2013年12月

20

実際どうでしょう Vol.12「今更聞けない「進撃のHadoop」の基礎と豆知識」

普段の製品・ソリューション紹介だけでは聞き出せない情報を「実際のところはどうなんだろう?」という素人視点で、専門家に聞いてみるシリーズです。

題して「実際どうでしょう」。。。どうぞ、ご覧ください。

今回は、お二人の方に同時にインタビューさせていただきました。名コンビで実況中継と解説という雰囲気になり、とても沢山の話題を提供して頂きました。

<聞いてみて良かった(*´ω`*) メリひろ担当がエキスパートにインタビュー>

interview_hadoop_banner_fix

プロフィール:日本アイ・ビー・エム株式会社

堀越 啓二 様
・入社以来、研究部門に所属し製品担当になったのは去年の秋
・趣味は5歳から続けているテニス、毎週テニスの試合を楽しんでいる

都築 英夫 様
・身長183cm 、体重秘密。以前より片目の視力が極端に弱かったが、最近、両目とも人工レンズに交換し好調。3Dテレビが見られるようになって嬉しい。
・料理は趣味というより日常。冷蔵庫にある余り物の即興料理が得意。

※ 2013年12月時点でのプロフィールです。

—今日はよろしくお願いします。お二人は同期なのですね。(インタビューアー)

堀 越:そうです。ただ、一緒に仕事をするようになったのは昨年の秋からです。私が研究所からブランド/製品の担当になったのがきっかけです。

都 築:開発研究所ですが、今は研究員もお客様先に行き、接点を持つようにシフトしています。

堀 越:基礎研究の人達は研究に集中していますよね。

都 築:そうですね、とりわけ、特許をとるために研究している人達は別ですよね。日本IBMは実は、特許だけでビジネスになっている企業なのです。

堀 越:あれ、詳しいですね。

都 築:以前、特許ソリューションを担当しておりましてね、えーっと、そのソリューションというのは・・・

堀 越:今日はHadoopがテーマですよね。

—そ、そうなのです、そのソリューションも興味あるのですが、まずは現在も注目されているHadoopについてお聞かせ願いますでしょうか。

都 築:了解しました。基本的な事項は堀越さんにお任せするとして、私は脱線担当ということで(笑)

堀 越:では適時私が振りますのでよろしくお願いします。(笑)

 

今さら聞けない?Hadoopの誕生の背景

 

堀 越:Hadoopは大量のデータを複数に分散して処理できるオープンソースのソフトウェアです。
採用企業は年々増えており、ビッグデータ活用には必要不可欠な存在になっています。

データ量の増加にともなうサーバーの増加をする場合は、プロセス同士の通信の監視や障害時の対応など、共有データ部分の管理が煩雑になります。いわゆるスケールアウトの課題です。

エンジニアにとって、分散処理は効果があるけれど、対応が面倒な存在だったのですが、Googleが先頭にたって開発したのがHadoopというフレームワークです。

そして、ペタバイトベンダーのYahoo!やFacebookなどがそのテクノロジーに注目して採用し、共同で開発して生まれたのが、ApacheプロジェクトのHadoopという訳です。

—元々はGoogleの開発だったのですか、知らなかったです。

都 築:そうです。背景を知ると面白いですよ。そしてHadoopといえば、MapReduce(マップリデュース)とHDFS(エイチ・ディ・エフ・エス)ですねMapとReduceという用語はLISPなどの関数プログラミングから来ていてですね、関数型言語なのですが・・・

堀 越:都築さん、その話になると一般の読者はついていけないかも・・

— 堀越さん、ツッコミありがとうございます。実はすでにメモを取る手がフリーズしておりました。

都 築:あ、失礼しました。暴走したら止めて下さい。それでは何故Googleが開発したかという話にしますね。豆知識です。(笑)

Googleの命は検索エンジンですよね。大量のデータ、当時で数億ページだったWebをクローリングして、ひとつひとつの単語にインデックスを付けるわけです。

ユーザが検索した単語にURLを繋げるというマッピングの作業なのですが、爆発的に増え続けているインターネットのページに対してGoogleは新しいページを数日でインデックスする事ができるのです。これらの基盤をHadoopは支えています。

えー、それでは本筋に戻しましょう。堀越さん、お願いします。(笑)

弱点を克服していくベンダー

堀 越:はい。解説ありがとうございました。それではHadoopの基本的なテクノロジーについて続けます。

hadoop_feature

Hadoop前は複数のマシンをプロセス監視(通信、障害検知)するためには逐一考慮して、プログラムする必要があったため、分散処理は大変だったのです。

Hadoop後は、プログラマーはそれらを気にすることなく分散処理を実装できるのですごく助かります。

都 築:実は、IBMはもっと昔に並列処理としてSP2というマシンがありましたし、DB2にもパラレルエディションというのがあって、分散並列処理で高速化したという点ではHadoopと同じでした。

—世の中に出すのが早すぎたのですね。

 

都 築:そうですね、ネット普及前だったので、それほど大きなデータではなかったという事でしょうか。

堀 越:確かにIBM独自の路線もあったのですが、オープン性をみて、Hadoopを採用したのです。

—先行開発だとすると通常は自社開発にこだわってしまいそうですが、切り捨てる決断も凄いですね。

 

堀 越:次に、Hadoopの構成を説明しましょう。

冒頭に出たMapReduceは処理の分散管理で、HDFSはストレージの管理、複数のマシンをひとつのマシンとして管理できる基本機能です。

とにかく、エンジニアは継ぎ足す度に、設定をかえていたので大変でした。この2つの機能で並列処理の利便性が格段に向上したのです。

interview_sideshot

都 築:この分散ファイルシステムの弱点はシングルポイントフェイラー(システムの冗長化が行なわれていない単一障害ポイント)ですが、全体を管理している人(Mainノード)をIBMは2重化して問題を解決しています。

—プロマネを二人配置するみたいにですね?

 

都 築:そうです、その人が急にいなくなっても大丈夫なように、つまり企業で使えるようにというのを意識しているのです。

堀 越:HDFSの良い点はデータ処理時間の短縮化ですね。そして、データ管理が強みもポイントです。

—Hadoop=大量データ=大企業向けというイメージですが。それだけじゃないということでしょうか。

 

堀 越:そうです、処理時間の短縮という点は色々な企業に適応できます。

夜間バッチでデータの加工、集計処理をしていたのが、昼間、その日に処理が完了したデータを見られるようになるというのは、企業収益の改善と直結します。

データの管理についてですが、RDBでの管理は、データが増えて、DBの表を大きくしていくとスケールアウトの課題にあたるのですが、HadoopはHBase(エイチベース)という分散データベースの仕組みを使っているので、表の追加・修正をする必要がないのです。

— それはいい事だらけではないですか?

