2025年05月

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【参加レポート】「Think 2025」に参加した ~AIとハイブリッドクラウドで描く未来のビジネス変革~

こんにちは、ソリューション企画部の久田です。

毎年恒例の IBM のフラッグシップイベント「Think」が今年は2025年5月6日から9日にかけてアメリカのマサチューセッツ州ボストンにて開催されました。
このブログを通して、Think 2025 に参加して得た印象深いハイライトや知見を皆さんと共有できればと思います。

今年のメインテーマ

エンタープライズAIの真価を最大限に引き出す

今回の Think では、最新の AI技術、ハイブリッドクラウド、自動化、量子コンピューターなど、技術革新について発表されました。AI とハイブリッドクラウドを中核とした未来への展望について、IBM の CEOアービンド・クリシュナ氏は以下のようにメッセージしています。

“テクノロジーが進化する中で重要なのは、AI、自動化、そしてハイブリッドクラウドが企業の成長、効率向上、競争優位性を推進する主要な要素となること。それを正しく活用し、価値に変換することが不可欠だ。”

このメッセージでは、現代企業がデータ駆動型ビジネスへと移行する中でいかに AI の可能性とクラウド基盤の強さを最大化するかが重要なテーマとなっています。

Partner Day

Partner Day とは参加企業のパートナーに向けた特別セッションで、今回の Think では最新のエコシステム戦略が紹介されました。IBM のカリーム・ユセフ氏とアービンド・クリシュナ氏からは以下のようにメッセージが発信されています。

カリーム・ユセフ氏 講演

テーマ

「All About Scale」

メッセージ

“AIエージェントが目指すものは AI同士の相互作用だけでなく、「AIと人」「人と人」との新しい関係性を構築し、スケーラビリティを拡大することです。IBM は、パートナー様との共創を通じて以下の3つの注力領域を定め、今後のビジネス変革を支える重要な基盤を整備しています。”

カリーム・ユセフ氏
ユセフ氏
  • 組み込みパートナー様との共創
    • AIエージェントやオートメーションの推進
    • 得意の産業領域との組合せを起点に新たなビジネスの立ち上げ
  • 再販パートナー様との共創
    • AI for ITの視点でビジネス推進
    • PartnerPlusの最大限の活用
  • サービスパートナー様との共創
    • サプライチェーンや人事、会計などの領域をAIによる既存プロセスの効率化
    • AIと人との組合せによる新しい視点でのアプローチによるモダナイゼーションの推進

キーワード

AIエージェントの未来、Hybrid Integrationの重要性

アービンド・クリシュナ氏 講演

テーマ

「AI & Ecosystem is Growth Engine」

メッセージ

“AI とエコシステムは企業成長の中核的なエンジンです。「Future of computing」「Future of society」「Future of economy」が交わる領域に新たなビジネスチャンスがあります。さらにビジネスを拡大するには適切なタイミングを捉えることが必要であり、慎重な見極めが重要です。”

アービンド・クリシュナ氏
クリシュナ氏

キーワード

Mid/Long-Term Partnership、Approach to Essential theme

Think 2025の全体像

今回の Think 2025 では、企業が 規模ではなく価値 を最優先にすべきことが強調され、短期間で効果的な AI導入を実現するためのツールが多く発表されました。

セッションの様子
セッションの様子

1日目

初日の見どころの一つとして挙げたいのが、「データとAIの加速:Ferrariから学ぶ」のセクションで紹介された Ferrari と HP の協業である「Scuderia Ferrari HP」のレーシングカー「Formula 1」についてです。

瞬時に100万以上のデータポイントを生成するセンサーを備えたレーシングカーを活用し、グローバルファンに向けた新しいモバイル体験を提供するということがメッセージされ、その中でも「99%の企業データがAIで利用されていない」という事実や、IBM watsonx を使った実践的なソリューションが紹介されていました。

