2013年03月

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実際どうでしょう Vol.4「『PureFlexは高い製品だからこそ・・・』エバンジェリストへインタビュー」

インタビューシリーズ 「実際どうでしょう」

普段の製品・ソリューション紹介だけでは聞き出せない情報を「実際のところはどうなんだろう?」という素人視点で、専門家に聞いてみるシリーズです。

掲載: 2013年3月

 

<重山は「PureFlexってお高いんですよね」程度のドシロウトでした。今回の話で柴田さんのファンになりました。 (*´ω`*) >

今回は、第1回の新井さんからの紹介でIBMエバンジェリストの柴田さんにお会いしました。
HP→Microsoft→IBMという経歴の持ち主で、ベンダー側の売込みにならない論法を身につけていらっしゃるザ・エバンジェリストという方でした。(インタビュアー:重山)
エヴァンゲリオンではなく、エバンジェリストの柴田さん

PROFILE

日本アイ・ビー・エム株式会社 柴田 直樹さん
システムズ & テクノロジーエバンジェリスト (PureSystems担当)
High Performance Computing(HPC)/VDI/Cloud ソリューション
ITmedia オルタナティブ・ブログ;My Life As Evangelist

※ 2013年3月時点でのプロフィールです。

MERITひろば事務局 重山 勝彦 (インタビュアー)
日本情報通信株式会社 MERITひろば事務局 入社3年目にてMERITひろばの運営、コンテンツ全般を担当。

 

「オンプレミス」は「固定資産」だと思えばわかりやすい

—– 本日は午後にマイナビのイベント※1で壇上に上がられるのですね。そんな忙しい時にインタビューのお時間頂戴して恐縮です。(重山)

 

※1 2013.02.08 マイナビニュース仮想化セミナー ~仮想化環境に最適なIT基盤とは!?~ 【Day 2】今こそ仮想化基盤を再考しよう!

 

柴田: 体調も喉の調子も良いので、大丈夫ですよ。ぶっつけ本番も鍛えられていますから(笑)
それよりも、インタビュー用の資料などは用意していないのですが、大丈夫ですか?

 

—– いつも雑談の雰囲気で進めているので、流れでお願いします。

 

経歴を拝見しますとHPC(High Performance Computing)※の分野にいらっしゃったのですね。
しかし、HPCって良く知らないのです。「グリッドコンピューティング」という単語ならなんとなく知っています。

※単位時間当たりの計算量が非常に多い計算処理、まとはそのコンピュータを示す。(High Performance Computer)
膨大な時間やコストがかかる大規模な実験の代用や、不確定要素の多さから実験が困難な自然科学現象の解明といった目的で行われることが多い。

 

柴田: あ、いいですね。いきなり自社製品の話をしてもつまらないですからね(笑)

HPCの世界では世の中で普及するずっと前から コモディティ(汎用製品)を並べていく「グリッドコンピューティング」がありました。車でいうとF1(HPC)の技術が一般車(汎用マシン)に落ちてきたようなものなので、例えば、並列、分散処理、ビッグデータも昔から関わっていて、なぜいまごろ賑わっているのだろう? というのが個人的な感想としてあります。

 

-—- 先に知り尽くしている技術ということですね。
あ、思い出しました。グリッドコンピューティングといえばGoogleの検索ポータルを支えているのが数千台のPCサーバを繋いで処理しているというWeb記事を見たことがあります。

 

柴田: よくご存知ですね。たしか当時、ひとつのリージョン(地域)で数千台だったと当時は聞いていました。

 

—– その技術はあまり企業のITには普及していない気がします。

 

柴田: はい、グリッド(コンピューティング)がなぜ流行らなかったのか。(実際には金融業界では積極的に採用された技術だと思います。)

それは、一言でまとめると「標準化覇権競争が発生し、まとまらなかった。」のかなと想像しています。そうでなければ、仮想化統合の流れも、もっと早くきていたはずです。ビジネスの世界では、技術が評価されて普及するだけでなく、違う力学が発生しますからね。

また、ITの世界では、言葉を定義したモノ勝ちという風潮もあります。
例えば、“クラウド“も人によって定義が異なると思いませんか?

 

—– はい。おっしゃるとおりです。特に“プライベートクラウド”は社内なのか、社外なのか・・・等の前提を揃えておかないと会話が咬み合わないケースがあります。

 

柴田: 以前、メンバーと“オンプレミス“の定義を話し合った結果「固定資産でいいんじゃない?」という事がありました。

 

—– 固定資産ですか。面白いですね。確かにシステム用語ではなく、会計で定義したほうが法人としては概念を理解しやすいですね。

 

柴田: はい。固定資産と考えると償却する、つまり“使いきろう”という意識が強くなるじゃないですか。クラウドに対するオンプレミスという言葉はそのほうが分かりやすいはずです。

 

「既存システムをクラウドにするだけ」というメッセージは偏っている

柴田: 今は WindowsAzureやAWS(AmazonWebService)、もちろんIBMのSmater Cloudも含めて 大手のパブリック・クラウドが全盛と言われていいますが、私はこれらの「既存システムをクラウドにするだけ。ハードウェアを持つことはもう古い」的なメッセージは少し偏っていると思っています。

