2023年07月

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脱炭素化状況の可視化から削減を実現する戦略的ESGデータ管理プラットフォーム「Envizi ESG Suite」とは

グリーン・ファイナンスや代替えエネルギーへの投資など、脱炭素化や ESG投資(「Environment:環境」「Social:社会」「Governance:企業統治」を考慮した投資活動や経営・事業活動への取り組み)は、もはやムーブメントではありません。
これらの取り組みが企業の財務戦略と並ぶ重要な位置を占めるようになっています。

そして、脱炭素化を目指す企業のサステナビリティ・パフォーマンスの最適化に必要不可欠なのが、正確なレポートデータから得る洞察です。

本コラムでは、データ収集と分析を包括的なソフトウェア・プラットフォームにより多岐にわたる ESG指標を報告・管理して排出量を削減するためのアクションを特定し、最終的にはデータ基盤の構築やレポートの合理化、チームのエンゲージメント向上へと導き脱炭素化の加速を実現する IBM の ESGデータ管理プラットフォーム「Envizi ESG Suite」を紹介します。

ESG情報開示の世界的な潮流と日本の状況

「ESG」「サステナビリティ」「排出量」「脱炭素化」など、かつては企業にとって馴染みのなかったコンセプトがここ10年間で今や企業戦略の欠かせない一部となりました。

脱炭素に向けた動きは世界的に加速し、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が終了した2021年11月時点で、154カ国・1地域が2050年などの年限を区切ったカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)の実現を表明しています。

日本でも2020年10月、菅首相による「実質ゼロ表明」宣言(2050年カーボンニュートラル宣言)がありました。これに呼応して地球温暖化対策推進法が一部改正され、「改正地球温暖化対策推進法」(以下 改正温対法)として2021年5月に成立しています。

そもそも温暖化対策については1997年の「京都議定書」を継承して、2015年12月にフランスのパリで開催された COP21 にて世界約200カ国が合意し成立した条約(通称 パリ協定)が対策目標の基準となっています。
そのパリ協定を受けて日本政府は2016年に「地球温暖化対策計画」を閣議決定し、その時点で提示されていた目標は「2030年までの中期目標として温室効果ガス排出を2013年対比26%削減。そして、2050年までに80%削減する」というものでした。

しかし「2050年カーボンニュートラル宣言」ではこの80%という目標削減数値が一気に引き上げられ100%に。すなわち、2050年までに排出ゼロにするということです。
当然、企業対策も強化されることとなり、これに対し産業界には激震が走りました。

改正温対法による排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進

改正温対法の主なポイントは次の3点です。

  1. 2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを基本理念として明記
  2. 地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業推進のための計画・認定制度の創設
  3. 脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープデータ化の推進

このなかで特に注目したいのが「企業の温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化」です。

従来、温室効果ガスを多量に排出する企業に対しては毎年度の排出量の報告が義務づけられています。その情報は企業単位で公表されていますが報告の多くは紙媒体を中心に行われており、公表までに約2年もの期間を要していました。

そこで改正温対法では排出量情報の公表までにかかる時間を短縮することを目的とし、企業の温室効果ガス排出量報告を、排出量情報活用促進の弊害にとなっている紙媒体中心の報告から原則デジタル化しています。
さらに、企業における脱炭素化の取り組みをより透明性高く可視化するため、従来は開示請求手続きが必要だった事業所単位での排出量情報を、手続きなしでも閲覧可能としています。

これにより、国内外の企業や投資家などに向けて温室効果ガスの排出量情報の活用を促すとともに、脱炭素経営や ESG投資の呼び込みを促進させる考えです。

ESG投資の急拡大と求められる情報開示

金融市場においてはコロナ禍にともなう金融緩和も相まって、ESG投資が急拡大しています。

ESG投資とは “ESGの3要素を重視し社会的責任を果たしている企業に対し投資をすること” を意味します。

2021年7月19日、世界の ESG投資額の統計を集計している国際団体の GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)*1 から、ESG投資の統計報告書「Global Sustainable Investment Review(GSIR)」の2020年版が発行されました。

同報告書によれば、2020年の世界の ESG投資額が18年比で15%増の35.3兆ドル(約3900兆円)で、これが全運用資産に占める比率は35.9%と18年比で2.5ポイント上昇しています。日本の ESG投資額も2020年には2.8兆円(約320兆円)と、2018年と比べて31.8%も増加しました。

これにともない、気候変動に関する情報開示を企業に求める動きが世界的に広がっています。
日本でも東京証券取引所のプライム市場上場企業は、TCFD提言*2 またはそれと同等の国際的枠組みに基づく開示を求められています。

こうした動きに加えて、2021年11月には IFRS財団(The IFRS Foundation)により「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」が設立されました。
これにより、ESG情報の開示に関する統一的な国際基準を策定する ISSB基準に準拠したサステナビリティ開示基準の公開草案を2024年3月31日までに公表し、2024年度中(遅くとも2025年3月31日まで)に確定する計画も進んでいます。

産業界では、国内外で取引先まで含めたサプライチェーン全体の脱炭素化やそれにともなう経営全体の変容(グリーントランスフォーメーション(GX))が加速し、デジタル技術の活用でサプライチェーン上の CO2排出量を算定し可視化するサービスの開発も活発になっています。

参考情報

*1. Global Sustainable Investment Alliance(GSIA)