堀 越:しかし、万能ではないのです。データのKeyと値で表現する、シングルデータ管理は得意ですが、リレーショナルな複雑なデータ管理は得意ではないのです。ですよね、都築さん。

欲しいデータそこにあるのに、取り出せない「暗黒大陸」

 

都 築:そうですね。やはり、トランザクションではなく、バッチ処理に向いていると言えます。

例えば、支店の売上げデータを締めて、集約して各支店の店長にレポートを出すという業務があったとします。データの量が増えていくけど、朝が来る時間はかわらない。

長くなるバッチ処理に担当者はドキドキしているのです。1日で終わらないケースもありますので、そうなると分析をしている担当は、データ待ちの時間がネックになります。
こういったシーンはよくあります。

ある銀行の分析担当の人は、欲しいデータはそこにあるのに、取り出せないので、「暗黒大陸」と呼んでいました。システム運用の方は対応したくてもバッチ処理や他の業務優先で対応できなかったのです。

—暗黒大陸ですか。(笑)すぐにデータを見たいフロントと様々なタスクをもっているバックエンドの対立というかジレンマは確かにありがちな課題ですね。

都 築:大量のデータを高速で処理できるというのはすごくメリットがあるのは、みんな知っていましたが、昔はサマリーデータ、つまり、1ヶ月分のデータをまとめて・・という業務が多かったのです。

堀 越:現在のように1週間でビジネスが変わってしまう時代では、それでは間に合わないですよね。

都 築:実は日本では昔からビジネスにおけるデータ把握はタイムリーに出来ていたので「あ、奥さん今日はそろそろおでんじゃないですか?いい大根あるよ」という商売ができていました。

しかし、マーケットの拡大や全国展開の大企業になると、データ集約が間に合わないので、粒度が荒くなっていきました。セグメント化してバルク(まとめて)でやらざるを得なかったのです。

ちょうど【顧客から「個」客へ】というのがIBMのスマーターマーケティングのスローガンになっていますね。

—そのテーマでもお話を伺いたいのですが、時間に限りがあるので、ぐっと我慢して、次のトピックスへお願いします。

 

interview_2shot

 

技術者からみたら怖くて採用できなかった?

 

堀 越:では次にHadoopのオープンソースに対してベンダーが取り組んだことを話しますね。

HDFSでストレージ管理というのは新しく生まれた技術だったこともあり、本来ストレージとしてあるべき機能、例えばアーカイブ、スナップショットなどをサポートされていませんでした。

HDFS内のネームノードの高可用性がネックだったので、企業のインフラ管理者から見たら、対障害性という点で問題がありました。

都 築:もう、悪夢だよね。障害対応を考えると夜も眠れません。

堀 越:そう、技術者からみたら怖くて採用できないのです。(笑)

その対策を各ベンダーが出していきました。
HDFSの単一障害点の課題解決をはかったストレージベンダーなどです。

都 築:HadoopはSNSを駆使している企業にユーザが多いのですが、そのユーザはコンプライアンスをあまり気にされない場合があります。あ、言い方悪いですね。新しいサービスを立ち上げるスピード優先という意味です。

そもそもHadoopにはロックダウンする仕組みがなかった。
サービスの継続提供と共にセキュリティの強化というコンプラの順守を各ベンダーも考慮したのです。

堀 越:あとは、Hadoopは物理サーバー上のクラスターで処理しているのですが、Hadoop用の物理インフラを別途管理する必要があります。
サーバーの仮想化、統合化が進んでいるのに独立して物理サーバーを用意するのは面倒です。Hadoop用、BI用、ローカルストレージなど個別にサーバーを立てていくのは非効率なのです。

そこで、現在はApacheのクラスターをサーバー仮想上の上で動かすプロジェクトを進めています。
各ベンダーはインフラの観点でビッグデータの活用にどのようなアプローチをするのかがKeyになっていますからね。

都 築:Googleの仕組みって実は一般企業には足りないところが色々あるのです。あ、語弊がありますかね。
ただ、これは悪いことではなくて、Googleは自らのサービスで必要なところに特化しただけなのです。

この潔さが良いところなのです。ところがジェネラルパーパスとして一般企業でも安心して使えるようにするとGoogleが捨てたところをフォローするなどの配慮が必要です。

しかも、スピードを犠牲にしないで改善してきたMapReduce機能について、IBMはものすごく改良して、早さを生かしたファイルシステムにしています。

オープンソースは新しい技術をどんどん出すというところにフォーカスされていてそれが推進力になっているのですが、IBMは企業のお客様が必要なところも大事にしています。

hadoop_ibm

ビジネスで言えば、管理の大変さ、コンポーネントが増えれば、管理のポイントが増えるので運用コストが増えていく一方だったのです。あるお客様はサーバーを増やすという運用の困難さが採用の懸念点になるわけです。

堀 越:そこでアプライアンスというのがひとつの答えなのですね。

都 築:そうです、そうです。冷蔵庫を提供する感じです。配置して、電源を入れて、温度調整のつまみをガチャガチャっと回して、ハイ使えますという感じです。

堀 越:今の冷蔵庫はつまみではないでしょうけどね。(笑)

都 築:そうですね。(笑)
その他にも開発支援ツールを出したりと、Hadoop関連では、周辺製品がどんどん出てきて、名前も”Pig”だったりして、動物園みたいになっています。

堀 越:しかも放し飼いね。

—Hadoopのロゴは黄色い象ですよね。それにしても放し飼いですか(笑)

 

都 築:そうです、もうね、象の周りに沢山の動物が放し飼いで・・・そこでZooKeeperを出して、全体を管理できるようにしています。

—その飼育員ですが、それは洒落ではなくて、プログラム名ですか?

