2021年09月

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【てくさぽBLOG】IBM Power Virtual ServerのAIX環境をバックアップしてみた(Part.2)

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの村上です。

本ブログは、IBM Power Virtual Server をトライしてみた内容や感想をご紹介するブログです。

シリーズ化していますので、まずインデックスのご紹介をします。

 

インデックス

IBM Power Virtual ServerでAIX環境を作ってみた
IBM Power Virtual ServerのAIX環境にSWを導入してみた 
IBM Power Virtual ServerのAIX環境を日本ロケールにしてみた
IBM Power Virtual ServerのAIX環境をバックアップしてみた(Part.1)
IBM Power Virtual ServerのAIX環境をバックアップしてみた(Part.2) ←今回
IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud x86環境を接続してみた

今回は、AIX環境のバックアップ手順のご紹介です。
検証環境で2種類のバックアップ方法を試しましたので、Part.1 とPart.2(本ブログ)に分けてご紹介しています。

本ブログでは 「AIX環境をバックアップしてみた Part.2として、FlashCopy によるバックアップ手順をご紹介します。

 

セクション

以下の1)~4)のセクションに分けてご紹介します。

1)  FlashCopy の説明
2)  IBM Cloud CLI 導入
3)  FlashCopy によるバックアップの事前準備
4)  FlashCopy の実施

検証はAIXのインスタンスで行いましたが、IBM i のインスタンスでも同等の手順で操作を行うことができます。

利用したクライアント端末(私のPC)は、Windows10 pro バージョン2004です。

1) FlashCopy の説明

Power Virtual Server で実装する FlashCopy  は以下の仕様となっています(IBM Cloud 柔らか層本 20210915版より)。

説明 ・IBM Cloud で提供されており、外部ストレージ装置のコピーを実施する
・バックアップ/リストアの時間が大幅に削減できる
・NWデータ転送量を削減できる
主な用途 ・データベース領域のバックアップ(容量が大きいものにおススメ)
・VM全体のバックアップ
対象 rootvg を含む任意のボリューム
保管場所 外部ストレージ装置
取得時の
LPAR停止有無
不要
※ ファイルの整合性担保のためにバックアップ前にはアプリの静止、LPAR停止が推奨される
制約事項
など
リストア時はアプリ静止、LPAR停止が推奨
GUIは未実装であり、API呼び出しでのみ実行可能(2021年9月 時点)
・FlashCopy 先のストレージは無償で利用可能
・インスタンス削除と同時にFlashCopy データも消失する

FlashCopyとは、「Snapshot 」「Clone 」「Point in time Copy」とも呼ばれ、ある一時点のボリュームのコピーを作成する機能です。コピー元とコピー先は異なるLUN(ストレージのボリューム単位)を使用することができ、バックアップ手法として利用されています。

FlashCopy 先のディスクは課金されず無料で利用することができますが、バックアップデータの実体をWEBインターフェースの画面で確認することはできません。また、インスタンスを削除するタイミングで FlashCopy のデータも消失するため、バックアップデータはICOSなどへのデータのエクスポートが推奨されています。

2) IBM Cloud CLI 導入

FlashCopy を実施する前に、実施環境(ローカルPC)の準備を行います。

Power Virtual Server の FlashCopy は「IBM Cloud API 」を利用します。残念ながらWEBインターフェース画面では FlashCopy 機能が提供されていません(2021年9月時点)。

FlashCopy の実行は「IBM Cloud API 」で行いますが、Power Virtual Server へのログインやFlashCopy に必要なパラメータ取得などで 「IBM Cloud CLI 」も利用します。

IBM Cloud API とは
仮想サーバを簡単にデプロイおよび構成するために利用されるAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)
:利用する場合、モジュールとしてのインストールは不要
IBM Cloud CLI とは
IBM Cloud のリソースを管理するためのCLI(コマンド・ライン・インターフェイス)
:利用する場合、モジュールとしてのインストールが必要

