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全体最適のエンタープライズアーキテクチャは、経営、IT部門、各事業部門が一体となり ITガバナンスの強化に取り組むことで初めて実現します。また、経営者がデータに基づく意思決定やアクションを行い、事業部門に働きかけ DX戦略の実行と戦略的IT投資に積極的に関わることが求められます。 その鍵となるのが、様々な視点でのコストの可視化および IT投資分析の高度化です。 今回は、IT投資の実態を可視化しインサイトを提供することで、全体最適のエンタープライズアーキテクチャの実現と IT投資の最適化を支援する統合型IT投資管理ソリューション「IBM Apptio」をご紹介します。 目次 利用が加速するパブリッククラウド パブリッククラウドのコスト最適化を阻害する要因 企業に求められるIT投資管理の課題 IT投資の最適化を支援する「IBM Apptio」 まとめ お問い合わせ 利用が加速するパブリッククラウド ここ数年企業のパブリッククラウド活用が進んでおり、複数のクラウドを使い分けているマルチクラウド環境の企業も少なくありません。 株式会社矢野経済研究所が国内民間企業を対象に2022年に実施した「ERP及びおよびCRM、SFAにおけるクラウド基盤利用状況の法人アンケート調査」(調査結果は2023年3月に公開)*1 によれば、業務アプリケーションのシステム基盤(利用環境)としてのパブリッククラウドの利用は2016年以降年々大きく伸びており、「今後、業務アプリケーションは、システム基盤、アプリケーションの両面でクラウドファーストでの利用が進んでいく」*2 と予測しています。 図1. 業務アプリケーションのシステム基盤でのパブリッククラウド利用率(矢野経済研究所) *1. 注:調査期間、集計対象、調査方法は以下の通り。 2022年調査(2022年6月〜10月):それぞれの業務システムを導入している国内民間企業のうち、パブリッククラウドを利用している比率(%)財務・会計357社、人事・給与324社、販売管理290社、生産管理・SCM184社、CRM・SFA81社、郵送及びWebアンケート調査、単数回答 2020年調査(2020年7月〜12月):財務・会計473社、人事・給与434社、販売管理341社、生産管理・SCM215社、CRM・SFA93社、郵送アンケート調査、単数回答 2018年調査(2018年7月〜11月):財務・会計455社、人事・給与416社、販売管理363社、生産管理・SCM205社、CRM・SFA88社、郵送アンケート調査、単数回答 2016年調査(2016年7月〜12月):財務・会計489社、人事・給与436社、販売管理371社、生産管理・SCM197社、CRM・SFA105社、郵送アンケート調査、単数回答 *2. 出典:株式会社矢野経済研究所「ERP及びCRM・SFAにおけるクラウド基盤利用状況の法人アンケート調査(2022年)」(2023年3月6日発表) パブリッククラウドのコスト最適化を阻害する要因 パブリッククラウドの活用で、企業はリソースの共有とスケーリングによる費用対効果の恩恵を受けることができます。また、必要となった時にすぐクラウドサービスを利用することができるので、ビジネススピードを向上することも可能になりました。 一方、各現場の要望に応じてクラウドサービスを調達することで会社全体での視点でのコストや妥当性の把握が困難となっており、IT投資の最適化とそれに対する意思決定を阻害する要因の1つとなっています。 企業に求められるIT投資管理の課題 IT投資の適切な管理と意思決定は、企業の競争上の優位性構築とイノベーションの促進、ROI の向上にとって非常に重要です。現在、急激なパブリッククラウドの活用拡大の中で、企業には次のような IT投資管理に関する課題が散見されています。 クラウドサービス利用状況の一元的な把握 クラウドサービスの利用増加で、IT調達の目標は「大きな初期投資を数年かけて回収するモデル」から「実際の需要に応じて必要な時に必要な分だけ調達するモデル」にシフトしています。一方で、手作業だけで混在する複数のクラウドサービスの利用状況と契約を一元的に把握し、クラウドリソースを最適化することは極めて困難です。 継続的なビジネスインパクトをもたらす戦略的IT投資と、全体最適のエンタープライズアーキテクチャ実現のための手段を検討し判断するためには、利用状況や契約条件を正確かつ迅速に把握できていることが前提条件となります。 クラウドサービスの適切なリソースサイズの判断 利用開始当初に割り当てたリソースの利用状況を随時把握し実態に合わせたサイズへ変更することで、クラウドサービスの強みであるリソースの柔軟性の恩恵を受けることができます。 しかし、実際に運用を開始した後にクラウドリソースのサイズ変更では安定して稼働しているシステムを変更する必要があるため、相応の根拠と決断が必要となります。そのため、適切なリソースサイズへの変更が判断できないケースが非常に多くなっています。 社内のサービス費用負担の適正化 多くの組織が、IT投資の利用部門への適正な振替のための説明に苦労しています。それを阻んでいるのは、複数のクラウドサービスによって分散されたデータと、部門間相互の IT予算に関する対立構造です。 クラウドサービスに限らず、オンプレ機器やソフトウェアなどの「IT資産総額の見える化」、ヘルプデスクやサービスデスクや開発保守などの「IT運用管理費用の見える化」など、IT投資を可視化し統合的に管理し把握することは、部門への適正なサービス費用振替のための説得力を持った説明には必要不可欠です。 これらの課題を解決できるのが、今回ご紹介する「IBM Apptio」です。 IT投資の最適化を支援する「IBM Apptio」 戦略的IT投資と全体最適のエンタープライズアーキテクチャ実現の課題を解消し、IT投資の見える化&コスト最適化を行えるのが、統合型IT投資管理ソリューション「IBM Apptio」です。 IBM Apptio は、クラウド財務管理ソフトウェア製品「IBM Apptio Cloudability」、テクノロジー財務管理ソフトウェア製品「IBM Apptio」を提供しており、包括的に IT投資・経費を可視化し分析機能を活用することでIT投資の最適化を実現するための意思決定を支援します。 クラウドコストを可視化し最適なクラウド投資・管理を実現する「IBM Apptio Cloudability」 IBM Apptio Cloudability は、パブリッククラウド(IaaS/PaaS/SaaS)のコストを可視化し、リソースの最適化やコスト削減につながるアクションを可能にする FinOpsソリューションです。 FinOps は、クラウドコストの管理・最適化を支援するために開発された、ビジネス価値の最大化を実現するクラウド運用に関する財務管理モデルです。"IT" "財務" "ビジネス" といったビジネスチームがデータドリブンの意思決定を共同で行うことで、組織が最大のビジネス価値を得ることを目指します。 Apptio Cloudability は、時間単位で変動するクラウドサービスのコストと利用状況を可視化することでそれらを集積して様々な軸で分析したレポート・テンプレートを提供し、FinOps の実施を支援します。その結果、クラウドコストの管理・最適化において次のような効果が期待できます。 クラウドにかかるコストや利用状況を把握して管理・予測 マルチクラウド、サードパーティソリューション、およびコンテナの詳細分析を含むクラウド総コストを可視化し、アプリケーションの TCO分析を行うことで、現状を素早く理解することができるようになります。また、クラウドコストの各部門への配賦のための明細の開示と各部門への請求レポートを作成できるため部門毎の負担費用も把握でき、クラウドコストの予実管理と予測も可能です。 クラウドコスト最適化によりイノベーション投資を強化 トレンドと予実差異の分析や余剰・過剰リソースのライトサイジング機能を活用し、未活用リソースの停止と削除を行うことで、適切な配置と適正なコストで運用経費を削減。将来の投資に備えることが可能です。 財務的な裏付けのある意思決定が可能に 全ステークホルダーと意思決定のためのフレームワークを構築することでクラウドに関するコストとビジネス価値を関連付け、財務的な裏付けのあるより効果的・戦略的な意思決定が可能になります。また、テクノロジー、ビジネス、ファイナンス部門の協業による継続的な改善を進められるようになります。 図2. FinOpsを支えるApptio Cloudability IT投資の実態を可視化し最適なIT投資への意思決定を支援する「IBM Apptio」 IBM Apptio は、IT投資をビジネス価値に結び付けて成果につなげる ITファイナンスの方法論「Technology Business Management(TBM)」に基づいた、IT投資の可視化・最適化を支援するサービスです。 IBM Apptio に期待できる効果には次のようなものがあります。 IT投資の透明性と可視化を高めてRun the Businessを削減 多くの組織において IT投資の可視化が進められていますが、実際にはそれが IT投資最適化のアクションに繋がっていない場合があります。また、最適化のアクションに結び付く可視化を実現するためには、複数のデータソースからマルチな視点のインサイトを提供することも必要です。 IBM Apptio は、IT の標準的なコストモデルである(ATUM = Apptio TBM Unified Model)を内包しています。この予め設定された ITファイナンス可視化モデルによってさまざまな立場の方がそれぞれの目的に必要な情報の参照を可能にし、TBM実践のために必要なデータの特定と、取り込まれたデータを利用した標準レポートの作成をシステム面からサポートします。 これにより IT投資の現況を正しく把握し、予実を分析して透明性を高めることができます。また、インフラ、ベンダー、データセンターの最適化と余剰インフラのスリム化によって、日本企業の IT関連費用の約80%を占めるとされている*3「既存ビジネスの維持管理費用(サービスコスト:RTB=Run the Business)」を削減します。 *3 出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(P13「2.2.5 既存システムの運用・保守に割かれてしまう資金・人材(1/2)」) IT投資の最適化でChange the Businessを実現 IT支出の構造が複雑化している中で、経営者や CIO(最高情報責任者)が IT に費やされるコストと創出する価値を把握し理解していなければ、ITコストおよび投資を最適化するための正しい意思決定はできません。 TBM Taxonomy の標準を ATUM で内包する IBM Apptio は、コスト削減領域の特定やアプリケーションの TCO や利用率の把握、部門毎の ITコストの可視化&請求とその根拠を提示します。これにより、「TCOの管理」「サービスのコスト計算(RTB=Run the Business)」「コストの最適化」「ITのビジネス価値」の各視点から IT投資を分析・最適化し、「戦略的投資(CTB=Change the Business)」のために最適な意思決定をサポートします。 図3. TBM × Apptioのご提供価格 IBM Apptio Cloudability + IBM Turbonomicでコスト削減とIT投資収益率の最大化を実現 IBM Apptio Cloudability は、IBM の AIOpsソリューション群と連携することでさらに大きな効果を発揮します。例えば、IBM Apptio Cloudability とソフトウェア・プラットフォーム「IBM Turbonomic」(以下 Turbonomic)の連携です。 