2025年05月

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【参加レポート】「Think 2025」に参加した ~AIとハイブリッドクラウドで描く未来のビジネス変革~

こんにちは、ソリューション企画部の久田です。

毎年恒例の IBM のフラッグシップイベント「Think」が今年は2025年5月6日から9日にかけてアメリカのマサチューセッツ州ボストンにて開催されました。
このブログを通して、Think 2025 に参加して得た印象深いハイライトや知見を皆さんと共有できればと思います。

今年のメインテーマ

エンタープライズAIの真価を最大限に引き出す

今回の Think では、最新の AI技術、ハイブリッドクラウド、自動化、量子コンピューターなど、技術革新について発表されました。AI とハイブリッドクラウドを中核とした未来への展望について、IBM の CEOアービンド・クリシュナ氏は以下のようにメッセージしています。

“テクノロジーが進化する中で重要なのは、AI、自動化、そしてハイブリッドクラウドが企業の成長、効率向上、競争優位性を推進する主要な要素となること。それを正しく活用し、価値に変換することが不可欠だ。”

このメッセージでは、現代企業がデータ駆動型ビジネスへと移行する中でいかに AI の可能性とクラウド基盤の強さを最大化するかが重要なテーマとなっています。

Partner Day

Partner Day とは参加企業のパートナーに向けた特別セッションで、今回の Think では最新のエコシステム戦略が紹介されました。IBM のカリーム・ユセフ氏とアービンド・クリシュナ氏からは以下のようにメッセージが発信されています。

カリーム・ユセフ氏 講演

テーマ

「All About Scale」

メッセージ

“AIエージェントが目指すものは AI同士の相互作用だけでなく、「AIと人」「人と人」との新しい関係性を構築し、スケーラビリティを拡大することです。IBM は、パートナー様との共創を通じて以下の3つの注力領域を定め、今後のビジネス変革を支える重要な基盤を整備しています。”

カリーム・ユセフ氏
ユセフ氏
  • 組み込みパートナー様との共創
    • AIエージェントやオートメーションの推進
    • 得意の産業領域との組合せを起点に新たなビジネスの立ち上げ
  • 再販パートナー様との共創
    • AI for ITの視点でビジネス推進
    • PartnerPlusの最大限の活用
  • サービスパートナー様との共創
    • サプライチェーンや人事、会計などの領域をAIによる既存プロセスの効率化
    • AIと人との組合せによる新しい視点でのアプローチによるモダナイゼーションの推進

キーワード

AIエージェントの未来、Hybrid Integrationの重要性

アービンド・クリシュナ氏 講演

テーマ

「AI & Ecosystem is Growth Engine」

メッセージ

“AI とエコシステムは企業成長の中核的なエンジンです。「Future of computing」「Future of society」「Future of economy」が交わる領域に新たなビジネスチャンスがあります。さらにビジネスを拡大するには適切なタイミングを捉えることが必要であり、慎重な見極めが重要です。”

アービンド・クリシュナ氏
クリシュナ氏

キーワード

Mid/Long-Term Partnership、Approach to Essential theme

Think 2025の全体像

今回の Think 2025 では、企業が 規模ではなく価値 を最優先にすべきことが強調され、短期間で効果的な AI導入を実現するためのツールが多く発表されました。

セッションの様子
セッションの様子

1日目

初日の見どころの一つとして挙げたいのが、「データとAIの加速:Ferrariから学ぶ」のセクションで紹介された Ferrari と HP の協業である「Scuderia Ferrari HP」のレーシングカー「Formula 1」についてです。

瞬時に100万以上のデータポイントを生成するセンサーを備えたレーシングカーを活用し、グローバルファンに向けた新しいモバイル体験を提供するということがメッセージされ、その中でも「99%の企業データがAIで利用されていない」という事実や、IBM watsonx を使った実践的なソリューションが紹介されていました。

2日目

2日目には、ドイツを拠点とする世界最大級の通信企業である Deutsche Telekom によるクラウド管理の効率化が紹介されました。
パッチ対応時間を大幅に短縮し80%の改善を達成したことやハイブリッドクラウドインフラについて、また、より効率的な統合とリアルタイムの可視化など、AI のスケーラビリティを実現するために重要なインフラ技術とデータ活用に焦点を当てたメッセージがなされました。

PepsiCo社や Slack社のセッションでは、1,500を超えるエージェントで大規模な業務効率化を実現に成功したことや、年間3億件もの応募を解析することで HRプロセスを効率化している事例が紹介されました。watsonx Orchestrate の活用が、今後エージェントの複雑さや統合課題を解決する鍵になると感じました。

