2013年07月

30

実際どうでしょう Vol.8「Webアクセス分析業務には価値がある、しかしそれだけではツライ」

普段の製品・ソリューション紹介だけでは聞き出せない情報を「実際のところはどうなんだろう?」という素人視点で、専門家に聞いてみるシリーズです。

題して「実際どうでしょう」。。。どうぞ、ご覧ください。

 

<聞いてみて良かった(*´ω`*) メリひろ担当がエキスパートにインタビュー>

IBM 田村様インタビュー

「MERITひろば」の運営においても、Webサーバの生ログを分析したり、Google Analyticsを利用してアクセスログは見ているのですが、「ログ分析作業だけでは辛い」という担当者の心理をついた解説がわかりやすかったです。(インタビュアー:重山)

プロフィール:日本アイ・ビー・エム株式会社:田村 浩二さん(写真左)

2002年早稲田大学を卒業後、国内広告代理店へ入社。
その後、Web系システム開発会社、デジタルマーケティングコンサル・Web開発会社での勤務を経て2011年1月よりIBMの戦略フォーカスである Smarter Commerce ならびに Enerprise Marketing Management (EMM)部門へ参画。

EMM各製品のプリセールスを担当。
趣味は波乗りと釣りとデジタルマーケティングの最前線で日本のWebビジネスを改革していくこと。

※2013年7月時点のプロフィールです。

 

製品視点ではなく、お客様の商売、立場で何を解決できるのかという視点を大切に

— いきなり素人発言で恐縮ですが、IBMが提唱しているインダストリーソリューションズ、スマーターコマース、エンタープライズ・マーケティング・マネジメント(以下EMM)の分野は沢山の製品群が存在していて、良くわかりません。一つずつの製品機能は見れば”なんとなく”わかるのですが・・・(重山)

田村:いえ、お客様もそう思われているでしょう。EMMを中心に、製品視点ではなく、ソリューション、つまりお客様のビジネスにおいて、どの領域で何を解決できるのかというシナリオ視点でご紹介差し上げます。このスライドをご覧ください。

 


エンタープライズ・マーケティング・マネジメント(EMM)はプラットフォーム

 

田村: EMM(Enterprise Marketing Management、またはIntegrated Marketing Management)という考え方は、ガートナーが提唱しています。IBMはそのEMMを5つのマーケティング業務のプロセスとして定義しています。

デジタルマーケティングを含む企業のマーケティング業務には、収集、分析、決定、配信、管理というプロセスがあります。

分析の前にデータを集められるようにする、収集ですね。対象はお客様のお客様(消費者、エンドユーザ、個人)で、データはその人付随するプロファイル(誰、どこから、サイトの行動、取引履歴、コンタクト履歴)です。プロファイル情報を集めるのにも一苦労ですが、これらを人が見てわかるようにするのが分析ですね。

分析は「MERITひろば」でも実施していると伺っているGoogleAnalytics等のツールを使った分析ですね。IBMでは(旧称)Coremetricsという製品が該当します。ここまでの収集、分析は、ITツールを駆使して運営されている会社は増えてきました。

重要なのは、「この顧客には何をすべきか」という最良のマーケティングアクションを決める決定プロセスです。分析データから何を決定して、お客様にアウトバンド、インバンドを含めたコミュニケーション手段で配信して、その結果から何を得るか、このプロセス全体をどのように管理するかと続きます。

 

分析業務は次のアクションに繋がらないとわかるとつまらない作業

—- この図は全体を俯瞰できますね。私は、Web担当として、分析することに手一杯で次の決定以降の作業に繋がっていないという悩みはあります。

 

田村:はい。ちょっと乱暴な言い方ですが、分析はつらい作業ですし、次のアクションにつながらないとわかるとつまらない作業なのです。

— ありがたいです。実はその「分析はつまらない」という感覚にはすごく共感してしまいます。(笑)

田村:そうですね。この発言だけ取り上げられると私も立場上よろしくないのですが・・・(笑)しかし、お客様の本音だと思っています。

もちろん、分析には価値があるのですが、そこだけフォーカスして製品機能を語っても不十分です。

—- 発言内容はインタビュー記事を公開する前にチェックしてもらいますので、まずい解釈や表現は適切に編集しますから言ってください。(笑)

田村:はい。お願いします。(笑)

田村:実は先日、製造業のお客様への提案で、分析領域の説明はあえて減らしてみました。決定以降のプロセスの話を重点的にしたところ、ご担当者様も激しく同意してくださいました。

つぎに、業務担当者の領域別にソリューションを見てみましょう。



 

この図に製品名を大雑把に当てると以下のとおりです。

1.デジタル・マーケター向け :旧Coremetrics

2.カスタマー・リレーションシップマーケター(CRM) :旧UNICA

3.マーチャンダイジング、営業企画:DemandTec

4.マーケティング・リーダー  :旧 UNICA Marketing Operation

5.コールセンター、Web担当(注:上図には記載なし) :Tealeaf

 

Google アナリティクスでもそれなりのことができますよね?