Turbonomic は、組織がパブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド環境を含む ITインフラストラクチャーのパフォーマンスとコストの最適化を支援します。Turbonomic によってクラウド環境でのアプリケーション稼働に必要なリソースを最適化しながら過剰な支出を排除する自動化機能によりコストを削減し、Apptio Cloudability で全体最適化を実施しながら可視化をすることで、IT投資収益率を最大化することが可能です。 また、AI を活用した APM(アプリケーション・パフォーマンス管理)ソリューション「IBM Instana Observability」(以下 Instana)との連携では、アプリケーションおよびインフラに対して優れたトレーサビリティとリアルタイムな監視情報、問題分析、統計を自動的に実施することで、運用コストの削減が可能です。 まとめ エヌアイシー・パートナーズは、IBM のソフトウェアおよびハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Apptio のお客様へのご提案をサポートいたします。また、Instana や Turbonomic などの AIOpsソリューション群についても、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案をご提供するとともに製品の特徴や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートいたします。 「お客様のニーズや要件に合わせて、IBM SW と HW を組み合わせた最適な提案がしたい」「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」「IBM製品の特長や利点を活かしたお客様ビジネスへの最適な提案をしたい」 といったお悩みをお抱えの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
日本企業にとって今、避けられないとされる「ITエンジニアの不足」は深刻な課題です。これに加えて、DX推進のための新たな ITインフラ構築や新しいテクノロジー活用を検討するための基盤の準備が必要となっており、ITインフラの構築・開発業務を著しく圧迫しています。 この課題を解決し、DX のさらなる推進のための有効な手段として今注目されているのが、ITインフラの構築・開発の自動化とそれを支援する AI の活用です。 今回は、インフラ構築・開発の自動化を実現する「Ansible」、および Ansible で指定したインベントリーやホストのグループに対して自動的に処理を実行するための「Ansible Playbook」のコード作成を支援する生成AIサービス「IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed」をご紹介します。 目次 DXへの取り組みが本格化する中での日本の「IT人材不足」 注目される、生成AIを活用したIT自動化 ITインフラの自動化を実現する「Ansible」とその開発を支援する「watsonx Code Assistant」 Ansible Playbook用コードの開発を生成AIによって支援する「IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed」 まとめ お問い合わせ DXへの取り組みが本格化する中での日本の「IT人材不足」 デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが本格化する中、IT専門技術を持つ人材の需要も急増しています。特に、仮想化やクラウド化、コンテナ化などによるシステムの複雑化・大規模化によって調整や準備に費やす工数が指数関数的に増加している中で、サーバーやストレージなどシステム基盤の新規構築、既存システムに対しての設定変更などの維持運用といった ITインフラの構築・開発・運用に関わる IT人材は、これまで以上に必要となっています。 ところが現在の日本では、生産年齢人口の減少傾向と急速に変化する技術進化に適応しきれない企業の教育体系の事情が絡み合い、数だけではなくスキルの面でも供給が需要に追い付かない深刻な「IT人材不足」が進行しています。 IT人材の需給ギャップについては、経済産業省が既存統計調査データをもとに推計し公表した「IT 人材需給に関する調査」*1の結果によれば、2030年に IT需要が3%~9%の「高位」の伸び率を示した場合、最大約79万人に到達すると推計されています。 *1. 出典:経済産業省委託事業「- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」(平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)2019年3月 みずほ情報総研株式会社) 注目される、生成AIを活用したIT自動化 これらの背景のもと今企業では、今後さらに進むとされる IT人材不足を補うため、IT の自動化に向けた取り組みが行われています。しかし、自動化が思ったように実現されていないだけではなく、せっかく自動化に向けた取り組みを始めても大きな効果を生み出すことができないという事例も少なくありません。 その原因となっているのが、IT自動化導入の規模および IT自動化を進めるための人材不足です。小規模で単純な作業の自動化では大きな効率化は期待できません。 例えば、実作業以外の調整や準備が全体の9割以上を占めている業務の場合、残る実作業のうちその半分を自動化したとしても全体ではほとんど効果を得られません。さらに企業は、自動化に向けたナレッジ不足やスキル不足に加え、ベンダーに委託した場合の障害対応・展開時の工数削減やスピードアップなどの課題も抱えています。 そこで注目されているのが、生成AI を活用した自動化の実現です。 ITインフラの自動化を実現する「Ansible」とその開発を支援する「watsonx Code Assistant」 米Red Hat社が開発・サポートする OSS「Ansible(アンシブル)」は、多数のサーバーや複数のクラウド基盤を統一的に制御し、ITインフラ自動化を実現するためのオープンソースの構成管理・自動化ツールです。 一般的な構成管理ツールとは異なり、利用にあたってエージェントと呼ばれるソフトウェアをインストールする必要がありません(エージェントレス)。そのため導入しやすく、既存の環境にも適用しやすいのが特徴です。また、クライアント/サーバーどちらも SSH および Python があれば使えることも大きなメリットです。 Ansible の制御する定型業務(タスク)は、「Ansible Playbook」と呼ばれる YAML形式のテキストファイルに記述し、それを実行することで多様な制御を可能にします。また、タスクはモジュールと呼ばれる処理プログラムと紐付いており、サーバーの構成管理はもとよりネットワークやロードバランサー、クラウドインフラに対する制御ができるため、システム基盤全体を構築できるのが特長です。 さらに、Ansible を使うことで IT機器の煩雑な設定作業が自動化されるため、管理者の負担を大幅に軽減できるだけではなく自動化によってヒューマンエラーを削減できることも大きなメリットになっています。 これまで機器単位や管理者の好みで異なっていた自動化の作り方や実行方法が、Ansible Playbook によって標準化されたわかりやすい手順に統一することができるため、多くの企業が Ansible を採用しています。また、Ansible は「Chef」や「Puppet」よりも後発の構成管理・自動化ツールですが、後発故に先発ツールの欠点を克服しているという強みもあり、オープンソースツールでは Ansible が主流になりつつあります。 このように ITインフラの自動化に貢献できる Ansibleも、IT人材不足の課題を抱えています。それが、Ansible Playbook用コード開発の品質向上と効率化です。 IBM は自社での Ansible活用を踏まえて、2020年から Red Hat社と共同で「Ansible Lightspeed(アンシブル・ライトスピード)」の開発を進め、自然言語による命令からエンタープライズ・アプリケーションのモダナイゼーション向けに設計された生成AIを活用したコードを生成するツール「watsonx Code Assistant」と連携させた Ansible支援ツールを開発しました。それが、「IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed」です。 Ansible Playbook用コードの開発を生成AIによって支援する「IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed」 IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed は、Ansible Playbook用コードを AI が自動で生成することでより効率的な Ansible Playbook開発を支援する生成AIツールです。 実行したい処理を自然言語で指示(平易な英語のプロンプトを入力)するだけで、IBM および Red Hat のナレッジを学習した AI がタスクの作成と保守のベスト・プラクティスに準拠し、透明性と信頼性の高い Ansible Playbook の推奨タスクを自動的に生成するのが特長です。 これにより、高精度のコード記述を容易にするとともに開発期間を短縮し、インフラ担当者や ITオペレーターの生産性を向上させます。さらに、モデルのチューニングとベストプラクティスの適用により、質の高い成果を達成することも可能です。 また、自然な会話文でプロンプトを入力するだけで高品質のコードを開発することができるため、経験の浅い技術者でも Ansible Playbookコードを正確に記述することが可能です。 そのため、熟練開発者と初級レベルの開発者間のスキルギャップを軽減して Ansible Playbookコードの品質向上と開発者の増員につなげることができるだけでなく、Ansibleコード開発スキルの習得にかかる時間を短縮するとともに Ansible の開発経験が豊富な ITエンジニアにとってもタスク作成を自動化でき、負担軽減・開発時間の短縮効果が期待できます。 図1. IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeedによる自動化開発エクスペリエンスの強化 特長が活きる背景やユースケース IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed の特長が活きるユースケースとして以下が挙げられます。 サーバー構築・クライアント展開などのインフラ導入設定作業のコード化による繰り返し作業の効率化 システム障害時やセキュリティインシデント発生時の復旧対応作業の短縮、および作業手順として保管することで同じ事象が発生した際の早期復旧を実現 コード開発の自動化支援による熟練技術者の持つ暗黙知の形式知化 Ansible Playbook開発スキルの格差を縮小し、安定した品質のコードを素早く実装 watsonx Code AssistantでCOBOLやJavaのアプリケーション開発も自動化 IBM は、2024年5月の Think 2024 にて、watsonx assistants の新クラスとして、お客様がドメイン横断的に独自の AIアシスタントを構築できるようにする watsonx Orchestrate の今後の新機能などを含む watsonx Assistantファミリーに関する今後のアップデートおよび機能強化について発表*2 しました。 