 

—– 偏っているとはどういうことでしょうか。

 

柴田: この話は、昨年(2012年)の10月に開催されたイベント“ISUC仙台大会※”で参加者とディスカッション形式のセッションをした際のテーマなのです。

いわば、クラウドについての“実際どうでしょう?“版で、世の中に多く出ている「常識」「風評」「メリット」「デメリット」などの信憑性についてお話ししました。一部ですが、自社サービスも含めた否定的な内容もあったので大丈夫かなぁと思ったのですが共感をいただきうれしかったです。
※ iSUC(アイザック)は、IBMのユーザー団体《全国IBMユーザー研究会連合会》が主催するIBMシステム・ユーザーのための研修会
※【白熱教室】 社内 IT システムのクラウド化 「真の考慮点」 – 世の中の常識は ウソ か ホントか !?

 

オンプレミス=「固定資産」

 

—– おととしのISUC大津大会はMERITひろばも出展していたのですが、昨年は参加できませんでした。一部だけでも結構ですので、その内容を教えて頂けませんか?

 

柴田: はい。もちろんです。

クラウド利用に関する考え方をご紹介しました。例えば、料金体系については、大手クラウド事業者のメッセージって「時間あたり◯◯で安いです」「使った分だけお支払い」という面がありますよね。

それは日本のビジネスにフィットするかな?という視点です。例えば、日本の中小企業様のITに利用可能な「流動的な運用費用」は果たしてどのくらいあるんだろう。。ということです。

 

—– トータルコストについては、ケースバイケースだと思いますが、「使った分だけ」という重量課金の仕組みは、最大のインフラを考慮して自社構築するよりコスト的に有効だろうというイメージがありますが。

 

柴田: 日本の企業のIT部門のSEは社員が中心ですが、例えば、北米では80%以上がアウトソーシングです。つまり最初から外注費という概念なんですね。そのため、ITコストの増減には慣れています。

 

一方、日本のIT部門の予算は、月額で流動的に使える金額幅は10万円以下がほとんどです。来月急に30万あがりますと言われても予算を確保していないので困ってしまいます。
ですから国内企業はクラウドといってもEaaS、PaaS、もさることながら VPS(バーチャル・プライベート・サーバ:ここでは仮想サーバサービスの意味)でコストを固定金額で利用するのとう方も多いということです。

日本の製造業や金融業などはかなり計画性が高い産業ですからね。それで年間運用できるのです。

 

—– なるほど、北米で流行っている仕組みをそのまま日本に適応するのは合わない場合があるということですね。

 

柴田: はい。個人的にはパブリッククラウドベンダーのメッセージは黒船的に感じます。

あ、IBMもそのようなメッセージを出しているので自社否定になっちゃいますね。間違っているという意味ではなく、そのまま鵜呑みしないで検討すべきと表現させてください。(笑)

 

—– はい。心得ています。(笑)

 

でも、警笛を鳴らせるのは、エンドユーザのお客様の視点がわかっているからこそ言えるのですよね。

 

PureFlexは高い製品だからこそ、納得して採用してほしい

—– 今期から担当になっているPureSystems、特にH/WのPureFlexについてはどのように紹介しているのですか?

 

柴田: PureFlexはお客様から見て、価格だけ見ると 高い製品ですよね。

 

—– あれ、私がこのインタビュー中に勇気を持って「すごく高価格帯の製品ですよね?」って言おうと思っていたのに先に言われてしまいました。エバンジェリストとしては珍しいですよね。これだけの機能とサービスがある!というのが先にくると思っていました。(笑)

 

柴田: そうですね、エバンジェリストのイメージってスマートにテクノロジーとビジョンだけを話すと思われがちなのですが・・・(笑)

昨年、ある検証作業で、ローエンドモデルのx3300 M4(IBM System x3300 M4)を使ってパフォーマンス検証していたのです。CPUはインテル Xeon プロセッサーの2400系です。とにかく20万~30万台のサーバマシンです。これでラッシュテストをしたら凄く処理が早かったので衝撃的でした。これを知ってしまった上でPureFlex製品を紹介していくにはどうすればいいんだろうと悩みましたね。(笑)

それもあって、高いからこそ、お客様にはちゃんと検討し、納得して購入してほしいという思いに至りました。つまり「高い理由と、高い出費でお客様にお届けできるPureFlexの価値」を共感頂ければ。という思いで製品の訴求をしているところなのです。

—– 柴田さんって本当に正直な方なんですね。(笑)具体的にはどのように紹介されるのですか?

 

柴田: お客様が求めているものは“リスクの低減”と“コストの削減”が必要なのです。

製品のパフォーマンスは最近のハードウェア十分過ぎるほどありますし、お客様も理解されています。ですから、“リスクとリスクヘッジをどのレベルまで考慮するか”をテーマに考え、お客様の反応を確かめながら紹介をしています。

例えば、昨年はとある中小規模のデータセンター事業者様にPureFlexの紹介でまわったことがあります。

ちなみに業界大手のデータセンター事業者様はこちらが売り込んだから買うというレベルではなく、自社で調達基準を決めておられます。もっとハッキリ表現するとベンダーの意見はをすべて共感してくれるなんてことはなかなか無いのかなと思っています(笑)

 

—– サーバの購入台数も多いですから、買い手側が強いのですね。Facebookのデータセンターはデータセンターやサーバ部品の仕様を公開してその“仕様に合わせた製品を売り込みしてこい“という感じですよね。

 

柴田: はい。ですから次にクラウドの中堅、中小事業者にご紹介に行くわけです。イメージとしては物理サーバ台数が3桁のレベルです。このゾーンの企業がPureFlexを採用してくれないかと考えたのです。

事業者は大手のコストメリットには太刀打ちできない分、インフラについては、すごく細かいところまで配慮されています。特に“リスク”対してはものすごく考えて、工夫されています。昨年、いくつかデータセンターでデータ消失やサービス中断などの事故がありましたが、あの事例では大手の資本があったからこそ大丈夫でした。

中堅・中小ではひとつのミスが事業継続できなくなるレベルですから。

 

—– そういえば、Azureサービスは、うるう年計算不具合で止まったりしていましたが、大手だから影響は大きくても即倒産にはならないですね。

 

データセンター事業者にどうしても消せないリスクを教えてもらいました

柴田: データセンター事業者の方々に教えていただいたのですが、対策を取り続けていてもどうしても消せないリスクの1つというのが「メンテナンス作業中にサーバのケーブルに触れてシステムエラーを起こす」ヒューマンエラーだそうです。

確かに、ラックに入っているサーバのケーブルは8ノードで40本くらいに刺さっているわけですね。こうなると設定変更や移設作業中に間違ったケーブルに触れて場合によっては抜いてしまったりすることにもなる訳です。

このリスクを減らすためにBladeを導入したと聞きました。なるほどと思った訳です。

 

—– その話は現場ならではですね。機能、性能、コストの比較ではなく、運用する観点で製品を採用されてきたのですね。

 

柴田: はい。例えば「こういったケーブルリスクも考えてPureFlexを採用を検討しています。」というメッセージはエンドユーザのお客様にお伝えしていいのではないかと思います。

それが付加価値の1つですから。それ以外にも話しきれないほどの価値はあるんですが、わかりやすい例を1つご紹介しました。

実際に、あるデータセンターでやっていることなのですが、「下位コースでは汎用的なXXXサーバを利用しています。上位コースは大手メーカー製です。」と料金プランに記載しているのですね。1.5倍程度しか差がないですから上位を選択されるお客様も増えるわけです。
—– エンドユーザから見てもリスクと対策の中身がわかるから安心ですね。

 

海底ケーブルの障害でデータ通信に大きなタイムロスを生むことがある

柴田: 他にもクラウド検討時に何がリスクなのか?という視点では海底ケーブルの話があります。

エンドユーザは「ディザスタリカバリ(災害対策)として、海外のサーバにもバックアップをとっています」とおっしゃるケースがありますが、3.11の震災の時に日本と海外をつなぐ海底ケーブルやルーターが故障して繋がらなくなった事実はあまり知られていません。

切れた回線は、他のルートを迂回することで継続して使えるのですが、その迂回ルートの通信には何時間も余計に時間がかかるケースもあり、ビジネス継続としては問題です。

 

—– 全然知りませんでした。そもそも世界のインターネットとつないでいる海底ケーブルがどうなっているのかも知りません。

 

震災時にどの回線に障害が発生したかは一般的には公表されていません。ケーブルのマップはWeb検索で簡単に見つけることができます。

注釈)インタビュー時にはそのデータを見せていただけましたが、掲載できません。ご了承ください。

 

—– いやぁ、この情報を知ってしまうと海外に2重化していれば万全とは限らないと思ってしまいます。

 

柴田: はい。ベンダーとしてもこのようなリスクを正直に話した上で最適な利用を提案した方がお客様の信頼を勝ち取れるのではと思っているのですが、なかなかそうはいかないようですね。(笑)

 

10年を見据えたシステム・・・では足りなかった

柴田: しかし、このようなリスクを真摯にお伝えすることで、お客様は「普通のサーバでいいんだっけ?、クラウド基盤はどこにしっかりと持つ必要があるんだっけ?」となりここでやっとIBMの話を聞いてくれるのです。

 

—– 時間はかかるかも知れませんが、リスクと向き合うという点で必要な話ですね。それにしてもエバンジェリストとしては製品のリスクを先に話すのは珍しいなぁと思ってしまいます。

 

柴田: もし私がエバンジェリストではなかったら、このようなリスクの話はしないで、「ハイ、機能はこうです、比較するとこうです、だからこのマシンです、クラウドはダメです IBMが一番です」という話をしていたかも知れないですよ(笑)

 

—– 聞いたことがある会話です。(笑)

 

リスクをお伝えして、興味をもってもらった後に、IBM Flex Systemsの話に進み、「今後10年のクラウド基盤として使い続けることができる製品」と紹介するわけですね。

 