— この図は、どの業務のお客様に何を話すのかという整理ができていいですね。

では、ここまで聞いておきながら更に素人質問をしますが、Google Analytics(以下GA)があれば分析から決定作業につなげるレポートまで対応できているのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。配信・管理は別だとは思いますが。GAは無料で使えますし。他の分析ツールと比較したことはないのですが、機能に遜色はないのではないかと思っています。

 

田村:良い質問ですね。

では、先ほどは5つのプロセスの話をしましたが、次はそのプロセスに製品を当て込んだスライドをご覧ください。


 

 

 

田村:英語の資料ですみません。一番左のCollectが収集、以下Analyze(分析)、Decide(決定)、Deliver(配信)、Integrate(統合、管理)のプロセスをレイヤーに分けて記述しています。丸の枠の中が各製品機能に該当します。

— あ、右上に新製品の「Tealeaf(ティーリーフ)」が入っていますね。ロゴ画像で、丸の囲みではないですが。

 

田村:新製品なので後から資料に足しているがバレましたね(笑)

Tealeafについては、後ほど紹介させてください。

先ほどの質問に戻りますが、分析ツールの話は、Analyzeのレイヤーの「Digital Analytics」の丸の中の話になるのです。

—- 全体から見ると本当に一部分なのですね。

 

特定の領域だけで製品比較に注力しているだけでは全体の課題解決には到達できない

 

田村:はい。この領域で、GAや他社のエンタープライズ向け製品・・という比較に注力していても全体の課題解決にはなかなか到達できません。

— なるほど、Web担当者だけの視点ではありがちな議論ですね。

おや?Analyzeのレイヤーにある丸囲みの「Impression Attribution」とは何でしょうか。

 

田村:ネット広告業界において、アトリビューションとは、広告効果測定のことを示し、ここ数年昔から使われている効果測定の考え方のひとつです。クリックの前の「露出(インプレッション)」が後の成果にどれだけ貢献したかを理解する為の効果測定の手法です。

—- MarketingROIの領域ですね。知ったかぶりですみません。以前、広告代理店やデジタルマーケティング会社に在籍されていた田村さんなら当たり前の領域かも知れませんが、システムインテグレーター界隈の人間には馴染みがあまりない言葉に感じました。

では、先ほど触れた「Tealeaf」について教えて下さい。

 

サイト訪問者の行動を後からビデオ再生のように確認できる画期的なソフトウェア

田村:TealeafはWebサイトにおいて、利用者が直面した障害や問題などを可視化するソフトウェアです。利用者のWeb上での動線を再現することができる画期的なソフトです。

例えば、先日のサッカー日本代表戦を例にすると、試合結果が1対1だったと示すのがWeb分析ソフトウェアです。一方、その90分間に何があったのか、本田が後半46分に相手のハンドを誘ってPKを決めて・・・という過程を教えてくれるのがTealeafです。

—- 分かりやすい例えです。(笑)それにしても、どうしてそのようなユーザが見たWeb行動を再生できるのでしょうか。通常のツールはブラウザのクッキー情報を取得して分析対象としているだけで、そのような個別のトレースは難しいと思うのですが・・・

田村:Tealeafはパケットをキャプチャしているのです。クッキーベースの製品とは根本的に違います。これによって、特定のサイト訪問者のWeb行動をビデオ再生しているように見て取れますので、非常に分かりやすいのです。ちょっと売込み宣伝になりますが、現時点で明確な競合製品もなく、引き合いが多い製品です。

—- でも、お高いのですよね?(笑)

田村:確かに定価で1千万円台(注:インタビュー時点での価格)ですが、PV(ページビュー)課金でご利用いただけますし、売上が発生するチャネルにおいて、Webが占める割合が高い、高くしたいお客様にとっては非常に有効なツールです。

