2021年12月

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【てくさぽBLOG】Azure Stack HCIを導入してみた Vol.1 -Azure Stack HCI構築編-

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの宮里です。

今回はAzure Stack HCIの検証をしてみたので3回シリーズで検証で得られた知見をお伝えします。
検証の目的は、Azure Stack HCIの構築・管理・クラウドとの連携をどのような手順でおこなうのか、使いやすいのか、を実機を使って体感してみることです。

今回は3回シリーズの1回目で、Windows Server 2019の2台をAzure Stack HCIとして構築した手順をご紹介します。

Azure Stack HCIを導入してみた Vol.1 -Azure Stack HCI構築編- *本編
Azure Stack HCIを導入してみた Vol.2 -管理機能編-
Azure Stack HCIを導入してみた Vol.3 -Azureと連携編-
 

Index


 

はじめに

まず、Azure Stack HCIについて簡単に説明します。現在のAzure Stack HCIは2種類あります。1つはクラウドのAzureがサブスクリプションで提供する専用OSを利用するタイプ、もう1つはWindows Serverで提供される機能を利用するタイプです。今回は後者で検証します。
Windows Server が持つ仮想化機能のHyper-VとSDS(Software defined Storage)機能のS2D(ストレージスペースダイレクト)で、外部ストレージを使用しない仮想基盤であるHCI(ハイパーコンバージドインフラ)を実現します。

私は実機を使った検証や構築は初めての経験になります。そのため、うまくできるのか不安な気持ちと楽しみの気持ちの半々で挑みました。

検証機につきましては、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ様から実機をお借りして行いました。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ様、ありがとうございます!

今回の検証環境の概要図はこちらになります。お借りしたAzure Stack HCIのハードウェアはLenovo ThinkAgile MXの2ノード(以下、MXサーバー)になります。もう1台、周辺サーバー用にSR630(以下、Hyper-Vサーバー)もあります。オンプレ側はこれら物理サーバー3台を使用して検証を行いました。



 

1. 事前準備

MXサーバーでの構築検証の前に以下を実施しておきます。物理サーバーへのWindows Server 2019インストールには、XClarity Controllerの仮想ファイル(ISOイメージ)のマッピング機能を利用したのでインストール用メディアを用意する必要はありませんでした。

  • Hyper-VサーバーにWindows Server 2019 構築。周辺サーバーを仮想マシンで構築するためHyper-Vを有効にします。
  • MXサーバーの2台にWindows Server 2019 構築。ADドメインにメンバーサーバーとして参加しておきます。
  • 以下の2台の周辺サーバーをSR630のHyper-Vサーバー上に仮想マシンで構築します。
    - 周辺サーバー1:Active Directory ドメインコントローラ(以下、ADサーバー)
    - 周辺サーバー2:Windows Admin Centerサーバー(以下、WACサーバー)*Azure Stack HCIの管理をWACサーバーから行います。WACサーバー自体の構築手順は第2回のブログでお伝えします。


 

2. MXサーバー環境構築

2-1. 必要なコンポーネントの追加

WACサーバーにて、ドメインのadministratorアカウントでMXサーバーに接続します。

「役割と機能」にて”Hyper-V”、”データ重複排除”、”Data Center Bridging”、”フェールオーバークラスタリング”の4つの役割と機能を選択してインストールします(2台とも)。

4つの役割と機能を選択すると関連する必要なコンポーネントもまとめてインストールされます。

2-2. ネットワークの設定

今回設定したAzure Stack HCIのネットワーク構成は以下になります。2台のノード間は直接接続し、外部ネットワーク用の物理スイッチとの接続は各ノードとも1ポートです。

今回のネットワーク設定は「Microsoft Storage Spaces Direct (S2D) Deployment Guide」(以下、デプロイメントガイド)という資料を参考にしました。英語資料ですが接続構成毎に詳細に解説してありますので、ぜひMXサーバー構築の際には一読されることをおすすめします。今回はデプロイメントガイド43ページからの「RoCE: 2-3 nodes, direct-connected」という箇所を参考にしました。

