2021年11月

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【てくさぽBLOG】IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud x86環境を接続してみた

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの村上です。

本ブログは、IBM Power Virtual Server をトライしてみた内容や感想をご紹介するブログです。

シリーズ化していますので、まずインデックスのご紹介をします。

 

インデックス

IBM Power Virtual ServerでAIX環境を作ってみた
IBM Power Virtual ServerのAIX環境にSWを導入してみた 
IBM Power Virtual ServerのAIX環境を日本ロケールにしてみた
IBM Power Virtual ServerのAIX環境をバックアップしてみた(Part.1)
IBM Power Virtual ServerのAIX環境をバックアップしてみた(Part.2)
IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud x86環境を接続してみた ←今回

今回は、Power Virtual ServerのAIX環境を IBM Cloud の x86環境と接続する方法をご紹介します。

 

セクション

以下の1)~6)のセクションに分けてご紹介します。

1)  接続イメージの説明
2)  Direct Link Connect の説明
3)  Direct Link Connect の作成
4)  Caseを利用した接続依頼
5)  VSI for VC の作成
6)  AIX環境とx86環境の接続確認
最後に
お問い合わせ

検証はAIXのインスタンスで行いましたが、IBM i のインスタンスでも同等の手順で操作を行うことができます。

利用したクライアント端末(私のPC)は、Windows10 pro バージョン2004(検証当時)です。

 

1) 接続イメージ の説明

Power Virtual Server のAIX環境と IBM Cloud の x86環境 はロケーションが異なる別のサービスで、ネットワークは直接つながっていません(2021年11月時点)。
そこで、お互いの環境を接続する方法が IBM Cloud から提供されています。
Direct Link Connect を利用する方法です。

今回は、上記の図の青色の線「Direct Link Connect」 を作成し、オレンジ色のubuntuサーバ(仮想サーバ・インスタンス(VSI))とAIXサーバを接続することが目的です。IBM Cloud環境の「仮想プライベート・クラウド(VPC)」と「仮想サーバ・インスタンス(VSI)」は未作成だったので、新規に作成し手順もブログ内に残しました。

 

2) Direct Link Connect の説明

Direct Link Connect と Power Virtual Server は全く別のサービスですので、Direct Link Connect は新規に作成する必要があります。
Direct Link Connect は IBM Cloud のポータルから作成(契約)します。

1)でも記載した通り、Power Virtual Server は IBM Cloud の x86環境と異なるコロケーションサイトを利用しており、ネットワークも直接つながっていません。そのため、Direct Link Connect を 契約し設定することで x86環境と接続することが可能となります。

Direct Link Connect には、従来からある「Classic」と新しく提供が開始された「2.0」があり、どちらも無料で利用できるので、今回は新機能が充実している「2.0」を利用します

Direct Link Connect 利用条件(IBM Cloud 柔らか層本20211124版 p.85より)
・1データセンターあたり、10Gbps ポート x 2回線(HA) まで無料
・Global routing を利用しても追加費用は不要
・Direct Link Connect の申請時、「Network Provider」は「IBM Power Virtual Server」を選択すること(「3) Direct Link Connect の作成」 でも触れます)


 

3) Direct Link Connect の作成

では早速、Direct Link Connect を作成します。

IBM Cloud にログインし、左上にある「ナビゲーション・メニュー」→「相互接続性(Interconnectivity)」を選択します。
 

相互接続性(Interconnectivity) の画面に移動しました。

・「Direct Link」を選択します。

・「Direct Linkの注文」を選択します。

・「Direct Link Connect」を選択します

Direct Link Connect の構成パラメーターを選択する画面に移動しました。

・「リソース」情報は以下を入力・選択します。
> Direct Link 名:tok-powervs(任意の文字列)
> リソース・グループ:Default

ここから、Direct Link Connect の構成パラメータを設定していきます。

・「ゲートウェイ」では以下の順番で選択します。
> ジオグラフィー:APAC
> 市場:Tokyo
> タイプ:すべて
> サイト:Tokyo 4
> 経路指定:ローカル(グローバルを選択すると別リージョンへ接続可能)