COBOL から Java へのコード変換を支援する「watsonx Code Assistant for Z」を2024年6月から提供開始し、Java開発・Javaコードの更新・ランタイムのモダナイゼーションを支援する「watsonx Code Assistant for Enterprise Java Applications」を2024年10月から提供開始予定です。 これにより、watsonx Code Assistantシリーズは今回ご紹介した Ansible だけでなく、COBOLアプリケーションのモダナイゼーション(watsonx Code Assistant for Z)、Javaアプリケーションの開発(watsonx Code Assistant for Enterprise Java Applications)でもコード開発の自動化を実現することが可能になります。 IBM では、コード開発支援ツールとしてさらなるソリューションも計画しています。今後の watsonx Code Assistantシリーズの新ラインナップもどうぞご期待ください。 *2. 参照:「IBM、オープンソース、製品、エコシステムの革新により、エンタープライズAIを大規模に推進するwatsonxの次章を発表」 図2. IBM watsonx Code Assistant シリーズ まとめ エヌアイシー・パートナーズは、IBM のソフトウェアとハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM watsonx Code Assistant for Red Hat Ansible Lightspeed のお客様への提案をサポートします。また、watsonx.ai や watsonx.data などのソリューション群についても、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートします。 「お客様のニーズや要件に合わせて、IBM ソフトウェア と ハードウェア を組み合わせた最適な提案がしたい」「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」「IBM製品の特長や利点を活かしたお客様ビジネスへの最適な提案をしたい」 といったお悩みをお抱えの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
こんにちは。技術企画本部です。 2024年5月29日に、弊社として2回目のハンズオンセミナー『IBM Cloudハンズオンセミナー -PowerVS実践入門-』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の3つのことを目的として行いました。 IBM Cloudの操作を体験していただき、その機能と応用の幅広さを理解していただくこと IBM CloudおよびIBM Power Virtual Serverの最新情報をお伝えすることで、知識の拡充とスキル向上に繋げていただくこと パートナー様同士の交流機会をご提供することで情報交換や意見共有を通じて新たな協業の機会を見出し、お互いのビジネス成長を促進いただくこと 第1回のハンズオンセミナー開催ブログ にも記載しましたが、私たちはご紹介商材を「実際に触ってみること」を重要視しています。私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることで、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がると考えているためです。ハンズオンを通して、パートナー様のさらなるビジネス展開へのお役に立てれば幸いです。 それでは、開催したセミナーについて簡単にご紹介いたします。 目次 開催レポート IBM Cloudアカウントの説明 ハンズオン Part.1:Power Systems Virtual Server ハンズオン Part.2:IBM Cloud Monitoring IBM Cloudサブスクリプション契約フローや課金の説明 最新情報紹介(日本アイ・ビー・エム 安田様) さいごに お問い合わせ 開催レポート 1. IBM Cloudアカウントの説明 本セクションでは、IBM Cloud の利便性と機能、また、実際に業務に応用するための情報を、20分程度の講義形式でお届けしました。 まず、Power Systems Virtual Server のハンズオンを開始いただくにあたって、IBM Cloud とは何か、その基本構成や提供されるサービスについてご紹介しました。(IBM Cloud はオープンテクノロジーを基本に構成され、170以上のサービスがネットワーク経由で利用可能なビジネス向けクラウドであり、マルチアーキテクチャーをサポートしています)また、IBM Cloud の歴史やインフラ概要、データセンターの拠点情報などもお伝えしました。 その後、IBM Cloudアカウントの概要についてご説明しました。アカウント管理の全体像、ユーザーの種類、アクセスポリシー、IAM(Identity and Access Management)の設定方法についてざっくりとご理解いただけたのではないかと思います。 2. ハンズオン Part.1:Power Systems Virtual Server 本セクションでは、まず Power Systems Virtual Server(以下 PowerVS)の概要と、3月に東京・大阪リージョンで GA された Power Edge Router などの最新のアップデート情報をご紹介し、その後ハンズオンを実施していただきました。 ハンズオン環境はアクセスの集中を防ぐため、東京・大阪・ダラスの3拠点で行いました。手順書は AIX と IBM i を準備し、参加者様には OS を選択して進めていただきました。 ハンズオンでは、参加者様に PowerVS と事前に作成した VSI(CentOS)を Transit Gateway を経由して疎通確認を行っていただき、構築時間や構築の難易度を体感いただきました。限られた時間でのハンズオンのため最後まで終えられなかった方も一部いらっしゃいましたが、多くの参加者にオンプレミスと同様に利用できることを体感していただけたのではないかと考えます。 ハンズオン終了後には、オンプレミスからの接続方法や IBM Cloud Object Storage への接続に関するご質問をいただきました。(個別にご回答させていただいています) ハンズオンのSTEPについて 3. ハンズオン Part.2:IBM Cloud Monitoring 本セッションでは、IBM Cloud Monitoring による PowerVS の監視についてご紹介しました。 PowerVS はエージェントの導入なしに監視が可能で、メトリクス取得を有効化するだけで開始できるサービスです。 ハンズオンでは、IBM Cloud Monitoring から作成した PowerVS の CPU、メモリ、ディスク、ネットワークの使用状況をご確認いただきました。ネットワークの送受信状況など OS では取得できないメトリクスもあり、導入メリットのあるサービスではないかと思います。 また、IBM Cloud Monitoring は閾値を設定して Eメールアドレスなどのチャネルに通知することが可能ですが、通知内容をよりわかりやすいものとする案として、watsonx.ai で要約して通知するユースケースをご紹介しました。実際に watsonx.ai で要約した場合のアウトプットをご覧いただき、その通知内容のイメージをご確認いただきました。 今後は、PowerVS・IBM Cloud と watsonx(生成AI)の活用についてもご紹介できればと考えています。 4. IBM Cloudサブスクリプション契約フローや課金の説明 本セッションでは、以下の2点についてご説明いたしました。 - IBM Cloudのサブスクリプション契約の開始方法や開始フロー - IBM Cloudの課金の考え方や課金の確認方法 上記は多くのパートナー様からご質問をお受けするテーマです。実際の業務で、特に営業部門が直面する疑問を少しでも解消いただきたく、このテーマについてご説明する場を設けました。 サブスクリプション契約は一見複雑に感じてしまいますが、一連のフローを理解し処理を進めることで容易に契約が締結でき、IBM Cloud の利用をスムーズに開始することができます。また、サブスクリプションの消費方法も合わせてご理解することで、為替変動にも柔軟に対応することが可能です。 弊社は、これまで数多くの IBM Cloud の見積を実施し、多様な案件をご提案してきた経験があります。そのため、お客様特有の状況に合わせ、見積もり段階からアドバイスをさせていただくことが可能です。ご契約前のサポートはぜひ弊社にお任せください! 5. 最新情報紹介(日本アイ・ビー・エム 安田様) 日本アイ・ビー・エム株式会社 Cloud Platform テクニカルチーム 安田様より、「AI プラットフォーム『watsonx』とクラウドでのAI 開発 最前線!」と題した講義を実施いただきました。 昨年 IBM から発表された watsonx は「ビジネスに特化した企業向けの生成AI」として「信頼性」を重視しており、IBM Cloud は watsonx の信頼性を支える稼働環境(インフラ)として利用されています。 講義では、AI の処理に最適化された AI専用のインフラストラクチャーである、 - トレーニング実行用:Vela - 推論実行用:AIU System(AI Accelerator System)をご紹介いただきました。 AI を利用する上で「基盤モデル(foundation models)」は欠かせないものですが、基盤モデルの作成段階によって必要なコンピューターのパワーは異なります。例えば、一番多くのパワーを必要する「トレーニングや検証」の段階では Vela を利用し、レイテンシやコストの観点が重要視される「データの準備やチューニング、推論」の段階では AIU System を利用する、といった使い分けができるそうです。 我々は用途によって適材適所であらゆる AI を使い分けています。「ビジネスのためのAI」としてお客様が watsonx を選択いただくために、生成AI をどう使っていきたいのかお客様のイメージを確認しながら、インフラのみではなくアプリケーションなど広い枠で情報収集をしていこう、と改めて考えさせられる講義でした。 日本アイ・ビー・エム 安田様 講義 さいごに ハンズオンセミナー後には、パートナー様およびご支援いただいた IBM様との情報共有会を開催いたしました。4時間程におよぶ長時間のセミナーの後でお疲れだったと思いますが、8割のパートナー様にご参加いただきました。 情報共有会では、IBM様や弊社営業・SE との対話のみならず、パートナー様同士のコミュニケーションも進めていただくことができ、和やかながら活気のある会となりました。 ハンズオンセミナーは商材を限定して開催しますが、弊社は IBM Cloud のみではなく、その他の IBM製品に対しても専門スキルを持った SE が所属しており、パートナー様の取り扱い商材拡大のご支援をいたします。いつでもお気軽にご相談ください。 では、次回のハンズオンセミナーでお会いしましょう! 日本アイ・ビー・エム Powerテクニカルチームの皆様 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