柴田: 私の発言を調べていらっしゃいますね。

実はですね、う~ん、この10年を見据えたという表現は思い切って発言したつもりだったのですが、お客様はもっと長い期間を期待されている場合も多いのですね。とあるお客様からは「短いよ」と言われてしまいました。例えば 公益、政府系のシステム等はインフラを長期期間維持する必要がありますから。

 

—– 情報系のシステムなら10年あれば十分と思ってしまいます。しかし、今から10年前はどうだったかを考えてみればいいのですね。

 

flexsys01

 

 

WindowsXPは20世紀に基本設計されたが現在も主流

柴田: その通りです。

例えば、ブレードサーバー(IBM Blade Center)は「立派な10年選手」の製品ですが、現在も利用されています。ラックマウント型の基本設計をしている時にこれほどまでに仮想化が普及するとは誰も思っていなかったと思いますが、設計に余裕をもっていたからこそ、今日も問題無く利用いただいているのだなと思います。

ちょっと方向性は違いますが、クライアントPC向けのOSで言えば、WindowsXPは2000年に基本設計したOSです。つまり20世紀のOSがまだメインで使われていることになります。

 

—– ITの仕事についていると新しい製品や仕組みがどんどん出てきているのを日々感じていますが、利用者としては、長く使いたい、使わなければならないケースは多々あるのですね。

さてPureFlexは、ハードとソフトをベンダーがあらかじめ最適に組み合わせた製品、いわゆる「垂直統合サーバ」になると思いますが、最近はクラウド基盤のサーバとして勢いがあるように感じています。

 

柴田: 確かに垂直統合が他のサーバを凌駕するようなイメージをメディアが発信しているかもしれないですが、例えばPower Systems(AS/400)を選んだお客様などは必ずしも同意する訳ではありません。

 

また、Pure Flexは販売店がほいほいと売れる訳ではないのは、重々承知しています。そのような状況でクラウドサービスに魅了されるお客様が増えるのも良くわかります。だからこそ、選ぶ方には慎重に選んでほしいと思っています。

 

—– 「MERITひろば」のコンテンツ掲載の業務に携わって勉強になっているのは、ハードウェアもソフトウェアも機能で紹介する/売る時代は終わってきていて、性能が良いのは当然で、そこにお客様が共感できるストーリーがあると良いということです。なんだかワイナリーがワインを販売するのと同じですね。

 

「100年続くワイナリーで、全体の数%しか取れない品種を贅沢にしようし、防腐剤は一切使わずにオーガニックで醸造、空輸も一定の温度で管理して・・・」

 

日本人は良い物は高くても買う、コモディティは100円ショップで買う

柴田: そうそう、その通りです。

 

それを「ドイツワイン、辛口のシュペートレーゼ、1本50万円です。すごく美味しいです。」と言われただけでは買わないですよね。

日本人は良いものは高くても価値がわかれば買います。一方コモディティ製品は100円ショップで買います。100円ショップのグッズもちゃんと使えるじゃないですか(笑)

 

—– おっしゃるとおりですね。実は私はMERITひろばの運用以外で、部門システムのインフラの管理も担当しているのですが、例えば、私どもの会社(日本情報通信)がクラウドを検討すると想定した場合のポイントなどはありますか?

 

柴田: そうですね、企業の成長カーブとクラウドの利用度には傾向があります。

従業員規模では250名くらいまでは積極的にクラウドを採用していきます。10人、20人のベンチャーなどは全てクラウドで賄えますよね、その延長の目安が250名くらい。今度は250名から500名くらいに成長していくと、クラウド投資額が膨大になっていくので、今度はオンプレ、固定資産のITシステムに進みます。

次に1,000名規模を越えていくと、事業の変化やIT規模の柔軟に対応できるのでクラウドの利用が進んでくるのです。従業員規模はあくまで参考値とみてもらってもこの流れがわかってもらえるかと思います。

 

—– クラウド利用度は上がって落ちるがまた上がる(0人 ↑  205人 ↓ 500人 ↑ 1000人 ↑ )というカーブを描くのですね。

確かに弊社は全体で1,000名超であり、基本はオンプレミスが多いですが、今まさにプライベートクラウド利用の検討が進んでいます。すごい、ぴったり当たっています。

 

柴田: 良かったです。お客様の企業がどのポジションにあるかの目安になりますからね。

プライベートクラウドを進めていく際の副次的高価としては、IT資産の棚卸ができる点があります。普段全然やれていない企業がほとんどです。また、プライベートクラウドにしましたというお客様でも仮想化していない、またはできない事情が残ったサーバーも少なくないことが多いです。

例えばFaxサーバや移植ができない基幹システムの一部です。こういったレガシーシステムは仕組み上残さないといけない場合も出てきます。

 

—– 実に興味深い話です。今日はこのあと移動して、イベントで壇上に上がられる訳ですから、もっとお話したいのを我慢します。是非、第2弾をやらせてください。

 

柴田: 楽しかったです。第2弾、こちらこそお願いします。

 

 

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2025年06月09日

安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(後編)

Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管されて丸6年が経ちました。 Domino は、高い開発生産性と堅牢性を兼ね備えたアプリケーション基盤で、長きにわたり企業の業務効率化を支えてきた歴史ある製品です。一方、重ねてきた実績の分だけ、バージョンアップに対する課題も垣間見えます。 今回は、エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware のテクニカルリードである松浦光様に HCL Domino のビジネス状況や今後の展開など、多岐にわたり話を伺いました。(本ページは後半です[前半も公開中]) 対談者 【ゲスト】 エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware テクニカルリード 松浦 光 様 【インタビュアー】 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション企画部 松田 秀幸 ※対談者情報は2025年6月9日時点 新バージョン V14.5 が刻む新たな一歩 生成AI を Domino の中に ── この夏に新バージョンの出荷が予定されていますね。 松浦: はい、2025年6月にバージョン V14.5 の出荷が予定されています。 ── V14.5 のポイントは何でしょうか? 松浦: 目玉の1つとして、Domino の中に AI を持つ「Domino IQ」 という機能がリリースされます。 なぜ、わざわざ自社で生成AI を持たなければいけないか、と思われる方もいると思いますが、理由の1つはセキュリティです。 Domino と生成AI の統合「Domino IQ」 自社のベストプラクティスを得られる ── 「Domino IQ」は、どのようなものでしょうか? 松浦: 完全にローカルで生成AI を持つことで、機密度が高い自社の情報についても問い合わせできるようになります。 加えて、自社の Domino を20~30年使い続けているお客様は結構多く、その積み重ねた情報に注目しています。そこで、今まで溜め込んだナレッジを生成AI に教え込み、ベテランの方が持つナレッジや自社のベストプラクティスを回答する生成AI を作っていく 流れですね。 このような利用も考えて、Domino IQ を開発しています。 ── 生成AI のモデルは、HCL で作っているのですか。 松浦: HCL 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のロードマップ、戦略はどのようになっているでしょうか。 松浦: この夏に出荷予定の V14.5 では実行環境のアップデートやスマホ・Web対応の進化や生成AI連携など、HCL になってから大きく描いたロードマップの答え合わせになるバージョンです。 アプリケーションを作り、うまく使ってもらう というのが、Domino の軸になっていると思います。Notesクライアントで動くアプリケーションから Webブラウザやモバイルで動くアプリケーションまで、様々なものがあります。それらを支えていくというのが Domino の DNA です。 ── 確固たる理念と設計思想があるのですね。支えるためには、Web対応や生成AI連携なども見越した拡張性も重要だと。 松浦: 作成したアプリケーションを拡張していくという方向性として API連携が挙げられます。Domino だけで全ての業務が回るとは考えていないので、周辺の製品サービスとの連携が簡単にできる というのがポイントの1つです。 兄弟製品に繋げる二段構えの展開 ── バージョンアップ以外での、ビジネス戦略は何かありますか? 松浦: アーキテクチャは異なりますが、開発環境の観点も含めれば兄弟製品といえるものがあります。 例えば Volt MX という製品には、モバイルOS を含む様々なプラットフォームのネイティブアプリケーションを作る機能があり、単一の開発環境で作成できます。 ── 開発するアプリケーションによって、戦略の幅が広がりますね。 松浦: Volt MX は一例ですが、プラットフォームを問わず使っていただけるような 本格的なアプリケーションについては兄弟製品 に繋げていく、という二段構えの戦略を考えています。 ── 兄弟製品への横展開…Domino が秘めるビジネスの可能性といえそうですね。 松浦: 今後のロードマップは、我々が描いた V14.5 の評価をユーザーから得ながらアプリケーションの軸はぶらさずに兄弟製品と補完しながら作っていく予定です。 ── Volt MX 以外に、どのような兄弟製品がありますか? 松浦: Nomad Web Designer、Domino Leap という製品があり、どちらもブラウザで動きます。 Domino Leap は、エンドユーザー様が『ITの専門知識を必要とせずに簡単にアプリケーションを作成したい』というローコードの需要を補完できるツールとして位置づけています。 Nomad Web Designer は今まで Windows PC でしか提供されなかった Domino Designer を MacOS でも同じように使えるようにしたイメージです。 ── いくつもの製品があり今後の展開も楽しみですが、まずは V14.5 からですね。 