GSIA は2年に一度、日米欧など世界5地域のESG投資の普及団体が年金基金や資産運用会社などを対象に実施したアンケートを基に「Global Sustainable Investment Review(GSIR)」でESG投資額を公表している。

※サステナブル投資(SRI・ESG投資)の発展に寄与することを目的とした NPO日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)作成の「Global Sustainable Investment Review 2020」日本語訳ダウンロードは「こちら

*2. TCFD提言

「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称。
G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月に金融安定理事会(FSB)により気候関連の情報開示および気候変動への金融機関の対応を検討するために設立された。
TCFD は2017年6月公表の最終提言をはじめ、関連ガイダンス等複数の刊行物を公表。そのメインレポートが「Final Report: Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言 最終報告書)」で、通称「TCFD提言」といわれる。

Scope毎のCO2排出量の把握はサプライチェーン脱炭素化実現の第一歩

これらの状況の中でカーボンニュートラルに向けて企業が取り組むべきことは、まず CO2排出量を正しく把握・可視化し、サステナビリティ・パフォーマンスを最適化することです。
その目的は、気候関連の財務情報の開示、顧客企業への排出量報告、Scope情報の収集、省エネ法・温対法への対応です。

特に日本が目指す「カーボンニュートラル」は CO2 だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む「温室効果ガス」を対象にしたものであり、「全体としてゼロに」とは「排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする」ことを意味します。
そのため企業の排出責任の範囲は自社単体からサプライチェーン全体に広がり、排出量を把握することの重要性が高まっています。

国際的な温室効果ガス排出量の算定・報告の基準となるのが「温室効果ガス(GHG)プロトコル」です。その中で設けられている温室効果ガスのサプライチェーン排出量の算定方法・範囲のことをScope(スコープ)と呼びます。

サプライチェーン全体の排出量は「スコープ3基準」として次のように区分されています。

  • Scope1:事業者自らの燃料の燃焼や工業プロセスにともなう排出量を示す指標
  • Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気などのエネルギー使用にともなう排出量を示す指標
  • Scope3:サプライチェーン排出量のうち、Scope1とScope2以外の間接排出量を示す指標

Scope3 では、自社内だけではなく部品メーカーや原材料メーカーなど、自社製品の生産に必要な部品製造のために他社が排出した温室効果ガスの排出量を把握することが求められています。
日本全体の CO2排出量削減目標を達成するにはこの Scope3 の排出量にも着目する必要があります。したがって、Scope3 の算出は複雑さをともなうと同時にサプライチェーン全体での脱炭素化実現の第一歩だといえます。

これに対応して CO2 を可視化するサービスは近年クラウドを中心に様々なものが登場しており、マクロ視点での非財務情報としての温室効果ガス排出量実績や削減目標・取り組みの公開まで実現できていますが、可視化までの取り組みで止まってしまい、次のアクションへつなげられていないケースも少なくありません。

温室効果ガス(GHG)排出量のスコープ3基準の範囲

図1:温室効果ガス(GHG)排出量のスコープ3基準の範囲

ESGレポート、ESGパフォーマンス、エネルギー管理、施設の最適化

IBM は2022年1月、環境パフォーマンス管理においてデータ分析ソフトウェア・プロバイダー大手Envizi社 の買収を発表しました。

Envizi社は炭素排出量の管理で組織をサポートするというビジョンを持って2004年に設立され、これまで20年近い歴史の中で英国と米国の市場で成長し、10年以上の運用ノウハウを活用したベストプラクティスを提供しています。
IBM の「Envizi ESG Suite(以下 Envizi)」には、同社の実績がそのまま活かされています。

正確なデータから得る洞察は脱炭素化の道筋に不可欠です。
Envizi の15種類のモジュールは、全体で排出量管理、ESGレポート、ESGパフォーマンス、エネルギー管理、および施設の最適化など様々な機能を提供しており、お客様のニーズに合わせてソリューションを拡張できます。
Scope1 および Scope2、さらには Scope3 の全カテゴリをカパーする500を超えるデータ・タイプの収集と集約を自動で実行でき、カスタム・フィールドの追加も容易です。

Enviziがカバーするデータの種類

図2:Enviziがカバーするデータの種類

これにより ESG指標を報告・管理できるようになるだけではなく、データと分析を包括的なソフトウェア・プラットフォームで提供し、現状の可視化や適切な情報開示を支援、そして、サステナビリティ・パフォーマンス管理を促進します。
また、国際的に認められた主要な ESG報告書作成フレームワークに対応し、強力な視覚化機能と簡単にカスタマイズ可能なダッシュボードを使用することで環境目標の管理や効率性を向上させる機会の特定、サステナビリティ・リスクの評価を行うことが可能です。

温室効果ガス排出量係数は様々な国や地域、カテゴリごとに次々と更新されていく状況で、ユーザー自らが管理することが非常に難しくなっています。これに対しても、Envizi ではお客様が活動量に関するデータを入力するだけで自動的に排出量が算出されるようなっています。
また、毎年のように変わる ESG情報開示フレームワークに対しても Envizi を使うことで簡単にレポーティング作業を管理することができます。

お客様の大きな価値となるサステナビリティ・イニシアチブ促進を目指して

500種類以上のデータの収集と統合を自動化する Envizi は、前述の TCFD の他にも ESG要素に関する開示基準として国際的なサステナビリティ報告基準を運営する「CDP*3」や「SASB*4」など、主要なサステナビリティ・レポートの開示フレームワークをサポートしています。