2日目

2日目には、ドイツを拠点とする世界最大級の通信企業である Deutsche Telekom によるクラウド管理の効率化が紹介されました。
パッチ対応時間を大幅に短縮し80%の改善を達成したことやハイブリッドクラウドインフラについて、また、より効率的な統合とリアルタイムの可視化など、AI のスケーラビリティを実現するために重要なインフラ技術とデータ活用に焦点を当てたメッセージがなされました。

PepsiCo社や Slack社のセッションでは、1,500を超えるエージェントで大規模な業務効率化を実現に成功したことや、年間3億件もの応募を解析することで HRプロセスを効率化している事例が紹介されました。watsonx Orchestrate の活用が、今後エージェントの複雑さや統合課題を解決する鍵になると感じました。

3日目

「AIのオープンイノベーションと業界事例」がテーマとして掲げられた3日目には、Meta社が提供する Llamaモデルが現在までに1.2億以上のダウンロードを達成したという成功事例や、コミュニティ主導のイノベーションが進行中であることが紹介されました。

Lockheed Martin社の発表では、企業間のコラボレーションとオープンイノベーションを主題として、安全性と規制に配慮した「開かれた協業」の重要性、BNP Paribas社が採用するハイブリッドモデルを例にした銀行でのデータ活用の革新、また、AIファクトリー構築という新たなフェーズへの移行などが紹介されました。

4日目

最終日となる4日目には、IBM から新しい技術「Generative Computing」が発表されました。
この技術では、従来の AI構築におけるプロンプトエンジニアリングが進化し、モジュール化によるプログラム型の設計プロセスが可能となります。

IBM Quantum の Jay Gambetta氏は、量子コンピュータが実世界の問題に対して優位性を発揮する「量子ユーティリティ」を達成したことを発表しました。この技術革新により、クラシカルコンピューティングには不可能だった分子シミュレーションが現実のものとなりました。

主な発表内容

実例で見るAIの変革力

AskHRエージェントの実例では、以下の様な HRプロセスの大幅な効率化が確認されています。

  • 1,150万回以上のインタラクションを処理
  • 問い合わせの94%を自動対応
  • 110万タスクを自動化

さらに、生成AI の可能性を活かした Oracle Cloud HCM との新たな連携ソリューションなど、広範囲なエコシステムの構築が進行中です。AI は単なる業務の自動化にとどまらず、社員体験の向上や企業全体の生産性向上をサポートしています。

watsonx – AIを支える最強のデータ基盤

AI活用を成功させるには、強力で信頼性の高いデータ基盤が不可欠です。
IBM が提供するデータソリューションに関して以下の進化が発表されました。

  • watsonx.data:
    • 従来のRetriever-Augmented Generation(RAG)よりも40%精度が向上
    • 構造化データと非構造化データの統合クレンジングを実現
    • SnowflakeやDatabricks とのシームレスな連携
  • watsonx.data integration:
    • 多様なデータソースからのアクセスと統合管理
    • ドラッグアンドドロップで簡単にデータパイプラインを作成できるツールを提供
  • watsonx.data intelligence:
    • データのガバナンス強化、メタデータ管理、データ品質管理を促進
    • AIによる自動データ整備でデータ資産の価値を最大化

watsonx Orchestrate – AIエージェント開発を進化させる新機能拡張

watsonx Orchestrate は、AIエージェント構築とオペレーションを効率化するイノベーションであり、企業が迅速に実用的な AIエージェントを導入できる環境を提供しています。
当イベントにおいては以下の新機能が発表されました。

  • Pre-Built Agents:
    • 営業、購買、人事など、特定業務に特化したエージェントが事前構築済みで、導入までの期間を大幅に短縮
      (例:HRエージェントが給与支払処理し、福利厚生管理を瞬時に実行)
  • Agent Builder:
    • ノーコードでのエージェント構築で、専門的なAIスキルがなくてもカスタマイズ可能
    • 80以上の主要エンタープライズアプリと接続
  • Multi-Agent Orchestration:
    • 異なるエージェントを連携させ、複雑な業務プロセスを自動化
    • チャットUIを通じて複数エージェントの操作を一元化

watsonx Orchestrate は、このような高度なオーケストレーション機能によって企業における AIエージェントの活用を次のレベルへ引き上げており、実際に、UFCUS Open といったスポーツ業界でもデータを活用した解析やユーザー体験の向上に役立てられています。

watsonx BI – データドリブンな意思決定を次の段階へ

watsonx BI は、膨大なデータを読み解き意思決定をサポートする新世代の Business Intelligence(BI)ツールです。
watsonx BI の特長について、以下の内容が紹介されました。