松浦: 旧バージョンをご利用中のお客様においては、まず他社製品との連携までかと思っています。 今は塩漬けの状態で、Domino の中だけで流通している情報があると思うので、それを他のシステムにも流通させてもらいたいですね。 1つの製品内だけでは情報の流れが停滞することもあると思います。業務の活性化のためにも、他社製品やAIとうまく連携し Domino を『情報の流れを淀ませないような解決策』という位置づけ に持っていきたいという思いもあります。 HCL 様からのメッセージ 過去にとらわれない新たな事例でアプローチ ── 長年 Domino を販売されているパートナー様に、特にお伝えしたいことはありますか。 松浦: HCL に移ってから使っていただいてるお客様から、「色々なツールを使っているが、やはり Domino は凄く良い製品だよね」という声をいただくことがとても増えている気がします。 お客様がやりたいことに耳を傾けると、今までにない新しい使い方 もどんどん出てきます。 弊社サイトで公開しているお客様事例にも掲載しているので、Domino を長らく販売していただいているパートナー様はもちろん、Domino の販売に興味をお持ちの企業様にも、ぜひご覧いただければ嬉しいです。 Domino はかゆいところに手が届く業務アプリを作るには最適なツールだと思うので、そこを強みとしてどんどんビジネスを仕掛けて欲しいと思っています。 インフラの観点においても、堅牢でパフォーマンスのいい製品に仕上がっていますし、他の SaaS製品との連携も充実しているので、「今までの Domino ってこうだよね」という枠の中だけで考えずに 販売していただきたいと思います。 V14.x を避けて V12 にする意味はない ── では最後に、Dominoユーザー様、パートナー様へのメッセージをお願いします。 松浦: Domino に限らず、バージョンアップの際は『どのバージョンにするか』を迷われるケースがよくあります。 今回のバージョンアップは V14.5 と刻まれたバージョンなので、V14 や V12 という実績があるバージョンを検討したいと思われるお客様もいるかと思いますが、この度 V14.0 の非互換検査をしたところ、12.0.1以上であればアップデートされたプラットフォームとして動作が変わらないことが分かりました。つまり、『14.5 もしくは 14 を避けて V12 にする意味はない』 ということなので、ぜひ最新バージョンを検討していただきたいと思います。 14.5 も新機能を使わなければ 14 と同じような挙動なので、保守期間が残っている新バージョンを使っていただいて、興味のある新機能にトライしていただくのが良いのかなと考えています。 ── 本日はありがとうございました。 HCL Domino について問い合わせる まとめ ここまで HCL Domino の新バージョンや今後の展開など、多岐にわたり HCLSoftware 松浦様にお伺いしてきました。 最後に、前半の話を含め HCL Domino の特長となる強みとバージョンアップを推奨する理由をまとめます。 HCL Domino の強み 高い開発生産性と堅牢性 簡潔で迅速なアプリケーションの開発。 長期的に使用されることに適した、運用の安定性。 優れた互換性と柔軟性 チェックツールにより、新旧バージョンの互換性を担保している。 古いバージョンのデータやアプリケーションも最新バージョンで動作可能。 コミュニケーション基盤が別製品でも、Domino を併用できる。 新バージョン V14.5 の新機能「Domino IQ」 セキュリティを確保しながら自社データを活用した生成AI の活用が可能。 過去のナレッジを活用し、業務改善を支援。 Domino の現状とバージョンアップを推奨する理由 Domino の現状 Domino は35年以上にわたり利用されている製品で、現在も市場は活況。 ユーザー数は多く、旧バージョンのまま利用される「塩漬け運用」も多い。 バージョンアップを推奨する理由 サポートが終了したテクノロジーへの脆弱性対応として必要。 新旧バージョンの互換性を担保している。 Domino は他社製品との共存が可能。 新バージョンは V14.5で、新たな機能が追加された。 (本ページは後半です[前半も公開中]) HCL Domino について問い合わせる このページを見ている人におすすめのページ 安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(前編) HCL Domino 製品紹介ページ Com-PASS Cloud|Domino Notes アプリのお預かりサービス .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 16px; font-weight: 700; color: #9b9b9b; border: none; padding: 0; margin-bottom: 10px; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A 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2025年06月09日