さらに Envizi は、以下のような IBM のより広範な AI搭載ソフトウェアを共に使用することで企業の環境イニシアチブと日常業務における運用エンドポイントとの間で生成されるフィードバックを自動化し、現状を把握しながら素早い改善アクションの実行を可能にします。

  • IBM Maximo(設備保全管理ソリューション)
  • IBM Sterling(サプライチェーン・ソリューション)
  • IBM Environmental Intelligence Suite(気候変動による経済的影響を事前に計画・管理)
  • IBM Turbonomic(ITインフラの「リアルタイム最適化」を実行)

これによりお客様は ESG対応状況を迅速に把握し、目的にあったテンプレートを用いることでゴールを明確にしてデータの可視化を進め、レポートの作成とプロジェクトを円滑に運営してサステナビリティ活動を加速することができます。
そして、レポートを公開することで透明性をアピールするとともにカーボンニュートラルを企業の大きな価値に転換し、サステナビリティ・イニシアチブの促進や環境目標を実現することが可能になるのです。

エヌアイシー・パートナーズは IBM認定ディストリビューターとして、Envizi ESG Suite および Envizi ESG Suite と連携可能な製品の販売を通し、お客様のよりレジリエントで持続可能な運用とサプライチェーンの創出、そして、持続可能性への取り組みをスケーラブルにするための重要なステップを支援いたします。

参考情報

*3. CDP

英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営。
2000年の発足以来グローバルな環境課題に関するエンゲージメント(働きかけ)の改善に努めており、日本では2005年より活動開始。(一般社団法人 CDP Worldwide-Japan

*4. SASB

「Sustainability Accounting Standards Board(サステナビリティ会計基準審議会)」の略称。
2011年に米国サンフランシスコを拠点に設立された非営利団体で、企業の情報開示の質向上に寄与し、中長期視点の投資家の意思決定に貢献することを目的に将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している。
2018年11月に11セクター77業種について情報開示に関するスタンダードを作成・公表。

ESG情報開示枠組みの紹介:SASB(Sustainability Accounting Standards Board, サステナビリティ 会計基準審議会)スタンダード」(JPXサイト)

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  • IBM Envizi ESG Suite
    – 企業の透明性ある情報開示と脱炭素に向けた取り組みをサポートする、ESGデータ管理プラットフォームです。

