2017年11月

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【クラウドとデザイン思考】日本企業にはイノベーションの素養がある ~IBM デザイン・シンキング~(後編)

interviewee:長尾 政明 氏

IBM iX Creative & Design 統括
IBM デザイン思考推進リーダー
IBM Studios Tokyo スタジオリーダー

interviewer:NI+C パートナーズ 企画推進部 加古

前編からのつづき ~


– それでは、IBM がデザインシンキングを導入していった過程についてお聞かせいただけますか。

IBM では、2012 年に IBM におけるデザインプログラム 第2章 として、IBM Design という組織を立ち上げ、最初の IBM デザインシンキングのトレーニングを製品開発チームに対して行いました。その時は、まず希望者を募ったため、各チームから 1,2名ずつの参加となりました。約1週間、デザインシンキングのトレーニングを実施しましたが、トレーニングを受けた後、現場に帰ったその方達は、「周りのチームメンバーが、全然理解できていない。自分達だけが遊んでいるみたいだ」、と感じたのだそうです。

この教訓を活かし、トレーニングには、チーム単位(5~10名)で参加させることにしました。こうして、現場に戻ってもやらざるを得ない環境作りもサポートしたのです。

 

デザイン・シンキングのトレーニングはマネジメント層にも必須

実は、それで全てが上手くいったわけではなく、プロジェクトを進めていくと、今度は該当製品開発チームのマネージメント層から「何をやっているんだ」、「これまでの尺度で報告しろ」という意見が出るなど、マネージメントがチームの活動を理解してくれない、IBM デザインシンキングのアプローチで推進できないという相談が トレーニング参加者からありました。そこで、トレーニングを受講するチームのマネジメント層もセットで デザインシンキングのトレーニングを受けてもらうようにしました。マネジメント層に対する1週間のトレーニングは難しいため、0.5日から1日で基本的なことと、なぜ必要なのかということを理解してもらいました。更にメンタルモデルの変化、コーチング方法の変更をについても理解してもらい、ようやく回り始めたのではないかと思います。

 

このように、IBM でも何度か失敗しているのです。個人だけでなくチーム全体、更にマネジメント層まで浸透させ、評価制度まで変えないと、日本の企業においてデザイン・シンキングの導入、更に変化を起こすことは、難しいのだと思います。

― 日本の IBM 社内では、どのくらいのトレーニングを実施されているのですか?

営業チームに実施しているのは1日のトレーニングです。1日以上拘束することが、難しいため、与えられた時間で出せる結論までにしています。その内容を元にお客様に提示してみる、営業チームで試してみる、そのように回る仕組みを目指して実施しています。来年からは、少し変更して、デザイン・シンキングそのものだけではなく、 ユーザー・リサーチ(観察)もしっかり実施するようなコース開発も行っています。

e ラーニングも社内では準備しているのですが、デザイン思考に関しては受動的な学習では理解が難しいので、アクティブ・ラーニングによるトレーニングという形を重要視しています。

 

IBM デザイン・シンキングの進化

― IBM デザイン・シンキング自体に変化はありますか?

当初 IBM のデザイン思考は、以下のイメージのように”シーケンシャル”に進むイメージで書かれていました。


上記のように以前は 4ステップ あったのですが、今は単純化されて、「Observe(観察)」、「Reflect(洞察)」、「Make(施策)」の 3ステップ です。
※()内の和訳は、『IBMの思考とデザイン』 からの引用です。

更に、これらはループします。なぜこの形に行き着いたかと言うと、IBM の製品開発がアジャイル的にどんどん進化したからです。その進化の中で、デザイン・シンキングをステップ通りに進めなければならない、とは もはや言えなくなったのです。どのプロセスからも入ることができるモデルが必要となりました。まずは作り、その結果を熟考してみて、その リフレクション(振り返り、学び)を元に変更を加えて…というやり方でも良くなり、もちろん、従来からのお作法通りに進めても良いのです。

― アジャイルは、IBM の中でも当たり前のように浸透し、そのアジャイルに適応し、融合するため、このモデルの変更されたのですね。

 