MXサーバーにリモートデスクトップ接続して以下の設定作業を行います。2台ありますのでそれぞれで設定します。

以下はホストOSが認識しているネットワークアダプターです。この後、PowerShellで設定していくので、コマンドの入力をしやすくするために「Slot4 ポート1」「Slot4 ポート2」と言う名前になっているMellanoxアダプターの名前を変更します。

”pNIC1-Port1”、”pNIC1-Port2”とそれぞれ変更しました。

続いて”IBM USB Remote NDIS Network Device”を無効にします。これが有効のままだとこの後のフェールオーバークラスタの設定ウィザードでエラーになるためです。

ここからPowerShellで設定します。デプロイメントガイド49ページに沿って実行していきます。以下の設定を行いました。

  • DCBXプロトコルのブロック(Set-NetQosDcbxSettingコマンド)Set-NetQosDcbxSetting
  • 帯域制御(QoS)の設定(New-NetQosPolicyコマンド)
  • SMB-Directのフローコントロールの有効化(Enable-NetQosFlowControlコマンド)
  • その他通信のフローコントロールの無効化(Disable-NetQosFlowControlコマンド)
  • 通信制御をノード間通信用に適用(Enable-NetAdapterQosコマンド)
  • 最低帯域の設定 – SMB-Directは50%、Cluster-HBは1%(New-NetQosTrafficClassコマンド)
  • Mellanoxアダプターのフロー制御を無効にする(Set-NetAdapterAdvancedPropertyコマンド)
PS C:\Users\Administrator> Set-NetQosDcbxSetting -InterfaceAlias “pNIC1-Port1” -Willing $False

確認

この操作を実行しますか?

Set-NetQosDcbxSetting -Willing $false -InterfaceAlias “pNIC1-Port1”

[Y] はい(Y)  [A] すべて続行(A)  [N] いいえ(N)  [L] すべて無視(L)  [S] 中断(S)  [?] ヘルプ (既定値は “Y”): y

PS C:\Users\Administrator> Set-NetQosDcbxSetting -InterfaceAlias “pNIC1-Port2” -Willing $False

確認

この操作を実行しますか?

Set-NetQosDcbxSetting -Willing $false -InterfaceAlias “pNIC1-Port2”

[Y] はい(Y)  [A] すべて続行(A)  [N] いいえ(N)  [L] すべて無視(L)  [S] 中断(S)  [?] ヘルプ (既定値は “Y”): y

PS C:\Users\Administrator> New-NetQosPolicy -Name “SMB” -NetDirectPortMatchCondition 445 -PriorityValue8021Action 3

Name           : SMB
Owner          : Group Policy (Machine)
NetworkProfile : All
Precedence     : 127
JobObject      :
NetDirectPort  : 445
PriorityValue  : 3

PS C:\Users\Administrator> New-NetQosPolicy -Name “Cluster-HB” -Cluster -PriorityValue8021Action 7

Name           : Cluster-HB
Owner          : Group Policy (Machine)
NetworkProfile : All
Precedence     : 127
Template       : Cluster
JobObject      :
PriorityValue  : 7

PS C:\Users\Administrator> New-NetQosPolicy -Name “Default” -Default -PriorityValue8021Action 0

Name           : Default
Owner          : Group Policy (Machine)
NetworkProfile : All
Precedence     : 127
Template       : Default
JobObject      :
PriorityValue  : 0

PS C:\Users\Administrator> Enable-NetQosFlowControl -Priority 3

PS C:\Users\Administrator> Disable-NetQosFlowControl -Priority 0,1,2,4,5,6,7

PS C:\Users\Administrator> Enable-NetAdapterQos -Name “pNIC1-Port1”

PS C:\Users\Administrator> Enable-NetAdapterQos -Name “pNIC1-Port2”

PS C:\Users\Administrator> New-NetQosTrafficClass “SMB” -Priority 3 -BandwidthPercentage 50 -Algorithm ETS

Name                      Algorithm Bandwidth(%) Priority                  PolicySet        IfIndex IfAlias

—-                       ———       ————        ——–                     ———          ——- ——-
SMB                       ETS              50                      3                               Global

PS C:\Users\Administrator> New-NetQosTrafficClass “Cluster-HB” -Priority 7 -BandwidthPercentage 1 -Algorithm ETS

Name                      Algorithm Bandwidth(%) Priority                  PolicySet        IfIndex IfAlias

—-                      ——— ———— ——–                  ———        ——- ——-

Cluster-HB                ETS       1            7                         Global

PS C:\Users\Administrator> Set-NetAdapterAdvancedProperty -Name “pNIC1-Port1” -RegistryKeyword “*FlowControl” -RegistryValue 0

PS C:\Users\Administrator> Set-NetAdapterAdvancedProperty -Name “pNIC1-Port2” -RegistryKeyword “*FlowControl” -RegistryValue 0

PS C:\Users\Administrator>

次にHyper-Vマネージャーで仮想スイッチを作成します。Hyper-Vマネージャーは[スタート] ボタン-[管理ツール] -[Hyper-V マネージャー] で実行します。
右ペインの[操作] メニューから”仮想スイッチマネージャー”を開き、”新しい仮想ネットワークスイッチ”を選択して、仮想スイッチの種類として”外部”を選択します。

仮想スイッチを以下のように設定して作成します。

  • 仮想スイッチの名前:S2DSwitch
  • 仮想スイッチの種類:”外部ネットワーク”、物理スイッチに接続している物理NICを選択
  • ”管理オペレーティングシステムにこのネットワークアダプターの共有を許可する”にチェック

すると、”vEthernet(S2DSwitch)”という名前のHyper-v Virtual Ethernet Adapterが作成されました。これがホストOSが利用するネットワークアダプターになります。

次に再びPowerShellで設定を行います。デプロイメントガイド50ページに沿って実行していきます。以下の設定を行いました。

  • MellanoxアダプターへのRDMA有効化(Enable-NetAdapterRDMAコマンド)
  • Intelアダプター(em1)へのRDMA無効化(Disable-NetAdapterRDMAコマンド)
PS C:\Users\Administrator> Enable-NetAdapterRDMA -Name “pNIC1-Port1”

PS C:\Users\Administrator> Enable-NetAdapterRDMA -Name “pNIC1-Port2”

PS C:\Users\Administrator> Disable-NetAdapterRDMA -Name “em1”

続いてこの”vEthernet(S2DSwitch)”にホストOS用の固定IPを設定します。

また、物理スイッチに接続した物理NIC(em1)のプロパティを表示し、”インターネットプロトコル バージョン4(TCP/IP V4)”のチェックボックスがオフでIPアドレスが設定できないことを確認します。

続いてノード間通信用に直接接続しているMellanoxの物理NICに固定IPを設定します。外部ネットワークと接続しないのでデフォルトゲートウェイは指定しません。

最後に、設定した固定IPにpingコマンドが正常に実行されればOKです。

以上で本章の最初に示したネットワーク構成になりました。

2-3. フェールオーバークラスタの構成

引き続きMXサーバーにリモートデスクトップ接続して設定を進めます。フェールオーバークラスターマネージャーは[スタート] ボタン-[管理ツール] -[フェールオーバークラスターマネージャー] で実行します。起動したら、右ペインの[操作] メニューから”構成の検証”をクリックします。

「構成の検証ウィザード」が起動します。MXサーバー2台が選択されていることを確認して「次へ」をクリックします。

テストオプション画面で「すべてのテストを実行する」を選択し、次の確認画面を進みます。

下図のように”検証済み”、”成功”と表示されればテストは完了です。「検証されたノードを使用してクラスターを今すぐ作成する」にチェックを入れて完了します。続けてクラスターの作成ウィザードが始まります。

