2016年04月

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【てくさぽBLOG】今注目の”ハイパー・コンバージド・インフラ”とは

皆様こんにちは。てくさぽBLOG メンバーの 佐野です。

 

本記事では最近注目の”ハイパー・コンバージド・インフラ”とはどんなものなのか、どんなメリットがあるのかについて簡単にご紹介します。

 

1.ハイパー・コンバージド・インフラが生まれた背景

2016年現在で、エンタープライズ向けに最も普及しているであろう仮想化環境は以下の構成内容が多いと考えられます。

ハイパーコンバージド10

サーバー層、SANスイッチ層、ストレージ層の3層から成るこの構成を3Tier(3層)仮想化インフラと呼びます。

 

この3Tier仮想化インフラは一度構築が済んでしまえば安定して稼働するため、使い勝手は非常によいですが、以下のような課題があります。

ハイパーコンバージド01

特に小規模なお客様であれば、運用管理面での課題が日頃の業務に大きく影響してきます。

また、コスト面においても拡張する際に初期構築と同等レベルの費用がかかってしまうことが大きな重荷になりなかなか簡単に拡張ができないという現実もあります。

 

そこで出てきたのが垂直統合型のインフラである「コンバージド・インフラ」です。

IBM製品でいえば「PureFlex」がこれに該当します。OracleのExadataなんかも該当しますね。

ハイパーコンバージド02

コンバージド・インフラは3Tier仮想化インフラの課題のうち以下のことを解決してくれます。

・メーカーが組み合わせを検証済みの状態で出荷をするため、導入時の構成の複雑性を解決。

・運用管理を統一したインターフェース上から実行することで運用管理負荷の軽減。

 

先ほどの3Tier仮想化インフラの課題とこのコンバージド・インフラが解決してくれることを見比べると分かりますが、3Tier仮想化インフラの課題全てをコンバージド・インフラの導入によって解決できるわけではありません。

拡張性の観点ではストレージのパフォーマンスがコントローラの性能に大きく依存しますし、ラック単位での導入となるため設置スペースや空調には3Tier仮想化インフラよりも多くのコストがかかります。

また、パッケージ化され管理画面は1つになっていても、サーバー・ストレージ・SANスイッチは別々に管理を行う必要があり、どのようにメンテナンスを行うのかの計画を立てる必要があります。

 

そんな中で生まれたソリューションが「ハイパー・コンバージド・インフラ」です。

ハイパーコンバージド03

「ハイパー・コンバージド・インフラ」はx86サーバー向けの基盤となり、2Uサイズのアプライアンスに最大4ノードを稼働させることでコンパクトさを実現しています。

また、サーバーの機能とストレージの機能はソフトウェアにより提供されており、サーバー機能はvSphere ESXiハイパーバイザーやHyper-Vなどの仮想化テクノロジーを利用することができます。

ストレージは、Software Defined Storageとしてサーバーローカルのディスクを利用してプール化し、ハイパーバイザーに提供します。

 

2.ハイパー・コンバージド・インフラのメリット

このソリューションを利用することによるメリットは多々ありますが、特徴的なところを3つほどご紹介します。

 

<設置スペースの削減>

前の章でも書いた通り、SANスイッチと専用ストレージが不要になるため、設置スペースを大幅に削減できます。

以下の図はNutanixというソリューションを利用した場合の実際の事例になります。

ハイパーコンバージド04

5ラックあった環境がわずか1/2ラックに収まってしまっています。

機器が減る分、空調や電力にかかる費用も削減できることが分かりますね。

 

<運用コストの低減>

3Tier仮想化環境では、新しい機器を環境に追加する場合などにFirmwareを最新版に上げねばならず、都度更新作業が発生していました。場合によってはサービスを停止しての作業だったかもしれません。

ハイパー・コンバージド・インフラの場合には、1台のアプライアンスにサーバーの機能とストレージの機能が載ることで、SANスイッチと専用のストレージ装置が不要になり、管理ポイントが激減します。
そのため、更新対象機器が少なくなり、ローリングアップデートをすることで無停止での更新作業が可能となります。

ハイパーコンバージド05

 

<導入・追加が簡単>

3Tier仮想化環境の構築では一からハードウェアの構築・設定・テストが必要でした。物品数が多くなればなるほどそれぞれの作業に時間がかかり、数日という単位での作業期間が必要となります。

ハイパー・コンバージド・インフラでは、予めセットアップされたアプライアンスが届きますので、ラッキングした後に電源とネットワークケーブルを接続し、数クリックするだけで仮想環境が利用できるようになります。(HP製品の場合には、OneView InstantOnというセットアップ自動化ツールが提供されますので、そのツールを利用して設定を自動実行します。)

ハイパーコンバージド06

これにより、インフラが利用できるようになるまでのスケジュールがかなり短縮でき、アプリケーション開発チームへすぐに環境を提供することができます。

昨今のビジネス環境はスピード感が非常に重要ですので、このリードタイムの削減は大きな効果となります。

 

3.ここまでのまとめ

・3Tier仮想化インフラには以下の課題が存在する

-設置スペースなどのファシリティーコストの高止まり

-複雑な構成

-運用管理の課題

-基盤拡張時における費用の課題

-性能拡張の限界

・「コンバージド・インフラ」により上記課題のうち解決するものもあるが「設置スペースなどのファシリティーコスト」「運用管理」「性能拡張の限界」は依然として課題が残る

・3Tier仮想化インフラの課題を解決するソリューションが「ハイパー・コンバージド・インフラ」である

・ハイパー・コンバージド・インフラの大きなメリットは以下の3つである

– 設置スペースの削減

– 運用管理コスト・リスクの削減

– 導入・追加時のリードタイムの削減

 

 

4.ハイパー・コンバージド・インフラの具体的な製品

さて、ここからは具体的な製品をご紹介していきます。

 

<Nutanix>

ハイパー・コンバージド・インフラといえば外せない存在なのがNutanixです。

NutanixはIDCの2014年の調査でマーケットシェア52%を獲得している製品であり、Gartnerの2015年版Magic Quadrantでも「リーダー」のポジションに位置づけられています。製品は全世界ですでに2100社以上に導入されています。

「もっとも優れたITインフラストラクチャーはインビジブル(見えない=意識しなくて良い存在)」というコンセプトで、インフラをあまり意識することなく利用できるように作られています。

また、筐体を拡張していくとパフォーマンスが頭打ちにならずにリニアに伸ばせるという特徴を持っています。

Prismという画面からパフォーマンス情報や稼働状況を確認でき、数クリックでインフラの自動バージョンアップを無停止で実施できます。

ハイパーコンバージド07

さらに、製品としてKVMをベースとしたハイパーバイザー(Acropolis Hypervisor)が搭載されていますので、vSphereを購入しなくても仮想化環境として利用することが可能となります。

アプライアンスのモデルは多数あり、2Uサイズに4ノードが稼働するものや、1ノード/1Uサイズのモデルもあります。GPUを搭載できるモデルもあるので、VDI環境でCADを扱うようなケースにも対応できますし、ALL SSD構成のモデルもあるのでIO負荷が高いアプリケーションにも対応ができます。

お客様が稼働させたいワークロードに応じてモデルを選べるのが非常に良い点です。

 

<Lenovo HXシリーズ>

LenovoからはNutanixソフトウェアをOEMで搭載したアプライアンスが提供されています。

ハードウェアは2Uラックマウント型サーバーである「x3650」がベースとなっており、1筐体あたりのドライブ数によりモデルが3種類あります。

・HX3500:2.5インチSSDを2本+2.5インチHDDを6本のモデル

・HX5500:3.5インチSSDを2本+3.5インチHDDを6本のモデル

・HX7500:2.5インチSSDを4本+2.5インチHDDを20本のモデル

搭載できるCPUやメモリに大きな差はないので、必要なディスク容量に応じてモデルを選ぶこととなります。

ハイパーコンバージド08

 

Lenovo版の良い点は、LenovoOEM版のWindowsやvSphereライセンスを購入すると問い合わせ窓口がLenovoに統一できることです。

現時点ではNutanix純正アプライアンスほどのラインナップはありませんが、ワンストップでの問い合わせ対応というメリットを受けることができます。

 

<HPE Hyper Converged 250 System>

最後に、HPのハイパー・コンバージド・システムです。

まず、HP製品の場合はvSphereまたはHyper-Vの利用が大前提になります。自社製の無償ハイパーバイザーというものはありません。

この環境の導入・設定を自動的に実行してくれる「OneView InstantOn」というソフトウェアがHP製品の肝になります。OneView InstantOnを利用することで、初期パラメーターを入力するだけで仮想化環境のセットアップを自動で実行してくれます。

特にHyper-V版ではSCVMM環境のセットアップを自動で実施してくれるので、単に構築作業を減らすという観点でも利用できるツールです。

vSphere版の管理はvCenterの利用が前提となり、管理クライアント上にハードウェアやストレージの管理用タブが新たに追加され、管理クライアントで統一して日々の運用管理をするというのがコンセプトです。

ハイパーコンバージド09

 

ディスクの冗長性に関してはProLiantシリーズにも搭載されている専用チップを使ったハードウェアRAIDと、StoreVirtual(Software Defined Storage製品)の機能であるNetwork RAIDの2種類の仕組みで保護しています。

サーバーとしては2Uサイズに最大4ノードが稼働できます。

 

5.最後に

ハイパー・コンバージド・インフラとは何なのか、利用することでどんなメリットがあるのか、製品としてどんなものがあるのかをご理解いただけましたでしょうか?

つい先月にはCiscoもハイパー・コンバージド製品に取り組むと発表するなど、このカテゴリの選択肢も増えつつあります。

仮想化インフラが利用できる環境であれば、そのままハイパー・コンバージド・インフラに置き換えることもできてしまうので、私はスピード重視のビジネス環境には適したソリューションであると考えています。

このブログ記事が皆様の力になれたら幸いです。

 

 

<関連記事>

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2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で企業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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