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2018年06月27日

“イノベーションはエンジニアがリードする!” IBM Think Japan 2018 に行ってきた

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの山田です。 6月11日―12日に開催された IBM Think Japan 2018に参加してきました。 今、IT業界ではデベロッパー向けのイベントが増えていますが、IBM Think Japan 2018 も、初日を Code Day と称して3,000人を超えるデベロッパーが参加するイベントとなりました。 そのキーメッセージは、 世界はITでできている。イノベーションはエンジニアがリードする。 です。   イノベーションを牽引するエンジニアの時代 今年3月に開催されたラスベガスの IBM Think にも参加しましたが、Code Dayと銘打ってエンジニア向けの日程を設けたり、新世代エンジニアを登壇させたりという企画は、日本独自のものでした。この新世代エンジニアを登壇させるという企画からはグローバル以上に強いメッセージを感じました。逆にいえば、日本ではまだまだエンジニアへのフォーカスが弱いという証拠なのかもしれません。 新世代エンジニア4名が登壇した「エンジニア達の世界観」をテーマとしたパネルディスカッションは、IBMイベントとしては異色でした。 ここがポイント! 彼らは異口同音に、場所や時間にとらわれない働き方が理想であり、エンジニアはそれを実現できると述べている コミュニティへの所属は、個人だけでなく組織や社会への貢献につながる エンジニアは課題を持つ現場と一緒に解決に取り組むことが大事 特に、高齢化という現場の課題を挙げ、テクノロジーによる身体能力拡張や自動化の研究に取り組んでいるという話では、若者たちが高齢化への取り組みを前向きなチャレンジとしてとらえ、日本ならではの強みになると考えていることに感動と期待を感じました。 IBMの主催イベントでありながら、IBM製品やテクノロジーについてまったく話題にしなかったことも面白く、こういった発想をもつエンジニアの皆さんが、どのようなテクノロジーを評価し、どのようなツールを使うのかを、市場は注目しているに違いないと感じました。   IBM Code Patterns はまさにデベロッパーのためのツール 今回のイベントで大々的に発表された 「IBM Code Patterns(コードパターン)」は、まさに彼らにとって有効なツールになりえるのではと思いました。 IBM Code Patterns は、アプリケーション開発に役立つアイデアやコードが、以下のような作りたいアプリケーションの目的別に提供されたものです。例えば、ブロックチェーン・ネットワークを構築する、API Connect と Secure Gateway を使用してハイブリッド・クラウドを作成するなど、ディベロッパーのための様々ツールを提供しています。   コードを読む時間が短縮できるというメリット IBM Code Patterns では、作りたいアプリケーションの目的別にアーキテクチャ、サンプルコード、ドキュメント類がまとめて提供され、コードを読む時間が短縮できるというメリットがあります。 モバイル、クラウド、AI など、現在のアプリケーション開発は複数のテクノロジーが複雑に絡み合っています。そのため、それぞれの分野のスぺシャリストが、コミュニティで活動することが重要です。また、エンタープライズの世界では業種ごとの専門的要件なども関係するため、Context(文脈)も重要になっています。これらの状況を踏まえ、IBM Code Patternsがアプリケーション開発に役立つアイデアやコードを提供することで、開発者の次のステージをサポートするのです。 更にコグニティブの出現とともに”開発者は意思決定者に進化した”というメッセージにもある通り、エンジニアはテクノロジーを使って言われたものを作るのではなく、クリエーターであり、イノベーターであり、ダイバーシティを表現する存在として期待されているということと捉えることができます。   印象に残ったセッション 40以上の Breakout Session では、テクノロジーや開発手法などのトピックがデモやユースケースを通じて具体的に紹介されていました。 二日目の General Session では、この1年でどんなことが起きたのかを日本IBMの社長であるエリー・キーナン氏が振り返っていました。 テクノロジーの変革は大きく飛躍しました。 AI の認知度が上がり、日本でも Watson 導入企業は7倍になった ブロックチェーンの導入により、トレーサビリティの時間も7日から2.2秒に短縮された 量子コンピューターで、アジア初の HUB を開設した テクノロジー以外のことでは、ディスラプション(破壊的イノベーション)について語っていたことが記憶に焼き付いています。元々ディスラプションは Uber のように業界以外から起きると言われていました。しかし、実は業界 TOP の既存企業によるディスラプションが大幅に拡大していることが分かったそうです。 これは、既存企業が持つ非公開データの存在が大きく影響しているようで、データの重要性を裏付ける現象だと言えるでしょう。   楽天の取り組み Keynote として講演された楽天の事例は、初日のエンジニアによるイノベーションと、ディスラプションとなりえる企業の戦略を表したものだったと感じました。 楽天は、昨年、Watson のテクノロジーと楽天のビジネス上のノウハウを活用し、”楽天AIプラットフォーム”という社内システムを構築しましたが、驚くべきことに、1年間に38ものチャットボットを立ち上げ、サービスの品質や利便性を向上させているとのことでした。 更に、このような楽天エンジニアのスペックやその取り巻く環境も興味深いものがありました。 世界8か国に4,600人のエンジニアを抱え、国内に至っても日本人比率は、41% とまさにグローバル化されています。また、女性が23%を占めるダイバーシティな環境でもあります。社内の英語公用語化も、世界中から優秀なエンジニアを集めるための1つの施策だったそうなので、エンジニアへの期待値は相当高いと言えます。 今後、ブロックチェーンの技術を活用した楽天ポイントのグローバル通貨化の構想もあり、楽天ポイントを通じて個人的にも先進テクノロジーの恩恵を受けることができるのかとワクワクしました。 もはや仮想通貨に限らず様々なエリアで活用される技術となったブロックチェーンについては、近いうちに特集で取り上げたいと思います。   まとめ 最後に、初日に講演していたWatsonの生みの親グラディ・ブーチ氏は、 今やデベロッパーはすばらしいコードを書くだけでなく、経済的価値をもち、倫理的・道徳的な課題を解決するコードを書かないといけない。世界を変えているのでその責任があるのだ。 と語っていました。 正直、そこまで言う?とその時は思いました。しかし、二日間セッションに参加するうちに、IBMはこんなにもエンジニアを大事にしている、と感じると共に、ビジネスパートナー様をサポートする立場として、エンジニア向けにどんなサポートができるのかを考えさせられるイベントとなりました。   ※この記事は2018年6月27日時点の情報を基に作成しています。 この記事に関するご質問は、下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術支援本部 E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

2018年03月23日

【特集ブログ】AI 活用をお客様と共創する具体的な進め方~ブレーン・ストーミング~

AI は、今や話題に事欠かないテーマとなっており、日々様々な意見や事例を目にするようになっています。 前回の特集(『AI に怯えず積極的な活用と人の武器を磨いてみよう!』)で、AI プロジェクトを進めていく上でのポイントとして、以下を挙げました。 ●準備に時間をかけ過ぎず、始める ●小さく始めて、大きく育てる ●失敗から学ぶ ●最初から完全を目指さない(ある程度の完成度でトライ・アンド・エラーで改善する) ●ユーザーに共感し、利便性や生産性を上げ、本来の仕事に集中させる では、実際に自社やお客様が「 AI を活用したい」となった時にどのようなアプローチを取れば良いのでしょうか。 AI プロジェクトの成否の鍵は・・・ AI を業務に実装するには(もちろん、AI だけに特化することでもありませんが・・・)「構想フェーズ」から始まり、「検討フェーズ」を経て、「試作・評価フェーズ」を繰り返し、「実装フェーズ」、「運用フェーズ」と進めていきます。 まだまだ未知のことが多い AI を業務やビジネスに活かすには、新しいアイデア、これまで考えつかなかった発想の転換などが必要となります。この新しいアイデアや発想の転換をいかに生み出せるかが、AI のプロジェクトの成否を分けるキーになり、フローの冒頭にあたる「構想フェーズ」が重要になるのです。 今回は、この"構想フェーズ"にフォーカスをあて、アプローチの方法について迫っていきましょう。 「構想フェーズ」でのアイデア出し プロジェクトにおいては、まず、課題と目的が設定されます。そして課題を解決するアイデア出しに進みますが、この"アイデア出し"が、 AI プロジェクトの要となる 「構想フェーズ」で実施されます。 では、AI プロジェクトを成功させるため、最も重要となる「構想フェーズ」において、新しいアイデアや発想の転換を生み出すためには、どうするのが良いのでしょう。 昨今、以前、第3弾に渡りご紹介したデザイン思考(「なぜクラウドとデザイン思考なの?」「何がデザイン思考導入を難しくするのか」「日本企業にはイノベーションの素養がある(前編/後編)」)がアプローチ法として使われることも多いのですが、デザイン思考を知らなければできないというわけではありません。今回は、より一般的で、誰もが一度は経験したことがあるであろう"ブレーン・ストーミング"について、確立されている細やかな手法などを改めてご紹介してみたいと思います。 ブレーン・ストーミング 以降は、共創という形で、アイデアを出す方法を考えてみます。 共創とは、複数人で創造(発想)することを言います。ブレーン・ストーミングなどの手法を使うのが一般的ですが、まず、この発想のための会議をどのように取り仕切るか、という検討が必要となります。参加者はどうすれば良いのか、場所は?時間は?など、共創の前には準備が必要です。 1. 人選をどうするか? Amazon のジェフ・ベゾスが、最適なチームの規模について「ピザ2枚で足りる」ぐらいが良いと言っています。これは、5~8人前後の人数ということで、アイデア出しにはこれぐらいの人数が良いと思います。また、そこに参加する方は、フラットで雑多な(上下関係がなく、職種がバラエティに富んでる)方がより多くのアイデアが出ると言われています。お客様も含め、部門や職域などがあまり重ならないようにすることが重要です。 2. 場所をどうするか? いつもの会議室などあまり場所にこだわらないことも多いと思います。しかし、意外に場所は大事です。広さは十分か、机は固定されていないか、ホワイトボードは足りているか、暗く閉鎖的ではないか…など気をつける必要があります。開催場所を変えてみる、会議が煮詰まったら参加者で散歩する、なども効果的です。 3. 時間は? アイデア出しは、長くやったからと言って良いわけではありません。また、一人のときにアイデアが湧くこともたくさんあります。アイデア出しの時間は1時間程度、更にウォーミングアップ(アイスブレイク)の時間もしっかり取るとよいでしょう。   ブレーン・ストーミングの進め方 それでは、実際にブレーン・ストーミングはどのように実施すれば良いのでしょうか。 流れから言うとこのようなイメージになります。 ※アイスブレイク とは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法です。 それでは、ブレーン・ストーミングのプロセスを詳しく見ていきましょう。 アイスブレイク アイスブレイクの心構え 誰もが平等(フラット)な立場でいること バイアスを取り除くこと、 アイデアを検閲しないこと、 固定概念を取り払うこと 反応速度を上げること、 創造性を刺激しておくこと 間違っても良い雰囲気を作ること、 相手が喜ぶように受け取ること 否定しないこと、肯定だけしないこと、 相手のアイデアに自分のアイデアを加えて返すこと ブレーン・ストーミングを使って共創する場合、普段の脳を仕事モードから発想モードへ切り替える必要があります。また、会議に対し、いつも叱責されるとか、時間がダラダラと長いとか、一人の決まった人が発言しているなど、ネガティブ・イメージがある場合は特にアイスブレイクをしっかり実施し、どんな発言も許されるような安心な場と雰囲気を作る必要があります。 