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2025年03月26日

【てくさぽBLOG】VMwareユーザー必見!IBM CloudのVCFaaSで、コストを抑えたままVMwareを継続利用

公開日:2025-03-26 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの宮里です。 皆さんは VMware を利用されていますか?多くの企業が仮想化技術のリーダーである VMware を採用されていますが、Broadcom による買収とそれに伴うライセンス体系の変更で価格が高騰し、多くの企業にとって大きな課題となっています。 このブログでは「VMwareを使い続けたいけど高いライセンスを買うのは嫌!」というお客様に向けて、その最適な解決方法として IBM Cloud for VMware Cloud Foundation as a Service を詳しくご説明します。 目次 VMwareを更新する際の課題 VCFaaSとは VCFaaSのメリット まとめ お問い合わせ VMwareを更新する際の課題 VMware を更新するにあたり、以下の3つの課題が存在します。 価格の高騰化 ライセンス体系の変更に伴いユーザーごとに購入可能なエディションは Broadcom側が設定するようになり、ユーザー側で自由にエディションを選択することができなくなりました。また、以前までの基本ライセンス+アドオンとしての使い方がパッケージ化されたことにより、柔軟性が以前よりも乏しくなってしまっています。 ライセンス料金が約1.2倍近く、ユーザーによっては購入できるライセンスの制限により、最大でも約8倍近く膨れ上がってしまう場合もあります。 DRサイトにかかるコスト 全ての機器が VMware である必要はないものの特定の環境では引き続き VMware を維持したい、など、依然として VMware を使用しなければならないユーザーも多く存在します。 「どうにかコストは抑えたまま今まで通りに VMware を使い続けたい。」という場合に重要なのが、DR(ディザスタリカバリ)サイトの運用方法です。DRサイトはビジネスを継続するための重要な要素ですが普段から使う環境ではないため、サービスレベルは維持しつつコストはおさえることが必要です。 見積もりに時間がかかる VMware のライセンス体系が変更されてから「VMwareのライセンス見積もりに時間がかかる」というお声もよく耳にします。これは、個別見積対応となるため見積を取得するまでに時間がかかってしましまうことが原因となっています。 特に急いでいるプロジェクトの予算計画を立てる際の大きな課題となります。 VCFaaSとは VMware Cloud Foundation as a Service(以下 VCFaaS)は、IBM Cloud上でハードウェアリソースと VMware のライセンスを提供するクラウドサービスです。1VMから利用でき、クラウドサービスのためハードウェアの調達やソフトウェアのライセンス管理に煩わされることなくすぐに利用を開始できます。 シングルテナントとマルチテナント VCFaaS は、シングルテナントとマルチテナントの2つモデルを提供しています。 マルチテナントモデルでは、月額約18,900円(127米ドル)からのスモールスタートが可能です。手頃な価格でスタートできるため、小規模なプロジェクトや初期段階の導入に最適です。一方、シングルテナントモデルはより大規模な運用や特別な要件が必要な場合に適しています。2台のサーバー(vSANプロファイルの場合は6台のサーバー)が最小構成として必要です。 ※2025年3月19日時点の価格 モデルごとの特長 マルチテナントモデル: 1VMから利用可能で、数分で利用開始が可能 オンデマンドタイプは時間課金、リサーブドタイプは月額課金のどちらかを選択可能 仮想サーバのプロファイルを複数から選択可能 課金単位はvCPUおよびRAM(1ゲストOSから) シングルテナントモデル: ユーザー専用の物理ホストを提供し、ハイパフォーマンスとセキュリティを確保 リザーブドタイプによる月額課金のみ 複数のIBM Cloud Bare Metal Serversからプロファイルやコンポーネントを必要に応じて選択可能 課金単位は物理ホスト(2台から) VCFaaSのメリット VCFaaS を導入することによって得られる具体的なメリットについて詳細にご説明します。 コスト効率と柔軟性 VCFaaS は必要に応じてリソースを容易に追加・削減することができ、ビジネスの規模やワークロードに合わせた最適なリソース管理が可能です。また、高可用性の管理プレーンを通じて VCFaaS が提供しているハードウェアとハイパーバイザーの監視やパッチ適用、アップグレード、セキュリティ管理を IBM が支援するため、企業は安心してクラウド環境を運用することができます。 以上の様に VCFaaS は迅速な展開と運用が可能であり、コスト効率と柔軟性を兼ね備えたクラウドソリューションと言えます。 DRサイトのコスト低減 VCFaaS は VMware Cloud Director Availability(VCDA)というツールが利用可能で、既存のオンプレミス環境と IBM Cloud間を簡単に行き来することができます。 すぐに本番環境を移行ができない場合、DRサイトだけでも VCFaaS に移行させることでデータセンターやラックの費用を抑えることができ、DRサイトの運用にまつわるコストを削減することができます。 迅速な見積もり IBM Cloud による見積もりプロセスは非常にシンプルであり、金額情報も明確に公開されています。複雑な計算や営業担当との煩雑なやり取りをせずに、必要なコスト情報を迅速に入手することが可能です。 また、マルチテナントモデルを選択することで購入後すぐにデプロイして利用を開始することが可能です。この即時性によりリードタイムを大幅に短縮し、迅速なビジネス運用を実現できます。ITリソースの準備を待つことなく、すぐにプロジェクトを始動できるため、タイムロスを最小限に抑えられます。 まとめ VCFaaS は、VMware のライセンス体系の変革や DRサイトの運用コスト、見積もり時間の課題をまとめて解決するクラウドソリューションです。IBM Cloud上で提供されるこのサービスはマルチテナントとシングルテナントの2つのモデルを選択可能で、柔軟かつ拡張性に優れた環境を提供します。特にマルチテナントモデルでは手軽にスモールスタートが可能で、小規模プロジェクトやテスト環境に最適です。 また、DRサイトのコストを大幅に低減する機能や迅速な見積もりプロセスにより、ビジネスのスピードを損なうことなく運用を開始でき、ストレスフリーで効率的なクラウド環境を実現し、ビジネスの成長と変化に柔軟に対応することが可能です。 VMware の環境をご利用の方は、まずは 1VM からでも VCFaaS の良さを体感してみていただけたらと思います。このブログを見て興味を持たれた際は、是非一度ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2025年03月25日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part2)