  • AIによる洞察の提供:
    • BIダッシュボード作成の負担を削減
    • 対話型のAIインターフェースでユーザーが知りたい情報を瞬時に取得
    • 「何が起きているのか」「なぜ起きたのか」「将来何が起こるのか」といった分析の自然言語での質疑応答が可能
  • 説明責任の透明性:
    • 提供された情報の根拠も同時に提示
    • データに基づいた正確な洞察を得ることで、戦略的な意思決定を迅速化
  • アラートによる即応性:
    • KPIや重要な指標が変化した際に自動でアラートを発令
    • 現場のタイムリーなアクションをサポート

Graniteモデル 4.0シリーズ – 生成AIを支える超効率的な基盤

生成AI の基礎を担う Graniteモデルも進化しています。
今年発表された「Granite 4.0」シリーズには以下のような特長があります。

  • 軽量モデル(Tiny):
    • ラップトップ環境でも動作可能で、エッジデバイスでの展開に最適
  • 中規模(Small/Medium):
    • エンタープライズの一般タスクや高度なAI活用に対応

推論速度は2.5倍で、コスト効率は業界の水準を大きく引き上げています。

webMethods Hybrid Integration – システム統合の新たな基盤

システム連携の一元管理が可能な「IBM webMethods Hybrid Integration」が発表されました。
webMethods Hybrid Integration は、ハイブリッドクラウド環境でのデータ連携が可能です。

  • 統合管理機能:
    • 複数の統合手法を1つのプラットフォームで一元管理
      (EAI(企業システム連携)、API、ファイル連携、B2B連携など)
    • 開発、運用、ガバナンスを効率化
  • ノーコード/ローコード対応:
    • ノーコード/ローコードでの業務フロー視点の迅速なインテグレーションを実現
    • 短期間でのプロセス構築
  • AIによる統合支援:
    • AIを活用したIntegration Lifecycle(連携ライフサイクル)で自動化と効率化を推進

従来の複雑な連携管理を刷新し、迅速なシステム統合を可能にしています。

Db2 Intelligence Center – AI支援によるデータ管理の進化

今回の Think では「Db2 Intelligence Center」の登場が大きな注目を集めました。
Db2 Intelligence Center では、データベースのインテリジェンス管理の強化や AI との統合による効率化を図れます。

  • 構造化・非構造化データ統合:
    • 一つのデータベースで構造化データと非構造化データの両方を格納・管理
    • データ分析における利便性の劇的な向上
  • セマンティック検索:
    • ベクトルデータベースを内包し、AIによるセマンティック検索を実現
    • 業務データを検索する際に関連性の高い結果を迅速に提示
  • エンタープライズ環境へのインテグレーション:
    • 複雑なデータ統合をスムーズに進行
      (SnowflakeやDatabricksとの連携を前提に設計)

※Db2 Intelligence Center は2025年6月リリース予定です

LinuxONE Emperor 5 – 次世代メインフレームで実現するセキュリティと効率性

LinuxONEシリーズの新モデル「LinuxONE Emperor 5」が発表されました。
LinuxONE Emperor 5 には、エンタープライズに特化した以下の特長があります。

  • ゼロトラストセキュリティ:
    • 耐量子暗号を含む高度な暗号化技術を搭載
    • 徹底したデータ保護
  • 環境持続性:
    • 従来モデルに比べ、ワークロード統合によるエネルギー消費を大幅削減
    • 5年間で最大75%のTCO削減
  • AI特化設計:
    • 最新プロセッサと高効率なAIチップ(Tellum IIおよびSpyre Accelerator)を搭載
    • 高速かつ低コストでAIワークロードを実行