アイスブレイクのためのエクササイズ 1. 私あなた コミュニケーションの基本であるアイコンタクト(相手を見る、相手に影響される)を学び、打ち解け合う 立ってグループで円になり向かい合います 開始する人を決めその人が、「わたし」と言いながら自分の胸に手を置き、 次の人に「あなた」とパスをまわします パスを受け取った人は同じように「わたし」と言いながら自分の胸に手を置き、 別の人に「あなた」とパスを回します 2,3 を繰り返します この際、相手の目を見てパスを回すことが重要です 2. 私あなた(名前バージョン) コミュニケーションの基本であるアイコンタクト(相手を見る、相手に影響される)を学び、打ち解け合い、名前を覚える 円になり向かい合う 開始する人を決めその人が、「○○(自分のニックネーム)」と言いながら自分の胸に手を置き、次の人に「〇〇(相手のニックネーム)」とパスを回します パスを受け取った人が同じように「○○(自分のニックネーム)」と言いながら自分の胸に手を置き、次の人に「〇〇(相手のニックネーム)」とパスを回します 2,3 を繰り返します 名札があるとハードルが下がる、ニックネームでなくても良いが、肩書を意識させない呼び名が良い(社長、部長 ☓) 3. Two Dots(ツードッツ) 直感で表現する(すぐ描く)、また相手の表現に影響されて表現するトレーニング ホワイトボードの真ん中に「 ・ ・ 」のように2つの点を描きます ホワイトボードの前(1m ぐらい離れて)に参加者全員が立ちます 「 ・ ・ 」に各参加者が交互に一筆書きで線や図形を描きます この際特に絵のテーマや上手い下手にこだわる必要はありません 次々に一筆で描かれていく図形に影響を受け、即座に描き足すこと意識します 2~3回転ぐらい、もしくは絵の完成でエクササイズを終了します 4. スケッチ 架空の物や場面を想像し表現、参加者全員で一つの架空のシーンを共有するエクササイズ 題:「自動車の日常点検」とし、日常点検について想像し、どのような要素があるかを指し示しながら伝えます 例えば、最初の人が「ここにライトがあります」 次の人は、「ライトを点けてみます、ライトが点きました」 次の人は、「ここにブレーキがあります」 次の人は、「ブレーキを踏むとブレーキランプが点きます」 次の人は、「この辺で面倒くさくなって点検をやめてしまうユーザーがいます」…どんどん続けます このようにお題に対して、そこにあるものを広げていったり、情報を詳しくしたり、その場所のイメージを共有します。お題は、ブレーン・ストーミングのテーマに関係のなく、想像しやすいものから始めても良いでしょう。また、難しい可能性もありますが、「自動車の日常点検」のような具体的なテーマに沿ったお題で実施することにより、よりユーザー目線でテーマを考えるきっかけになります。 しっかりとアイスブレイクを実施し、お互いが心を許せる居心地の良い場をつくり、心理的安全性を確保することで、ブレーン・ストーミングによる共創がより充実したものになります。   課題解決のアイデア出し ~ブレーン・ストーミングの実施~ さて、アイスブレイクも終了しましたので、次はアイデア出しをします。今回は最も基本的なブレーン・ストーミングのやり方で、Post Up(張り出し法)を使ってみたいと思います。 Post Up (ポスト・アップ) 最もシンプルなブレーン・ストーミングの方法 1人作業で3分間でできるだけ多くのアイデアを付箋紙に書き出します 時間を決め(例えば10分間)2人で相手とアイデアをホワイトボード/模造紙に貼りながら、アイデアを共有します 付箋紙を貼っている間に相手のアイデアから違うアイデアが出てきたら、すぐに付箋紙に書き出して貼ります 各ペアの発表者を決め、他のペアとどんなアイデアが出たかを発表しあいます Post Up は複数回実施することもでき、1回目は、課題の洗い出しに、2回目はその解決方法を考えるといったことが可能です。 様々な職域の方でブレーン・ストーミングを実施する場合、課題の理解や持っている情報レベルが違う場合があります。情報共有の意味を含め、改めて、課題の洗い出しを実施します。 2回目では「1回目で出てきた課題を解決する方法」のアイデアを出します。ここで大事なことは、目的は完璧な答えを探すことではなく、どんなつまらない、突拍子もないイデアでも歓迎し、アイデアを出し尽くすことです。変なアイデアがあったとして、他の2つ以上のアイデアを掛け合わせる、引き算する、反対を考えるなど、一見使えないようなアイデアでも視点を変えることにより、使える場合があります。更に重要なことは、他の人のアイデアに影響を受けて、アイデアを重ね、一人で考えていては、思いつかないようなアイデアを出すことです。 優先順位を決める(ドット投票) アイデア出しの優先順位決めには、「ドット投票」を使います。ドット投票は、加点方式の評価法です。 一人5票までと決め、参加者にシールを5枚ずつ渡します 発表され、張り出されたアイデア(付箋紙)から良いアイデアにシールを貼ります また、少し投票や集計に時間がかかりますが、 のように意味を分けて、シールを貼る方法もあります。