3日目

「AIのオープンイノベーションと業界事例」がテーマとして掲げられた3日目には、Meta社が提供する Llamaモデルが現在までに1.2億以上のダウンロードを達成したという成功事例や、コミュニティ主導のイノベーションが進行中であることが紹介されました。

Lockheed Martin社の発表では、企業間のコラボレーションとオープンイノベーションを主題として、安全性と規制に配慮した「開かれた協業」の重要性、BNP Paribas社が採用するハイブリッドモデルを例にした銀行でのデータ活用の革新、また、AIファクトリー構築という新たなフェーズへの移行などが紹介されました。

4日目

最終日となる4日目には、IBM から新しい技術「Generative Computing」が発表されました。
この技術では、従来の AI構築におけるプロンプトエンジニアリングが進化し、モジュール化によるプログラム型の設計プロセスが可能となります。

IBM Quantum の Jay Gambetta氏は、量子コンピュータが実世界の問題に対して優位性を発揮する「量子ユーティリティ」を達成したことを発表しました。この技術革新により、クラシカルコンピューティングには不可能だった分子シミュレーションが現実のものとなりました。

主な発表内容

実例で見るAIの変革力

AskHRエージェントの実例では、以下の様な HRプロセスの大幅な効率化が確認されています。

  • 1,150万回以上のインタラクションを処理
  • 問い合わせの94%を自動対応
  • 110万タスクを自動化

さらに、生成AI の可能性を活かした Oracle Cloud HCM との新たな連携ソリューションなど、広範囲なエコシステムの構築が進行中です。AI は単なる業務の自動化にとどまらず、社員体験の向上や企業全体の生産性向上をサポートしています。

watsonx – AIを支える最強のデータ基盤

AI活用を成功させるには、強力で信頼性の高いデータ基盤が不可欠です。
IBM が提供するデータソリューションに関して以下の進化が発表されました。

  • watsonx.data:
    • 従来のRetriever-Augmented Generation(RAG)よりも40%精度が向上
    • 構造化データと非構造化データの統合クレンジングを実現
    • SnowflakeやDatabricks とのシームレスな連携
  • watsonx.data integration:
    • 多様なデータソースからのアクセスと統合管理
    • ドラッグアンドドロップで簡単にデータパイプラインを作成できるツールを提供
  • watsonx.data intelligence:
    • データのガバナンス強化、メタデータ管理、データ品質管理を促進
    • AIによる自動データ整備でデータ資産の価値を最大化

watsonx Orchestrate – AIエージェント開発を進化させる新機能拡張

watsonx Orchestrate は、AIエージェント構築とオペレーションを効率化するイノベーションであり、企業が迅速に実用的な AIエージェントを導入できる環境を提供しています。
当イベントにおいては以下の新機能が発表されました。

  • Pre-Built Agents:
    • 営業、購買、人事など、特定業務に特化したエージェントが事前構築済みで、導入までの期間を大幅に短縮
      (例:HRエージェントが給与支払処理し、福利厚生管理を瞬時に実行)
  • Agent Builder:
    • ノーコードでのエージェント構築で、専門的なAIスキルがなくてもカスタマイズ可能
    • 80以上の主要エンタープライズアプリと接続
  • Multi-Agent Orchestration:
    • 異なるエージェントを連携させ、複雑な業務プロセスを自動化
    • チャットUIを通じて複数エージェントの操作を一元化

watsonx Orchestrate は、このような高度なオーケストレーション機能によって企業における AIエージェントの活用を次のレベルへ引き上げており、実際に、UFCUS Open といったスポーツ業界でもデータを活用した解析やユーザー体験の向上に役立てられています。

watsonx BI – データドリブンな意思決定を次の段階へ

watsonx BI は、膨大なデータを読み解き意思決定をサポートする新世代の Business Intelligence(BI)ツールです。
watsonx BI の特長について、以下の内容が紹介されました。

  • AIによる洞察の提供:
    • BIダッシュボード作成の負担を削減
    • 対話型のAIインターフェースでユーザーが知りたい情報を瞬時に取得
    • 「何が起きているのか」「なぜ起きたのか」「将来何が起こるのか」といった分析の自然言語での質疑応答が可能
  • 説明責任の透明性:
    • 提供された情報の根拠も同時に提示
    • データに基づいた正確な洞察を得ることで、戦略的な意思決定を迅速化
  • アラートによる即応性:
    • KPIや重要な指標が変化した際に自動でアラートを発令
    • 現場のタイムリーなアクションをサポート

