2020年06月

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OpenShiftに代表されるコンテナ環境へのIBMストレージの対応

IBMの岡田です。前回の「全包囲網。。。最新 IBMストレージ 概要」はいかがでしたか?

今回は、今流行りのコンテナ環境とIBMのストレージがどのようにこれらの環境に対応しているのかに触れてみたいと思います。

 

コンテナって何?

ある調査によると、クラウドファーストを掲げて次々とクラウド環境に IT を移していくといった流れは世界中の ITワークロードの5分の1ほど移ったところで一段落していると言われています。今日では従来型IT環境、仮想化環境、プライベートクラウド環境などのオンプレミス環境と、複数から成るパブリッククラウド環境を上手く使い分ける時代に入ってきたという人もいます。

何れにせよ、今後の IT はこう言った環境の種類に依存することなく、適材適所かつ必要に応じていかなる環境でも同じようにアプリケーション開発や検証ができ、完成されたアプリケーションをどこでも同じように作動させることができ、場合によってはそれぞれの環境で連携して動くと言った技術が必要になってきます。

この要求に応えることができるのがコンテナ技術です。

図1. 仮想環境とコンテナの比較

 

コンテナのメリット

図2.コンテナを使うことのメリット

どうしてコンテナ技術を用いるとこれらの要求を解決することができるのでしょうか?

それはコンテナ技術を用いることで、動かすべき対象つまりアプリケーションと、動かすための環境つまりインフラストラクチャーを明確に分けることができ、前者は同じコンテナ基盤であればどこでも同じように動かすことができ、後者はどんなプラットフォームでもこのコンテナ基盤を使えばどこでも同じ動作環境をアプリケーションに提供することができるからです。
別の見方をすると、従来型IT環境では機能要件と非機能要件を分けて考えることが時には困難な場合もありましたが、コンテナ環境ではこれらを明確に分けることができるわけです(図3参照)。

図3. 従来型IT環境とコンテナ環境での考え方の違い

 

Red Hat OpenShift について

このようなコンテナですが、その方式はいくつか存在し、ここ数年いろいろな方々が実際に触っていくうちに自然と多くの人に使われるものが絞られてきました。
また、その周りを司る管理機能についてもやはり幾つかの方式からここに至ってある程度代表的なものに絞られてきました。いわゆるデファクトという呼び方をしたりするものですが、恐らく現在デファクトのコンテナ用オーケストレーターと言えるものは Kubernetes ではないでしょうか?

この Kubernetes についての詳しい話はネット上にも沢山出てくると思いますので、ここではこれ以上触れません。
ちなみに最近はよくこの Kubernetes を “K8s” と書くことがあります。この K8s の “8” は Kubernetes の頭の “K” と最後の “s” に挟まれた “ubernete” の8文字を表しています。
Ruby 関連で i18n が internationalization を指すのと同じことです。そもそも IT の根本は如何にシステムを使って楽するかという怠け者の発想ですのでこんな略し方もわかる気がしますね。
(以下このブログでは、”Kubernetes” を “K8s” と表記します。)

さて本題に戻ります。
K8s 環境は実際にちゃんと作ろうとすると、周辺機能を選びつつ構築していくことが必要となります。
またこれらは通常 OSS で組むこととなるため、ミッションクリティカルな環境への適用は、何かあった際のクイックなサポート等の面から非常に難しくなります。

Red Hat OpenShift は、K8s を中心に置き、必要な周辺モジュールを全てパッケージ化した上で評価を完了させてある商用パッケージです。
そのため、要らぬところに労力を割くことなく、正しい K8s環境を短時間で構築することができます。しかも、商用であるがゆえに保守等もちゃんと付いています。

図4.OpenShift について

IBM はこの OpenShift をベースに各用途向けにコンテナ化された IBMソフトウェアを搭載し、パッケージ化した6つの IBM Cloud Pak というソリューションを提供しています。
(※詳しくは「製品・ソリューション/ソフトウェア」内で紹介されている、各種 IBM Cloud Pak をご参照ください。)

 

コンテナ環境下でのストレージのあり方

コンテナのメリットは先程ご説明しましたが、その中でも特にポータビリティという点は十分に考えられたソリューションです。

しかし、果たしてそれだけで十分でしょうか?

