こんにちは。
エヌアイシー・パートナーズ 事業企画部の松田です。
Notes/Domino が日本でリリースされてから29年が経ちました。
いまだ多くのお客様が情報系業務アプリケーションプラットフォームとして、そしてコミュニケーションインフラとしてご利用されています。
しかし Notes/Domino には同時に「古い」イメージが残っているようで、お客様からよく以下のようなお声をお聞きすることがあります。
- そもそもNotes/Dominoは機能拡張していないし、今後のロードマップもないのでは?
- 利用にはNotesクライアントという専用アプリケーションが必要で、いまだにブラウザでもスマホでも利用できないのでは?
- Dominoアプリケーションの開発・カスタマイズは、Dominoデザイナーを使える人にしかできないのでは?
- 価格も高いのでは?
このような「古い」イメージは最新の Notes/Domino ですべて解決しています。
それぞれが現在の最新バージョンでどうなっているか、本ブログでご紹介いたします。
今後のロードマップは?
2018年10月の V10リリースを皮切りに順調にバージョンアップを重ね、2022年11月には V12.0.2 がリリースされています。
つまり、4年で3つのメジャーバージョンがリリースされていることになります。
IBM で V9 がリリースされたのが2013年4月ですので V9 は5年半続いていましたが、もはやその時代とは違うのだというのがお分かりいただけると思います。
これは、HCL社の Notes/Domino へのコミットと投資が目に見える形で実現している結果と言えるでしょう。
さらに2023年には Thames と呼ばれる 12.0.3、2024年には Rio Grande と呼ばれる次の新バージョンのリリースロードマップも発表されています。
HCL社によると、サポートへのお問合せの約半数近くのお客様が V9.0.X をご利用であるということです。年間メンテナンスを更新されていないお客様を考慮すると、更に多くのお客様が V9 をご利用だと考えられます。
先述の通り V9 から V10 リリース までが5年半と長かったので、依然として多くのお客様が V9 をご利用されているという結果のようです。
なぜ10年近く前にリリースされたバージョンを今もご利用なのでしょうか?
Notes/Domino は良く悪くも「特に問題なく機嫌よく動いてくれ、業務に密着したアプリケーションを利用し続けられる」ということもあるでしょう。
しかし同時に、そしてそれ以上に、「Notes/Domino ならではの日常業務に密着したアプリケーション」を、サービスレベルを落とすことなく別のシステムに移行することは決して簡単ではないからです。
とは言え、セキュリティ面の対応のためには Notes/Domino も常に最新バージョンを利用する必要があります。また、サーバーリプレイス等で OSバージョンアップを行うためには、Notes/Domino のバージョンもその OS をサポートしていなければなりません。
そうでなければ仕様通りに稼働しない可能性があり、もちろん HCL社のサポートも対象外になってしまいます。
しかし、それだけではバージョンアップする理由としては不十分かもしれません。
OS対応のためだけに Notes/Domino をバージョンアップしても、10年前と同じことを同じやり方で続けていてはそれは「現状維持」ではなく「後退」と言えるでしょう。
では、V12 にすることによって、業務や働き方はどのように変わるのでしょうか。
専用アプリケーションが必要?スマホ対応は?
情報系システムは、PC からはブラウザで利用し外出先ではスマートフォンからも利用できる、というのはもはや当然です。
Notes/Domino も古くからその利用法に対応はしてきましたが、XPages でのカスタマイズが必要であったり、PC上にブラウザ以外のモジュールが必要でした。
現在は Webブラウザからでもスマートデバイスからでも、カスタマイズ等の必要なしに Dominoアプリケーションが利用できます。
それを実現する機能が「HCL Nomad」です。
HCL Nomad
HCL Nomad には、「Nomad Web」「Nomad Mobile」の二種類があります。
Nomad Web では、既存の Notes/Dominoアプリケーションをカスタマイズせずに PC の Webブラウザから利用できます。
NotesクライアントBasic と同等の機能が利用可能です。画面だけ見ると Notesクライアントからの利用か Webブラウザからの利用かの区別がつかないレベルです。
「様々な業務のフロントエンドを Webブラウザで統一したい」「Notesクライアントの配布や管理が大変だ」というお客様に適した機能です。
Nomad Mobile では、既存の Dominoアプリケーションをカスタマイズせずにスマートデバイスから利用できます。
Nomad Mobile は、iOS および Android のネイティブアプリケーションを用いて Dominoサーバー上の Dominoデータベースにアクセスすることにより、Notesクライアントと同等の機能が利用できます。
ACL の反映はもちろん、@関数や LotusScript で作成されたロジックの動作、文書リンクの作成、そしてレプリケーションもスマートフォン上に可能です。
これまでのように、外出先で PC を起動して VPN に繋いでマウスを操作して…という必要がなくなり、片手で業務情報にアクセスできます。
さらに 12.0.2 の新機能である Restyle では、古い設計の Dominoアプリケーションをテンプレートを利用して非常に簡単に今どきの UI にモダナイズすることもできます。
専門知識や技術がないと開発やカスタマイズできない?