公開日:2025-03-25 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 当ブログ Part1 (前回記事)では、watsonx Orchestrate の概要と IBM Cloud版 watsonx Orchestrate のプロビジョニングおよび環境設定をご紹介しました。Part2(本記事)では、生成AIスキル、プリビルドスキルおよびスキルフローを作成し、検証してみた感想をご紹介します。 目次 はじめに 検証シナリオ 検証実施 さいごに お問い合わせ はじめに 検証に入る前に watsonx Orchestrate について簡単におさらいをしたいと思います。 watsonx Orchestrate は、チャットにやりたいことを入力するだけで複数のシステムへログインすることなく処理を実行し、生成AI を活用して効率的に業務を遂行できる製品です。主要機能には、様々なアプリケーションと連携するためのプリビルドスキルや生成AI を活用したスキル作成、プリビルドスキルや生成AIスキルを一連のスキルとして実行できるスキルフローなどが備わっています。 ※機能の詳細については Part1 をご参照ください。 検証シナリオ 検証のシナリオは、営業担当者が顧客との打ち合わせ後に議事録をまとめ、それを関係者に送信し、さらに社内の営業支援システム(以下SFA)に登録する作業を想定しています。 通常では以下の図の様に、打ち合わせ後に人力で会議ツールから会議情報を取得し、メモを議事録としてまとめ、メールツールを起動して関係者へメールを送信し、その後 SFA へ議事録を登録する、という流れになるかと思いますが、このような作業は時間がかかるうえに日常業務の中でも頻繁に発生します。 watsonx Orchestrate を使用すると、チャットに「議事録の作成と送信」と入力するだけで、会議ツールから情報を取得、議事録をまとめ、メールのドラフトを作成、SFA への登録を実行するため、作業時間の短縮と情報の共有、SFA への登録忘れの防止、コピー&ペーストミスの低減ができます。 検証環境 Part1 でプロビジョニングした IBM Cloud上の watsonx Orchestrate を利用します。検証では、会議ツールは Webex(無償版)、メールツールは Gmail(弊社アカウント)、議事録を登録する SFA は Salesforce(弊社Sandbox環境)を使用します。 検証実施 前述の通り、会議ツール(Webex)から会議情報を取得し、会議メモを生成AI が要約し、メールツール(Gmail)でメールドラフトを作成し、内容を確認してメール送信し、SFA(Salesforce)に登録する、という処理を作成していきます。 ※以降から検証の紹介になりますが、まずは watsonx Orchestrate での処理の流れを見たいという方は、「こちらの動画」をご覧ください。 1. 生成AIスキルの作成 まずはじめに、議事録をまとめる生成AIスキルを作成します。(以下の図オレンジ色の枠部分) 左サイドメニューから「スキル・スタジオ」をクリック 右上の「作成」プルダウンを開き「プロジェクト」をクリック 「Name」に任意のプロジェクト名を入力(当検証では「イニシャル_Summary」と入力しています。) 入力後「Create」をクリック スキルタイプ選択画面にて「Generative AI」をクリック 「Name」に任意のスキル名を入力(当検証では「イニシャル_Summaryskill」と入力しています。) 入力後「Create」をクリック 以下の画面が表示されます。デフォルトで選択している言語モデルは利用可能期限が近いため、画面上部に "Foundation model deprecated~" とアテンションが表示されています。 「Model: ibm/granite-15b-chat-v2」右横のプルダウンを開き、言語モデルを変更(当検証では「mixtral-8x7b-instruct-v01」を選択しています。) アテンションが消え、以下の画面の状態になります。 以下の画面①~⑤の入力・設定 1-9-1. 言語モデルのパラメータ値(Parameters)を設定 当検証では最小値 "1"、最大値 "3000" にしてトークンを設定し、出力の長さを調整します。(最大値は言語モデルによって異なる) 1-9-2. 変数を設定 watsonx Orchestrate では生成AI の入力として変数を使用することができます。Variables で会議メモを変数 "text" として設定します。 1-9-3. コンテキスト(Context)を設定 会議メモの内容をもとに日本語で議事録を作成する指示文を入力します。会議メモの箇所は変数 {{text}} に設定します。(変数は{{}}で囲う) 1-9-4. 入力プロンプト(Prompt input)を設定 ここでは言語モデルに応答してほしい文を入力します。今回は変数 {{text}} のみを入力します。 1-9-5. インプット・アウトプットの例(Training examples)を入力 「New example +」をクリックし、インプットとアウトプットの例をそれぞれ入力します。 右上の「Generate」をクリックすると文章が生成され、Generated output(出力プロンプト)で文章を確認できます。 次に、生成AI を公開してスキルを使用できるように設定します。 スキル名の横にある目のマークをクリックし、地球儀のマークに変更 右上の「Share changes」をクリック 「Share」をクリック 表示されたポップアップにて「Share」をクリック 右上に "Success" とポップアップされることを確認し、左の「← Back to xx_Summary」をクリックして戻る 右上の「Publish」をクリック 表示された「Version and publish」画面にて「Version name」に任意のバージョン名を入力し、「Create version and publish」をクリック(当検証では「1.0.0」と入力) 右上に "Published" と表示されることを確認し、左上の「←(PJ名)」をクリック 「スキル・スタジオへようこそ」画面にて、「スキルおよびアプリ」を選択 スキル一覧に作成したスキルの状況が「公開済み」となっていることを確認後、スキルの右側をクリックし「このスキルの強化」を選択 スキルの強化画面が表示されます。