レノボグループ最大の年次イベント「Lenovo Tech World Japan 2023」が2023年12月5日に東京で開催され、足を運んできました。
今年は「AI for ALL インテリジェントな変革に向けて」をメインテーマに、AI活用によるインテリジェントな変革を企業や個人に届けるためのレノボの取り組みが、多数のセッションや展示を通じて紹介されていました。
レノボグループは PC事業/サーバー事業ともに IBM より引き継いでおりいずれも現在は世界の市場において確固たる地位を占めていますが、ハードウェア製品が中心というイメージがあるレノボにおいて AIビジネスへの対応としてどのような取り組みを行っているか、という点に興味がありました。
いくつかのセッションに参加してみて、レノボの AI分野における取組みとしては大きく以下の2分野が中心かな、と感じました。
- レノボ = ハードウェア製品のリーダー:
利用者が便利にAIを活用するための(裏方としての)ITインフラの継続的な革新を実施 - ターンキーソリューションの推進:
ISVパートナーエコシステム「Lenovo AI Innovators」を通じて、利用者のAI活用を支援
レノボとしてはこうした AI領域のビジネスに対し10億米ドルの投資を計画しており、単なるハードウェア・ベンダーとしての位置づけを超え AIビジネスに対する取り組みへの「本気度合」が伝わりました。
当レポートでは、参加したいくつかのセッションについてご紹介します。
レポート目次 |
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レポート
生成AIとレノボインフラストラクチャー・ソリューション
まず、レノボの AI関連インフラストラクチャー投資戦略の紹介では “3年で10億米ドル” という非常に大きな規模の投資が計画されており、レノボの AI に対する注力度の高さを感じました。
また、レノボと ISV が組んだ AI対応の取り組みである AI Innovatorsプログラムは、すでに世界で150以上のソリューションが提供されているとのことです。
お客様や ISV への検証環境やノウハウを支援する当プログラムは、お客様の AI活用の促進に有効であると感じました。
さらに、AI を利用して手話をリアルタイムで文字に変換するというソリューションも紹介されており、聴覚の弱い方でもコミュニケーションの幅が広げられる有効なソリューションであることを感じると同時に、AI活用領域の幅広さを改めて実感しました。
興味深かったのが、レノボと NVIDIA のハイブリッドAIソリューションの発表です。
データセンター向けの新GPU の生成AI の提案として、L40S が紹介されていました。
その AI処理性能の高さは、各企業が AI をより効率的に活用するための大きな武器となると確信できる内容でした。
「NVIDIA = GPU」というイメージでしたが、製品開発投資の60%以上がソフトウェア製品に向いているというのが意外でした。
OSSベースが多い AIソリューションをお客様が安心して使えるようにするためのソフトウェア・スタックの開発が中心で、OSS のままではなく認定・サポートすることでのリスク低減を行っていくとのことです。
ストレージについても新しい発表がありました。
Weka という NVMe に最適化されたストレージや ddnアプライアンスの OEM取り扱いに関する情報は、AIインフラに必要となるストレージとして注目したい内容でした。
ハードウェアメーカーの印象が強かったレノボグループですが、ハードウェアの枠を超えお客様の AI活用に向けてさまざまな取り組みを実践していることが感じられました。
レノボとエヌビディアが目指すスマートで高速化した未来、デジタルツイン
このセッションでは、レノボとエヌビディアが連携して提供するデジタルツインを実現するためのアプリケーション「OMNIVERSE」について詳しく説明されました。
デジタルツインが実現すれば、物理的な世界の出来事をデジタルで再現・分析することが可能になります。
このテクノロジーの一部として、エヌビディアの仮想工場を作り出すデジタルツインのユースケースが紹介されました。
これらの技術は自動車や建築業界などを始め、多くの分野でデジタル化を後押しする強力なエンジンとなると強く感じました。
レノボの最新ワークステーション「ThinkStation PX」はこの OMNIVERSE を活用して開発されており、こうした最新のテクノロジーが構想段階ではなくすでに実用化の領域に入っていることが実感できます。
また、大規模なデジタルツインを実現するために設計されたコンピューティング・システムである NVIDIA OVXシステムに対応した GPUラック・サーバー「SR675V3」の紹介もありました。
全体的に非常に先進的で興味深い内容でした。
デジタルツインの活用はこの先、さらに様々な業界で重要性を増していくでしょう。
今回のセッションで得た知識を生かしてデジタルツインについてより理解を深め、ビジネスに繋げていきたいと思います。
カーボンニュートラルからカーボンネガティブへ
「AIの普及 > GPUの高性能化 > 消費電力抑制との闘い」という流れは、AI の普及に伴い避けては通れない課題です。
業界に先駆けて実施されているレノボの「カーボンオフセットサービス」は、企業単位で地球温暖化に貢献できる具体的なソリューションとして、改めて有効性を感じました。
また、レノボは HPC分野において最も多くのスーパーコンピューターを提供しているベンダーですが、一方で電力あたりの処理能力のベンチマークである「Green500」においても最もクリーンなベンダーであることが実証されています。
既に製品化されている水冷技術「Lenovo Neptune」は排熱の98%以上の削減を実現しており、レノボがこの分野において大きく業界をリードしていることを再認識しました。
未来を創造するレノボのOPEN AIソリューション
今回のセッションタイトルを Chat GPT が作成したということからも、OPEN AI は確実かつ急速に普及していることが分ります。
しかしその一方で、約72%の日本企業では業務での Chat GPT の使用を禁止している、という調査結果があるのも現状です。
利便性よりも “情報漏洩” や “誤情報の拡散リスク” を重視するという企業は多いですが、使い方によっては十分に業務利用に耐え、かつ大幅な業務効率の向上が期待できます。
レノボではワークショップ形式でお客様の安全な利用をサポートしていくとのことで、効率性や安全性に悩んでいるお客様に対する支援策として有効性を感じました。
以上が簡単ではありますが、Lenovo Tech World Japan 2023 への参加レポートとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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