2017年06月

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「IBM Watson Summit 2017」に参加してみた ~コグニティブはどこまで浸透したのか?~

参加メンバーにインタビュー

皆さま、こんにちは。 企画部のWebサイト運営担当です。

去る 4月27日、28日にグランドプリンスホテル新高輪で開催された「IBM Watson Summit 2017」の参加レポートをお届けします。昨年の”参加してみた”レポート同様、Summit に参加した弊社エヌアイシー・パートナーズのメンバーにインタビューしました。

企画担当:では早速。まず、はじめに、昨年の Watson Summit と比較して感じた違いを「ひとこと」で教えてください。

 

昨年の Watson Summit と比較して

Kさん:昨年はみずほ銀行のコールセンターの事例が中心だったが今年は他社のコールセンターの事例も多かった。国内の大手銀行、生保は Watson の採用もしくは導入検討が進んでおり、裾野が広がってきたのだと思う。

Jさん:蔦屋(TSUTAYA)と地銀支店が連携した事例などもありましたね。

Aさん:昨年は「これからの時代はコグニティブだ」という言葉が多かったのですが、すでに実装している企業もあり、更に AI やチャットボットなど Watson に関連するテクノロジーもユーザ側がコグニティブを意識してなくても利用していると感じました。

また、この 1 年で日本IBM が直接受けた Watson 案件は 200 件を超えているという話を聞きました。いよいよ実案件でも Watson、と言った感じがしました。

代表的な事例まとめ( Watson の活用事例 2017年)

◆海外の Watson
米国では大手税務サービス企業の H&R BLOCK が顧客が作成した確定申告の内容を確認し、より多くの還付金を得られるようにアドバイスするサービスに Watsonを利用するなどサービスの展開が進んでいる。

◆日本の Watson
日本では銀行、生保のコールセンターで Watson が採用されている。この一年の特長としては「知識ベース」と言われる Watson の辞書にあたるナレッジを収集、蓄積し、分析する活動が活発である。これらの知識ベースを「学習済み Watson 」としてサービス展開を視野に入れている。

  • 三井住友銀行は企業の信用力変化を示すニュースを自動収集するための知識ベースを構築
  • トランスコスモスは自社のコールセンター運営知見を複数の知識ベースにまとめる
  • 三菱自動車は自動車の不具合兆候を把握し、未然防止につながる情報や顧客の声を可視化する知識ベースを構築

また、国内大手企業以外にもベンチャーや研究開発型の企業がWatsonの活用を開始している

  • QUICK は金融マーケット情報の自然言語照会に取り組む
  • ファーマクラウドは調剤薬局向けの在庫医薬シェアリングサービスに Watson のチャット機能を付加
  • アイ・ラーニング社はプログラミング研修で受講者の質問に回答する Watson や個々人の最適なラーニングパスを提示する Watson を活用提供
  • 日本電通は基幹システムとの連携で総務・人事・経理関連の社員向けチャットボットを提供

企画担当:事例がどんどん増えているということですね。ところで、イベントの形式として昨年と違う点として、今年は会場に入る一般の参加者も有料のイベントになりましたよね。展示数が増え、内容も充実した思いますが、会場の様子はいかがでしょうか。

Aさん:参加者の総数は減っているはずですが、混み具合は去年と同じか、それ以上に感じましたよ。私どもの親会社である日本情報通信(株)はダイヤモンドの更に上のマーキー(Marquee)というトップのスポンサーとして出展していましたが、ブースエリアも賑わっていました。
ご参考:▼【出展レポート】 IBM Watson Summit 2017

 

企画担当:なるほど、イベント会場盛況で内容としては先行事例だけでなく、Watson 採用事例の裾野が広がってきたのですね。本題に入る前に、Watson の話題がどれだけ盛り上がっていたかを企画部の Web 担当として、ちょっと違う視点で調べてみました。

 

ネットでみる Watson の盛り上がり

IBM Watson の注目度合いはネットの検索量でも推し量ることができます。下図は世界中の人が過去5年間の「IBM Watson」を検索したボリュームです。(Google Trendより)

トレンドラインは右肩あがりですね。(大きな谷間はクリスマス〜年末のシーズンです)

googletrend_past5years

 