LinuxONE は、環境への配慮とハイパフォーマンスを両立させた設計で次世代のハイブリッドクラウドインフラストラクチャとして注目されています。

LinuxONE 5 発表時、LinuxONE 5 の画面
左:LinuxONE 5 発表の様子、右:LinuxONE 5 の上部正面図

未来の可能性 – Generative Computing

従来のプロンプトエンジニアリングを超え、生成AI の新しいパラダイム「Generative Computing」のビジョンが示されました。
Generative Computing は、モデル設計からプログラム生成まで一貫して開発を行えます。

ビジネスを成功に導くための鍵は、技術の生成率を高めながら安全で持続可能な AI環境の構築することです。先述の Granite モデル4.0 や Red Hat OpenShift AI などは、その実現をサポートするツールと言えるでしょう。

まとめと今後の展望

今年の Think 2025 では、AI の実用化が加速し未来型の技術ソリューションを導くための具体的な手段が数多く提示されました。
私たちが知るビジネス環境や生活は、直線的な進化ではなく指数的な進化に突入しています。技術の力を借りながらこの指数的変化を共に乗り越えていきましょう。

来年の「Think 2026」はラスベガスでの開催が予告されています。
次にどんな未来が紹介されるのか…。その日を楽しみに待ちつつ、NI+C P では次々と発表される新しい技術についてタイムリーにご紹介し続けていきます。

お問い合わせ

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
E-mail:voice_partners@niandc.co.jp

 