ここではスキルを実行する際の入力項目、出力項目、呼び出すためのフレーズを設定できます。今回は句タブでスキルを呼び出すフレーズのみ設定します。 句タブをクリックし、スキルを呼び出すフレーズを日本語で3つ追加 追加後、画面下の「発行」をクリック 右上に「正常に公開されました」と表示されることを確認 メインメニューから「スキル・カタログ」をクリック スキル・カタログから作成したスキルを自分のスキルとして追加します。 検索バーにイニシャルを入力し「スキル」をクリック タイル内の「スキルの追加 +」をクリックし、「追加」となることを確認 以上でスキルを実行する準備が整いました。早速チャットから実行してみましょう。 メインメニューから「チャット」をクリック チャット画面が表示されます。 下部の「スキルタイル」をクリックまたは入力バーにフレーズを入力(当検証では「議事録をまとめて」と入力しています。) 呼び出されたスキルを選択 text欄にサンプルの会議メモを入力し「適用」をクリック 10秒ほどで文章が生成されました。会議メモから体裁の整った議事録が生成されています! 生成AIスキルの作成は以上で完了です。 スキル作成自体の難易度は高くありませんが、整理された議事録を生成してほしいためプロンプト指示文の調整に時間がかかりました。Context の内容は指示ごとに改行し、日本語で生成することを明記するなど工夫が必要です。また最大トークン数2000としていましたが議事録が途中できれてしまう現象があったため、最大トークンを3000にして調整しました。言語モデルごとに最大トークン数、対応言語は異なるため、複数のモデルをテストして最も期待に合ったモデルを選択することをお勧めします。 2. プリビルドスキルの作成 次に、プリビルドスキルを追加ます。(以下の図緑色の枠部分) まず、Webex のプリビルドスキルを追加します。当検証では会議情報をリストする「List all meeting」とその会議情報から参加者のメールアドレス情報を取得する「List meeting invitees」を追加します。 メニューバーから「スキルカタログ」を選択し、Webexのタイルをクリック 次に、Webex への接続設定を行いなす。 「アプリの接続」をクリック Bearer Token を入力し「アプリの接続」をクリック(WebexのBearer TokenはWebex for Developersから取得しました。) 「正常に接続されました」というポップアップが表示されます。 「List all meetings」の「スキルの追加」をクリック 「追加」となったことを確認 会議参加者のメールアドレスを取得するため「List meeting invitees」を同様に追加 Webex の2つのプリビルドスキルをチャットから呼び出すことができるか確認します。 メニューからチャットを開きList all meetingsのタイルをクリックし、activeな会議をクリックするとスケジュールされている会議情報が表示されることを確認 List meeting inviteesのタイルをクリック 対象会議を選択すると、参加者の e-mailアドレスが表示されることが確認できます。※後続のGmailプリビルドスキルでメール送信先として使用します。 次に、議事録送信するための、Gmail の Send a email のプリビルドスキルを追加します。 スキルカタログからGmailの「Send a email」を選択し「アプリの接続」をクリック アカウント選択画面にて、検証用アカウントをクリック 以下の画面が表示にて「次へ」をクリック 「追加」となっていることを確認 これで、チャットから Gmail を呼び出しメールを送ることが可能になりました。 最後に、Salesforce へ議事録を登録するため、Salesforce のプリビルドスキルを追加します。ここでは、会議参加者のメールアドレスから対象リードをリストしオポチュニティーIDを取得する「Get all leads」と、Salesforceの商談に議事録を書き込む「Update an opportunity」の2つのプリビルドスキルを追加します。 スキルカタログを選択し、Salesforceのタイルをクリック 右上の「アプリの接続」をクリック Salesforce への接続に CustomURL を追加します。 (当検証ではSandbox環境を利用するため)「test.salesforce.com」を入力し「アプリの接続」をクリック 別ウィンドウに Salesforceログイン画面が表示されます。 ユーザー名、パスワードを入力しログインをクリック アクセス許可画面が表示されるので確認します。 画面をスクロールし「許可」をクリック 右側に「接続済み」と表示されました。 プリビルドスキルを追加します。 「Get all leads」をクリックし「追加」となることを確認 同様に「Update an opportunity」をクリックしてスキルを追加 これで Salesforce の商談に議事録を書き込むスキルが整いました。処理の動きは次のスキルフローで確認します。 3. スキルフローの作成 生成AIスキルと複数のプリビルドスキルを繋げたスキルフローを作成します。(以下の図ピンク色の枠部分) メインメニューバーから「スキルスタジオ」をクリック 「プロジェクト」を選択し「作成」から「スキル・フロー」をクリック 以下の画面にて、鉛筆マークをクリック 右側に任意のスキルフロー名を入力し「Save」をクリック 左画面のフローにスキルを追加していきます。