2023年08月

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【てくさぽBLOG】IBM Cloud Schematicsを使ってPower Virtual Serverをプロビジョニングしてみた

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの高村です。

今回は IBM Cloud Schematics(以下 Schematics)を利用して IBM Power Virtual Server のプロビジョニングを検証してみました。

IBM Cloud Schematics とは、Infrastructure as a Code(以下 IaC)を提供する IBM Cloud のマネージドサービスです。
IaC や Schematics などについてご存じでない方もいらっしゃると思いますので、順番にご紹介します。

IaCとは?

IaC はインフラストラクチャの設定や管理をコードで行うアプローチです。
具体的には、サーバーやネットワークなどのインフラストラクチャをコードで定義し、必要な時に実行し展開・変更することができます。

IaC を利用するメリットとしては以下が挙げられます。

  • 構築・管理の効率化:
    インフラストラクチャをコードとして管理することで構築・管理を自動化することができます。またコードを再利用することもできるため、複数の環境に対して同じ構成やリソース追加を効率的に構築することができます。
  • 共有の容易化:
    IaC は通常、ソースコード管理システム(Githubなど)を使用してコードを管理します。これにより、チームメンバーとの共有・変更の管理が容易になります。
  • 人為的ミスの削減:
    人為的なミスのリスクが減り、変更の管理やインフラストラクチャの状態の監視も容易になります。

以下はコードが実行される流れを表した図です。
作業者がコードを作成し、そのコードを Gitリポジトリなどにアップロードすると構成管理ツールによってコードが実行され、自動的に環境が構築される流れになります。

コードが実行される流れ

IaC を実現するためには構成管理ツールを利用します。
代表的なツールとしては「Terraform」「Ansible」「chef」などがあります。
以下に簡単にご紹介します。

  • Terraform:
    インフラストラクチャのコードを記述することで、インフラストラクチャの作成、構成、および変更を自動化します。Terraform は主に IaaS に焦点を当てており、インフラストラクチャの構成及び状態の管理に使用されます。
  • Ansible:
    構成管理、アプリケーションのデプロイ、タスクのオーケストレーションなど、幅広い自動化タスクに使用されるツールです。主に構成管理とアプリケーションのデプロイに使用されます。
  • Chef:
    Chefサーバーとクライアントを使用して設定を管理します。主にシステム設定やソフトウェアの導入などの自動化に使用されます。

ツール毎に得意とする分野があり、使用目的や環境に応じて使い分けられています。
これからご紹介する Schematics は上記の Terraform や Ansible の機能を統合し、IBM Cloud環境での IaC を実現するマネージドサービスです。

Schematicsとは?

Schematics は IBM Cloud のサービスの一つとして提供されるマネージドサービスです。

Schematics自体は無償サービスで、プロビジョニングしたリソースに対し費用が発生します。
2023年8月時点で、Schematics自体のリソースは北アメリカやヨーロッパなど一部の地域に作成されます。
ただし IBM Cloud のリソースを作成する場合は、Schematics のロケーションに関係なくどこでも作成することができます。

Schematics は大きく分けて3つの機能を利用することができます。

  • Schematicsワークスペース:
    Terraform の機能を利用し、IBM Cloud環境へのリソースのプロビジョニングと構成の管理の自動化を行います。
  • Schematicsアクション:
    Ansible as a Service機能を利用し、構成の管理及びアプリケーションを IBM Cloud環境にデプロイします。
  • Schematics Blueprints(2023年8月現在ベータ版):
    定義したインフラコードをモジュールとして取り扱い、組み合わせることで大規模環境をデプロイします。

Schematicsワークスペースと Schematicsアクションの使い分けとしては、リソースのプロビジョニングは Schematicsワークスペースを利用し、ソフトウェアのデプロイや設定管理には Schematicsアクションを利用することが推奨されています。

Schematicsワークスペースと Schematicsアクションの使い分

今回の検証では、Schematicsワークスペースを利用した Power Virtual Server のプロビジョニングをご紹介いたします。

検証の概要

Schematicsワークスペースの利用シーンとしては、複数の区画をプロビジョニングしたり、構成変更や別環境へ同一構成をプロビジョニングすることなどが考えられます。

今回の検証では Power Virtual Server を東京リージョンにプロビジョニングし、メモリ容量を変更を行います。
また、大阪リージョンにも同じ区画をプロビジョニングしていきます。

なお、事前に Power Virtual Server のワークスペースを東京と大阪に作成しておきます。
ワークスペースの作成方法につきましては「【やってみた】IBM Power Virtual ServerのAIX環境とIBM Cloud Object Storageを接続してみた -Part1-」の「2) IBM Power Virtual Serverの作成」をご参照ください。

以下は検証の構成図です。
コードは Github のプライベートリポジトリに配置します。外部のソースコード管理ツールを使用したくない場合は IBM Cloud Toolchain の Gitlab を利用することも可能です。