「クラスタ名」と「クラスタ用IPアドレス」を入力し、次の画面で確認します。

クラスタの作成ウィザードが正常に完了したことを確認します。

続いて、作成したクラスタ名を右クリックし、”クラスタークォーラム設定の構成”を選択します。

クラスタクォーラム構成ウィザードを実行します。構成オプション選択画面では”クォーラム監視を選択する”を選択します。

続いて監視の選択画面では”ファイル共有監視を構成する”を選択します。そして次の画面で利用する共有フォルダのぱすを入力します。今回は事前構築したADサーバー(サーバー名:AD01)上に作成した共有フォルダ(¥¥AD01¥quorum)を指定します。

指定した項目を確認して設定を進めます。正常に構成されたことが確認できました。

フェールオーバークラスタマネージャーにて、両方のノードが稼働中であることを確認したらここまでは完了です。

躓きポイント:

この”クラスタークォーラム設定の構成”の設定で1点躓いたのでご紹介します。
最初に実行した際にウィザードの最後で以下のようなエラーとなりました。

調べると共有フォルダのアクセス権が不足していました。作成した共有フォルダのプロパティ画面の「セキュリティ」タブで2台のコンピュータ名とクラスタ名の3つをコンピュータアカウントとしてアクセス権を”フルコントロール”にして追加します。

この後にクラスタクォーラム構成ウィザードを再度実行したら正常に構成されました。

2-4. ディスクの構成(S2Dの有効化)

リモートデスクトップ接続したまま、引き続きS2D(記憶域スペースダイレクト)を有効にしてディスクの構成を行います。まず「ディスクの管理」ツールで各ディスクが以下のように”未割り当て”となっていることを確認します。

PowerShellでS2Dを有効にします。”Enable-ClusterStorageSpacesDirect”コマンドを実行します。

PS C:\Users\Administrator> Enable-ClusterStorageSpacesDirect
確認この操作を実行しますか?ターゲット ’クラスターの記憶域スペース ダイレクトを有効にします’ で操作’nicp-cluster’を実行しています。[Y] はい(Y)  [A] すべて続行(A)  [N] いいえ(N)  [L] すべて無視(L)  [S] 中断(S)  [?] ヘルプ (既定値は “Y”): yNode        EnableReportName
——-       ————————
NICP01   C:\WIndows\Cluster\Reports\EnableClusterS2D on 2021.11.11-14.55.16.htm
PS C:\Users\Administrator>

フェールオーバークラスターマネージャーにて、新しくプールとクラスター仮想ディスク(ClusterPerformanceHistory)が作成されて、どちらもステータスがオンラインであることを確認します。

2-5. ボリューム作成

ここからWACサーバーで設定していきます。
WACサーバーにてクラスタを登録してから、クラスタに接続して作成します。

ボリューム画面から「作成」をクリックし、名前とサイズを入力します。今回はtest-vol01という200GBのボリュームを作成しました。

しばらくするとボリュームが作成されます。状態がOKになっていれば利用できます。

プロパティを確認します。作成直後はこのような状態になります。

フェールオーバークラスターマネージャーからも確認してみます。このようにクラスタの共有ボリュームとして作成されていることが確認できました。

以上で共有ストレージを持たない2ノードのクラスタ構成で共有ディスクが作成できました。

これで仮想マシンを作成できるようになりました。

仮想マシンの作成やMXサーバーでの管理機能について検証してみた内容は第2回のブログでお伝えします。

 

さいごに

実機での検証は所々うまく動作せず、調べたり聞いたりと試しながらでしたが6時間ほどで検証は成功しました!
実際にXClarity Controllerを使ってみると操作性も良く、Enterpriseへアップグレードすることによる仮想ドライブのマッピングも便利でした。

Windows Admin Centerではインターフェースが分かりやすかったので、まだまだ触り始めの私でも十分理解出来ました。

個人的にはネットワークの設定辺りで躓くことが多かったです。参考にした手順書を見習いながら設定を進めましたがうまくいかないこともあり、一つ一つ調べながらの作業となりました。

もう少しネットワークの勉強が必要ですね。

 

構築編は以上になります。
如何でしたでしょうか、次は管理機能編になりますので是非ご覧ください。

 

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部
E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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2025年08月04日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateのADKを使ってみた

こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの高村です。 早速ですが、今年5月に開催されたIBMの年次イベント「Think2025」で、watsonx Orchestrateの新機能が発表されました!その中の一つとして、開発者向けの「Agent Development Kit(以下、ADK)」があります。今回はこのADKを活用し、watsonx Orchestrate環境への接続やエージェントの追加といった操作を行い、その使用感をご紹介します。  なお、watsonx Orchestrateについては、今年2月、3月に公開した「watsonx OrchestrateやってみたBLOG」でご紹介しておりますので、是非こちらもご一読ください。 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part1) 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part2) 目次 はじめに ADKとは? ADK使ってみた さいごに お問い合わせ はじめに Think2025で発表された新機能は、6月に環境へ追加されました。それ以前の環境とは、メニュー構成や操作方法、機能名称に変更があります。 例えばこれまで「Skill」と呼ばれていたものが「Tool」へと名称変更されています。 アップデート後の環境につきましては、別ブログにて改めて詳しくご紹介させていただく予定ですので、ぜひご期待ください! ADKとは? まずはADKについてご紹介します。ADKとは開発者向けにwatsonx OrchestrateのAgentやToolをスクラッチ開発するための開発キットになります。ローカル端末などに導入し、pythonベースで開発を行うことができます。 また、ADKとは別に、watsonx Orchestrate Developer Editionをローカル端末に導入することで、ADKで開発したAgentやToolのテストが可能になります。なお、watsonx Orchestrate Developer EditionはDockerコンテナ上で動作し、現時点のハードウェア要件はCPUは最小8コア、メモリは最小16GBが必要です。詳細はInstalling the watsonx Orchestrate Developer Editionをご確認ください。   ADKとwatsonx Orchestrate Developer Editionを利用することで、コードの迅速な作成・修正や柔軟なカスタマイズに加え、環境へのデプロイ前にローカルでテスト・修正が可能となり、作業効率の向上が期待できます。 ADK使ってみた 前述ではADKでAgent開発し、watsonx Orchestrate Developer Editionで動作確認、SaaS watsonx Orchestrateへインポートする構築の流れをお話しましたが、今回の検証における動作確認は検証環境として利用しているIBM Cloud 上のwatsonx Orchestrate利用します。よって前述したwatsonx Orchestrate Developer Editionは利用せず、ADKからwatsonx Orchestrate検証環境へAgentとToolを直接インポートし、動作確認を行いたいと思います。また、ADKのインストール先は自分の端末ではなく、IBM Cloud上に構築したUbuntuのVirtual Server Instance(以下、VSI)を使用します。検証環境の構成イメージは下記の図の通りです。 尚、ADKのインストール要件はPython 3.11以上、Pip、そして仮想環境(以下venv)が必要です。詳細については、Getting started with the ADKをご確認ください。 それでは早速使ってみましょう! VSIのプロビジョニング まずはADKをインストールするVSIをプロビジョニングします。本ブログではプロビジョニング方法について詳しく記載いたしませんが、手順は「【てくさぽBLOG】IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud Object Storageを接続してみた(Part1)」のVSI for VPCの作成をご参考ください。 OSはUbuntu 22.04 LTS Jammy Jellyfish Minimal Install、リソースは2vCPU,4GB RAMで作成しました。VSI作成時にSSH鍵が必要なるので作成を忘れないようにしてください。 作成すると数分で起動します。端末からSSHログインするため浮動IPが必要になります。赤枠で囲った浮動IPを作成しインスタンスに紐づけします。以上でVSIの作成は完了です。 Ubuntuの設定 ターミナルを開きsshでUbuntuにログインします。私はWindowsのコマンドプロンプトを使用しました。Ubuntuユーザでログイン後、rootパスワードを設定し、スイッチできるようにします。 ubuntu@nicptestvsi:~$ sudo passwd root New password: Retype new password: passwd: password updated successfully ubuntu@nicptestvsi:~$ su - pythonのバージョンを確認したところ3.10.12でした。ADKの要件は3.11以上ですので、バージョンアップが必要になります。最初は3.13にバージョンアップしてみたのですが、後続作業と最新バージョンではパッケージが合わなかったのかうまく動かず…仕切り直して3.11を利用することにしました! root@nicptestvsi:~# apt install python3.11 バージョンアップ後、デフォルトバージョンとして3.11を指定します。 root@nicptestvsi:~# sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.10 1 sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.11 2 sudo update-alternatives --config python3 update-alternatives: using /usr/bin/python3.10 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode update-alternatives: using /usr/bin/python3.11 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode There are 2 choices for the alternative python3 (providing /usr/bin/python3).Selection Path Priority Status ------------------------------------------------------------ * 0 /usr/bin/python3.11 2 auto mode 1 /usr/bin/python3.10 1 manual mode 2 /usr/bin/python3.11 2 manual modePress <enter> to keep the current choice[*], or type selection number: 2 root@nicptestvsi:~# root@nicptestvsi:~# python3 --version Python 3.11.13 次に下記コマンドを実行して任意のvenvを作成します。 