プロバイダー:IBM POWER VS

速度は、50Mbps~10Gbps まで8種類から選択可能です。どの速度でも金額は変わりません。IBM推奨は1Gbps以上です。

・速度とポート(1つ)を選択します。
> 速度:1Gbps(10Gbpsにしようかと思いましたが、何となく遠慮してみました)
> ポート:SL-TOK04-POWERIAASLITE-1-1-(ASR1)

※ 選択するポートは「速度範囲」が当てはまるものを選びます。今回は、どのポートでも当てはまりますので一番上のポートを選びました。

・「請求処理」で「従量制」を選択します。

・「BGP」は以下の通り選択および入力します
> BGPピアリング・サブネット:「IPの手動選択」を選択
> 範囲:「169.254.0.0/16」を選択(169.254.0.0/16 から)
> 自分のIPv4 CIDR:「169.254.0.2/30」を選択
> IBM IPv4 CIDR:「169.254.0.1/30」を選択
> BGP ASN:「64999」を入力

※ BGPピアリングは「169.254.0.0/16 」から範囲を指定します。今回は特に決めごともないので自由に設定しました。
※ BGP ASNは Direct Link Connect の構成ガイドにある通り、「64999」を指定します。

・「接続」は初期状態のまま変更しません。

ここまで入力が出来たら構成パラメータの設定は完了です。

・画面の右側に表示されるサマリーを確認し「作成」ボタンをクリックします。

Direct Link Connect の作成が受け付けられたメッセージが出力されます。

暫く待つと Direct Linkの「状況」が「構成中」→「プロビジョン済み」に代わります。作成したDirect Link名「tok-powervs」 をクリックし詳細画面を表示します。

下記の詳細情報は「4) Caseを利用した接続依頼」で利用しますので、このまま表示させておくかコピペしておきます。

Direct Link Connect の作成が完了しました!

 

4) Caseを利用した接続依頼

次に、Power Virtual Server のAIX環境とDirect Link Connect の情報を紐付けるための作業を行います。この作業は、IBM Cloud のWEBポータル画面やIBM Cloud CLI 、API からは実施できません。Case を利用して、IBMのSEさん(?) へ接続のリクエストを出します。
Caseとは、IBMのサポートコミュニティの「問い合わせ」のことです

・IBM Cloud のWEBポータル画面の右上にある「サポート」をクリックします。

・「Caseの作成」をクリックします。

・「リソース」を選択します。

・「Caseの作成」画面で以下を選択し「次へ」をクリックします。
> トピック:「Power Virtual Server」をプルダウンから選択
> 名前:「Power Virtual Server-g5」にチェックを入れる

下記の画面に移動したら、依頼内容を記載することができます。

Caseに依頼する情報は、「3) Direct Link Connect の作成」の最後に表示した詳細情報を利用し、以下のように記載しました。Case は英語で記載する必要があります。
実は、日本語でCaseを依頼してしまったことがあったのですが(英語で記入することをすっかり忘れていました)、担当SEさんが丁寧に英語に翻訳してくださって「質問はこういう意味であっていますか?」と返信が来ました。優しいです。
Caseの記載方法はQiitaのブログを参考にさせてもらっています。

サブジェクト:PowerVS : Direct Link 2.0 Request 
説明:
<Inquiry regarding Direct Link Connect for PowerVS>
I ordered Direct Link Connect from IBM Cloud portal and its provisioning has finished.
The detail information is as follows.
Please proceed at Power VS side to establish Direct Link Connect. Thanks.

Data creaged : Tue,Mar 2,2021,13:49:39 JST
Resource group : Default
Provider : IBM POWER VS
Routing : Local
Speed : 1 Gbps
Billing : Metered
User CIDR : 169.254.0.2/30
IBM CIDR : 169.254.0.1/30
BGP ASN : 64999
IBM ASN : 13884
Port : SL-TOK04-POWERIAASLITE-1-1-(ASR1)
Location : Tokyo 4
Service key : (「サービス・キー」にある値を記載します)
BGP status : Idle
VLAN : 3921
Connected VLAN : CIDR
public-192_168_187_32-29-VLAN_2032 : 192.168.187.32/29