このようにシールを分け、意味づけすることにより、アイデアの優先順位やまとめるための情報を多く得ることができます。 発表・評価 ~ブレーン・ストーミングの収束方法~ ブレーン・ストーミングはあくまでもアイデアを出す場で、何かを決定したり、判断したりする場ではありませんので、一旦ここで終了します。 ブレーン・ストーミング終了後に担当者が画像や箇条書きでアイデアをまとめ、参加者全員で共有します。 ブレーン・ストーミングの結果を共有することで、参加者全員が当事者意識を持って、ブレーン・ストーミング以外の日常でもこの課題に対して発想を意識してもらいます。アイデアは共創で生まれることもありますが、シャワーを浴びているとき、散歩をしているときなどにふと湧いてくることも多いからです。 この後は、ドット投票の結果なども踏まえ、具体的な試作に落としていきます。具体的な試作へ落とす方法については、ここでは詳細に書きませんが、まずは、「小さく進めること」が重要です。 それには、アプリであればいきなり試作を作り始めるのもありですが、模造紙やダンボール、粘土、モールなど使って簡易的にデバイスやアプリの画面を作っても良いかも知れません。また、試作のリアリティを追求するために、お客様役、店員役などに分かれて寸劇(スキット)をやるのも良いでしょう。 試作で結果が出なければ、ブレーン・ストーミングを再度実施したり、結果に戻ったりしても良いでしょう。小さく始めていれば、後戻りもスムーズです。 新しい発想から生まれた AI 活用(例) さて、ブレーン・ストーミングについて詳細にご紹介してきましたが、最後に実際の AI 活用のお客様事例を見てみましょう。 THINK Watson の記事によるとオートバックス社は、AI の画像認識能力を活用した「タイヤ摩耗診断」を2017年9月に公開しました。自動車の日々の点検は、安全には欠かせない作業ですが、様々な理由から十分に実施されている状況にはありません。オートバックス社では、スマホを使って簡単にメンテナスの必要性の有無を診断できれば、ユーザーの意識向上に一役買えるのではと、「かんたんタイヤ画像診断」を開発しました。これは、メンテナス不良による事故原因ともなっているタイヤの摩耗度合いをユーザーが撮った画像から診断するというものです。 この事例、「かんたんタイヤ画像診断」の開発の経緯は、以下のようなものでした。 ——「かんたんタイヤ画像診断」開発の経緯を教えてください。 八塚 自動車点検整備推進協議会の調査からもわかるとおり、自動車ユーザーの日常点検に対する意識を高めていく必要があります。オートバックス各店舗ではかねてより「タイヤ安全点検」を実施していますが、点検のために店舗に行くということ自体がお客様にとってはハードルのひとつになっていると感じていました。 この状況を改善するために、当初はオートバックスのピットマンがユーザーから送られてくるタイヤの画像を診断するという案も検討しましたが、人手で対応するには限界があります。そこで、AI による画像認識でタイヤの摩耗状態を診断するサービスを発案しました。メンテナンスをなかなか行えないという方々の「面倒・お金がかかる・時間がない」というお悩みに「簡単・無料・すぐにできる」というかたちでお応えできると考えています。 出典:THINK Watson, 『オートバックスに聞く:新たな顧客価値を創造するAIビジネス戦略』 上記の事例では、課題と目的は、以下になります。 この課題と目的を元に、これまでご紹介してきた"ブレーン・ストーミング"のような手法を用い課題を解決するアイデア出しを行っていきます。 例えばこの事例であれば、先にご紹介の Post Up で、「課題とその理由」の洗い出しを行い「自動車ユーザーの日常点検に対する意識が低い」という課題、そしてその理由「点検は面倒・お金がかかる・時間がない」を掘り下げて考えます。 こうしたアイデア出しが行われた結果、新たな発想から、「簡単・無料・すぐできる」を実現し、"自動車ユーザーのユーザーの日常点検に対する意識を高める"目的を達成する新しいAI を活用したソリューション「かんたんタイヤ画像診断」が誕生したのです。 まとめ AI プロジェクトの成否を握る「構想フェーズ」で、より有効なアイデア創出に役立つ"ブレーン・ストーミング"の進め方を改めてご紹介してみました。 繰り返しとなりますが、AI プロジェクトを進めていく上で大事なことは以下のようなことです。 ●準備に時間をかけ過ぎず、始める ●小さく始めて、大きく育てる ●失敗から学ぶ ●最初から完全を目指さない(ある程度の完成度でトライ・アンド・エラーで改善する) ●ユーザーに共感し、利便性や生産性を上げ、本来の仕事に集中させる チームで"アイデア出し"を行いそこで出たアイデアを元に試作し、評価します。 アイデア出しから試作までに必要なことは、子供のような遊び心、そしてどんなことでも言い合える、また寸劇をやっても恥ずかしくない、安心安全な場と関係づくりなのではないでしょうか。 皆さんが、AI プロジェクトに携わる際、この"ブレーン・ストーミング"を活用することで、今までになかった新しい発想を生み出し、AI プロジェクトを成功に導いていただければ幸いです。  