その他の記事

2025年08月21日

【イベントレポート】watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ第一回 開催しました

公開日:2025-08-21 こんにちは。てくさぽブログメンバーの佐野です。 2025年7月17日に「watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ」第一回を開催しました。 2024年12月にもwatsonx Orchestrate(以下wxO)のハンズオンセミナーを開催しておりますが、6月にwxOの大幅なアップデートが入り使い方・作り方が大きく変更になったため、最新情報と基本的な使い方をいち早くお届けするべく企画・開催しました。 また、ハンズオンだけでなくワークショップの時間を設け、wxOがどのように使えるのかを参加者同士でディスカッションし、最後に各チーム毎に発表・共有をすることでwxOの理解を進めるとともに参加者同士のコミュニケーションを図りました。 本ブログではこのテクニカルワークショップについて簡単ですがご紹介します。 目次 watsonx Orchestrate概要 watsonx Orchestrateハンズオン ワークショップ まとめ お問い合わせ watsonx Orchestrate概要 旧wxOと比べて新wxOはAgentの開発方法が変わっています。画面が変わったのはもちろんのこと、エージェントで実行部分を示す用語も「Skill」から「Tool」へ変更となっています。他に大きく変わったのは以下の点になります。 新しく「Knowledge」機能が追加され、Agent内にファイルを添付することができ、簡易的なRAGの構成をNo-Codeで実現 Agent内で定義しているToolを呼び出す際に、LLMが自動でチャットに入力されたテキストから必要な情報を抜き出し、Toolへ渡す Agentから他のAgentを呼び出せる(wxO以外のAgentも呼び出せる)Multi-Agent Orchestration機能 「Behavior」に日本語で返答させたりAgentの挙動を定義 人事業務や購買業務、営業業務といった特定業務向けの事前定義Agentを提供 AgentやToolをPythonで実装するためのAgent Development Kit (ADK)および開発者向けのDeveloper Editionを提供 モニタリング機能でAgent処理履歴のトレース情報を参照可能 自社で開発したエージェントを提供する”Agent Connect”というAIエージェントのエコシステム上でマーケットプレイス環境 wxOの各エディション内の機能の変更と課金対象の変更 このように大きな機能追加や使い方の変更が入ったことをご紹介し、理解頂きました。 watsonx OrchestrateでAgentを作成する時の主な設定項目は以下のようなものがあります。 watsonx Orchestrateハンズオン 概要でお伝えしたように、用語も変わった上に画面も新しくなっています。 そのため、AI Agentを動作させるための以下の基本的な操作をハンズオンで体験頂きました。 wxO環境の説明や基本的な操作 Agentの新規作成 Toolの作成・利用 Knowledgeを利用した簡易的なRAG Agent Tool Builderを利用しFlowやCodeblockの作成 Agentから他のAgentを呼び出し これらのハンズオンはCodeblockを除きNo-CodeでWebブラウザ上の操作で実行できるため、プログラミングやシステム開発の知識・経験が無くてもAI Agentを動かすことができます。Codeblock機能はAgentの動作・処理順を定義する”Flow”の中でPythonを使ってデータを操作するための機能であり、簡易的なETLを実現するものです。 今回のハンズオンでは、サンプルとその手順をご用意したので、参加者の方々が一通りのことを体験頂くことができました。実際にハンズオンで体験頂いた内容のサンプルをいくつかご紹介します。 Agentのサンプル1:都市名からお天気情報を返答するAgent APIで他サービスを呼び出し、都市名を入力すると天気と気温を回答してくれます。 複数の都市名を入力し、表形式で回答してもらうこともできます。 Agentのサンプル2:簡易的なRAG Agent ファイルを添付し、そのファイルの内容から回答をしてくれる機能です。 ハンズオンではIBMの2024年度の年次レポートを添付し、その内容を元に財務パフォーマンスのサマリーを回答させました。 ファイルの該当箇所が参照できるので、根拠を確認できるのがよいところです。 ファイルは事前にAgentに添付しておくこともできますし、ユーザー自身がファイルを添付する使い方もできます。 ワークショップ 今回、ハンズオンだけでなくwxOを自社または自社のお客様がどのように利用すると効率化できるか?という観点でチームに分かれてワークショップを行いました。 1チーム4人の合計3チームに分かれてNI+C Pメンバーがファシリテートしながらアイディア出し・ディスカッションを行いました。 最後に各チームのディスカッション結果を発表いただき、「こんなことできたらいいな」というアイディアを全員で共有し合いました。 ワークショップで上がった意見の中からいくつかピックアップします。 市役所の窓口業務を実施するAI Agent チャットだけでなく音声対応もできる 個別業務を処理するTool/Agentと情報参照のRAGを併用してユーザーへの問い合わせへ回答 ブログを書いてくれるAI Agent 過去のブログを参考にして文体や言い回しを自分流に ドラフト書くAgent、推敲Agent、ファクトチェックAgentなど組み合わせ 薬局の在庫予測や自動発注にAI Agentを活用 まとめ 新しくなったwxOのハンズオンを1か月とちょっとで実施するというチャレンジングなワークショップでしたが、無事終えることができてホッとしています。 ご参加頂いた方々からのアンケートで「最新情報を知り、その環境で動作させられたのがよかった」とご意見を頂いており、準備した甲斐があったと嬉しく思っております。 wxOテクニカルワークショップの第二回も企画しておりますし、他の製品についても企画中ですので、この記事をご覧の皆様のお役に立てるよう、今後も企画・実現していきます。 「こんなことやって欲しい」というご意見ありましたら是非ご意見お願いいたします。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2025年08月04日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateのADKを使ってみた

