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インタビュー

2025年12月25日

“AI を学習用ではなく事業の現場に馴染ませる”
本格的なAI時代に誕生したIBM Power11の覚悟とは?

公開日:2025-12-25 本格的なAI時代の到来で、企業にとってIT基盤の存在感はこれまで以上に重みを増しています。IBM Power11は、そうした時代の要請に応えるべく誕生した真のエンタープライズ・サーバーです。堅牢な信頼性と高い処理性能に加え、外付けカードIBM Spyre Acceleratorによって、地に足がついたAIワークロードをすぐに実装できる実用性を備えるに至っています。既に先行ユーザーは、大きな業務効率化の効果を体感しており、このサーバーは単なるハードウェアを超えて、次世代の標準基盤となる期待を集めています。 今回は、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)テクノロジー事業本部 Powerテクニカル・セールス部長 釘井 睦和 氏をお迎えし、AI時代をリードするべくして誕生したIBM Power11の“覚悟”について伺いました。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部Powerテクニカル・セールス部長釘井 睦和 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部テクニカル・サポート部部長 広橋 稔 本格的なAI時代の到来で、さらに重みの増すIT基盤 広橋: 経営とITが不可分となった今日、企業のお客様が直面している課題としてどのようなものがあると考えておられますか。 釘井氏: 本格的にAIの時代が到来したことが非常に大きいと思います。企業競争力の維持を図る上で、もはや、AI活用を抜きに戦略を立てられないというところまで来ています。実践段階に入ってきたこともあり、アナリスト機関IDCによれば、これからはAIエージェントが自らアプリケーションを書くようになると予測されています。その結果、アプリケーションの数は爆発的に増加し、今後10億もの新しいアプリケーションが出現すると予測され、そのうち3分の1はAIによって開発される見込みです。こうなってくると、アプリケーションを支えるインフラは、これまでにないスピードと規模でアプリケーション増加への対応と高い可用性を求められます。計画停止すら許されないミッションクリティカルな業務が増えていくことでしょう。そのような世界では、油断をするとシステムのサイロ化やデータ爆発も起きやすくなるため、その対策も必要です。 その一方で、ランサムウェア攻撃を筆頭に、セキュリティリスクも劇的に高まっており、対策強化も喫緊の課題です。だからといって、ITばかりに予算を使うわけにはいきませんから、そこはコスト最適化を図る目線も要求されます。さらに、少子高齢化社会の進行で、IT人材も確保しづらい状況が続いているため、より少ない人員でより多くのことをカバーできるかといった観点での運用効率化も恒常的なテーマとなっています。つまり、今日の企業が対峙している課題は文字どおり山積しているといえます。 広橋: 確かに、日ごろパートナー企業やエンドユーザー企業のお悩みを聞く中で、こうしたお話はよく伺います。特にAI活用については、意欲を持ちつつも、プレッシャーも感じておられるようです。 AI時代のニーズに応える真のエンタープライズ・サーバー 釘井氏: こうした中、今年登場したIBM Power11は、本格的なAI時代のニーズに応える、真のエンタープライズ・サーバーとして位置づけられています。このサーバーは、単なるハードウェアを超えたまさに“企業の中枢を支える基盤”として設計されており、Powerとして従来から定評のある堅牢性と可用性をさらに進化させつつ、計画停止をほぼ不要とする自律的な運用機能や強靭なセキュリティを標準装備しました。また、最新のDDR5メモリと強化されたI/Oアーキテクチャにより、高負荷のトランザクション処理や大規模データ解析なども余裕を持ってこなすとともに、AI推論も得意とします。IBM Power11は、企業がAI時代に向けて加速できるようIBMが考え抜いたフルスタックのイノベーションです。 広橋: IBM Power11を特徴づけるキーワードをいくつか挙げていただけますか。 釘井氏: 一つは、「0」(ゼロ)です。これは、エンドツーエンドの自動化を実現し、計画的なダウンタイムを0にする、つまり、無停止運転を可能にすることを意味します。 従来はメンテナンスウィンドウを設けて実施していたファームウェア更新、I/Oアダプタ更新、仮想化ソフトウェア更新などを、IBM Power 11ではAutomated Platform Maintenance(APM、プラットフォーム自動保守)機能として、管理コンソールであるIBM Hardware Management Console(HMC)からワンクリックまたは準自動で実行可能です。環境をチェックする更新前準備、パッチ配布、ワークロードの退避・復帰を一連のフローで自動化できるため、停止せずに更新できるというわけです。 また、運用データを横断的に集約し、watsonxですぐに実行できる提案と自動化を結びつける、アプリケーション運用向けのAIオートメーション基盤 IBM Concertがあります。Concert for Powerでは、Powerインフラの脆弱性を検出して、現行バージョンに照らして優先度をAI算定、その後に推奨手順を提示し、必要に応じて更新をゼロ計画停止で実行するところまで担います。ここでいう実行とは、HMC/PowerVMが担う処理をConcertが呼び出して一気通貫に自動実行することを意味しています。 広橋: サーバー停止は業務に支障を及ぼしかねず、利用部門や経営層からの圧力も大きいため、情報システム部門としてはなるべく回避したい運用ですから、安定して動き続けてくれるならそれに越したことはないですね。 釘井氏: はい。もう1つのキーワードは「

2025年12月25日

VMware問題で生じる保守のすき間に、 IBM第三者保守という「つなぎ保守」を

公開日:2025-12-25 ブロードコムによるVMware買収により、多くのユーザー企業が大幅なコスト増か、保守なしでのリスク運用か、という究極の選択を迫られています。そういった企業に対して、日本アイビーエム(以下、IBM)では、「VMware第三者保守サポートサービス」を提供しています。これは、IBMがグローバルレベルでVMwareテクノロジーの知見を収集できる特性を活かして、高い解決率で保守サービスを提供するというもの。 今回は、サービス提供部門の方々をお招きし、このサービスの詳細とメリットとともに、なぜVMware第三者保守を手がけるのかについて深掘りしていきます。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業第三営業部 部長 井上 亜矢子 氏 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業R&E第一営業部 山谷 怜 氏 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業R&E第一営業部 山口 英俊 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社営業本部カスタマーサービス営業部第2グループグループ長 平嶋 英良 突然訪れる保守なしからのリスクをカバーするサービス 平嶋: ブロードコムによるVMware買収、いわゆる“VMware問題”では、多くユーザー企業の間で激震が走りました。大きなインフラコストの上昇を引き起こす要因となったからです。そうした中でIBMは「VMware第三者保守サポートサービス」を提供されている背景をお聞かせください。 山口氏: 買収によって、ライセンスとサポートの考え方が大きく変わりました。従来、ライセンスに関しては、「Perpetual 永続ライセンス」といって、一度購入すれば、期限無制限で永続的に使用する権利が得られました。サポートは、この永続ライセンスに対して有期限で別途契約する形態となっていました。しかし、サブスクリプション・ライセンスへと変更となり、ライセンスは有期のライセンスを新たに買い直すとともに、サポートもライセンスに同梱されることとなりました。したがって、サポートは、ライセンスと同じ期間の権利を買うことが求められることになりました。(図1)。 図1 ”仮想マシンのみ”からコンテナ利用環境へのモダナイゼーション これは、お客様にとって2つのことを意味します。サブスクリプション・ライセンスに移行すればインフラコストの大幅な上昇になり、かといって永続ライセンスにとどまれば、従来のサポート契約期間満了時からサポートが受けられなくなる。つまり、サポートにすき間が生じるリスクが生じます。障害が起きても情報システム部門で対応するという方法もありますが、VMware環境の運用には専門的な知識が必要で、現実的とは言えません。 平嶋: 多くのユーザー企業がジレンマを抱えておられるようです。 山口氏: そうなのです。そこでIBMは、こうした保守なしのリスク運用が生じないように、当社の実績ある第三者保守サポートの枠組みを通じて、経験豊富な技術者チームによるVMware 環境の安定稼働の支援と、コスト最適化効果を提供することを考えました。それが、「VMware第三者保守サポートサービス」です。 このサービスは、これを機に別のインフラ環境へマイグレーションしたり、モダナイゼーションしようと考えるお客様にも有効です。このようなプロジェクトは通常、多くの時間を要します。その間に従来のサポート契約満了日が来てしまうことも考えられ、リスクを避けようとすると、この日に合わせて急いで移行するか、いったんサブスクリプション・ライセンスを受け入れながら、新システムプロジェクトを進めるということになり、新旧インフラコストを負担しなければなりません。しかし、「VMware第三者保守サポートサービス」を利用すれば、既存システムのサポートはこちらでカバーできるため、拙速に陥ることなく、余裕を持ってマイグレーションやモダナイゼーションに取り組むことができます。 井上氏: また、サブスクリプション・ライセンスに移行したけれど、稼働しているアプリケーションの事情で、VMware の古いバージョンを使い続けているという場合もあるかと思います。メーカーではサポートするバージョンが限られているため、サポート契約を結んでいても、それがあまり効果を発揮できないケースがあります。「VMware第三者保守サポートサービス」なら、比較的古いバージョンでもサポートを提供することが可能ですので、こちらを追加でお買い求めいただいてご活用いただく、というパターンもあります。 平嶋: なるほど。様々な状況で、コストを含めて、お客様に安心を提供できるサービスなのですね。 「VMware第三者保守サポートサービス」とは 平嶋: あらためてサービスの詳細をご紹介ください。 井上氏: サービス名称にもある通り、この枠組みではIBMはあくまで第三者であり、メーカーではないため、パッチの提供は行いません。何か事象が起こったときは、お客様からログなどをいただいて、「この設定をこのように変えてください。そうすればこの事象は回避できるはずです」と、事象の回避策を提案します。なぜこのようなことができるかというと、IBMにはグローバルレベルでVMwareのスキル、ノウハウに精通した協業パートナーが存在し、また、様々なお客様において提供したサポートの実績も蓄積しているからです。当社の技術チームがそこから事例やデータの提供を受けながら技術調査を行い、的確かつ最適な回答を追求して問題対応に当たります。ただ、あくまでも立場は第三者であるため、このサービスはベストエフォートでのサポートとなります。しかし、IBMでは、Oracleを含め第三者保守では豊富な実績を誇っており、回避策の提供で解決しない事象はほぼありません。 平嶋: お客様からはどのように相談を受けるのですか。 井上氏: ご相談は24時間365日Web上で受け付けています。対応に当たるのは平日9時から17時になります。 平嶋: IBM製品をお使いのお客様ですと、「システム技術支援サービス」 (System Technical Support Services、以下STSS)をご利用になっているケースもあるかと思いますが、その場合はどうなるのでしょうか。 井上氏: その場合は「IBM サポート・コミュニティ」にご連絡いただければ、STSS側で「これはVMwareの問題だね」と認識して、IBM内部でVMware担当と連絡を取り合って、受付/対応を行います。お客様は窓口を使い分ける必要なく、ワンストップサービスのイメージでご利用いただけます。 図2 IBM VMware第三者保守サポートサービスご提供体制 平嶋: 契約条件などはあるのでしょうか。 井上氏: ライセンス数は“20”から、契約期間は3カ月以上、3年以下とさせていただいています。ライセンス数“20”というのは、日本のVMwareユーザーのお客様を調査したところ、大体平均でこのぐらいの数はお持ちであることがわかり、“20”に設定させていただきました。 平嶋: 契約期間を3カ月以上、3年以下に設定されているのはなぜですか。お客様によっては、もっと長く保守してほしいというご要望があるような気がします。 井上氏: 3カ月以上というのは採算上の問題です。長い分には、5年でも、10年でも保守をお引き受けすることはサービス設計上可能ではあるのですが、あえて3年以下とさせていただいたのには、ここにIBMとしての「思い」があるのです。 次を見据えたシステム移行のための「つなぎ保守」 山谷氏: その「思い」というのは、この第三者保守について、次を見据えたシステム移行を考える上で一つの手段とする、「つなぎ保守」として活用いただきたいというものです。技術革新の著しいITの世界にあって、一つのインフラを長く使い続けるのはあまり健全ではないと私たちは考えています。そのため、あえて「VMware第三者保守サポートサービス」を恒久的に使っていただくことが目的とならないようにと考えています。そこが、他社さんの第三者保守との非常に大きな違いです。お客様にとって重要なのは、この先どのようなインフラが最もふさわしいかを考えることです。一緒に知恵を絞らせていただいてお手伝いしながら、実現するまで既存の環境をお守りする、というのが私たちのスタンスなのです。これは、IBMにはハードウェアでもソフトウェアでも様々な部門があり、多様な支援が可能だからということもあります。 平嶋: VMwareからの移行では、なにかモデルパターンを想定されているのでしょうか。 山谷氏: 移行のパターンはたくさんあると思います。Hyper-VやKVMなど他社製のハイパーバイザーへ移行することもその一つですし、これを機にクラウドへシフトするということも考えられます。お客様によっては非常に大規模で複雑なVMware基盤をお持ちの場合もあると私たちは考えており、一筋縄でいかない環境に対して、新しいインフラをどう構想するか、また移行するか、そして稼働後にどう運用保守していくか、といったところまでご相談に乗ることが可能です。 山口氏: そういう意味では、金融業界のお客様はこう、製造業のお客様はこう、と、お客様の業種・業態によってもさまざまなパターンが考えられるかもしれないですね。IBMは全ての業種・業態のお客様とリレーションがありますので、そうしたナレッジも活かしながら、お客様にヒアリングをさせていただき、システム移行を一緒に検討していければと考えています。また、検討フェーズではパートナー企業の存在、また共創も重要で、ここはNI+C P様に主導権を握っていただければ。「こういう提案をしたい」といただいた声に対して、「それならこのようなソリューションがあります」と応えていきたいと考えています。 余裕を持った最適解の選択をNI+C Pもサポート 平嶋: こうして見ると、「VMware第三者保守サポートサービス」には、大きく4つのメリットがありそうです。1つ目は、 サポート保守なしリスクを伴う運用を防ぎ、万一の障害にも備えられること。2つ目は、 それでいながらコストを最適化できること。3つ目は、ベストエフォートではあるけれど、グローバルレベルでVMwareの高い知見を収集できるIBMの特性を活かした、安心感の高いサポートを受けられること。4つ目は、既存のインフラ環境の“次”を見据えて検討し、実現できるパートナーを持てること。4つ目に関しては、ぜひ当社も貢献したいですね。 山口氏: お客様には、この「つなぎ保守」のメリットを活用し、インフラ環境のマイグレーションやモダナイゼーションに成功していただきたいと思います。 平嶋: インフラ環境の移行は長期的な計画が必要です。このサービスを活用することで「時間」と「安心」を確保でき、拙速を避けて、余裕を持って最適解を選ぶことができます。NI+C Pでは、IBMのハードウェア(保守を含めたサービスやサーバー、ストレージ)とソフトウェア(Storage Fusion、watsonxなど)を組み合わせた最適なソリューションを示すことができます。また、製品の特長やユースケースを分かりやすく説明し、お客様課題の解決策も提案させていただきます。VMware問題でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。 .recommend-list{ margin-top: 0px; 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2025年12月23日

