2022年03月

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【やってみた】Azure Stack HCIを導入してみた:管理機能編

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの宮里です。

前回に引き続きAzure Stack HCIの検証で得られた知見をお伝えします。検証の目的は、Azure Stack HCIの構築・管理・クラウドとの連携をどのような手順でおこなうのか、使いやすいのか、を実機を使って体感してみることです。
今回は3回シリーズの2回目で、Azure Stack HCIを管理するサーバーを構築した手順をご紹介します。

第一回:【やってみた】Azure Stack HCIを導入してみた:Azure Stack HCI構築編
第二回:【やってみた】Azure Stack HCIを導入してみた:管理機能編  *本編
第三回:【やってみた】Azure Stack HCIを導入してみた:Azureと連携編

なお、現在のAzure Stack HCIは専用のAzure Stack HCI OSを利用してクラウドから管理するAzure Stack HCIと、従来からのWindows Server DataCenterエディションを利用するAzure Stack HCIの2つがありますが、本ブログのAzure Stack HCIはWindows Server DataCenterエディションの方となります。

 

Index


 

はじめに

第一回に続いて、今回は管理機能の検証としてWindows Admin Center(以下、WAC)サーバーとLenovo XClarity Administrator(以下、LXCA)サーバーを構築した内容になります。

今回の検証環境の概要図はこちらになります。WACサーバーとLXCAサーバーは仮想マシンで立てることにしたのでMXサーバー以外にもう1台物理サーバーを用意し、そこにHyper-V環境を構築しました。このHyper-V環境上にWACサーバーとLXCAサーバーを構築します。

LXCAはハードウェアを一元管理するサーバーです。そのためAzure Stack HCIを利用するにあたって必須ではなくオプションですが、WAC向けにLenovo XClarity Integrator for Microsoft Windows Admin CenterというLXCAと連携させる拡張機能が提供されているので、WACでハードウェアまで管理できるとどのように便利になるかを確認するために検証してみました。



 

1. Windows Admin Center(WAC)の構築

WACはマイクロソフト社が提供する無償で利用できるリモート管理ツールです。Azure Stack HCIはWindows Server 2019の標準機能を組み合わせて利用するので、そのままでは複数の管理ツールを使い分ける必要があります。WACを利用することでWebベースで一元管理が可能なので今回はその構築と実際の利用を検証してみました。

ブログ記事の順番は前後しますが、今回の検証ではまずWACサーバーを構築してからAzure Stack HCIサーバーを構築しました。Azure Stack HCIサーバー構築については当ブログ第一回を参照ください。

1-1. WACインストール

WACのホームページからインストールファイルをダウンロードします。ダウンロードには以下のフォームで必要情報を入力し[Continue]をクリックするとダウンロードが始まります。

WACの展開方式はいくつかありますが、管理するWACと管理対象のMXノードが分かれていてWACには複数クライアントから接続できるゲートウェイサーバー方式が実際の案件でも選択される場合が多いとの想定から、ゲートウェイサーバーで検証することにしました。

最初の画面で[使用許諾契約書に同意します] にチェックを入れ、次に進みます。診断データのマイクロソフトへの送信はデフォルトのままで進みます。

デフォルトのまま次に進みます。

SSL証明書も今回は検証なので自己署名証明書のままで進みます。

インストールが完了したら、表示されているURLに接続して管理者アカウントでログインします。

WACに接続して自身のサーバーが確認できれば完了です。特に設定項目を変更することなくほぼデフォルトでインストールできてとても簡単でした。

1-2. クラスタの追加と確認

MXサーバーの2台をWACに追加し、続いて第一回で作成したnicp-clusterという名前のWindowsサーバークラスタを追加します。追加が完了すると以下のように確認できますのでこれをクリックして接続します。

WACからできるクラスタ管理を確認しました。以下のように状態を確認したり、

ボリュームを作成できることや、

仮想マシンの作成などもできました。

使ってみた感想としては、WACのインストール作業や操作性はシンプルでわかりやすく、スムーズに済みました。
GUIなども見易いのですぐ慣れると思います。

 