2017年12月22日

【動画・資料公開】12月20-21日【NI+C P主催】Webセミナー「遂に登場! POWER9 搭載サーバー “Newell”に迫る!」

セミナー動画 第1部 講義セッション ※第2部 Q&A ベースのディスカッションのセッションは、以下の 「MERITひろば」サイトにて公開中!ぜひ、ご参照ください。 ▼【動画・資料公開】12月20-21日【NI+C P主催】Webセミナー「遂に登場!POWER9搭載サーバー"Newell"に迫る!」   当日の資料 [wpdm_package id='55402']   ※ 当セミナーは終了しました。 当 セミナーでは、12月13日(水)開催「IT スペシャリストに学ぶ 使える!"Minsky" セリングの勘所」に続き、どこよりも早く先日発表の"POWER9"搭載、 AI 時代を担う超高速サーバー"Newell"(IBM POWER9 AC922)の魅力に迫ります! IBM システムズ・ハードウェア事業本部ソリューション事業部のシニアIT スペシャリスト澤田氏・岩田氏  両名をお迎えし、新製品の最新情報をご紹介いただく講義形式のセッションと現場メンバーの疑問や懸念に本音でお答えいただく、Q&A ディスカッション形式の 2 部構成でお届けします! 移動中・外出先からでも聴講可能な Web セミナー! ここだけの話(?!)も聞ける Q&A のディスカッション形式! セミナー要領 開催 日時 2017年12月20日(水) 16:00-17:00 2017年12月21日(木) 12:00-13:00  ※再放送 対象 弊社ビジネスパートナー様 予定 人数 Webセミナーのため人数制限はございません 参加 費用 無料/事前登録制 申し 込み 12/20(水) https://www.nicpartners.co.jp/pages/webinar1220/ 12/21(木) https://www.nicpartners.co.jp/pages/webinar1221/ 「MERITひろば」会員の方は下記リンク簡易フォームよりお申し込み下さい。 https://www.nicpartners.co.jp/merit/information/55045 (※)お申込みをいただいた方に、当日の リモートアクセス情報(URL)等を (※)お知らせいたします。 問合せ先 voice_partners@niandc.co.jp 宛、メールにてお問合せください。 主催 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 【ご講師 & 出演者】 当セッションのアジェンダ セッション 1 (講義形式) ■ IBM Power System AC922 登場の背景 ■ IBM Power System AC922 の概要 ■ - スペック ■ - x86 との比較 - - Power AI 最新バージョンのご紹介 - - DDL (Distributed Deep Learning) - - 開発基盤 ■ IBM が推奨する AI 環境の最適な基盤 (※発表内容をわかりやすく解説いただきます!) セッション 2 (Q&Aベースのディスカッション形式) ■ POWER9 の日本での提案事例、Minsky と Newell の違いや価格帯など (※現時点で想定される内容のため変更される可能性がありますが予めご了承ください。)   ご案内ちらし [wpdm_package id='55161'] ご参考情報 <弊社コーポレートサイト> ・IBM Power System S822LC (HPC 用 Linux モデル)”Minsky” ・【セミナー・レポート】Watson の基礎技術:ビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?~ 繰り返しますが”今”です ~ ・[ダイジェスト動画公開] 7月13日【NI+C P主催】Webセミナー「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニング とは?」 <MERITひろば サイト> ・【期間~12月31日まで】「PowerAI on Minsky 特別キャンペーン」プログラム ・[動画・資料公開]7月13日【NI+C P主催】「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?」 ・HPC の未来について対談 ”JAXA x 電気通信大学 x IBM”  