Graniteモデル 4.0シリーズ – 生成AIを支える超効率的な基盤

生成AI の基礎を担う Graniteモデルも進化しています。
今年発表された「Granite 4.0」シリーズには以下のような特長があります。

  • 軽量モデル(Tiny):
    • ラップトップ環境でも動作可能で、エッジデバイスでの展開に最適
  • 中規模(Small/Medium):
    • エンタープライズの一般タスクや高度なAI活用に対応

推論速度は2.5倍で、コスト効率は業界の水準を大きく引き上げています。

webMethods Hybrid Integration – システム統合の新たな基盤

システム連携の一元管理が可能な「IBM webMethods Hybrid Integration」が発表されました。
webMethods Hybrid Integration は、ハイブリッドクラウド環境でのデータ連携が可能です。

  • 統合管理機能:
    • 複数の統合手法を1つのプラットフォームで一元管理
      (EAI(企業システム連携)、API、ファイル連携、B2B連携など)
    • 開発、運用、ガバナンスを効率化
  • ノーコード/ローコード対応:
    • ノーコード/ローコードでの業務フロー視点の迅速なインテグレーションを実現
    • 短期間でのプロセス構築
  • AIによる統合支援:
    • AIを活用したIntegration Lifecycle(連携ライフサイクル)で自動化と効率化を推進

従来の複雑な連携管理を刷新し、迅速なシステム統合を可能にしています。

Db2 Intelligence Center – AI支援によるデータ管理の進化

今回の Think では「Db2 Intelligence Center」の登場が大きな注目を集めました。
Db2 Intelligence Center では、データベースのインテリジェンス管理の強化や AI との統合による効率化を図れます。

  • 構造化・非構造化データ統合:
    • 一つのデータベースで構造化データと非構造化データの両方を格納・管理
    • データ分析における利便性の劇的な向上
  • セマンティック検索:
    • ベクトルデータベースを内包し、AIによるセマンティック検索を実現
    • 業務データを検索する際に関連性の高い結果を迅速に提示
  • エンタープライズ環境へのインテグレーション:
    • 複雑なデータ統合をスムーズに進行
      (SnowflakeやDatabricksとの連携を前提に設計)

※Db2 Intelligence Center は2025年6月リリース予定です

LinuxONE Emperor 5 – 次世代メインフレームで実現するセキュリティと効率性

LinuxONEシリーズの新モデル「LinuxONE Emperor 5」が発表されました。
LinuxONE Emperor 5 には、エンタープライズに特化した以下の特長があります。

  • ゼロトラストセキュリティ:
    • 耐量子暗号を含む高度な暗号化技術を搭載
    • 徹底したデータ保護
  • 環境持続性:
    • 従来モデルに比べ、ワークロード統合によるエネルギー消費を大幅削減
    • 5年間で最大75%のTCO削減
  • AI特化設計:
    • 最新プロセッサと高効率なAIチップ(Tellum IIおよびSpyre Accelerator)を搭載
    • 高速かつ低コストでAIワークロードを実行

LinuxONE は、環境への配慮とハイパフォーマンスを両立させた設計で次世代のハイブリッドクラウドインフラストラクチャとして注目されています。

LinuxONE 5 発表時、LinuxONE 5 の画面
左:LinuxONE 5 発表の様子、右:LinuxONE 5 の上部正面図

未来の可能性 – Generative Computing

従来のプロンプトエンジニアリングを超え、生成AI の新しいパラダイム「Generative Computing」のビジョンが示されました。
Generative Computing は、モデル設計からプログラム生成まで一貫して開発を行えます。

ビジネスを成功に導くための鍵は、技術の生成率を高めながら安全で持続可能な AI環境の構築することです。先述の Granite モデル4.0 や Red Hat OpenShift AI などは、その実現をサポートするツールと言えるでしょう。

まとめと今後の展望

今年の Think 2025 では、AI の実用化が加速し未来型の技術ソリューションを導くための具体的な手段が数多く提示されました。
私たちが知るビジネス環境や生活は、直線的な進化ではなく指数的な進化に突入しています。技術の力を借りながらこの指数的変化を共に乗り越えていきましょう。

来年の「Think 2026」はラスベガスでの開催が予告されています。
次にどんな未来が紹介されるのか…。その日を楽しみに待ちつつ、NI+C P では次々と発表される新しい技術についてタイムリーにご紹介し続けていきます。

お問い合わせ

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
E-mail:voice_partners@niandc.co.jp

 

その他の記事

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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