ついでに地域別の検索ボリュームをみると、1 位はシンガポール、次いでUS、インドと IT、開発の先進国と重なります。日本は 9 位でした。

googletrend_erea_global

 

 

地域別の集計を都市別のメッシュを変えてみると・・・中央区が世界で 2  位です!
我が社も中央区にかまえていますのでその影響でしょうか(笑)

(ツッコミ:日本IBM本社も中央区です!)

googletrend_erea_city

 

1 位のポキプシー、3 位のオースティンも IBM の研究所があり、 IT の中心都市ですからね、2 位 の中央区は検索の世界ではリードしています。

企画担当:また、昨年当サイトにて掲載の Watson Summit2016 の記事 もイベント開催1ヶ月程度前から期間中にかけて、アクセス数が 200%Up になっていました。大手メディアサイトではない弊社のページにアクセスしてくださって感謝です。

 

今年の Watson Summit で使われた「メッセージ」「キーワード」とは?

企画担当:このようにネットの世界でも注目されている IBM Watson について、Summit で感じたことをもっと伺おうと思います。今年の Summit の「メッセージ」はどのようなものか教えてください。メッセージが難しければ、良く使われていたキーワードでも良いです。

 

ハイブリッドクラウドに見る【非機能要件】と【Lift&Shift】というキーワード

Jさん:そうですね、今年の Watson Summit を一言でいうなら、「Cognitive on IBM Cloud」というメッセージを鮮明に感じました。

企画担当:Watson と Cloud が明確に一つに繋がったのですね。では、まず「IBM Cloud」についてのメッセージはいかがでしょう。

Aさん:クラウドというメッセージにおいて「非機能要件」という言葉は頻繁に聞きました。当初は「API connect を利用してオンプレからクラウドに上げると Watson が使えるんだよ」という事かと思ってましたが、そうではなく、オンプレをそのままクラウドに上げるのではなく、それぞれを分ける。というメッセージでした。

 

shift_lift

企画担当:非機能要件」という言葉はあまり馴染みがなかったのですが、どういった定義なのでしょうか。

Jさん:Lift&Shift」という言葉も一緒に使われていました。ハイブリッド・クラウドを構築するにあたって、既存のアプリケーションを変えなくてよいものと書き直してクラウドに持っていくものの 2つ に分けて考えるというところから来ています。この時に変えなくてよいものをパブリック・クラウドに持っていくと、従来はオンプレのアプリケーションの下層で動いていた管理、監視、制御などの部分もクラウド上で自分で構築する必要に迫られる。この部分を「非機能要件」と呼んでいます。
一方で、書き直すクラウドにもっていくアプリケーションの移行方法を「Lift&Shift」と呼んでいるようです。

Aさん:そうそう、オンプレをそのままパブリック・クラウドに上げるのは無理があるので、IBM Bluemix Infrastructure (Softlayer) では、ベアメタルを用意しているんですよ、オンプレからシステム管理も含めてベアメタルに持っていけばいんだよ、というメッセージですね。

Kさん:非機能要件」と「Lift&Shift」については、どのセッションでも話題として出ていました。

企画担当:なるほど、IBM Bluemix Infrastructure(SoftLayer)の強みを活かしたアプローチですね。クラウドのキーワード、メッセージは他にもありましたか?

 

クラウド時代の戦略【オープンスタンダート】とは?

Jさん:IBM Cloud はBluemix という PaaS 環境がベースになっているので、まずはそこから入り、アプリケーションの差別化に Watson / コグニティブ が IBM の強みとなっています。さらにアプリケーションが使うデータがキーとなります。データという意味では IT 業界では DB のあるべき姿を考え、SQL と NonSQL のトピックになりがちですが、「データレイク」をキチンと管理しようという話をされています。

これらのデータの扱いについては、IBM は全て「オープンスタンダード」で答えています。つまり IBM というベンダー製品で抱え込むのではなく、仕様をオープンにしていく、オープンソースを活用するという意味です。IBM はオープンスタンダードに投資し、そこから出てきたテクノロジー、会社を買収するという戦略をとっていて、全方位で隙間がないように、ニッチなエリアに対しても同じ「オープンスタンダード」を戦略にしています。エンドユーザから見ても「ベンダーロックインを回避でき、自由度が広がる」という利点につながります。