こんにちは。 てくさぽBLOGメンバーの高村です。 早速ですが、今年5月に開催されたIBMの年次イベント「Think2025」で、watsonx Orchestrateの新機能が発表されました!その中の一つとして、開発者向けの「Agent Development Kit(以下、ADK)」があります。今回はこのADKを活用し、watsonx Orchestrate環境への接続やエージェントの追加といった操作を行い、その使用感をご紹介します。  なお、watsonx Orchestrateについては、今年2月、3月に公開した「watsonx OrchestrateやってみたBLOG」でご紹介しておりますので、是非こちらもご一読ください。 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part1) 【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part2) 目次 はじめに ADKとは? ADK使ってみた さいごに お問い合わせ はじめに Think2025で発表された新機能は、6月に環境へ追加されました。それ以前の環境とは、メニュー構成や操作方法、機能名称に変更があります。 例えばこれまで「Skill」と呼ばれていたものが「Tool」へと名称変更されています。 アップデート後の環境につきましては、別ブログにて改めて詳しくご紹介させていただく予定ですので、ぜひご期待ください! ADKとは? まずはADKについてご紹介します。ADKとは開発者向けにwatsonx OrchestrateのAgentやToolをスクラッチ開発するための開発キットになります。ローカル端末などに導入し、pythonベースで開発を行うことができます。 また、ADKとは別に、watsonx Orchestrate Developer Editionをローカル端末に導入することで、ADKで開発したAgentやToolのテストが可能になります。なお、watsonx Orchestrate Developer EditionはDockerコンテナ上で動作し、現時点のハードウェア要件はCPUは最小8コア、メモリは最小16GBが必要です。詳細はInstalling the watsonx Orchestrate Developer Editionをご確認ください。   ADKとwatsonx Orchestrate Developer Editionを利用することで、コードの迅速な作成・修正や柔軟なカスタマイズに加え、環境へのデプロイ前にローカルでテスト・修正が可能となり、作業効率の向上が期待できます。 ADK使ってみた 前述ではADKでAgent開発し、watsonx Orchestrate Developer Editionで動作確認、SaaS watsonx Orchestrateへインポートする構築の流れをお話しましたが、今回の検証における動作確認は検証環境として利用しているIBM Cloud 上のwatsonx Orchestrate利用します。よって前述したwatsonx Orchestrate Developer Editionは利用せず、ADKからwatsonx Orchestrate検証環境へAgentとToolを直接インポートし、動作確認を行いたいと思います。また、ADKのインストール先は自分の端末ではなく、IBM Cloud上に構築したUbuntuのVirtual Server Instance(以下、VSI)を使用します。検証環境の構成イメージは下記の図の通りです。 尚、ADKのインストール要件はPython 3.11以上、Pip、そして仮想環境(以下venv)が必要です。詳細については、Getting started with the ADKをご確認ください。 それでは早速使ってみましょう! VSIのプロビジョニング まずはADKをインストールするVSIをプロビジョニングします。本ブログではプロビジョニング方法について詳しく記載いたしませんが、手順は「【てくさぽBLOG】IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud Object Storageを接続してみた(Part1)」のVSI for VPCの作成をご参考ください。 OSはUbuntu 22.04 LTS Jammy Jellyfish Minimal Install、リソースは2vCPU,4GB RAMで作成しました。VSI作成時にSSH鍵が必要なるので作成を忘れないようにしてください。 作成すると数分で起動します。端末からSSHログインするため浮動IPが必要になります。赤枠で囲った浮動IPを作成しインスタンスに紐づけします。以上でVSIの作成は完了です。 Ubuntuの設定 ターミナルを開きsshでUbuntuにログインします。私はWindowsのコマンドプロンプトを使用しました。Ubuntuユーザでログイン後、rootパスワードを設定し、スイッチできるようにします。 ubuntu@nicptestvsi:~$ sudo passwd root New password: Retype new password: passwd: password updated successfully ubuntu@nicptestvsi:~$ su - pythonのバージョンを確認したところ3.10.12でした。ADKの要件は3.11以上ですので、バージョンアップが必要になります。最初は3.13にバージョンアップしてみたのですが、後続作業と最新バージョンではパッケージが合わなかったのかうまく動かず…仕切り直して3.11を利用することにしました! root@nicptestvsi:~# apt install python3.11 バージョンアップ後、デフォルトバージョンとして3.11を指定します。 root@nicptestvsi:~# sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.10 1 sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.11 2 sudo update-alternatives --config python3 update-alternatives: using /usr/bin/python3.10 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode update-alternatives: using /usr/bin/python3.11 to provide /usr/bin/python3 (python3) in auto mode There are 2 choices for the alternative python3 (providing /usr/bin/python3).Selection Path Priority Status ------------------------------------------------------------ * 0 /usr/bin/python3.11 2 auto mode 1 /usr/bin/python3.10 1 manual mode 2 /usr/bin/python3.11 2 manual modePress <enter> to keep the current choice[*], or type selection number: 2 root@nicptestvsi:~# root@nicptestvsi:~# python3 --version Python 3.11.13 次に下記コマンドを実行して任意のvenvを作成します。 python3 -m venv /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest <環境のパスを指定 venvを活性化してログインします。下記コマンド結果のようにvenvに入れましたらUbuntuの設定は完了です。 root@nicptestvsi:~# source /path/to/nicpse/project/your-venv-adktest/bin/activate (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# ADKのインストール 以下コマンドを実行してADKをインストールします。ADKは6月時点で1.5.1が最新バージョンです。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# pip install ibm-watsonx-orchestrate Collecting ibm-watsonx-orchestrate Downloading ibm_watsonx_orchestrate-1.5.1-py3-none-any.whl.metadata (1.4 kB) Collecting certifi>=2024.8.30 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading certifi-2025.6.15-py3-none-any.whl.metadata (2.4 kB) Collecting click<8.2.0,>=8.0.0 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading click-8.1.8-py3-none-any.whl.metadata (2.3 kB) Collecting docstring-parser<1.0,>=0.16 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading docstring_parser-0.16-py3-none-any.whl.metadata (3.0 kB) Collecting httpx<1.0.0,>=0.28.1 (from ibm-watsonx-orchestrate) Downloading httpx-0.28.1-py3-none-any.whl.metadata (7.1 kB) ----中略---- (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate --version ADK Version: 1.5.1 ADKの環境設定 次にADKの環境設定を行います。watsonx OrchestrateのインスタンスIDが必要になるため、watsonx OrchestrateのSetting画面に入り確認します。下記画面をご参考にしてください。 環境設定コマンドはこちらになります。-nの後はvenv名を指定し、-uの後はインスタンスIDを指定します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env add -n <仮想環境名> -u <環境のインスタンスID> [INFO] - Environment 'my-name' has been created [INFO] - Existing environment with name 'nicpse' found. Would you like to update the environment 'nicpse'? (Y/n)y [INFO] - Environment 'nicpse' has been created 以下コマンドを実行して、IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateと認証設定をします。APIキーの取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」のAPIキーの取得をご確認ください。尚、リモート環境に対する認証は2時間ごとに期限切れになります。期限が切れた場合は再度認証する必要があります。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env activate nicpse --apikey <APIキー> [INFO] - Environment 'my-ibmcloud-saas-account' is now active [INFO] - Environment 'nicpse' is now active 下記コマンドを実行してCLIから利用できる環境のリストを表示します。IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateがactiveとなっていました! (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~# orchestrate env list nicpse https://api.us-south.watson-orchestrate.cloud.ibm.com/instances/XXXXXXXX (active) local http://localhost:XXXX Toolとagentのインポート 次にToolとAgentのインポートを行います。ToolとはAgentがタスクを実行する際に利用する機能です。今回は、IBM様より共有いただいたyfinanceを活用したToolおよびAgentのコードを、ADKを用いてインポートします。なお、yfinanceはヤフーファイナンスから株価などの金融データを取得するためのPythonライブラリです。 最初にToolのインポートを行います。下記の様に、scpなどでToolファイルとrequirements.txtをディレクトリにアップロードしておきます。requirementsファイルは他のモジュールと依存関係がある場合使用します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# ls -l total 12 -rw-r--r-- 1 root root 0 Jun 24 04:42 __init__.py drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jun 24 04:38 __pycache__ -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 8 Jun 24 03:02 requirements.txt -rw-rw-r-- 1 ubuntu ubuntu 1778 Jun 24 02:46 yfinance_agent.py 下記コマンドを実行してToolファイルとrequirementsファイルをインポートします。