検証の構成図

Githubの設定

プライベートリポジトリの作成

Github の使用は初めてなので、アカウントやリポジトリ作成方法は Web で検索しました。
以下の画面は Github のトップ画面です。デザインがカッコいいですね。

Github のトップ画面

アカウントを作成し、ダッシュボード画面に入ります。
コードは外部公開しない想定のため、プライベートリポジトリを使用します。
任意のリポジトリ名を入力、[Private] を選択し [Create a new repository] をクリックします。

ダッシュボード画面

プライベートリポジトリが作成できました。
作成したリポジトリにコードを配置していきます。

プライベートリポジトリ

コードの作成

Power Virtual Server をプロビジョニングするためのコードですが、こちらの Github に「サンプルコード」が公開されています。5つのコードファイルがありますが全て使用します。
以下各コードファイルの説明です。

  • README.md:Readmeファイル
  • main.tf   :インフラ定義を記述するファイル
  • provider.tf :対象のクラウドなどの情報を記述するファイル(リージョンなども記述)
  • variable.tf :変数を記述するファイル
  • versions.tf :使用するモジュールとバージョンの組み合わせを記述

プライベートリポジトリの画面に戻り、[Add file] から [Create new file] をクリックします。

プライベートリポジトリ画面

ファイル名を入力し、サンプルコードをコピー&ペーストします。最後に [Commit change] をクリックします。

サンプルコードをコピー&ペースト

5つのコードファイルを作成しました。

5つのコードファイル

コードの編集

検証では以下構成の Power Virtual Server をプロビジョニングしていきます。

  • リージョン:東京
  • インスタンス名:test_AIX
  • OS:AIX V7.3
  • CPUタイプ:Uncapped Shared
  • CPU:0.25
  • メモリ:2GB
  • ストレージタイプ:Tier3
  • 外部ディスク名:dg
  • 外部ディスクサイズ:1GB
  • NW名:pvs_test_nw

サンプルコードのままでは上記の構成を作成することはできないため、変数ファイル「variable.tf」を編集する必要があります。
main.tf、provider.tf は variable.tf の値をみて動きますので特に編集は不要です。versions.tf は変更無し、README.md は適宜編集します。

以下は variable.tf の内容です。
各パラメータの説明は割愛いたしますが、ピンク字①~③の値の確認方法は下にご紹介します。

// Service / Account
variable “ibm_cloud_api_key” {
description = “API Key”
type = string
default = “XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
}<①
variable “region” {
description = “Reigon of Service”
type = string
default = “tok
}
variable “zone” {
description = “Zone of Service”
type = string
default = “tok04
}
variable “cloud_instance_id” {
description = “Cloud Instance ID of Service”
type = string
default = “XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
}<②// Image
variable “image_name” {
description = “Name of the image to be used”
type = string
default = “XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
}<③// Instance
variable “instance_name” {
description = “Name of the instance”
type = string
default = “test_AIX
}
variable “memory” {
description = “Instance memory”
type = number
default = 2
}
variable “processors” {
description = “Instance processors”
type = number
default = 0.25
}
variable “proc_type” {
description = “Instance ProcType”
type = string
default = “shared
}
variable “storage_type” {
description = “The storage type to be used”
type = string
default = “tier3
}
variable “sys_type” {
description = “Instance System Type”
type = string
default = “s922
}// SSH Key
variable “ssh_key_name” {
description = “Name of the ssh key to be used”
type = string
default = “ssh_20230719
}
variable “ssh_key_rsa” {
description = “Public ssh key”
type = string
default = “XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
}<公開鍵を入力// Network
variable “network_name” {
description = “Name of the network”
type = string
default = “pvs_test_nw
}
variable “network_type” {
description = “Type of a network”
type = string
default = “pub-vlan”
}
variable “network_count” {
description = “Number of networks to provision”
type = number
default = 1
}// Volume
variable “volume_name” {
description = “Name of the volume”
type = string
default = “dg
}
variable “volume_size” {
description = “Size of a volume”
type = number
default = 1
}
variable “volume_shareable” {
description = “Is a volume shareable”
type = bool
default = false
}
variable “volume_type” {
description = “Type of a volume”
type = string
default = “tier3
}

ピンク字①~③の値の確認方法は以下です。

①APIキー

APIキーの作成方法は「APIキーの作成方法」(IBMサイト)をご参照ください。
作成したAPIキーを控えます。

②クラウドインスタンスID

IBM Cloudリソースリストから Power Virtual Server のワークスペースを選択すると GUID が表示されるので控えます。

クラウドインスタンスID

③イメージID

IBM Cloud Shell からコマンドを実行してブートイメージのイメージIDを取得します。
Cloud Shell は管理コンソール画面の右上のアイコンから入ります。

イメージID

Cloud Shell で以下コマンドを実行します。


$ ibmcloud pi servicelist  <ワークスペースのcrnが表示されます
$ ibmcloud pi service-target crn:XXXXXXXX <表示された対象ワークスペースのcrnを入力します
$ ibmcloud pi images <イメージIDが表示されるのでIDを控えます


以下は出力結果画面です。
マスキングが多く申し訳ございませんが、ご参考ください。

出力結果画面

これでコードの編集が完了しました。
サンプルコードが提供されているので、variable.tf の変数を編集すれば目的のコードを作ることができますね。

トークンの取得

Schematics から Github のプライベートリポジトリにアクセスする際にパーソナルアクセストークンが必要となるため、Github からパーソナルアクセストークンを取得します。
メニューから [Settings] をクリックします。

パーソナルアクセストークン取得

左側メニューの [<>Developer settings] をクリックします。

<>Developer settings

[Tokens(classic)] をクリックします。

Tokens(classic)

[Generate new token(classic)] をクリックします。

Generate new token(classic)

[Note] に適宜入力し、[Expiration] を30日に設定し、”Select scopes” では [repo] にチェックを入れます。画面を下にスクロールし、[Generate token] をクリックします。

Generate token

パーソナルアクセストークンが作成できました。
後程Schematicsワークスペースの作成で必要になるためメモ帳などに控えておきます。

パーソナルアクセストークン作成完了

リポジトリーのURL取得

プライベートリポジトリのURLを取得します。
リポジトリ画面に戻り [<>Code] をクリックし、[HTTPS] を選択して URL を控えておきます。

プライベートリポジトリのURL取得

これで Github の設定は完了しました。

Schematicsワークスペースの設定・プランの実行

Schematicsワークスペースの作成

Schematicsワークスペースから Power Virtual Server をプロビジョニングにしてみましょう。

IBM Cloud のカタログから “Schematics” を選択します。

Schematics

Schematics のホーム画面に入りました。
[ワークスペースの作成+] をクリックします。

ワークスペースの作成+

ワークスペース作成画面です。
[GithubのURL] にはプライベートリポジトリの URL、[パーソナル・アクセス・トークン] には Github で作成したトークンを入力します。[完全リポジトリーの使用] のチェックボックスはデフォルトままにします。[Terraformバージョン] は最新バージョンを指定して [次へ] をクリックします。

ワークスペース作成画面

[ワークスペース名] に任意の名前を入力し、[ローケーション] を北アメリカ/ロンドン/フランクフルトの中から選択し、[次へ] をクリックします。

ワークスペース名/ローケーション

設定値が表示されるので確認し、[作成] をクリックします。

設定値

約1分程でワークスペースが作成できました。
variable.tf の変数が読み込まれ、ワークスペースの変数に表示されています。

ワークスペース作成完了

[README] を選択すると、README.md が読み込まれていることがわかります。

README

Power Virtual Serverのプロビジョニング

右上の [プランの生成] をクリックし、コードのチェックを行います。

プランの生成

プランの生成が成功すると、[ジョブ] 画面に以下のように表示されます。

ジョブ

ちなみに失敗時は以下の画面が表示されます。
失敗した場合はエラーメッセージから原因を確認します。
ここでは記載しませんが、何回かプランの生成に失敗しコードを修正しました。

失敗時

コードを修正した場合は、[最新をプル] をクリックすると最新の状態にすることができます。

最新をプル

話がそれましたが、プランを適用してプロビジョニングを実行します。
[プランの適用] をクリックします。

プランの適用

進行状況は [ジョブ] から確認できます。

進行状況

適用が進んでいますね。

適用

約15分程でプランの適用が完了しました。

プランの適用完了

Power Virtual Server のワークスペースを確認すると、指定通りのインスタンスが作成されていました。

Power Virtual Server のワークスペース

指定通りのインスタンス

構成変更

Schematicsワークスペースにてメモリ容量を2GBから4GBへ変更します。
Github のコード編集ではなく、ワークスペースから変数を上書きすることができます。
ワークスペースの変数画面から [memory] の編集アイコンをクリックします。

memory

値を [4] にして [保存] をクリックします。
なお、デフォルト値に戻したいときは [デフォルトの使用] にチェックを入れて保存します。

デフォルトの使用

メモリの変数がデフォルトは2、オーバーライド値が4になりました。

メモリの変数/オーバーライド値

プランの生成、適用を行い正常に行われたことを確認します。

プランの生成、適用を行い正常に行われたことを確認

Power Virtual Server を確認するとサイズ変更が実行されていました。

サイズ変更

数分後、メモリが2GBから4GBに変更されたことを確認できました。

メモリ変更

大阪リージョンへプロビジョニング

東京リージョンに作成した区画と同じ構成を大阪リージョンに作成します。
リソース変更手順と同様にワークスペースの変数を編集します。
[region] を選択して [編集] をクリックします。

region

大阪リージョンの [osa] を入力して [保存] をクリックします。

osa

同様に、zone, cloud_instane_id, image_name の変数を大阪リージョンの値に上書きします。

zone / cloud_instane_id / image_name

変数の上書きをした後、プランの生成を行ったところ生成が失敗してしまいました。
ログをみると、イメージを Get できない内容のエラーが出力されています。

生成が失敗

しかし、変数のオーバーライド値には大阪リージョンの値を入力しています。Github のコードを編集して Schematicsワークスペースを更新してみましたが、同様のエラーで失敗しました。
プラン適用時に環境変数が残ってしまっているのかも?と考え、新たに大阪リージョンの用の Schematicsワークスペースを作成し、変数は大阪リージョンの値を登録しました。

