2020年09月

02

【てくさぽBLOG】IBM Cloud Pak for Applicationsを導入してみた(OpenShift導入編)

IBM Cloud Pak for Applicationsの新規販売は終了いたしました。
今後のアプリケーションランタイムソリューションは、2021年1月15日に発表されたWebSphere Hybrid Editionとなります。


こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの岡田です。

全3回「IBM Cloud Pak for Applicationsを導入してみた」シリーズの、“OpenShift導入編” です。

本記事では、我々が実際にやってみてつまづいたポイントAWS 特有の注意事項も記載していますので、ぜひ最後までお読みください。

 

1. はじめに

概要編でも述べていますが、IBM Cloud Paks(以下 Paks)は OpenShift 上で稼働するアプリケーションのため、Paks を利用するためには OpenShift の構築が必要となります。

今回の検証では最小構成での検証を実施するために、以下の環境で実施しました。

  • AWS 上での構築
  • OpenShift バージョン4.2(検証時最新)
  • User-Provisioned Infrastructure(UPI)方式・・・ユーザーがインフラ環境を事前に用意してインストールを行う方法
  • CloudFormation テンプレートの使用

さて、以下が今回インストールする全体構成になります。Masterノード3台、Workerノード2台の構成です。

また本検証では、以下の Red Hat 社マニュアルページを利用しました。
インストールで利用する jsonファイル、yamlファイルの中身はこのマニュアル内の記載からコピー・アンド・ペーストして作成します。

1.5. CLOUDFORMATION テンプレートの使用による、AWS でのユーザーによってプロビジョニングされたインフラストラクチャーへのクラスターのインストール

 

2. 事前準備

2-1. 作業用Linux環境準備

OpenShiftのインストール作業に必要なLinux(Cent OS)環境を準備します。
詳細な手順はリンク先を参照ください。

(1)Cent OS インストールとディレクトリ作成
(2)AWS CLI インストール
(3)jqパッケージのインストール

 

2-2. インターネットドメインの取得とRoute53への登録

インターネット上から OpenShift クラスターにアクセスするためにインターネットドメインを利用できるようにAWS Route53で独自ドメインを取得・登録しました。
インターネットドメイン名:example.com(仮称)

 

2-3. インストールファイルの取得

OpenShiftのインストールに利用するファイルをRed Hatサイトからダウンロードします。

 

3. OpenShift 導入手順

3-1.AWS 環境構築

まずは AWS 環境を構築します。
今回は以下の全7項目を順番に実施しました。
詳細な手順はリンク先を参照ください。

(1)SSH プライベートキーの生成およびエージェントへの追加
(2)AWS のインストール設定ファイルの作成
(3)インフラストラクチャー名の抽出
(4)AWS での VPC の作成 ※つまづきポイントをこの後ご紹介
(5)AWS でのネットワークおよび負荷分散コンポーネントの作成
(6)AWS でのセキュリティーグループおよびロールの作成
(7)AWS インフラストラクチャーの RHCOS AMI

 

「(4)AWSでのVPCの作成」でのつまづきポイント

VPC作成のCloudFormationコマンドを実行した際にエラーが発生したので、原因と解決方法をご紹介します。

↓このコマンドでエラーが出ていますが、どこが間違っているか分かりますか?


# aws cloudformation create-stack –stack-name createvpc –template-body conf/cf_newvpc.yaml –parameters conf/cf_newvpc.json

Error parsing parameter ‘–parameters’: Expected: ‘=’, received: ‘EOF’ for input:
conf/cf_newvpc.json


パッと見、おかしいところが無さそうなのですがエラーとなっています。
検証メンバーで調査&トライ・アンド・エラーすること小一時間。。。原因は単純でした。
ファイル名を”file://”で指定していなかったのでyamlファイルやjsonファイルが読み込めなかったのです。以下が正しいコマンドになります。”file://”の後ろはフルパスで指定しているので”/”が3つ並んでます。


# aws cloudformation create-stack –stack-name createvpc –template-body file:///os42/conf/cf_newvpc.yaml –parameters file:///os42/conf/cf_newvpc.json


 

3-2. OpenShift導入

今回は以下の全10項目を順番に実施しました。
こちらも詳細な手順はリンク先を参照ください。

(1)Bootstrapノード作成
(2)コントロールプレーン(Masterノード)の作成
(3)Workerノードの作成
(4)Bootstrapノードの初期化
(5)CLI のインストール
(6)クラスターへのログイン
(7)マシンの CSR の承認 ※つまづきポイントをこの後ご紹介
(8)Operator の初期設定
(9)Bootstrapノードの削除
(10)クラスターのインストールを完了

 