アプリケーションの作りにもよりますが、普通にコンテナ内のストレージを使いアプリケーションを動かすと、コンテナが不要となり消し去った際データも一緒に消えてしまいます。
複数のコンテナを並列に動かすような作りの場合にはデータを連携する必要があるかもしれません。

図5.永続ストレージの必要性

つまり、コンテナから独立したデータの器が必要となります。
これが永続ストレージというものです(図5参照)。

最近の IT の記述書などでよく “PV” という文字を見かけます。それは “Persistent Volume” の略であり、永続ストレージはその PV を使って定義づけられます。

では、永続ストレージにはどのような接続形態があるのでしょうか?

 

永続ストレージの接続形態

図6で示す通り、永続ストレージにはいくつかの形態があります。ちなみに一番左は通常のコンテナでのストレージのあり方で、この方法だとコンテナと共にデータは消えることとなります。

図6. K8s 環境でのストレージのあり方

ノード内の永続ストレージという点では OpenShift においては Red Hat OpenShift Container Storage が使われます。こちらはノード依存性がありますので複数ノードにまたがって連携することはできません。

それに対し、外部にストレージを保つ方法があります。ソフトウェア・デファインド・ストレージかハードウェア製品かに関わらず、K8s ノード外にあるストレージを使うため、仮にノードごとに何らかの理由で停止するようなことがあってもデータはキープされます。
(※どのような製品が対応可能かは後ほど触れます。)

これらの接続方法は、実は K8s のバージョンによって変わってきます。
ここでは K8s を包含した OpenShift のバージョンでお話しします。

図7. OpenShift のバージョンによる接続方法の違い

 

CSI

CSI とは Container Storage Interface の略です。K8s のストレージはこうあるべきという考えに基づき、K8s とは独立にプロトコルを標準化したものです。

よって、CSI を使うことで K8s ユーザーはストレージのメーカーや製品を意識することなく同じに使うことができるようになります。逆に言うと各メーカーの優位性を出すことが難しくなります。
とは言え、IBMストレージとしては後述の通りハードウェア製品とソフトウェア・デファインド・ストレージ製品との連携でより便利に使うことが可能です。

 

IBM のストレージ対応

さて、ここまではどちらかと言うとコンテナ側のお話をしてきましたが、いよいよ IBM のストレージの対応についてお話していきましょう。

 

ブロックストレージ編

図8. IBM のブロックストレージの CSI 対応状況

IBM FlashSystem は、IBMストレージのブロックストレージにあたります。

FlashSystem はいち早く CSI にも対応しています。
もちろん FlashSystem 同様 IBM Spectrum Virtualize ファミリーのアプライアンス製品 SAN Volume Controller も、ソフトウェア・デファインド・ストレージとしてクラウド上にポーティング済みの IBM Spectrum Virtualize for Public Cloud も、対応済みです。

オンプレミスとパブリック・クラウド間でのデータ連携も永続ストレージ間で実施できるため、コンテナ上のアプリのポータビリティをオンプレミスとパブリック・クラウドの間でデータも含めて実現することができます。
実際、図2で示したコンテナのメリットは、ちゃんと永続ストレージを使ってどのプラットフォーム上でもできないと完璧にこなすことはできません。これが IBM のコンテナ対応のバリューです。

当然のことながら、フラグシップであるところの DS8000シリーズも CSI 対応済みです。

 

ファイルストレージ編

次にファイルストレージについて見てみましょう。

図9. IBM のファイルストレージの CSI 対応状況

IBMのファイルストレージと言えば、IBM Spectrum Scale というソフトウェア・デファインド・ストレージ製品ですが、アプライアンス製品として IBM Elastic Storage Server という製品があります。(第一回目のブログでもご紹介しましたね。)
この ESS についても CSI 対応済みということになります。

