製造現場やプラントでの設備資産保全業務は、「人手不足」と「属人性」がボトルネックとなって生産性向上を妨げられていることが少なくありません。
日常的に安全を確保し効率的に設備資産保全業務を運用するためには、トラブルや故障時だけに実施する「後手の対応」ではなく、未然にトラブルや故障を防ぐ「予防保全」の発想を基にした保全管理業務のDXが必要となります。
本記事では、設備資産保全業務の課題解決とともに設備資産保全業務のDXを加速する統合型デジタル・プラットフォーム「IBM Maximo Application Suite」をご紹介いたします。
Index
設備資産保全業務の課題とソリューションの必要性
保全戦略を進化させる設備管理パッケージ「IBM Maximo Application Suite」
IBM Maximo Application Suiteの3つの強み
IBM Maximo Application Suiteが企業の成長に寄与する理由
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設備資産保全業務の課題とソリューションの必要性
製造現場やプラントの設備資産保全業務は、これまで慢性的に「深刻な人手不足」や「設備の老朽化」、それに伴う「作業品質の低下」などの課題を抱え、その対応に迫られてきました。
これら「人手不足」と「属人性」を背景とした課題だけでなく、昨今ではさらにコロナ禍における「リモート作業」や「少人数での業務遂行」もそれに加わっています。
今、設備資産保全業務には非常時にも事業を継続するための新たな取り組みが急務とされるとともに、その実現に必要となる柔軟な基盤が求められています。
こうした状況の改善方法の1つが「予防保全」へのDXを支援するソリューションの導入です。
「予防保全」とは、設備構造や情報を見える化し、稼働状況や履歴、環境などを総合把握することで、トラブルが起きてから後追いで対応する従来の「事後保全」ではなく、先回りしてトラブルを予防することを意味します。
この「予防保全」を実現する戦略的設備管理ソリューションがもたらすのは、現場における人手不足と属人性からの脱却だけではありません。
管理部門に対しては、生産設備の稼働時間を最大化することにより、設備停止に伴う「機会損失の最小化」、無駄に部品を交換しないことによる「交換費用の最小化」など、新たな設備資産保全業務の改善策ももたらします。
また、従来は作業負荷や入力フォーマットの物理的な限界などから記録が限定的だった保全作業の実施履歴も、現在では、IoTセンサーやモバイル端末などによって様々なデータを取得・記録できるテクノロジーが整ってきています。
そして、これらの情報のすべてを保管し分析することで、設備・機器の管理に必要な予防、予測に用いることができるのです。
最近では、これらのデータをAIとエッジ・コンピューティングを活用し分析することで 以前とは桁違いの高レベルの洞察へと変換し、設備・機器の信頼性の向上と障害に強い運用を実現するために活用できます。
ただ、このようなソリューションの機能を一度にすべて手にしても使いきれない恐れがあるため、自社に必要な機能のみを必要になったときに取得できる方が、使わない機能に投資をしなくて済み、経済効率が高いといえます。
そこで力を発揮するのが「IBM Maximo Application Suite」です。
続いて下記では、その強みと企業の成長に寄与する理由を紹介します。
保全戦略を進化させる設備管理パッケージ
「IBM Maximo Application Suite」
製造現場やプラントにおいて、作業者や技術者、管理者が日々使用しているCMMS(設備保全管理システム)、または EAM(エンタープライズ資産管理)システムの中で、現在世界で最も利用されているソリューションの1つが、統合型デジタル・プラットフォーム「IBM Maximo Application Suite(以下、IBM MASと表記)」です。
IBM MASは、Red Hat OpenShiftを基盤に実績のある Maximo EAM (エンタープライズ・アセット・マネジメント)、及び、APM(アプリケーション・パフォーマンス管理)ソリューションを単一パッケージ化しています。
これにより、障害に強く信頼性の高い設備保全管理と運用に必須のインテリジェンスを提供。将来の事業を生み出す設備保全のDX加速を支援するソリューションとなっています。
IBM MASによって製造現場やプラントは、「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれる現在の状況に対応する手段を構築するとともに、設備保全管理の新たな洞察と新しい働き方の循環モデルを実現し、保全戦略そのものを進化させることができるのです。
図1. IBM Maximo Application Suite主要機能一覧
※バージョンによりご利用できる機能の範囲は異なります
※予定情報を含みます
※利用コンポーネント(CP4D、Kafkaなど)はアプリケーション毎に異なります
IBM Maximo Application Suiteの3つの強み
次に、IBM MASの3つの強みを紹介しましょう。
1. 豊富な導入実績と高度な専門知識を誇る、強力なコミュニティ基盤