「(7)マシンの CSR の承認」でのつまづきポイント

“oc get nodes”コマンドを実行してもマスターノードのみを認識しワーカーノードを認識しなかったので、その解決方法を紹介します。
下記のとおり、oc get nodes を実行してもマスターノードしか認識していません。


# oc get nodes
NAME                     STATUS  ROLES  AGE  VERSION
ip-10-0-50-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready  master   21h  v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-58-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready  master   21h  v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-59-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready  master   21h  v1.14.6+8fc50dea9


保留中の証明書署名要求 (CSR) を確認するとPending になっています。


# oc get csr
NAME  AGE  REQUESTOR                            CONDITION
csr-485lx 22m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Pending
csr-9qjqw 18m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Pending


以下、省略


そこでまずは個々のCSRを承認していきましたがコマンド実行してもすぐに反映されない、また保留状態のCSRが増えていくという状態になりました。


# oc adm certificate approve csr-9qjqw
certificatesigningrequest.certificates.k8s.io/csr-9qjqw approved

# oc get csr
NAME  AGE  REQUESTOR                            CONDITION
csr-9qjqw 53m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Approved,Issued
csr-485lx 22m system:serviceaccount:openshift-machine-config-operator:node-bootstrapper Pending


以下、省略


CSRが増える一方で状況が悪化しており、出てきたCSRを個別に処理するのもキリがないためこの時点で一度諦めました。
翌日にまとめて CSR を承認するコマンドを探して実行すると、ワーカーノードが認識できました。


# oc get csr -ojson | jq -r ‘.items[] | select(.status == {} ) | .metadata.name’ | xargs oc adm certificate approve
certificatesigningrequest.certificates.k8s.io/csr-2fn5z approved
certificatesigningrequest.certificates.k8s.io/csr-4cj8b approved
certificatesigningrequest.certificates.k8s.io/csr-4lpv7 approved


以下、省略


※少しタイムラグがあるので、何回か状況確認・Approve処理を行う必要がありました。10分ぐらい間隔をあけた方がよかったです。

oc get nodesコマンドで全ノードの STATUSがReady であることを確認できます。


# oc get nodes
NAME                   STATUS  ROLES  AGE   VERSION
ip-10-0-48-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready   worker  57s   v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-49-xxx.ap-northeast-1.compute.internal    Ready    worker  42m  v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-50-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready    master  22h  v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-58-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready    master  22h  v1.14.6+8fc50dea9
ip-10-0-59-xxx.ap-northeast-1.compute.internal  Ready    master  22h  v1.14.6+8fc50dea9


まとめて承認するコマンドが見つからなかったら、と思うとゾッとします。読者の方は事前に調べておきましょうね。

 

4. AWS特有の注意事項

AWSネットワークの理解は必須

Red Hat社のマニュアルページの内容を利用して jsonファイルと yamlファイルを用意し、CloudFormationコマンドを実行すれば AWS コンポーネントや OpenShift ノードなど必要なコンポーネントが自動的に作成されますが、自動的に作成されるが故に、ロードバランサー、サブネット、EC2インスタンスなどのコンポーネント間の接続の関係性が分かりづらいと思いました。
AWS マネージメントコンソールでなにが作成されたかを確認できますが、AWS のネットワークを理解していないと全体像の把握が難しくその点が苦労しました。

 

CloudFormation 特有のインストール時のクセを理解し慣れる

CloudFormation でのインストールでは、それ以前に実行して出力された値を次の CloudFormation コマンドで用いる jsonファイルに転記して利用する、という操作を繰り返します。特に UPI方式では転記する項目も回数も多かったので、Excel でどの項目がどのフェーズの jsonファイルに転記するのかを整理してインストールを進めました。

またそのような CloudFormation の特徴から、事前に設定ファイルをすべて用意して順番に実行する、ということができませんのでインストール作業は時間に余裕を持って行いましょう。

 

5. まとめ

本記事で OpenShift を AWS 上で UPI インストールする流れを確認いただけましたでしょうか。

必要なインフラのコンポーネントをインストーラが自動的に作成してくれる IPI (Installer Provisioned Infrastructure) 方式と比べると作業工程が多くなりますが、本番環境のお客様要件に対し常に IPI方式で構築できるとは限らないと想定し、UPI方式を学んでおくことは大変有用だと思いますので参考になれば幸いです。

本記事の内容で構築した環境に、この後 Paks をインストールすることが可能となります。Paks の種類によって必要リソースは異なりますが UPI方式での手順は同じです。

次回は、この OpenShift の環境に Cloud Pak for Application をインストールしてみた内容をお伝えします。

 

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp
 
 


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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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