IBM Storage Assurance Perpetual という契約方法をご存じでしょうか。これは日本アイ・ビー・エム(以下 IBM)が2024年4月23日に発表した、ストレージの長期利用に向けた新しいオファリングです。 これにより、ストレージ市場で人気のある先行ケースを精査した上でお客様にとってさらにメリットのある提案を完成させました。“Perpetual” とは “永続的な” という意味で、新機能を享受し続けながらストレージの更改の手間を省き、永続的にお使いいただけるというものです。 本記事では、IBM Storage Assurance Perpetual の概要と、この契約を適用することでストレージ調達の世界観がどのように一変するかをご紹介します。 目次 ストレージ更改 ~自動化と効率化で手間いらずの新時代へ~ IBM Storage Assurance Perpetualがペインポイントを解決します 「交換対象はフルシステム」それが最大の差別化ポイント 適用ステップはいたって簡単 IBM Storage Assurance Perpetual適用でストレージ更改から完全解放 お問い合わせ ストレージ更改 ~自動化と効率化で手間いらずの新時代へ~ ストレージはハードウェアとして物理的な形を持ちます。そのため、ソフトウェアとは異なり経年変化に対する耐久性には限界があります。最新のアプリケーションが求める要件に応えられなくなる、搭載データ容量の上限が来る、といった問題はいずれ必ず訪れます。 それらに目をつむって長く使い続けるということもできなくはありませんが、延長保守契約を結ぶとなると、その料金は割高になりがちです。基本的にストレージに潤沢な予算をかけられるという企業はそれほど多くないため、非常に悩ましい選択です。 ストレージベンダーでは、このような経年変化を考えストレージに対してライフサイクルの考え方を適用し、発売から時間の経った機種は EOS(End Of Support)とし、新しい機種への移行を促します。 新しい機種は通常性能が向上しており、その恩恵を享受できる点では嬉しいことです。しかし、企業の情報システム部門にとってはこの EOS を念頭に置いてストレージを定期的に更改するという業務が発生します。すなわち、更改時期から逆算してストレージの市場調査を開始し、比較検討して選定、予算承認を取得、調達し、移行するという一連のプロセスを進めなければなりません。 これらのプロセスには相応の時間と負荷がかかるため、極めて計画的に動く必要があります。経営と IT が不可分となり DX(デジタルトランスフォーメーション)に注力する中、情報システム部門には課題が山積しています。重要なシステムコンポーネントであるとはいえ、ストレージの更改業務に時間や労力を割きたくないというのが本音ではないでしょうか。 IBM Storage Assurance Perpetualがペインポイントを解決します まさにこうした課題を解決するために生まれたのが、IBM Storage Assurance Perpetual です。これは、ストレージをクラウドサービスのような低額サブスクリプション形式で提供するプランです。 契約期間は4年または8年から選ぶことができ、適用対象ストレージは IBM Storage FlashSystem のモデル "5300" "7300" "9500" です。このプランには、ハイブリッドクラウドや自動化に対応する FlashSystem共通のソフトウェア基盤である「IBM Storage Virtualize」、システム全体をモニタリング、分析し AIアシスタント機能を提供するクラウドサービス「IBM Storage Insights」も含まれています。 IBM が提供するこのサービスの最も大きな特長は、IOPS(Input/Output Operations per Second)などを基準に SLA(Service Level Agreement)で一定の値を設定し、この値を満たさなくなった場合に同等の新規ストレージをフルシステムで提供するということです。 たとえば、3年目以降にパフォーマンス要件を満たさなくなった場合には、それより高いパフォーマンスを発揮する同等構成のストレージに入れ替えます。これはエネルギー消費効率に関しても同様で、当初に SLA で提示した消費効率を下回った場合は入れ替えの対象です。IBM Storage Insights でストレージの稼働状況を常にモニタリングしているため、こうしたことも可能になります。 また、仕様上の制限によりソフトウェアやハードウェアのアップグレードができなくなった、ハードウェアの保守終了や EOS が発生した、といった場合にも、新しい世代の同等ストレージに交換することができます。あるいは、当初は少ないドライブ本数で使い始め途中で容量追加を行いたくなったけれども、もう同じドライブは EOS になってしまった、という場合も、同等構成の新しいストレージが提供されます。 IBM Storage FlashSystem では、ドライブ上で AI によるランサムウェア検知と効率的な IOデータ処理ができるようになりましたが、これらの機能がアップグレードされた場合もドライブ交換でキャッチアップ可能です。 保守サービスも、IBM Expert Care の3種類のサービスレベルの中で最も高いプレミアムレベルの保守サービスが適用されます。 これまでストレージ更改では必ずデータ移行が発生しそのときにシステム停止が発生することも面倒な課題の一つでしたが、無停止でのデータ移行が可能になります。これは、まもなく「IBM Storage Virtualize」に無停止データ移行のためのソフトウェア「Flash Grid」が追加搭載されるためで、外部の助けに頼らず簡単にデータ移行を実施できます。 ストレージ利用では、エントリーレベルで使い始めたけれども業容拡大によりもっと高いパフォーマンスを発揮できる機種が欲しくなった、という場合も多々あります。そうしたケースでは、現在のストレージを下取りに出して上位のモデルと入れ替えていただくことも可能です。 図1. IBM Storage Assurance Perpetualの特長 「交換対象はフルシステム」それが最大の差別化ポイント ストレージのサブスクリプションプランは、市場で高い人気を誇っています。その中でも IBM Storage Assurance Perpetual の差別化ポイントは、先述したように交換の対象がフルシステムであるという点です。 では、なぜフルシステム交換を選んだのでしょうか。 一般的には定期的にコントローラーを交換するというオファリングが多いですが、IBM のシステムモニタリングによると、コントローラーのリソースを完全に使い切るケースは稀であり、コントローラーを交換してもお客様にそれほどメリットはないことが判明したそうです。それよりもハードウェア全体を入れ替えて最新の機能や新たな価値を享受できる方がお客様にとってより大きなメリットがある、と IBM は判断しました。 図2. サブスクリプションオファリングの比較 適用ステップはいたって簡単 それでは、IBM Storage Assurance Perpetual はどのように購入できるのでしょうか。 IBM の提供する eConfig を使用すると簡単に購入することができます。IBM Storage FlashSystem を構成対象にした際に表示される Expert Care の画面でこの契約プランを選択することが可能です。ここで契約期間を4年または8年から選び、一括請求、年額請求、四半期請求、月額請求のいずれかを選択できます。 いくつか注意事項があります。 パフォーマンス要件 ベースとなるストレージのパフォーマンス要件は、eConfig で設定する前に十分に検討した上でモデルをお選びください。IBM Storage Assurance Perpetual で提示する SLA は選択したモデルの性能を前提に算出されたもので、この点についてご了承いただく形になります。 適用対象 すでにご購入いただいた IBM Storage FlashSystem に対して途中から IBM Storage Assurance Perpetual を適用することはできません。 解約条件 IBM Storage Assurance Perpetual を契約期間途中で解約される場合、残額を一括精算する必要があります。 IBM Storage Assurance Perpetual適用でストレージ更改から完全解放 図3. 従来のライフサイクル管理の課題(上)とIBM Storage Assurance によるライフサイクル管理(下) 図3は、IBM Storage Assurance Perpetual を適用する前後のストレージライフサイクル管理の違いを示したものです。 従来の定期的なストレージ更改では、以下のような多くのペインポイントがありました。 - ソフトウェア更新サポートや容量拡張用ドライブの提供が終了する - 更改に向けて長期的なプロセスを踏む必要がある - 機器を停止してデータ移行を行わなければならない しかし優れたサブスクリプションプランを選択すれば、ソフトウェア更新サポートが終了しても、容量拡張提供が不可になっても、新規ストレージが提供され、新規購入にともなう予算承認と購買プロセスが不要になります。また、無停止でのデータ移行も可能になります。 つまり、ストレージ調達という業務から永続的に解放される世界が目前に広がり、リセラー企業様にとってもお客様と長期的に良好な関係を築くことが可能になります。 エヌアイシー・パートナーズでは、IBM Storage Assurance Perpetual の適用を前提とした IBM Storage FlashSystem選定アドバイスや構成作成のサポートを行っています。また、多様な取り扱い製品をそろえているため、このストレージと一緒に運用するシステム全体の提案の支援も可能です。 お客様の課題を解決するための方法を、リセラーの皆さまとともにお客様の立場で考えます。ぜひお気軽にご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
こんにちは、ソリューション企画部の西村です。 今回私は、ビジネスイノベーションとテクノロジーの先端を切り開く IBM Global の年次イベント「Think 2024」に参加しました。このブログを通して、イベントで得た印象深いハイライトや知見を皆さんと共有できればと思います。 (さらに…)
ランサムウェア攻撃は収束するどころか、ますます戦いは苛烈を極める状況になっています。凶悪化する一方のこの脅威に対抗するため、IBM はストレージ領域のソリューションに AI を活用した新機能を次々と発表しています。 それが、IBM Storage FlashSystem における「第4世代FlashCore Module(以下 FCM4)」であり、IBM Storage Defender です。 被害を拡大させないためには早期検知が何よりのカギといえます。本記事では新機能の概要とともに、関連ソリューションの相互活用により脅威検知とデータ復旧がどのように迅速化できるかをご紹介します。 目次 すべての企業が“自分ごと”として考えるべきランサムウェア攻撃 IBMはランサムウェア対策のためAI活用をハード/ソフトで推進 一層の早期検知が可能になった脅威検知フロー お客様環境や予算に応じて柔軟に構成可能なIBM Storage Defender 「無償セキュリティー・リスクWEB診断」でお客様に気づきを お問い合わせ 関連情報 すべての企業が“自分ごと”として考えるべきランサムウェア攻撃 ランサムウェア攻撃との戦いは、まだまだ収束には至っていないようです。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2024」の組織編において1位となったのは「ランサムウェアによる被害」でした。 2016年にランキングに登場して以降10大脅威に入り続け、今年で9年連続になると言います。もはや "運の悪い企業がたまたま遭う災難" という次元ではなく、ランサムウェア攻撃のリスクはすべての企業が自分ごととして考えなければならないところまで来ています。 ひとたび被害に遭うと、大幅なシステム侵害に見舞われます。事業停止に追いこまれたり、全面システム復旧に数週間から半年もかかってしまうということが過去の事例からわかっています。 現代の企業には、ランサムウェア攻撃を受けないよう予防するだけでなく、万が一攻撃を受けたとしてもそこから迅速にシステム復旧を遂げ、もとの企業活動に戻るという能力、レジリエンスが求められるようになっています。 IBMはランサムウェア対策のためAI活用をハード/ソフトで推進 脅威者が人質に取ろうと狙うのはデータです。そのデータが格納されているストレージは、彼らにとって格好の標的のひとつです。 IBM では凶悪化する一方のランサムウェア攻撃に対抗するため、ハードウェアとソフトウェアの両面からストレージ領域でこの課題によりよく対処できるよう、支援を強化しています。 まずはハードウェアです。 先日、IBM Storage FlashSystem に新しい FlashCore Moduleテクノロジーが導入されました。これは FCM4 と呼ばれ、IBM Storage FlashSystem と共に新たなランサムウェア検知に貢献する AI機能(機械学習モデル)を実装しています。 すべての I/Oデータに関する統計情報(エントロピー、圧縮率、暗号化レベル、アクセスパターンなど)を FCM4 が継続的に監視しており、取得したデータをサマライズし、IBM Storage FlashSystem上の AI機能により1分未満でランサムウェアの脅威を検知できるようにします。 昨年から提供している IBM Storage FlashSystem でのソフトウェアによる書き込みデータの監視やエントロピーなどの統計情報の収集および処理機能と IBM Storage Insights Pro での脅威の検知を組み合わせた方法と比較すると、より正確かつ早期に検知することが可能になります。 また、この新しいランサムウェア検知機能ではボリューム単位で脅威を検知できるため、疑わしい箇所をピンポイントで特定し、より早くデータ復旧にむけたアクションに入れます。 ランサムウェア対策において、被害を最小限に抑える早期検知は大きな進歩となります。 続いて、データ・レジリエンスのためのソフトウェアソリューション IBM Storage Defender での進化について説明します。 こちらには、IBM Defenderセンサーという新機能が加わりました。これは、ランサムウェアの脅威を高い精度で迅速に検出するよう設計された、IBMリサーチ開発の AI搭載センサーです。ストレージのリソースを消費しないライトウェイト設計のエージェントを使用し、ファイルのメタデータや I/O への攻撃パターンを分析、数秒から数分で異常を検出します。 IBM Storage Defender にはすでに、IBM Storage FlashSystem のセーフガード・コピー機能で作成された改変不可なスナップショットをアプリケーションデータとして不整合な点はないか検証できる IBM Storage Sentinel というラインナップソフトウェアがあります。IBM Defenderセンサーが加わったことで、さらに精度高く脅威を検知できるようになります。 一層の早期検知が可能になった脅威検知フロー それでは、上記のような新機能を包含するとランサムウェアの脅威検知はどのような流れになるでしょうか。 まず動きだすのは IBM Storage FlashSystem上の FCM4 です。これが I/Oデータを常にモニターし、ランサムウェア検知に必要なデータを IBM Storage Virtualize に送ります。IBM Storage Virtualize ではボリュームごとに情報を集約し、自身が持つ推論エンジンで脅威検出を行います。 ランサムウェアの脅威を検知するとその情報を IBM Storage Insights Pro へ通知し、IBM Storage Defender などと連携し次のアクションへ繋げます。(図1) 図1. FlashSystem:FCM4を使ったランサムウェア検知 これによってランサムウェア攻撃を受けた日時を絞りこめるため、データ復旧に用いるべきセーフガード・コピーのバックアップ世代にただちに当たりをつけることができます。 そこで Copy Service Manager などからリカバリー指示を出し、当該世代をボリュームグループ単位でリカバリー・ボリュームに移します。ここでマウントを行うことで、IBM Storage Sentinel でただデータとしてクリーンであるというだけでなく、アプリケーションデータとしても不整合がないことを検証します。 晴れて良好な結果が出れば、安心してデータをシステムに戻せるというわけです。(図2) 図2. セーフガード・コピーのワークフロー お客様環境や予算に応じて柔軟に構成可能なIBM Storage Defender IBM Storage Defenderソリューションのおもしろいところは、さまざまな機能を持つソフトウェアを1つの Defenderライセンスの下で利用できる点です。まるでツール・ボックスから道具を選ぶように、必要に応じて必要なものを柔軟に利用することができます。 ここが、ライセンスにすべてのコンポーネントが含まれるパッケージとは大きく異なります。 ランサムウェア対策をご検討中のお客様の中には、予算や既存システムの活用を優先するなどの理由で対策の優先度があるかと思いますが、 "すでに実装されているデータコピーの健全性を素早く特定する検知に取り掛かるため、今期は Sentinel への投資をする""来期は Flash の更改時期のため、SGC機能込みのモデルの Flash と共に CSM にも投資する" など、シチュエーションに合わせた対応が可能です。 IBM には「IBM Sales Configurator」(IBMサイト/要IBMid)という構成見積りツールが用意されています。これを使って、お客様環境における IBM Storage Defender の構成をざっくりシミュレーションすることができます。 「無償セキュリティー・リスクWEB診断」でお客様に気づきを いかがでしょうか。 ランサムウェア攻撃が日常になった今日、この攻撃に焦点を合わせて着々と機能強化を図っている IBM Storage FlashSystem、IBM Storage Defender は、一度じっくり検討してみる価値があります。 すでにこのストレージをお持ちのお客様にも、これから堅牢なストレージを求めたいというお客様にも、ぜひお勧めください。 中には、「何も起きていないからうちは大丈夫」と、最初からセキュリティに関心の薄いお客様もおられるかもしれません。そのときは、IBM が新しく用意した「無償セキュリティー・リスクWEB診断診断」(IBMサイト)を紹介して試していただきましょう。 上記の診断では、(重要データの)「特定」「防御」「検知」「対応」「復旧」という5つのプロセスからなる22の質問があり、解答者は「はい」「どちらかと言えばはい」「部分的に」「どちらかと言えばいいえ」「いいえ」のいずれかにチェックをつけていきます。(図3) 図3. 無償セキュリティー・リスクWEB診断 正式な診断結果を確認するには連絡先情報を入力する必要がありますが、回答していくだけでも現在実現しているセキュリティレベルに対する "気づき" が得られます。 エヌアイシー・パートナーズでは、IBM Storage FlashSystem や IBM Storage Defender に関して潜在ニーズを含めたシステム構成の検討支援から、お客様システム全体に対する提案支援や構成作成支援を提供しています。お客様の課題を解決するための方法をリセラーの皆様とともに、お客様の視点、リセラーの視点を大事にしながら一緒に検討していきます。 お気軽に、なんなりとご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ 関連情報 NI+C Pサイト情報 データを守り抜く鍵は「IBM Storage Defender」にあり(コラム)- IBM Storage Defender の構成要素や、それぞれの構成要素を企業がどう採り入れていくことで堅牢な守りを形にできるのか、を見ていきます。 .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 ビジネスへの生成AI の取り込みに注目が集まっている今日、watsonx.ai をどう活用すればいいのか、多くのお客様からお問い合わせ頂いています。そこで前回の「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」では、watsonx.ai のユースケースとして Retrieval-Augmented Generation(以下 RAG)をご紹介しました。 今回は、RAG の仕組みを利用し AIチャットボットを提供する「watsonx Assistant(以下 Assistant)」と検索エンジン機能を提供する「Watson Discovery(以下 Discovery)」、「watsonx.ai」を組み合わせた連携ソリューションをご紹介します。 目次 AssistantとDiscoveryの連携 watsonx.aiを取り入れた連携 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた さいごに お問い合わせ AssistantとDiscoveryの連携 本来なら各製品を一つのブログで詳しくご説明したいところですが、今回は連携した結果についてのご紹介となりますので、Assistant と Discovery については今後のブログであらためてご紹介したいと思います。 Assistant は watsonx の大規模言語モデルが搭載され、自然言語の問い合わせを理解し、適切な回答を返すことができるチャットボット機能を提供する製品です。一方 Discovery はドキュメントから適切な情報を検索する検索エンジン機能、パターンや傾向を読み取る分析エンジンとしての機能を備えた製品です。 Assistant と Discovery を組合わせたユースケースでは Assistant にあらかじめ回答を用意してルールベースで回答させ、答えることが難しい問い合わせに対しては Discovery の検索結果を利用して回答します。 watsonx.aiを取り入れた連携 上記の連携では Discovery の検索結果がユーザーに表示される仕組みとなっていますが、watsonx.ai を介して回答を提供することでDiscovery が得た検索結果をさらに整理し、より理解しやすい形での返答が実現できます。 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた Assistant、Discovery、watsonx.ai を連携してみます。 事前準備 利用環境 今回は IBM Cloud で提供される SaaS を利用して検証します。なお、Assistant と Discovery の Plusプランは30日間無償期間が付属されていますので、是非ご活用ください。 watsonx Assistant:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) Watson Discovery:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) watsonx.ai:Essentialプラン(有償) 検証の目的 検証では構築手順の他、以下の点を確認します。 「Assistant + Discovery + watsonx.ai」と「Assistant + Discovery」の連携による回答の違いを比較 言語モデルを変えて問い合わせを行い、回答の違いの比較 実施手順 以下の流れで検証を実施します。 