他のプラクティス、アジャイルリーンスタートアップと融合することでより強力なツールに

この新しいモデルが強力なのは、アジャイルという手法に対し、どういうものを作るか?というアイデアを出す部分をデザイン思考が補完するところにあります。補完して、メイク部分をまずはプロト的に紙芝居のようなものでアジャイル的に作り出していく。アジャイルのプレイヤー達と一緒にどんどんこのサイクルを回していく、ということができます。デザイン思考だけではなく、アジャイルもなくてはならない存在です。加えて、お客様の既存システムといったイメージではなく、新しい事業やサービスラインを作るなどの場合は、リーンスタートアップ ※1 的な手法もここに入ってきます。お客様での成果を見て、実際のアイデアと開発内容に反映します。

これらの手法は、絡み合っています。どれか1つだけでは、片手落ちです。デザイン・トランスフォーメーションを例にとると、企業が目指しているものを明確にし、そこに対してデザイン思考アジャイルリーン・スタートアップなど、新しい手法を適材適所に組み合わせて実践します。

※1. 「リーンスタートアップ」: コストをかけず。最低限の製品やサービス、機能の試作品を短期間で作り、顧客に提供し、顧客反応を得て、観察し、観察結果を分析し、改善し、再び顧客に提供する。このサイクルを繰り返す手法。

IBM でデザイン・カルチャーを作る、という目的を実現するための方程式があります。それは、” People “、” Practice “、” Place ” が重要という考え方です。

IBM デザイン・シンキングを支える「

― 先ほどお話いただいたのは方程式のなかで、Practice 「実践」の部分だと思いますが、では、Place 「場」についてお聞かせください。

 

ここ(IBM Studios)は、共創するための場です。一般的な会議室だと、いきなりセッションを実施したとしても難しいことがあります。やはり集まりやすく、ここに来ると何か面白そうなことが起こるのでは?という雰囲気を感じられることがとても重要です。ここはもちろんセキュリティが厳しいのですが、ソニー社では、1階の受付を通らずすぐ入れるような メイクスペースをお持ちです。  Yahoo 社も Yahoo lodge を開設されています。外部の人の入りやすさであったり、社内の人もそこに来る、そんな場で、様々なことが発生する。このような環境づくりもオープン・イノベーションを謳う企業にとって非常に重要な部分になるのでは、と思います。

 

多種多様な”人を繋ぐ場” とデザイン・シンキング

IBM でもこの「」というものを非常に大切にしています。その場に来るとデザイナーがいて、ノンデザイナーとデザイン思考を使いながら、お客さんと一緒に問題解決をする。共創し、形にするための道具として、デザイン思考があり、様々なバックグラウンドの人々を繋ぐ役目を果たしています。デザイン思考は、仕事の仕方、ひいては働き方のための OS 、インフラやフレームワークのようなものとして機能し、それを有効的に使える 「」として、 IBM Studios が存在しているのです。IBM Studio は、現在、世界43箇所に設置され、社内外の人が共創活動を行っています。

 

お客様にも、「ふらっと来て、デザイナーと話せる、相談できる、そのような場を持つことも重要です。」とお伝えするようにしています。中には、「では、空いてる部屋をこれに使おうか」と、自ら場づくり、空気作りにも取り組もうとされているお客様もいらっしゃいます。

― 確かに、昔ながらの会議室で堅苦しく机を囲んでいるのでは、「さぁ、アイデアを出しましょう!」と言われても活発に思ったことを言い合う雰囲気にはなり辛いですよね。アイデアを出す場合、座っているより、立っている方が良い、ホワイトボードがあって、付箋紙貼れる方が良い、最も重要なのは、多種多様なバックグラウンドを持った人々が気軽に集い参加できる「場」があること、なのですね。

 

IBM デザイン・シンキングでは特に「」を重要視している

― それでは、3番目の 「People」 についてお聞かせください。

ありきたりなシステム開発ではなく、ユーザーにとって本当に価値のあるものを見つけ、提供するといった場合、デザイン思考のバックグラウンドを持った人が、ユーザーを理解することから始めます。アイデアを出して簡単に試作をして、評価するということをぐるぐる回して理解します。このような問題の理解から始めないと、本当の価値を見つけ、提供する、ということことはできません。

