【やってみた】IBM Cloudability検証してみた
こんにちわ。
てくさぽBLOGメンバーの佐野です。
近年、クラウド利用が当たり前になった一方で、「移行は終わったが、コスト最適化はこれから」というお客様は少なくありません。特にオンプレミス環境からのLiftでは、移行前のサイジング思想がそのまま持ち込まれ、結果としてクラウド上で過剰スペックの仮想マシンが稼働し続けることがあります。CPU使用率は低いのに大きなインスタンスを使っている、メモリが余っているのにサイズを落とせていない、台数を増やしてピークに備えたまま平常時も縮退しない――こうした状態は、クラウドの「従量課金」のメリットを打ち消してしまいます。
さらに近年は、AWSだけでなくAzureやGCP、あるいはSaaSも含めた“マルチクラウド”が前提となり、コスト管理・最適化の難易度が上がっています。クラウドごとに課金粒度やメニュー、管理画面が異なるため、単純に合算するだけでも一苦労です。加えて、部門別・プロジェクト別・環境別(本番/開発)などの切り口で「誰が、何に、いくら使っているか」を説明できないと、正しく利用部門が費用負担ができず最適化の議論は感覚的になりがちです。最終的には「コスト削減して」と言われても、どこから手を付けるべきか分からない状態に陥ります。
マルチクラウド環境の可視化・最適化ソリューションであるIBM Cloudabilityを弊社で購入し、どのように利用できるのか、どんな効果があるのかを検証してみました。
Cloudabilityとは
IBM CloudabilityはFinOps領域のソリューションとして、クラウドコストを“見える化”するだけでなく、“説明できる形に整える”ことを重視した製品です。FinOpsは単なるコスト削減活動ではなく、価値とコストを継続的に最適化するための運用(文化・プロセス)です。
Cloudabilityの特長は以下の3点です。
1) FinOpsソリューション
コストデータを、部門・プロジェクト・アプリ・環境などのビジネス観点で整理しやすくします。ここで重要なのがタグ(ラベル)設計です。タグが適切であれば、利用料を「責任の所在」と「目的」の単位に分解でき、請求の説明やチャージバック/ショーバックを適切に実施できます。
2) マルチクラウド環境の可視化
AWS/Azure/GCPなど複数クラウドを横断し、同じトーンのUIでコストやトレンドを追える点が強みです。クラウドごとの管理ポータルを行き来する運用は、担当者の属人化を招きます。「このクラウドはAさんしか分からない」状態を避ける意味でも、統一された見え方は価値があります。
3) ライトサイジング(仮想マシンのスペック・コスト最適化)
過剰なインスタンスサイズを見つけ、適正化の候補を提示する機能は、Lift & Shift後の“最初の成果”を作りやすい領域です。もちろん最適化はライトサイジングだけではありませんが、手を付けやすく、効果も分かりやすい代表例です。
検証内容
今回は、(1) Cloudability単体の運用感、(2) Turbonomicとの連携、の2つの観点で検証しました。
1) CloudabilityのGUI
日々触る管理画面が「見やすいか」「迷わないか」「説明に使えるか」を中心に評価しました。FinOpsの現場では、財務・情シス・開発・運用など立場の違う人が同じ数字を見て議論する場面が出ます。そのため、画面が複雑すぎると“理解できる人だけが使うツール”になり、現場運用で定着しません。
2) Turbonomicとの連携
IBM Turbonomicは、アプリケーション性能とリソース供給のバランスを取りながら最適化を支援する製品です。Cloudabilityがパブリッククラウドを中心に可視化するのに対してTurbonomicはオンプレミス環境も可視化・最適化ができます。
両者を連携させたときに、どのようなことができるのかを確認しました。
検証結果
複数のクラウド利用情報を一元的に見えるGUIとなっており、一目瞭然の画面となっています。
ダッシュボード:

コストの要素分解

最適化ダッシュボード

今期の支払いと来季のコスト予測

今回の検証ではAWSの1アカウントのみを管理対象としていましたが、これらの画面で複数のクラウド環境の情報を参照できれば、現状が即座に理解できるため非常に有用だと思います。
また、Turbonomicと連携することでCloudabilityからTurbonomicが計算した投資・コスト削減の情報も参照できるようになりました

感想・まとめ
Cloudabilityは、マルチクラウド環境で散らばりがちなコスト情報を整理し、FinOpsの会話を成立させるための“基盤”として有効だと感じました。特にタグ付けが鍵となります。適切にタグ付けをすることで、さまざまなビューでクラウド利用量を管理できるので誰が何に使っているかを示しやすく、社内合意形成に使えます。
また、CloudabilityとTurbonomicの両方にライトサイジング機能がある点は、注意点です。今回検証しませんでしたが、製品によってロジックが違うため、推奨サイズや削減見込みが異なる結果となることも考えられます。
結果がズレる場合は「どちらが正しい/間違い」というより、前提(観測期間、評価指標、性能影響の考慮範囲など)が異なることに起因するため、たとえば「Cloudabilityはコスト観点の候補抽出」「Turbonomicは性能影響も含めて実行判断」といった役割分担を決めて運用を実施することが必要となってきます。
総括すると、Cloudabilityは“コストの統一可視化と管理運用の定着”に強く、マルチクラウドで「見えない・説明できない・最適化に踏み出せない」状態から抜け出したい組織にとって、Cloudabilityの導入は検討価値が高いソリューションであるといえるでしょう。
お問い合わせ
この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。
エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術企画本部
E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp