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ブログ

IBMソフトウェアライセンス:Passport Advantageを徹底解説!

こんにちは。ソリューション企画部 西村です。

IBMのソフトウェア製品をご検討中、あるいは既にご利用中の方から、ライセンス契約に関するご質問を多くいただきます。特に「Passport Advantage(パスポート・アドバンテージ)」は、IBMのソフトウェアを利用する上で基本となる重要な契約プログラムです。

このブログでは、複雑に思われがちなIBMのライセンス体系について、その中心となる「Passport Advantage(パスポート・アドバンテージ)契約(IPAA)」の仕組みから、仮想化環境やクラウドでの利用ルールまで、分かりやすく解説していきます。

第1章:そもそもソフトウェアライセンスとは?

普段、私たちがソフトウェアを利用する際、製品そのものを「購入」しているわけではありません。メーカーが持つ著作権のもと、そのソフトウェアを使う権利、すなわち「使用許諾(ライセンス)」を得て利用しています。

IBMのソフトウェアを利用開始する際には、この「使用許諾契約」の同意が必須となります 。特に、WindowsやLinuxなどのオープン系ソフトウェア(DSW)は、「パスポート・アドバンテージのご契約条件(IPAA)」に同意いただくことで使用が可能になります。契約条件を正しく理解することが、ソフトウェアを適切に利用するための第一歩です。

第2章:Passport Advantage(PA)の重要ポイント

Passport Advantage(PA)は、単なる契約ではなく、お客様のビジネスをサポートするための様々な仕組みを提供しています。ここでは特に重要なポイントを5つご紹介します。

エンタープライズ:グループ全体でライセンスを最適化

PAでは、議決権の50%を超える支配関係にある企業グループを一つの「エンタープライズ」として登録できます。

メリット

  • グループ内の別会社や他部署へライセンスを移管したり、共同で利用したりすることが可能です。
  • グループ全体の購入実績(ポイント)が合算されるため、より有利な料金レベルが適用されやすくなります。
  • 幹事会社(オリジナル・サイト)がグループ全体のライセンスを一元管理できます。

レベル別料金:購入ボリュームに応じた価格設定

PAでは、購入実績に応じてポイントが付与され、その累計ポイントによって翌年度の料金レベル(RSVPレベル)が決定します。購入ボリュームが多いほど、より有利な価格で製品を導入できる仕組みです。

  • 料金レベルが上がる場合は日次で変更されます。
  • 料金レベルが下がる場合は、1年に1度、アニバーサリー・デートに見直され、1段階ずつ下がります。

S&S:常に最新・安心のサポート体制

全てのPAライセンスには、初年度12ヶ月間の「ソフトウェア・サブスクリプション&サポート(S&S)」が標準で付帯します。

  • ソフトウェア・サブスクリプション:
    契約期間中、最新バージョンやリリースへのアップグレード権を提供します。
  • テクニカル・サポート:
    製品の使用方法に関する質問や、障害発生時の問題解決を支援します。

サポートが切れた古いバージョンのソフトウェアを使い続けることは、深刻なセキュリティリスクを伴います。S&Sを常に有効に保ち、安全で最新の環境を維持することを強くお勧めします。

アニバーサリー・デート:契約管理をシンプルに

アニバーサリー・デート(AD)は、S&Sの更新基準日です。最初に製品を購入した日から1年後の翌月1日に設定され、エンタープライズ全体で一つの日付に統一されます。途中でライセンスを追加購入した場合も、次回のADまでの期間で月割り調整されるため、全てのS&S契約を同じタイミングで更新でき、管理が容易になります。

ライセンス管理とレポーティング:お客様の重要な責任

導入したソフトウェアライセンスを適切に管理することは、IPAAで定められたお客様の責任です。特に、後述する仮想化環境でサブキャパシティー・ライセンスなどを利用する場合は、IBMが指定するツールを導入し、ライセンス使用状況のレポートを作成・保管する必要があります。

Passport Advantage (PA) の重要ポイント

Passport Advantage (PA) の重要ポイント
(画像クリックで拡大)