安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(前編)

Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管されて丸6年が経ちました。 Domino は、高い開発生産性と堅牢性を兼ね備えたアプリケーション基盤で、長きにわたり企業の業務効率化を支えてきた歴史ある製品です。一方、重ねてきた実績の分だけ、バージョンアップに対する課題も垣間見えます。 今回は、エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware のテクニカルリードである松浦光様に HCL Domino のビジネス状況や今後の展開など、多岐にわたり話を伺いました。前半では「Domino の現状」を中心に、後半では「新バージョンの登場と互換性」をテーマにバージョンアップについてより具体的に語っていただきました。(本ページは前半です[後半も公開中]) 対談者 【ゲスト】 エイチシーエル・ジャパン株式会社 HCLSoftware テクニカルリード 松浦 光 様 【インタビュアー】 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 ソリューション企画部 松田 秀幸 ※対談者情報は2025年6月9日時点 HCL Domino の現状 製品の変遷と現在のビジネス状況 ── Domino が誕生してから35年以上が経過し、IBM から HCL に移管(2019年7月)されてからも丸6年が経ちました。今、HCL としての Domino のビジネス状況はいかがでしょうか。 松浦: 現在も利用していただいているユーザーも多く、市場としては活況です。 見た目や使い勝手も含めた新機能が多く実装されてきた点、バージョンアップのサイクルが非常に良いペース で進んできている点が、ユーザー様、パートナー様から製品投資として評価をいただいてます。 一方、Domino のクラウドに対する対応が SaaS としてではなく Amazon や Google などのクラウドキャリアとの協業による提供に主眼をおいているので、その点が他の SaaS型コミュニケーションツールと比べてもう少しなんとかならないかという声は未だにいただいている状況です。 ── Domino のクラウドに対して、SaaS型コミュニケーションツールとしても期待もされているということですね。 松浦: 運用に関する負荷を下げたいということだと思います。 加えて人材確保やノウハウ継承などの課題に対し、生成AI との連携など新しい領域へのチャレンジがトレンドになっています。 旧バージョンでの利用も多い ── バージョンアップのサイクルといえば、多く利用されているバージョンは何でしょうか? 松浦: お陰様で現時点の最新バージョンである V14 が順調に立ち上がっています。ただ実は、特定のバージョンでいわゆる『塩付け運用』をされているお客様も多くいます。 そのような状況の中で1点、昨年末にあったケースについてお話しさせてください。 2024年12月13日に重要障害が発生し、多くのお客様と関係者の皆様にご迷惑をおかけいたしました。大変申し訳なく思っております。この場を借りて、お詫び申し上げます。 対応として修正モジュールの適用をお願いしておりますが、実はこの障害は35年前のコードに含まれていたもので、Domino のすべてのバージョンで発生していました。 そのような中で、Domino の塩漬け運用をされているお客様、他社移行の事例記事になっており HCL とまったくお取引がないお客様からもお問い合わせをいただいています。 ── 古いバージョンのまま Domino を利用され続けているユーザー様もまだまだ多くいらっしゃる、ということが分かったのですね。 松浦: はい、良くも悪くも先ほどお話したような状態で、HCL と最近お付き合いがないお客様からもお問い合わせをいただくケースがありました。 古いバージョンを利用する際の注意点 ── 古いバージョンのまま利用することへの懸念は何でしょうか? 松浦: Java など サポートが終了したテクノロジーへの脆弱性対応 が懸念されます。 また、旧バージョンでは DXに対して十分な役割を果たせるとは言い難いです。新バージョンでは Web対応やモバイル対応、AI対応での活用もイメージしています。 例えば、新バージョンである V14.5 には、Domino と生成AI を統合した機能もあります。 ──『塩付け運用』をされた場合、サポート面はどうでしょうか。 松浦: 多くの塩漬け運用されているお客様からの声をお聞きすると、サポートが終了したバージョンで安定運用ができていたというのが Domino に対する今までの理解だったと思いますが、今回のようなことだけでなく、脆弱性対応も必要になるので、やはり サポートを受けられるバージョンの必要性 を意識していただけたのではないかと考えています。 Domino が選ばれ続ける理由 情報系基幹システムとしての性能と安定性 ── 旧バージョンでの利用も含め、Domino が利用され続ける理由は何でしょうか? 松浦: 情報系の基幹システムとして必要十分な機能を備えている点が大きいですね。 Domino が誕生した当初から兼ね備えており、「バージョンアップをしなくても現状で満足」というユーザーがいらっしゃる理由になっています。 ── Domino が古いまま使用されるのはなぜか、この点をより詳しくお聞かせください。捨てられないけれどバージョンアップもしない、というのは、なぜでしょうか? 松浦: 例えば、四半世紀前のデータがそのまま最新バージョンでも読み込めるなど、下位互換、上位互換性が非常に高い。動いてしまうがゆえに、使えてしまう。 便利に使っていただけるのはいいことなのですが、やはり15年前、20年前に作ったアプリケーションなので、見た目が古くなってくるというのは当然あります。 Domino でのアプリ開発の優位性 ── 一般的な市場感として Domino はすでに別製品に移行されてしまったという風潮もありますが、いかがでしょうか? 松浦: Domino はアプリケーションの開発生産性が非常に高い製品 だというのは、市場の評価として強くあります。 同じようなアプリケーションを、例えば SaaS型の Webベースの他製品、ノーコードの製品やローコードの製品に切り替えることにチャレンジされているお客様はいらっしゃると思うのですが、なかなかうまくいかないということを伺っております。 ── うまくいかないというのは? 松浦: その製品が悪いとか機能が足りないという話ではなく、Domino だと簡単にでき過ぎてしまうということで、エンドユーザーの満足度を得られないというのが1つの原因だとお客様はおっしゃっています。 他社製品と共存できるメリット ── メールはもう SaaSメールに移行しているという話はよく聞きますが、アプリケーションについては Domino の利用を続けているということでしょうか? 松浦: コミュニケーション基盤に関しては、在宅勤務やリモートワークが一般的になったので、好みの Web会議サービスに付帯したものへ切り替えたというお客様はいらっしゃると思います。 