企業情報を取得するstock_infoと株価を取得するstock_quoteの2つのToolがインポートされました。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate tools import -k python -f "./yfinance_agent.py" -r "./requirements.txt" [INFO] - Using requirement file: "./requirements.txt" [INFO] - Tool 'stock_info' imported successfully [INFO] - Tool 'stock_quote' imported successfully listコマンドを実行するとインポートされたToolを確認できます。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:# orchestrate tools list ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┳ ┃ Name ┃ Description ┃ Permission ┃ Type ┃ Toolkit ┃ App ID ┃ ┡━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━╇ │───────────┼────────────┼── │ send_mail_brevo │ send a meil using Brevo. │ write_only │ python │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_quote │ 企業のTickerSymbolを用いて株価… │ read_only │ python │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ Untitled_6160RC │ No description │ read_only │ openapi │ │ │ ├─────────────────────────────────┼──── │ stock_info │ 企業のTickerSymbolを用いて企業… │ read_only │ python │ │ │ └─────────────────────────────────┴──── 次にAgentをインポートします。下記コマンドを実行します。 (your-venv-adktest) root@nicptestvsi:~/orchestrate_tool/py/source_02# orchestrate agents import -f ./yfinance_agent.yaml agent listコマンドでインポート済みのAgentを確認できました。Agentが使用するToolも表示されています。 (your-venv-adktest) # orchestrate agents list ┏━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━ ┃ Name ┃ Description ┃ LLM ┃ Style ┃ Collaborators ┃ Tools ┃ Knowledge Base ┃  ┡━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━━━━━━━━╇━━━━━━━━ │ yfinance_age… │ 企業の会社情… │ watsonx/meta- │ react │ │ stock_info, │ │ │ │ │ llama/llama-3 │ │ │ stock_quote │ │ ││ │ │ -2-90b-vision ││ │ -instruct │ │  IBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで動作確認 インポートしたAgentとToolをIBM Cloud上のwatsonx Orchestrateで確認します。 watsonx Orchestrateへログインし、BuildからAgent Builderを選択します。 yfinanceエージェントが表示されているので、クリックします。 クリックすると、Agent作成画面に入ります。UIから基盤モデルを変更したり、Agentの振る舞いなど変更することができます。 スクロールして、Toolsetを確認するとADKからインポートしたToolが登録されています。 右のPreviewからAgentの動きを確認することができます。今回はDeployせずPreviewで確認します。入力欄には「IBMの株価は?」と質問してみます。しばらくすると本日の株価が回答されました。Show Reasoningを開くと推論過程を確認することができます。株価を取得するTool「stock_quote」を使用し、AIがユーザの入力から自動的にTicker symbolを入力していることがわかります。 次に「IBMの企業情報」と質問をします。しばらくするとAIがユーザの入力からTicker symbolを入力し、Tool「stock_info」を利用して企業情報を取得、回答されました。ユーザの入力内容からAgentが使用するToolを選択し、実行していることがわかります。   さいごに ADKのご紹介とADKを使ってToolとAgentのインポートを行いました。 ADKのインストールおよび設定について、Pythonバージョンの設定やvenvの作成でつまずく部分はありましたが、venvが作成できればその後の設定はスムーズに進められました。 今回はVSI上のUbuntuサーバにADKをインストールしましたが、ご自身の端末に導入することで、より気軽にAgent開発を行えるかと思います。なお、今回は検証対象外でしたが、watsonx Orchestrate Developer Editionを利用する場合は、インストール要件としてやや高めのスペックが必要になる点にご注意ください。 検証時のADKのバージョンは1.5.1でしたが、7月末では1.8.0が最新バージョンとなっています。比較的頻繁にアップデートされますので適宜Release Notesをご確認ください。バージョンアップでコマンドオプションも変更される場合があるため、マニュアルを確認するかコマンドに`--help`を付与してパラメータを確認することをおすすめします。   お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; }

2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で起業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

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