ポストVMwareに有力な選択肢
OpenShiftと IBM Fusionで実現する次世代インフラ基盤

公開日:2025-12-23 ブロードコムによる買収以降、ライセンスモデルの変更で大きなコスト増が懸念されるVMwareライセンス再編。多くの企業が対応に頭を悩ませています。そうした中、ポストVMwareとして注目したいのは、Red Hat OpenShift Virtualization Engineを軸にした新しい仮想化基盤です。 仮想マシンがそのまま移行できるだけでなく、コンテナ環境へとモダナイズもでき、IBM Fusion Softwareと合わせて利用することで、コンテナ・VM・データをスマートに統合管理できます。加えて、ビジネスへの集中度を高めたいのであれば、ハードウェア一体型のIBM Fusion HCIも強力な選択肢です。 今回は、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)倉橋 氏をお迎えし、これからのインフラ基盤が実現すべき方向性についてお話を伺いました。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部ストレージ・テクニカル・セールス 第二部長 倉橋 輝彦 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部テクニカル・サポート部部長 広橋 稔 多くの企業を悩ませているVMwareライセンス再編 広橋: ブロードコムのVMware買収によってライセンス体系が変更になり、その結果インフラコストが高くなるVMwareライセンス再編が大きな話題となっています。コスト負担を軽減したいVMwareユーザー企業は、さまざまな角度から移行先を模索されています。 倉橋氏: ここ最近のシステムインフラのテーマというのは、大きく二つあると思います。一つはインフラをどのようにモダンなものにしていくか、アップデートしていくかというものです。“攻めのインフラ”といえるもので、たとえばコンテナ化がそれにあたり、これはある意味時流だと思います。 もう一つが、外的な要因で再考を余儀なくされることになったVMwareライセンス再編で、このインフラを持つお客様の中では、喫緊に解決したい課題ランキングに必ず入るものになっています。 お客様にとって、より強い動機となるのは後者です。VMwareをそのまま残すのか、それとも他のものに移るのか、今後の方向性を考える中、様々ある選択肢の中の一つにRed Hat OpenShiftがあります。 広橋: Red Hat OpenShiftというと、コンテナというイメージがあります。仮想マシンを動かしているお客様にとって、一足飛びにコンテナへ移るのは敷居が高くないでしょうか。 倉橋氏: あまり知られていないのですが、Red Hat OpenShiftは仮想マシンも動かせるんですよ。Red Hat OpenShift Virtualization Engine(以下、OVE)という新エディションが2025年の初めにリリースされており、これが仮想マシン運用に特化したソフトウェアになります。仮想マシン (VM) のデプロイ、管理、スケーリングに必要な、Red Hat OpenShift の実績ある仮想化機能を提供します。VM ワークロードに特化し最適化されたソリューションにより、必要な機能だけを購入していただけます。VMware環境からの仮想マシンの移行ツールも提供しています。OVEは仮想化基盤としてコスト最適化を狙える選択肢と言えます。 広橋: それなら、「コストを下げながら、そのままの形でどこかへ移れないか」と考えておられるお客様に向いたインフラ環境といえますね。 倉橋氏: その通りです。しかも、OVEは、Red Hat OpenShift Container Platform(以下、OCP)などの上位のエディションへアップグレードすることも可能です。とりあえず仮想化基盤のまま移行するけれども、ひと段落したらモダンな環境にアップデートさせていきたい、つまり“攻めのインフラ”に転じたいという意向をお持ちの場合も多いかと思います。OpenShiftであればハードウェア構成変更、および上位エディションへ変更するためのソフトウェア・インストールの必要がなく、OCPのコアベースのサブスクリプションを追加購入するだけで、コンテナが利用できるようになります。しかも、仮想マシンも、コンテナも、同一コンソール上で管理を行えます。コンテナ開発・運用が習熟してきて、もっとコンテナ展開を進めたいということであれば、OCPベアメタル・ライセンスを購入することで、単一OCPクラスターを構成することもできます(図1) 図1 ”仮想マシンのみ”からコンテナ利用環境へのモダナイゼーション 広橋: インフラの段階的な成長が見込めるというのは良いアイデアですね。 IBM Fusion SoftwareがOVE利用をスマート化 倉橋氏: また、OVEの利用においては、好相性といえる統合ストレージ/データサービスに、IBM Fusion Software があります。OpenShiftに統合されたストレージが利用でき、優れたバックアップ及びリストア機能を有しています。最近、またランサムウェア攻撃が激化していますが、ランサムウェア対策ではデータバックアップが非常に重要な要素です。きちんとバックアップを取って、いざというときはそれを迅速にリストアしてシステム復旧するというアクションが求められる中、Fusionであればバックアップを簡単に取得・リストアできます。特に、IBM Fusion Softwareの管理画面はOpenShiftの中に統合されており、仮想マシンは仮想マシン、ストレージはストレージと、運用が分かれることはなく、一体化した中でオペレーションできるというのが大きなメリットの一つです。 もう少し詳しく説明すると、OpenShift専用ストレージとして働く仕組みとして、Fusion Data Foundation(以下、FDF)というものを持っています。これが内蔵ディスクを使ってストレージを作り出します。冗長化機能に優れており、1台のサーバーに何か障害が発生しても、データは常に複製されているため、問題なくデータを使い続けられます。 また、サーバー内蔵ディスクではなく、外付けのストレージ装置を接続する 3Tier 構成も可能です(Fusion Access)。 IBM Fusion Software はストレージ容量だけを拡張したい、サーバー資源とストレージは分離したい、といったご要望にも応えられます。 広橋: IBM Fusion Softwareを“合わせ使い”すると、OVEでストレージ周りが運用管理しやすくなるのですね。 ビジネスに集中したいならIBM Fusion HCI 広橋: 先ほどお話がありましたが、お客様が将来的にコンテナ環境へのモダナイゼーションを考えておられるとします。お客様自身でコンテナ技術を習得されるのはなかなか難しいのではないでしょうか。 倉橋氏: 確かにそうかもしれません。目指しているのはビジネスのDXであって、別にコンテナ技術が習得したいわけではないと考えるお客様もおられると思います。IBMでは、そういうニーズを酌んでソフトウェアだけで提供するのではなく、ハードウェア一体型のIBM Fusion HCIというソリューションも用意しています。 これは、ストレージ・コンピュート・ネットワークを一体化し、コンテナ環境をオンプレミスで素早く、かつ本番運用レベルで立ち上げられるよう設計されたHCIで、OpenShiftとFusionが同梱されており、ワンパッケージでお客様先にラックマウント、動作検証済みの状態で提供されます。お客様のメリットとしては、設計・構築に時間をかけることなくすぐに使い出せること、ハードウェア、ソフトウェアどちらの問い合わせにおいてもIBMがワンストップの窓口となります。また、IBM Fusion HCI はGPUを搭載するサーバーも選択可能であり、日本国内でAI基盤としての活用事例が増えつつあります。AIとデータのプラットフォームIBM watsonx を動かすために最適化された統合基盤としても位置づけられており、AIモデル実行、データクエリ、AI開発などをオンプレミスで、なおかつ高性能/可用性を持って運用したいという場合に、非常に有力な候補となります。すでにリファレンスモデルがいくつも誕生しており、「こういう使い方をすると有効」ということもどんどんわかってきています。 広橋: すぐさまAIに取り組めるというのは魅力的です。OVE+IBM Fusion Softwareで展開する場合、HCIとして手に入れる場合、それぞれメリット、デメリットはどうなりますか。 倉橋氏: ソフトウェアだけの場合のメリットは、それが稼働する場所を自由に選択できることが一番大きいと思います。好きなハードウェアを選んでいただけますし、クラウドへ移行するというパターンもあると思います。ただし、Openshift の導入、動作検証は、お客様またはIBMビジネス・パートナー様の作業範疇となり(*1)、Openshift のスキルが前提となります。(*1).選択肢としてIBMビジネス・パートナー様やIBMの有償サービスもあります それに対して、IBM Fusion HCIはワンパッケージでお届けでき、ハードウェアもIBMが責任を持ってサポートできるため、お客様は利用することに集中していただけます。他のHCIでコンテナ環境を構築するのに比べ、コストメリットも高いと思います。オンプレミスであるため、パフォーマンスやセキュリティの観点から、クラウドには持っていけないAI/分析用途にも向いています。その一方で、IBM Fusion HCIとして提供しているHWから選択する必要があります。なお、IBM Fusion HCIはGPUの搭載が可能であり、サーバーの選択肢を増やしています。 図2 OVE+IBM Fusion Software VS IBM Fusion HCI 広橋: IBM Fusion HCIは、以前は最小構成がIAサーバー6台だったのが3台になり、PoCプロジェクトなどが行いやすくなり、お勧めしやすくなりました。 インフラの未来に思いを馳せて、動き出しましょう 広橋: こうして見ると、「まずは仮想化基盤を移せれば良い」「VMwareからの移行でインフラコストの最適化を図りたい」というお客様には、OVE+IBM Fusion Softwareでの提案が、「すでにコンテナ移行を見据えている」「AIを積極的に使っていきたい」というお客様には、IBM Fusion HCIでの提案が適しているようですね。日本のお客様の現状を考えると、前者の方がより当社の貢献機会が多そうです。IBM公式のラボ環境であるIBM Technology Zoneを有効活用して、提案活動を進めていきたいと思います。 図3 モダナイゼーションに最適な次世代プラットフォームIBM Fusion 倉橋氏: 情報提供という観点では、日本IBMのストレージチームが立ち上げたCommunityサイト IBM TechXchange Japan Storage User Communityというものもあります。そこには、IBM Fusion SoftwareやOpenShift Virtualizationのデモ動画を豊富に掲載しており、例えば、仮想マシンの作成方法や、OpenShiftを購入すると無償で同梱されるマイグレーションツールを使ったデータ移行方法など、パートナー企業様やユーザー企業様で便利に活用いただけるtipsを提供していますので、こちらもご活用いただければと思います。 広橋: 最後に、VMwareライセンス再編に立ち向かわれているお客様にメッセージをお願いします。 倉橋氏: 続けるか、辞めるのか。辞めるとしたら次をどうするのか。選択肢はたくさんあると思います。ここで一度、インフラの未来に思いを馳せて、じっくり考えていただくことが一つの起点になるのではなると思います。 そうしていただくと、現状を維持するだけではない、例えば、もう少しスマートな環境が欲しい、AI強者になりたいなど、“攻めのインフラ”についてお考えが浮かぶのではないかと思います。その“攻め”の部分に、OpenShiftやIBM Fusionは最適な仕組みであると確信しています。ぜひそうした取り組みをパートナー企業さまとともにご一緒させていただきたく、ご質問、議論の場など、何なりとお申し付けいただければと思います。 広橋: ありがとうございました。 .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 16px; font-weight: 700; color: #9b9b9b; border: none; padding: 0; margin-bottom: 10px; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; 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2025年06月09日