 

Web分析市場は100億円、しかしビッグデータ市場で考えると3,000億円市場

—- この分野は今後も成長していくのですね。

田村:はい。少しマーケットの話をします。Web分析だけに限るとマーケットは100億円規模です。しかし、ビッグデータ市場として考えると3,000億円市場になるのです。

例えばIBM Digital Aalytics Accelerator(DAA)はWeb分析ソリューションとしてこの3,000億円マーケットに投入されています。IBMではSaaSベースでクイックに始められる製品からデータを自社内で抱えて、深く見ていく製品まで揃っているのです。

tamurasan_02

—- DAAのご紹介も先日MERITひろばの動画で解説いただきありがとうございます。マーケティング担当だけでなく、田村さんファンの方も是非ご覧いただきたいです。

田村:いえいえ、私ではなくソリューション、製品を見て下さい。(笑)

 

次ですが、レイヤー図一番下にある「Digital Data Exchange」とは何でしょうか。

 

会社の垣根を越えてデータ共有する仕組みで顧客に最適な体験を提供する

田村:はい。これは、自社Webサイトの管理外のデータとも連携していく仕組みです。広告業界では以前より、広告の枠情報を会社を超えて共有する仕組みがあります。広告在庫の需要と供給を個別のシステムを越えて共有するプラットフォームですね。

近年はさらに、DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)、RTB(リアルタイム・ビッディング)、DMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)といった広告を最適な人に、適正な価格で効率よく配信するためのプラットフォームが注目されています。これらは少し専門的過ぎるので、今回は割愛します。

— 会社の垣根を越えてデータ共有する仕組みが広告、デジタルマーケティングの世界では広がっているということですね。共有するというキーワードで思い出しのですが、ライバル企業のWebサイトのアクセス数やサイト訪問者属性をこっそり調べる方法なんて存在するのでしょうか?

 

田村:さすがに、競合サイトの情報をとることはできませんが、データ交換プラットフォームというのは、必要に応じて自社サイトの訪問データを社内外のアプリケーションと連携して、顧客に最適な体験を提供するという試みです。

— すごい視野の広い活動ですね。ここまで話を伺って、データ分析の領域だけしか考えていなかった自分が恥ずかしいです。冒頭の5プロセスを含めて全ての領域でサービスできるのがIBMの強みなのですね。

 

田村:ありがとうございます。そうです、例えば件の図の左下にTag Managerと書いてありますよね。これは、ひとつのタグを自社のWebに埋め込むだけで、あらゆるプロセスのデータ取得、管理ができるようになります。もちろん、IBM製品で統一すればタグはひとつですが、提携済みテクノロジーベンダーのJavaScriptタグも統一管理できるのがTag Managerです。

DataExchangeという意味ではIBMはサービスに利用している生データを提供できるのも強みです。GAもAdobeもレポートになる前の生データは提供してくれないが、IBMなら可能です。そのデータをSalesForceにつなげる等のデータ活用する機会がお客様に提供されます。

— 確かにGAを使っていても、分析結果のレポートは提供されますが、例えばユーザのIPアドレスなどのGAが使っている元データは提供されないですよね。この視点は忘れがちですが、デジタルマーケティングを本気でやるなら必要な情報だと思います。

田村:そのとおりです。

 

「サイトの最適化」だけでなく「顧客体験の最適化」が重要

— 今回のプロセスの話は良く聞いていると「商い」として当たり前の視点ばかりですね。確かに製品はハイテク化、細分化していますが、お客様との会話では、このような商いの視点をもっていれば、課題の洗い出しも解決の提示もスムーズになりそうです。

では、最後になりますが、田村さんご自身のデジタルマーケティングに対する思いをIBMビジネスとつなげて一言お願いします。

田村:はい。私は、「サイトの最適化」だけでなく「顧客体験の最適化」が重要だと常々思っています。

初めてサイトに来たお客様とリピーターでは、体験も目的も違う。コンバージョンレートだけで図ることはできないのです。 分析ツールだけでお客様をハッピーにできるとは思っていません。

IBMでは本日ご紹介させていただいたように、EMM,スマーターコマースを中心に部分的なソリューションから全体最適を視野に入れた中長期の話をお客様と共有できるのが強みです。

— お忙しいところありがとうございました。私もMERITひろばを見に来てくださった方の立場でWeb運営するように意識していきたいと思います。Tealeafを導入する価値があるぐらいの立派なサイトにしていきたいです。