IBM MAS の大きな強みの1つは、約30年に渡り積み上げられたIBMの豊富な導入実績です。
IBM は、その実績で生み出された多くの熱心なクライアントから成るユーザーグループを支援しており、そこで収集された膨大なお客さまの声は、IBM MAS の開発にしっかりと取り入れられています。
また、IBMには強力な業界ごとの専門知識を持つグローバルEAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント)ビジネスパートナーたちがおり、長年にわたり、製品の品質向上に寄与し続けています。
これらの分厚いコミュニティ基盤と高度な専門知識が、 IBM MAS の構成に大きな価値を与える基盤となっているのです。そのため、規制への準拠を支援するIBM MAS の適応力の高さはユーザーから高く評価されています。
2. カスタマイズの容易さが生み出す、スピード感ある開発
IBM MASの2つ目の強みは、高度なカスタマイズをアプリケーション内で容易に行うことができることです。
IBM MASの「テーラリング機能」は、プログラミングなしのGUIによる簡単設定で、ユーザー要件に合わせた高度なカスタマイズを実行することができます。しかも、同機能によるカスタマイズはバージョンアップ対応時においても製品のサポート内です。
つまり、同機能を最大活用することにより開発期間、工数、リスクを低減し、長期に使用するシステムのTCO (Total Cost of Ownership)を低減することが可能になります。
また、製品の持つ機能でカスタマイズを実現するため、簡単かつ素早くシステムを組織の固有のニーズに適合させ、効果を素早く得ることができるのです。
3. 必要な機能のみを簡単導入、成長に合わせて必要なアプリを追加購入
IBM MASの3つめの強みは、当初は必要な機能のみを導入し、ビジネスの成長やユーザーの状況に応じて必要なアプリケーションを簡単に追加導入できることです。
これにより、アプリケーションの使用開始タイミングをいつでも自由に変更できるだけでなくムダなく必要なときに必要な機能を追加できるため、資産ライフサイクルに大きな柔軟性を加えることができます。
また、スイート製品全体でユーザー単位のライセンスを使用できるため、ユーザーは含まれる全ソリューションを利用でき、データの収集と分析、分析に基づく保全の実施にいたる包括的なソリューションを実現することが可能です。
IBM Maximo Application Suiteが企業の成長に寄与する理由
このように、IBM MASは、急速に変化する状況や想定外が続く状況下であっても、事後保全だけでなく将来の事業を生み出すための設備保全管理の「予防保全」を実現します。
次に、IBM MASが企業の成長に寄与する理由を「マネジメント」「現場」「保全」の各視点から紹介しましょう。
【マネジメントの視点】保全戦略の高度化と現場の徹底的な見える化の実現
IBM MASによる設備構造・情報の見える化によって、「設備構造の全体俯瞰」と「ドリルダウン」が可能になります。
そのため、直感的に稼働状況や履歴、環境など製造現場の総合的な状態を把握できるだけでなく、データの集計レベルをさらに詳細に掘り下げることも可能です。
これにより、保全戦略の高度化、現場の徹底的な見える化を実現するとともに、データに基づく意思決定を素早く行うことができるようになります。
【現場の視点】日常業務の効率化の実現
IBM MASは、今まで紙ベースだった「在庫の予実管理」や「設備台帳」、「状態保全・予知保全の記録」といった情報を、システム上に集約・保管します。
そのため、「点検・検査結果や設備情報の一元管理」や「直感的な情報検索や参照」が可能になります。
これにより、現場では日常点検を行う前の履歴を確認しやすくなるといった効果を得ることができ、記録を元に分析を進めることで属人性の排除や省人化を実現することができます。
【保全の視点】保全コストの最適化
IBM MASで、デジタル化された「在庫の予実管理」や「設備台帳連携」、「状態保全・予知保全」などの情報を一元管理することで、情報検索を可能にするだけでなく、想定外の事象が発生する頻度を下げる「計画外の保全防止」や「保全作業の効率化」にも有効です。
これにより、日常点検を効率化するとともに、保全コストを最適化することができます。
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エヌアイシー・パートナーズは、IBM Value Add Distributorとして、お客さまの課題に対し長年の実績とIBM製品への深い理解を持って、IBM製品を組み合わせた複合的な解決策をご提案しています。
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- IBM Maximo (製品情報)
– 30年以上にわたり、EAMソフトウェアを代表する製品として高い評価を受けています。 - IBM Maximo Visual Inspection (旧 IBM Visual Insights) (製品情報)
– AI による業務の生産性向上、業務改革に取り組まれる方向けのソリューションです。