安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(後編)

Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管されて丸6年が経ちました。 Domino は、高い開発生産性と堅牢性を兼ね備えたアプリケーション基盤で、長きにわたり企業の業務効率化を支えてきた歴史ある製品です。一方、重ねてきた実績の分だけ、バージョンアップに対する課題も垣間見えます。 今回は、エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware のテクニカルリードである松浦光様に HCL Domino のビジネス状況や今後の展開など、多岐にわたり話を伺いました。(本ページは後半です[前半も公開中]) 対談者 【ゲスト】 エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware テクニカルリード 松浦 光 様 【インタビュアー】 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション企画部 松田 秀幸 ※対談者情報は2025年6月9日時点 新バージョン V14.5 が刻む新たな一歩 生成AI を Domino の中に ── この夏に新バージョンの出荷が予定されていますね。 松浦: はい、2025年6月にバージョン V14.5 の出荷が予定されています( *2025年6月17日に出荷されました )。 ── V14.5 のポイントは何でしょうか? 松浦: 目玉の1つとして、Domino の中に AI を持つ「Domino IQ」 という機能がリリースされます。 なぜ、わざわざ自社で生成AI を持たなければいけないか、と思われる方もいると思いますが、理由の1つはセキュリティです。 Domino と生成AI の統合「Domino IQ」 自社のベストプラクティスを得られる ── 「Domino IQ」は、どのようなものでしょうか? 松浦: 完全にローカルで生成AI を持つことで、機密度が高い自社の情報についても問い合わせできるようになります。 加えて、自社の Domino を20~30年使い続けているお客様は結構多く、その積み重ねた情報に注目しています。そこで、今まで溜め込んだナレッジを生成AI に教え込み、ベテランの方が持つナレッジや自社のベストプラクティスを回答する生成AI を作っていく 流れですね。 このような利用も考えて、Domino IQ を開発しています。 ── 生成AI のモデルは、HCL で作っているのですか。 松浦: HCL で開発しているわけではなく、オープンソースの LLM を使っています。今ベータ版で使えるのは、Meta社の Llama3.2 などです。 ゼロから HCL で作ったものではなく、もう既に賢く育てられた LLM を使える点が大きな強みの1つだと思います。RAG を使って LLM に足りない情報を学習させられるようになるので、自社のデータベースで蓄えていた情報を AI が活用できるようになります。 Domino による生成AI の活用方法 ── RAG による拡張はキーになりそうですね。 松浦: Domino に溜まっている色々な情報やデータを社外や国外の生成AI に出さなくても、Domino IQ で新しい使い方が可能です。 ── Domino と生成AI の組み合わせで業務効率も向上しそうですね。 松浦: Domino は、業界用語や社内用語なども扱える 『生き字引き』のような人に代わる存在になっていき、皆さんの業務を支えられる のではないかと考えています。 REST API による効率的なシステム間の連携 ── フロントエンドの作り込みはどうでしょうか。例えば、チャットボット以外の入口を作る必要はありますか? 松浦: フロントエンドは何でもいいと考えていて、様々な Web やモバイルアプリに組み込むこともできますし、Notesクライアントが好きであれば Notesクライアントでもいいですし、Nomad Web でもいいと思います。Nomad Mobile というスマホやタブレット向けの Notesクライアント相当のものもあるので、それを使ってもいいですね。 ── 他社システムとの連携はどうでしょうか? 松浦: 前半でも少し触れたディレクトリサービスの連携だけではなく、REST API で他社システムと繋ぐことも想定しています。例えばフロントエンドとしては、チャットボットはもちろん、それ以外にも様々なシステムから入力してもらうこともできます。 Domino IQ 用に設定された Domino Server は、Dbserver プロセスから推論エンジンを起動する。(画像クリックで拡大)(出典:HCL Software|Configuring / Configuring users and servers / Domino IQ) 松浦: オープンソースの LLM を Dominoサーバーのデータディレクトリの下にインストールし、アプリケーションからの参照は、簡単な Lotus Script の読み込み・書き込みという2つのメソッドで問い合わせる仕様です。 先程も触れましたが、既存の LLM を使える点は大きな強みだと思います。 バージョンアップの鍵は互換性の安心感 新旧バージョンの互換性は移行チェックツールで担保する ── 互換性を気にされる方が多いと思いますが、いかがでしょうか? 松浦: 12.0.1 については 64bit対応、Open Java への変更があり、10 から 14 のタイミングで足回りをアップデートしました。その対応も含めて確認したところ、アプリケーションの互換性に関しては問題はありませんでした。 それでも互換性に懸念をお持ちのお客様には、NotesConsortium(ノーツコンソーシアム)で会員特典として利用できる移行チェックツールの使用も検討していただきたいと思います。 NotesConsortium(ノーツコンソーシアム) Domino に関する様々な知識やノウハウを交換、蓄積して会員同志で共有するユーザーコミュニティ 引用 以前のバージョンの環境で動作していたプリケーションの互換性(@関数/LotusScriptのみ) をチェックするツール、アプリケーションコードチェッカー(NDACC)をご提供しています。 カンタン移行判定ツールもご利用頂けます。 引用元:NotesConsortium「会員の特典」|移行支援ツールの提供 移行チェックツールとその効果 ── 実際に 9、10 から、V14、V14.5 へのバージョンアップは、移行チェックツールで試した場合の非互換はどれぐらいでしょうか。 松浦: 非互換はほとんどありません。 一言で非互換といっても、インパクトの程度は異なります。少し見た目が変わってしまうといった軽微なものから、挙動が変わってしまうという大きなものまであります。 移行チェックツールも過去20年以上の歴史があり、インパクトが小さい内容もチェックする仕組みでしたが、今はインパクトが小さい内容はチェックから外せるようになりました。 ── 非互換性の影響が少なく、迅速かつ正確な対応が可能であれば、安心してバージョンアップできますね。 松浦: もちろんインパクトの大小に関わらずチェックすることもできるので、気になる方は互換性に関するすべての内容を把握できます。すべてを確認していただいても、大きな影響を及ぼすような非互換はほとんどない と思います。 バージョンアップ vs 他社製品への移行 バージョンアップはしないが、移行もしない ── 前半にも話があったとおり、Domino の旧バージョンを利用されているお客様は多いようですね。 松浦: はい、旧バージョンのまま利用されているお客様も多いです。やはり、「バージョンアップをしなくても現状で満足」というのが理由 だと思います。 ── 一方で Domino から別製品への移行を検討されるお客様の声も聞きます。他製品への移行が検討される理由についてはいかがでしょうか。 松浦: DX を旗印に企業の形を大きく変えたいと思われた時に、エンドユーザーが日々使う情報系システムを刷新するのは象徴的だと思います。特に社外から新しい CIO が来たという様なケースだと顕著です。 引用 DX推進の際の障壁としては、「投資するための予算確保が少ない」が最も多くなっており、今後DXをさらに推進していく上で、約4割が「IT投資にかかる予算の増加」に取り組みたいと回答しました。 引用元:一般社団法人 中小企業個人情報セキュリティー推進協会「アンケート調査レポート」|「DX推進に成功している経営者」の実態調査アンケートの結果について ── DX の観点はひとつの肝かもしれませんね。 松浦: Web対応やモバイル対応、AI対応への再投資に対して、もっと価値を出していけるのではないかと考えています。 ── ただ、基幹的な情報系システムだと、気軽に移行するわけにはいかないですよね。 松浦: 他社ツールへのスイッチングコストの中には教育費を含め色々なものが発生するので、それだけお金をかける価値があるのかということに悩みながら検討されていると感じます。 やはりコストが大きいということで、移行ではなく共存で落ち着く ことがかなり多いですね。 HCL Domino の運用事例 内製化で自社の強みを生かしたDXを実践(日経XTECH) 20年で培ったデジタルカイゼンの文化 エームサービスの現場とIT部門をつなぐNotes(ZDNET Japan) 結論!バージョンアップが最適解 ── 他社製品への移行リスクや未知のコストも考えると、Domino を利用し続けるのがよさそうですね。 松浦: 異なる基盤でも併用して共存でき、互換性も担保されている ので最新バージョンアップでの利用をお勧めします。 ── ここまでの話以外で、他社製品への移行が検討される理由はありますか? 松浦: お客様から、Notesクライアントの強力な機能は変わらずご評価いただきながらも、そのインストールやセットアップなどの運用管理はやはり大変だ、という声もいただいております。 ── 最新バージョンでも同様でしょうか? 松浦: 最新バージョンでは改善されています。具体的には、V14 では ブラウザベースで Notesクライアントとほぼ同じようなことができる「HCL Nomad」という機能があります。特長は、専用Notesクライアントのインストールが必要ない点と、ブラウザベースなので複数の端末から使っていただける点です。 ── 「今までNotesクライアントでしかできなかったことが、Web でもできるようになる」ということでしょうか? 松浦: 例えば、Excelマクロを使った帳票の集計業務などですね。これまでは、Notesクライアント内でオフィス系のアプリケーションを起動するようなものは、ブラウザのセキュリティ制限によりブラウザからの利用ができませんでした。 しかし、2025年6月に出る新バージョン V14.5 は「HCL Nomad Web」が COM をサポートするのが目玉機能の1つで、Nomad Web から Excel や Word や PowerPoint を起動してマクロ実行などができるようになります。 ── V14.5 における進化の1つですね。 松浦: はい、バージョンアップの利点ともいえます。 すでに、以前から使用されているお客様がトライアルを始めている という状況です。 バージョンアップを推奨する理由 新旧バージョンの互換性を担保している。 コミュニケーション基盤が別製品でも、Domino を併用できる。 Domino IQ の実装/HCL Nomad Web の COMサポート HCL Domino について問い合わせる 今後の戦略 V14.5 は 描いたロードマップの答え合わせになるバージョン ── 今後の HCL の Domino のロードマップ、戦略はどのようになっているでしょうか。 松浦: この夏に出荷予定の V14.5 では実行環境のアップデートやスマホ・Web対応の進化や生成AI連携など、HCL になってから大きく描いたロードマップの答え合わせになるバージョンです。 アプリケーションを作り、うまく使ってもらう というのが、Domino の軸になっていると思います。Notesクライアントで動くアプリケーションから Webブラウザやモバイルで動くアプリケーションまで、様々なものがあります。それらを支えていくというのが Domino の DNA です。 ── 確固たる理念と設計思想があるのですね。支えるためには、Web対応や生成AI連携なども見越した拡張性も重要だと。 松浦: 作成したアプリケーションを拡張していくという方向性として API連携が挙げられます。Domino だけで全ての業務が回るとは考えていないので、周辺の製品サービスとの連携が簡単にできる というのがポイントの1つです。 兄弟製品に繋げる二段構えの展開 ── バージョンアップ以外での、ビジネス戦略は何かありますか? 松浦: アーキテクチャは異なりますが、開発環境の観点も含めれば兄弟製品といえるものがあります。 例えば Volt MX という製品には、モバイルOS を含む様々なプラットフォームのネイティブアプリケーションを作る機能があり、単一の開発環境で作成できます。 ── 開発するアプリケーションによって、戦略の幅が広がりますね。 松浦: Volt MX は一例ですが、プラットフォームを問わず使っていただけるような 本格的なアプリケーションについては兄弟製品 に繋げていく、という二段構えの戦略を考えています。 ── 兄弟製品への横展開…Domino が秘めるビジネスの可能性といえそうですね。 松浦: 今後のロードマップは、我々が描いた V14.5 の評価をユーザーから得ながらアプリケーションの軸はぶらさずに兄弟製品と補完しながら作っていく予定です。 ── Volt MX 以外に、どのような兄弟製品がありますか? 松浦: Nomad Web Designer、Domino Leap という製品があり、どちらもブラウザで動きます。 Domino Leap は、エンドユーザー様が『ITの専門知識を必要とせずに簡単にアプリケーションを作成したい』というローコードの需要を補完できるツールとして位置づけています。 Nomad Web Designer は今まで Windows PC でしか提供されなかった Domino Designer を MacOS でも同じように使えるようにしたイメージです。 ── いくつもの製品があり今後の展開も楽しみですが、まずは V14.5 からですね。 松浦: 旧バージョンをご利用中のお客様においては、まず他社製品との連携までかと思っています。 今は塩漬けの状態で、Domino の中だけで流通している情報があると思うので、それを他のシステムにも流通させてもらいたいですね。 1つの製品内だけでは情報の流れが停滞することもあると思います。業務の活性化のためにも、他社製品やAIとうまく連携し Domino を『情報の流れを淀ませないような解決策』という位置づけ に持っていきたいという思いもあります。 HCL 様からのメッセージ 過去にとらわれない新たな事例でアプローチ ── 長年 Domino を販売されているパートナー様に、特にお伝えしたいことはありますか。 松浦: HCL に移ってから使っていただいてるお客様から、「色々なツールを使っているが、やはり Domino は凄く良い製品だよね」という声をいただくことがとても増えている気がします。 お客様がやりたいことに耳を傾けると、今までにない新しい使い方 もどんどん出てきます。 弊社サイトで公開しているお客様事例にも掲載しているので、Domino を長らく販売していただいているパートナー様はもちろん、Domino の販売に興味をお持ちの企業様にも、ぜひご覧いただければ嬉しいです。 Domino はかゆいところに手が届く業務アプリを作るには最適なツールだと思うので、そこを強みとしてどんどんビジネスを仕掛けて欲しいと思っています。 インフラの観点においても、堅牢でパフォーマンスのいい製品に仕上がっていますし、他の SaaS製品との連携も充実しているので、「今までの Domino ってこうだよね」という枠の中だけで考えずに 販売していただきたいと思います。 V14.x を避けて V12 にする意味はない ── では最後に、Dominoユーザー様、パートナー様へのメッセージをお願いします。 松浦: Domino に限らず、バージョンアップの際は『どのバージョンにするか』を迷われるケースがよくあります。 今回のバージョンアップは V14.5 と刻まれたバージョンなので、V14 や V12 という実績があるバージョンを検討したいと思われるお客様もいるかと思いますが、この度 V14.0 の非互換検査をしたところ、12.0.1以上であればアップデートされたプラットフォームとして動作が変わらないことが分かりました。つまり、『14.5 もしくは 14 を避けて V12 にする意味はない』 ということなので、ぜひ最新バージョンを検討していただきたいと思います。 14.5 も新機能を使わなければ 14 と同じような挙動なので、保守期間が残っている新バージョンを使っていただいて、興味のある新機能にトライしていただくのが良いのかなと考えています。 ── 本日はありがとうございました。 HCL Domino について問い合わせる まとめ ここまで HCL Domino の新バージョンや今後の展開など、多岐にわたり HCLSoftware 松浦様にお伺いしてきました。 最後に、前半の話を含め HCL Domino の特長となる強みとバージョンアップを推奨する理由をまとめます。 HCL Domino の強み 高い開発生産性と堅牢性 簡潔で迅速なアプリケーションの開発。 長期的に使用されることに適した、運用の安定性。 優れた互換性と柔軟性 チェックツールにより、新旧バージョンの互換性を担保している。 古いバージョンのデータやアプリケーションも最新バージョンで動作可能。 コミュニケーション基盤が別製品でも、Domino を併用できる。 新バージョン V14.5 の新機能「Domino IQ」 セキュリティを確保しながら自社データを活用した生成AI の活用が可能。 過去のナレッジを活用し、業務改善を支援。 Domino の現状とバージョンアップを推奨する理由 Domino の現状 Domino は35年以上にわたり利用されている製品で、現在も市場は活況。 ユーザー数は多く、旧バージョンのまま利用される「塩漬け運用」も多い。 バージョンアップを推奨する理由 サポートが終了したテクノロジーへの脆弱性対応として必要。 新旧バージョンの互換性を担保している。 Domino は他社製品との共存が可能。 新バージョンは V14.5で、新たな機能が追加された。 (本ページは後半です[前半も公開中]) HCL Domino について問い合わせる このページを見ている人におすすめのページ 安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(前編) HCL Domino 製品紹介ページ Com-PASS Cloud|Domino Notes アプリのお預かりサービス .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 16px; font-weight: 700; color: #9b9b9b; border: none; padding: 0; margin-bottom: 10px; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A 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2025年06月09日

安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(前編)

Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管されて丸6年が経ちました。 Domino は、高い開発生産性と堅牢性を兼ね備えたアプリケーション基盤で、長きにわたり企業の業務効率化を支えてきた歴史ある製品です。一方、重ねてきた実績の分だけ、バージョンアップに対する課題も垣間見えます。 今回は、エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware のテクニカルリードである松浦光様に HCL Domino のビジネス状況や今後の展開など、多岐にわたり話を伺いました。前半では「Domino の現状」を中心に、後半では「新バージョンの登場と互換性」をテーマにバージョンアップについてより具体的に語っていただきました。(本ページは前半です[後半も公開中]) 対談者 【ゲスト】 エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware テクニカルリード 松浦 光 様 【インタビュアー】 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション企画部 松田 秀幸 ※対談者情報は2025年6月9日時点 HCL Domino の現状 製品の変遷と現在のビジネス状況 ── Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管(2019年7月)されてからも丸6年が経ちました。今、HCL としての Domino のビジネス状況はいかがでしょうか。 松浦: 現在も利用していただいているユーザーも多く、市場としては活況です。 見た目や使い勝手も含めた新機能が多く実装されてきた点、バージョンアップのサイクルが非常に良いペース で進んできている点が、ユーザー様、パートナー様から製品投資として評価をいただいてます。 一方、Domino のクラウドに対する対応が SaaS としてではなく Amazon や Google などのクラウドキャリアとの協業による提供に主眼をおいているので、その点が他の SaaS型コミュニケーションツールと比べてもう少しなんとかならないかという声は未だにいただいている状況です。 ── Domino のクラウドに対して、SaaS型コミュニケーションツールとしても期待もされているということですね。 松浦: 運用に関する負荷を下げたいということだと思います。 加えて人材確保やノウハウ継承などの課題に対し、生成AI との連携など新しい領域へのチャレンジがトレンドになっています。 旧バージョンでの利用も多い ── バージョンアップのサイクルといえば、多く利用されているバージョンは何でしょうか? 松浦: お陰様で現時点の最新バージョンである V14 が順調に立ち上がっています。ただ実は、特定のバージョンでいわゆる『塩付け運用』をされているお客様も多くいます。 そのような状況の中で1点、昨年末にあったケースについてお話しさせてください。 2024年12月13日に重要障害が発生し、多くのお客様と関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしました。大変申し訳なく思っております。この場を借りて、お詫び申し上げます。 対応として修正モジュールの適用をお願いしておりますが、実はこの障害は35年前のコードに含まれていたもので、Domino のすべてのバージョンで発生していました。 そのような中で、Domino の塩漬け運用をされているお客様、他社移行の事例記事になっており HCL とまったくお取引がないお客様からもお問い合わせをいただいています。 ── 古いバージョンのまま Domino を利用され続けているユーザー様もまだまだ多くいらっしゃる、ということが分かったのですね。 松浦: はい、良くも悪くも先ほどお話したような状態で、HCL と最近お付き合いがないお客様からもお問い合わせをいただくケースがありました。 古いバージョンを利用する際の注意点 ── 古いバージョンのまま利用することへの懸念は何でしょうか? 松浦: Java など サポートが終了したテクノロジーへの脆弱性対応 が懸念されます。 また、旧バージョンでは DXに対して十分な役割を果たせるとは言い難いです。新バージョンでは Web対応やモバイル対応、AI対応での活用もイメージしています。 例えば、新バージョンである V14.5 には、Domino と生成AI を統合した機能もあります。 ──『塩付け運用』をされた場合、サポート面はどうでしょうか。 松浦: 多くの塩漬け運用されているお客様からの声をお聞きすると、サポートが終了したバージョンで安定運用ができていたというのが Domino に対する今までの理解だったと思いますが、今回のようなことだけでなく、脆弱性対応も必要になるので、やはり サポートを受けられるバージョンの必要性 を意識していただけたのではないかと考えています。 Domino が選ばれ続ける理由 情報系基幹システムとしての性能と安定性 ── 旧バージョンでの利用も含め、Domino が利用され続ける理由は何でしょうか? 松浦: 情報系の基幹システムとして必要十分な機能を備えている点が大きいですね。 Domino が誕生した当初から兼ね備えており、「バージョンアップをしなくても現状で満足」というユーザーがいらっしゃる理由になっています。 ── Domino が古いまま使用されるのはなぜか、この点をより詳しくお聞かせください。捨てられないけれどバージョンアップもしない、というのは、なぜでしょうか? 松浦: 例えば、四半世紀前のデータがそのまま最新バージョンでも読み込めるなど、下位互換、上位互換性が非常に高い。動いてしまうがゆえに、使えてしまう。 便利に使っていただけるのはいいことなのですが、やはり15年前、20年前に作ったアプリケーションなので、見た目が古くなってくるというのは当然あります。 Domino でのアプリ開発の優位性 ── 一般的な市場感として Domino はすでに別製品に移行されてしまったという風潮もありますが、いかがでしょうか? 松浦: Domino はアプリケーションの開発生産性が非常に高い製品 だというのは、市場の評価として強くあります。 同じようなアプリケーションを、例えば SaaS型の Webベースの他製品、ノーコードの製品やローコードの製品に切り替えることにチャレンジされているお客様はいらっしゃると思うのですが、なかなかうまくいかないということを伺っております。 ── うまくいかないというのは? 松浦: その製品が悪いとか機能が足りないという話ではなく、Domino だと簡単にでき過ぎてしまうということで、エンドユーザーの満足度を得られないというのが1つの原因だとお客様はおっしゃっています。 他社製品と共存できるメリット ── メールはもう SaaSメールに移行しているという話はよく聞きますが、アプリケーションについては Domino の利用を続けているということでしょうか? 松浦: コミュニケーション基盤に関しては、在宅勤務やリモートワークが一般的になったので、好みの Web会議サービスに付帯したものへ切り替えたというお客様はいらっしゃると思います。 ただ、先ほどの話にあったように、アプリケーションはなかなか切り替えるのが難しいというのがあります。アプリケーション利用のために Domino が残っているというケース、共存されているというケースなど、多々あると思います。 ── Domino 以外のコミュニケーション基盤とアプリケーション基盤としての Domino を併用し、いわば一つのシステムとして使えると。 松浦: はい、その通りです。コミュニケーション基盤は別の製品を、アプリケーション基盤としては Domino を使っている 事例を、弊社ホームページにも事例記事として掲載しています。 ── コミュニケーション基盤とアプリケーション基盤でそれぞれのいいいとこ取りをされているのですね。 松浦: Domino と他製品が共存ができることは、バージョンアップの観点でも大きなポイントだと思います。 ──「基盤が2つあると運用管理も2倍になるのか」という疑問も出そうですが、どのような運用が可能でしょうか。 松浦: コミュニケーション基盤では、例えば1人に1つメールアドレスを発行するのが一般的だと思います。その場合、そちらのディレクトリシステムをメインにし、Domino は二次ディレクトリとして運用することもできます。 また、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)参照で認証委託をさせることもできますし、Dominoディレクトリと他のディレクトリ…例えばAzure AD(Azure Active Directory)のようなディレクトリサービスと連携させて運用している事例も多くあり、各社のやりたいことと運用負荷のバランスを考えて様々な方法がとれます。 なぜ Domino のバージョンを上げないのか 高い互換性が仇になっている?「動いてしまう」ジレンマ ── 互換性が高いということは、バージョンアップの障壁が低いともいえますね。 松浦: 互換性の高さは、単に過去のデータが「動く」以上の価値を提供していると考えています。 もし他社製品に移行する場合、往々にしてデータ移行が膨大なコストや技術的課題を伴い、互換性の問題が原因で取り残されたデータが発生するケースも見受けられます。Domino の場合、こうした課題を意識することなく 過去の資産を活用し続けることが可能 であり、移行リスクや未知のコストを回避 できる点でも独自の競争力を持っています。 ── 一方で、見た目を新しくすることは、バージョンアップの動機にはならない。 松浦: 見た目を新しくする機能もリリースはしていますが、そこに手をつけるよりは塩漬けで使ってしまおう、その方がお金がかからずに済む、ということで、古いバージョンのまま使うという決断をするお客様もいるのかなと思っています。 ── 確かに Notesクライアントだけを見たら、そんなに大きく変わらないですよね。 松浦: アーキテクチャは変わらないですし、Windows で動いてしまえばクリティカルな障害もなければ、上げる理由も作れなかったというところです(笑)。 最新バージョンは、バージョンアップをする理由になるか ── 大きな障害がなく動かせる状況の中で、上げる理由は何かとなると「最新バージョン V14 で何ができるのか」でしょうか。 松浦: そうですね。お客様が最新バージョンに上げる理由としては DX が多い印象です。再投資をする際の Web対応やモバイル対応、AI対応があります。そのようなところで、もっと価値を出していけるのではないかと考えています。 ── V14.5 については、後半でさらに詳しくお聞かせください。 松浦: 最新バージョンには、Domino と生成AI を統合した機能もあります。V14.5 は、大きく進化した面もあるので是非語らせてください(笑)。 ── 楽しみにしています(笑)。後半では、新バージョン V14.5 の新機能やアップデート、互換性についてお聞かせください。 HCL Domino について問い合わせる まとめ ここまで Domino の現状について、HCLSoftware 松浦様にお伺いしてきました。 最後に、前半のまとめと後半のトピックをご紹介します。 前半のまとめ Domino の現状 Domino は35年以上にわたり利用されている製品で、現在も市場は活況。 ユーザー数は多く、旧バージョンのまま利用されるケースも多い。 長期的に利用される理由は、高い開発生産性と安定性。 利用され続ける理由 Domino は情報系基幹システムとして必要十分な機能を備えている。 高い下位互換性と上位互換性があり、古いデータやアプリケーションが最新バージョンでも問題なく動作する。 旧バージョンの課題 特定バージョンを使い続ける「塩漬け運用」が多く、安定性を理由にアップグレードしないユーザーが多い。 古いままでもシステムが動作するため、アップグレードの動機になりにくい。 見た目の改良も費用対効果が低いとして、アップデートしないケースが多い。 Domino のバージョンアップと他社製品への移行 Domino は他社製品との共存が可能。 新バージョンは V14.5で、新たな機能が追加された。 DX領域での価値提供が、バージョンアップの理由となる可能性を秘めている。 次回予告 後半では、より具体的に新バージョン、互換性についてお届けします。 新バージョン V14.5 の機能はもちろん、今後のビジネス戦略も語って頂きました。 新バージョン V14.5 が刻む新たな一歩 生成AI を Domino の中に Domino と生成AI の統合「Domino IQ」 自社のベストプラクティスを得られる Domino による生成AI の活用方法 REST API による効率的なシステム間の連携 バージョンアップの鍵は互換性の安心感 移行チェックツールとその効果 新旧バージョンの互換性は移行チェックツールで担保する バージョンアップ vs 他社製品への移行 バージョンアップはしないが、移行もしない 結論!バージョンアップが最適解 今後の戦略 V14.5 は 描いたロードマップの答え合わせになるバージョン 兄弟製品に繋げる二段構えの展開 HCL 様からのメッセージ 過去にとらわれない新たな事例でアプローチ V14.x を避けて V12 にする意味はない (本ページは前半です[後半も公開中]) HCL Domino について問い合わせる このページを見ている人におすすめのページ 安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(後編) HCL Domino 製品紹介ページ Com-PASS Cloud|Domino Notes アプリのお預かりサービス .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 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2024年12月18日