追加したスキルは開始から終了へ順番に実行され、画面の「+」をクリックするとスキルをフローに追加することができます。 はじめに Webex のプリビルドスキルを追加します。 List all meetingsの「Add Skill +」をクリック 追加が完了すると以下の画面の様になります。 同様にWebexのList meeting inviteesスキルを追加 追加が完了すると以下の画面の様になります。 議事録生成する生成AIスキル、GmailのSend a emailスキル、SalesforceのGet all leads、Update an opportunityスキルの順に追加 全ての追加が完了すると以下の画面の様になります。(画面ショットの都合上、Update an opportunityスキルは省略しています。) 次に、スキル実行結果から得られる値を次のスキルの引数として渡す設定をします。 フロー内のList meeting inviteesをクリック 右側に表示された入力時の引数設定画面meetingId欄にて、List all meetingsスキルから得られる値を選択(当検証ではidを選択しています。) 設定が完了すると以下の画面の様になります。 Send a email の入力引数を以下の様に設定※richTextBody.Content は生成AIスキルで生成された議事録がメールドラフト本文に自動的に入力されるように設定します CC:List all meetingsから"hostEmail"を選択 To:List meeting inviteesから"email"を選択 Subject:List all meetingから"title"を選択 richTextBody.Content:生成AIスキルから"generated_text"を選択 次に、Salesforce の Get all leads に入力引数を設定します。 Emailの値に、List meeting inviteesから「email」を選択 さらに、Update an opportunityに入力引数を設定します。 Descriptionに、生成AIスキルから「generated_text」を選択 Filterable input欄の"Value"の値に、Get all leadsの「ConvertedOpportunityid」を選択 設定完了後、画面上部Actionsの「Save as draft」をクリック スキル・スタジオの画面に戻り、スキルフロー右側の「このスキルの強化」をクリック 「句」タブにてスキルフローを呼び出すフレーズを入力(当検証では「議事録を送信して」と入力しています。) 入力後「発行」をクリック 状況が公開済みとなっていることを確認 以上でスキルフローの作成は完了です。 スキルフローを実行するためには、スキルからスキルへ引数を設定する必要があります。どのスキルのどの実行結果を引数として設定すればよいか検討が必要ですが、UI から簡単にスキルフローを作成することができました。 4. スキルフローを実行してみる(動画あり) 長くなりましたが、スキルフローを実行します!チャットから「議事録を送信して」と入力してみます。 処理結果は以下の動画をご覧ください。※音声・字幕無しの動画となっております。動作に関してご不明点がございましたら、お問い合わせ までご連絡ください。※画面右下音量調整マーク右横のアイコンをクリックすると動画表示画面を拡大できます [video width="720" height="405" mp4="https://www.nicpartners.co.jp/wp-content/uploads/2025/03/nicp-tech-blog_wxo_2025-03.mp4"][/video] 会議メモを議事録にまとめ、メール送信、Salesforce への登録作業がほんの3分程度で完了しました!複数のアプリにログインすることなく watsonx Orchestrate の画面から操作できるため、作業時間の短縮になり業務効率化になるのではないでしょうか。 さいごに いかがでしたでしょうか。Part2 では、生成AIスキル、プリビルドスキル、スキルフローの作成と実行を行いました。 生成AIを操作するにあたりプロンプトの技術は必要ですが、watsonx Orchestrate ではノーコードで生成AIスキルを作成できるため、開発未経験者の方も手軽に生成AI を活用したスキルを作成することができると思います。また、チャット画面が提供されているのでインターフェースUI を作る必要がなく、チャットから出来上がったスキルを呼び出すことが可能です。 今回利用した Standardプランはスキル・スタジオで生成AIスキルを作成することができるプランです。Essentialプランにはスキル・スタジオでの生成AIスキル作成の機能が含まれていないため、別途API経由で生成AI を呼び出す実装工程が必要になります。 プリビルドスキルについては、意外にも躓いた点はアプリケーションの認証です。アプリケーションの認証情報は各アプリケーションにより異なりますので、事前に認証情報をご確認いただくことをお勧めします。 今回検証したスキルフローはプリビルドスキルを繋げた構成で、フロー中に分岐は含めていません。実業務では作業の結果によって次の作業が分岐する場合もあると思いますので、Part1 で記載したスキルフローの分岐機能も利用できると思います。 当ブログ(Part1、Part2)では、チャットからスキルを呼び出しましたが、今後は AIアシスタントからのスキルの呼び出しや、複数の AIアシスタントを束ねる AIエージェントについても検証してみたいと思います。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ 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2025年02月26日