大阪リージョンの用の Schematicsワークスペースを作成

プランの生成・適用を行ったところ、無事成功しました。
変数の値は間違っていないようです。

成功

大阪のワークスペースを確認すると、指定した構成で作成されていました。
Schematicsワークスペースはリージョン毎に分けた方が良いのかもしれません。

指定した構成で作成

以上で検証は完了です。

コード作成の経験がない私でも、Schematicsワークスペースから Power Virtual Server をプロビジョニングすることができました。
サンプルコードはカスタマイズや修正を行えば実行できたので、作業の難易度はそこまで高くありませんでした。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

Schematicsワークスペースを利用して Power Virtual Server のプロビジョニング、構成変更、別環境へ同一構成のプロビジョニングを行いました。
コード作成はスキルが必要と思われる方も多いかと思いますが、サンプルコードが提供されているため初心者でも取り掛かりやすいと思います。

検証では1区画のみの作成でしたが、複数区画作成する場合は GUI で作業するよりもコードを定義し Schematicsワークスペースから実行した方が工数・ミスを削減できるのではと感じます。
また、ワークスペース上で変数のデフォルト値が保持されているため、デフォルト値に戻したい場合はクリック一つで設定を戻すことができ、デフォルト値がわからなくなるといったミスを防ぐことができます。

別環境へのプロビジョニングでは変数を上書きしてもプランを適用できなかったため、別リージョン専用のワークスペースを作成しました。
明らかな原因を突き止めることができなかったのですが、環境ごとに Schematicsワークスペースを分けた方が運用面では管理がしやすいですね。

また今回は検証しませんでしたが、ベータ版の Schematics Blueprints は定義したコードをモジュールとして取り扱い・組み合わせることで大規模環境をデプロイすることができる機能です。
例えば本番環境と同一構成を別リージョンに作成したい場合、通常は一つ一つリソースをプロビジョニングし別環境にも同じ作業を行います。
コードを定義し Schematics Blueprints を使用すればコードを組み合わせて環境をデプロイできるため、作業工数の削減が期待できます。

システムの構築は設計から始まり、構築、試験の実施、運用手順書の作成など多くの過程があり、長い時間と労力が必要です。
昨今 Schematics をはじめとする IaC の実現ツールが徐々に広まりつつありますが、これからは従来の構築作業がコードとツールを利用した作業や運用に移行していくかもしれません。

最新情報

2023年8月23日に Terraform バージョン0.x が2023年9月末で営業活動終了、2024年9月末にサポート終了されることが発表されました。
既存でバージョン0.xをご利用されている場合は2024年9月末までにバージョン1.x以上にアップグレードする必要があります。

Schematics に限らず、IBM Cloudサービスの営業活動終了/サポート終了などは定期的に発表されますので、留意してご利用いただくことが重要です。

お問い合わせ

この記事に関するご質問は下記までご連絡ください。

エヌアイシー・パートナーズ株式会社
E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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“AI を学習用ではなく事業の現場に馴染ませる”
本格的なAI時代に誕生したIBM Power11の覚悟とは?