第3章:多様なライセンス提供形態と課金単位

IBMでは、お客様の利用形態に合わせて様々なライセンスを提供しています。

提供形態

  • 永続ライセンス(Perpetual License):
    ソフトウェアを恒久的に使用する権利を購入する、従来型のライセンスです。
  • 期間ライセンス(Term License):
    1ヶ月や12ヶ月単位で契約する、期間限定のプログラム使用権です。S&Sが含まれています。
  • クラウド・サービス(Cloud Service):
    ネットワーク経由でサービスとして提供されるソフトウェアです。サブスクリプション・ベースで契約します。

課金単位

ライセンスの課金単位(メトリック)は製品によって異なり、大きく分けて以下のタイプがあります。

キャパシティー・ベース

  • PVU(Processor Value Unit):
    サーバーのプロセッサー・コアの性能に応じて必要ライセンス数が決まります。
  • VPC(Virtual Processor Core):
    仮想環境の仮想コア数に応じて課金されます。

ユーザー・ベース

  • Authorized User(許可ユーザー):
    特定された利用ユーザーごとにライセンスが必要です。

第4章:仮想化環境とパブリッククラウドでの利用ルール

近年、ITインフラの主流となっている仮想化環境やパブリッククラウド。これらの環境でIBMソフトウェアを利用する際には、特別なライセンスルールが適用されます。

フルキャパシティー vs サブキャパシティー

  • フルキャパシティー:
    ソフトウェアが導入されている物理サーバーに搭載された全てのプロセッサー・コアに対してライセンスを取得する方法です。
  • サブキャパシティー:
    物理サーバー全体ではなく、ソフトウェアが使用する仮想マシン(VM)に割り当てられた仮想コア数に基づいてライセンスを取得できる、より柔軟で経済的な方法です。

サブキャパシティー/コンテナ・ライセンスの必須要件

サブキャパシティーやコンテナ環境でライセンスを利用するには、以下の要件を遵守する必要があります。

対象製品・対象環境であること

IBMがサブキャパシティーを許可している製品、プロセッサー、仮想化技術の組み合わせで利用する必要があります。

指定ツールによる計測とレポート保管

  • 仮想化環境(サブキャパシティー):
    IBM License Metric Tool(ILMT)を導入し、ライセンス使用状況を計測・管理することが必須です。
  • コンテナ環境:
    IBM License Service(ILS)を使用してライセンスを管理する必要があります。
  • これらのツールで作成したレポートは、最低2年間保管する義務があります 。

これらの要件を満たせない場合、フルキャパシティーでのライセンス取得が必要となります。

パブリッククラウドでの利用(BYOSLポリシー)

お客様が保有するIBMソフトウェアのライセンスを、サードパーティーのパブリッククラウド環境へ持ち込んで利用(BYOSL: Bring Your Own Software License)することも可能ですが、これには厳格なルールがあります。

IPAAでは、ソフトウェアの利用は原則としてお客様の「エンタープライズ」内に限定されています。パブリッククラウドは、お客様が直接管理できない環境であるため、原則としてこの定義から外れます。

しかし、例外として

「IBM Eligible Public Cloud BYOSL Policy」 で定められた特定のクラウドサービス(Amazon Web Services, Microsoft Azure, Google Cloudなど ※2025年2月時点 )に限り、ILMT/ILSで適切に管理することを条件に、BYOSLが許可されています。このポリシーの対象外であるクラウドサービス上では、PAライセンスを利用することは認められていません。

利用環境ごとのライセンス管理まとめ

利用環境ごとのライセンス管理まとめ
(画像クリックで拡大)

まとめ:適切なライセンス管理のために

IBM Passport Advantageは、お客様の多様なニーズに応える柔軟なプログラムですが、その利点を最大限に活用するためには、契約内容の正しい理解が不可欠です。
特に、担当者の変更による引き継ぎ不足や、仮想化環境の無計画な拡張 は、意図しないライセンス違反につながる可能性があります。

本記事が、皆様のIBMソフトウェアライセンスに対するご理解の一助となれば幸いです。ご不明な点がございましたら、お気軽に弊社担当営業までお問い合わせください。

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E-mail:voice_partners@niandc.co.jp

 

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