都 築:はい。ZookeeperはApache Hadoopのサブプロジェクトです。設定情報の集中管理のサービスを提供するソフトウェアですね。

そのようなツールが必要なくらい、実は、普通にHadoopを入れようとすると大変なのです。

相性とかバージョンが合わないといったのはオープンソースでは良くある課題です。先端を追いかける人はそれでもいいのかもしれないが、一般企業ではそれでは不安です。

今は新しいシステムを導入するときはスタンドアローンということはなくて、必ず他のシステム経由のデータ連携がありますからデータアダプタを使ったりと様々な設定が必要なのです。

— それら煩雑な設定をまとめてくれるKeeperがいるということですね。

堀 越:そして、その分、値段も上がっていくこともある・・・(笑)

表に出てこない採用コストを削減するために

都 築:そこですね、沢山の周辺ツールやオプションがあるのはユーザの利便性向上にとって好ましいですし、必要なオプションを選択していけばいいという考えがあります。

しかし、パーツにわけたりするとお客様の 、予算、稟議プロセスも大変複雑になるのです。 この事務プロセスはコストなのです。

IBMが取り扱う製品だと何万パーツになる訳ですが、これでは事務プロセスが増えるだけです。

パーツを分けるのは個人ではメリットかもしれないが、企業だとコストになることが多いです。

—その観点はあまり聞いたことないです。確かに日本企業の予算獲得や稟議プロセスを考えるとお客様の担当者は次フェーズも含めて、まとめて予算申請しておきたいという要求はよくありますよね。

 

都 築:そうです。初期コストというのは分かりやすいですし、目立ちますが、運用コスト、障害時の対応コストに加えて、導入する際の検討、採用コストも考慮すべきです。

—決してベンダー都合ではなく、お客様が選択、採用しやすい仕組みを設けるのもベンダーの役割ですね。

都 築:はい、あとベンダーの役割としては、こういった新しい技術を知ってもらうための活動に力を入れるというのも大事です。

近年は一方的なメッセージや囲い込みではなく、オープンコミュニティにお客様も参加してもらい、認知してもらっています。

オープンコミュニティはお客様とベンダーの窓口として大事です。あ、またHadoopから離れちゃいましたね。

いつ採用すればいいのか?

 

堀 越:それではスタジオに戻します。(笑)
なぜ、Hadoopなのか、いつ使うのか?という話をします。

都 築:「今でしょ!」 でいいですか? 年間大賞としても旬ですから、今のうちに使っておきましょう。

(一同 笑い)

interview_warai

堀 越:そうですね、今ですね。

何故ならば、過去において、企業は社内データの活用でよかったのですが、グローバルな競争に勝ち、ビジネスチャンス拡大にはマシンデータやSNSなどの外部データを積極的に取り込んでいくという綿密な情報戦略が必要です。その中ではHadoopは必然な存在です。

オープンソース+付加価値の製品が出てきているので、企業戦略として採用しやすくなっています。

こういったツールを活用してビッグデータへのベストとプラクティスを作るのが(MERITひろば運営会社の)NI+Cさんやシステムインテグレータ様 の力の見せ所なのです!

—あ、ありがとうございます。「最後のひとこと」のようですね。

 

都 築:締め括りに入らなければならないところをまた脱線します。(笑)

データ活用という意味では、データ・ソースというキーワードが大事です。

10月7日に開催されたIBM Think Forum Japan 2013で、ロメッティ(IBMのジニー・ロメッティCEO)がパナソニックの津賀一宏社長とパネルディスカッションをしていた時の話です。

パナソニックのカスタマーサポートでは一日に1万件の電話がくるらしいです。
これを分析すれば新しい製品のヒントがあるだろうと思って分析したら新しいアイデアは出てこなかったそうです。

そこで気がついたのは新製品開発には内部だけではなく、外部の人の声、つまり現在お客様では無い人の声を聞くのも大事だということです。

そこでSNSデータの有効活用に発展していくのです。
—なるほど。実際にやってみないと分からないことも多いですよね。脱線ついでですが、ビッグデータという意味ではマシンデータ、とりわけセンサーデータの活用について興味があります。 以前、データサイエンティストの中林さんにインタビューした時に、センサーデータの活用はこれから発展してく領域だと伺いました。

 

堀 越:国内大手重機メーカーは重機が地球の裏側で故障しても、アラートがあがって迅速にメンテパーツを送ることができるなどは有名な事例ですね。違うパーツを差すとエラーも出るすぐれものです。

都 築:確かに、アフターパーツの補完、管理はメーカーにとってコストなのです。

堀 越:さらに、故障前にアラートあげるという仕組みも進んでいます。

—SPSSも品質保全管理のソリューションとして出ていますね。あ、更に脱線しますね。

 

都 築:はい、MDA(Machine Data Analytics)は興味深いソリューションですよ。統計の世界ではオーバーフィッティングの問題があります。
データマイニングの世界では点をつなぐ重回帰の考えですが・・・(以下、ページの都合上省略。ご了承下さい。)

よし、SPSSの話は次の機会にしましょう(笑)

とにかく、現在、製造業においてアフターマーケットがアツいです。ここは日本企業が強いです。

—それでは、そろそろまとめをお願いします。

 

堀 越:Hadoopが必須技術なのは先ほど申し上げたとおりですが、それ以外にも技術の進歩は速いです。

使う側のユーザも進歩しなければ使いこなせないのですが、使う側が強い意思、意図をもっていなければならないと思います。我々はそれを支援するのです。

都 築:例えば我々(IBM)が、万年筆を製造する立場だとするとインク補填もいらないくらい、ずっとスラスラ書ける最高の万年筆を作ります。
周辺として専用の紙もあってインクもにじみません・・・という製品を売っていますが、「では直木賞はどうやってとるのですか?」とお客様に聞かれても我々は答えを持っていません。
そこはお客様の経営判断なのです。

—お二人ともありがとうございます。堀越さんにはきっちりと基礎を教えていただき、そこから都築さんが動物園から万年筆まで色々な例えをしてくださり、とてもためになって楽しいインタビューでした。