Assistantのプロビジョニング Discoveryのプロビジョニング、検索対象とするデータの取り込み※取り込むデータは「IBM Power S1014 データシート」のS1014のPDF watsonx.aiのプロビジョニング Assistantの初期設定 Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 言語モデルを変えて問い合わせの検証 検証実施 1. Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. Discoveryのプロビジョニング 次に Discovery をプロビジョニングします。 カタログ画面から "Discovery" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Discovery がプロビジョニングされます。※ここで、資格情報内にある「API鍵」と「URL」をメモに控えます 「Watson Discoveryの起動」をクリックし「New Project +」をクリックします。 Project name に任意の名前を入力、Project type では「Conversational Serch」を選択し「Next」をクリックします。 作成されたプロジェクトをクリックします。 「Integration Deploy」をクリックします。 「API Information」タブをクリックし「Project ID」をメモに控えます。 次に検索対象の PDF を Discovery に取り込みます。 「Manage collections」から「New collection +」をクリックし、「Collection name」に任意の名前を入力、「Select language」を「Japanese」に設定します。 Upload files の領域に PDF をドラッグアンドドロップして「Finish」をクリックします。 アップロードが完了しました。次に、Smart Document Understanding機能(以下 SDU)を利用して PDF内のヘッダーやテキストなどのフィールドを定義します。 SDU は、PDFをはじめとする非構造化データの文書構造を理解して検索や分析の精度を向上させる機能です。例えばタイトルと定義した箇所を検索キーとしたり、検索対象をテキストと定義した箇所のみとするなど可能になります。 「Identify Field」タブをクリックします。 取り込んだ PDF が表示されるので右側の Field labels からヘッダー箇所やタイトル箇所などをドラッグアンドドロップして指定していきます。 ページの定義が終わったら「Submit page」をクリックして次の頁を定義していきます。 SDU では数ページ指定すると自動的にヘッダー箇所やテキスト箇所を認識してくれるので、何ページもあるドキュメントには便利な機能です。 今回は SDU を使って PDF の文書構造を定義しました。SDU以外の Discovery の機能については、また別の機会にご紹介したいと思います。 3. watsonx.aiのプロビジョニング ※watsonx.ai のプロビジョニング方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part1)」をご参照ください。 4. Assistantの初期設定 Assistant の初期設定を行います。 Assistant を起動します。 起動後、以下の項目を入力します。 Assistant name:任意の名前を入力 Assistant Language:「English」を選択※日本語を選択することが可能ですが、Assistant のスターターキットは英語での利用を想定しているため今回はEinglishを選択します Assistant の公開先を「web」に設定します。※"Tell us about your self" 以降はご自身の情報を入力ください 入力後「Next」をクリックします。 デフォルトのチャットUI を利用するため「Next」をクリックします。 プレビュー画面が表示されるので「Create」をクリックします。(以下の画面は「Create」が隠れてしまっています) 「Congratulations!」と表示されたら初期設定は完了です。 5. Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる 「Githubのassistant-toolkit」から "watson-discovery-query-openapi.jsonファイル" をダウンロードします。 Assistant のメニューから「Integration」をクリックします。 下にスクロールし「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 「Extension name」に任意の名前を入力し「Next」をクリックします。 先程ダウンロードした watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Basic auth」を選択 Username:「apikey」と入力 Password:メモに控えたWatson DiscoveryのAPI鍵 discovery_url:メモに控えたWatson DiscoveryのURLから"http://"を除いた値 ※以下の画面ショットは discovery_url入力箇所が切れてしまっていますが、実際は「Servers」の下に discovery_url の項目があります 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで watsonx Assistant と Watson Discovery が連携できました。 6. Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる 次に、Assistant のカスタム拡張機能から watsonx.ai を利用できるように設定します。 設定には IBM Cloud の APIキーと watsonx.ai のプロジェクトID が必要です。取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」をご参照ください。なお、今回は東京リージョンで watsonx.ai をプロビジョニングします。 Github の「assistant-toolkit」から "watsonx-openapi.json" をダウンロードします。 Visual Studio Code などで東京リージョンの URL に編集し保存します。 Discovery の連携と同様に、Assistant のメニューから「Integration」「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、任意の Extension name を入力して「Next」をクリックします。 編集した watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードして「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Oauth 2.0」を選択 Grant type:「Custom apikey」を入力 apikey:取得済みのIBM CloudのAPIキー Client authentication:「Send as Body」を選択 Header prefix:Bearer(デフォルト) Servers:https://jp-tok.ml.cloud.ibm.com(自動入力) 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで Assistant と watsonx.ai が連携できました。 7. Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 Github の「assistant-toolkit」から "discovery-watsonx-actions.json" をダウンロードします。 Assistant の「Actions」から「Global Setting」をクリックします。 「Upload/Download」タブをクリックし、Uploadスペースに discovery-watsonx-actions.json をドラッグアンドドロップしてアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Upload and replace」をクリックします。 以下の画面の通り、3つのアクションが作成されます。 メニューから「Variables」「Created by you」をクリックします。 「discovery_project_id」の値をメモに控えていた Discovery のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「watsonx_project_id」の値をメモに控えて置いた watsonx.ai のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「model_id」の値で watsonx.ai で使用する言語モデルを指定します。2024年2月29日に GA された日本語で訓練された Granite-japaneseモデルを使用するため、「ibm/granite-8b-japanese」を入力し「Save」をクリックします。(その他変数はデフォルト値とします) 「Actions」から「Generate Answer」を選択し、「model_input」の値を以下の例の様に日本語に変更します。 例: ("<s>[INST] <<SYS>>\nあなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。\n\n質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。\n<</SYS>>\n\n質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。\n\n").concat(passages).concat("\n\n[question]: ").concat(query_text).concat("[/INST]") 以上で設定は完了です。 さっそく Assistant から問い合わせをしてみます。 右下の「Preview」をクリックします。 チャットから S1014 の特徴について問い合わせしてみます。約18秒後に以下の回答が返ってきました。 「Inspect」をクリックすると、Discovery の検索結果が以下の通り watsonx.ai に渡されていることがわかります。 <s>[INST] <<SYS>> あなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。 質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。 <</SYS>> 質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。[title]: IBM Power S1014 柔軟かつセキュアなハイブリッドクラウド・インフ ラストラクチャーで俊敏性を実現[document]: 1 コ ア 当 た り 4 つ の M a t r i x Math Acceleratorによる迅速 なAI推論のために洞察と自動 化を合理化 業界標準のDIMMより2倍優 れたメモリーの信頼性と可用 性を提供 IBM® Power® S1014 は、1ソケット、4U Power10プロセッサーをベースにしたサー バーで、IBM AIX®、IBM iまたは Linux®上のビジネス・クリティカルなワークロード 向けに設計されています。