2017年12月20日

【動画・資料公開】12月13日【NI+C P主催】Webセミナー「IT スペシャリストに学ぶ!使える Minsky セリングの勘所」

セミナー動画 第1部 講義セッション ※第2部 Q&A ベースのディスカッションのセッションは、以下の 「MERITひろば」サイトにて公開中!ぜひ、ご参照ください。 ▼【動画・資料公開】12月13日【NI+C P主催】Webセミナー「IT スペシャリストに学ぶ!使える Minsky セリングの勘所」   当日の資料 [wpdm_package id='55208']   ※ 当セミナーは終了しました 当 セミナーでは、去る 7 月に開催の 「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?」Web セミナーでも紹介されました AI / ディープラーニング に最適な Minsky (IBM Power System S822LCモデルGTB )にフォーカスをあててます。 Minsky が得意な業務、アプリケーションは?苦手な分野はないの?そもそも IBM POWER 製品のアドバンテージって? IA 製品と比べて何が売りなの?等々。。。 多くの方が抱いている疑問を一挙に解決! IBM システムズ・ハードウェア事業本部ソリューション事業部のシニアIT スペシャリスト岩田氏  をお迎えし、現場メンバーの疑問や懸念に本音でお答えいただく、Q&A ディスカッション形式でお届けします! 移動中・外出先からでも聴講可能な Web セミナー! ここだけの話(?!)も聞ける Q&A のディスカッション形式! セミナー要領 開催 日時 2017年12月13日(水) 16:00-17:00 対象 弊社ビジネスパートナー様 予定 人数 Webセミナーのため人数制限はございません 参加 費用 無料/事前登録制 申し 込み https://www.nicpartners.co.jp/pages/webinar1213/ 「MERITひろば」会員の方は下記リンク簡易フォームよりお申し込み下さい。 https://www.nicpartners.co.jp/merit/information/54468 (※)お申込みをいただいた方に、当日の リモートアクセス情報(URL)等を (※)お知らせいたします。 問合せ先 voice_partners@niandc.co.jp 宛、メールにてお問合せください。 主催 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 【ご講師 & 出演者】 当セッションのアジェンダ セッション 1 (講義形式) ■ IBM POWER 製品のアドバンテージ ■ - 強みを発揮する業種/業態 ■ - 比較情報  vs IA  (x86) ・・・ 果たして IBM POWER 製品 のアドバンテージとは? ■ POWER8 の汎用性 ■ おまけ 次世代の IBM POWER 情報 ■ - ロードマップ 等 ★ 次世代の IBM POWER 製品の全貌は、次回 (12/20予定) の Webinar を乞うご期待!  (※発表内容をわかりやすく解説いただきます!) セッション 2 (ディスカッション形式) ■ Power Systems が 目指している方向性、BP へl期待するところ ■ オポチュニティ発掘のための キーワードは? ■ IBM POWER 製品提案で問われる +アルファ の訴求点 (※現時点で想定される内容のため変更される可能性がありますが予めご了承ください。)   ご案内ちらし [wpdm_package id='54512'] ご参考情報 <弊社コーポレートサイト> ・IBM Power System S822LC (HPC 用 Linux モデル)”Minsky” ・【セミナー・レポート】Watson の基礎技術:ビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?~ 繰り返しますが”今”です ~ ・[ダイジェスト動画公開] 7月13日【NI+C P主催】Webセミナー「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニング とは?」 <MERITひろば サイト> ・【期間~12月31日まで】「PowerAI on Minsky 特別キャンペーン」プログラム ・[動画・資料公開]7月13日【NI+C P主催】「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?」 ・HPC の未来について対談 ”JAXA x 電気通信大学 x IBM”

2017年12月15日

【動画・資料公開】12月7日【NI+C P主催】Webセミナー「どこよりも早い!新製品”Spectrum Protect Plus”徹底解説!!」

セミナー動画 第1部 講義セッション ※第2部 Q&A ベースのディスカッションのセッションは、以下の 「MERITひろば」サイトにて公開中!ぜひ、ご参照ください。 ▼【動画・資料公開】12月7日【NI+C P主催】Webセミナー「どこよりも早い!新製品”Spectrum Protect Plus”徹底解説!!」 当日の資料 [wpdm_package id='55027'] ※ 当セミナーは終了しました これまで見たことがない?! "最も簡単な"仮想マシンバックアップ、"誰もが簡単に使える"ソリューションと鳴り物入りで発表されました次世代の新しいデータ保護を実現する”Spectrum Protect Plus”。本セミナーでは、去る 11月7日発表の新製品”Spectrum Protect Plus”のベールをはがし全貌を明らかにします! IBM システムズ・ハードウェア事業本部ソリューション事業部のテクニカルセールス鍋田氏 をお迎えし、出揃ってきた最新情報を元に新製品をご紹介いただきながら、現場メンバーの疑問や懸念に本音でお答えいただく、Q&A ディスカッション形式でお届けします! 移動中・外出先からでも聴講可能な Web セミナー! ここだけの話(?!)も聞ける Q&A のディスカッション形式! セミナー概要 開催 日時 2017年12月7日(木) 16:00-17:00 対象 弊社ビジネスパートナー様 予定 人数 Webセミナーのため人数制限はございません 参加 費用 無料/事前登録制 お申し 込み 「MERITひろば」会員の方は下記リンク簡易フォームよりお申し込み下さい。 https://www.nicpartners.co.jp/merit/forms/webinar1207/ (※)お申込みをいただいた方に、当日の リモートアクセス情報(URL)等を (※)お知らせいたします。 問合せ先 voice_partners@niandc.co.jp 宛、メールにてお問合せください。 主催 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 【ご講師】   当セッションのアジェンダ セッション 1 (講義形式) ■ Spectrum Protect Plus 製品 開発の背景 ■ バックアップ製品としての位置づけ ■ 製品の機能 ■ ライセンス情報(価格含む) ※発表間もない製品のため、講義内容は変更される可能性もありますが予めご了承ください。 セッション 2 (ディスカッション形式) ■ Q&A ベースでのフリーディスカッション ■ セリングのターゲット は? ■ 他社製品比較 (例えば、Arcserve と比較して ・・・)  ・・・etc.   ご案内ちらし [wpdm_package id='54280']   ご参考情報 ◆製品発表ニュース・各種記事 2017年11月07日 発表 ・IBM Spectrum Protect Plus V10.1.0 delivers a solution for data protection and availability for virtual environments(レター番号:JP17-0341) ・IBM、データ保護を簡素化する新しいストレージ・ソフトウェアを発表 ・データ保護を簡素化する新ストレージソフトウェア「Spectrum Protect Plus」発表 ・IBM Spectrum Protect Plus データ保護を簡素化する新しいストレージ・ソフトウェア (YouTube )日本語字幕付き

