2023年03月

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【てくさぽBLOG】IT資産管理ソリューション「Flexera One with IBM Observability」を使ってみる(Part2)

こんにちは。てくさぽBLOGメンバー佐野です。

前回のPart1 では、Flexera One の概要と検証環境についての説明をしました。
今回のPart2では実際に導入検証した内容を共有します。

前回のおさらいとして、検証環境の構成を再掲します。

検証環境の構成

今回の検証手順の紹介において、Flexera OneはSaaSですので、SaaSの契約およびプロビジョニングまで完了していることが前提となります。
また、初回ログインのための最初のユーザー登録は済んでいる状態と想定しております。ログインが求められる場合にはこのユーザーで実施下さい。

導入手順の検証

Flexera One を検証するにあたって、以下の手順で構築を進めました。

  1. ビーコンサーバーの構築
  2. エージェントの導入
  3. レポートの出力

今回はエージェント導入先として Windowsサーバーへの導入検証結果・手順を共有します。
※エージェント導入対象サーバーの構築手順については省略します

1.ビーコンサーバーの構築

まず初めにビーコンサーバーを構築します。

ビーコンサーバーを構築

システム要件に書いてある通り、OS は Windows Server 2012 から 2022、Windows 8,10,11 がサポート対象です。
ソフトウェアの要件として Power Shell 3.0以上と IIS7.0 with ASP.NET 4.5.2以上(ただし.NET v 4.6.2以上推奨)が必要です。

本検証環境では Windows Server 2022 を利用しています。
※英語版で構築したため画面ショットが全て英語となっていることご了承ください。

ビーコンサーバーを構築するためには以下のステップが必要となります。それぞれについて操作を進めていきます。

1-1.事前設定(信頼済みサイトの設定、IIS導入、.NET導入、TLS設定)
1-2.ビーコンサーバープログラムのダウンロードおよびインストール
1-3.ビーコンサーバー設定

1-1.事前設定(信頼済みサイトの設定、IIS導入、.NET導入、TLS設定)

IBM Cloud上にデプロイされている Windows Server 2022 ではシステム要件に必要な IIS、.NET などは導入済みでしたので省略します。TLS も要件にある 1.1/1.2 が設定されていました。
個別に設定が必要なものは「信頼済みサイトの設定」のみでした。
IEのインターネットオプションから「Trusted Site」で指定されたドメインを信頼済みサイトとして登録します。

検証時点ではSaaSの管理サーバーとして選択できるロケーションがヨーロッパと北米であったため、距離が近い北米で契約・デプロイしました。そのため、「https://app.flexera.com」を設定しています。
※2023年3月時点ではアジアも選択できるようになっています

事前設定

これで事前の設定は終了です。次にビーコンサーバーのプログラムを導入していきます。

1-2.ビーコンサーバープログラムのダウンロードおよびインストール

Flexera One の管理画面にログインし、プログラムをダウンロードします。

  • 左側のペインにある「Data Collection」から「IT ASSETS INVENTORY TASKS」内の「Beacons」を選択します。
  • 画面右上に表示されている「Deploy A Beacon」ボタンを押します。
  • 「Download a beacon」内にある「Download A Beacon」ボタンを押します。もしバージョンを変更したい場合には「Version to Deploy」欄に表示されているバージョンから変更ください。

Flexera One管理画面

ビーコンサーバー上以外でダウンロードを実行した場合にはダウンロードした実行ファイルをビーコンサーバーへコピーします。

  • 実行ファイルを右クリックし「管理者として実行」を選択し実行します。
  • 「Next」を押し、操作を進めます。特に何かを変更する必要はありません。
    「Configure Scheduled Tasks」では「Run as a named user」が選択されているのでそのまま、管理者権限を持つユーザー名とパスワードを入力します。
  • “Install Wizard Completed”が表示されればインストール終了です。

インストール終了

1-3.ビーコンサーバー設定

次にビーコンサーバーからインベントリ情報をFlexera One環境へアップロードするための設定をします。

  • インストールした「FlexNet Beacon」を右クリックし「管理者として実行」を選択し実行します。
  • Parent Connectionを有効化するため「Enable parenet connection」にチェックを入れます。
  • 「Configure inventory beacon connection」内の「Configure and import configuration file」をチェックし「Download Configuration」ボタンを押します。

