こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの佐藤です。
ハイパーコンバージドや、次世代移動通信「5G」等、今後さらなるネットワークの高速化の需要が高まることが予想されます。
現在10Gbpsを採用されるケースが多いかと思いますが、2018年以降普及しそうなNVMeOF等を踏まえると10GbpsEtherですらボトルネックになることが想定されます。
今回は、10Gbpsの次の世代、今から覚えておいて損はない25GbpsEtherの紹介をしたいと思います。
RJ45の終焉
以前、10GbpsEtherは何を選べばよいの?で10GBase-Tについて触れました。
有線LANといえばRJ45アダプタというのは一般の人にも広くなじみがあるのではないでしょうか? 気になるのは後継にあたる25/40GBase-Tだとおもいます。
25/50GBase-Tでは?と思われますが、技術的に実現できないという事で、25/40GBase-Tで規格化されました。
25/40GBase-Tについては、2016年にIEEE 802.3bqで標準化されましたが実際の製品は2018年3月現在、残念ながら存在しません。
技術的な課題から製品の登場は2020年以降と言われています。
また、スイッチとなるとさらにそのあとにリリースとなりますので、現時点では普及するのが全く見えない規格といえます。
今現在、10Gbpsを超える規格については、RJ45は選択できません。
40/100Gbpsを振り返る
ご存じの方は、40/100GbpsEtherが先にあるのに、なぜ今になって遅い25/50Gbpsなのだ?違和感を覚えるかもしれません。
そこで、40/100GbpsEtherを振り返ってみましょう。
40/100GbpsEtherは10GbpsEtherの技術をなるべく流用しようとのコンセプトの元作られています。
簡単に言うと、40GbpsEtherは内部的には10GbpsEtherが4つ束ねられています。
100GbpsEtherは大きく分けて2つの規格があるのですが、一つは10GbpsEtherを10本束ねる方式 もう一つは25Gbpsを4つ束ねる方式を標準化しました。
40/100GbpsEtherの問題点とは?
さて、当初40/100GbpsEtherは規格化も製品化も比較的スムーズに進んだのですが、課題の低コスト化が解決できずに普及がなかなか進んでいません。
問題は何か?これらの規格は見た目のケーブルは1本ですが、内部的には4ないし10のケーブルが束ねられています。
実際、ネットワークスイッチやNICカード内の配線が過去の4倍もしくは10倍必要で、特にネットワークスイッチは内部配線が大変なことになります。
当然、10Gbpsを10本束ねるタイプの100GbpsEtherについてはかなりコストが高止まりすることになりました。
25/50GbpsEtherとは?
そんな問題点を解決する策は1つしかありません。
技術的にはハードルが高いですが、1本あたりの転送速度を25Gbpsする必要があります。
100Gbpsであれば10Gbps×10ではなく、25Gbps×4の100Gbps方式をとるということです。
25GbpsEtherの期待値が高いことがこれでお分かりになると思います。
規格一覧表
文章で説明してきましたが、かなりややこしいと思いますので、一覧にまとめます。
イーサネット | クロックレート | レーン数 | データレート |
1GbE | 1.25GHz | 1 | 1Gbps |
10GbE | 10.31GHz | 1 | 10Gbps |
25GbE | 25.78GHz | 1 | 25Gbps |
40GbE | 10.31GHz | 4 | 40Gbps |
50GbE | 25.78GHz | 2 | 50Gbps |
100GbE | 10.31GHz | 10 | 100Gbps |
100GbE | 25.78GHz | 4 | 100Gbps |
ケーブル種類
ケーブルについては、メタル、光と豊富にありますので、戸惑いますが、自由に組み合わせることができます。
現在主流のSFP/QSFP系のみ紹介します。
選び方は、低コストは短距離、高コストは長距離となります。
1.DAC(DirectAttachCopper)
・最も安い
・最大長~5m
2.AOC(ActiveOpticalCable)
・DACに次いで安い
・最大長~100m
3.Optical Transceiver
・高コスト(Transceiver+Cableが必要)
・最大長 SR~100m LR~10km
画像はmellanoxから、直販価格は一つ当たり、25Gbps SFP28 LC-LC SR $155
画像はmellanoxから、LRが25Gbpsはまだ出てなかったので参考で100Gbpsになります。
直販価格は、一つ当たり100Gbps QSFP28 LC-LC LR4 $4315(!)
まとめ
10GbpsEtherの時もそうでしたが、10Gbpsを超える速度の世界は種類が非常に多く悩ましいと思います。
現状を踏まえると
・RJ-45タイプは製品が出ていないので選択肢から外れる。
・25Gbpsより上の速度はマルチレーンになり、同じ100Gbpsでも10Gbps×10と25Gbps×4では互換性がない。
・RDMA/RoCE,NVMeOFといった技術を使うことにより、規格上の帯域だけでなく実効転送速度も期待できる。
となります。
現状RJ45のケーブルを敷設しているユーザーはケーブルの敷設のやり直しが必要になります。
単純にネットワークの高速化だけではコストが高すぎるとなるケースもあるかもしません。
25Gbpsですと帯域的にもファイバチャネルの置き換えも可能になりますので、SANネットワークの置き換えも併せてご提案というのが良いシナリオになるかと思います。
IBM Storage製品ではV7000/V50x0シリーズが25GbpsEtherに対応しておりますので、ご提案検討に含めていただけると幸いです。
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