 

チーム全体が共感し合うことが大事

その時は、個人的に誰が良くやった、ということではなく「チーム」として成功も失敗も経験するということが重要です。IBM デザインシンキングの中では、特に「チームが大事」ということが言われます。また「共感」が重要とも言われています。ユーザーに共感するだけではなく、チームメンバーにも共感する。チームの各メンバー同士が共感していないと、「私のアイデアが…」といったメンバー間の競争になってしまいます。ユーザーに共感する前に、まずはチームの中で共感し合いながら、お互いの強みや弱みを理解することにより、最大限良いものが出せる、という思想です。

IBM のプロダクト部門があるオースティンを中心にこの取り組みが進んでいます。同じ IBM のオフィスであっても雰囲気が全然違います。助け合いというか、お互いに共感し、オープンな雰囲気があります。そういう意味では、昔の町工場的なイメージです。

 

単体のチームだけでなく複数チームによる”異種交配の場”をつくる

例えば、オースティンの Watson IoT や Watson Health のような製品開発チームの良い例があるのですが、彼らは、作っているものや、やっている事についての情報を通路に張り出しています。それは、ただ、自分たちが行っていることを発信しているだけでははないのです。その通路に張り出された情報に対し、他のチームの人が自由に意見を書き込んだり、アドバイスしたりと、オープンに意見交換を行っているのです。彼らはこれを花粉の受粉に例えて、”クロスポリネーション”と表現しています。異種の花同士の交配、これを起こさなければならない。チームの中でだけでは新しい意見や発見がなかなか出てこないと考えています。オースティンでは、その中での情報がオープンで共有できる環境をつくるため、オフィスのセキュリティーは非常に厳しく・・・・実は、私は毎度行くたびにロックアウトされてしいまうのです(笑)。ですが、それ位厳しいからこそ、実現できているのだと思います。

異種の芽というのを入れる。デザイン・シンキングそのもののチーム構成は、ビジネスの人だけを入れれば良い、 IT の人だけでチームを構成してしまうと、その分野のエキスパートではありますが、多種多様な意見を引き出すのは難しくなります。様々な人を入れて、問題に対してアプローチする、意見を言ったりする、アイデアを出したりする。異質とか多様性からの創造、チームでもいろんなチームが存在する環境の中で、有機的に交わりながらモノづくりするというのがデザインカルチャーの根底にあるような気がします。

昔の印象とは全然違う姿があり、日本の方がまだまだ個人やチーム間が協力し合っていないイメージにあるように思います。

 

-そうですね。デザイン・シンキングを実践する人数やメンバー構成を考える上では、やはり出来る限り多様なメンバーを揃えるというのが重要ということですね?

はい、そうだと思います。

人数の部分からお答えすると、決まった人数というのはありません。 IBM の製品開発でのデザイナーとエンジニアの最適な人員構成は、元々は 1:50 だったり、1:33 だったり、色々な数字がありました。今は、1:8  にしようとしています。デザイナーが、1,600 人になって、このデザイナーとエンジニアの比率はこれぐらいが良いのでは、となっています。最近のスタートアップ、例えば創業者がデザイナーの Airbnb では、1:2、1:3 の比率とのことです。IBM は製品が複雑で、専門的なスキルが必要ですので、将来的にもその割合にはならないとは思います。

- そうなのですね、確かに 1:8 ぐらいに落ち着きそうですね。

はい、エンジニアは、これぐらい必要だと思います。

 

デザイナーを大胆に配置し売り上げが倍増

2010 年に買収された企業から Phil Gilbert が IBM に加わり、 BPM チームを任されました。当初、40 ぐらいあったプロダクトを 4 つに整理しました。人も 1,000 人いたディベロッパーを 600 人減らしました。正確な数字は分からないですが、デザイナーを増やし、プロジェクト・マネージャーと合わせて、700 人ぐらいにしました。人を 30 % 減らし 、更に 4 つにプロダクトラインを減らしたのですが、この次の年の売上は 2 倍増になったとのことです。このような人の構成で、有機的に反応し合い、進めるのが良いということがわかりました。ある意味できすぎた話に聞こえてしまうのですが、 IBM では、オファリングマネージャとデザイナー、エンジニアとデザイナー、など組織での比率を常に意識しているのです。