Download Configuration

  • ブラウザが自動的に起動し、Flexera Oneの画面が表示されますのでログインします。
  • 「Configure Beacon」ページが表示されるので、Name欄にビーコンサーバーの名前を入れます。今回はビーコンサーバーのホスト名である「IBMcloudBeaco」と入れます。他の項目は変更しません。
  • 「Download Configuration」ボタンを押します。拡張子が「flxconfig」となっているファイルをダウンロードし保存します。

flxconfig

  • (FlexNet Beaconが起動していない場合)ビーコンサーバーの「FlexNet Beacon」を右クリックし「管理者として実行」を選択し実行します。
  • ウィンドウの真ん中にある「Download and import configuration file」を選択し「Import configuration」ボタンを押します。
  • 先ほどダウンロードした設定ファイルをインポートし「Connection details」欄にServer URLやDownload URL、Upload URLなどが表示されることを確認します。
  • その後、Testing parent connectio…欄の結果が “Succeeded” になることを確認します。

Succeeded

  • Flexera One画面の左側のペインにある「Data Collection」から「IT ASSETS INVENTORY TASKS」内の「Beacons」に登録したビーコンサーバーが表示され、「Connectivity status」が “Connected” になっていることを確認します。

Connected

ここまででビーコンサーバーの設定は終了です。
次に管理対象サーバーにエージェントを導入します。

2.エージェントの導入

管理対象サーバーにエージェントを導入します。
今回は Windowsサーバーへエージェントを導入する手順を紹介します。

エージェントの導入

AIX や Linux は設定ファイルの書き方や実行方法が異なりますので詳細はエージェント導入のドキュメントをご参照下さい。
また、導入先のシステム要件は必ず事前に確認するようにして下さい。

エージェントの導入は以下ステップで実施します。

2-1.エージェントをダウンロードする
2-2.エージェント導入前の設定ファイルを作成する
2-3.エージェントを導入する

2-1.エージェントをダウンロードする

Flexera Oneエージェントを管理画面からダウンロードします。

  • 左側のメニュー「Data Collection」から「IT ASSETS INVENTORY TASKS」内の「Inventory Settings」を選択します。
  • Inventory agent for download欄にある”Inventory agent:”からバージョンと導入先プラットフォームに適切な組み合わせを選びます。今回はWindowsなので”Version 19.1.0 FlexNet Inventory Agent”を選択し「Download」ボタンを押します。
  • また、この後設定に使う設定ファイルも”Download bootstrapping template file”リンクからダウンロードします。
  • ダウンロードしたエージェントのプログラム(ZIP)を解凍し設定ファイルを「FlexNet Inventory Agent.msi」と同じディレクトリ内に配置します。

エージェントをダウンロード

2-2.エージェント導入前の設定ファイルを作成する

こちらを参考にしてエージェント導入前に設定ファイルを作成します。

  • ダウンロードした設定ファイルから3点変更します。
    • URLを変更
      DEPLOYSERVERURL = http://10.244.0.4/ManageSoftDL
      ※”10.244.0.4″はビーコンサーバーのIPアドレスを指定します。
    • 以下2行の冒頭にあるコメント(;)を外す
      TMPMAINDIR = c:\Program Files\ManageSoft
      USAGEAGENT_DISABLE = False

エージェント導入前の設定ファイルを作成

2-3.エージェントを導入する

  • 「FlexNet Inventory Agent.msi」を実行します。
    基本、デフォルトの選択のままで進めればOKです。
    エラーが発生せずに”Install Wizard Completed”と表示が出ればインストール完了です。

エージェントを導入

  • エージェント導入後にしばらく待つと、Flexera One管理画面の左側のペインにある「Inventory」から「INVENTORY」内「All Inventory」ページにエージェントを導入したホスト名が表示されます。
    ホスト名が表示されたらエージェントから収集したデータがビーコンサーバー経由でFlexara One環境にアップロードされたため、正常にセットアップできたことが確認できました。
    ※図はWindowsだけでなくPower Virtual Serverもエージェントを導入した後となります

Power Virtual Server

3.レポートの出力

ソフトウェアの導入状況と数量のレポートを出力します。
エージェント導入サーバーに管理対象となるソフトウェアを導入し、Flexera One の管理画面でライセンスの登録およびレポート出力を実行します。

レポートの出力

今回はIBMソフトウェアをサブキャパシティとして利用していることのレポートを出力します。
対象ソフトウェアは WebSphere Application Server 9.0 Base(以下 WAS)となります。