bi_starter_banner

その他の記事

2025年11月10日

【早わかり】ILMT導入前の注意点

更新日:2025-11-10 公開日:2023-05-23 *  *  *  *  *  * こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの原田です。 IBMソフトウェア(Passport Advantage:以下 PA)ライセンス管理ツールである IBM License Metric Tool(以下 ILMT)を導入するにあたり、ILMT の具体的な構成と導入前の注意事項についてご説明いたします。 ILMT の必要性や基本的な利用ルールついては「【早わかり】仮想化環境でIBMソフトウェアを利用するには」で解説していますので、ぜひご覧ください。 目次 はじめに ILMT9.2管理サーバーの導入タイプ ILMT9.2でサポートされるオペレーティング・システム ILMTサーバー構成に関するよくある質問 さいごに お問い合わせ はじめに ILMT でのライセンス管理にあたっては、ILMT管理サーバーを用意し、ライセンス管理を必要とするサーバーに対して ILMTエージェントを導入する必要があります。 パスポートアドバンテージ契約が必要 ILMT は無償のツールですが、製品のダウンロードや技術サポート受けるにはパスポート・アドバンテージのご契約が必要です。このため、ゼロ円のライセンスの発注が必要な点にご注意ください。 ご契約が締結されていない場合は、製品のダウンロードや技術サポートを受けることができません。また、翌年以降もソフトウェア・サブスクリプション&サポート(以下 SS&S)をゼロ円で注文する必要があります。(※SS&S契約がないとバージョンアップができないため) ILMT管理サーバーは専用サーバー(区画)への導入が前提 ILMT は専用のサーバー機または仮想サーバーにインストールすることが前提とされています。 他のアプリケーションと共存させた場合、リソースやポートの競合が発生する可能性が考えられます。運用開始後に想定外の問題が発生することを避けるためにも、ILMTサーバー用に専用のサーバー機、または仮想サーバーをご用意ください。 ILMTは常に最新のバージョンをご利用ください サブキャパシティ・ライセンスのご契約条件上、ILMT は常に最新のバージョンをご利用いただくことが前提です。 最新バージョンをご利用でない場合は規約違反となり、監査上お客様に不利益が生じる可能性がありますのでご注意ください。 また、最新バージョンには様々な修正が含まれているため、問題の発生を事前に抑制するためにもバージョンアップをご実施ください。 現時点での ILMT最新バージョンは9.2となっています。9.2リリース後も「License Metric Tool -新機能-」(IBMサイト)に記載の通り随時修正がリリースされるため、常に最新化する必要があります。 ILMT9.2管理サーバーの導入タイプ ILMT の現時点最新バージョンは9.2です。ILMT 9.2 における管理サーバーの導入タイプとしては、以下の3種類が用意されています。 License Metric Tool Lite Ansibleを使用したLicense Metric Tool BigFixを使用したLicense Metric Tool 上記のうち1と2については、エージェント側で収集した情報を手動でサーバーに渡す仕組みを検討する必要があるため弊社では「3」のタイプでの導入を推奨しており、今回は「3」のパターンで ILMT管理サーバーを構成する場合についてご説明します。 各導入タイプの詳細については「License Metric Tool -インストール-」(IBMサイト)の資料をご参照ください。 BigFixを使用したLicense Metric Toolの構成概要図 以下図の通り、サブキャパシティー・ライセンス対象のシステム上に導入する BigFixクライアントにて収集したデータを ILMT/BigFixサーバーにアップロードし、ILMTサーバーにて監査レポートを作成します。 BigFixサーバーから最新のソフトウェアカタログを入手するため、インターネット接続が必要です(直接インターネットに接続できない構成の場合はAir-Gapped構成も可能) BigFix は HCL社の製品ですが、ILMT で利用する BigFix については IBMサポートの対象となります ILMT9.2でサポートされるオペレーティング システム 次に、「IBM License Metric Tool」(IBMサイト)を元に、ILMT を導入するサーバーのオペレーティング・システムの前提を確認する必要があります。 [確認手順] 1) 表示される画面で最新バージョン・リリースを選択してください。 2) 次に表示される画面で「Operating Systems」を選択してください。 3) 次に表示される画面で現在サポートされているOS・バージョンをご確認いただけます。 ILMT管理サーバーとエージェントを導入するサーバーでは、サポートされるオペレーティング・システムが異なりますのでご注意ください。 弊社では、LESサーバーを利用した ILMT管理サーバーのサンプル構成(現在は以下に記載の4パターン)を準備しています。 Windows構成 RHEL構成 特徴 1台のマシンにILMTサーバー、BigFixサーバー、BigFixコンソールを同居させる構成 1台のマシンにILMTサーバー、BigFixサーバーを同居させる構成 BigFixコンソール 別途用意は不要 別途PC等で用意が必要(Windowsのみサポート) ILMT管理サーバーのOS Microsoft Windows Serve Red Hat Enterprise Linux(RHEL) データベース MS SQL Server Standard Edition(コアライセンスモデル) Db2(ILMTサーバーライセンスとともに無償提供) 主なHWスペック、オプション モデル:SR250 V3 3年保証CTOモデル CPU:「エンドポイント 最大1,000」パターン:4コア    「エンドポイント 1K~5K」パターン:6コア メモリ:16GB 内蔵ディスク:600GB 10K SAS HDD x 3(RAID1+ホットスペア) 1GbE NIC:オンボード2ポート + 4ポートアダプター x 1 その他:外付けDVD-RW、200V電源コード 保守:5年24x7、メディアお渡しオプション、Value Selection ILMTサーバー構成に関するよくある質問 Windows構成の場合、データベースとして MS SQL Server Expressは利用できますか? IBM License Metric Tool と BigFix を同一コンピューターに導入するオールインワン構成の場合、SQL Server Express はご利用いただけません。また、BigFix は本番環境での SQL Server Express のご利用はサポートされておりません。従いまして、Windows にて IBM License Metric Tool を構築する場合は、有償版の SQL Server が必要となります。 RHEL構成の場合、データベースとして別途Db2ライセンスの購入が必要でしょうか? いいえ。Db2ライセンスはILMTライセンスとともに無償で提供されるため、別途購入は不要です。 RHEL構成の場合、BigFixコンソールは別途必要でしょうか? はい。BigFixコンソールは Windows のみがサポートされるため、別途PC等で BigFixコンソールをご用意いただく必要があります。「オプション A: Linux へのオールインワン・インストール(BigFixシナリオ)」もご参照ください。 さいごに 昨今のシステムでは仮想化やコンテナ化は当たり前になり、仮想化環境やコンテナ環境におけるソフトウェア製品のライセンス管理は必要不可欠となっています。コンテナ環境で IBM PAライセンスをご利用される場合には「IBM Container Licenses」(IBMサイト)をご確認ください。 IBMソフトウェア製品のライセンス管理ツールとして ILMT はおなじみの製品となりましたが、ILMT を取り巻く環境や制度は時代の流れと共に変化しています。ぜひ正しい理解のもとでご利用いただきますようお願いいたします。 また、IBM PAライセンスを管理するツールとして「Flexera One with IBM Observability」という SaaS製品もございます。弊社での導入検証結果を「【やってみた】IT資産管理ソリューション「Flexera One with IBM Observability」を使ってみる -Part1-」でご紹介していすので、ぜひご覧ください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2025年11月05日

