2020年06月

05

全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要

こんにちは、IBM でストレージ・ソリューション・セールスのパートナー様向け技術支援を担当している岡田です。
今回は IBM の最新情報を交えつつ、IBM のストレージ製品の概要をご紹介させていただき、次回以降でその詳細に触れていきたいと思います。

 

はじめに

皆さんはどのくらい IBM のストレージ製品にご興味がおありでしょうか?

興味のあるなしに関わらず、多くの方は知らず知らずのうちに IBM や他のメーカー のストレージ上に様々なデータを書き込んでいることでしょう。ストレージの使用は、あえてデータを保管しようとせずとも無意識に行なっているものです。

 

例えば…

例えば、コンサートやイベントのチケットなどのケース。
発売当日は予想を超えるアクセス数がありますね。昔ならサーバーを増強してサーバーがパンクしないように対策し、それでもなおかつ処理能力を超えてしまいダウンしてしまったなどという話を聞いたことがあると思います。
しかし今では、クラウド上で一時的に仮想サーバーを増やして難なく対応するというように、時代とともにやり方は変化してきています。
でもその時データを貯めるストレージはどう扱うのでしょう?

オンプレミスでもクラウドでも連携してハイブリッド・クラウド環境でデータをきちんと管理できるのが IBM のストレージです。

また、景品やポイント目当てで今日もスマホからアンケートに答えている方も多いことでしょう。
そのデータは、しばらくは価値のあるデータとして集計やいろんな解析に回されたりするかもしれません。少し時間が経過してもアンケートのコメント欄に書かれた内容を閲覧する人もまだちらほらといるかもしれません。
でもいずれは旬を過ぎたデータとしてどこかに保存だけされ、そのうち不要なデータとして削除しなければならなくなる。
これが、まさにデータのライフサイクルです。

しかし、実際はこのようなデータを正しく管理するのは非常に手間がかかります。場合によってはどこかでミスを起こし、まさかのデータ流出なんてことになりかねません。
データの「揺り籠から墓場まで」を実際にきちんと自動管理できるのが IBM のストレージです。

そして、さらに考えてみてください。そのデータはどうやって守られているのかを。

「守られている」というのには幾通りかの解釈があります。盗まれない・改ざんされないように守るセキュリティ、無くならないように守る信頼性、壊れないように守るインテグリティ、セキュアな移動に耐えうるポータビリティなど、これら「守る」をきちんと管理できる機能があるのも IBM のストレージです。
では、それらを実現する IBM のストレージの概要をみていきましょう。

 

IBMストレージ製品の紹介

IBM は現在、あらゆるお客様の規模・業種あるいはユースケースなどに対応するためにストレージ製品群を以下の4つのカテゴリーに分けて考えております。


図1. IBMストレージ製品カテゴリー

これらのカテゴリーにはハードウェア製品のみならず、IBM Spectrum Storage ファミリーというソフトウェア・デファインド・ストレージ製品もマッピングされています。
IBM はいち早くソフトウェア・デファインド・ストレージに取り組み、今やストレージのみならず、バックアップ、マネージメントと幅広いカバレージで展開しております。

それでは一つ一つ見ていきましょう。

 

Hybrid Multi Cloud Storage

ハイブリッド・マルチクラウド・ストレージに属するものとして、FlashSystem という FlashCore Module(以下 FCM)や SSD などの半導体メモリー系記憶デバイスを活用したストレージ製品群があります。
いわゆるオープン系と呼ばれていた分野は仮想化という過程を経てクラウド時代へ突入しており、コンテナ時代も本格化の兆しを呈しております。この分野で扱うのに適しているストレージ群という位置付けです。


IBM FlashSystem 9200

このラインアップはエントリークラスからハイエンド製品まで、お客様の規模等に合わせた製品を選択でき、なおかつ統一された操作性を実現する製品です。
またこれら FlashSystem の制御機能を外出しした IBM Spectrum Virtualize のパブリック・クラウド版と連携することで、オンプレミスや他のクラウド環境との容易なデータ連携を実現します。

(※詳細は第三回のブログで明らかにします。)

同じカテゴリーに位置する IBM Storage Insights は SaaS として提供される統合ストレージ管理サービスです。
複数の IBM ストレージを一括管理できるだけでなく、他のメーカー様のストレージも管理対象としています。世界中で培われた数多くの知見と AI により提供されるアドバイザリー機能は、ストレージの障害発生率の劇的削減につながります。

 

AI & Big Data

Web Scale という言葉で代表される分野です。
特徴としては IoT のデータのように無限に増えていくデータに対応しうる拡張性、分散保管系、そして広いエリアでファイルやオブジェクトを一意的に扱えるグローバル・ネーム・スペースといったところが挙げられます。

製品で言うと IBM Cloud Object Storage や Elastic Storage System(ひとつ前のモデルまでは Elastic Storage Server と呼んでいました)がこれにあたります。

IBM Cloud Object Storage はオブジェクト・ストレージ機能に特化しており、ペタバイト級のデータを、高信頼性・高可用性・高安全性を保ちつつ扱うことができる分散保管型のストレージで、拡張性にも優れた製品です。業界ではデファクトとなっているオブジェクト・ストレージの AWS(Amazon Web Services)の S3 に準拠した API により、多くのサードパーティーのゲートウェイ・ソフト製品にも対応しております。
IBM Cloud Object Storage はアプラアンス製品としてハードとともに提供しておりますが、評価済みの汎用サーバーをお持ちであればソフトウェアのみでの提供も可能です。また IBM Cloud 上では IaaS としての IBM Cloud Object Storage が月額で使用可能です。

