫情報を表形式で回答して」と問い合わせると下記画面のようにKnowledgeのCSVファイルデータを参照して表形式で回答されました。 矢印をプルダウンすると参照先を確認することができます。 行数が多いため、「在庫の多い上位5件を表形式で回答して」と問い合わせます。しばらくすると数量の多い上位5件の商品を表形式で回答してくれました。在庫一覧の提示だけでなく、ユーザーの要求から、情報を絞り込んだ回答も可能であることが確認できました。 Knowledgeの構成は完了です。 さいごに Part1ではAIエージェントを作成し、Salesforce環境へ接続して事前定義ツールを用いて顧客情報を取得。さらに、在庫データをKnowledgeに構成してRAGを実装しました。 今回はSalesforceの事前定義ツールとして「List accounts in Salesforce」と「List contacts in Salesforce」を構成しました。各ツールはアカウントやコンタクト情報をリストする機能ですが、List accountsの結果をAIが受け取り、ユーザーが特定の企業を指定すると、その企業のコンタクト情報を回答できることが確認できました。また、Knowledgeでは在庫データを表形式で提示するだけでなく、在庫の多い上位5件の抽出などの絞り込みも可能で、エージェント的な振る舞いを確認できました。 Part 2では、在庫の多い商品を基にAIがキャンペーンメールを作成し、コンタクト宛に送信する機能をエージェントへ実装したいと思います! お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp     .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

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