クラウド環境のインフラストラクチャ自動化にIaCツール「IBM Terraform」が活用される理由

公開日:2025-11-04 企業の中で、さまざまなシステムが存在する今、環境が変わっても、システムが同じ動きをしなければ、開発者の負担となるだけでなく、ユーザーからのクレームを招くことにもなります。 特に、大量のリクエストを捌くためのシステムでは、コンテナを活用してサーバー台数を自動で増減させるような仕組みが必要です。 そこで今、企業に求められているものが、インフラストラクチャの効率的な管理を実現する自動化です。 本コラムでは、インフラストラクチャの自動化において注目されている、「コードとしてのインフラストラクチャ : Infrastructure as Code(IaC)」の活用メリットと、今、世界のクラウド環境でもっとも多く利用されているIaC ツール「Terraform」をご紹介します。 目次 規模と複雑さが増大し続けるITインフラストラクチャに対して、企業に求められる課題 ITインフラストラクチャの自動化が必要な理由 「Infrastructure as Code(IaC)」による自動化のメリット クラウド環境でもっとも利用されている IaC ツール「Terraform」 Terraformが選ばれる理由 TerraformとAnsibleの連携で実現するエンドツーエンドのハイブリッド・クラウド・プラットフォーム まとめ お問い合わせ 規模と複雑さが増大し続けるITインフラストラクチャに対して、企業に求められる課題 多くの企業が、1日に何百ものアプリケーションを本番環境にデプロイしています。そこでは常に、ITインフラストラクチャが要求に応じて立ち上げられ、あるいは削減され、その規模は頻繁に拡大や縮小が行われています。そのため、ITインフラストラクチャを安全かつ効率的に、構築、変更、バージョン管理することが、企業が提供するビジネスの品質・スピード・競争力を左右する最も重要な要素となりました。 しかし、企業や組織のITインフラストラクチャの規模と複雑さが増大する一方で、時間やスタッフの数には限りがあり、ITチームは従来の手法ではこの拡大に対応するのが精一杯となっています。その結果、システムの更新やパッチの適用、リソースの提供に遅れが生じ始めている状況です。 そこで今、企業が急ぎ導入を進めているのが、「ITインフラストラクチャの自動化」です。 ITインフラストラクチャの自動化によって、プロビジョニング、構成、デプロイ、撤去などの一般的な管理タスクを含む幅広い運用を単純化できるほか、ITインフラストラクチャに対する制御力や可視性を取り戻すことが可能となります。 そのため、企業においてITインフラストラクチャの自動化は、コストを管理し、リスクを低減し、新たなビジネスチャンスや競争上の脅威に迅速に対応するためには不可欠な施策となっています。 ITインフラストラクチャの自動化が必要な理由 ITインフラストラクチャの自動化の必要性には、具体的に次のようなものが挙げられます。 マルチクラウドやハイブリッドクラウドの活用 マルチクラウドやハイブリッドクラウドの活用している場合、ITインフラストラクチャの管理において、多種多様な複数クラウドを管理するだけでなく、マルチクラウド間でのリソース移行や追加が求められます。また、クラウドネイティブアーキテクチャの採用においては、Kubernetesやサーバレスリソースのプロビジョニングなど、柔軟なリソース展開とスケーリングにも対応しなければなりません。 コンプライアンスとセキュリティへの対応 ITインフラストラクチャの管理において、コンプライアンスとセキュリティに対応するためには、変更履歴のトレーサビリティを確保しつつ、セキュリティ要件と一貫性のある構成変更を行うことが重要となります。また、リソースコストの最適化を図るだけでなく、複数リージョンの管理と迅速な障害復旧によるグローバルな運用と展開を実現することも必要です。 クラウドコストの削減 クラウドに対する企業のコストは年々増加しており、クラウドコストの削減も大きな懸念事項となっています。 正しいクラウドのライフサイクル管理を行えば回避可能なインフラストラクチャ関連コストとしては、 ワークロードに対するリソースのオーバー・プロビジョニング 未使用または十分に活用されていない開発/テスト用環境などのリソース 標準化された共有サービス不足による専門知識、一貫したワークフロー、引き継ぎ不足 環境削除のための有効期限未設定による一時的なクラウドリソースの稼働継続 などがありますが、これらの無駄なクラウドコストを削減するためには、初期プロビジョニングだけでなく、ライフサイクル全体の管理が必要です。 「Infrastructure as Code(IaC)」による自動化のメリット ITインフラストラクチャの自動化において、多くの企業から注目されているのが、インフラストラクチャをコードベースで管理・自動化できる「Infrastructure as Code(IaC)」です。 IaC は、サーバーやネットワークといったITインフラストラクチャの構成と管理に、手動プロセスではなく、高レベルの記述モデルで記述的なコーディング言語(プログラム)を用いる手法です。ネットワーク、仮想マシン、ロード・バランサー、クラスター、サービス、および接続トポロジーなど、組織のITインフラストラクチャの管理およびプロビジョニングを自動化することで、リスクとコストを抑えながら、より迅速なクラウド・アプリケーションの開発・導入・拡張を可能にします。 また IaC は、ソフトウェア・デリバリー・ライフサイクルに欠かせない DevOps において、競争力のあるペースを生み出すための必須の手法でもあります。DevOpsチームは IaC を活用することで、ソースコードのバージョン管理を行うのと同じ感覚でインフラストラクチャを迅速に作成し、バージョンを管理し、バージョンを追跡することで、デプロイ時にIT環境間の不整合による深刻な問題を引き起こす可能性を回避することができます。 その結果、IaC を活用することで、ソフトウェア・アプリケーションの開発、テスト、またはデプロイのたびに、サーバー、オペレーティング・システム、データベース接続、ストレージなどのインフラストラクチャを手動でプロビジョニングおよび管理する必要がなくなることから、 (1)オートメーションによる構成の編集、共有、再利用の高速化 (2)ITインフラストラクチャ管理の信頼性向上 (3)意図しない設定変更や設定ミスによる構成の差異による構成ドリフトの防止 (4)実験・テスト・最適化をサポートし新しいインフラストラクチャを迅速にスケールアップ を実現し、クラウド・アプリケーションの開発・展開・拡張の迅速化とともに、リスクの軽減とコストの削減への効果が期待できます。 クラウド環境でもっとも利用されている IaC ツール「Terraform」 IaC ツールは数多くありますが、AWSやGoogle Cloud 環境において、それぞれのクラウドベンダーが提供するネイティブな IaC ツールよりも多くの企業に採用されている IaC ツールが「Terraform」です。Terraformは、クラウドインフラのプロビジョニングで業界標準ツールとして、デファクトスタンダートの位置付けにあります。 Terraformは、クラウドネイティブな環境におけるインフラ運用の自動化を実現するソフトウェアです。宣言型のプロビジョニングおよびインフラストラクチャ・オーケストレーションにも対応しており、大規模なシステムやマルチクラウド環境において特に高い効果を発揮し、インフラ管理の効率化と安定化に大きく貢献します。また、インフラの設定をコードで記述し、それを基にインフラを構築・管理することで、手作業による人為的な設定ミスを減らし、環境の再現性を高めることができます。 