パッチ配信だけじゃない、HCLが語るこれで分かる「HCL BigFix」のすべて

IBM から HCLSoftware に移管されて丸5年が経った「HCL BigFix」。 HCL BigFix はさらなる進化を遂げ、従来からの強みであるパッチ配信のみならず、脆弱性を可視化して是正するプロセスも含み包括的なサイバーハイジーンソリューションとして高い評価を得ています。 今回は、エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware の BigFix セールスディレクターである鉄村季哉様に HCL BigFix のビジネス状況にどのような変化があったのか、どのように進化してきたのかなど、多岐にわたり話を伺いました。 対談者 【ゲスト】 エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware BigFix セールスディレクター 鉄村 季哉 様 【インタビュアー】 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション企画部 松田 秀幸 ※対談者情報は2024年12月18日時点 セキュリティの現状と HCL BigFix 高評価ポイントは、使いやすさ・正確性・セキュリティ ── HCL BigFix が IBM から HCLSoftware に移管されて丸5年が経ちました。HCL BigFix のビジネス状況を教えていただけますか。 鉄村:HCL BigFix は毎年右肩上がりの成長を続け、多くの企業様、業種でご導入いただいています。HCL BigFix は急速に技術革新を遂げ、特にセキュリティエリアでの強化が顕著でした。元々パッチ配信に強みを持っていましたが、EDR(Endpoint Detection and Response)、SIEM(Security Information and Event Management)、脆弱性管理など、セキュリティの様々な側面にも対応できるようになりました。ゼロトラストの強化やランサムウェアへの対策も進み、最新のセキュリティパッチを適用することで外部からの攻撃を防ぎ、脆弱性を可視化して是正するプロセスも含まれています。これにより、HCL BigFix は単なるパッチ配信ツールではなく、包括的なサイバーハイジーンソリューションとして進化しています。 ── このような進化を遂げる中で、特に印象的な事例があれば教えてください。 鉄村:自動車業界や家具製造業など、多くの企業が脆弱性管理機能に注目し、HCL BigFix を導入しています。テクノロジーソリューションの評価とレビューが掲載される Gartner Peer Insights においても ユーザーから高く評価 されています。特に 使いやすさ、正確性、セキュリティについては、他社の類似製品に勝る良い評価 をいただいています。 ── HCLSoftware といえば、特に日本では Domino のユーザー様が多くてそのイメージが強いですが、HCL BigFix は HCLSoftware Japan のビジネスとしては現在どのような位置付けでしょうか。 鉄村:確かに Domino のイメージは強いと思います。しかし、Domino 以上に HCL BigFix も成長をしております。現時点では Domino と同等、または業種によっては Domino 以上に製品を導入してるお客様が多くなっています。 脆弱性を可視化して是正する ──「脆弱性の管理」という観点からも新しい機能が付加されたのですね。 鉄村:その通りです。ゼロトラストの強化やランサムウェアの高度化、ハイブリッドな環境への対応が課題となっています。HCL BigFix はこれらの課題に対するソリューションを提供しています。例えば、最新のセキュリティパッチを OS やアプリケーションに適用し、外部からの攻撃を防止します。また、脆弱性を可視化して是正するプロセスも含まれます。外部脅威が増え、インフラネットワーク端末に対してのアタックが多岐に渡ってくるのですが、その中で HCL BigFix ができることが衛生管理(サイバーハイジーン) です。管理されている端末に対して最新のセキュリティパッチをあてて、それが OS であったりアプリレベルで最大限、外部からのアタックを防止します。とはいえ、ゼロトラストであっても必ず悪さをするものです。セキュリティホールを突いてアタックしてくるものがあるので、それも可視化して是正するというプロセスを踏めるのが HCL BigFix です。 ── パッチ配信のみならず様々なセキュリティの課題も広まってきており、それに迅速に対応されているということだと思いますが、特に直近で印象的な事例はありますか。 鉄村:セキュリティ製品なのでお客様名は開示できませんが、例えば自動車業界で HCL BigFix の脆弱性管理機能に目をつけて導入していただいたり、大手の家具製造業様でも脆弱性診断に関心を持たれて導入していただいています。これらのお客様はいくつかの他社製品もご検討されていましたが、先程 Gartner Peer Insights でも HCL BigFix が特に評価されている使いやすさ、正確性、セキュリティーの観点から HCL BigFix を選ばれたとのことです。 他社製品も補完する強力なパッチ配信 業界一高いパッチ適用率を実現できる理由 ── とはいえ HCL BigFix の最大の特長といえば、やはりパッチ配信・ソフトウェア配信でしょうか。 鉄村:HCL BigFix のパッチの適用率は、業界でも一番の適用率を誇っています。 その適用率は 98パーセントですが、言ってみれば「1回やれば1回であたる」。パッチをあてると簡単に言っても、うまくいかないことが多々あり、例えば他社のものでは大体6割程度と言われています。つまり約2回に1回程度は失敗しており、パッチ1つあてるだけでも多くの工数が必要になり無駄な時間が生じます。一方 HCL BigFix の場合、その ターゲットになったパッチに関しては必ずあてられる、完遂できる といったメリットがあります。 ── その適用率 98パーセントをどのように実現しているのかを簡単にご説明いただけますか。 鉄村:通常ですと、管理サーバーからパッチをあてたい管理端末に対してあてにいく「プッシュ型」と呼ばれる手法が取られています。その失敗の理由としては、一度パッチをあてて失敗すればもう一度最初からやり直し、つまりゼロスクラッチになってしまうという仕組みであるためです。それに対し HCL BigFix の強みは、管理サーバーからのプッシュでありつつ、一方で端末には軽いエージェントを導入し、このエージェントがネットワークに繋がっていないオフライン時は何もせず、オンラインになった時点で必要なパッチを自律的に取りにいきます。これを「プル型」と言います。HCL BigFix はプル型・プッシュ型の双方向でコミュニケーションを取る ので、必ずパッチをあてられます。 ── 端末がネットワークに繋がっていない時にプッシュだけしていても、いつまでもパッチ適用されない。しかし繋がった時に端末側からプルで自律的に取りに行くので、必ずパッチ配信作業が行われることになる、ということですね。 必ずパッチをあてる HCL BigFix の独自機能 鉄村:また他社製品にはない「帯域制御機能」があります。例えばパッチをひとつあてるにしても、場合によってはそのネットワークの環境が細くあてられないといったことも多々あります。HCL BigFix の場合だと 帯域制御機能を利用し、10 の帯域があるところにその 0.5 だけパッチのための道を確保する、というイメージです。 ── それは例えば、在宅勤務で人によっては太い回線で契約してる人もいればそうじゃない人もいる。細い回線環境の人が仕事をしていたら突然パッチが配信されて、PC のパフォーマンスが急に落ちて仕事ができなくなる。そのようなことも解消できるのでしょうか。 鉄村:まさにおっしゃる通りです。本当に細いネットワークを使わざるを得ない場合でも、パッチをあてる道として帯域を確保しておけば、時間はかかってもしたとしても必ず完遂するというのが大きいと思います。 WSUS 廃止に対する HCL BigFix の強み ── マイクロソフト様は WSUS の廃止をアナウンスされていますが、HCLSoftware としてはこの点についてはいかがでしょうか。 鉄村:以前から、WSUS は必ずしも初回のパッチ適応ではあたりきれないことがありました。HCL BigFix ではプッシュ&プル型の構成となっておりますので、初回のパッチ適応で必ずあてられるということが大きな点です。その点で強みはありましたが、今回のマイクロソフト様の発表で、より一層 HCL BigFix の強みが生きてくるのではないかと思います。 引用 クラウドを介したシンプルなWindows管理を目指すビジョンの一環として、Microsoftは将来的にWindows Server Update Services (WSUS) を廃止する計画であることを発表しました。 引用元:Microsoft「Windows Blogs」|Windows Server Update Services (WSUS) の廃止 ── Windows10 の EOS も 2025年10月に迫っていますが、HCL BigFix でこれに対応できるソリューションはありますか? 鉄村:Windows11 へのアップグレードには、HCL BigFix の OS展開機能で端末に容易に Windows11 をデプロイメントできます。また Windows10 の EOS以後もマイクロソフトの ESU に加入し利用を続けられるお客様に対しても、HCL BigFix が適切なパッチを提供しますので、ご安心ください。 脆弱性管理と修復 脆弱性の存在を可視化する ── いまお客様のニーズが特に高いソリューションとしては何が挙げられるでしょうか。 鉄村:冒頭でもお伝えした通り、脆弱性管理としても HCL BigFix に着目していただいております。