 

IBM ではデザイナーとエンジニアの比率は 1:8 を理想としていますが、一般企業で言うとどうでしょうか。IT 部門で何か新しいシステムを作るという場合、 1:50 に近い数字のイメージではないでしょうか。しかし、サービスを作るとなると、デザイナーが重要になってきますので、比率はもっと変わってくるのではないかと思います。

―最後に今後、デザイン思考やってみようとか試してみようとかという企業やビジネスパートナーに向けて、何から手をつけて良いかアドバイスいただければと思います。

 

理想から言ってしまいますと、とにかくとりあえずやってみましょう、体験してみましょう、ということになります。

今、 IBM 社内 の営業担当者向けにワークショップを実施しています。その内容を是非パートナーさんにも広めたいと思っています。実現するにはその方法を考えなければならないのですが、ワークショップやセッションという形で体験してみていただければ、その体験を通して、これならお客様とも一緒にできる、という感覚を持っていただけるはずです。まずは、このようなステップを踏んでいただけれたら良いかと考えています。

デザイン思考については、頭で考え始めても悶々とするだけですので、考えるのは体験してからで良いと思います。

 

デザイン・シンキングはパートナー様の強みにできる

実は、お客様が本当にどう困っているのかが、わかっていないことがありますが、デザイン思考を使って、パートナー様自らリサーチし、仮説を立案することができます。また、自社のセールス・プランニングのツールとしても使うことができます。また、デザイン・シンキングを含む他の手法をアピール材料に、新たなお客様へアプローチする手もあります。

 

単純にこの製品を入れましょう、ということだけではなく、例えば、マーケティング・オートメーションのツールだとすると、ユーザーは自動でメール配信ができるのは理解したが、では配信効果が出るのはどのタイミングなのか?ということを実際に配信した結果を元に考えませんか?など、デザイン思考ならではの使い方や取り組みができます。

今後、これらのきっかけとなるセッションをどう実現するか、という課題は残ります。もちろん、課題は課題としてとらえ、日本で IBM として、デザイン・シンキングを広めていくためにできることを考えていきたいと思っています。

 

2回に渡り、IBM デザイン・シンキングについて、特に IBM 社がどのようにデザイン・シンキングを企業の血や肉としてきたかをお聞かせいただきました。
ツールとしてのデザイン思考に注目が集まりがちですが、そのツールを使う「人」や「場」を準備し、ようやく回り始めるという状況だということがわかりました。

また、単純に推進役だけがデザイン思考というツールを知るだけでなく、チーム全体、マネジメント層の理解を得ることももちろんのこと、ひいては評価制度に至るまで、変えていかなければならない、ということに改めて気づかされました。

その上で「日本にはイノベーションの素養がある」と確信し、それには個人個人、そしてチームのマインドセットが重要との認識を更に強めました。

機会があれば、番外編として、「デザイン思考を実現するマインドセット」について考えてみたいと思います。

 

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2025年09月03日

レノボのファンレス常温水冷サーバーって?