【参加レポート】「watsonx Tech Challenge 2024」に参加してきた

こんにちは。てくさぽブログメンバーの佐野です。 2025年2月12日・13日に、愛徳会主催(日本IBM共催)のイベント「watsonx Tech Challenge 2024」が IBM箱崎にて開催され、弊社ではソリューション推進部から5名とソリューション企画部から1名の合計6名が参加しました。 本記事では、イベントの様子をレポートいたします。 チーム写真撮影風景 目次 イベントの概要と参加のきっかけ イベント当日までの準備 イベント当日 感想・まとめ お問い合わせ イベントの概要と参加のきっかけ このイベントは、IBM watsonx を活用したビジネスを実現出来る技術者の育成を目的とした、ハッカソン/アイディアソンです。「地域課題解決(人口減少、少子高齢化、労働力不足)」「環境問題対策」「わくわく社会の実現」の3つのテーマに関連する課題を watsonx を使ってどのよう解決できるのかのアイディアをチームで検討し発表する場となります。また、スキルのキャッチアップとして月次で「watsonx.ai Dojo」が配信されており、そこでは、watsonx.ai の使い方や watsonx で何ができるか、といったことが説明されています。 実は NI+C P(弊社)はこのイベントのスポンサーなのですが、 「我々自身がお客様へ watsonx を提案する際にも "具体的にどのようなシーンで使えるのだろう?" ということを自分たちで考えてみる場としてチャレンジしてみよう!」 という思いで参加することにしました。 個人的には、「他の参加者の方々がどういうアイディアを持ってくるのかな?」という興味もありました。 イベントの案内ページには "事前準備不要" と表記されていたものの、上記のテーマを検討しアウトプットするための作業がとても正味1日だけで完成できるものではないと感じたため、事前準備としてテーマに沿った内容を検討しソリューションの内容を固めることにしました。 イベント当日までの準備 まずはテーマに沿った課題を抽出しその課題を watsonx でどう解決できるのか、その実装を検討することにします。幅広く意見が欲しかったので本部内のメンバーに声をかけテーマにおける課題感や実装アイディアを募集したところ、合計で19個の課題を集めることができたのですが、ここから苦戦します… 1つずつ内容を確認しペルソナとその課題、効果、ビジネス拡張性を定義していったのですが、ペルソナが「行政」や「被災者」という設定になり、当事者でない我々では課題の想像を膨らませるだけで、具体性が欠けて課題や効果がぼやけてしまったのです。また、調査を進めると実現しようとしていることの類似サービスが既に多く存在していることも判明し、「いろいろなサイトの情報をまとめる比較し最適なものをお勧めする」というような結論となります。そうなるとだれからどのようにお金をもらうのか?マネタイズの面も怪しくなってしまいます。 検討を重ねていくうちに時間が過ぎて1月末になり、イベントまでの残り2週間ではソリューションを固めるのは難しい状況となりました。そこで事前準備のゴールを変更し、「自分もしくは家族」または「取引先」といった身近な人をペルソナとした課題抽出をし、後は当日にディスカッションし内容を固めることにしました。 イベント当日 1日目 まず発表順の抽選がありました。結果、最初でも最後でもない3番手という、なかなかな(個人的にはホッとする)順番を引き当てました。 イベント期間中は各チーム毎に1部屋が割り当てられ、それぞれの部屋で最終準備をします。IBM様がテクニカルなフォローのため相談部屋で待機されていました。 我々は事前に洗い出しておいた課題を整理し、解決すべきモノとして「高齢者向けのサービス」に絞り、さらにディスカッションで発散と収束を繰り返し、最終的に発表内容を「地方に住む高齢の両親が安全・安心に暮らしているかをリモートから見守るサービス」に決定しました。この段階では事前準備の最初に検討したことも活かせており、某セキュリティ会社が類似の見守りサービスを提供していることは把握していましたが、観点やアプローチが異なるため十分ニーズがあり差別化できるものであると結論を出しました。 初日はここまでで時間切れとなり、発表資料は2日目に役割分担して作ることとし、解散となります。 ミーティング風景 2日目 発表資料に何を書くかは初日にプロットしてあるので、あとは資料を作るだけです。発表時間は7分しかないので、作りこむチャートは5枚に絞ります。 初日に役割分担を決めておいたこととメンバーそれぞれが事前に内容を考えてきてくれたこともあり、資料はすんなりと完成。内容も、十分にメッセージを伝えられる内容に仕上げられたと自負しています。 午後の発表に向け、朝に配布された青いシャツを着て準備万端、いよいよ発表の時です。 発表中の様子 私が発表を担当したのですが、なんと、発表時間を2分余らせるというひどい時間管理ミスをやらかしてしまいました。QAタイムも想定外の質問に苦戦し、反省しきりの状態でした… ともあれ、発表後はメンバー全員の緊張が解けて笑顔が見られるようになりました。 発表後のメンバーの様子 全チームトラブルもなくスムーズに発表が終わり、ついに採点です。 発表は失敗の自覚があったので「審査員の反応は悪くなかったけれど、真ん中ぐらいなんじゃないかな」とぼんやり考えていると、あっという間に結果発表の時間がやってきました。スポンサー賞、優秀賞、最優秀賞の順番で発表されていきます。(『』内は私の心情です) スポンサー賞(レノボ・ジャパン賞)・・・・・田中電機工業様チーム!『うちが一番可能性ありそうなのはこの賞だったけど違ったかー』 スポンサー賞(エヌアイシー・パートナーズ賞)・・・・・スカイウイル様チーム!『ここは…まあ、ないよね』 優秀賞・・・・・CSS様チーム!『うんうん。キントーンとの連携はユースケース多そうだった』 優秀賞・・・・・エヌアイシー・パートナーズチーム!『うんうん。。。え!まじで!!』 最優秀賞・・・・・オーイーシー様チーム!『うん。ここは発表資料が一番印象的だった』 という結果で、我々のチームは晴れて優秀賞をいただくことができました。受賞者の一言では適当なことを言っていた気がします。まったく覚えていません。 受賞の記念撮影を愛徳会会長の藤田さんとパシャリ。 愛徳会 藤田会長とNI+C Pチーム 感想・まとめ 今回、幸いにも「優秀賞」をいただくことができました。 私としては、自チームのよかったところは、今後の拡張性に可能性があるところかなぁと思います。他チームの発表内容も素晴らしかったので、かなり僅差だったのではないでしょうか。 ただ、最優秀賞のオーイーシー様においては、おそらく誰もが納得のダントツTOPでした。発表資料は事前に準備してきたものだと確信できるほどの出来で、事前準備の差が歴然でした。これは、イベント期間である1日のワーク時間をどう使うのかの考え方に差があったようです。また、チーム内での事前の課題検討で発表対象から外した課題(災害時の避難支援や自治体向けの企業誘致支援)をうまく深堀しているチームもあり、課題を捉えた後にいかに深堀りできるかが大事なんだとあらためて考えさせられました。 このように、他チームの発表を聞くことで自分たちができていたこと・できていなかったこと、今後改善できそうなことを学ぶことができ、大変有意義な機会となりました。メンバー全員、今回のイベントでは前向きな刺激を受けたようです。(以下メンバーの感想) 「Dojoでwatsonx.aiを勉強したがデモを作って発表にまで至らなかったのは残念だった。」 「テレワークが主体なので、オンサイトでチーム集ってまとまった時間の中ディスカッション、アウトプットすることが刺激になった。たまにはオンサイトでの共同作業をやりたい。」 「発表資料作成時間が限られている中、意見を出し合って効率的に作成できた。」 「テーマが大きすぎて自分事に捉え切れなかった。視点を変えることが大事だと学んだ。」 「IBM様の寸劇やオーイーシー様のEVA風発表資料のように、プレゼンテーションにも遊び心があると聞き手の印象が変わることを実感できた。」 「普段から情報のアンテナを張っておくことが重要であり、それをビジネスのヒントと捉え意識することで普段から良いアイディアが発想できそう。」 「他の要素との組み合わせ、その次のステップではどうなるのか?などモノゴトの周辺や先のことを融合させることでアイディアに厚みと説得力が加えられることが理解できた。」 イベントで各チームの発表内容を、守隨 佑果(しゅずい ゆか)様(https://shuzui-yuka.com/)がグラフィックレコーディングしてくださいました。事前情報なしの一発勝負でこれを作れるのは、「スゴイ!」の一言です。 守隨佑果さまのグラフィックレコーディング 今回のイベントに参加したことで、チームメンバー全員がよい経験を積むことができました。オンサイトでまとまった時間にみんなで作業したことで学ぶことも多くありました。この経験を今後の活動にも活かしていきます。 おまけ 2日目のお昼ご飯には、主催の愛徳会様が用意してくださった人形町今半の美味しいお弁当をいただきました。 人形町今半のお弁当 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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