Aさん:データレイク」というキーワードは昨年のWatson Summitでも登場してましたね。

openstandard

Sさん:私は 3 月にラスベガスで開催された IBM 最大のイベントInterconnect 2017 に参加してきましたが、テクニカルな面での IBM のメッセージは Watson Summit もほぼ同じでした。

IBM Bluemix Infrastructure (SoftLayer) 関連では Cloud Automation Manager というマルチクラウド、オンプレのいずれにも対応したデプロイ管理ツールがオープンスタンダードのひとつだと思います。マルチクラウドということは SoftLayer だけでなく、AWS や Azure なども対象となるということです。現在は、IBM Bluemix 上に無料で提供開始していて注目されています。

企画担当:Blumix 自体がオープン・クラウド・アーキテクチャーの実装プラットフォームですから戦略は理解しやすいですね。では次に、Watson に関連した製品・サービスという切り口ではどのようなメッセージ、キーワードが Summit で話題になっていましたか?

 

Watson の知識データ

Jさん:データの扱いについてですが、知識ベースの構築しかり、大事なのはデータを Watson で扱える状態にすることです。いわゆる「コーパス」と呼ばれる AI の知識データですね。ここをどう構築していくかが鍵でもあり、泥臭い領域ではあるのですが、このテキスト分析の行程で「Watson Knowledge Studio」を大々的にメッセージしていました。「Watson Knowledge Studio」は、開発者と各分野の専門家が協力して、特定の業界向で利用されている言葉の意味を理解する機械学習モデルを、開発者と知見者である専門家が協力して作成できるクラウド・ベースのアプリケーションです。ブラウザ環境ですし、無料トライアルもあるので試しに使ってみるユーザが増えると思います。
WNS_Images

Watson Knowledge Studioの画面

 

企画担当:Web サイトを見ると「特定の業界向けのカスタム・アノテーター・コンポーネントを作成できる」と表記されていますが、要するに「業界特有の用語や知識のニュアンスを Watson に教えることができる」という感じですね。やはりテキスト分析は重要ですよね。

Aさん:ユーザのセッションで女性研究員2名によるテキスト分析の話がありました。大量のデータの中に、「川崎」という文字が出てきた時に人の名前なのか地名なのかをどのように識別させるかというトピックなど興味深い話でした。ユーザは色々試行錯誤されているようです。

 

学習済み Watson の提供

Jさん:一昔前の AI  はルールの定義という作業でひとつひとつの言葉を定義する必要がありました。そして機械学習が主流になっていくのです。IBM ではこの領域は SPSS のテキストマイニングなどのナレッジが活かされています。サービスインまでに Watson にある程度覚えさせる行程とリリース後に覚えさせる行程がありますが、コグニティブの世界ではこのコーパスを作るところは泥臭い作業で、特にリリース後のユーザの参加は必須ですね。

企画担当:データ分析の領域において、近年は「データサイエンティスト」という分析担当者に注目されていましたね。

Jさん:最近、IBM は「データサイエンティストのようなスーパーマンはそんなに多くはいない」と言い始めています。確かに私も個人的に存在を一人も知りません(笑)。DSX(Data Science Experience)というプラットフォームを IBM は用意しています。一人のスーパーマンではなく、データの準備、整備、プログラム開発、分析など行程をわけてチームワークでデータサイエンスを始めるためのプラットフォーム。こういうのが出てくるのは Knowledge Studio と同様に市場がコグニティブの導入検討ではなく、実際の導入の際に生産性に影響しているプロセスの改善ニーズがあるのだと思います。Watson も「何に使えるのか」から「どうやって効率的に使うか」のフェーズに入ってきたのですね。

DSX

Data Science Experienceの画面

 

企画担当:全体のメッセージは先行事例から次のフェーズに来ているということですね。先行投資できる企業は良いですが、研究や開発に大きな投資ができない企業はどうすれば良いでしょうか。

Jさん:IBM はインダストリー別に「”学習済み” Watson」をリリースしていくとこのイベントでも発信しています。例えば「Watson automobile」は自動車業界向けというように業界別にパッケージし、金融、製薬など現在 80 種類ほどの学習済 Watson をリリースしていくとのこと。

企画担当:企業が持つ「データレイク」やナレッジを知識ベースとして提供し、学習済みの Watson が用意されていく、オープンスタンダードな思想をもとに Watson を利用したサービスが増えていく・・・こんな近未来が見えてきますね。

Jさん:気象データや医療文献情報などもそのうちの一つですね。IBM 自体も The Weather Company を買収して、気象データを提供する側になっています。

 

今後のビジネス展開 – API 化

企画担当:こういった環境において、ビジネス面で考えるとシステムインテグレーターやソリューションプロバイダーはどのような戦術が必要になるのでしょうか。

Aさん:私の理解ですが、Watson は API のことを示していると思います。そして知識ベースは個別のインダストリーで用意する。この知識ベースを構築する行程はシステムインテグレータなどのベンダーがユーザをリードし、一緒に構築していく領域だと思います。

Kさん:テキスト分析、データマイニングの経験が豊富なベンダーは優位ですね。また、Web アプリ、API 開発が得意なベンダーにもチャンスだと思います。IBM は「IBM マーケットプレイス」をラウンチしていますが、日本国内はまだ立ち上がったばかりです。
このマーケットプレイスで開発ベンダーは開発した API、ソリューションをカタログ化して掲載できるのです。
ibm_marketplace

 

企画担当:なるほど、開発力はあるが営業力が弱いといったベンチャー型の会社や部門は参入のチャンスですね。

Jさん:そうですね、「今後は API 化してほしい」というのが IBM のメッセージです。ユーザ、パートナー企業を含めた「API エコノミーの推進」とも言えます。

企画担当:ありがとうございます。初歩的な質問をしますが、一般企業が API 化することの利点ってどんなことがありますか?

Jさん:例えば、フライト情報を検索、表示する旅行会社のアプリがあって、コンシューマーがフライト情報にアクセスする度に航空会社の Web を参照するアプリの仕様だと提供側の航空会社の Web サーバの負荷は高くなります。いわゆる Web スクレイピング、Web クローリングという技術ですね。これを API アクセスすることで Web サーバーの負荷が減ります。情報開示側が API 化しておくことで、開発ベンダーは様々な API を組合せてより良いサービスやアプリケーションを作っていけるのです。

Aさん:API 化しておけば、「Lift&Shift」の際に、クラウド or オンプレ という移行もスムーズになりそうです。

Jさん:API 化はマイクロサービス化と言い換えてもいいだろうと思います。

企画担当:開発会社、エンジニアから見て、API 実装自体は新しいことではないと思いますが、マーケットプレイスにパッケージしてカタログ化していくことも最初から意識するという点でベンダーにとっては新しいビジネスモデルになりそうですね。

IBM マーケットプレイスなどのエコシステムについてはディストリビューターの弊社としても要ウォッチですね。 今後もエヌアイシー・パートナーズの取引先の皆様には専用Web サイト「MERITひろば」でより詳しい情報を掲載していきたいと思います。

本日はありがとうございました。

 

【関連リンク】

WS2016

IC2017

tokusyu0602

その他の記事

2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で起業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月30日