2. Lenovo XClarity Administratorの構築

続いてLenovo社のXClarity Administrator(以下、LXCA)を構築します。LXCAは無償で利用できるハードウェア管理ツールです。*LXCAはサポートは無いので本番利用でサポートが必要な場合はXClarity Proを購入する必要があります。

2-1. LXCAインストール

まずLXCAのファイルをダウンロードします。仮想アプライアンス形式で提供されているので、今回はHyper-V用をダウンロードしました。
次にHyper-VマネージャーでLXCA用仮想マシンを作成します。仮想マシンの新規作成ウィザードが始まります。

分かりやすい仮想マシン名を付けて次に進みます。

仮想マシンの世代を「第一世代」、次の画面でメモリ割り当てを8GBにします。このあたりはLXCAのマニュアルを参考にしました。

今回の検証環境は固定IPの利用が必要な環境だったのでネットワークは一旦「接続しない」とし、後で固定IPを設定してからネットワークに接続することにしました。
次の画面で「既存の仮想ハードディスクを使用する」を選択し、ダウンロードしたLXCAのファイルを指定します。

これで仮想マシンの作成は完了です。以下の設定値で作成しました。

仮想マシン後に1箇所設定を変更します。作成した仮想マシンの設定画面で、仮想プロセッサの数をデフォルトの1個から2個に変更します。これも上記LXCAマニュアルに書かれている内容です。

ここまで終わったら仮想マシンを起動します。
起動が完了すると、仮想マシン画面上に以下のようにネットワーク設定を選択する画面が表示されるので”1. To set a static IP address for Lenovo XClarity virtual appliance eth0 port”を選択して固定IP設定に入ります。
続けるかどうかのメッセージが出るので”y”と入力します。
次に設定するIPの種類を聞かれるので”ipv4″と入力します。

続いてIPv4の各項目を入力していきます。IP address、netmask、gateway、DNS1、DNS2と順番に入力していきます。
継続するかの確認が出たら”y”を入力します。

しばらくすると固定IPが設定された画面が表示されます。
この後、Hyper-Vマネージャーにて仮想スイッチに接続することでネットワークに接続できます。

以上でLXCAがネットワークに接続しました。

2-2. LXCA初期セットアップ

ブラウザでLXCA仮想マシンのIPアドレスに接続するとライセンス使用許諾から始まり各項目を順番に設定していくようになっています。では、早速設定していきましょう。

まずはライセンス使用許諾からです。内容を確認し[同意する]をクリックします。

次にユーザー・アカウントの作成です。スーパーバイザー・アカウントを2つ作成するようあるのでrootとroot2という2つのユーザーを作成しました。

次はネットワーク設定です。固定IPの設定は済んでいるのでここは確認だけでした。

次はサービスおよびサポート設定の構成です。左ペインにある[定期的なデータ・アップロード]から[サービス・リカバリー・パスワード]までの各項目を設定します。

以下は2つ目の[コール・ホームの構成]画面です。本番では管理対象サーバーがコール・ホーム対象のイベントを記録した際に自動的に通報される機能の設定を行いますが、今回は検証なのでここはスキップしました。

3つ目の[Lenovoアップロード・ファシリティー]の設定画面です。Lenovoサポートからサービス・データのアップロードを指示された場合のアップロード設定を行います。こちらも今回の検証では利用しないのでスキップしました。

4つ目の[保証]画面です。内容を確認してそのまま[適用]をクリックします。

5つ目の[Lenovo Bulletin Service]設定画面です。Lenovo がセキュリティや新バージョンリリースなどの情報をXCLAに送信するのを許可する設定です。デフォルトで許可する設定になっていますのでそのまま[適用]をクリックします。

6つ目の[サービス・リカバリー・パスワード]設定画面です。リカバリーの際に利用するパスワードを設定します。

すべての項目の設定が完了したら[システム管理の開始]をクリックします。

最初にデモデータを含めるかを選択します。どちらでもよいです。

[新しいデバイスの検出と管理]画面で、MXノードのXClarity Controller(管理プロセッサのこと。以下、XCC)のIPアドレスを手動登録します。

XCCのIPアドレスを入力して次の画面でユーザーID・パスワードを入力して登録します。

以下のようにMXノード2台のXCCを登録しました。

以上でLXCAのインストールと設定は完了です。

 

3. WACとLXCAの連携

WAC対応のLenovo XClarity Integrator(以下、LXCI)を利用することで、WAC画面からLXCAの管理情報にアクセスすることができるようになります。これでWACからハードウェア管理もできるようになります。

まず、WACにて[Lenovo XClarity Integrator]という拡張機能をインストールします。
左ペインの[拡張]を選択し、右ペインで[Lenovo XClarity Integrator]を選択してインストールします。

インストールが完了すると、[設定]から[Lenovo XClarity Integrator]が選択できるようになるのでこれを選択します。

LXCAを登録します。LXCAのIPアドレスと初期セットアップで登録したスーパーバイザーアカウントで接続します。

接続が完了するとLXCAが[接続済み]というステータスで確認できますのでこれをクリックします。

次にMXノードをLXCAに追加します。画面ではnicp01というMXノードに接続しています。拡張機能がインストールされたので、ノードの左ペインに[Lenovo XClarity Integrator]が選択できるようになったのでこれを選択して右ペインで”接続されたXClarity Administrator管理サーバーにノードを追加する”を選択してLXCAのIPアドレスを指定します。

するとWAC上のLenovo XClarity Integrator画面にMXノードが追加されます。以下はMXノード2台の登録が済んだ状態です。ThinkAgile MXと正しく認識されていることが確認できます。

WACに統合されたLXCAを利用してみました。以下のようにWACからLXCAのハードウェア情報を確認することができます。

このように、WACとLXCAの連携もとても簡単にできました。WAC上でハードウェア管理もできるようになるのでWACもLXCAも利用するのであればぜひ連携機能も利用してみては、と思います。

 

最後に

WACとLXCAを連携することでHW、SWの両方を一度に管理することが出来、あれこれ見に行くことが無くなるので非常に見易く、便利だと感じました。
それぞれWACとLXCAの操作も切り分けが出来ていて、操作としてもGUIがシンプルであるため困ることは無いでしょう。
是非ともWACにLXCAを連携して使ってみてください。

 

管理機能編は以上になります。
如何でしたでしょうか、次はクラウド連携編になりますので是非ご覧ください。

 

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エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部
E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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2022年06月24日

【早わかり】AIX と IBM i ライセンス情報

こんにちは。エヌアイシー・パートナーズ 村上です。 2022年度は新しい試みとして、 ・理解しているつもりだけど説明はできない ・時間があれば調べたいと思っていた ・当たり前な知識かもしれなくて質問しにくい という内容を取り上げた「早わかりシリーズ」を掲載していきます。 今回は、IBM Power のメインOS、AIX と IBM i のライセンス情報をご紹介します。 AIX とIBM i は、片方のライセンス情報しか知らないという方も意外と多いので、ぜひこの機会に比較しながら読んでみてくださいね。   セクション 1) 永続ライセンスのおさらい 2) マンスリーとサブスクリプションをご存じですか? 3) ライフサイクルとバージョンのポイント   1) 永続ライセンスのおさらい AIX とIBM i のスタンダードなライセンス「永続ライセンス」。 有効期限のない永続ライセンスは、SWMA (SoftWare MAintenance) と合わせて所有します。 永続ライセンス OSを利用できる権利。1年目に購入。 SWMA 「サブスクリプション(最新バージョンへのアップグレード)」と「テクニカルサポート(対象製品に対するQAサポート)」の権利。 1年~5年で選択し、継続するためには都度オーダーが必要。 更改などで新ハードウェアへ移行する場合、 AIX 永続ライセンスはIBM Power本体に紐づくので、新ハードウェアになるタイミングで永続ライセンスが買い直しになります IBM i 既存機のライセンスを新ハードウェア移管することが可能です(移行先の機械レベルが高くなる場合は追加料金が発生) IBM i には、移行中ライセンスとして安価なITL(IBM Temporary License)が提供されたり、DR機専用のライセンスがあったりもします。   2) マンスリーとサブスクリプションをご存じですか? さて、このセクションが今回のブログの本題です。 2022年6月現在、AIX とIBM i には「永続」「マンスリー」「サブスクリプション」と3種類のライセンスがあります。 以下は利用ケースのイメージです。 利用ケース 永続ライセンス ・長期間利用 マンスリーラインセンス ・移行時の短期利用 ・スパイク(最低限の環境をさっと作って概ねの方向性を確認する) サブスクリプションライセンス ・初期投資を抑えたい場合に利用 ・HWに依存せず臨機応変に利用(中長期間でAIXの場合) サブスクリプションライセンスは、AIX は2021年、IBM i は2022年に提供が開始されました。 (表が見えにくいのでクリックして拡大してご覧ください) サブスクリプションライセンスは、今後拡張が予定されています。 利用ケースにあったライセンスを選択できるようになってきたので、臨機応変な検討ができるようになりますね。   3) ライフサイクルとバージョンのポイント 2022年6月時点で、IBMは「AIX も IBM i も将来の投資を継続する」という発表をしています。 IBM Power ユーザとしては一安心です。 どちらのOSも、サポートライフサイクルは10年間となります。 下記にバージョンのポイントを纏めてみました。 <AIX > 購入できるバージョン v7.2 , v7.3 標準サポートがあるバージョン v7.1, v7.2, v7.3 どうやってもサポートが終わっているバージョン v5.3 実はまだ有償延長サポートがあるバージョン v6.1 TLが出るタイミング(※) 1回/年、成熟してくると1回/2年 サポートライフサイクル(10年) 標準(最短6年)+延長保守(3~5年) <IBM i > 購入できるバージョン v7.3 , v7.4, v7.5 標準サポートがあるバージョン v7.3, v7.4, v7.5 どうやってもサポートが終わっているバージョン v6.1 実はまだ有償延長サポートがあるバージョン v7.1, v7.2 TRが出るタイミング(※) 2回/年(最新バージョンと1世代前のバージョンに対して) サポートライフサイクル(10年) 標準(7年)+延長保守(3年) <※TLとTRの補足> TL:テクノロジー・レベル。AIXにおける問題の修正、新しいハードウェアのサポート、ソフトウェアの機能拡張が含まれたプログラム。 TR:テクノロジー・リフレッシュ。IBM i におけるオファリング、サービス、およびハードウェアの機能拡張を提供するプログラム。 かなり前のバージョンも、延長保守のサポートがあるため更改時も安心です。 ただ、延長保守サポートは、部品不足による急な保守終了や、新規の問い合わせに対応いただけない、という面があるので要注意です。 また、延長保守サポートには細かい前提が設けられており前提にも随時変更が入りますので、ご利用を検討される際はお問い合わせください。   さいごに つい先日(2022年6月)、IBM i の複数のソフトウェアラインセンスが無償化される発表(IBM PartnerWorld)がありました。 IBM i では更改の検討が始まると、実際に利用している有償ソフトウェアの見直しが入ったりして、見積もりに時間がかかることがありますよね。 有償ライセンスが減ったことで、見積もりが少しでも簡単になり助かります。 クラウドシフトが進む中で、ライセンス体系、課金、監査方法が複雑化しています。 弊社には毎日のようにパートナー様からライセンス関連の相談やお問い合わせが来ています。 OSのみではなく、あらゆるソフトウェアのライセンス情報収集に日々奮闘(?)しているSEが多数おりますので、お困りの際はお気軽にご連絡ください! ※ 本ブログの情報は時間経過とともに変更が入る可能性があります。   お問い合わせ この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 E-Mail:voice_partners@niandc.co.jp  

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