ただ、先ほどの話にあったように、アプリケーションはなかなか切り替えるのが難しいというのがあります。アプリケーション利用のために Domino が残っているというケース、共存されているというケースなど、多々あると思います。 ── Domino 以外のコミュニケーション基盤とアプリケーション基盤としての Domino を併用し、いわば一つのシステムとして使えると。 松浦: はい、その通りです。コミュニケーション基盤は別の製品を、アプリケーション基盤としては Domino を使っている 事例を、弊社ホームページにも事例記事として掲載しています。 ── コミュニケーション基盤とアプリケーション基盤でそれぞれのいいいとこ取りをされているのですね。 松浦: Domino と他製品が共存ができることは、バージョンアップの観点でも大きなポイントだと思います。 ──「基盤が2つあると運用管理も2倍になるのか」という疑問も出そうですが、どのような運用が可能でしょうか。 松浦: コミュニケーション基盤では、例えば1人に1つメールアドレスを発行するのが一般的だと思います。その場合、そちらのディレクトリシステムをメインにし、Domino は二次ディレクトリとして運用することもできます。 また、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)参照で認証委託をさせることもできますし、Dominoディレクトリと他のディレクトリ…例えばAzure AD(Azure Active Directory)のようなディレクトリサービスと連携させて運用している事例も多くあり、各社のやりたいことと運用負荷のバランスを考えて様々な方法がとれます。 なぜ Domino のバージョンを上げないのか 高い互換性が仇になっている?「動いてしまう」ジレンマ ── 互換性が高いということは、バージョンアップの障壁が低いともいえますね。 松浦: 互換性の高さは、単に過去のデータが「動く」以上の価値を提供していると考えています。 もし他社製品に移行する場合、往々にしてデータ移行が膨大なコストや技術的課題を伴い、互換性の問題が原因で取り残されたデータが発生するケースも見受けられます。Domino の場合、こうした課題を意識することなく 過去の資産を活用し続けることが可能 であり、移行リスクや未知のコストを回避 できる点でも独自の競争力を持っています。 ── 一方で、見た目を新しくすることは、バージョンアップの動機にはならない。 松浦: 見た目を新しくする機能もリリースはしていますが、そこに手をつけるよりは塩漬けで使ってしまおう、その方がお金がかからずに済む、ということで、古いバージョンのまま使うという決断をするお客様もいるのかなと思っています。 ── 確かに Notesクライアントだけを見たら、そんなに大きく変わらないですよね。 松浦: アーキテクチャは変わらないですし、Windows で動いてしまえばクリティカルな障害もなければ、上げる理由も作れなかったというところです(笑)。 最新バージョンは、バージョンアップをする理由になるか ── 大きな障害がなく動かせる状況の中で、上げる理由は何かとなると「最新バージョン V14 で何ができるのか」でしょうか。 松浦: そうですね。お客様が最新バージョンに上げる理由としては DX が多い印象です。再投資をする際の Web対応やモバイル対応、AI対応があります。そのようなところで、もっと価値を出していけるのではないかと考えています。 ── V14.5 については、後半でさらに詳しくお聞かせください。 松浦: 最新バージョンには、Domino と生成AI を統合した機能もあります。V14.5 は、大きく進化した面もあるので是非語らせてください(笑)。 ── 楽しみにしています(笑)。後半では、新バージョン V14.5 の新機能やアップデート、互換性についてお聞かせください。 HCL Domino について問い合わせる まとめ ここまで Domino の現状について、HCLSoftware 松浦様にお伺いしてきました。 最後に、前半のまとめと後半のトピックをご紹介します。 前半のまとめ Domino の現状 Domino は35年以上にわたり利用されている製品で、現在も市場は活況。 ユーザー数は多く、旧バージョンのまま利用されるケースも多い。 長期的に利用される理由は、高い開発生産性と安定性。 利用され続ける理由 Domino は情報系基幹システムとして必要十分な機能を備えている。 高い下位互換性と上位互換性があり、古いデータやアプリケーションが最新バージョンでも問題なく動作する。 旧バージョンの課題 特定バージョンを使い続ける「塩漬け運用」が多く、安定性を理由にアップグレードしないユーザーが多い。 古いままでもシステムが動作するため、アップグレードの動機になりにくい。 見た目の改良も費用対効果が低いとして、アップデートしないケースが多い。 Domino のバージョンアップと他社製品への移行 Domino は他社製品との共存が可能。 新バージョンは V14.5で、新たな機能が追加された。 DX領域での価値提供が、バージョンアップの理由となる可能性を秘めている。 次回予告 後半では、より具体的に新バージョン、互換性についてお届けします。 新バージョン V14.5 の機能はもちろん、今後のビジネス戦略も語って頂きました。 新バージョン V14.5 が刻む新たな一歩 生成AI を Domino の中に Domino と生成AI の統合「Domino IQ」 自社のベストプラクティスを得られる Domino による生成AI の活用方法 REST API による効率的なシステム間の連携 バージョンアップの鍵は互換性の安心感 移行チェックツールとその効果 新旧バージョンの互換性は移行チェックツールで担保する バージョンアップ vs 他社製品への移行 バージョンアップはしないが、移行もしない 結論!バージョンアップが最適解 今後の戦略 V14.5 は 描いたロードマップの答え合わせになるバージョン 兄弟製品に繋げる二段構えの展開 HCL 様からのメッセージ 過去にとらわれない新たな事例でアプローチ V14.x を避けて V12 にする意味はない (本ページは前半です[後半も公開中]) HCL Domino について問い合わせる このページを見ている人におすすめのページ 安定の裏に潜む意外な悩み?HCLに聞く「HCL Domino」のバージョンアップにおける課題と意義(後編) HCL Domino 製品紹介ページ Com-PASS Cloud|Domino Notes アプリのお預かりサービス .recommend-list{ margin-top: 0px; } ol.recommend-list li { color: #9b9b9b; } #recommend{ font-family: "Noto Sans Japanese"; font-size: 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