2017年12月11日

【特集ブログ】IBM Watsonが支援する「働き方改革」 ~時間と場所を超えて個人とチームの力を最大化~

カモシーこと、日本IBM 鴨志田です。 昨今、「働き方改革」という言葉を耳にしない日はありませんが、実際に取り組まれている企業はどのくらいあるのでしょうか? ある調査によりますと、既に取り組んでいる企業の割合は、36.4%(2017年調査*1)と前年に比べ4.5ポイント上昇しています。一方、6割強の企業では、取り組んでいない、わからないという状況であり、「働き方改革」への取り組みも様々であり、またどこから取り組んでよいのかわからないお客様も多いという実態のようです。 日本の人口構成の変化に伴い、労働力の低下が避けられない今、限られた労働時間内でいかに効率良く生産性を高められるかが問われています。ここでは、身近なところから「生産性の向上」を追求し、「働き方改革」に寄与するソリューションをご紹介いたします。 *1 出展:NTTデータ経営研究所「働き方改革の取り組みと職場へのインパクト」   身近なところから生産性向上を目指す 日頃、仕事の中で、時間を取られてしまっていることは何でしょうか? 「会議」「メールの処理」「資料検索・作成」に多くの時間を費やしていませんか? そのため、「会議を減らしたい」「メールを減らしたい」と言った方の割合がそれぞれ、76%、68%にのぼります*2。また、日本IBMの社内調査によると資料の検索や作成といった資料準備にかかる時間に43%も取られてしまっているという結果があります。我々は、この「会議」「メール」「資料準備」といった身近なところにメスを入れ、生産性向上を目指し、働き方改革の第一歩を踏み出していただくことを推奨いたします。 *2 出展:ガートナー ジャパン「日本における社内コミュニケーションに関する調査」     効率よく会議をこなす 「会議」にもいろいろなタイプのものがあると思います。部門やチームでの定例会議や突発的な会議など様々です。 会議を開催するところから会議終了およびそこで出た宿題のフォローと言った会議に係る一連の行動を追ってみたいと思います。 項番 会議開催で 行うこと IT ツールを使った対応 予想効果 1 会議を招集 グループウェアで参加者および会議室の空き時間検索、会議招集、出欠の返信 各参加者への確認時間の削減 2 議題や資料の共有 グループウェアで会議案内時に連絡、または別途資料共有の場で共有 会議時間の短縮、説明・報告時間の削減による会議の質の向上 3 当日の開催 Web会議による外出先や自宅からの参加 移動時間(事業所に戻る、出張)の削減 4 議事録作成 共同編集ツールによるリアルタイム共有、質疑応答、アイディア出し等の共同作成・編集 発言機会の均等、リモート参加の孤立感の排除 5 宿題管理 同上 その場で認識、承諾 6 宿題の進捗 同上のツールを利用した進捗報告、コメント、タスク完了のOn/Off 次回の会議を待たずして進捗や早めの軌道修正   「きほんのき」グループウェアを使った空き時間検索 既にご利用の方も多いと思いますが、上記1. グループウェアを利用した会議参加者メンバーや会議室の空き時間検索および会議招集です。ここで最も大事なのは、メンバー自身の日頃予定を必ずグループウェアに登録していることです。これをやっておかないと空き時間検索の意味がなくなります。「あ、そこは予定が入ってます。手帳で管理してました」なんて言われるとせっかくの生産性向上が台無しです。基本中の基本(きほんのき)ですね。最近ですと、スマホでご自身の予定表を見ることも多いと思いますので、きちんとグループウェアに登録して、外出先やスマホで見えるように習慣づけられているのではないか思います。グループウェアの代表格である IBM Notes/Domino (IBM Verse も同様)のカレンダーの使い方ガイドがありますので、ご参照のほどお願いします。 ▼カレンダーのクイックリファレンス(IBM Knowledge Center ”IBM Notes 9.0.0" より)   会議の質の向上 続きまして上記2.議題や資料を事前に共有することによる「会議の質の向上」です。 会議を減らしたいと言ってもなかなか減らすことは難しいのではないでしょうか。であるならば、「会議の時間を短くする」「会議の時間配分を考え効果的に進める」ようにして会議の質の向上を目指してはいかがでしょうか。その方法はちょっとしたことで可能になります。つまり、事前に議題や当日の資料を共有しておくことです。カレンダーの本文内にそれらの内容を記載しても良いですし、Box などのファイル共有、Box Notes (後述します) などの文書管理ツールを利用して共有することも良いと思います。