APMとARMのシームレスな連携で効率的な統合アプリケーション運用管理を実現する ~Instana+Turbonomicのシナジー~

公開日:2025-06-30 ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下においては、アプリケーションスタックが複雑化し、分散され、流動的となり、それがアーキテクチャーと、正しい設計および変化する需要に対応できる十分なリソースの提供を難しくしています。 複雑化したIT環境で、システムの正常性やパフォーマンスリスクに対応するためには、アプリケーションの運用管理において、アプリケーションとインフラ両方の情報を一元管理します。そして、統合的に参照することができ、システムの変調を見逃さない高度な可観測性を実現するアプリケーションの運用の高度化が重要となります。 本コラムでは、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツール「IBM Instana Observability」(以下 Instana)とアプリケーション・リソース管理(ARM)ソリューション「IBM Turbonomic」の連携で生まれる、統合アプリケーション運用管理の相乗効果について紹介します。 目次 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 6. まとめ お問い合わせ 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 アプリケーションの稼働環境がオンプレミスだけでなくクラウド環境へ拡大しています。クラウド上では様々なクラウドネイティブなサービスが稼働しており、それを利用することはコスト面・スピード面で必然となっています。しかし、クラウドネイティブ環境が増え続けることで複雑化しがちであり、そのような複雑なクラウドネイティブ環境の運用監視をいかに効率的に行うか、がビジネスにおいて大きな課題となっています。 システムを構成するハードウェアとソフトウェアが正常に稼動しているかについて、個々の状態を把握することに主眼がおかれた従来型モニタリングは、ハードウェアの障害やソフトウェアの異常を素早く検知することに役立つ一方で、ハードウェアの故障やサービスの停止をともなわないアプリケーションの性能低下などが検知することが難しく、原因の特定に非常に多くの時間がかかります。 また、従来型モニタリングの多くは、各環境で利用されている言語やプログラムにあわせた事前の導入と構成・設定が必要なだけではなく、サービス間の依存関係が把握できず、固定の閾値を超えたかどうかの確認しかできないため、ダイナミックに変化しつづけるクラウドネイティブ環境に追随していくことは困難です。 これに対して、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題が発生した際に迅速に検知し、解決するのが、アプリケーションパフォーマンス管理(Application Performance Management: APM)による「アプリケーションの運用高度化」です。 APMにより、アプリケーションが本番環境で正常に動作していることをモニタリングして、システムやアプリケーションが利用者に提供している「サービスの品質」と「システムの状態」を可視化し、トランザクションのパフォーマンスの状態を測定するのが可能になります。 IBMのAPMツール「Instana」は、「自動化」「コンテキストの把握と解析」「インテリジェントなアクション」の特長を持ち、デジタルプラットフォームの効率的な管理および迅速な障害個所の特定など、クラウドネイティブ環境の可視化を実現しアプリケーションの可用性向上に貢献します。 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 一方、アプリケーションが安定したパフォーマンスを提供し続けるには、アプリケーションがユーザからのリクエストを処理するため必要なリソースを確保することが前提条件となります。 そのためには、適切なリソースを割り当て、必要に応じて増減させる管理をする必要があります。その上で、利用者の要望を実現する高度な機能とストレスのない使いやすいUX/UIの提供、24時間365日無停止での安定したサービスの継続、急激なアクセスの増加にも耐える拡張性や俊敏性が求められます。さらには、システム上で実行されるアプリケーションが、事前に定義されたセキュリティポリシーやルールに完全に適合していなくてはなりません。 しかし、アプリケーションスタックが複雑化し、ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下で、従来のインフラ中心のアプローチや手動ツールを使った人手主体の管理や監視手法だけで24時間365日アプリケーションリソースを維持管理し、適切なリソースを予測し確保し続けることは非常に困難です。 また、リソース不足にならないように、必要以上の余剰な CPU/メモリ/ディスクなどのサーバリソースを持たせることは、コスト面で大きな負担となります。さらに、多頻度のリリースに対応しうる高速・高効率で、継続的な品質担保に対応することが求められる一方で、高スキルのIT人材が、慢性的に不足していることも現状の管理体制の大きな負担となっています。 これに対して、コンピュートリソースの不足を早期に把握し、最適化を行い人手をかけずに適切な意思決定を適切なタイミングで行うことで、アプリケーションのレスポンスを維持するのが、アプリケーションリソース管理(Application Resource Management : ARM)です。 IBM の AI駆動型ARMソリューション「IBM Turbonomic ARM」は、アプリケーションからインフラまでをフルスタックで可視化し、アプリケーションが必要とする ITリソースを最適化します。そして、AI を用いてアプリケーションパフォーマンス、コンプライアンスおよびコストの継続的な管理を可能にします。 