田村:こちらこそ、ありがとうございました。採用お待ちしております。

編集後記
田村さんは広告業界、IT構築、デジタルマーケティングという3つ領域での知識と経験に長けているので、全体を俯瞰しながらも専門的な事を解説してくださいました。また、IBMのこの領域に対する力の入れ具合も強く、今後も目が離せないソリューション領域だと改めて思いました。 (重山)

その他の記事

2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 ビジネスへの生成AI の取り込みに注目が集まっている今日、watsonx.ai をどう活用すればいいのか、多くのお客様からお問い合わせ頂いています。そこで前回の「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」では、watsonx.ai のユースケースとして Retrieval-Augmented Generation(以下 RAG)をご紹介しました。 今回は、RAG の仕組みを利用し AIチャットボットを提供する「watsonx Assistant(以下 Assistant)」と検索エンジン機能を提供する「Watson Discovery(以下 Discovery)」、「watsonx.ai」を組み合わせた連携ソリューションをご紹介します。 目次 AssistantとDiscoveryの連携 watsonx.aiを取り入れた連携 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた さいごに お問い合わせ AssistantとDiscoveryの連携 本来なら各製品を一つのブログで詳しくご説明したいところですが、今回は連携した結果についてのご紹介となりますので、Assistant と Discovery については今後のブログであらためてご紹介したいと思います。 Assistant は watsonx の大規模言語モデルが搭載され、自然言語の問い合わせを理解し、適切な回答を返すことができるチャットボット機能を提供する製品です。一方 Discovery はドキュメントから適切な情報を検索する検索エンジン機能、パターンや傾向を読み取る分析エンジンとしての機能を備えた製品です。 Assistant と Discovery を組合わせたユースケースでは Assistant にあらかじめ回答を用意してルールベースで回答させ、答えることが難しい問い合わせに対しては Discovery の検索結果を利用して回答します。 watsonx.aiを取り入れた連携 上記の連携では Discovery の検索結果がユーザーに表示される仕組みとなっていますが、watsonx.ai を介して回答を提供することでDiscovery が得た検索結果をさらに整理し、より理解しやすい形での返答が実現できます。 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた Assistant、Discovery、watsonx.ai を連携してみます。 事前準備 利用環境 今回は IBM Cloud で提供される SaaS を利用して検証します。なお、Assistant と Discovery の Plusプランは30日間無償期間が付属されていますので、是非ご活用ください。 watsonx Assistant:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) Watson Discovery:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) watsonx.ai:Essentialプラン(有償) 検証の目的 検証では構築手順の他、以下の点を確認します。 「Assistant + Discovery + watsonx.ai」と「Assistant + Discovery」の連携による回答の違いを比較 言語モデルを変えて問い合わせを行い、回答の違いの比較 実施手順 以下の流れで検証を実施します。 Assistantのプロビジョニング Discoveryのプロビジョニング、検索対象とするデータの取り込み※取り込むデータは「IBM Power S1014 データシート」のS1014のPDF watsonx.aiのプロビジョニング Assistantの初期設定 Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 言語モデルを変えて問い合わせの検証 検証実施 1. Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. Discoveryのプロビジョニング 次に Discovery をプロビジョニングします。 カタログ画面から "Discovery" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Discovery がプロビジョニングされます。※ここで、資格情報内にある「API鍵」と「URL」をメモに控えます 「Watson Discoveryの起動」をクリックし「New Project +」をクリックします。 Project name に任意の名前を入力、Project type では「Conversational Serch」を選択し「Next」をクリックします。 作成されたプロジェクトをクリックします。 「Integration Deploy」をクリックします。 「API Information」タブをクリックし「Project ID」をメモに控えます。 次に検索対象の PDF を Discovery に取り込みます。 「Manage collections」から「New collection +」をクリックし、「Collection name」に任意の名前を入力、「Select language」を「Japanese」に設定します。 Upload files の領域に PDF をドラッグアンドドロップして「Finish」をクリックします。 アップロードが完了しました。次に、Smart Document Understanding機能(以下 SDU)を利用して PDF内のヘッダーやテキストなどのフィールドを定義します。 SDU は、PDFをはじめとする非構造化データの文書構造を理解して検索や分析の精度を向上させる機能です。例えばタイトルと定義した箇所を検索キーとしたり、検索対象をテキストと定義した箇所のみとするなど可能になります。 「Identify Field」タブをクリックします。 取り込んだ PDF が表示されるので右側の Field labels からヘッダー箇所やタイトル箇所などをドラッグアンドドロップして指定していきます。 