Power S1014を使用することで、ワークロードはより 少数のサーバーに統合され、ソフトウェア・ライセンスの数、電力と冷却のコスト を削減します。Power S1014サーバーは、プロセッサー上でのメモリー暗号化を 使用してエンドツーエンドからデータを安全に保護し、ラック型またはタワーフォー ム・ファクターで購入できます。 プロセッサー・レベルでのメモリー暗号化と、POWER9 と比較してすべてのコア で4倍の暗号化エンジンによりコアからクラウドまでのデータを保護 ますます高度に分散した環境に存在するデータには、もはや境界線を設定すること は不可能です。 [question]: S1014の特徴は?[/INST] Assistant と Discovery のみの連携で検索した結果は以下の通りです。watsonx.ai を使用した方がより簡潔で分かりやすい回答を得られることが分かります。 8. 言語モデルを変えて問い合わせの検証 言語モデルを "llama-2-70b" にして同様の問い合わせをしたところ、約24秒後に回答が返ってきました。箇条書きで丁寧な印象です。 言語モデルを "elyza-japanese" にした際は10秒ほどで回答がありました。主語として「S1014の特徴は」とあることで、問いに対する回答が分かりやすくなっています。 言語モデルを変えて試した結果、llama-2-70B は箇条書きで回答し丁寧な印象を受けましたが、回答が得られるまでに24秒かかりました。一方 Granite-japanese や elyza-japanese はシンプルな回答を生成し、Granite-japanese は18秒、elyza-japanese は10秒というより短い時間で回答を得られました。 Watson Discovery の検索結果に基づき watsonx.ai で回答を生成するので、ある程度時間がかかると予想していましたが、elyza-japanese は速い回答で主語を添えてわかりやすく回答してくれました。 また、llama-2-70B は汎用的で使いやすいモデルですが、プロントで「日本語で回答して」と指示をしても問い合わせ内容によっては英語で回答することがありました。日本語の回答精度を求める場合は、Granite-japanese や elyza-japanese を使用した方が精度の高い回答を得ることができます。 モデルを変えて問い合わせてみると、モデルごとに得意なタスクが異なることがわかりました。数百億のパラメータで訓練された大規模言語モデルを一概に選択するのではなく、言語やタスクの特性に合わせて最適なモデルを選定することが重要になりそうですね。 さいごに いかがでしたでしょうか。Github から提供されているスターターキットを使って Assistant、Discovery、watsonx.ai を繋げてみましたが、ほどんど躓くことなく UI から簡単に設定することができました。 接続自体に高度な難しさは感じませんでしたが、問い合わせに対して正確な情報を得るためには Assistant の検索設定を調整する必要があります。今回は1つの PDFファイルの検索を行いましたが、複数の PDFファイルから情報を引き出す際には Assistant で query を設定することで特定の PDFファイルからの検索が可能です。 このように PDF などの非構造化データを検索対象として精度の高い回答を得るには、Discovery において文書の構造を明確に定義し、Assistant の検索設定を調整することが必要です。 実際にヘルプデスクなどの Webチャットで利用する場合は、Assistant にあらかじめ用意した回答をルールベースで回答させ、それでも解決できない問い合わせについては Discovery を通じて検索を行い、watsonx.ai を用いて回答を生成するという流れが効果的です。 ただし、生成AI によって生成される回答は常に”100%正確な回答”ではないので、より高い精度の回答を追求するためにはプロンプトの調整などチューニングを施すことが必要です。その結果、より使いやすい Webチャットの実現が期待できます。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
悪質化・巧妙化する一方のサイバー攻撃を始め、システムリスクは企業が直面し続けている「今そこにある危機」です。ビジネスの中断を招かないためには、何かが起きたとしても重要な情報資産であるデータを迅速に復旧できる能力やデータ・レジリエンスが強く求められています。 しかしその一方で、予算も人的リソースも有限であり、セキュリティコストや運用工数をむやみに増加することはできません。 そうした中、IBM ではデータ・レジリエンスに特化した包括ソリューション IBM Storage Defender で、データの保護、識別、検知、対応、復旧をエンド・ツー・エンドで実現していこうと提唱しています。 本コラムでは IBM Storage Defender の構成要素や、それぞれの構成要素を企業がどう採り入れていくことで堅牢な守りを形にできるのか、を見ていきます。また、セキュリティコストや運用工数という観点からも IBM Storage Defender の差別化ポイントを探ります。 目次 悪化の一途をたどるサイバー攻撃被害、求められているのはデータ・レジリエンス IBM Storage Defenderはエンド・ツー・エンドでストレージを守る包括ソリューション 必要な機能を導入しながら段階的にデータ・レジリエンスを高めることが可能 コスト抑制に効くライセンスモデル、運用を簡素化できる利点も特長 IBM Storage Defenderの特長まとめ 構成提案はエヌアイシー・パートナーズにお任せください お問い合わせ 悪化の一途をたどるサイバー攻撃被害、求められているのはデータ・レジリエンス 依然としてサイバー攻撃が猛威を振るい続けています。 IBM のサイバーセキュリティの専門家と対策担当者からなる IBM Security X-Force の「X-Force 脅威インテリジェンス・インデックス 2023」によると、サイバー攻撃による被害は悪化の一途をたどっており、ランサムウェアによるデータ侵害への対応にかかる平均コストは5億9千万円に上っています。 また、データ侵害の特定と封じ込めに要した平均日数として287日にかかっており、その間、多くのシステムは停止を余儀なくされました。さらに、Windows だけではなく Linuxシステムへのランサムウェア攻撃も増加しており、最近では VMware ESXi のサーバーまでも標的になっているといいます。 今やどんな規模の企業であっても「まさか当社のシステムが狙われることはないだろう」などと甘く考えることはできません。 ここではサイバー攻撃を例に挙げましたが、システムへのリスクは他にも自然災害やハードウェア/ソフトウェア障害、人為的ミスなどさまざま存在します。すべてを起きないように防ぐのはもはや不可能といえます。 現代の企業には、何かが起きたとしても重要な情報資産であるデータを迅速に復旧できる能力、つまり、データ・レジリエンスというものを身につけることが強く求められています。また、データに対しては世界的にコンプライアンス準拠への圧力が高まっており、企業はこれにも対応しなければなりません。 しかし持てるリソースは有限であり、セキュリティ強化だからといって湯水のように予算が湧くことはなく、恒常的な人材不足に悩む中、むやみに運用工数を上げることはできません。多くの企業はこの点に大きなジレンマを抱えています。 IBM Storage Defenderはエンド・ツー・エンドでストレージを守る包括ソリューション そうした中 IBM は2023年、IBM Storage Defender というソリューションを発表しました。 IBM Storage Defender は、ストレージ基盤全体にわたってデータの保護や改ざん防止、検知、対応、復旧、自動化を行える機能を有し、企業のデータ損失リスクを軽減することができます。 セキュリティ・ダッシュボードを備えていることも大きな特長で、データ保護とサイバー・レジリアンスのステータスをシンプルに統合して表示することができます。 図1. データ・レジリエンスを実現するIBM Storage Defender IBM Storage Defender は、具体的に以下の8つのソフトウェアから構成されています。 IBM Storage Virtualize ストレージリソースの一元化やデータサービスの拡張を可能にするストレージ仮想化ソリューションです。IBM製ストレージと他社製ストレージの管理を統合でき、ストレージリソース管理の簡素化と使用率を向上します。 IBM Copy Service Manager(CSM) ストレージ環境におけるコピー・サービスを制御する製品です。ストレージ環境全体のレプリケーションを一元的に管理することができ、アプリケーションに対して災害復旧と高可用性を提供します。 IBM Storage Data Protect 仮想環境やクラウド環境のバックアップ・復旧を司るソフトウェアです。SaaSポータルで問題の監視・警告・予測を行うとともに、異常検知しレポートします。VMware のエンタープライズ保護機能を有しているという点も大きな特長です。 IBM Storage Sentinel ランサムウェア攻撃のソースを検知/診断/特定し、主要なアプリケーションに対して自動復旧オーケストレーション機能を提供するソフトウェアです。 IBM Storage Archive 物理的なエアギャップ保護と直感的なグラフィカルアクセスの機能でデータ・アーカイブを作成します。1次ディスクのアクセスパフォーマンスが不要なデータのストレージ・コストを削減できます。 IBM Data Management Service(DMS) IBM Storage Defenderサービスに対するユーザーのランディングページで、包括的なデータ・レジリエンスを実現するダッシュボードです。具体的には、Storage Protect、IBM FlashSystemセーフ・ガード・コピー、IBM Storage Data Protect と接続しデータ保護ステータスの統合的ビューとともに、ロギングやレポーティング、シミュレーションなどの機能を統合して提供します。 IBM Storage Protect for Container Storage Protect はシンプルな構成で物理、仮想、アプリケーション、NAS と、さまざまなバックアップ対象の保護および保管方法を提供しますが、IBM Storage Protect for Container はその中でもバックアップ対象のコンテナ環境に特化しています。 IBM Storage Protect Suite 上記以外の要件のバックアップと復旧に関しては、この IBM Storage Protect Suite に含まれる多彩なソフトウェアで実現可能です。災害復旧管理やノード複製、Network Data Management Protocol(NDMP)バックアップ、大規模テープ・ライブラリーをサポートする IBM Storage Protect Extended Edition、Oracle および Microsoft SQL Server と連携する IBM Storage Protect for Database などがあります。 必要な機能を導入しながら段階的にデータ・レジリエンスを高めることが可能 IBM製品を利用のお客様であれば、IBM Storage Defender の導入でサードパーティソリューションに頼らずエンド・ツー・エンドのデータ保護を IBM環境で統一することができます。 また IBM Storage Defender は、その時点で必要な構成を採り入れながら段階的にデータ・レジリエンスを高めていくことができます。 