さらに、AWS、Azure、Google Cloud Platformなど、複数の主要なクラウド・プロバイダーに対応しており、プロビジョニング対象のリソースが豊富であることもTerraformの大きな特徴で、クラウドサービスの対応数は300以上に登ります。そのため、物理的なサーバーや DNSサーバー、複数のプロバイダーのリソースを同時に構築する自動化が可能です。さらに、様々な言語で書かれたアプリケーションを提供することができます。 これにより、企業のクラウドベース、オンプレミスを問わず、すべてのインフラストラクチャの全側面のプロビジョニングを自動化し、クラウド環境やオンプレミス環境のインフラを効率的に管理します。また、クラウド環境で調達するサーバーの構成についても、「どのクラウドサービスで」「どのようなスペックを持つ仮想サーバーやリソースを使うか」といった指定をコードで記述することで、各クラウドのITリソースを調達し、需要に応じてリソースを割り当てるなど、効率的なシステムやサービスの運用を可能にします。 Terraformが選ばれる理由 Terraformが企業に選ばれる理由には、次のようなものが挙げられます。 プラットフォームにとらわれない 他のほとんどのIaCツールは、単一のクラウド・プロバイダーで動作するように設計されていますが、Terraformは、プラットフォームにとらわれず、任意のクラウド・サービス・プロバイダーで利用することが可能です。 イミュータブル・インフラストラクチャ Terraformは、「イミュータブル・インフラストラクチャ」の思想に基づき設計されています。これは、一度構築したサーバーやコンテナなどのインフラに直接変更を加えず、変更が必要になった場合、新しいインフラを構築して入れ替える運用思想です。これにより、構成のずれ(環境差分)を防ぎ、システムの安定性を高め、セキュリティリスクを低減し、運用効率を向上させます。環境を変更するたびに、現在の構成は変更を考慮した新しい構成に置き換えられ、インフラストラクチャが再プロビジョニングされるため、以前の構成をバージョンとして保持したまま、意図しない設定変更や設定ミスによる構成の差異による構成ドリフトを防止し、必要あるいは要望に応じてロールバックを可能にします。 マルチクラウドやハイブリッドクラウドの活用マルチクラウドやハイブリッドクラウドの活用 Terraformが提供するのは、複数クラウドを管理できる統一的なフレームワークです。そのため、マルチクラウド間でのリソース移行や追加が簡易なだけでなく、多種多様なクラウドへの対応を可能にして、クラウド・アプリケーションの開発・展開・拡張を迅速化します。 クラウドネイティブアーキテクチャの採用とクラウドコストの最適化 クラウドネイティブアーキテクチャを採用しているTerraformは、Kubernetesやサーバレスリソースのプロビジョニングに対応しています。そのため、柔軟なリソース展開とスケーリングを簡単に実現することが可能です。また、動的なリソースプロビジョニングと削除を自動化し、コスト分析ツールとのタグ統合でリソースコストを可視化することで、無駄なクラウドを精査してクラウドコストを最適化します。 コンプライアンスとセキュリティ対応に基づくグローバルな運用・展開 Terraformは、変更履歴のトレーサビリティを確保し、ポリシー管理ツールでセキュリティ要件を自動化することで、一貫性のある構成変更と自動化のコンプライアンスとセキュリティ対応を可能にします。このコンプライアンスとセキュリティ対応を担保したままモジュール化されたコードで、グローバルに展開することも可能で、複数リージョンの管理を自動化し、迅速な障害復旧も実現して、より信頼性のあるITインフラストラクチャ管理が可能になります。 TerraformとAnsibleの連携で実現するエンドツーエンドのハイブリッド・クラウド・プラットフォーム IBMは、Terraformを開発した HashiCorp社を2025年2月に買収しました。この買収を通じてIBMは、ハイブリッドクラウドとマルチクラウド環境におけるエンドツーエンドの自動化機能の提供と、AI時代に対応するお客様の複雑なITシステムの管理を支援することを目指しています。 その中でも特に、ハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーションのプロビジョニングと構成の簡素化に大きく貢献するものとして期待されているのが、ITインフラのプロビジョニングとライフサイクル管理を自動化する「Terraform」と、オーケストレーションおよび構成管理を得意とする「Ansible」の組み合わせです。 IBMのHashiCorpの買収は、そのシナジー効果を見込んだものでもあります。 Ansibleは、IBM傘下のRedHatが開発するプロビジョニング、構成管理、およびアプリケーションのデプロイメントを自動化することを目的としたIaC ツールです。シンプルでエージェントレスなアーキテクチャを採用しており、IT運用の効率化やDevOpsの実践を支援することから、Docker コンテナや Kubernetes のデプロイメントのプロビジョニングを自動化するために多くの企業に選ばれています。 ここで重要なのは、同じIaC ツールでありながら、TerraformとAnsibleでは得意な領域が違うことです。そして、両製品は競合させるのではなく、連携させることで効果が大きくなります。 Terraformが、特定のインフラベンダに依存せず、さまざまなクラウドインフラのプロビジョニング情報のIaC (による自動化を実現する)ツールであるに対して、Ansibleは、インフラ上のOSやミドルウェアの構成管理で業界標準の位置付けであり、豊富なミドルウェアの自動構成・設定機能で、ITインフラの構成管理やアプリケーションデプロイメントを自動化します。 「インフラ層の構成管理」を得意とするTerraformと、「OS・ミドルウェア層の構成管理」を得意とするAnsibleは、それぞれ異なるプロビジョニングレイヤを担っており、対象となるリソースのライフサイクルも異なります。そのため、双方を効果的に使い分けることで、IaCの効果を最大化することができるのです。 図版-1「インフラ層の構成管理」を得意とする Terraformと「OS・ミドルウェア層の構成管理」を得意とするAnsibleの最適な組み合わせ まとめ NI+C Pは、IBM ソフトウェア(SW)とハードウェア(HW)の認定ディストリビューターとして、Terraform をはじめとするIBM のIaC製品において豊富な取扱い実績を有しています。 Terraform については、Ansibleとの連携だけでなく、「Cloudability 」や「Turbonomic」などのIBMの他製品との連携についても、お客様のニーズや要件に合わせて、IBM の SW と HW を組み合わせた最適な提案やカスタマイズの支援、 IBM 製品の特徴や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案をサポートいたします。 インフラ環境の複雑化とともに、さらなるニーズの高まりを見せているIaCの活用および Terraform の導入について、弊社の技術支援チームによるスキルイネーブルメント(座学勉強会や技術者認定試験の取得支援、ご提案サポート)、 また、Terraform を絡めたIaC製品セールスのサポートへのご要望があれば、いつでもお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2025年10月29日