Domino ならではの「情報系業務をアプリケーション化するためのアーキテクチャ」は非常に強力です。
それが捨て難いので Domino の利用を続けてきたとは言え、いつまでも @関数や LotusScript を中心とした「Dominoデザイナーに依存する」ままだとすれば、もはやローコード・ノーコードが主流となりつつある現在のビジネススピードにはついていけないかもしれません。
しかし、今の Domino はそうではありません。
現在のビジネススピードに対応するため誕生したのが「Domino Leap(旧称 Domino Volt)」です。
(※Domino に機能を付加するために、追加ライセンスが必要)
Domino Leap
簡単に言えば「Domino上でPCブラウザでWebアプリケーションをノーコード・ローコードで開発・デプロイできる」というツールです。
(そもそも Domino は「オールインワンの Webアプリケーションサーバーでもある」ということを思い出してください)
Excel で管理していたデータを簡単に数クリックで Dominoアプリケーション化。
専門の開発者ではないビジネスユーザーが Webブラウザで、ノーコードで、部品を選択していくだけで、Dominoサーバーに情報系業務アプリケーションを実装できます。もちろんワークフローも簡単に開発可能です。
同じようなファイルが大量にできたり、ファイル格納フォルダの命名が人それぞれで他人には絶対に発見できなかったり、というありがちな問題が、スプレッドシートをノーコードで Dominoアプリケーション化することによって、即座に解決します。
プロ開発者向けには、V12.0.2 で Domino REST API が実装されました。
利用できる REST API の数が9から100以上に増加され、Webアプリケーション開発者が Domino のデータを更に広く活用できるようになりました。
価格は?
以前は Dominoサーバーライセンスとクライアントアクセスライセンスが各々買取ライセンス+年間メンテナンスという形式でした。
特に旧バージョンをメンテナンス契約なくご利用中のお客様が最新バージョンにされる場合、IBM に於ける新規メンテナンス契約が2019年7月の HCL への製品移管以後はなくなったため、新たにライセンスを買いなおすことになり非常に費用が大きくかかっていました。
現在 Notes/DominoはユーザーID単位の年間サブスクリプションが主体となり、イニシャル費用が大きく削減されます。また、Dominoサーバーの数も問いません。もちろん Dominoサーバーのクラウド環境(AWS, Azure等)への実装も可能です。
さらに Domino Leap には、長年のベストセラー製品である HCL Enterprise Integrator* の権利も包含されています。
*RDB と Domino を簡単に接合するツール。Dominoアプリ上で基幹業務の情報が閲覧できるようになる。
一般的な SaaS によるコラボレーションプラットフォームと比べても安価と言える金額については、ぜひお問い合わせください。
まとめ
- HCLはNotes/Dominoにコミットし2018年以後その結果をメジャーバージョンアップの形で出し続けており、将来プランもオープンにしている
- 既存のDominoアプリケーションをPCブラウザから、あるいはスマートフォンから、アプリのカスタマイズなしで利用できる
- Notes/Domino開発者あるいはWeb開発者でなくとも、ノーコードで業務アプリケーションが開発できる
- Dominoサーバーの利用権利も含むユーザーID単位のサブスクリプション契約により、これまでよりも抑えた投資で導入・バージョンアップできる
その他、旧バージョンとの下位互換性のさらなる向上や docker を中心としたクラウドネイティブ対応、OnTime GroupCalendarフリーミアム版の搭載など、大きな進歩を遂げています。
HCL社と Notes/Domino の正しい現状をお知りいただき、最新版V12 へのバージョンアップと継続した利用をご検討いただけますと幸いです。
関連資料
HCL Notes/Domino V12 バージョンアップセミナー -概要編-
ダウンロード(PDF 10.4MB)お問い合わせ
当記事に関するお問い合わせは以下のボタンよりお願いいたします。