管理されている端末に対して脆弱性があるかどうかを発見し、HCL BigFix を介して必要なセキュリティのパッチセキュリティプログラムをあてられる、というのが大きなポイントです。脆弱性の発見、それを是正するとなると2つのアクションが必要になります。例えば情報システム部が脆弱性を発見し、それをまた別の部隊が是正をするとなるのですが、HCL BigFix ですとこれらの垣根を超えて、HCL BigFix が脆弱性を発見し、それに対して適切なパッチがあればシームレスにそのままの流れで修正できます。 ── HCL BigFix の脆弱性診断というのは、どの機能を使ってどういうことをするのでしょうか? 鉄村:CyberFOCUS Analytics という機能があります。これは、端末の脆弱性を発見し、それに対して適切なセキュリティパッチプログラムを提供するものです。管理されている端末で、どの脆弱性を帯びているかをグラフとして可視化 して、管理されている方でも容易に何の脆弱性を帯びているのかを発見でき、それに応じて必要なパッチをあてていただけます。MITRE APT や CISA KEV の情報と連携し、管理しているエンドポイントの脆弱性をマッピングし、脅威種類の一覧、パッチ適用が過ぎている日数の把握、深刻度の把握、脆弱性評価などが可能となります。 CyberFOCUS Analytics 機能で CISA による既知の悪用された脆弱性を簡単に把握できる。(画像クリックで拡大) CyberFOCUS Analytics の特長 管理端末の脆弱性を可視化し、パッチの優先順位をつける。 エンドポイント端末に脆弱性可否を確認することによりリスクマネージメントを改善 他社製品と連携し脆弱性の「発見」と「是正」をシームレスに 鉄村:あわせて Insight for Vulnerability Remediation(以下IVR)があります。こちらは他社の脆弱性診断ツールと連携し、そのツールが検知・発見した脆弱性を適切なパッチを適用する機能です。Tenable、Qualys、Rapid7 の3製品の脆弱性診断ツールに対応しています。これらの製品は端末の脆弱性の発見・検知はしますが、その後是正するためには「自らマニュアルで対応してくださいね」となります。しかし HCL BigFix は、これらの脆弱性診断ツールが検知・発見した脆弱性に対して連携し、適切なセキュリティパッチをあてて、本来あるべき姿にします。 Insight for Vulnerability Remediation は Tenable、Qualys、Rapid7 に対応(画像クリックで拡大) Insight for Vulnerability Remediation の特長 脆弱性診断ツール(Tenable、Qualys、Rapid7)との連携 脆弱性診断ツールが検知した脆弱性を BigFix が是正 鉄村:HCL BigFix IVR は、脆弱性診断ツールとの連携を容易にし、セキュリティ管理の効率を大幅に向上させます。脆弱性診断ツールが検出した脆弱性情報を自動的に HCL BigFix に取り込み、該当するデバイスに対して適切なパッチを迅速かつ正確に適用することが可能です。これにより、脆弱性対応の時間を短縮し、セキュリティリスクを効果的に軽減 できます。 ── つまり、脆弱性を可視化し、また診断をするだけではなく、その修復までを一気通貫で行える、ということでしょうか。 鉄村:はい、その通りです。 ── 今お話しいただいた IVR もですが、HCL BigFix は他社製品と連携したり、お客様が競合製品だと思ってるものは実は競合ではなく、お互いのできることできないことを上手く組み合わせるというような使い方ができますね。その観点で良い事例などあるでしょうか。 鉄村:お客様からよく「国産の資産管理ツールの名前はよく耳にします」と言われます。HCL BigFix は確かにそれらの製品とバッティングする部分はありますが、それらが提供していない機能も持っています。よって HCL BigFix と 連携してさらに効果を発揮できる ということもあります。例えばその「国産の資産管理ツール」は、ソフトウェア、ハードウェアネットワーキングの可視化などはできてもパッチ提供はできません。しかしその後にはパッチの提供も行わなければなりません。その際に、例えば Microsoft WSUS(Windows Server Update Services)であったり MCM(Microsoft Configuration Manager)を使用します。しかし冒頭でお話した通りこちらの製品群はパッチの適用率があまりよくないので、その点を補完すべくパッチ配信は HCL BigFix を利用するというお客様もいらっしゃいます。 ── なるほど。例えば他社製品を使っているから HCL BigFix を使う必要はないよ、というわけではないということですね。 鉄村:はい、そうです。他社製資産管理ツールのユーザー様にも、ぜひ HCL BigFix をご検討いただきたいと思います。 AI、MDM など、HCL BigFix の強化点 企業特有の問題点もカバーする HCL BigFix AEX ── HCL BigFix が搭載している AI機能について教えてください。 鉄村:HCL BigFix AEX(AI-driven Employee Experience)という機能があります。これは、ユーザーに対して会話式のスマートでインテリジェントなチャットボットを提供するものです。何か問題があればユーザーがわざわざヘルプデスクに問い合わせなくても自ら問題解決ができます。もちろんセキュリティの問題点をプロンプトで確認するという使い方もありますが、HCL BigFix のパスワードを変更したいといったことでもプロンプトを入力していただければ適切な回答が返ってきます。企業によっては企業特有の問題点であったり、雛形があるかと思います。HCL BigFix AEX を導入する前に、そのような 企業特有の問題点や雛形を事前に HCLSoftware がファインチューニング を行うので、いつでも企業の問題点に対して、質問に対して回答がその場で得られます。 HCL BigFix の全てを盛り込んだのが HCL BigFix Workspace ── ここまでの話には出てこなかったのですが、モバイルデバイス管理も HCL BigFix の機能としてはありますよね。 鉄村:ではここで HCL BigFix Workspace の話をさせてください。Workspace は、HCL BigFix の製品群のバンドルスイートです。HCL BigFix のすべてのライセンスをバンドルし、かつ MDM(Mobile Device Management)を行う HCL BigFix Mobile を付加したものです。 通常、端末というとPC端末やサーバーなどがメインになってくると思いますが、HCL BigFix Mobile で MDM機能を使うことによって、利用されているスマートデバイス、例えば iPhone や iPad、Android ベースのタブレットなども含めて管理ができるようになります。言ってみれば、Workspace が HCL BigFix の総決算 と言いますか、HCL BigFix が持っている全てのもののてんこ盛りです。 ライセンスごとに備えている機能が異なるので、用途に応じた選択ができる。(画像クリックで拡大) ── ひとつのベンダーのひとつの製品で、あらゆるエンドポイントを統合的に管理できると言えるのは、HCL BigFix だけなのでしょうか。 鉄村:はい、現時点では他にはないと思います。 ── ありがとうございます。では最後に一言お願いいたします。 鉄村:HCL BigFix の最大の強みは、セキュリティ、コンプライアンス、資産管理など、エンドポイント管理に必要な機能をすべて持ち合わせている ことです。ぜひ今回の記事をお読みいただき興味をお持ちいただけたようであれば、何なりとエヌアイシーパートナーズ様、HCL までお問合せください。 HCL BigFix について問い合わせる まとめ ここまで HCL BigFix について、HCLSoftware 鉄村様にお伺いしてきました。 最後に、HCL BigFix の特長となる強みをまとめます。 BigFixの強み セキュリティの強化 脆弱性対応の迅速化:リアルタイムで脆弱性を特定し、必要なパッチを即時適用 自動化によるヒューマンエラーの削減:エンドポイント全体に一貫したセキュリティポリシーを適用 コンプライアンスの簡素化 監査準備の効率化:エンドポイントの設定状況やソフトウェアの利用状況を継続的に監視し、必要なコンプライアンス要件を常に満たす状態を維持 詳細なレポート生成:規制対応を証明するための正確でタイムリーなデータ提供 資産管理の最適化 リアルタイム可視化:ネットワークに接続されたすべてのエンドポイントを管理対象として即時に把握可能 ソフトウェアの最適化:使用状況の分析により、不要なライセンスコストを削減 All-in-Oneの利便性 HCL BigFix は、これらすべての機能を単一プラットフォームで実現するため、複数ツールの導入が不要 運用の簡素化、コスト削減、そして迅速な問題解決を可能にし、エンドポイント管理のあらゆるニーズに対応 HCL BigFix について問い合わせる このページを見ている人におすすめのページ HCL BigFix 製品紹介ページ .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 16px; font-weight: 700; color: #9b9b9b; border: none; padding: 0; margin-bottom: 10px; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; 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2022年10月11日