Elastic Storage System は IBM Spectrum Storage 製品のうち IBM Spectrum Scale という分散型ファイル・システムのアプライアンス製品です。GPFS(General Parallel File System)という Power 製品の分野で培った高度なファイル・システムをベースとしており、自動階層化機能、マルチプロトコル対応、拡張性といった特徴のみならず、分散ノードの並列度を上げることで高パフォーマンスな用途にも対応できます。
今日時点最新である2019年11月18日発表のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP 500」で、1位2位を独占する Summit という IBM のスーパーコンピュータにも搭載されている優れものです。

(※次回以降、階層化機能を中心に明らかにします。)

また AI や BigData を扱うエリアでは、膨大なデータにおけるカテゴライズや検索といったことが重要になってきます。
通常はシステムにより自動付加される情報に頼ることが多いですが、メタデータ、タグ情報といったもので効率的にデータを扱える仕組みがあります。このメタデータやタグ情報を管理できるのが IBM Spectrum Discover で、上記2つの製品群と一緒に使われることでデータにより一層の価値を持たせることが可能となります。

 

Modern Data Protection

一番わかりやすいのがモダン・データ・プロテクションのエリア。災害や障害に耐えうるバックアップやディザスター・リカバリーに特化した製品群です。
いかに短い時間で効率的にバックアップを取得するかということは当然のことながら、いかにロス無く早くシステムを復旧できるかということが重要になってきます。

また、以前より障害やヒューマンエラー、災害対策、争乱と対象が発展し、今やサイバー攻撃にも対応する必要が出てきました。
さらに守るべき対象もオンプレミスだけではなく有機的にクラウドと結びついている場合もあり、これらに対応していくということが、まさにモダン・データ・プロテクションたる所以であります。

ここでの中心となるのはテープ製品群です。
現在の企業向けテープ規格のスタンダードと言えば LTO(Leaner Tape-Open)を思い浮かべる方が多いと思いますが、IBM は規格立案時代より中心的に関わっており、LTO および企業向けに発展させた 3592エンタープライズ向けテープ(IBM 独自フォーマット)の2本立てのテープカートリッジ規格に対応した製品群を扱っております。


IBM TS4500 Tape Library

同じカテゴリーの IBM Spectrum Storage ファミリー製品としては、IBM Spectrum Protect というバックアップ・ソリューション・ソフトウェアがあります。
これは Tivoli Storage Manger というバックアップ・ソフトを Spectrum ファミリーに統合したもので、長い歴史と実績を持っています。完全なる永久増分バックアップ機能と各種データ圧縮機能を用いることでバックアップ容量およびバックアップ時間を格段に削減することが可能です。
仮想サーバー環境に特化した IBM Spectrum Protect Plus という製品もあり、すでにいくつかのパブリック・クラウド上での月額使用も可能となっております。

昨今、テープ装置は物理的にシステムから切り離すことができるストレージとして、「エアー・ギャップ」という言葉のもと、サイバー攻撃にも耐えうるソリューションとして見直されつつあります。

(※詳細は第五回のブログで明らかにします。)

 

Storage for Z

IBM のフラグシップとも言えるメインフレーム製品にも対応するハイエンド・ストレージ機器群となります。
技術の結晶とも言われるこの分野の製品は信頼性・可用性共に高いレベルにあり、過去から現在に至るまで世界中の経済を支えてきたと言っても過言ではありません。

DS8000 シリーズはホスト製品のみならず、オープン系の分野も含め 2000年代初頭から現在までの長い間、高可用性・高性能の分野で一役を担ってきました。
遠隔のストレージ同士をミラーリングするという考えは、もともとホスト系ストレージ・システムで行なっていた PPRC、XRC と呼ばれるミラーリングに始まり、現在の Metro Mirror、Global Mirror といった同期・非同期のミラーリングに受け継がれているもので、今ではエントリー製品にもあたりまえのように使われる技術となっています。


IBM DS8900F

DS8000 シリーズは今でも進化しており、最新ラインアップ DS8900F シリーズではオール・フラッシュ製品に変化を遂げ、超低遅延・高可用性の他、クラウドとの連携やマルウェア・ランサムウェア対策など最新の技術を投入され、今後のIT環境にも活用いただけるフラグシップ製品です。

 


図2. IBMストレージ製品ポートフォリオ

まだまだ説明したい製品がありますが、別の機会にご説明させていただきたいと思います。

 

おわりに

今後も、以下のようなテーマでブログを掲載させていただく予定ですのでお楽しみに!
(もしかしたら突発的な話題や多少の変更はあるかもしれませんがご了承ください。)

第二弾:「OpenShiftに代表されるコンテナ環境へのIBMストレージの対応
第三弾:「ハイブリッド/マルチクラウド時代だからこそIBMのストレージ
第四弾:「最新のデータライフサイクル管理とは?(前編)」「最新のデータライフサイクル管理とは?(後編)
第五弾:「データを守ることについて」

このブログで少しでも IBM のストレージ製品にご興味を抱いていただけると幸いです。

 

 


この記事に関するお問い合わせ

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
企画本部 事業企画部

この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。

 


関連情報

 

 

その他の記事

2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で企業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

back to top