「IBM Cloud CLI 」を利用するためには、ローカルPCに「IBM Cloud CLI」のモジュールをインストールする必要があります。

では、IBM Cloud CLI のインストール作業を行っていきます。

・WEBブラウザーを利用して、GitHub の IBM Cloud リポジトリーにアクセスします。
・IBM Cloud CLI を導入するPCのOSを選択します(私のPCは下記のピンク色で囲んだOS)。

IBM Cloud CLI のインストーラーがローカルPC内にダウンロードされました。
※ 上記は2021年1月時点のバージョンで、2021年9月時点の最新版は v2.0.3 です。

・ローカルPC内にダウンロードしたインストーラーをダブルクリックして起動します。

「IBM Cloud CLI の インストール・ウィザード」が表示されます。
・「Next」をクリックします

「License Agreement 」の画面が表示されます
・「I accept the terms in the license agreement」にチェックを入れます
・「Next」をクリックします

「Ready to Install the Program」の画面が表示されます。
・「Install」をクリックします

「The installation completed successfully」のメッセージでインストールが正常に終了した画面が表示されます。
・「Finish」をクリックします

IBM Cloud CLI のインストールが完了です!

IBM Cloud CLI が正常にインストールされていることを確認します。
これ以降の作業では、CUI を利用して検証を行います。CUI は Windows標準搭載の「Windows PowerShell」を利用します。(※画面ショットの 固有の値はマスキングします)

・Windows PowerShell を起動し IBM Cloud CLI のバージョン確認コマンドを入力します。
> ibmcloud -v

上記の通り、IBM Cloud CLI  1.3.0 でした。私のPC内の IBM Cloud CLI は、2021年1月頃に導入したので、かなりバージョンが古くなっているようです。

・IBM Cloud CLIのバージョンアップを行います。
> ibmcloud update
→「今すぐ更新しますか?[Y/n]」で「Y」を入力

自動でIBM Cloud CLI のインストーラーが立ち上がります。

・インストールウィザードの画面で「Next」→「Finish」と進めます

・インストールウィザードが終了したらIBM Cloud CLI のバージョンを確認します。
> ibmcloud -v

IBM Cloud CLI  2.0.3 にUpdateできていることが確認できました。

次に、Power Virtual Server 専用のプラグイン(power-iaas/pi )を導入します。IBM Cloud CLI で Power Virtual Server を操作するためには、専用のプラグインが必要になるためです。

・ibmcloud コマンドでプラグインの一覧を表示します
> ibmcloud plugin repo-plugins -r “IBM Cloud”

・「power-iaas/pi」が「未インストール」になっていることを確認し「power-iaas/pi」を導入します。
> ibmcloud plugin install power-iaas

プラグインが導入出来ました。

・導入したプラグインのバージョンを確認します
> ibmcloud plugin list

「状況」欄に「更新が使用可能です」と出力されている場合、プラグインのバージョンが古くなっています。

・プラグインをUpdateします
> ibmcloud plugin update

最新バージョンにUpdateでき、「状況」が空欄になりました。

IBM Cloud CLI の準備は完了です!

3) FlashCopy によるバックアップの事前準備

FlashCopy を実施する前にFlashCopyに必要なパラメーターを用意します(パラメータは IBM Cloud API Docs の「Create a PVM instance snapshot」に記載されています)。
単純に出力できないパラメーターは変数に代入していきます。
FlashCopy に必要なパラメーター(変数)は以下となります。

内容 パラメーター/ 変数
①IBM Cloud へログイン  –
②認証情報 A.  $TOKEN : IBM Cloud IAM アクセストークン
B.  $CRN:Cloud Resource Name
③Pathのパラメータ C.  $CLOUD_INSTANCE_ID :Cloud Instance ID
D.  $PVM_INSTANCE_ID:PVM Instance ID
④Bodyのパラメータ name
description
E.  $VOL_ID:Volume ID

それでは、上記の①~④の順番で、パラメータ(変数)を取得していきます。

① IBM Cloud へログイン

IBM Cloud へログインします(対話式コマンドでログインを行います)。
>  ibmcloud login 
 →「Email」にIBM Cloud ログインIDを入力
 →「Password」にIBM Cloud ログイン時のパスワードを入力
 →「アカウント選択」で利用するアカウントが複数ある場合はアカウントNo.を選択