出そろったPower10ラインナップ、ベストな適用シーンは?

2022年7月13日、IBM Power10シリーズにスケールアウト・サーバーとミッドレンジ・サーバーが追加されました。 (さらに…)

2022年07月08日

出荷から半年、IBM Power10が市場に与えたインパクトとは?

IBM Power10 が出荷開始となって、半年あまりが経過しました。エヌアイシー・パートナーズ株式会社(以下 NI+C P)としては、フラッグシップ製品E1080 の売れ行きやお客様からの反響が気になります。 (さらに…)

2021年12月28日

【10分で早わかり】IBM Power10の真の価値とは(後編)

※当インタビューは「前編」「後編(当記事)」に分けてお送りしています。   登場者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部 IBM Power 第二テクニカル・セールス 部長 釘井 睦和 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 テクニカル・サポート部 佐藤 正忠 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 ソリューション推進部 村上 文香   キーワードは「アジリティー」と「摩擦レス」 さらなる経営課題に応えるIBM Power10 - IBM Power10 はセキュリティもかなり強化されているようですね。 釘井) おっしゃるとおりです。IBM Power10 のプロセッサーは、セキュリティ機能をさらに進化させました。 具体的には、コアの暗号化機能を向上させるとともにパフォーマンス劣化のないメモリー暗号化も実現しています。 暗号化という作業を CPU やソフトウェアに頼らずにすみ、自動的な暗号化が可能であるため処理能力の低下というストレスを経験することなく、それでいて、すべてのデータが常に堅牢に守られている、という状態を享受いただけます。 - 最近の産業界では、環境負荷の軽減も強く求められています。 米国のパリ協定復帰を機に、いわゆる "環境関連銘柄" に再び注目が集まるようになり、日本でも「カーボンニュートラル」をサプライチェーン全体で達成しようといった動きが見られます。 あらゆる企業がその一挙手一投足で、都度「それは環境にとって正しい判断か」を考える時代が来ました。 釘井) この点でも IBM Power10 は大きく貢献できます。 最新の 7nm Power10プロセッサーによる高い集約性とリソースの効果的な活用の実現により、IBM Power E1080は、同じワークロードを実行した場合、IBM Power E880C と比べて52%、IBM Power E980 と比べても33%の消費電力削減を達成できます (※IBMによる自社従来品との比較調査 (2021年))。 IBM Power10 にアップグレードすることで、より少ない CO2排出を実現できることになります。 また、エネルギー効率の向上のみならず、リサイクルや環境に優しい材料の活用促進、製品パーツのアップグレード、修理、再製造、再利用によるプロダクトライフサイクル拡大など、IBM Systems全体でハードウェア製品や製造過程における環境面への影響を考慮したイノベーション活動を続けています。 販売に際しても、導入によって年間約20トンの CO2削減を見こむお客様には、製品の一部を割り引く「SDGs割」制度を導入しています。 こちらもぜひ活用いただきたいと思います。   IBM Power10の最も効果的な利用シナリオ - 釘井さんにとって、IBM Power10 はどのように活用するのが最も効果的だと思いますか。 釘井) いろいろお勧めはありますが、ニーズも高くて効果的だと思うのは、最新型ERPシステムの基盤として動かすことです。 ここで重視すべきなのは、CPU の性能です。 7nm Power10プロセッサーは、8スレッドSMT (Simultaneous Multithreading) をチップあたり最大15コア搭載でき、コアあたりの処理能力は、POWER9プロセッサーと比較して約1.3倍のパフォーマンス向上を実現しています。 また、この高い CPUコア処理能力と高密度・高速なメモリー・アーキテクチャーの実現により、アプリケーションが必要なコア数を削減できます。 結果として、サーバー台数の削減や TCO の改善が可能になります。 「クラウドでERPを動かしてみたけれど満足した性能が得られなかった」「完全クラウドシフトはコスト感が合わない」という経験をされたお客様が "脱クラウド" に向かわれる現象も出てきており、IBM Power10 はそうしたお客様の受け皿になれると考えています。 もう1つは、データベースシステム基盤として活用することです。 例えば、これは実際に合ったケースですが、それまで x86ベースで126台のサーバーを運用されていたのが、IBM Power E980 にリプレースすることにより、なんと3台に統合できました。さらに IBM Power E1080 にアップグレードしたとすると2台にまで集約可能です。 これをエネルギーという観点で見ると、102kW から約20kWと1/5に、ライセンス数としても約1/3に削減可能です (※IBMによる自社従来品との比較調査 (2021年))。 いろいろな意味で大きな節約になります。   手が届く存在にする賢い買い方 - E1080 というフラッグシップ製品から登場したこともあって、お客様からは「理想的なシステムであることは認識しているが、当社には『高嶺の花』」といわれることがあります。 釘井) IBM では、IBM Global Financing という組織を通じて様々なお支払い方法の選択肢を用意しています。 一括購入するのではなく分割月額払いにする、分割月額払いにリースを組み合わせる、また、分割月額払いも、均等割ではなく最初は低い金額で開始する、支払い開始時期を後ろに倒す、現在のリース残を新たなリースに包含してすべてリース払いにする、などの方法があります。 冒頭でご紹介した「Dynamic Capacity」も節約術の1つとして活用いただけます。 ぜひ、ご相談ください。 来年以降も新製品を予定しておりますので、楽しみにお待ちください。 - 本日はありがとうございました。   CEOの直面する経営課題の解決策が全部入った1台 新しい時代に突入し、道を切り拓いていくことが求められている現代の企業。 IBM Power10 は、そうした企業の CEO が抱く切実な "思い" を真摯に受け止め、妥協を許さず様々な機能を実現した製品だと実感しました。 NI+C Pも、「リプレース時期が来たら検討する」ではなく「IBM Power10だから検討する」といっていただけるよう、パートナー企業の皆さんを通じて、このサーバーの魅力やメリットを引き続きお伝えしていきたいと思います。     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 早わかり!ここが進化したIBM Power10 (コラム) - よりスピーディに、よりスマートに、企業活動を発展させ、デジタル競争の勝者となるためには…?   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