公開日:2025-12-25 本格的なAI時代の到来で、企業にとってIT基盤の存在感はこれまで以上に重みを増しています。IBM Power11は、そうした時代の要請に応えるべく誕生した真のエンタープライズ・サーバーです。堅牢な信頼性と高い処理性能に加え、外付けカードIBM Spyre Acceleratorによって、地に足がついたAIワークロードをすぐに実装できる実用性を備えるに至っています。既に先行ユーザーは、大きな業務効率化の効果を体感しており、このサーバーは単なるハードウェアを超えて、次世代の標準基盤となる期待を集めています。 今回は、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)テクノロジー事業本部 Powerテクニカル・セールス部長 釘井 睦和 氏をお迎えし、AI時代をリードするべくして誕生したIBM Power11の“覚悟”について伺いました。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部Powerテクニカル・セールス部長釘井 睦和 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部テクニカル・サポート部部長 広橋 稔 本格的なAI時代の到来で、さらに重みの増すIT基盤 広橋: 経営とITが不可分となった今日、企業のお客様が直面している課題としてどのようなものがあると考えておられますか。 釘井氏: 本格的にAIの時代が到来したことが非常に大きいと思います。企業競争力の維持を図る上で、もはや、AI活用を抜きに戦略を立てられないというところまで来ています。実践段階に入ってきたこともあり、アナリスト機関IDCによれば、これからはAIエージェントが自らアプリケーションを書くようになると予測されています。その結果、アプリケーションの数は爆発的に増加し、今後10億もの新しいアプリケーションが出現すると予測され、そのうち3分の1はAIによって開発される見込みです。こうなってくると、アプリケーションを支えるインフラは、これまでにないスピードと規模でアプリケーション増加への対応と高い可用性を求められます。計画停止すら許されないミッションクリティカルな業務が増えていくことでしょう。そのような世界では、油断をするとシステムのサイロ化やデータ爆発も起きやすくなるため、その対策も必要です。 その一方で、ランサムウェア攻撃を筆頭に、セキュリティリスクも劇的に高まっており、対策強化も喫緊の課題です。だからといって、ITばかりに予算を使うわけにはいきませんから、そこはコスト最適化を図る目線も要求されます。さらに、少子高齢化社会の進行で、IT人材も確保しづらい状況が続いているため、より少ない人員でより多くのことをカバーできるかといった観点での運用効率化も恒常的なテーマとなっています。つまり、今日の企業が対峙している課題は文字どおり山積しているといえます。 広橋: 確かに、日ごろパートナー企業やエンドユーザー企業のお悩みを聞く中で、こうしたお話はよく伺います。特にAI活用については、意欲を持ちつつも、プレッシャーも感じておられるようです。 AI時代のニーズに応える真のエンタープライズ・サーバー 釘井氏: こうした中、今年登場したIBM Power11は、本格的なAI時代のニーズに応える、真のエンタープライズ・サーバーとして位置づけられています。このサーバーは、単なるハードウェアを超えたまさに“企業の中枢を支える基盤”として設計されており、Powerとして従来から定評のある堅牢性と可用性をさらに進化させつつ、計画停止をほぼ不要とする自律的な運用機能や強靭なセキュリティを標準装備しました。また、最新のDDR5メモリと強化されたI/Oアーキテクチャにより、高負荷のトランザクション処理や大規模データ解析なども余裕を持ってこなすとともに、AI推論も得意とします。IBM Power11は、企業がAI時代に向けて加速できるようIBMが考え抜いたフルスタックのイノベーションです。 広橋: IBM Power11を特徴づけるキーワードをいくつか挙げていただけますか。 釘井氏: 一つは、「0」(ゼロ)です。これは、エンドツーエンドの自動化を実現し、計画的なダウンタイムを0にする、つまり、無停止運転を可能にすることを意味します。 従来はメンテナンスウィンドウを設けて実施していたファームウェア更新、I/Oアダプタ更新、仮想化ソフトウェア更新などを、IBM Power 11ではAutomated Platform Maintenance(APM、プラットフォーム自動保守)機能として、管理コンソールであるIBM Hardware Management Console(HMC)からワンクリックまたは準自動で実行可能です。環境をチェックする更新前準備、パッチ配布、ワークロードの退避・復帰を一連のフローで自動化できるため、停止せずに更新できるというわけです。 また、運用データを横断的に集約し、watsonxですぐに実行できる提案と自動化を結びつける、アプリケーション運用向けのAIオートメーション基盤 IBM Concertがあります。Concert for Powerでは、Powerインフラの脆弱性を検出して、現行バージョンに照らして優先度をAI算定、その後に推奨手順を提示し、必要に応じて更新をゼロ計画停止で実行するところまで担います。ここでいう実行とは、HMC/PowerVMが担う処理をConcertが呼び出して一気通貫に自動実行することを意味しています。 広橋: サーバー停止は業務に支障を及ぼしかねず、利用部門や経営層からの圧力も大きいため、情報システム部門としてはなるべく回避したい運用ですから、安定して動き続けてくれるならそれに越したことはないですね。 釘井氏: はい。もう1つのキーワードは「