IBM Cloud にログインができました。

② 認証情報 の取得

②では、Power Virtual Server の認証情報を取得します。
Power Virtual Server で IBM Cloud API を利用するためには、すべてのリクエストに 「IBM Cloud IAM アクセストークン」 と 「CRN※」が必要で、これは認証情報と呼ばれます。
※ CRN:Cloud Resource Name の略。Power Virtual Server のインスタンスID と テナントIDが含まれたもの。

A. IBM Cloud IAM アクセストークンの取得

・IBM Cloud CLI を利用しアクセストークンを出力します。
> ibmcloud iam oauth-tokens

・必要なストリングをjsonを利用して抽出し、結果を「$TOKEN 」変数に入れます。
> $TOKEN = (ibmcloud iam oauth-tokens –output JSON | ConvertFrom-Json ).iam_token

IBM Cloud IAM アクセストークンのパラメータ変数「$TOKEN」 が取得できました。

B. CRNの取得

・IBM Cloud CLI を利用しCRNを出力します。
> ibmcloud pi service-list

・出力したCRN ID のストリングを抜き出し「$CRN」変数に代入します。
> $CRN = ( ibmcloud pi service-list –json | ConvertFrom-Json).crn

「$CRN」が取得できました。

③ Pathのパラメータ取得

③では、FlashCopy の実行文の Path 部分に設定するパラメータを取得します。

C.  Cloud Instance ID の取得

Cloud Instance ID を取得するためには「テナント ID」が必要です。「テナント ID」は「IBM Cloud のアカウントID」のことで、以下の通り、IBMCloud のWEB画面でも確認できます(https://cloud.ibm.com/account/settings)。

上記で確認できるIDをIBM Cloud CLI とAPI で取得します。

・IBM Cloud CLI を利用し「$TENANT_ID」変数に IBM Cloud アカウントID(テナントID)を代入します。
> $TENANT_ID = (ibmcloud account show –output JSON | ConvertFrom-Json ).account_id

・IBM Cloud API を利用し、テナント状況「$TENANT_STATE」変数を作成します。
$TENANT_STATE = ( `
>> curl.exe -X GET `
>>    https://tok.power-iaas.cloud.ibm.com//pcloud/v1/tenants/$TENANT_ID `
>>   -H “Authorization: $TOKEN” `
>>   -H “CRN: $CRN” `
>>   -H “Content-Type: application/json”  `
>> | ConvertFrom-Json )

・「$TENANT_STATE 」の「cloudInstances」キーに「cloudInstanceID」が含まれているため(上記のピンク色で囲んだ値)、この値を「$CLOUD_INSTANCE_ID」変数に代入します。
> $TENANT_STATE.cloudInstances
> $CLOUD_INSTANCE_ID = ( $TENANT_STATE.cloudInstances).cloudInstanceID

$CLOUD_INSTANCE_ID」 が取得できました。

 

D.  PVM Instance ID の取得

PVM Instance ID は、Power Virtual Server のインスタンスID のことです。下記の通り、IBM Cloud のWEB画面からも確認できます。

・IBM Cloud CLI を利用してインスタンス情報を取得し結果を「$INSTANCE」変数に代入します。
> $INSTANCE = ( ibmcloud pi instances –json | ConvertFrom-Json )

・「$INSTANCE」変数の「Payload.pvmInstances」キーの配下「pvmInstanceID」キーの値を「$PVM_INSTANCE_ID」変数に代入します。
>$PVM_INSTANCE_ID = ( $INSTANCE.Payload.pvmInstances.pvmInstanceID)

$PVM_INSTANCE_ID」 が取得できました。

④ Body のパラメータ取得

④では、FlashCopy 実行文の Body 部分に設定するパラメータを取得します。
「name」と「description」は任意の値で構いません。
name   :   test
description   :   snapshot-test
と設定することにしました。