レポート出力は以下のステップで実施します。

3-0. エージェント導入サーバーへWASの導入
3-1. ライセンスの登録
3-2. ライセンス数量入力
3-3. レポート出力

3-0. エージェント導入サーバーへWASの導入

エージェント導入サーバーへ WAS を導入します。

この手順はエージェント導入前に実施しても問題ありません。
※本ブログはFlexera Oneの導入ブログであるため、WAS の導入手順は省略します

3-1. ライセンスの登録

レポートを出力するためには、ご自身が所有しているライセンスを登録し、そのライセンスを Flexera One が検出したソフトウェアと紐づける必要があります。
そのため、まずは利用しているソフトウェアのライセンスを登録します。

  • Flexera One管理画面の左側のペインにある「License」から「LICENSE MANAGEMETNT」内「All Licenses」を選択します。
  • 画面中央付近にある「Create A License」ボタンを押します。

ライセンスの登録

  • 「Application:」欄に”WebSphere Application Server”を入力し「Search」ボタンを押します。
  • 検索結果に表示されたProductから導入している製品(WebSphere Application Server 9.0 Base)を選択します。
  • 「Add Application」ボタンを押します。

Add Application

  • 「License Type」で「IBM PVU」を選択します。
  • 「Create」ボタンを押します。

Create

これで WebSphere Application Server のライセンスが登録できました。

WebSphere Application Serverのライセンス登録

この後に保有しているライセンス数量を入力します。

3-2. ライセンス数量入力

保有している WAS のライセンス数量を入力します。

  • 右側にある「Compliance」を選択し、中央ペインの下段に「Entitlements and consumption」項目にライセンス数量を入力します。
  • 「Extra entitlements」項目の「+」の右側に保有しているライセンス数量を入力します。
    今回は400PVU分と入力し、ページ右上にある「Save」ボタンを押します。

ライセンス数量入力

これでライセンス数量の入力まで終わりました。

3-3. レポート出力

最後にレポートを出力します。

今回は IBMソフトウェアをサブキャパシティとして利用していることのレポートとなるので、IBM の Auditレポートになります。
※WAS は PVU課金の製品であるため、PVU課金のレポート画面から内容を確認した上で Auditレポートを出力します

  • Flexera One管理画面の左側のペインにある「Reporting」から「LICENSE REPORTS」内「IBM PVU License Consumption」を選択します。
  • 「Run Report」ボタンを押します。
    少し待つと、画面下段の表に「License Name」が「IBM WebSphere Application Server 9.0」となっている項目が出てきます。
    ※画像では他のソフトウェアも表示されています

    表内で「License Consumption」列に現在WASが稼働しているサーバーのスペックにあわせたPVU数が表示されていることを確認します。
    ※反映までに時間がかかることがあるので、もし出てこない場合には翌日再確認してみてください

レポート出力

  • 正しく内容が反映されている場合には「Run Report」ボタンの右側にある「Download the IBM audit report」リンクをクリックします。
  • これにより、ZIPファイルに圧縮されたIBM Audit Reportをダウンロードできます。
    IBMへはこちらのZIPファイルをご提出ください。
  • ZIPファイルの中身を見ると、環境内にあるPVU・VPC課金、Cloud Pakライセンスのインベントリ情報、使用数量などのデータが入っているCSVファイルが存在することが分かります。
    (各CSVファイルの中身を確認し、保有数量と消費している数量に乖離が無いかを念のためご確認頂くのがよいでしょう)

ZIPファイルの中身

おわりに

Flexera One を使った IBMソフトウェアのライセンスの監査レポートの出力までの手順を追って説明いたしました。
今回は Windowsサーバーを対象にした手順をご紹介しましたが、AIX や Linux の場合に異なるのはエージェントの導入方法のみで管理画面の操作方法は同じです。

管理対象のプラットフォームが違っていても一つの画面でソフトウェアの導入状況が分かり、監査レポートとして提出できるのは非常に良い点だと感じました。
また、Flexera One を利用する際に RDBMS をはじめとした他の製品が不要なので、問題の切り分け対応が楽です。

今回は検証していませんが、SaaS や IaaS のコスト管理・最適化機能もありますので、ソフトウェアを管理するだけでなくSaaS含めたコストの最適化ができ、応用範囲が広い製品です。
ご興味ある方は是非使ってみて下さい。

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

 

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2024年04月08日

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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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