水冷サーバーの違いとは?(レノボの水冷サーバー#2)

公開日:2025-10-29 こんにちは。ソリューション企画部 柳澤です。 前回レノボの水冷サーバーについてのブログを書かせていただき、いろいろなお客様にブログを読んでいただきました。 前回の記事はこちら 昨今、お客様ご自身の身の回りでもChatGPTの普及などでAIについて皆様も身近に感じてこられるようになってきたかと思います。 今後はさらにAI、機械学習、HPCの台頭による計算能力の劇的な向上が見込まれます。 それに伴う発熱量の増加で、従来の空冷システムの限界により水冷技術への注目度が高まっています。 レノボの水冷と聞いて、レノボが今年初めて水冷サーバーを発表したのでは?と思うお客様もいらっしゃるかもしれません。しかし、レノボの水冷は2012年に発表された製品であり、その導入事例も世界に多数あります。 弊社としましては、レノボの水冷サーバーについてラインナップの多さ、その歴史と導入事例の多さから、今後のAIやHPCの需要が高まる時代を取り巻く中で皆様にぜひご提案させていただきたく、今回もレノボの水冷サーバーにテーマを絞ってブログを掲載させていただきたいと思います。 では早速ですが、前回お伝えできなかった部分もふくめて、下記にてさらにレノボの水冷サーバーについて、ご紹介させていただきます。 目次 レノボの水冷サーバーの歴史と導入事例 Lenovo Neptune®とは レノボの水冷サーバーと他メーカーの違いとは レノボの水冷サーバーの問題解決対策について 関連情報 お問い合わせ レノボの水冷サーバーの歴史と導入事例 前述のとおり、レノボの水冷サーバーは発表されてからすでに12年以上経っており、水冷サーバーについては業界をリードする存在です。 導入事例も多数あり、下記の導入事例を含め、世界トップ10のパブリッククラウドプロバイダーで8社を支えるインフラとなっています。各国の研究機関や、企業でも導入が進んでおり、スーパーコンピューターから小規模な拠点まで採用されており、日本でも今後採用が進むことと思われます また以前は空冷サーバーにくらべて10〜20%の追加コストが発生していましたが、これまでの空冷サーバーとの部品共通化でコストの違いはそこまで大きなものにならなくなってきています。 Lenovo Neptune®とは 「Lenovo Neptune®」はLenovoが展開する水冷技術ブランドであり、以下の3つの技術カテゴリで構成されています。 Neptune® :システム全体の温水冷却により温水再利用を実現 Neptune® Core :コンポーネントレベル冷却(CPU、GPU、メモリ)により通気要件を削減 Neptune® Air :空冷ベースシステムでの液体補助冷却 本稿で取り上げるのはこのうちの「Neptune®」の直接液体冷却構成となります。サーバー筐体からラック全体に至るまで、純水を用いた直接水冷(DWC)によって冷却を最適化。空冷ファンを排除し、最大40%の電力削減と100%の熱除去を実現します。AI・HPC用途に最適化された設計で、静音性・省スペース・環境対応の面でも優れています。 導入事例から見るNeptune®の実力 DreamWorks AnimationNeptune®導入により、レンダリング性能20%向上、電力コスト削減を達成。MoonRayレンダラーやArrasクラウド計算システムの性能を最大限に引き出している。事例詳細 韓国気象庁(KMA)8000台のNeptune®搭載サーバーで、気象予測の高速化と省エネを実現。SD650 V2およびSD530サーバーを活用し、精度の高い気象モデルを運用。事例詳細 ハーバード大学同じスペースで従来の4倍の計算性能を実現。Neptune®による完全ファンレス運用で、研究成果の加速に貢献。事例詳細 レノボの水冷サーバーと他メーカーの違いとは 前回の記事でもふれましたが、水冷にはレノボや多くのIAサーバーメーカーが採用している直接液冷と、専用メーカーが採用している液浸冷却などいくつかの方式があります。 直接液冷は発熱源に直接アプローチすることで効率的な冷却と省電力・静音性を実現します。液浸冷却はサーバー全体を冷却液に浸すことで非常に高い冷却能力と省エネ性能、高密度化を可能にしますが、設備投資が高額というデメリットもあります。 では直接液冷のレノボのNeptuneと直接液体冷却方式を採用しているメーカーとの比較とレノボの優位性がある部分はどうなっているのでしょうか。 主な違いは下図のようになっています。 直接液体冷却方式のレノボと他メーカーとの違い レノボの水冷サーバーの問題解決対策について 水冷サーバーというと液体を扱うサーバーゆえにこぼれたり、漏れたりするのではないか、とおっしゃるお客様もいらっしゃいます。 そのための対策もレノボでは下の表のように対策されています。 いやいや、でもAI×水冷サーバーといったってよくわからないし、というお客様にはレノボさんでAIディスカバリーワークショップもやっていただけます。 ワークショップ→POC→アセスメント→本番環境導入という流れで実施となりますので、ご提案や、ご不明な点などございましたら、ぜひ弊社へお問い合わせいただければと思います。 関連情報 Lenovo サーバー/ストレージ 製品 【参加レポート】Lenovo TechDay @ Interop Tokyo 2025 レノボのファンレス常温水冷サーバーって? 第6世代のLenovo Neptune液体冷却が AI 時代を牽引(Lenovoサイト) 【AI電力消費40%削減事例も】レノボの「直接水冷」Lenovo Neptune™(YouTube) お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2025年10月22日