・記載が完了したら「Caseの作成」ページの一番下にある「次へ」をクリックします。

・記載した内容を確認し「Caseの送信」をクリックします。

下記のメッセージが出力されたらCaseによる申請が完了しています。

 

数日後・・サポート・センターよりPower Virtual Server 側の接続が完了されたお知らせが来ました。
依頼内容を間違えてしまったのと少しのんびりやっていたので、接続完了まで5日くらいかかりました。Advanced Supportに入っていないので、対応はクイックではない印象ですが、Caseの担当SEさんより私の方がのんびり返信しているので問題ないです。
修正がなければ、2日程度時間を用意していれば確実に接続してもらえそうです。

IBM CloudのWEBポータル画面ではBCPのステータスが「確立済み」になっていました。

Direct Link Connect とPower Virtual Server の接続が完了しました!

 

5) VSI for VPC の作成

Direct Link Connect がPower Virtual Server と接続できたので、IBM Cloud の x86環境とちゃちゃっと接続したいところではありますが、実はまだ仮想プライベート・クラウド(VPC)もIBM Cloud のx86環境(仮想サーバインスタンス(VSI)) もありません。。

そのため、この検証のためにx86環境を作っていきます。画面ショットを取得していない部分は文字のみで説明しています。

・「ナビゲーションメニュー」から「VPCインフラストラクチャー」を選択します。
> 左のメニューから「VPC」を選択し、「作成」をクリックします。

・「新規仮想プライベート・クラウド」の画面で以下のように入力・選択します。
> 名前:tok-vpc(任意の名前でOK)
> リソース・グループ:Default(変更なし)
> タグ:(記載なしのまま)
> Region:「東京」にチェック
> デフォルト・セキュリティー・グループ:「SSHを許可」「Pingを許可」にチェック
> クラシック・アクセス:「クラシック・リソースへのアクセスを有効にします」は無効
> デフォルトのアドレス接頭部:「各ゾーンのデフォルト接頭部の作成」にチェック

・「サブネット」の項目では「サブネットの追加」をクリックします。

・画面の左に「VPC用の新規サブネット」が表示されるので以下の情報を入力し「保存」をクリックします。
> 名前:tok-vpc-subnet(任意の名前)
> ゾーン:「東京1」(東京1~3まで選択できます)
> リソース・グループ:Default(初期値のまま)
> タグ:(記載なしのまま)
> IP選択範囲
>> アドレス接頭部:10.244.128.0/18
>> アドレスの数:256
>> IP範囲:10.244.1.0/24
> ルーティング・テーブル:(記載なしのまま)
> サブネット・アクセス制御リスト:(記載なしのまま)
> パブリック・ゲートウェイ:「接続済み」にチェック

保存が完了したらVPCの作成承認画面になりますので「仮想プライベート・クラウドの作成」をクリックしVPCを作成します。

仮想プライベート・クラウド(VPC)の作成が完了しました!

 

続いて、VPCの中に仮想サーバ・インスタンス(VSI)を作成します。

・「カタログ」に「virtual server」と入力するとリストに「Virtual Server for VPC」が出てくるので選択します。

「VPC用の新規仮想サーバ」の作成画面になります。

・「詳細」では以下の通り入力・選択します。
> 名前:tok-test-vsi(任意の名前でOK)
> リソース・グループ:Default
> タグ:(記載なしのまま)
> ロケーション:東京1(東京1~3が選択できます)
> 仮想サーバのタイプ:パブリック
>    プロセッサー・アーキテクチャー:x86

・「オペレーティング・システム」と「プロファイル」は以下を選択しました。
(SSH鍵はAIXインスタンス作成時に作ったものを利用します)

・「配置グループ」「ブート・ボリューム」「データ・ボリューム」は初期値のままとします。

・「ネットワーキング」では以下を選択します。
> 仮想プライベート・クラウド:tok-vpc (先ほど作成したVPC)

・「ネットワーク・インターフェース」は初期値のままとします。

ここまで入力と選択ができたら左画面に出力されているサマリーを確認し「仮想サーバ・インスタンスの作成」をクリックしてVSIを作成します。

下記のような表示となります。

「状況」が「稼働中」になったら作成完了です(2分くらいで稼働中になりました)。

仮想サーバ・インスタンス(VSI)の作成が完了しました!

 

次に、VSIをインターネット経由でアクセスできるようにするために、浮動IPアドレスを作成して割り当てます。浮動IPは、フローティングIPとも呼ばれています。

・IBM Cloud ポータル画面の左上にある「ナビゲーション・メニュー」→「VPCインフラストラクチャー」→「浮動IP」を選択します。

・「VPC用の浮動IP」の画面で「作成」をクリックします。

左画面に「浮動IPの予約」画面が出力されます。

・「浮動IPの予約」画面では以下を選択・入力します。
> 浮動IP名:tok-test-vsi-ip(任意の名前でOK)
> リソース・グループ:Default
> タグ:(記載なし)
>ロケーション:「東京3」を選択
> バインドするインスタンス:「tok-test-vsi」を選択(作成したVSI)
> ネットワーク・インターフェース:「en0」を選択
すべての設定ができたら「IPの予約」をクリック

浮動IPが割り振られました。

私のPCから作成した浮動IPに疎通できるか確認します。

疎通ができました。

浮動IPの設定が完了しました!

 

6)AIX環境とx86環境の接続確認

いよいよ、Direct Link Connect と VPC を接続します。

・「ナビゲーションメニュー」→「相互接続性(Interconnectivity)」→「Direct Link」で「Direct Link」の画面を表示します。
・左の3つの点をクリックし「接続の追加」を選択します。

・「接続の追加」で以下を選択・入力し「追加」をクリックします。
> 接続の作成:アカウントに新規接続を追加します。
> ネットワーク接続:VPC
> 地域:東京
> 使用可能な接続:tok-vpc
> 接続の名前:tok-powervs(任意の名前)

以下のメッセージが出力されます。

2分程度経つと、状況が「作動可能」になります。

これで、VPC と Direct Link Connect がつながりました。

AIX環境とx86環境間でPing疎通ができるかの確認を行います。

・AIXインスタンスにログインし、VSI環境にpingを投げます。

AIX環境とx86環境が疎通できました!

AIXサーバからVSIのubuntuサーバにssh でログインできることも確認できました。

 

今回で Power Virtual Server のブログは終了です。
検証を通して沢山の新しい知識を培うことができ、とても充実した機会でした!

 

最後に

2021年は多くのお客様が、Power Systems のオンプレミス更改の考え方を見直すと同時に、 クラウド化を本格的に検討されました。

特に、中小企業のお客様は、クラウド化を選択することで得るメリットがお客様ご自身の負担やストレスを減らす手助けになられたように感じます。

2021年10月から、Power Virtual Server は安価な新ネットワークサービスが開始になったり、IBM i  のライセンス移行オファリングが始まったりと、ユーザの目線に立った新機能が続々登場しています。
より身近なクラウドになってきました。

さて、2022年はアフターコロナが訪れるでしょうか。
海外旅行に行きたいです。

 

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で企業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月30日

APMとARMのシームレスな連携で効率的な統合アプリケーション運用管理を実現する ~Instana+Turbonomicのシナジー~

公開日:2025-06-30 ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下においては、アプリケーションスタックが複雑化し、分散され、流動的となり、それがアーキテクチャーと、正しい設計および変化する需要に対応できる十分なリソースの提供を難しくしています。 複雑化したIT環境で、システムの正常性やパフォーマンスリスクに対応するためには、アプリケーションの運用管理において、アプリケーションとインフラ両方の情報を一元管理します。そして、統合的に参照することができ、システムの変調を見逃さない高度な可観測性を実現するアプリケーションの運用の高度化が重要となります。 本コラムでは、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツール「IBM Instana Observability」(以下 Instana)とアプリケーション・リソース管理(ARM)ソリューション「IBM Turbonomic」の連携で生まれる、統合アプリケーション運用管理の相乗効果について紹介します。 目次 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 6. まとめ お問い合わせ 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 アプリケーションの稼働環境がオンプレミスだけでなくクラウド環境へ拡大しています。クラウド上では様々なクラウドネイティブなサービスが稼働しており、それを利用することはコスト面・スピード面で必然となっています。しかし、クラウドネイティブ環境が増え続けることで複雑化しがちであり、そのような複雑なクラウドネイティブ環境の運用監視をいかに効率的に行うか、がビジネスにおいて大きな課題となっています。 システムを構成するハードウェアとソフトウェアが正常に稼動しているかについて、個々の状態を把握することに主眼がおかれた従来型モニタリングは、ハードウェアの障害やソフトウェアの異常を素早く検知することに役立つ一方で、ハードウェアの故障やサービスの停止をともなわないアプリケーションの性能低下などが検知することが難しく、原因の特定に非常に多くの時間がかかります。 また、従来型モニタリングの多くは、各環境で利用されている言語やプログラムにあわせた事前の導入と構成・設定が必要なだけではなく、サービス間の依存関係が把握できず、固定の閾値を超えたかどうかの確認しかできないため、ダイナミックに変化しつづけるクラウドネイティブ環境に追随していくことは困難です。 これに対して、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題が発生した際に迅速に検知し、解決するのが、アプリケーションパフォーマンス管理(Application Performance Management: APM)による「アプリケーションの運用高度化」です。 APMにより、アプリケーションが本番環境で正常に動作していることをモニタリングして、システムやアプリケーションが利用者に提供している「サービスの品質」と「システムの状態」を可視化し、トランザクションのパフォーマンスの状態を測定するのが可能になります。 IBMのAPMツール「Instana」は、「自動化」「コンテキストの把握と解析」「インテリジェントなアクション」の特長を持ち、デジタルプラットフォームの効率的な管理および迅速な障害個所の特定など、クラウドネイティブ環境の可視化を実現しアプリケーションの可用性向上に貢献します。 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 一方、アプリケーションが安定したパフォーマンスを提供し続けるには、アプリケーションがユーザからのリクエストを処理するため必要なリソースを確保することが前提条件となります。 そのためには、適切なリソースを割り当て、必要に応じて増減させる管理をする必要があります。その上で、利用者の要望を実現する高度な機能とストレスのない使いやすいUX/UIの提供、24時間365日無停止での安定したサービスの継続、急激なアクセスの増加にも耐える拡張性や俊敏性が求められます。さらには、システム上で実行されるアプリケーションが、事前に定義されたセキュリティポリシーやルールに完全に適合していなくてはなりません。 しかし、アプリケーションスタックが複雑化し、ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下で、従来のインフラ中心のアプローチや手動ツールを使った人手主体の管理や監視手法だけで24時間365日アプリケーションリソースを維持管理し、適切なリソースを予測し確保し続けることは非常に困難です。 また、リソース不足にならないように、必要以上の余剰な CPU/メモリ/ディスクなどのサーバリソースを持たせることは、コスト面で大きな負担となります。さらに、多頻度のリリースに対応しうる高速・高効率で、継続的な品質担保に対応することが求められる一方で、高スキルのIT人材が、慢性的に不足していることも現状の管理体制の大きな負担となっています。 これに対して、コンピュートリソースの不足を早期に把握し、最適化を行い人手をかけずに適切な意思決定を適切なタイミングで行うことで、アプリケーションのレスポンスを維持するのが、アプリケーションリソース管理(Application Resource Management : ARM)です。 IBM の AI駆動型ARMソリューション「IBM Turbonomic ARM」は、アプリケーションからインフラまでをフルスタックで可視化し、アプリケーションが必要とする ITリソースを最適化します。そして、AI を用いてアプリケーションパフォーマンス、コンプライアンスおよびコストの継続的な管理を可能にします。 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 アプリケーション運用管理の効率化は、宣言的に定義されたシステムのあるべき状態にシステムを制御する各種のオーケストレータによって、APMとARMを活用し徹底して自動化することで実現できます。ただし、システムで現在起きている問題のリアルタイムでの監視や、オーケストレータを介した問題へ自動に対処することはもちろん、あるべき姿へ迅速に回帰する「クローズドループサイクル(循環生産)」型のプロセスを実現することが不可欠となります。 このプロセスにおいて、APMとARMをそれぞれ独立した状態で活用するだけでは、目的に応じた画面の切り替えやツールごとの設定・操作などに非常に手間が掛かります。 APMであるInstanaとARMであるTurbonomicを連携することで、「統合的なアプリケーションの運用管理」を実現し、運用管理作業効率を向上することで以下のような効果を発揮します。 (1)ワンストップでインフラやアプリUXなどのパフォーマンスを統合管理できる (2)素早く問題の発生を検知し原因を特定できる (3)新規の監視対象を自動で認識でき個別の作業が不要となる (4)メンテナンスに工数がかからない 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 InstanaとTurbonomicを連携させ、双方向の統合を設定することで、画面を切り替えることなく、1ヵ所・1画面の一元化された操作で、効率的に統合的なアプリケーションの運用管理を行うことが可能です。 InstanaとTurbonomic の連携による相乗効果には、次のようなものか挙げられます。 (1)アプリケーションレベルからインフラレベルまで統一管理できる TurbonomicにInstanaの情報を連携することにより、1つの画面でインフラからアプリケーションレベルまでアプリケーション・スタック全体を統合的に可視化し、操作もシームレスに連携することで、パフォーマンスのリスクを把握しリソースを最適化するための積極的な推奨策を得るとともに、リスクの軽減や迅速な判断をすることが可能になります。 (2)故障が発生する前に予兆を検知して事前に対応できる アプリケーション視点でのパフォーマンス・障害分析とインフラ観点でのリソース分析と最適化を同時に行うことで、障害の発生を未然に防ぐための対策を実施できるようになるため、アプリケーションの可用性を向上することができるようになります。 そのため、リソースの輻輳を最小限に抑えることができ、その効果として、平均修復時間(MTTR)と平均故障間隔(MTBF)を改善し、機会損失を最小限に抑えます。 (3)パフォーマンスに影響するリソースを理解し対応ができるようになる Instanaは、Turbonomicの実行したアクションと監視対象アプリケーションのパフォーマンスへの影響について、履歴の記録を得ることができます。また、Turbonomicによって提供されるリソース自動最適化機能を統合し、IT環境全体の集約された性能を最適な状態に維持します。これにより、ユーザは、単一の場所から一元的にアプリケーションを監視し、リアルタイムのデータと需要に基づいた状況に合わせて、需要に則したリソース割りあて・確保の決定を実行することができます。 InstanaとTurbonomicの統合によって、クラウド環境やKubernetesのリソース費用を正確に把握できるようになるため、十分に活用されていないリソースやオーバープロビジョニングされたリソースを最適化するための推奨案が得られます。これを元に、ハイブリッド(セルフ・マネージド)やクラウドネイティブ、Kubernetesのワークロードのパフォーマンス改善、効率化、コンプライアンス対応、コスト削減を促進し、クラウドの無駄を削減するとともに、その効果を向上させることが可能になります。 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 このようにInstanaとTurbonomicを連携させることで、お客様は、インフラ・アプリケーションを統合的に可視化できるようになるだけでなく、アプリケーションのパフォーマンスリスクに素早く対応することが可能になります。 また、Turbonomicと連携できるAPMはInstanaだけではなく、お客様が、現在お使いになっているAPMとも連携することも可能です。さらには下図のロードマップのように、APM+ARMだけでなく、他のソリューションとも連携させることで、お客様のアプリケーションの運用高度化をさらに進め、ビジネスにより大きな価値をもたらすことができます。 図1:InstanaとTurbonomicの連携によるアプリケーションの運用高度化 6. まとめ このように、InstanaとTurbonomicを連携させた一元的な操作によって、複雑化したIT環境においても、ワンストップでインフラやアプリUXなどを監視・管理し、リソースの無駄やクラウド費用の増加なしに、アプリケーションに最適なリソースを動的に割りあてることができます。これにより、効率的なアプリケーションの管理の実現と、期待どおりのパフォーマンスを発揮して顧客のニーズを満たすことが可能になります。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社は、IBMソフトウェア(SW)とハードウェア(HW)の認定ディストリビュータとして、InstanaおよびTurbonomicに関する支援が可能です。 お客様のニーズや要件に合わせて、IBMのSWとHWを組み合わせた最適な提案やカスタマイズの支援、IBM製品の特長・利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案でサポートいたします。 「シナジー効果の高いInstanaおよびTurbonomicに絡めたセールスをサポートしてほしい」といったご要望があれば、いつでもお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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