皆さんこんにちは。てくさぽBLOGメンバーの佐野です。
1年前ほど前と比べて、最近HCIを提供するベンダーが増えてきましたね。よい頃合いだと思いますので、現時点でのHCIについてまとめてみます。
Nutanix(Nutanix NXシリーズ及びOEM製品)
HCIといえばNutanix。と言われるほどの存在になったのではないでしょうか。過去の記事で詳細をお伝えしているので、機能的なことはそちらをご参照ください。(ハイパーコンバージド製品のNutanixを解説!、ハイパーコンバージド製品のNutanixを解説! vol2、ハイパーコンバージド製品のNutanixを解説! vol3)
最近のNutanixはHCIという枠組みを飛び出した発表を多数行っています。
例えば、「Xi Cloud Services」というパブリッククラウド上でNutanixのソフトウェアスタックを稼働させてIaaSとして提供するサービスがあります。当初はGoogle Cloud Platformでのみ稼働し、DR用途限定で開始のサービスです。
HCIと言えばオンプレミスに設置する専用ハードウェアというイメージがありますが、Nutanixはハイブリッドクラウドへの対応を進めています。
他にもNutanix Calmという機能でマーケットプレイスからプログラムを半自動で導入する機能も発表になっています。
これらの最新のサービス・機能は6月末のNutanixのイベントで発表になったもので、リリースはされていないため詳細が不明ですが、Nutanixが向かっている方向がHCIの枠にとらわれていないことが分かると思います。
他社の製品には無いのが、vSphereだけではなくHyper-VやXenServer、自社開発したAcropolis Hypervisorなど多くの種類のハイパーバイザーサポートです。
また、いろいろな会社の製品上でのサポートもあり、DellやLenovo製品上ではOEMとしての提供を、HPEやCiscoUCSでの稼働を「勝手にサポート」するなどしています。
極めつけは、IBM PowerSystem上での稼働もサポートしています。
HCIという枠組みを超えてどんどん進化するNutanixですので、「変わらないこと」を要件とするような環境にはもしかしたら向かないのかもしれませんね。
Dell EMC(VxRAIL)
ハイパーバイザーとしては圧倒的なシェアを誇るVMwareが提供するvSANを使ったHCIがVxRAILです。管理はVxRAIL Managerから行います。(もちろんvCenterによる管理もあります)
特徴としてはNutanixと同じぐらいの製品ラインナップがあること、同梱ソフトウェアにEMCのRecoverPoint for VMやCloudArrayが含まれる事があります。
特にRecoverPoint for VMはRPOを数秒で設定できるので、仮想マシンをほぼ任意の時点に復旧することが可能となります。
CloudArrayは、クラウドにデータを逃がす機能ですが、この機能があるのはVxRAILとNutanixだけです。
x86サーバー向けのハイパーバイザーであるvSphereで有名なVMwareが提供するvSANがストレージ部分なので、VxRAILは今後も採用実績を伸ばしていくのではないかと想像します。
HPE(SimpliVity 380 with OmniStack)
今年の1月にHPEが買収したSimpliVityという会社の製品をProLiant上で稼働させるようにしたのが「SimpliVity 380 with OmniStack」です。
この製品の最大の特徴は、ストレージの機能を補うためのハードウェアアクセラレータを搭載しているという点です。
他のHCIはストレージをソフトウェアで定義していますが、SimpliVityはストレージの処理をこのアクセラレータに任せることで重複排除や圧縮の処理を他社よりも粒度のサイズを小さく処理でき、より高いデータ削減効果を得られるようにしています。
ディスクに書き込みデータ到達する前にデータ容量や書き込み回数が減るので、その分パフォーマンスが上がる効果もありそうです。
個人的に気になるのは、HPEらしくディスクの保護はRAIDを採用している点です。現時点ではAll Flashモデルだけなのであまり気にしなくてもよいのですが、HDDモデルが出てくると当然大容量HDDを搭載することになります。RAIDによる保護の欠点は障害時のリカバリが容量に比例して遅くなる点にあり、復旧処理中に二次障害が発生するとデータ全損となる恐れもあります。
SimpliVityでは他のノードに同じデータをコピーして保護するのでさすがにデータが飛んでしまうような状況は無さそうですが、今後1台あたりのHDD容量が増えてくると(HCIかどうかに関わらず)注意が必要となります。
Cisco(HyperFlex)
過去のブログ記事で詳細を書いていますので、詳しくはそちらをご参照頂きたいと思います。
上記のブログにも記載がありますが、Blade型ノードが使えるのがHyperFlexの特徴の一つとなります。
しかし、UCSファブリックインターコネクト(以下FI)というネットワークポートと管理機能が一体になった製品が別途必要になるというところが注意点です。
FIの存在がCisco UCSの強みではありますが、HyperFlexを導入する際にもFIは必須の機器になります。
NetApp
詳細情報があまり出ていませんが、SolidFireをベースにしたAll FlashのHCIです。ストレージ部分はSolidFireでONTAPではないようです。
概要としては2U4ノードのシャーシにストレージノードとコンピューティングノードを混載する構成で、最小で2シャーシからになります。また、ストレージとコンピュート部分が完全に分離しています。
All Flashストレージなので当然高パフォーマンスが期待できますが、その分価格に反映されるのが懸念事項です。
いかんせんこれ以上の詳細な情報が無いので、現時点では何とも言えないところです。この絵だけ見ると、これってHCIなの?と思うのですが。。。
まとめ
各社それぞれ特徴があるので、ケースバイケースでどの製品を採用するのか、適材適所での採用となることが多くなりそうです。
国内での実績ではNutanixやVxRAILが多いですが、SimpliVityもこれから伸びてきそうです。
ご紹介した5つの製品は全て弊社からご提案することもできますので、何かありましたらお気軽にお問い合わせください。
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エヌアイシー・パートナーズ株式会社
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