2025年12月25日

VMware問題で生じる保守のすき間に、 IBM第三者保守という「つなぎ保守」を

公開日:2025-12-25 ブロードコムによるVMware買収により、多くのユーザー企業が大幅なコスト増か、保守なしでのリスク運用か、という究極の選択を迫られています。そういった企業に対して、日本アイビーエム(以下、IBM)では、「VMware第三者保守サポートサービス」を提供しています。これは、IBMがグローバルレベルでVMwareテクノロジーの知見を収集できる特性を活かして、高い解決率で保守サービスを提供するというもの。 今回は、サービス提供部門の方々をお招きし、このサービスの詳細とメリットとともに、なぜVMware第三者保守を手がけるのかについて深掘りしていきます。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業第三営業部 部長 井上 亜矢子 氏 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業R&E第一営業部 山谷 怜 氏 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部テクノロジー・サービス事業R&E第一営業部 山口 英俊 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社営業本部カスタマーサービス営業部第2グループグループ長 平嶋 英良 突然訪れる保守なしからのリスクをカバーするサービス 平嶋: ブロードコムによるVMware買収、いわゆる“VMware問題”では、多くユーザー企業の間で激震が走りました。大きなインフラコストの上昇を引き起こす要因となったからです。そうした中でIBMは「VMware第三者保守サポートサービス」を提供されている背景をお聞かせください。 山口氏: 買収によって、ライセンスとサポートの考え方が大きく変わりました。従来、ライセンスに関しては、「Perpetual 永続ライセンス」といって、一度購入すれば、期限無制限で永続的に使用する権利が得られました。サポートは、この永続ライセンスに対して有期限で別途契約する形態となっていました。しかし、サブスクリプション・ライセンスへと変更となり、ライセンスは有期のライセンスを新たに買い直すとともに、サポートもライセンスに同梱されることとなりました。したがって、サポートは、ライセンスと同じ期間の権利を買うことが求められることになりました。(図1)。 図1 ”仮想マシンのみ”からコンテナ利用環境へのモダナイゼーション これは、お客様にとって2つのことを意味します。サブスクリプション・ライセンスに移行すればインフラコストの大幅な上昇になり、かといって永続ライセンスにとどまれば、従来のサポート契約期間満了時からサポートが受けられなくなる。つまり、サポートにすき間が生じるリスクが生じます。障害が起きても情報システム部門で対応するという方法もありますが、VMware環境の運用には専門的な知識が必要で、現実的とは言えません。 平嶋: 多くのユーザー企業がジレンマを抱えておられるようです。 山口氏: そうなのです。そこでIBMは、こうした保守なしのリスク運用が生じないように、当社の実績ある第三者保守サポートの枠組みを通じて、経験豊富な技術者チームによるVMware 環境の安定稼働の支援と、コスト最適化効果を提供することを考えました。それが、「VMware第三者保守サポートサービス」です。 このサービスは、これを機に別のインフラ環境へマイグレーションしたり、モダナイゼーションしようと考えるお客様にも有効です。このようなプロジェクトは通常、多くの時間を要します。その間に従来のサポート契約満了日が来てしまうことも考えられ、リスクを避けようとすると、この日に合わせて急いで移行するか、いったんサブスクリプション・ライセンスを受け入れながら、新システムプロジェクトを進めるということになり、新旧インフラコストを負担しなければなりません。しかし、「VMware第三者保守サポートサービス」を利用すれば、既存システムのサポートはこちらでカバーできるため、拙速に陥ることなく、余裕を持ってマイグレーションやモダナイゼーションに取り組むことができます。 井上氏: また、サブスクリプション・ライセンスに移行したけれど、稼働しているアプリケーションの事情で、VMware の古いバージョンを使い続けているという場合もあるかと思います。メーカーではサポートするバージョンが限られているため、サポート契約を結んでいても、それがあまり効果を発揮できないケースがあります。「VMware第三者保守サポートサービス」なら、比較的古いバージョンでもサポートを提供することが可能ですので、こちらを追加でお買い求めいただいてご活用いただく、というパターンもあります。 平嶋: なるほど。様々な状況で、コストを含めて、お客様に安心を提供できるサービスなのですね。 「VMware第三者保守サポートサービス」とは 平嶋: あらためてサービスの詳細をご紹介ください。 井上氏: サービス名称にもある通り、この枠組みではIBMはあくまで第三者であり、メーカーではないため、パッチの提供は行いません。何か事象が起こったときは、お客様からログなどをいただいて、「この設定をこのように変えてください。そうすればこの事象は回避できるはずです」と、事象の回避策を提案します。なぜこのようなことができるかというと、IBMにはグローバルレベルでVMwareのスキル、ノウハウに精通した協業パートナーが存在し、また、様々なお客様において提供したサポートの実績も蓄積しているからです。当社の技術チームがそこから事例やデータの提供を受けながら技術調査を行い、的確かつ最適な回答を追求して問題対応に当たります。ただ、あくまでも立場は第三者であるため、このサービスはベストエフォートでのサポートとなります。