E.  Volume ID の取得

ややこしいのですが、Volume ID は Volume Name を指しています。実際に、Volume ID というパラメーターもあるので間違えないように注意が必要です。Volume ID は、以下の通りWEB画面でも確認できます。

・IBM Cloud CLIを利用してインスタンス名をリストし、インスタンスに紐づくボリュームを調べます。
> ibmcloud pi instances
> ibmcloud pi instance-list-volumes AIX72-test

・上記のピンク色で囲んだ値を「$VOL_ID」変数に代入します。
> $VOL_ID =(ibmcloud pi instance-list-volumes AIX72-test –json |ConvertFrom-Json ).Payload.volumes.name

$VOL_ID」 が取得できました。

4) FlashCopy の実施

すべてのパラメータが取得できたので、いよいよ(やっと) FlashCopy を実行します。

・念のため、3)で取得したパラメータ(変数)がきちんと出力されるか確認します。

FlashCopy の実行文は IBM Cloud API Doc に記載がある以下の文です。この実行文を例に、上記の取得したパラメーター(変数)を当てはめて FlashCopy を実行します。

curl -X POST
  https://us-east.power-iaas.cloud.ibm.com/pcloud/v1/cloud-instances/
${CLOUD_INSTANCE_ID}/ pvm-instances/{pvm_instance_id}/snapshots

     -H ‘Authorization: Bearer <>’
     -H ‘CRN: crn:v1…’
     -H ‘Content-Type: application/json’
     -d ‘{
           “name”: “VM1-SS”,
          “description”: “Snapshot for VM1”,
          “volumeIDs”:[“VM1-7397dc00-0000035b-boot-0”]
           }’

上記の実行文の通り、色々と試してみましたが、Body の部分( -d 以降) が PowerShell ではうまく実行できません。
そのため、Qiitaのブログを参考にさせていただき、Body は変数に当てはめて FlashCopy を実行しました(他の部分もかなり参考にさせていただいているブログです!)。

・FlashCopy 実行文のBody の部分のみ変数に当てはめます。
> $BODY = ‘{“name”: “test”, “description”: “snapshot-test”,”volumeIDs”: [“‘ + $VOL_ID + ‘”] }’

・IBM Cloud API を利用して、FlashCopy を実行します。
> ( $BODY | curl.exe -X POST `
>> https://tok.power-iaas.cloud.ibm.com/pcloud/v1/cloud-instances/
$CLOUD_INSTANCE_ID/pvm-instances/$PVM_INSTANCE_ID/snapshots `

>> -H “Authorization: $TOKEN” `
>> -H “CRN: $CRN” `
>> -H “Content-Type: application/json” `
>> -d `@- )

FlashCopy が完了しました!

・FlashCopy が正常に完了していることを IBM Cloud API を利用して確認します。(参考「Get all snapshots for this PVM instance」)
> curl.exe -X GET `
>> https://tok.power-iaas.cloud.ibm.com/pcloud/v1/cloud-instances/
$CLOUD_INSTANCE_ID/pvm-instances/$PVM_INSTANCE_ID/snapshots `

>> -H “Authorization: $TOKEN” `
>> -H “CRN: $CRN” `
>> -H “Content-Type: application/json”

上記のピンク色で囲んだ値が FlashCopy の結果を示しています。
「percentComplete」が「100」、「status」が「available」であれば、FlashCopy が成功しています。

FlashCopy が成功していることを確認できました!

この後、AIX環境に変更を加えて、取得したFlashCopy のデータのリストアを行い、変更前の状態に戻っているところまで確認しましたが、長くなりましたのでブログはここで終了します。
リストアは「Restore a PVM Instance snapshot」を参考にし、今回のバックアップ手順で取得したパラメータを利用すると簡単に実行できました。

次のブログでは、IBM Cloud IA環境との接続手順をご紹介します。↓

☆準備中です☆【やってみた】IBM Power Virtual Server AIX環境と IBM Cloud IA環境を接続してみた

 

最後に

今回の検証は、IBM Cloud API Docs や Qiita に投稿されているブログ を参考にさせていただきました。

Part.1 のImage Capture を利用したバックアップ方法と比べると、今回は慣れないAPIを利用したこともあり調査にとても時間が掛かりました。また、バックアップ処理自体はあっという間でも事前準備にも時間を取られました。