こちらも IBM Spectrum Scale の機能を使ってプラットフォーム間でデータを連携することができます(Active File Management 機能は後日別の回での解説を予定しています)。

IBM Spectrum Scale を用いると、ある面白いこともできます。
これも詳しくは後日解説しますが、少しだけお話すると、IBM Spectrum Scale は NAS、オブジェクトストレージを含むマルチプロトコル対応です。CSI で静的プロビジョニングを用いてコンテナからアクセスできるようにすると、既存で NAS 等で使っているボリュームを見せることも可能となります。
さらに IBM Spectrum Scale は Unified Access という機能で同じファイルを NAS としてもオブジェクト・ストレージとしても共有できる機能があるため、コンテナでも同一ファイルを使うことが可能となり、実質的に従来型IT とコンテナとの間でもデータが連携できることになります。

従来型のシステムとコンテナのアプリ間でデータ連携できることのメリットは、まさに最初に述べた環境を用途などで使い分ける現在の IT環境には無くてはならない機能です。
これも IBMストレージの大きなメリットです。

ハードウェア製品、アプライアンス製品、ソフトウェア製品を通じてブロックストレージ、ファイルストレージ共に IBM はコンテナ対応済みであると言えます。

 

オブジェクト・ストレージ編

オブジェクト・ストレージは基本的に RESTful API による HTTP 接続が使われます。
よってコンテナに限ったことではありませんが、ブロックやファイルストレージとは異なり、独自ドライバや CSI を介する必要はなく、アプリケーションから直接 I/O することが可能です。

IBM は IBM Cloud Object Storage というソフトウェア・デファインド・ストレージを扱っています。
また IBM Spectrum Scale もオブジェクト・ストレージとして使用可能です。

オブジェクト・ストレージについては AI&Bigデータの回で詳しくお話することにしましょう。

 

ソフトウェア・デファインド・ストレージのもう一つの対応

図10. IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks

現在取り扱っているコンテナ対応済みソフトウェア・デファインド・ストレージを取りまとめて、IBM Storage Suite for IBM Cloud Paks という名前で IBM Cloud Paks 向けに提供を始めました。

ここには IBM の前述のソフトウェア・デファインド・ストレージ製品3つと、メタデータ、タグマネージメントといった機能を持った IBM Spectrum Discover、それに Red Hat OpenShift でネイティブなRed Hat OpenShift Container Storage と根強いファンの多い Red Hat Ceph Storage を加えた6つをワンパッケージにしました。

この Suite 製品の面白いところは、OCS(Red Hat OpenShift Container Storage)の契約 VPC数(契約対象の仮想プロセッサコア数)に応じた容量分を自由に何種類でも組合わせて使うことができるというところです(もちろん単体で全容量使うのもありです)。

この手のコンテナ環境・クラウド環境でストレージを使うことは、はじめは何をどのくらい使うべきかわかっていない状況だったりするものです。特にアジャイル、アジャイルと言われる昨今、「とにかくやってみよう」という傾向が強いのも事実です。
そんな時にこのパッケージを使うと、容量を超えない限りどのストレージをいくら使っても自由ですので、使ってみて決めていくということができます。

まさに現在のクラウド時代にふさわしいストレージパッケージと言えるでしょう。

 

今回のまとめ

ここまで見てきた通り、IBM のストレージ製品は2020年7月現在取り扱っているものとしてはブロック、ファイル、オブジェクト・ストレージであり、これらすべてコンテナ対応が完了しています。

図11. IBMストレージの OpenShift 対応状況

Red Hat OpenShift あるいは各種 IBM Cloud Pak においては、接続性も含めて検証済みであり安全にお使いいただけます。

もしコンテナ環境をご検討中であれば、ハードウェアもクラウド上のソフトウェア・デファインド・ストレージもあり上下のデータ連携が可能な IBM のストレージ製品を、ぜひご活用ください!

 

お読みいただきまして、ありがとうございます。
次回はハイブリッド・クラウド、マルチ・クラウドに適切なストレージについてお話する予定です。お楽しみに!

 

 


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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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