しかし、IBMでは、Oracleを含め第三者保守では豊富な実績を誇っており、回避策の提供で解決しない事象はほぼありません。 平嶋: お客様からはどのように相談を受けるのですか。 井上氏: ご相談は24時間365日Web上で受け付けています。対応に当たるのは平日9時から17時になります。 平嶋: IBM製品をお使いのお客様ですと、「システム技術支援サービス」 (System Technical Support Services、以下STSS)をご利用になっているケースもあるかと思いますが、その場合はどうなるのでしょうか。 井上氏: その場合は「IBM サポート・コミュニティ」にご連絡いただければ、STSS側で「これはVMwareの問題だね」と認識して、IBM内部でVMware担当と連絡を取り合って、受付/対応を行います。お客様は窓口を使い分ける必要なく、ワンストップサービスのイメージでご利用いただけます。 図2 IBM VMware第三者保守サポートサービスご提供体制 平嶋: 契約条件などはあるのでしょうか。 井上氏: ライセンス数は“20”から、契約期間は3カ月以上、3年以下とさせていただいています。ライセンス数“20”というのは、日本のVMwareユーザーのお客様を調査したところ、大体平均でこのぐらいの数はお持ちであることがわかり、“20”に設定させていただきました。 平嶋: 契約期間を3カ月以上、3年以下に設定されているのはなぜですか。お客様によっては、もっと長く保守してほしいというご要望があるような気がします。 井上氏: 3カ月以上というのは採算上の問題です。長い分には、5年でも、10年でも保守をお引き受けすることはサービス設計上可能ではあるのですが、あえて3年以下とさせていただいたのには、ここにIBMとしての「思い」があるのです。 次を見据えたシステム移行のための「つなぎ保守」 山谷氏: その「思い」というのは、この第三者保守について、次を見据えたシステム移行を考える上で一つの手段とする、「つなぎ保守」として活用いただきたいというものです。技術革新の著しいITの世界にあって、一つのインフラを長く使い続けるのはあまり健全ではないと私たちは考えています。そのため、あえて「VMware第三者保守サポートサービス」を恒久的に使っていただくことが目的とならないようにと考えています。そこが、他社さんの第三者保守との非常に大きな違いです。お客様にとって重要なのは、この先どのようなインフラが最もふさわしいかを考えることです。一緒に知恵を絞らせていただいてお手伝いしながら、実現するまで既存の環境をお守りする、というのが私たちのスタンスなのです。これは、IBMにはハードウェアでもソフトウェアでも様々な部門があり、多様な支援が可能だからということもあります。 平嶋: VMwareからの移行では、なにかモデルパターンを想定されているのでしょうか。 山谷氏: 移行のパターンはたくさんあると思います。Hyper-VやKVMなど他社製のハイパーバイザーへ移行することもその一つですし、これを機にクラウドへシフトするということも考えられます。お客様によっては非常に大規模で複雑なVMware基盤をお持ちの場合もあると私たちは考えており、一筋縄でいかない環境に対して、新しいインフラをどう構想するか、また移行するか、そして稼働後にどう運用保守していくか、といったところまでご相談に乗ることが可能です。 山口氏: そういう意味では、金融業界のお客様はこう、製造業のお客様はこう、と、お客様の業種・業態によってもさまざまなパターンが考えられるかもしれないですね。IBMは全ての業種・業態のお客様とリレーションがありますので、そうしたナレッジも活かしながら、お客様にヒアリングをさせていただき、システム移行を一緒に検討していければと考えています。また、検討フェーズではパートナー企業の存在、また共創も重要で、ここはNI+C P様に主導権を握っていただければ。「こういう提案をしたい」といただいた声に対して、「それならこのようなソリューションがあります」と応えていきたいと考えています。 余裕を持った最適解の選択をNI+C Pもサポート 平嶋: こうして見ると、「VMware第三者保守サポートサービス」には、大きく4つのメリットがありそうです。1つ目は、 サポート保守なしリスクを伴う運用を防ぎ、万一の障害にも備えられること。2つ目は、 それでいながらコストを最適化できること。3つ目は、ベストエフォートではあるけれど、グローバルレベルでVMwareの高い知見を収集できるIBMの特性を活かした、安心感の高いサポートを受けられること。4つ目は、既存のインフラ環境の“次”を見据えて検討し、実現できるパートナーを持てること。4つ目に関しては、ぜひ当社も貢献したいですね。 山口氏: お客様には、この「つなぎ保守」のメリットを活用し、インフラ環境のマイグレーションやモダナイゼーションに成功していただきたいと思います。 平嶋: インフラ環境の移行は長期的な計画が必要です。このサービスを活用することで「時間」と「安心」を確保でき、拙速を避けて、余裕を持って最適解を選ぶことができます。NI+C Pでは、IBMのハードウェア(保守を含めたサービスやサーバー、ストレージ)とソフトウェア(Storage Fusion、watsonxなど)を組み合わせた最適なソリューションを示すことができます。また、製品の特長やユースケースを分かりやすく説明し、お客様課題の解決策も提案させていただきます。VMware問題でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。 .recommend-list{ margin-top: 0px; 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2025年12月24日