そのため、スピードを求められる開発環境や検証環境には、Image Capture の利用がおすすめです。
実際の運用に組み込むとしたら、FlashCopyでしょうか。

OS、ストレージ、データベース、アプリケーション。バックアップ対象も方法も様々で、バックアップ方法のドキュメントを読んでもイメージが湧かないことがよくありますが、実際に検証をしてみることで、イメージが湧き、メリットやデメリットを捉えることができるので、お客さまにも伝えやすくなります。

今後も時間を見つけ、こつこつ検証をしていきたいと思います。

 

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

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Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる 「Githubのassistant-toolkit」から "watson-discovery-query-openapi.jsonファイル" をダウンロードします。 Assistant のメニューから「Integration」をクリックします。 下にスクロールし「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 「Extension name」に任意の名前を入力し「Next」をクリックします。 先程ダウンロードした watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Basic auth」を選択 Username:「apikey」と入力 Password:メモに控えたWatson DiscoveryのAPI鍵 discovery_url:メモに控えたWatson DiscoveryのURLから"http://"を除いた値 ※以下の画面ショットは discovery_url入力箇所が切れてしまっていますが、実際は「Servers」の下に discovery_url の項目があります 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで watsonx Assistant と Watson Discovery が連携できました。 6. Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる 次に、Assistant のカスタム拡張機能から watsonx.ai を利用できるように設定します。 設定には IBM Cloud の APIキーと watsonx.ai のプロジェクトID が必要です。取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」をご参照ください。なお、今回は東京リージョンで watsonx.ai をプロビジョニングします。 Github の「assistant-toolkit」から "watsonx-openapi.json" をダウンロードします。 Visual Studio Code などで東京リージョンの URL に編集し保存します。 Discovery の連携と同様に、Assistant のメニューから「Integration」「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、任意の Extension name を入力して「Next」をクリックします。 編集した watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードして「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Oauth 2.0」を選択 Grant type:「Custom apikey」を入力 apikey:取得済みのIBM CloudのAPIキー Client authentication:「Send as Body」を選択 Header prefix:Bearer(デフォルト) Servers:https://jp-tok.ml.cloud.ibm.com(自動入力) 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで Assistant と watsonx.ai が連携できました。 7. Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 Github の「assistant-toolkit」から "discovery-watsonx-actions.json" をダウンロードします。 Assistant の「Actions」から「Global Setting」をクリックします。 「Upload/Download」タブをクリックし、Uploadスペースに discovery-watsonx-actions.json をドラッグアンドドロップしてアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Upload and replace」をクリックします。 以下の画面の通り、3つのアクションが作成されます。 メニューから「Variables」「Created by you」をクリックします。 「discovery_project_id」の値をメモに控えていた Discovery のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「watsonx_project_id」の値をメモに控えて置いた watsonx.ai のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「model_id」の値で watsonx.ai で使用する言語モデルを指定します。2024年2月29日に GA された日本語で訓練された Granite-japaneseモデルを使用するため、「ibm/granite-8b-japanese」を入力し「Save」をクリックします。(その他変数はデフォルト値とします) 「Actions」から「Generate Answer」を選択し、「model_input」の値を以下の例の様に日本語に変更します。 例: ("<s>[INST] <<SYS>>\nあなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。