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2025年08月21日

【イベントレポート】watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ第一回 開催しました

公開日:2025-08-21 こんにちは。てくさぽブログメンバーの佐野です。 2025年7月17日に「watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ」第一回を開催しました。 2024年12月にもwatsonx Orchestrate(以下wxO)のハンズオンセミナーを開催しておりますが、6月にwxOの大幅なアップデートが入り使い方・作り方が大きく変更になったため、最新情報と基本的な使い方をいち早くお届けするべく企画・開催しました。 また、ハンズオンだけでなくワークショップの時間を設け、wxOがどのように使えるのかを参加者同士でディスカッションし、最後に各チーム毎に発表・共有をすることでwxOの理解を進めるとともに参加者同士のコミュニケーションを図りました。 本ブログではこのテクニカルワークショップについて簡単ですがご紹介します。 目次 watsonx Orchestrate概要 watsonx Orchestrateハンズオン ワークショップ まとめ お問い合わせ watsonx Orchestrate概要 旧wxOと比べて新wxOはAgentの開発方法が変わっています。画面が変わったのはもちろんのこと、エージェントで実行部分を示す用語も「Skill」から「Tool」へ変更となっています。他に大きく変わったのは以下の点になります。 新しく「Knowledge」機能が追加され、Agent内にファイルを添付することができ、簡易的なRAGの構成をNo-Codeで実現 Agent内で定義しているToolを呼び出す際に、LLMが自動でチャットに入力されたテキストから必要な情報を抜き出し、Toolへ渡す Agentから他のAgentを呼び出せる(wxO以外のAgentも呼び出せる)Multi-Agent Orchestration機能 「Behavior」に日本語で返答させたりAgentの挙動を定義 人事業務や購買業務、営業業務といった特定業務向けの事前定義Agentを提供 AgentやToolをPythonで実装するためのAgent Development Kit (ADK)および開発者向けのDeveloper Editionを提供 モニタリング機能でAgent処理履歴のトレース情報を参照可能 自社で開発したエージェントを提供する”Agent Connect”というAIエージェントのエコシステム上でマーケットプレイス環境 wxOの各エディション内の機能の変更と課金対象の変更 このように大きな機能追加や使い方の変更が入ったことをご紹介し、理解頂きました。 watsonx OrchestrateでAgentを作成する時の主な設定項目は以下のようなものがあります。 watsonx Orchestrateハンズオン 概要でお伝えしたように、用語も変わった上に画面も新しくなっています。 そのため、AI Agentを動作させるための以下の基本的な操作をハンズオンで体験頂きました。 wxO環境の説明や基本的な操作 Agentの新規作成 Toolの作成・利用 Knowledgeを利用した簡易的なRAG Agent Tool Builderを利用しFlowやCodeblockの作成 Agentから他のAgentを呼び出し これらのハンズオンはCodeblockを除きNo-CodeでWebブラウザ上の操作で実行できるため、プログラミングやシステム開発の知識・経験が無くてもAI Agentを動かすことができます。Codeblock機能はAgentの動作・処理順を定義する”Flow”の中でPythonを使ってデータを操作するための機能であり、簡易的なETLを実現するものです。 今回のハンズオンでは、サンプルとその手順をご用意したので、参加者の方々が一通りのことを体験頂くことができました。実際にハンズオンで体験頂いた内容のサンプルをいくつかご紹介します。 Agentのサンプル1:都市名からお天気情報を返答するAgent APIで他サービスを呼び出し、都市名を入力すると天気と気温を回答してくれます。 複数の都市名を入力し、表形式で回答してもらうこともできます。 Agentのサンプル2:簡易的なRAG Agent ファイルを添付し、そのファイルの内容から回答をしてくれる機能です。 ハンズオンではIBMの2024年度の年次レポートを添付し、その内容を元に財務パフォーマンスのサマリーを回答させました。 ファイルの該当箇所が参照できるので、根拠を確認できるのがよいところです。 ファイルは事前にAgentに添付しておくこともできますし、ユーザー自身がファイルを添付する使い方もできます。 ワークショップ 今回、ハンズオンだけでなくwxOを自社または自社のお客様がどのように利用すると効率化できるか?という観点でチームに分かれてワークショップを行いました。 1チーム4人の合計3チームに分かれてNI+C Pメンバーがファシリテートしながらアイディア出し・ディスカッションを行いました。 最後に各チームのディスカッション結果を発表いただき、「こんなことできたらいいな」というアイディアを全員で共有し合いました。 ワークショップで上がった意見の中からいくつかピックアップします。 市役所の窓口業務を実施するAI Agent チャットだけでなく音声対応もできる 個別業務を処理するTool/Agentと情報参照のRAGを併用してユーザーへの問い合わせへ回答 ブログを書いてくれるAI Agent 過去のブログを参考にして文体や言い回しを自分流に ドラフト書くAgent、推敲Agent、ファクトチェックAgentなど組み合わせ 薬局の在庫予測や自動発注にAI Agentを活用 まとめ 新しくなったwxOのハンズオンを1か月とちょっとで実施するというチャレンジングなワークショップでしたが、無事終えることができてホッとしています。 ご参加頂いた方々からのアンケートで「最新情報を知り、その環境で動作させられたのがよかった」とご意見を頂いており、準備した甲斐があったと嬉しく思っております。 wxOテクニカルワークショップの第二回も企画しておりますし、他の製品についても企画中ですので、この記事をご覧の皆様のお役に立てるよう、今後も企画・実現していきます。 「こんなことやって欲しい」というご意見ありましたら是非ご意見お願いいたします。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2025年08月04日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateのADKを使ってみた

こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの高村です。 早速ですが、今年5月に開催されたIBMの年次イベント「Think2025」で、watsonx Orchestrateの新機能が発表されました!その中の一つとして、開発者向けの「Agent Development Kit(以下、ADK)」があります。今回はこのADKを活用し、watsonx Orchestrate環境への接続やエージェントの追加といった操作を行い、その使用感をご紹介します。  なお、watsonx Orchestrateについては、今年2月、3月に公開した「watsonx OrchestrateやってみたBLOG」でご紹介しておりますので、是非こちらもご一読ください。 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part1) 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part2) 目次 はじめに ADKとは? ADK使ってみた さいごに お問い合わせ はじめに Think2025で発表された新機能は、6月に環境へ追加されました。それ以前の環境とは、メニュー構成や操作方法、機能名称に変更があります。 例えばこれまで「Skill」と呼ばれていたものが「Tool」へと名称変更されています。 アップデート後の環境につきましては、別ブログにて改めて詳しくご紹介させていただく予定ですので、ぜひご期待ください! ADKとは? まずはADKについてご紹介します。ADKとは開発者向けにwatsonx OrchestrateのAgentやToolをスクラッチ開発するための開発キットになります。ローカル端末などに導入し、pythonベースで開発を行うことができます。 また、ADKとは別に、watsonx Orchestrate Developer Editionをローカル端末に導入することで、ADKで開発したAgentやToolのテストが可能になります。なお、watsonx Orchestrate Developer EditionはDockerコンテナ上で動作し、現時点のハードウェア要件はCPUは最小8コア、メモリは最小16GBが必要です。詳細はInstalling the watsonx Orchestrate Developer Editionをご確認ください。   ADKとwatsonx Orchestrate Developer Editionを利用することで、コードの迅速な作成・修正や柔軟なカスタマイズに加え、環境へのデプロイ前にローカルでテスト・修正が可能となり、作業効率の向上が期待できます。 ADK使ってみた 前述ではADKでAgent開発し、watsonx Orchestrate Developer Editionで動作確認、SaaS watsonx Orchestrateへインポートする構築の流れをお話しましたが、今回の検証における動作確認は検証環境として利用しているIBM Cloud 上のwatsonx Orchestrate利用します。よって前述したwatsonx Orchestrate Developer Editionは利用せず、ADKからwatsonx Orchestrate検証環境へAgentとToolを直接インポートし、動作確認を行いたいと思います。また、ADKのインストール先は自分の端末ではなく、IBM Cloud上に構築したUbuntuのVirtual Server Instance(以下、VSI)を使用します。検証環境の構成イメージは下記の図の通りです。 尚、ADKのインストール要件はPython 3.11以上、Pip、そして仮想環境(以下venv)が必要です。詳細については、Getting started with the ADKをご確認ください。 それでは早速使ってみましょう! VSIのプロビジョニング まずはADKをインストールするVSIをプロビジョニングします。本ブログではプロビジョニング方法について詳しく記載いたしませんが、手順は「【てくさぽBLOG】IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud Object Storageを接続してみた(Part1)」のVSI for VPCの作成をご参考ください。 OSはUbuntu 22.04 LTS Jammy Jellyfish Minimal Install、リソースは2vCPU,4GB RAMで作成しました。VSI作成時にSSH鍵が必要なるので作成を忘れないようにしてください。 作成すると数分で起動します。端末からSSHログインするため浮動IPが必要になります。赤枠で囲った浮動IPを作成しインスタンスに紐づけします。以上でVSIの作成は完了です。 Ubuntuの設定 ターミナルを開きsshでUbuntuにログインします。私はWindowsのコマンドプロンプトを使用しました。Ubuntuユーザでログイン後、rootパスワードを設定し、スイッチできるようにします。 ubuntu@nicptestvsi:~$ sudo passwd root New password: Retype new password: passwd: password updated successfully ubuntu@nicptestvsi:~$ su - pythonのバージョンを確認したところ3.10.12でした。ADKの要件は3.11以上ですので、バージョンアップが必要になります。最初は3.13にバージョンアップしてみたのですが、後続作業と最新バージョンではパッケージが合わなかったのかうまく動かず…仕切り直して3.11を利用することにしました! root@nicptestvsi:~# apt install python3.11 バージョンアップ後、デフォルトバージョンとして3.11を指定します。 root@nicptestvsi:~# sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.10 1 sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.11 2 sudo update-alternatives --config python3 update-alternatives: using /usr/bin/python3.10 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode update-alternatives: using /usr/bin/python3.11 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode There are 2 choices for the alternative python3 (providing /usr/bin/python3).Selection Path Priority Status ------------------------------------------------------------ * 0 /usr/bin/python3.11 2 auto mode 1 /usr/bin/python3.10 1 manual mode 2 /usr/bin/python3.11 2 manual modePress <enter> to keep the current choice[*], or type selection number: 2 root@nicptestvsi:~# root@nicptestvsi:~# python3 --version Python 3.11.13 次に下記コマンドを実行して任意のvenvを作成します。 