ハイブリッドクラウドの市場動向とメリット・デメリット

ソリューション

いくつかの異なる環境(サービス)を組み合わせるのが特徴のハイブリッドクラウド。市場動向から現状を読み解き、メリットを最大限に活用するための「ハイブリッド・クラウド」をご紹介します。

ハイブリッドクラウドの市場動向とメリット・デメリット

必要なリソースを必要なタイミングで利用できるパブリッククラウドはITインフラを支える欠かせない要素です。
一方でパブリッククラウドからオンプレミス、プライベートクラウドへ回帰する兆候も顕著になりつつあります。

「ハイブリッドクラウドを構築したい」をテーマに市場動向、ハイブリッドクラウドに関わる各サービスのメリットとデメリットを解説し、ハイブリッドクラウドソリューション製品の選び方をご紹介します。

目次

ハイブリッドクラウドの市場動向

IDCが発行した2019年9月「2020年国内ハイブリッドクラウドインフラストラクチャ利用動向調査」によると、ハイブリッドクラウドの利用者がオンプレミスやハイブリッドクラウドに移行している割合は86.3%です。また、オンプレミスへの移行を2年以内に予定している割合は88.4%にも上ります。
オンプレミスへ移行した内訳をみると、利用していたアプリケーションの75%までを移行した利用者が73.3%と多く、すべてのアプリケーションを移行したとはいえないものの、可能な限りオンプレミスへの移行を進めているといえます。

パブリッククラウドを利用した先駆者たちも、オンプレミスに回帰またはハイブリッドクラウドに着地し始めているといえます。

オンプレミスへの移行状況(画像クリックで拡大) オンプレミスへの2年以内の移行予定(画像クリックで拡大)

オンプレミスへの移行状況

オンプレミスへの2年以内の移行予定

出処:IDC JAPAN「2020年国内ハイブリッドクラウドインフラストラクチャ利用動向調査」を参考に弊社にて作成

オンプレミスへ移行する理由は回答数が多い順に以下の内容で、何らかの環境向上が多く挙げられています。オンプレミスへ移行には前向きな理由が多いのが特徴といえるでしょう。

  • セキュリティを向上したい
  • テータ連携を容易にしたい
  • アプリケーション連携を容易にしたい
  • ID管理やアクセス管理を一元化したい
  • 運用管理を一元化したい
  • パフォーマンスを向上したい
  • サービスレベルを向上したい
  • オンプレミスの方がTCOが安くなる

また、移行先や移行予定のプラットフォームにはHCI(ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャー)が約半数の回答を占めています。次に「オンプレミスプライベートクラウド(HCI以外)」「プライベートクラウドサービス」がそれぞれ約1/4で続き、「従来型のオンプレミスITインフラ」は少数です。

ハイブリッドクラウドに関わる各サービスのメリットとデメリット

ハイブリッドクラウドは、いくつかのサービスを組み合わせるのが特徴です。
異なる環境(サービス)を組み合わせたクラウド環境で、各サービスのメリットを活かし、お互いにデメリットを補完します。

環境別にメリット・デメリットを確認する。

ハイブリッドクラウド構築にあたり、まず各サービスの特徴を把握しましょう。
パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスの各メリット・デメリットを一覧表で紹介します。

サービス(環境) メリット デメリット
オンプレミス
  • カスタマイズが容易
  • セキュリティ面の安全性が高い。
  • 運用、維持コストが高い。
  • クラウド環境と比較し、拡張性や導入スピードに劣る。
プライベートクラウド
  • トラブル発生時の対応、カスタマイズが容易
  • パブリッククラウドと比較し、セキュリティ面が安心
  • 導入コストが比較的高い。
  • 容量の増減時に対応が困難
  • パブリッククラウドと比較し、利用開始までに時間を要する。
パブリッククラウド
  • コストの削減ができる。
  • サーバー運用担当の負担が少ない。
  • 自社サーバーが不要
  • 使用したい分だけの利用ができる。
  • 利用開始のタイミングが自由
  • 障害発生時の対応を自分では行えない。
  • 他の環境と比較し、セキュリティ面が不安
  • 長期で利用するとオンプレミスより高くなりがち

ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャー(HCI)が選ばれる理由

HCIは構成がシンプルで、外部ストレージの専門知識は必要ありません。
いずれの環境においても「必要に応じてインフラを段階的にスケールアウトできる」ことが大きな利点です。

クラウド並の柔軟性や俊敏性をオンプレミスでも実現できる

構成がシンプルで、x86サーバ上でソフトウェアによりリソースを制御して活用するため、導入が容易ですぐに使い始められます。
さらに、管理も容易で運用の手間やコストが抑えられます。
拡張性も高く、リソースが不足した場合にはサーバの増設により容易にスケールアウトできるため、スモールスタートができます。

オンプレミスとクラウドを一元管理し、ハイブリッドクラウド環境の管理負荷を軽減できる

代表的なHCIソリューション(Nutanix、VMware vSAN、Microsoft Azure stack HCIともに)は、ユーザーにオンプレ環境とクラウド環境の違いを意識させない一元管理ツールが準備されており、環境ごとに異なる操作方法や管理手法の習得は不要です。

ハイブリッドクラウドをHCIで実現する製品は、目的に応じて様々あります。
次の項目以降で各種製品をご案内します。

ハイブリッドクラウドソリューション製品の選び方

いくつかのテーマを意識して製品をみることで、最適なソリューションを得られます。
ハイブリッドソリューション製品をハイブリッドクラウドのほか、マルチクラウドの観点も含めテーマ別に紹介します。

オンプレミスとクラウドの境をなくすHCI基盤

オンプレミスの仮想化環境とパブリッククラウドを一元管理するハイブリッドクラウドインフラ「Nutanix」

サーバー、ストレージ、SANスイッチの統合によるITインフラの簡素化を独自技術で実現し、クラウドとオンプレミスの垣根をなくすエンタープライズ・クラウドOSのリーダーです。

詳細はNI+C Pサイト[Nutanix製品]でも紹介しています。
公式情報は[NUTANIX「ハイブリッドクラウドの基盤」]で確認できます。

Nutanix

HCI、ハイブリッドクラウドの導入を容易にするエンタープライズクラスのストレージ仮想化ソフトウェア「VMware vSAN」

vSphereハイパーバイザーに統合されたシンプルかつ高性能なSDSです。高速かつ安定したパフォーマンスと、高い冗長性と拡張性を短期間で実現します。

詳細はNI+C Pサイト[Lenovoサーバー・ストレージ製品]でも紹介しています。
公式情報は[vmware「vSAN」]で確認できます。

VMware vSAN

低コストでWindows環境に慣れ親しんだ操作と運用環境を構築できる「Microsoft Azue Stack HCI」

Microsoft Azureとの密な連携によるハイブリッドクラウド環境を構築できる、シンプルなHCIインフラです。
Windows Serverスキルを活かしたスモールスタートができます。

詳細はNI+C Pサイト[Lenovoサーバー・ストレージ製品]でも紹介しています。
公式情報は[Microsoft「Azure Stack HCI」]で確認できます。

Microsoft Azue Stack HCI

ビジネスに特化したクラウドインフラ

デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するビジネスのためのクラウド「IBM Cloud」

柔軟でオープンスタンダードに基づいたアプローチで、マルチクラウドと既存のIT環境全体にわたりROIを最大化します。
ハイブリットマルチクラウドによるイノベーションを実現するために最適なクラウドプラットフォームです。
オープンテクノロジーを基本に構成され、SaaS、PaaS、IaaSなど様々なサービスが利用できます。

詳細はNI+C Pサイト[IBM Cloud]でも紹介しています。
公式情報は[IBM「IBM Cloud」]で確認できます。

IBM Cloud

ハイブリッドクラウド環境の統合マネジメントサービス基盤

あらゆる環境でアプリケーションの迅速な構築と実行を可能する分散クラウド「IBM Cloud Satellite」

オンプレミスやエッジコンピューティング、あらゆるクラウド・ベンダーが提供するパブリッククラウドなど、すべての環境で一貫してアプリケーションを導入、実行します。

詳細はNI+C Pサイト[IBM Cloud Satellite]でも紹介しています。
公式情報は[IBM「IBM Cloud Satellite」]で確認できます。

IBM Cloud Satellite

ハイブリッドクラウド・プラットフォーム「Red Hat OpenShift on IBM Cloud」

ハードウェア、ソフトウェア、クラウド・サービス、SIプロジェクトの各分野で、コンテナ化を軸として、お客様のビジネスの成功を支援する活動を展開します。
Kubernetes に各種の機能を追加して拡張、エンタープライズ水準のコンテナプラットフォームを短期間で構築し、少ない負担で運用できます。オンプレミス、パブリッククラウド、エッジなどのいずれの環境でも容易かつ短時間でアプリケーションの構築、開発、デプロイを行えます。

詳細はNI+C Pサイト[Red Hatシリーズ]でも紹介しています。
公式情報は[IBM「Red Hat OpenShift on IBM Cloud」]で確認できます。

Red Hat OpenShift on IBM Cloud

アプリケーション管理を自動化する「IBM Cloud Pak for AIOps」

IT運用ツールチェーン全体に先進的なAIを実装したAIOpsプラットフォームです。
基幹業務のワークロードにおけるインシデントを確実に評価、診断、解決を叶えます。

詳細はNI+C Pサイト[IBM Cloud Pak for AIOps]でも紹介しています。
公式情報は[IBM「AIOpsツールと Solutions」]で確認できます。

IBM Cloud Pak for AIOps

アプリケーション、データ、クラウド サービス、APIの統合を支援するハイブリッド統合プラットフォーム「IBM Cloud Pak for Integration」

クラウド・インテグレーションをリードするプラットフォームを利用し、様々なデータ連携方法・対象をサポートし、企業内外におけるデータ連携をスムーズに実行します。

詳細はNI+C Pサイト[IBM Cloud Pak for Integration]でも紹介しています。
公式情報は[IBM「IBM Cloud Pak for Integration」]で確認できます。

IBM Cloud Pak for Integration

VMware環境でのハイブリッドクラウド基盤

SDDCの展開とライフサイクル管理を自動化する統合ソフトウェアプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」

従来のエンタープライズアプリケーションとモダンアプリケーションの両方をサポートし、ストレージ、ネットワーク、セキュリティ、Kubernetes、およびクラウド管理のためのソフトウェアベースの包括的なサービスを提供します。
プライベートクラウドとパブリッククラウドにまたがる一貫性のあるインフラストラクチャ運用を通じて、企業の俊敏性と柔軟性の向上に貢献します。

VMware Cloud Foundation

自動化、運用、分析を行える柔軟なSaaS管理スイート「vRealize Cloud Management」

インフラの自動化に向けたDevOpsと自動運用をサポートします。
オンプレミスとSaaS環境の双方で利用可能なVMware vRealizeは、人工知能(AI)、機械学習(ML)、およびInfrastructure as Code(IaC)やGitOpsといったDevOpsでの考え方を活用し、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境でのプロビジョニング、オーケストレーション、最適化、統制を行うことで、クラウドインフラの俊敏性と効率性を実現します。

vRealize Cloud Management
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