\n\n質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。\n<</SYS>>\n\n質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。\n\n").concat(passages).concat("\n\n[question]: ").concat(query_text).concat("[/INST]") 以上で設定は完了です。 さっそく Assistant から問い合わせをしてみます。 右下の「Preview」をクリックします。 チャットから S1014 の特徴について問い合わせしてみます。約18秒後に以下の回答が返ってきました。 「Inspect」をクリックすると、Discovery の検索結果が以下の通り watsonx.ai に渡されていることがわかります。 <s>[INST] <<SYS>> あなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。 質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。 <</SYS>> 質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。[title]: IBM Power S1014 柔軟かつセキュアなハイブリッドクラウド・インフ ラストラクチャーで俊敏性を実現[document]: 1 コ ア 当 た り 4 つ の M a t r i x Math Acceleratorによる迅速 なAI推論のために洞察と自動 化を合理化 業界標準のDIMMより2倍優 れたメモリーの信頼性と可用 性を提供 IBM® Power® S1014 は、1ソケット、4U Power10プロセッサーをベースにしたサー バーで、IBM AIX®、IBM iまたは Linux®上のビジネス・クリティカルなワークロード 向けに設計されています。Power S1014を使用することで、ワークロードはより 少数のサーバーに統合され、ソフトウェア・ライセンスの数、電力と冷却のコスト を削減します。Power S1014サーバーは、プロセッサー上でのメモリー暗号化を 使用してエンドツーエンドからデータを安全に保護し、ラック型またはタワーフォー ム・ファクターで購入できます。 プロセッサー・レベルでのメモリー暗号化と、POWER9 と比較してすべてのコア で4倍の暗号化エンジンによりコアからクラウドまでのデータを保護 ますます高度に分散した環境に存在するデータには、もはや境界線を設定すること は不可能です。 [question]: S1014の特徴は?[/INST] Assistant と Discovery のみの連携で検索した結果は以下の通りです。watsonx.ai を使用した方がより簡潔で分かりやすい回答を得られることが分かります。 8. 言語モデルを変えて問い合わせの検証 言語モデルを "llama-2-70b" にして同様の問い合わせをしたところ、約24秒後に回答が返ってきました。箇条書きで丁寧な印象です。 言語モデルを "elyza-japanese" にした際は10秒ほどで回答がありました。主語として「S1014の特徴は」とあることで、問いに対する回答が分かりやすくなっています。 言語モデルを変えて試した結果、llama-2-70B は箇条書きで回答し丁寧な印象を受けましたが、回答が得られるまでに24秒かかりました。一方 Granite-japanese や elyza-japanese はシンプルな回答を生成し、Granite-japanese は18秒、elyza-japanese は10秒というより短い時間で回答を得られました。 Watson Discovery の検索結果に基づき watsonx.ai で回答を生成するので、ある程度時間がかかると予想していましたが、elyza-japanese は速い回答で主語を添えてわかりやすく回答してくれました。 また、llama-2-70B は汎用的で使いやすいモデルですが、プロントで「日本語で回答して」と指示をしても問い合わせ内容によっては英語で回答することがありました。日本語の回答精度を求める場合は、Granite-japanese や elyza-japanese を使用した方が精度の高い回答を得ることができます。 モデルを変えて問い合わせてみると、モデルごとに得意なタスクが異なることがわかりました。数百億のパラメータで訓練された大規模言語モデルを一概に選択するのではなく、言語やタスクの特性に合わせて最適なモデルを選定することが重要になりそうですね。 さいごに いかがでしたでしょうか。Github から提供されているスターターキットを使って Assistant、Discovery、watsonx.ai を繋げてみましたが、ほどんど躓くことなく UI から簡単に設定することができました。 接続自体に高度な難しさは感じませんでしたが、問い合わせに対して正確な情報を得るためには Assistant の検索設定を調整する必要があります。今回は1つの PDFファイルの検索を行いましたが、複数の PDFファイルから情報を引き出す際には Assistant で query を設定することで特定の PDFファイルからの検索が可能です。 このように PDF などの非構造化データを検索対象として精度の高い回答を得るには、Discovery において文書の構造を明確に定義し、Assistant の検索設定を調整することが必要です。 実際にヘルプデスクなどの Webチャットで利用する場合は、Assistant にあらかじめ用意した回答をルールベースで回答させ、それでも解決できない問い合わせについては Discovery を通じて検索を行い、watsonx.ai を用いて回答を生成するという流れが効果的です。 ただし、生成AI によって生成される回答は常に”100%正確な回答”ではないので、より高い精度の回答を追求するためにはプロンプトの調整などチューニングを施すことが必要です。その結果、より使いやすい Webチャットの実現が期待できます。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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