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 アプリケーション運用管理の効率化は、宣言的に定義されたシステムのあるべき状態にシステムを制御する各種のオーケストレータによって、APMとARMを活用し徹底して自動化することで実現できます。ただし、システムで現在起きている問題のリアルタイムでの監視や、オーケストレータを介した問題へ自動に対処することはもちろん、あるべき姿へ迅速に回帰する「クローズドループサイクル(循環生産)」型のプロセスを実現することが不可欠となります。 このプロセスにおいて、APMとARMをそれぞれ独立した状態で活用するだけでは、目的に応じた画面の切り替えやツールごとの設定・操作などに非常に手間が掛かります。 APMであるInstanaとARMであるTurbonomicを連携することで、「統合的なアプリケーションの運用管理」を実現し、運用管理作業効率を向上することで以下のような効果を発揮します。 (1)ワンストップでインフラやアプリUXなどのパフォーマンスを統合管理できる (2)素早く問題の発生を検知し原因を特定できる (3)新規の監視対象を自動で認識でき個別の作業が不要となる (4)メンテナンスに工数がかからない 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 InstanaとTurbonomicを連携させ、双方向の統合を設定することで、画面を切り替えることなく、1ヵ所・1画面の一元化された操作で、効率的に統合的なアプリケーションの運用管理を行うことが可能です。 InstanaとTurbonomic の連携による相乗効果には、次のようなものか挙げられます。 (1)アプリケーションレベルからインフラレベルまで統一管理できる TurbonomicにInstanaの情報を連携することにより、1つの画面でインフラからアプリケーションレベルまでアプリケーション・スタック全体を統合的に可視化し、操作もシームレスに連携することで、パフォーマンスのリスクを把握しリソースを最適化するための積極的な推奨策を得るとともに、リスクの軽減や迅速な判断をすることが可能になります。 (2)故障が発生する前に予兆を検知して事前に対応できる アプリケーション視点でのパフォーマンス・障害分析とインフラ観点でのリソース分析と最適化を同時に行うことで、障害の発生を未然に防ぐための対策を実施できるようになるため、アプリケーションの可用性を向上することができるようになります。 そのため、リソースの輻輳を最小限に抑えることができ、その効果として、平均修復時間(MTTR)と平均故障間隔(MTBF)を改善し、機会損失を最小限に抑えます。 (3)パフォーマンスに影響するリソースを理解し対応ができるようになる Instanaは、Turbonomicの実行したアクションと監視対象アプリケーションのパフォーマンスへの影響について、履歴の記録を得ることができます。また、Turbonomicによって提供されるリソース自動最適化機能を統合し、IT環境全体の集約された性能を最適な状態に維持します。これにより、ユーザは、単一の場所から一元的にアプリケーションを監視し、リアルタイムのデータと需要に基づいた状況に合わせて、需要に則したリソース割りあて・確保の決定を実行することができます。 InstanaとTurbonomicの統合によって、クラウド環境やKubernetesのリソース費用を正確に把握できるようになるため、十分に活用されていないリソースやオーバープロビジョニングされたリソースを最適化するための推奨案が得られます。これを元に、ハイブリッド(セルフ・マネージド)やクラウドネイティブ、Kubernetesのワークロードのパフォーマンス改善、効率化、コンプライアンス対応、コスト削減を促進し、クラウドの無駄を削減するとともに、その効果を向上させることが可能になります。 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 このようにInstanaとTurbonomicを連携させることで、お客様は、インフラ・アプリケーションを統合的に可視化できるようになるだけでなく、アプリケーションのパフォーマンスリスクに素早く対応することが可能になります。 また、Turbonomicと連携できるAPMはInstanaだけではなく、お客様が、現在お使いになっているAPMとも連携することも可能です。さらには下図のロードマップのように、APM+ARMだけでなく、他のソリューションとも連携させることで、お客様のアプリケーションの運用高度化をさらに進め、ビジネスにより大きな価値をもたらすことができます。 図1:InstanaとTurbonomicの連携によるアプリケーションの運用高度化 6. まとめ このように、InstanaとTurbonomicを連携させた一元的な操作によって、複雑化したIT環境においても、ワンストップでインフラやアプリUXなどを監視・管理し、リソースの無駄やクラウド費用の増加なしに、アプリケーションに最適なリソースを動的に割りあてることができます。これにより、効率的なアプリケーションの管理の実現と、期待どおりのパフォーマンスを発揮して顧客のニーズを満たすことが可能になります。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社は、IBMソフトウェア(SW)とハードウェア(HW)の認定ディストリビュータとして、InstanaおよびTurbonomicに関する支援が可能です。 お客様のニーズや要件に合わせて、IBMのSWとHWを組み合わせた最適な提案やカスタマイズの支援、IBM製品の特長・利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案でサポートいたします。 「シナジー効果の高いInstanaおよびTurbonomicに絡めたセールスをサポートしてほしい」といったご要望があれば、いつでもお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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