ページの定義が終わったら「Submit page」をクリックして次の頁を定義していきます。 SDU では数ページ指定すると自動的にヘッダー箇所やテキスト箇所を認識してくれるので、何ページもあるドキュメントには便利な機能です。 今回は SDU を使って PDF の文書構造を定義しました。SDU以外の Discovery の機能については、また別の機会にご紹介したいと思います。 3. watsonx.aiのプロビジョニング ※watsonx.ai のプロビジョニング方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part1)」をご参照ください。 4. Assistantの初期設定 Assistant の初期設定を行います。 Assistant を起動します。 起動後、以下の項目を入力します。 Assistant name:任意の名前を入力 Assistant Language:「English」を選択※日本語を選択することが可能ですが、Assistant のスターターキットは英語での利用を想定しているため今回はEinglishを選択します Assistant の公開先を「web」に設定します。※"Tell us about your self" 以降はご自身の情報を入力ください 入力後「Next」をクリックします。 デフォルトのチャットUI を利用するため「Next」をクリックします。 プレビュー画面が表示されるので「Create」をクリックします。(以下の画面は「Create」が隠れてしまっています) 「Congratulations!」と表示されたら初期設定は完了です。 5. Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる 「Githubのassistant-toolkit」から "watson-discovery-query-openapi.jsonファイル" をダウンロードします。 Assistant のメニューから「Integration」をクリックします。 下にスクロールし「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 「Extension name」に任意の名前を入力し「Next」をクリックします。 先程ダウンロードした watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Basic auth」を選択 Username:「apikey」と入力 Password:メモに控えたWatson DiscoveryのAPI鍵 discovery_url:メモに控えたWatson DiscoveryのURLから"http://"を除いた値 ※以下の画面ショットは discovery_url入力箇所が切れてしまっていますが、実際は「Servers」の下に discovery_url の項目があります 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで watsonx Assistant と Watson Discovery が連携できました。 6. Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる 次に、Assistant のカスタム拡張機能から watsonx.ai を利用できるように設定します。 設定には IBM Cloud の APIキーと watsonx.ai のプロジェクトID が必要です。取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」をご参照ください。なお、今回は東京リージョンで watsonx.ai をプロビジョニングします。 Github の「assistant-toolkit」から "watsonx-openapi.json" をダウンロードします。 Visual Studio Code などで東京リージョンの URL に編集し保存します。 Discovery の連携と同様に、Assistant のメニューから「Integration」「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、任意の Extension name を入力して「Next」をクリックします。 編集した watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードして「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Oauth 2.0」を選択 Grant type:「Custom apikey」を入力 apikey:取得済みのIBM CloudのAPIキー Client authentication:「Send as Body」を選択 Header prefix:Bearer(デフォルト) Servers:https://jp-tok.ml.cloud.ibm.com(自動入力) 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで Assistant と watsonx.ai が連携できました。 7. Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 Github の「assistant-toolkit」から "discovery-watsonx-actions.json" をダウンロードします。 Assistant の「Actions」から「Global Setting」をクリックします。 「Upload/Download」タブをクリックし、Uploadスペースに discovery-watsonx-actions.json をドラッグアンドドロップしてアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Upload and replace」をクリックします。 以下の画面の通り、3つのアクションが作成されます。 メニューから「Variables」「Created by you」をクリックします。 「discovery_project_id」の値をメモに控えていた Discovery のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「watsonx_project_id」の値をメモに控えて置いた watsonx.ai のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「model_id」の値で watsonx.ai で使用する言語モデルを指定します。