たとえば、IBM FlashSystem 5200アップの製品をお使いのお客様には IBM Storage Virtualize が搭載されており、このソフトウェアのみでランサムウェア攻撃によるデータ暗号化に備えるセーフ・ガード・コピーが実現できるようになっています。ここに IBM Copy Service Manager をプラスすれば、リアルタイムに近い感覚でデータコピーを取得したり適用業務に合わせてデータの世代保存を管理するといったことも可能になります。 上記がフェーズ1だとすると、フェーズ2ではデータ・アーカイブやデータを分類するのはいかがでしょうか。 IBM Storage Archive を導入すると、法令や会社で定めた保存期間を過ぎたデータをより安価なストレージへ移すといったことが容易にできます。これにより、メインストレージの実容量を常に気にかける必要もなくなります。 続くフェーズ3では、ランサムウェア対策をさらに強化することにしましょう。 その目的にかなうのが IBM Storage Sentinel です。このソフトウェアを用いれば、200以上のコンテンツ・ベースの分析と機械学習技術でスナップショット・データを分析、高度なランサムウェア検知を行い、影響を受けたファイルを特定するレポートを自動的に生成します。 これにより、マルウェアがどのように広がったかやマルウェアから復旧するための最善の方法が理解できるとともに、すべてのサーバーの復旧を自動化することができます。さらに、IBM Storage Data Protect を加えれば、バックアップデータのバックアップというセカンダリーデータ保護も可能です。 図2. IBM Storage Defenderの全体像 コスト抑制に効くライセンスモデル、運用を簡素化できる利点も特長 IBM Storage Defender は導入するソフトウェアを増やしたからといって、コストがリニアに上昇するというわけではありません。その理由はライセンスモデルにあります。 費用は月額固定の SaaS利用料+従量課金のサブスクリプション利用料で構成され、従量課金はストレージボリューム1TiB当たりの RU やリソースユニットがソフトウェアによって重みづけされており、それを何TiB分必要かで算出されます。計算方法は図*にあるとおりです。 図3. IBM Storage Defender ライセンス形態 ここで最も特長的なのは、購入した RU についてはその配分を選択/調整できることです。 10RU を購入し、フェーズ1ではこれをすべて IBM Storage Virtualize と IBM Copy Service Manager で使用していたけれど、フェーズ2ではランサムウェア対策を強化のため RU を IBM Copy Service Manager から IBM Storage Sentinel へ切り替えたい、といった変更も可能です。 必要な機能を必要な容量だけ、それが IBM Storage Defender です。ちなみに、IBM では RU計算ツールを提供しています。IBMid が必要ですが、ざっとシミュレーションしてみたいというお客様はアクセスしてみてください。(https://app.ibmsalesconfigurator.com/#/) IBM Storage Defenderの特長まとめ メインストレージからバックアプストレージまでデータを保護 オンプレミス/仮想環境/パブリック・クラウドへ対応 データ保護、改ざん防止、検知、復旧などの機能を包括的に提供 様々なデータ保護機能の中からニーズに合わせて必要な機能だけを選択可能 サブスクリプション型のライセンスにより、必要な期間だけの契約(年単位) 単一ライセンス形態により、ライセンスの管理を簡素化 Data Management Service(DMS)によるシングルコントロール IBM Storage Defender は、ストレージのセキュリティ機能強化やバックアップおよびリカバリーの強化をはじめ、データ管理の最適化、コンプライアンスと法的要件の遵守といった領域においても有用なソリューションと言えます。 バックアップ検討の際は、IBM Storage Defender を検討してみてはいかがでしょうか。 構成提案はエヌアイシー・パートナーズにお任せください エヌアイシー・パートナーズでは IBM Storage Defender の導入に関して、正確にお客様のストレージ環境を把握した上で、RU計算ツールなども用い最適な構成立案を支援いたします。 取り扱い製品が多いため、ストレージのみならずシステム全体の最適化をめざした包括的な提案支援も可能です。 企業の情報資産を格納する重要なストレージ基盤やその保護に関してお客様が直面している課題を、当社はパートナーのリセラー企業とともに解決していきます。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }
レノボグループ最大の年次イベント「Lenovo Tech World Japan 2023」が2023年12月5日に東京で開催され、足を運んできました。 今年は「AI for ALL インテリジェントな変革に向けて」をメインテーマに、AI活用によるインテリジェントな変革を企業や個人に届けるためのレノボの取り組みが、多数のセッションや展示を通じて紹介されていました。 レノボグループは PC事業/サーバー事業ともに IBM より引き継いでおりいずれも現在は世界の市場において確固たる地位を占めていますが、ハードウェア製品が中心というイメージがあるレノボにおいて AIビジネスへの対応としてどのような取り組みを行っているか、という点に興味がありました。 いくつかのセッションに参加してみて、レノボの AI分野における取組みとしては大きく以下の2分野が中心かな、と感じました。 レノボ = ハードウェア製品のリーダー:利用者が便利にAIを活用するための(裏方としての)ITインフラの継続的な革新を実施 ターンキーソリューションの推進:ISVパートナーエコシステム「Lenovo AI Innovators」を通じて、利用者のAI活用を支援 レノボとしてはこうした AI領域のビジネスに対し10億米ドルの投資を計画しており、単なるハードウェア・ベンダーとしての位置づけを超え AIビジネスに対する取り組みへの「本気度合」が伝わりました。 当レポートでは、参加したいくつかのセッションについてご紹介します。 レポート目次 生成AIとレノボインフラストラクチャー・ソリューション レノボとエヌビディアが目指すスマートで高速化した未来、デジタルツイン カーボンニュートラルからカーボンネガティブへ 未来を創造するレノボのOPEN AIソリューション レポート 生成AIとレノボインフラストラクチャー・ソリューション まず、レノボの AI関連インフラストラクチャー投資戦略の紹介では "3年で10億米ドル" という非常に大きな規模の投資が計画されており、レノボの AI に対する注力度の高さを感じました。 また、レノボと ISV が組んだ AI対応の取り組みである AI Innovatorsプログラムは、すでに世界で150以上のソリューションが提供されているとのことです。お客様や ISV への検証環境やノウハウを支援する当プログラムは、お客様の AI活用の促進に有効であると感じました。 さらに、AI を利用して手話をリアルタイムで文字に変換するというソリューションも紹介されており、聴覚の弱い方でもコミュニケーションの幅が広げられる有効なソリューションであることを感じると同時に、AI活用領域の幅広さを改めて実感しました。 興味深かったのが、レノボと NVIDIA のハイブリッドAIソリューションの発表です。データセンター向けの新GPU の生成AI の提案として、L40S が紹介されていました。その AI処理性能の高さは、各企業が AI をより効率的に活用するための大きな武器となると確信できる内容でした。 「NVIDIA = GPU」というイメージでしたが、製品開発投資の60%以上がソフトウェア製品に向いているというのが意外でした。OSSベースが多い AIソリューションをお客様が安心して使えるようにするためのソフトウェア・スタックの開発が中心で、OSS のままではなく認定・サポートすることでのリスク低減を行っていくとのことです。 ストレージについても新しい発表がありました。Weka という NVMe に最適化されたストレージや ddnアプライアンスの OEM取り扱いに関する情報は、AIインフラに必要となるストレージとして注目したい内容でした。 ハードウェアメーカーの印象が強かったレノボグループですが、ハードウェアの枠を超えお客様の AI活用に向けてさまざまな取り組みを実践していることが感じられました。 レノボとエヌビディアが目指すスマートで高速化した未来、デジタルツイン このセッションでは、レノボとエヌビディアが連携して提供するデジタルツインを実現するためのアプリケーション「OMNIVERSE」について詳しく説明されました。 デジタルツインが実現すれば、物理的な世界の出来事をデジタルで再現・分析することが可能になります。 このテクノロジーの一部として、エヌビディアの仮想工場を作り出すデジタルツインのユースケースが紹介されました。これらの技術は自動車や建築業界などを始め、多くの分野でデジタル化を後押しする強力なエンジンとなると強く感じました。 レノボの最新ワークステーション「ThinkStation PX」はこの OMNIVERSE を活用して開発されており、こうした最新のテクノロジーが構想段階ではなくすでに実用化の領域に入っていることが実感できます。 また、大規模なデジタルツインを実現するために設計されたコンピューティング・システムである NVIDIA OVXシステムに対応した GPUラック・サーバー「SR675V3」の紹介もありました。 全体的に非常に先進的で興味深い内容でした。デジタルツインの活用はこの先、さらに様々な業界で重要性を増していくでしょう。 今回のセッションで得た知識を生かしてデジタルツインについてより理解を深め、ビジネスに繋げていきたいと思います。 カーボンニュートラルからカーボンネガティブへ 「AIの普及 > GPUの高性能化 > 消費電力抑制との闘い」という流れは、AI の普及に伴い避けては通れない課題です。 業界に先駆けて実施されているレノボの「カーボンオフセットサービス」は、企業単位で地球温暖化に貢献できる具体的なソリューションとして、改めて有効性を感じました。 また、レノボは HPC分野において最も多くのスーパーコンピューターを提供しているベンダーですが、一方で電力あたりの処理能力のベンチマークである「Green500」においても最もクリーンなベンダーであることが実証されています。 既に製品化されている水冷技術「Lenovo Neptune」は排熱の98%以上の削減を実現しており、レノボがこの分野において大きく業界をリードしていることを再認識しました。 未来を創造するレノボのOPEN AIソリューション 今回のセッションタイトルを Chat GPT が作成したということからも、OPEN AI は確実かつ急速に普及していることが分ります。しかしその一方で、約72%の日本企業では業務での Chat GPT の使用を禁止している、という調査結果があるのも現状です。 利便性よりも "情報漏洩" や "誤情報の拡散リスク" を重視するという企業は多いですが、使い方によっては十分に業務利用に耐え、かつ大幅な業務効率の向上が期待できます。 レノボではワークショップ形式でお客様の安全な利用をサポートしていくとのことで、効率性や安全性に悩んでいるお客様に対する支援策として有効性を感じました。 以上が簡単ではありますが、Lenovo Tech World Japan 2023 への参加レポートとなります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }