2016年05月

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【てくさぽBLOG】ITmedia主催セミナー「先進企業に学ぶ、個客に寄り添うデジタル化の第一歩はデータ活用基盤の再構築から」に参加してみた

皆様こんにちは。てくさぽBLOG メンバーの 佐野です。

 

5月13日に行われたアイティメディア主催の「先進企業に学ぶ、個客に寄り添うデジタル化の第一歩はデータ活用基盤の再構築から」セミナーに参加してきました。

このセミナーに参加した理由は、IBM様から誘われたからというのもありますが、FlashSystemの事例が聞けるということで、今後の活動の参考になることを期待しての参加です。

事例は3つ発表されていましたが、それぞれ選定理由やFlashSystemに至る経緯が異なるので、とても為になりました。全部はお伝えし切れませんが概要部分でもご理解いただけると幸いです。

 

1.Agenda

当日のアジェンダは以下の通りでした。

開会挨拶:アイティメディア株式会社 エグゼクティブプロデューサー 浅井 英二様

基調講演:日本企業が目指すべきはデジタル化による「ぴったり」戦略

株式会社ローランド・ベルガ― 代表取締役社長 長嶋 聡様

セッション1:ストレージの常識はもう通用しない IBMフラッシュ・テクノロジーが拓く次世代ストレージ

日本アイ・ビー・エム株式会社 ストレージ・セールス事業部長 理事 波多野 敦様

セッション2:資生堂の”全員マーケター”ワークスタイル変革を実現する新分析システム ~迅速な経営判断を支える最新ITテクノロジー~

資生堂ジャパン株式会社 ビジネスシステム部 担当 石田 尚嗣様

セッション3:インテック・グループを支える基幹システムへのフラッシュ活用事例のご紹介 ~システムインテグレーターとしてIBM FlashSystemを選択した理由~

株式会社インテック 情報システム部 金平 剛様

セッション4:フラッシュが当たり前になった今こそ、Yahoo! JAPANが重視した「安心感」 ~データベース&オールフラッシュの組み合わせは必須アイテムに~

ヤフー株式会社 データ&サイエンスソリューション統括本部 データプラットフォーム本部 開発3部 DBMS技術 山本 秀平様

セッション5:IT戦略策定で注目したいストレージ・イノベーション

日本アイ・ビー・エム株式会社 IBMシステムズ ハードウェア事業本部 ストレージ・テクニカルセールス システムズ・エバンジェリスト 佐野 正和様

アジェンダを見ても分かる通り、基調講演以外の5つのセッションのうち2つがIBMのセッション、残り3つが事例セッションとなります。

ネタバレしてしまいますと、このセミナー自体がIBMの新製品である「FlashSystem A9000/A9000R」のお披露目会という位置づけでもあるためにこのような内容となっているようです。

なお、A9000はこんな外観になっていて、8Uでワンセットという製品です。

A9000表A9000裏

 

2.個別セッション

ここからは個別セッションに関するフィードバックとなります。

<基調講演:日本企業が目指すべきはデジタル化による「ぴったり」戦略>

・これまでに機械化・電動化・自動化により3度の産業革命が起きた。インダストリー4.0はICTをフル活用した新たな産業革命

・インダストリー4.0では「繋がる」「代替する」「創造する」の3つのコンセプトで様々な取り組みが進められている

・インダストリー4.0の本質は「異次元の見える化」とそれを起点とした「圧倒的な機動力」の発揮。見える化することで事象を把握し、きめ細やかに素早く対応する

・4.0時代の日本の強みは「カイゼン」「慮る日本文化」「革新的な要素技術」⇒組織能力。弱点は「自前主義」「長期視点の不足」⇒リソースの逼迫

・欧州や米国の後追いではなく、デジタル武装した現場主義の差別化を日本型インダストリー4.0として追求すべき

・日本型4.0の特徴はお客様起点で製販一体でぴったりの付加価値を創出すること。IoTは組織能力を下支えする道具である

と、インダストリー4.0に関する基調講演でした。

 

<セッション1:ストレージの常識はもう通用しない IBMフラッシュ・テクノロジーが拓く次世代ストレージ>

・今、第4次産業革命というべきデジタル変革時代を迎えている

・新たな個客体験を提供するビジネス・モデル。例えばUberやairbnb、Facebookといった会社を指す。すぐに試しうまくいけばすぐに拡大する、このスピード感が新たなビジネス創造のやり方

・かつては企業ITの方がコンシューマーITよりも進んでいたが、現在はコンシューマーITの方が企業ITよりもはるかに進んでおり、そのギャップは益々拡大している

・「コグニティブシステム」と「データレーク」が新たなビジネス創造に求められるIT基盤として必要となる

・IBMが注力するストレージ技術は「SDS」「仮想化」「フラッシュ」であり、ストレージ・ソフトウェアとフラッシュ・テクノロジーへそれぞれ1,200億円を投資する

・IDCのレポートを元にIBMが集計したデータによると、国内オールフラッシュストレージ市場でIBM FlashSystemが3年連続シェアトップ

・当初はアプリケーションの高速化の観点で導入が進んだが、最近では基幹ストレージとして採用されてきている

・IBM FlashSystemのポートフォリオとして、超高速&低遅延ストレージとしてのFlashSystem 900、FlashSystem×Spectrum Virtualize=V9000、FlashSystem×Spectrum Accelerate=A9000/A9000R

・150を超える特許技術で設計されたFlashSystem A9000/A9000Rによりポートフォリオを拡充し、ストレージ市場をリードしていく

このセッション内でA9000のお披露目が行われました。

フラッシュでストレージ市場をリードしていく、という言葉からもIBMが今後も力を入れていくということが読み取れますね。

 

<セッション2:資生堂の”全員マーケター”ワークスタイル変革を実現する新分析システム ~迅速な経営判断を支える最新ITテクノロジー~>

・資生堂のFlashSystem導入事例セッション

・資生堂は”全員マーケター”への取り組みを行っている

・会員情報や取引データなどさまざまなデータを取り扱っているが、応答時間が遅いという課題があった

・次世代の情報基盤として「マーケティング分析強化」「営業サポート」「蓄積データ拡充」「分析性能の向上」を求めた。特に分析性能の向上は既存の約10倍程度の高速化を要件とした

・選定のポイントは従来比10倍の応答・性能と追加開発への柔軟な対応ができること

・Power+FlashSystemを最終的には採用したが、Exadata(注:セッション中ではA社製品と伏せられていました)と比べると拡張の柔軟性のポイントが高かった

・導入した結果として情報の検索にかかる時間を12万時間ほど削減できた。これがコスト削減の効果となる

資生堂様はPowerSystemsとFlashSystemの組み合わせで導入をされたそうです。Powerのコアを1コア単位でアクティベーションできるので、その点がExadataよりも圧倒的に良い点と評価したそうです。

12万時間を削減ということなので、人件費に換算したら少なく見積もっても億円単位のコストが削減できたというよい事例だと思います。

 

<セッション3:インテック・グループを支える基幹システムへのフラッシュ活用事例のご紹介 ~システムインテグレーターとしてIBM FlashSystemを選択した理由~>

・社内情報システムのFlash導入事例

・BCPへの対応と現行システムの性能が課題⇒サーバー・ストレージ・ネットワークを抜本的に見直し

・IBM FlashSystemを採用した理由「実機評価(PoC)」「保守拠点」「現実的な提案」

・FlashSystemを導入した効果
-平均レスポンスが88%短縮 ⇒アクセス回数の増加
-夜間バッチの処理時間短縮に伴いサービス時間を拡大 ⇒終電間際の交通費・勤務入力に関するクレーム激減
-要件への対応速度が向上 ⇒チューニング・負荷テスト工数減
-コスト削減 ⇒ラックスペース削減によるハウジング費用低減

・ただし、FlashSystemを導入しても早くならないシステムもある。 ⇒クライアント側の処理がボトルネックとなっているような場合

FlashSystemを導入するすることで多種多様なシステム全てが高速化するわけではない、というのがこのセッションのポイントです。

ボトルネック箇所(例えばJavaScriptの処理が原因で遅い場合など)によってはFlashSystem導入による効果が見込めないので、導入前にはPoCをして応答時間が改善することを確認しましょう。

 

<セッション4:フラッシュが当たり前になった今こそ、Yahoo! JAPANが重視した「安心感」 ~データベース&オールフラッシュの組み合わせは必須アイテムに~>

・Yahoo! JAPANの全社DB基盤チームによる事例

・OracleとMySQLが推奨RDBMS。Oracleは処理量が多いサービスや会計・勘定系のサービスで利用

・2005年~2010年の第一世代基盤:シングルインスタンスでOracleを稼働。VCS(クラスタソフト)でデータを冗長化。ストレージはFC接続で商用ストレージ利用
⇒安定して稼働していたが、高価。

・2010年~の第二世代基盤:Oracle RACによる冗長化構成。商用ストレージを利用し、iSCSIで接続。データの冗長化はOracleCRSで対応
⇒安価で安定していたが、IOがボトルネックとなり広告入稿システムが遅延。競合他社よりもかなり遅い状況に。

・2014年~の第三世代基盤:OracleRAC+OracleCRSによる冗長化。ストレージはx86サーバーにPCIe-SSDカードを2枚搭載してInfinibandで接続
⇒かなり高速な基盤となったがオンラインでディスクの切り出しができない、Infiniband特有の不具合が発生。特にInfiniband関係の不具合は定期的にOSをリブートして対処する必要がある。また、PCIe-SSDは1枚で大容量を確保できないため、多くの台数を並べて確保する必要があり、障害点が増加・管理が煩雑という課題がある。

・IO性能がボトルネックであったが、第三世代で解決。しかしメンテナンス面・障害ポイントの増加による課題・リスクが増加

・次世代の基盤は以下3点(+1点)をポイントに選定
-容量が多い
-早い
-オンラインメンテナンス可能
-(安い)

・PCIe-SSD+NVMe+SDS構成も対抗候補としてあったが、最終的にはパフォーマンスは同等レベルであり、運用・耐障害性の観点でFlashSystemに軍配

Yahoo! JAPAN様は、独自でいろいろなことを考え・試していて先進的なことを実施しているという印象を受けました。

PoCでの検証もされており、FlashSystemとPCIe-SSD+NVMeがほとんど変わらないパフォーマンスということも興味深いですね。

 

<セッション5:IT戦略策定で注目したいストレージ・イノベーション>

・いつものIBMストレージのエバンジェリスト佐野さん(私ではありませんよ)

・SSDはHDDをエミュレーションしているので、フラッシュ・メモリーとしての能力を発揮できていない。特に耐障害性の面や集積度でFlashSystemには遠く及ばない

・FlashSystemでは汎用CPUではなくFPGAを利用して並列度を上げていることも高速化のポイント

・IBMのリアルタイム圧縮ではデータベースに対して特に効果が大きい(最大80%削減)。高価なFlashSystemの容量単価を下げるためにもリアルタイム圧縮と組み合わせることは有効なアプローチとなる

・IBM内のFlashSystemアセスメントデータをかき集めて集計した結果、IO待ち時間が大幅に短縮でき(平均87%短縮)、Flash化することにより処理時間が平均50%短縮できることが分かった

・DBサーバーのコア数も平均22コア搭載のうち9~10コア削減できる計算 ⇒RDBMSのライセンス削減を原資にFlashSystemを導入するストーリーが成り立つ

・FlashSystem A9000/A9000Rは重複排除・圧縮後の容量を実効容量として記載

・A9000は8Uでワンセットのモデル。A9000Rはラック一本で提供されるモデル

・Spectrum Accelerate(XIVのソフトウェア版)の機能が組み込まれているため、QoSやマルチテナント機能、VMwareとの連携機能が含まれている。

・A9000/A9000Rは仮想サーバー環境やクラウド業者、VDI環境に適したモデルと言える

IBM佐野さんは独特の喋り口で話をされるので非常に面白いセッションです。

まだ聞いたことがない方は是非一度聞いてみて下さい。

 

3.まとめ

本セミナーはFlashSystemとその事例のセッションで構成されたセミナーでした。

A9000/A9000Rという新しい製品が発表され、IBMのFlashSystemも広がり始めています。

コスト削減とセットで提案することで、導入費用と削減コストがとんとんであっても、早い基盤であるという事実は残ります。

ストレージを提案する際にはFlashストレージを第一に考えて提案してみてはいかがでしょうか。きっとみんながハッピーになれると思います。
その際にNI+C Pとしてお手伝いできることがあればご支援いたしますので遠慮なくお申し付け下さい。

 

 

この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社

技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

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Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. 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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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