2024年2月29日に GA された日本語で訓練された Granite-japaneseモデルを使用するため、「ibm/granite-8b-japanese」を入力し「Save」をクリックします。(その他変数はデフォルト値とします) 「Actions」から「Generate Answer」を選択し、「model_input」の値を以下の例の様に日本語に変更します。 例: ("<s>[INST] <<SYS>>\nあなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。\n\n質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。\n<</SYS>>\n\n質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。\n\n").concat(passages).concat("\n\n[question]: ").concat(query_text).concat("[/INST]") 以上で設定は完了です。 さっそく Assistant から問い合わせをしてみます。 右下の「Preview」をクリックします。 チャットから S1014 の特徴について問い合わせしてみます。約18秒後に以下の回答が返ってきました。 「Inspect」をクリックすると、Discovery の検索結果が以下の通り watsonx.ai に渡されていることがわかります。 <s>[INST] <<SYS>> あなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。 質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。 <</SYS>> 質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。[title]: IBM Power S1014 柔軟かつセキュアなハイブリッドクラウド・インフ ラストラクチャーで俊敏性を実現[document]: 1 コ ア 当 た り 4 つ の M a t r i x Math Acceleratorによる迅速 なAI推論のために洞察と自動 化を合理化 業界標準のDIMMより2倍優 れたメモリーの信頼性と可用 性を提供 IBM® Power® S1014 は、1ソケット、4U Power10プロセッサーをベースにしたサー バーで、IBM AIX®、IBM iまたは Linux®上のビジネス・クリティカルなワークロード 向けに設計されています。Power S1014を使用することで、ワークロードはより 少数のサーバーに統合され、ソフトウェア・ライセンスの数、電力と冷却のコスト を削減します。Power S1014サーバーは、プロセッサー上でのメモリー暗号化を 使用してエンドツーエンドからデータを安全に保護し、ラック型またはタワーフォー ム・ファクターで購入できます。 プロセッサー・レベルでのメモリー暗号化と、POWER9 と比較してすべてのコア で4倍の暗号化エンジンによりコアからクラウドまでのデータを保護 ますます高度に分散した環境に存在するデータには、もはや境界線を設定すること は不可能です。 [question]: S1014の特徴は?[/INST] Assistant と Discovery のみの連携で検索した結果は以下の通りです。watsonx.ai を使用した方がより簡潔で分かりやすい回答を得られることが分かります。 8. 言語モデルを変えて問い合わせの検証 言語モデルを "llama-2-70b" にして同様の問い合わせをしたところ、約24秒後に回答が返ってきました。箇条書きで丁寧な印象です。 言語モデルを "elyza-japanese" にした際は10秒ほどで回答がありました。主語として「S1014の特徴は」とあることで、問いに対する回答が分かりやすくなっています。 言語モデルを変えて試した結果、llama-2-70B は箇条書きで回答し丁寧な印象を受けましたが、回答が得られるまでに24秒かかりました。一方 Granite-japanese や elyza-japanese はシンプルな回答を生成し、Granite-japanese は18秒、elyza-japanese は10秒というより短い時間で回答を得られました。 Watson Discovery の検索結果に基づき watsonx.ai で回答を生成するので、ある程度時間がかかると予想していましたが、elyza-japanese は速い回答で主語を添えてわかりやすく回答してくれました。 また、llama-2-70B は汎用的で使いやすいモデルですが、プロントで「日本語で回答して」と指示をしても問い合わせ内容によっては英語で回答することがありました。日本語の回答精度を求める場合は、Granite-japanese や elyza-japanese を使用した方が精度の高い回答を得ることができます。 モデルを変えて問い合わせてみると、モデルごとに得意なタスクが異なることがわかりました。数百億のパラメータで訓練された大規模言語モデルを一概に選択するのではなく、言語やタスクの特性に合わせて最適なモデルを選定することが重要になりそうですね。 さいごに いかがでしたでしょうか。Github から提供されているスターターキットを使って Assistant、Discovery、watsonx.ai を繋げてみましたが、ほどんど躓くことなく UI から簡単に設定することができました。 接続自体に高度な難しさは感じませんでしたが、問い合わせに対して正確な情報を得るためには Assistant の検索設定を調整する必要があります。今回は1つの PDFファイルの検索を行いましたが、複数の PDFファイルから情報を引き出す際には Assistant で query を設定することで特定の PDFファイルからの検索が可能です。 このように PDF などの非構造化データを検索対象として精度の高い回答を得るには、Discovery において文書の構造を明確に定義し、Assistant の検索設定を調整することが必要です。 実際にヘルプデスクなどの Webチャットで利用する場合は、Assistant にあらかじめ用意した回答をルールベースで回答させ、それでも解決できない問い合わせについては Discovery を通じて検索を行い、watsonx.ai を用いて回答を生成するという流れが効果的です。 ただし、生成AI によって生成される回答は常に”100%正確な回答”ではないので、より高い精度の回答を追求するためにはプロンプトの調整などチューニングを施すことが必要です。その結果、より使いやすい Webチャットの実現が期待できます。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

back to top