python3 -m venv /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest <環境のパスを指定 venvを活性化してログインします。下記コマンド結果のようにvenvに入れましたらUbuntuの設定は完了です。 root@nicptestvsi:~# source /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest/bin/activate (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# ADKのインストール 以下コマンドを実行してADKをインストールします。ADKは6月時点で1.5.1が最新バージョンです。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# pip install ibm-watsonx-orchestrate Collecting ibm-watsonx-orchestrate Downloading ibm_watsonx_orchestrate-1.5.1-py3-none-any.whl.metadata (1.4 kB) Collecting certifi>=2024.8.30 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading certifi-2025.6.15-py3-none-any.whl.metadata (2.4 kB) Collecting click<8.2.0,>=8.0.0 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading click-8.1.8-py3-none-any.whl.metadata (2.3 kB) Collecting docstring-parser<1.0,>=0.16 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading docstring_parser-0.16-py3-none-any.whl.metadata (3.0 kB) Collecting httpx<1.0.0,>=0.28.1 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading httpx-0.28.1-py3-none-any.whl.metadata (7.1 kB) ----中略---- (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate --version ADK Version: 1.5.1 ADKの環境設定 次にADKの環境設定を行います。watsonx OrchestrateのインスタンスIDが必要になるため、watsonx OrchestrateのSetting画面に入り確認します。下記画面をご参考にしてください。 環境設定コマンドはこちらになります。-nの後はvenv名を指定し、-uの後はインスタンスIDを指定します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env add -n <仮想環境名> -u <環境のインスタンスID> [INFO] - Environment 'my-name' has been created [INFO] - Existing environment with name 'nicpse' found. Would you like to update the environment 'nicpse'? (Y/n)y [INFO] - Environment 'nicpse' has been created 以下コマンドを実行して、IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateと認証設定をします。APIキーの取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」のAPIキーの取得をご確認ください。尚、リモート環境に対する認証は2時間ごとに期限切れになります。期限が切れた場合は再度認証する必要があります。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env activate nicpse --apikey <APIキー> [INFO] - Environment 'my-ibmcloud-saas-account' is now active [INFO] - Environment 'nicpse' is now active 下記コマンドを実行してCLIから利用できる環境のリストを表示します。IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateがactiveとなっていました! (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env list nicpse https://api.us-south.watson-orchestrate.cloud.ibm.com/instances/XXXXXXXX (active) local http://localhost:XXXX Toolとagentのインポート 次にToolとAgentのインポートを行います。ToolとはAgentがタスクを実行する際に利用する機能です。今回は、IBM様より共有いただいたyfinanceを活用したToolおよびAgentのコードを、ADKを用いてインポートします。なお、yfinanceはヤフーファイナンスから株価などの金融データを取得するためのPythonライブラリです。 最初にToolのインポートを行います。下記の様に、scpなどでToolファイルとrequirements.txtをディレクトリにアップロードしておきます。requirementsファイルは他のモジュールと依存関係がある場合使用します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# ls -l total 12 -rw-r--r-- 1 root root 0 Jun 24 04:42 __init__.py drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jun 24 04:38 __pycache__ -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 8 Jun 24 03:02 requirements.txt -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 1778 Jun 24 02:46 yfinance_agent.py 下記コマンドを実行してToolファイルとrequirementsファイルをインポートします。企業情報を取得するstock_infoと株価を取得するstock_quoteの2つのToolがインポートされました。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate tools import -k python -f "./yfinance_agent.py" -r "./requirements.txt" [INFO] - Using requirement file: "./requirements.txt" [INFO] - Tool 'stock_info' imported successfully [INFO] - Tool 'stock_quote' imported successfully listコマンドを実行するとインポートされたToolを確認できます。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:# orchestrate tools list ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┳ ┃ Name ┃ Description ┃ Permission ┃ Type ┃ Toolkit ┃ App ID ┃ ┡━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━╇ │───────────┼────────────┼── │ send_mail_brevo │ send a meil using Brevo. │ write_only │ python │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_quote │ 企業のTickerSymbolを用いて株価… │ read_only │ python │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ Untitled_6160RC │ No description │ read_only │ openapi │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_info │ 企業のTickerSymbolを用いて企業… │ read_only │ python │ │ │ └─────────────────────────────────┴──── 次にAgentをインポートします。下記コマンドを実行します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate agents import -f ./yfinance_agent.yaml agent listコマンドでインポート済みのAgentを確認できました。Agentが使用するToolも表示されています。 (your-venv-adktest) # orchestrate agents list ┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━ ┃ Name ┃ Description ┃ LLM ┃ Style ┃ Collaborators ┃ Tools ┃ Knowledge Base ┃  ┡━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━ │ yfinance_age… │ 企業の会社情… │ watsonx/meta- │ react │ │ stock_info, │ │ │ │ │ llama/llama-3 │ │ │ stock_quote │ │ ││ │ │ -2-90b-vision ││ │ -instruct │ │  IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで動作確認 インポートしたAgentとToolをIBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで確認します。 watsonx Orchestrateへログインし、BuildからAgent Builderを選択します。 yfinanceエージェントが表示されているので、クリックします。 クリックすると、Agent作成画面に入ります。UIから基盤モデルを変更したり、Agentの振る舞いなど変更することができます。 スクロールして、Toolsetを確認するとADKからインポートしたToolが登録されています。 右のPreviewからAgentの動きを確認することができます。今回はDeployせずPreviewで確認します。入力欄には「IBMの株価は?」と質問してみます。しばらくすると本日の株価が回答されました。Show Reasoningを開くと推論過程を確認することができます。株価を取得するTool「stock_quote」を使用し、AIがユーザの入力から自動的にTicker symbolを入力していることがわかります。 次に「IBMの企業情報」と質問をします。しばらくするとAIがユーザの入力からTicker symbolを入力し、Tool「stock_info」を利用して企業情報を取得、回答されました。ユーザの入力内容からAgentが使用するToolを選択し、実行していることがわかります。   さいごに ADKのご紹介とADKを使ってToolとAgentのインポートを行いました。 ADKのインストールおよび設定について、Pythonバージョンの設定やvenvの作成でつまずく部分はありましたが、venvが作成できればその後の設定はスムーズに進められました。 今回はVSI上のUbuntuサーバにADKをインストールしましたが、ご自身の端末に導入することで、より気軽にAgent開発を行えるかと思います。なお、今回は検証対象外でしたが、watsonx Orchestrate Developer Editionを利用する場合は、インストール要件としてやや高めのスペックが必要になる点にご注意ください。 検証時のADKのバージョンは1.5.1でしたが、7月末では1.8.0が最新バージョンとなっています。比較的頻繁にアップデートされますので適宜Release Notesをご確認ください。バージョンアップでコマンドオプションも変更される場合があるため、マニュアルを確認するかコマンドに`--help`を付与してパラメータを確認することをおすすめします。   お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; }

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