こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの佐野です。
この度弊社テクニカルチームで、IT資産管理ソリューションである「Flexera One with IBM Observability(以下 Flexera One)」を導入検証してみました。
Flexera One がどういうソリューションなのかご存知で無い方も多いと思いますので、今回の Part1 ではソリューションの概要をご説明し、次回の Part2 で実際に使ってみた内容を共有いたします。
資産管理を行う際の課題
IT資産管理を行う際、デバイス管理ソリューションを入れている企業が多いかと思います。
しかし、デバイスの管理だけでは OS上に導入されているアプリケーションの情報は収集できるものの、メーカーと契約し保有しているライセンス数量と実際に使っているライセンス数があっているか?を確認するために Excel などの表計算ソフトに転記して計算している、という方も多いのではないでしょうか。
もちろんその方法でも使用数量と保有ライセンス数量を管理すること自体はできますが、以下のような課題もあります。
- 独自ツールで情報を収集してから集計し報告までにタイムラグが生じる
- IBM製品をサブキャパシティで利用している場合には別途IBM License Metric Tool(以下 ILMT)での管理・監査レポートの出力が必要で労力がかかる
特にメーカー監査対応には労力や時間がかかる上に、ライセンス数が不足している場合には違反金を支払うリスクも生じます。
そのため、普段から使用しているソフトウェアとその保有ライセンスが正しいかをチェックすることには非常に大切です。
Flexera Oneとは
Flexera One は IT資産を最適化するための SaaSサービスで、Flexera社のサービスを IBM が OEM で提供しています。
このサービスを使うことで、IBM や Microsoft、Oracle など複数メーカーのソフトウェアの利用状況やライセンスの保有数量を一覧で確認できるようになり、数量の不足や買い忘れ・契約時期などを即座に把握することができます。
それだけでなくサポートの有無や契約と紐づけてライセンスを管理でき、過去の状況も含めて理解できることもポイントです。
さらに、導入したソフトウェアのライセンス管理だけでなく Microsoft 365 や Salesforce などの SaaS についてもサポートをしており、今まで個別に管理していたものを1か所で管理できるようになります。
また、弊社の主力取り扱い製品である IBM製品をサブキャパシティで利用している場合には ILMT での管理・監査レポートの出力が必要となりますが、Flexera One は ILMT の代わりに監査レポートを出力するツールとして認められています。
(IBMサイト情報「Sub-capacity (Virtualization capacity) licensing」参照)
ILMTとの違い
IBMライセンスの監査をするという観点で、ILMT と Flexera One ではどのような違いがあるのでしょうか?スペックの違いを簡単にまとめました。
Flexera One | ILMT | |
管理サーバー | 不要 | 必要 |
管理サーバーのOS・speck | ― | Windows, Linux(5core/10GB)*1 |
中継マシン | 必要 | 不要 ※構成可 |
中継マシンのOS・speck | Windows(2core/8GB) | ― |
有償/無償 | 有償 | 無償 |
管理対象OS | Windows, Linux, AIX, HP-UX, Solaris, Mac OS X | Windows, Linux, AIX, Solaris, IBM i |
管理対象SW | マルチベンダー (IBM, Oracle, Microsoftなど)*2 |
IBM製品のみ |
*1. All-in-One構成のスペック
*2. SalesforceなどのSaaSもライセンス管理可
運用面においては ILMT では最新バージョンが出たら自分でバージョンアップを実施する必要がありますが、Flexera One は SaaS のため管理サーバーのバージョンアップをご自身で実施する必要がありません。
エージェントのバージョンアップも自動実行の設定ができるので、日常運用においても負荷が低くなります。
Flexera One ではこのような効果を見込める分 IBMライセンス監査のためだけのツールである ILMT よりもメリットがあり、コストの最適化とコンプライアンスの維持に大きな貢献をすることがこれらのことから分かります。
Flexera One の大きな機能としては以下があります。
- IT資産管理
- デバイスの可視化とダッシュボード
- クラウドコスト最適化
この中でも今回は「IT資産管理」機能について検証しました。
Flexera One検証環境概要
今回の検証環境概要は以下の図となります。
マルチベンダー製品を単一のコンソールで管理できることを確認することが大きな目的の一つであるため、Windows だけでなく Linux やAIX(IBM Power)の環境も準備し検証します。
そのため、クラウド環境として Windows や Linux はもちろん、唯一 AIXサーバーを用意できる IBM Cloud を選定しています。
Flexera One は SaaS ですが、情報を収集し Flexera One環境へ送信するための “ビーコンサーバー” を構築する必要があります。
ビーコンサーバーのシステム要件として Windowsサーバーが必須ですが、今回のように管理対象サーバーが Windows、Linux、AIX いずれであっても1台を共通して利用できます。
このような環境で今回検証を行いました。
次回の Part2 では、Flexera One検証内容とその結果を共有します。
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