2021年12月28日

【10分で早わかり】IBM Power10の真の価値とは(前編)

登場者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部 IBM Power 第二テクニカル・セールス 部長 釘井 睦和 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 テクニカル・サポート部 佐藤 正忠 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 ソリューション推進部 村上 文香   キーワードは「アジリティー」と「摩擦レス」 今日、日本の企業は様々な経営課題に直面しています。 さらなるスピード経営の実現、クラウドや AI活用による DX推進で継続的な成長を追求する一方で、情報セキュリティ対策を高度化し、脱炭素社会や SDGs の実現に向けた施策も必要です。 こうした中、IBM Power10 は「アジリティー」と「摩擦レス」をキーワードに、このような経営課題に応えるために誕生しました。 具体的にどのような解決策が提供されているのでしょうか。 日本アイ・ビー・エム (以下 IBM) で Power テクニカル・セールスを担当されている、ITスペシャリスト 釘井 睦和 氏にお話を伺いました。 ※当インタビューは「前編 (当記事)」「後編」に分けてお送りします。   世界のCEOが注目しているテーマは「アジリティー」 - 本日はよろしくお願いいたします。 日ごろ日本企業と対話される中で様々な声を聞かれると思いますが、課題としてはどのようなものが多いでしょうか。 釘井) IBMには、お客様の声を聞く媒体の1つとして、定期的にグローバル経営層に対してアンケート調査を行い、その結果を発表している「IBM CEO Study」があります。 世界中の13,000名以上の CxO (最高責任者) レベルの経営層に、今日のデジタル時代をリードするために何が必要かについて尋ねるものです。 2021年度は前年がコロナ禍に見舞われた転換の年であったため、かつてない規模での調査を実施しているのですが、それによると、56%の CEO が「アジャイルで柔軟なオペレーションを積極的に追求する必要がある」と回答しました (図1)。 「アジャイルである」とは、俊敏であること、機敏であること。つまり、状況に合わせて自在に "伸び縮み" できることを意味します。 アンケート回答の結果は、不確実性の高い時代の危機を乗り切るために、企業にとってこの経営判断や組織づくりにおける俊敏性、機敏性を指す「アジリティー」を持つことが必須となっている状況を表しています。 [caption id="attachment_109017" align="alignnone" width="491"] 図1:今後2,3年で最も良い業績を生み出すための最重要課題とは?出典:IBM CEO Study (グローバル経営陣スタディ)[/caption] 確かに、コロナ禍以降の状況が時々刻々と変化したこの2年を振り返れば誰でも実感できることです。 昨日は可能であったことが今日はそうでなくなり、今日禁じられていたことが明日は許可されるという世界。紙の裏表のように変わる環境に即応して適切な対策を講じることができなければ、企業経営はたやすく危機に陥るリスクをはらんでいました。 「アジリティー」とは、俊敏であること、機敏であること。つまり、状況に合わせて自在に "伸び縮み" できることを意味します。 経営と IT が不可分である今日、このような危機を乗り切ろうと思えば、IT こそがこの「アジリティー」を持つことを強く求められているのです。 そして必然と言えますが、「アジリティー」を担うのが IT です。 - 新しく登場した IBM Power10 はまさに「アジリティー」と「摩擦レス」をキーワードとして誕生していますね。 釘井) そのとおりです。この「アジリティー」を象徴する機能として、IBM Power10 には「Dynamic Capacity」が備わっています。以前の IBM Power でも一部のモデルで提供されていましたが、このバージョンで全面展開となります。 どういう仕組みかというと、同じサーバーモデルでエンタープライズプールという形で "チームを組む" ことによって、コアやメモリーといったリソースを全サーバーで共有が可能になります。 超過して使いそうな可能性がある場合は、従量制課金の考え方でそれぞれのサーバーでリソースを事前購入して搭載しておきます。 このようにしておけば、ふだんは最小限に見積もった容量で利用し、一時的に利用が増えるというときも特段の準備なく用意しておいたリソースで事業を継続できます。超過使用量は分単位で課金計算が行われ、それはハードウェア管理コンソールを通じて Cloud Management Console で自動管理されたデータで確認できます。 そして、一時的な利用増大が終了すればまた元の状態に戻れます。 これまでは、利用が増えればサーバーを追加するしか選択肢がなく、調達するまでのタイムラグをどうしのぐか、という問題がありました。さらに、利用が減っても一度増やしたサーバーを減らすのは簡単ではありません (図2)。 [caption id="attachment_109018" align="alignnone" width="547"] 図2:Dynamic Capacityを用いたシナリオ例[/caption] - なるほど。ちなみにリソースを事前購入しておくのはなぜですか。 Cloud Management Console で使用量が確認できるのであれば、すべてオンデマンドで課金計算してもいいように思います。 釘井) 事前購入の方が、発生するコストを想定しやすいからです。 クラウド利用でも見受けられることですが、日本のお客様はコストが予想以上に膨らむことを懸念されます。事前購入はコストコントロールに配慮した仕組みです。 将来的に「Dynamic Capacity」は、IBM Cloud上で動く IBM Power Virtual Server を含めた利用も可能になる予定です。これを併用することによって、より急激な利用増大ニーズにも対応しやすくなります。 コロナ禍でマスク販売サイトやワクチン接種予約サイトへのアクセス集中を私たちは経験しましたが、産業界でも同様のことは起きています。 システムの拡大・縮小対応がますます現実的になる中、ニーズは高いと思われます。 - いつごろ利用可能になりそうでしょうか。 釘井) 現時点では開発意向表明のみが出ていて提供時期をお伝えすることはできませんが、北米の数社でパイロットとして利用が始まっていると聞いていますので、比較的早い段階で提供できるのではと考えています。   IBM Power10で「ハイブリッドクラウド」と「AI」をどう実現するか 釘井) IBM Power10 は、IBM としての方向性である「ハイブリッドクラウド」と「AI」とも足並みを揃えたシステムになっています。 - IBM Power10 で対応する「ハイブリッドクラウド」とはどのようなものですか。 お客様は実際どのように「ハイブリッドクラウド」環境をお使いでしょうか。 釘井) お客様のクラウドニーズはほんとうに様々です。最も多い利用ケースは、開発・検証環境の実装ですね。 従来オンプレミスシステムでは、開発・検証環境の構築は不自由さを強いられていました。 それなりの環境を基幹システム基盤に環境を確保すれば、本番システムの性能に影響を与えてしまいます。かといって制限を設ければ、十分な開発・検証が実施できません。 その点クラウドであれば、必要なときに必要なボリュームを用意して心ゆくまでリソースを活用、作業が終われば即撤収、という使い方ができます。 また、災害対策としても有効です。 これまでは「途切れない事業継続のためには、本番システムと同様のシステムを遠隔地にご用意ください」と申し上げるしかありませんでした。 しかし、クラウドであればハードウェアを別途調達する必要はありませんから、災害対策コストは軽減されます。 しかも、IBM Cloudのコロケーション環境で仮想環境を提供しているIBM Power Virtual Server を利用すれば、オンプレミスの本番システムとまったく同じアーキテクチャーをもった災害対策環境を、オンデマンドで構築することができます。 必要なデータをクラウド・ストレージにコピーしておく、サービス環境を立ち上げるのに必要な定義情報を IBM Cloud に保管しておく、といった準備は必要です。 こうすることで、平常時は最低限のサーバーのみで運用コストを抑えつつ、万が一のときは災害対策用の業務サーバーを自動作成して迅速に事業継続を図れます。この方法もよく選択されるクラウド活用法です。 システム運用からの解放やクラウド先端技術活用のために全面的なクラウドへのリフト&シフトを進められているお客様があるかと思えば、その一方で、パフォーマンスやコストコントロールの観点から「脱クラウド」を掲げ、オンプレミスシステムへ回帰されるお客様もいらっしゃいます。 IBM Power10 は、これらすべてのニーズに対応します。 つまり、オンプレミスシステム志向からクラウド志向まで、お客様がどのフェーズにおられても、また、どのフェーズに移行されようとしても、IBM Power Virtual Server との連携によって「摩擦レス」にシステムの構築・移行を実現します。 - よくわかりました。 それでは「AI」という方向性についてはいかがですか。 AI活用といえば、お客様は「IBM Power AC922」などを用いてディープラーニングによる機械学習を行ってきたかと思うのですが、それが IBM Power10 でも行えるようになるのでしょうか。 釘井) AI活用には、学習と推論という2つの側面があります。 膨大なシステムリソースが必要になる学習には、引き続き「IBM Power AC922」のようなGPUを搭載したサーバーが有利です。 しかし、完成したモデルにデータを投入して推論させる段階になると、必ずしも GPUマシンを用いる必要はありません。 たとえるなら、レーシングコースを走るなら F1カーが最適ですが、街なかを走行するのにも F1カーに乗りますか?ということになります。 IBM Power10 は「Train Anywhere, Deploy Here」をキーワードに掲げ、データの蓄積された場所、つまり基幹システム上で推論を実行することを想定しています。 その意味では「すでにモデルはいくつか作り上げた、そこに生のデータを当てて検証を繰り返し、さらに精度を向上させていきたい」といった、AI活用がある程度進んだお客様にお勧めしたい機能です。 このサーバーは、Matrix Math Assist (以下 MMA) という行列計算などを専門として処理するエンジンが IBM Power10 のチップに組みこまれており、MMA につながるメモリーまわりの帯域幅やキャッシュ容量も増えているため、膨大なデータを高速に処理することができます。 例えば、同じ筐体内に業務システムを動かす IBM i や AIX の区画、AI を動かす Linux区画を置き、IBM i や AIX の区画に続々入ってくる日時の営業トランザクションや製品の需要情報を Linux区画に送って推論を行い、その最新計算結果をまた業務システム側に反映する、といった利用法が考えられます。 「データのある場所でAIを実行しよう」が、IBM Power10 のメッセージです。   後編「さらなる経営課題に応えるIBM Power10」~へ進む     この記事に関するお問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社 企画本部 事業企画部 この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。 お問い合わせ   関連情報 早わかり!ここが進化したIBM Power10 (コラム) - よりスピーディに、よりスマートに、企業活動を発展させ、デジタル競争の勝者となるためには…?   .btn_B{ height:25px; } .btn_B a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_B a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }  

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