【イベントレポート】Automation テクニカルワークショップ第一回 開催しました

公開日:2025-12-24 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの和田です。 2025年11月26日に「Automation テクニカルワークショップ」第一回を開催しました。 本ワークショップは、2025年7月および9月に実施した「watsonx Orchestrate ハンズオンセミナー」に続く取り組みとして、IBM Automation製品群の中で弊社が注力しているAIOpsソリューションを中心に企画検討し、利用イメージがつきやすいInstanaのハンズオンを実施しました。 ハンズオンだけでなくワークショップ形式でのセッションを通じて、ITシステム運用の現場で直面する課題をどのように解決できるのか、Instanaを活用した具体的な方法を参加者同士が議論しました。また、セッションの最後には各チームごとに成果を発表・共有する場を設け、Instanaに対する理解を深めるとともに、参加者間の交流を促進することを目的としました。 本ブログでは、このテクニカルワークショップの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 ワークショップアジェンダ Instana概要 Instanaハンズオン グループワーク まとめ お問い合わせ ワークショップアジェンダ ワークショップのアジェンダについては以下の通り実施いたしました。 IBM AIOpsソリューション概要 Instana 座学 Instana ハンズオン Instana最新情報 グループワーク IBM AIOpsソリューション概要では、IBMが取り揃えているAIOpsソリューションのラインナップと利用シーンをご紹介し、その中でもお客様のROIが高いお勧めのソリューションをピックアップしてご紹介しました。 また、Instana最新情報ではIBM様にご登壇いただき、DBMarlinとの連携やAIでの監視支援、LLMのトークン数を収集できる機能など最新アップデート情報をご紹介いただきました。 Instana概要 Instanaについては過去にこちらの記事でご説明しております。 今回はInstanaのAgentを導入することからハンズオンで実施しますので、Instana Agentがどのようにデータを収集するかについてご説明します。 InstanaはAgentのセンサー機能が監視対象を自動検出してデータ収集します。 Agent自体がセンサー機能を持っているわけではなく、Agentインストール後にセンサー機能をインストールし、そのセンサー機能で各コンポーネントを検出しデータを収集しています。 Instana Agentは収集したデータをInstana バックエンド(SaaSもしくは自己ホスト)に送信します。   Instanaハンズオン Instana Agentの導入からInstanaでの情報確認、障害発生時のエラー発生箇所確認をハンズオンで体験頂きました。 実施内容 環境の説明/ログイン Instana Agentのインストール インフラストラクチャー情報確認 アプリケーション設定/アプリケーション情報確認 アラートチャネル作成/アラート設定 障害注入/エラー発生箇所確認   今回のハンズオンではサンプルアプリケーションを導入してあるサーバーを参加人数分ご用意したので、参加者の方々全員がInstana Agentの導入を体験いただけました。 ハンズオンではInstana Agentの導入を行うためCLIでサーバーにログインいただきました。 普段CLIを利用されないかたもいらっしゃったのでログインに苦戦された方もいましたが、AgentのインストールはLinuxの場合ワンライナーで導入できるため、Agent導入はスムーズに行えてました。 実際にAgent導入したサーバの情報やアプリケーションの情報をみていただくことで、Instanaではどういった情報が表示されるのか、どういった操作感なのかを体験していただけました。 また、サンプルアプリケーションにエラーを発生させるスクリプトもご用意しましたので、実際にエラーが起きた場合正常時と比較しどのように見えるか、アラート設定をした場合、どのような通知がくるのかを体験いただきました。 その他のハンズオンについて詳しく知りたい方は、ブログの最後に記載している「お問い合わせ」までお気軽にご連絡ください。 グループワーク 今回、ハンズオンだけでなくITシステム運用の現場における課題を洗い出し、それらの課題を解決する手段としてInstanaがどう使えるかという観点でチームに分かれてグループワークを行いました。 1チーム4,5人の合計3チームに分かれてNI+C Pメンバーがファシリテートしながらアイディア出し・ディスカッションを行いました。 当日上がった課題及びInstanaを活用することで改善できることをいくつかピックアップします。 運用の属人化がおきている 障害原因の特定までをInstanaがガイドしてくれるためどんな人でも対応できる ログの分析に時間がかかる Instanaの画面上でログの確認・分析ができるため時間短縮できる ご参加して頂いたパートナー様が携わっていらっしゃる業務や、業務の経験年数が異なることより多様な意見が出ておりました。 アドバイザーで参加いただいたIBM様も含め、各チーム貴重な意見交換をできるグループワークとなりました。 グループワークの感想について、「他の会社の意見が聞けてよかった」や、「Instanaを利用するシーンがより理解できた」といったような意見をいただきました。 まとめ このたび、Automation製品に関する初めてのワークショップを無事に開催することができ、安堵しております。 ご参加いただいた皆様からのアンケートでは、「はじめてInstanaに触れましたが、実際に障害が発生した際の挙動を見ることができたうえ、他社の方々との交流や意見交換の機会もあり、大変有意義な時間となりました」とのご意見をいただきました。このようなお声をいただけたことで、準備を重ねてきた甲斐があったと感じ、心より嬉しく思っております。 今後も、製品を実際に体験いただけるハンズオンや、参加者同士が交流・情報共有を行えるワークショップを継続的に開催してまいります。ご興味ある方は是非ご参加いただけますと幸いです。 また、「こんなことをやってほしい」「この製品を使ったワークショップをお願いしたい」といったご要望がございましたら、ぜひお気軽にお聞かせください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

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