python3 -m venv /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest <環境のパスを指定 venvを活性化してログインします。下記コマンド結果のようにvenvに入れましたらUbuntuの設定は完了です。 root@nicptestvsi:~# source /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest/bin/activate (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# ADKのインストール 以下コマンドを実行してADKをインストールします。ADKは6月時点で1.5.1が最新バージョンです。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# pip install ibm-watsonx-orchestrate Collecting ibm-watsonx-orchestrate Downloading ibm_watsonx_orchestrate-1.5.1-py3-none-any.whl.metadata (1.4 kB) Collecting certifi>=2024.8.30 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading certifi-2025.6.15-py3-none-any.whl.metadata (2.4 kB) Collecting click<8.2.0,>=8.0.0 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading click-8.1.8-py3-none-any.whl.metadata (2.3 kB) Collecting docstring-parser<1.0,>=0.16 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading docstring_parser-0.16-py3-none-any.whl.metadata (3.0 kB) Collecting httpx<1.0.0,>=0.28.1 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading httpx-0.28.1-py3-none-any.whl.metadata (7.1 kB) ----中略---- (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate --version ADK Version: 1.5.1 ADKの環境設定 次にADKの環境設定を行います。watsonx OrchestrateのインスタンスIDが必要になるため、watsonx OrchestrateのSetting画面に入り確認します。下記画面をご参考にしてください。 環境設定コマンドはこちらになります。-nの後はvenv名を指定し、-uの後はインスタンスIDを指定します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env add -n <仮想環境名> -u <環境のインスタンスID> [INFO] - Environment 'my-name' has been created [INFO] - Existing environment with name 'nicpse' found. Would you like to update the environment 'nicpse'? (Y/n)y [INFO] - Environment 'nicpse' has been created 以下コマンドを実行して、IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateと認証設定をします。APIキーの取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」のAPIキーの取得をご確認ください。尚、リモート環境に対する認証は2時間ごとに期限切れになります。期限が切れた場合は再度認証する必要があります。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env activate nicpse --apikey <APIキー> [INFO] - Environment 'my-ibmcloud-saas-account' is now active [INFO] - Environment 'nicpse' is now active 下記コマンドを実行してCLIから利用できる環境のリストを表示します。IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateがactiveとなっていました! (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env list nicpse https://api.us-south.watson-orchestrate.cloud.ibm.com/instances/XXXXXXXX (active) local http://localhost:XXXX Toolとagentのインポート 次にToolとAgentのインポートを行います。ToolとはAgentがタスクを実行する際に利用する機能です。今回は、IBM様より共有いただいたyfinanceを活用したToolおよびAgentのコードを、ADKを用いてインポートします。なお、yfinanceはヤフーファイナンスから株価などの金融データを取得するためのPythonライブラリです。 最初にToolのインポートを行います。下記の様に、scpなどでToolファイルとrequirements.txtをディレクトリにアップロードしておきます。requirementsファイルは他のモジュールと依存関係がある場合使用します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# ls -l total 12 -rw-r--r-- 1 root root 0 Jun 24 04:42 __init__.py drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jun 24 04:38 __pycache__ -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 8 Jun 24 03:02 requirements.txt -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 1778 Jun 24 02:46 yfinance_agent.py 下記コマンドを実行してToolファイルとrequirementsファイルをインポートします。企業情報を取得するstock_infoと株価を取得するstock_quoteの2つのToolがインポートされました。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate tools import -k python -f "./yfinance_agent.py" -r "./requirements.txt" [INFO] - Using requirement file: "./requirements.txt" [INFO] - Tool 'stock_info' imported successfully [INFO] - Tool 'stock_quote' imported successfully listコマンドを実行するとインポートされたToolを確認できます。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:# orchestrate tools list ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┳ ┃ Name ┃ Description ┃ Permission ┃ Type ┃ Toolkit ┃ App ID ┃ ┡━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━╇ │───────────┼────────────┼── │ send_mail_brevo │ send a meil using Brevo. │ write_only │ python │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_quote │ 企業のTickerSymbolを用いて株価… │ read_only │ python │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ Untitled_6160RC │ No description │ read_only │ openapi │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_info │ 企業のTickerSymbolを用いて企業… │ read_only │ python │ │ │ └─────────────────────────────────┴──── 次にAgentをインポートします。下記コマンドを実行します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate agents import -f ./yfinance_agent.yaml agent listコマンドでインポート済みのAgentを確認できました。Agentが使用するToolも表示されています。 (your-venv-adktest) # orchestrate agents list ┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━ ┃ Name ┃ Description ┃ LLM ┃ Style ┃ Collaborators ┃ Tools ┃ Knowledge Base ┃  ┡━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━ │ yfinance_age… │ 企業の会社情… │ watsonx/meta- │ react │ │ stock_info, │ │ │ │ │ llama/llama-3 │ │ │ stock_quote │ │ ││ │ │ -2-90b-vision ││ │ -instruct │ │  IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで動作確認 インポートしたAgentとToolをIBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで確認します。 watsonx Orchestrateへログインし、BuildからAgent Builderを選択します。 yfinanceエージェントが表示されているので、クリックします。 クリックすると、Agent作成画面に入ります。UIから基盤モデルを変更したり、Agentの振る舞いなど変更することができます。 スクロールして、Toolsetを確認するとADKからインポートしたToolが登録されています。 右のPreviewからAgentの動きを確認することができます。今回はDeployせずPreviewで確認します。入力欄には「IBMの株価は?」と質問してみます。しばらくすると本日の株価が回答されました。Show Reasoningを開くと推論過程を確認することができます。株価を取得するTool「stock_quote」を使用し、AIがユーザの入力から自動的にTicker symbolを入力していることがわかります。 次に「IBMの企業情報」と質問をします。しばらくするとAIがユーザの入力からTicker symbolを入力し、Tool「stock_info」を利用して企業情報を取得、回答されました。ユーザの入力内容からAgentが使用するToolを選択し、実行していることがわかります。   さいごに ADKのご紹介とADKを使ってToolとAgentのインポートを行いました。 ADKのインストールおよび設定について、Pythonバージョンの設定やvenvの作成でつまずく部分はありましたが、venvが作成できればその後の設定はスムーズに進められました。 今回はVSI上のUbuntuサーバにADKをインストールしましたが、ご自身の端末に導入することで、より気軽にAgent開発を行えるかと思います。なお、今回は検証対象外でしたが、watsonx Orchestrate Developer Editionを利用する場合は、インストール要件としてやや高めのスペックが必要になる点にご注意ください。 検証時のADKのバージョンは1.5.1でしたが、7月末では1.8.0が最新バージョンとなっています。比較的頻繁にアップデートされますので適宜Release Notesをご確認ください。バージョンアップでコマンドオプションも変更される場合があるため、マニュアルを確認するかコマンドに`--help`を付与してパラメータを確認することをおすすめします。   お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; }

2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で起業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

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