今こそ着手すべきセキュリティ対策:サイバーレジリエンス法(CRA)とSBOMの関係

公開日:2025-10-22 目次 はじめに:CRAとSBOMがもたらす変革 CRAが企業に課す義務とタイムライン SBOMの必要性・重要性:CRA対応を超えて CRAとSBOMの具体的な関係 SBOM生成・活用ツールのご紹介 まとめ:SBOMはCRA準拠と持続的な品質維持の鍵 お問い合わせ はじめに:CRAとSBOMがもたらす変革 「サイバーレジリエンス法(CRA)」は、EU市場で流通する「デジタル要素を持つ製品」(ハードウェア、ソフトウェア、IoTデバイスなど)のセキュリティ水準向上を目指し、EUが策定した新たな規制です。この法規制への対応において、中核的な役割を果たすのが「SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)」です。 SBOMは、CRA対応に不可欠な構成要素であると同時に、本来ソフトウェアの脆弱性管理やセキュリティ維持を実現するための根本的な情報基盤です。CRAの有無にかかわらず、自社製品の安全性と品質管理の観点から、その導入は急務と言えます。 本記事では、CRA対応に求められるSBOMの具体的な要件と、それが企業のセキュリティにもたらす本質的な貢献についてご説明いたします。 CRAが企業に課す義務とタイムライン CRAは、製品開発の設計段階(Secure by Design)からのセキュリティ考慮を徹底し、製品提供後の脆弱性管理までを一連の義務として企業に課します。主な要件は以下のとおりです。 Secure by Designの文書化:設計段階でセキュリティを考慮した証拠を文書として整備し、補完すること。 脆弱性の特定と報告:製品に含まれる脆弱性を特定・文書化し、迅速に公開する義務。 SBOMの整備:製品構成を「一般的な形式で機械可読」な形で作成し、技術文書の一部とすること。 特に日本企業が留意すべき適用スケジュールは以下の通りです。 日付 義務内容 内容 2026年9月11日 脆弱性およびインシデントの報告義務の適用開始 悪用された脆弱性やセキュリティインシデントについて、EU内の当局へ24時間以内に報告することが求められます。 2027年12月11日 CRA全面施行、CEマーク非取得製品の販売禁止 この日以降、CRAの全要件を満たしCEマークを取得しない製品は、EU市場での販売が原則として禁止されます。 SBOMの必要性・重要性:CRA対応を超えて SBOMは、ソフトウェアに含まれるすべてのコンポーネントや依存関係を網羅的に記録し、脆弱性発生時の迅速な影響範囲の特定と市場対応を可能にするリストです。 2021年12月のLog4j問題*1が示したように、SBOMの有無は企業の対応速度を決定づけます。SBOMが整備されていれば、脆弱性の影響範囲を素早く特定し、迅速な対応が可能となります。逆にSBOMがなければ、企業は重大な潜在的脆弱性を抱えた製品を市場に出し続け、ユーザーのセキュリティリスクを増大させることになります。 このように、CRAの法的要求以前に、SBOMは製品構造を把握し、リスクを継続的に管理するための不可欠なツールです。 *1.脆弱性の重大度を示すCVSSスコアが10点中10点であった、極めて重大な脆弱性。 CRAとSBOMの具体的な関係 CRAは、SBOMを技術文書の一部として位置づけ、「製品の最上位レベルの依存関係を網羅し、一般的に使用される機械可読な形式で作成すること」を義務付けています(附属書I、Part II (1))。 脆弱性への迅速な対応の根幹 SBOMがなければ、製品に含まれるオープンソースの脆弱性情報を把握できず、CRAが求める迅速な脆弱性公開と対応(ユーザーやWebサイトでの情報提供)は実現困難です。CRAが求める「脆弱性を速やかに提出せよ」という要求に応えるための基盤情報こそがSBOMです。 技術文書としての準拠証明 CRAでは、市場監査当局から要請があった場合、製品が要求事項に準拠していることを証明するための情報・文書の提供が義務付けられています。SBOMは、「Secure by Design」の設計思想と継続的な脆弱性管理が実施されていることの客観的な証拠として、極めて重要な役割を果たします。 SBOMは、ソフトウェアの構造把握による脆弱性管理という主目的とともに、CRA準拠を達成するための重要な鍵となります。 SBOM生成・活用ツールのご紹介 CRA準拠のためには、製品の提供形態や開発プロセスに応じ、適切なツールを利用してSBOMを効率的かつ正確に生成・管理する必要があります。 ソースコードを所持している場合:SCA(ソフトウェア・コンポジション解析) オープンソース活用が不可欠なソフトウェア開発では、使用しているライブラリと、それに内在する脆弱性を把握するために、「SCA(Software Composition Analysis/ソフトウェア・コンポジション解析)」が必要です。 ソリューション:HCL AppScan on Cloud の SCA 機能 HCL AppScan on Cloud の SCA 機能は、ソースコード内の依存関係ファイルを解析し、ソフトウェア内のOSSコンポーネントを検出、脆弱性を持つものを特定します。 OSS情報の検出と脆弱性特定:ソースコードからOSS情報を検出し、脆弱性を持つコンポーネントを特定します。 業界標準フォーマット対応:SBOM出力の業界標準の一つであるSPDX 2.3フォーマットに対応。これはCRAが要求する「一般的に使用され、機械可読な形式」でのSBOM作成に貢献します。 バイナリデータからSBOMを生成する場合 組み込みソフトウェアやファームウェア、あるいはサプライヤーから受け取ったソースコードがない(またはアクセスできない)バイナリデータのセキュリティを検証したい場合に有効なのが、バイナリ解析ツールです。 ソリューション:SBOMスキャナ サイエンスパーク社の「SBOMスキャナ」は、以下のユニークな特色を持ちます。 バイナリデータからのSBOM生成: PCアプリケーションやWebサイトだけでなく、監視カメラ、ネットワーク機器、IoTデバイスなどの組み込みソフトウェアのバイナリデータからも、簡単にSBOMを生成します。 脆弱性レポートの生成:生成したSBOM情報(OSSのベンダー、プロダクト、バージョン)とCVE(Common Vulnerabilities and Exposures:脆弱性に付与される識別番号)を突き合わせ、脆弱性レポートを迅速に生成します。 オフライン対応:オフライン環境での利用が可能であり、機密性の高い環境でも安心して利用できます。 まとめ:SBOMはCRA準拠と持続的な品質維持の鍵 CRAの適用期限が目前に迫る今、SBOMによる効率的な脆弱性管理が、CRA準拠を成功させる鍵です。 SBOMは単なる法対応のための手段ではなく、企業が持続的にソフトウェアの品質を維持し、安全な製品を市場に提供するための基本情報基盤です。 法施行に向けたタイムラインを強く意識し、本記事で紹介したような適切なツールを活用して、迅速にSBOMの整備に着手することが、企業の競争力維持に不可欠です。 ご紹介したソリューション 【HCL AppScan on Cloud】 HCL AppScan(エヌアイシー・パートナーズ株式会社 サイト (AppScan 全般)) HCL AppScan on Cloud(HCLSoftware サイト(開発元)) ※HCL AppScan on Cloud の SCA 機能は、HCL AppScan on Cloudのオプションです。 【SBOMスキャナ】 SBOMスキャナ(エヌアイシー・パートナーズ株式会社 サイト) SBOMスキャナ(株式会社サイエンスパーク サイト(開発元)) お問い合わせ 上記製品についてのお問い合わせ、ご説明のご依頼、お見積り依頼など、エヌアイシー・パートナーズまでご相談ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

back to top