あとは、事前に共有したものを参加者全員が事前に目を通しておくことをルール化することが重要です。   Web会議による外出先や自宅からの参加 次に、3.「Web会議」です。先程も述べました通り、会議そのものを減らすことは容易ではないと思います。であるならば、会議の質を変えるとともに、その会議への参加方法も柔軟に対応できること、これも効率よく会議をこなし、生産性向上を図ることに繋がると思います。 これは利用者にとってありがたいツールです。直接対面で会議をすることが最も意思疎通を図れると思いますが、会議のための移動コストを考えると、Web会議で十分事が足りるという会議も多いのではないでしょうか。しかもPCで利用するだけでなく、タブレット端末等のスマートデバイスで手軽に利用できることが一層の利便性を増します。 IBM Connections Meetings Cloud というクラウド (SaaS) によるサービスで、インターネットに接続するだけで利用できます。 また、Web会議は、1.で紹介しましたグループウェアの会議招集の際に同時にセットすることができます。議長は会議室を予約するのと同じ感覚で、Web会議の部屋を選択するだけ、会議参加者は会議の時間になったらWeb会議に参加するボタンもしくは設定されたURLをクリックするだけで、会議に参加できます。           【 カレンダーにて会議やWeb会議の設定画面 】      【 Web 会議に スマートデバイスから参加 】   会議の進行や進捗を支援するBox Notes 続いて、4.-6.を支援するソリューションをご紹介します。「Box Notes」です。 Box は、クラウド(SaaS)型のファイル・コンテンツ管理ソリューションですが、Box Notesという便利な”おまけ”が付いています。「Box Notes」は、リアルタイムに共同編集できる文書管理ツールのようなもので、これを利用することで、会議議事録を作成できるだけでなく、 議題に対して質問や意見を同時に書き込んでいくことができます。特に、同じ会議室で参加している人だけでなく、リモートからWeb会議で参加している人であっても、タブレットなどから書き込みを行い、アイディア出しや意見を言い、会議に積極的に参加することができます。 さらに、ToDoを作成していくこともできるので、宿題事項はToDo(タスク)として列記することができます。従来、会議の議事録管理はどのようにされていましたでしょうか? 「誰かがWord等で作成し、会議終了後にメールに添付をして送る。一旦開いたら次の会議になるまで 見ない、宿題事項も次回の会議にならないと経過・結果がわからない」となっていませんか? Box Notesでは、宿題への書き込みがあった場合に通知を行ったり、"@-メンション"機能でお知らせをしたりすることができます。次の会議開催を待たずして、進捗を共有し、経過を見ていく中で、アドバイスをしたり方向性が違っていれば軌道修正をすることができるのです。 会議改善の例 ある製造業様の事例ですが、前述の1.-6.を利用することで次のような効果が出ています。 これまでの課題 ・会議に時間がかかり、半分は資料説明や報告の時間 ・次のアクションや進捗が見えない、次回の会議にならないとわからない IT・コラボレーションツールの利用での改善 ・事前に資料をアップし、対策討議に集中できる ・リアルタイムに議事録を生成し、全員でToDoを確認できる ・次回の会議を待たなくてもToDoの進捗を確認、コメントできる   以下の図で示すような数字で表す効果が出ています。           【 会議改善効果の例 】 是非、皆様も身近な「会議の改善」から「働き方改革」に着手してみませんか?   ★予告★ 次回は、"メール"にメスを入れます!ご期待ください。

2017年11月27日

【特集:インタビュー】「クラウドとデザイン思考」日本企業にはイノベーションの素養がある ~ IBM デザイン・シンキング ~(後編)

interviewee : 長尾 政明 (Masaaki Nagao)氏 IBM iX Creative & Design 統括 IBM デザイン思考推進リーダー IBM Studios Tokyo スタジオリーダー interviewer : NI+C パートナーズ 企画推進部 加古 ~ 前編からのつづき ~ - それでは、IBM がデザインシンキングを導入していった過程についてお聞かせいただけますか。 IBM では、2012 年に IBM におけるデザインプログラム 第2章 として、IBM Design という組織を立ち上げ、最初の IBM デザインシンキングのトレーニングを製品開発チームに対して行いました。その時は、まず希望者を募ったため、各チームから 1,2名ずつの参加となりました。約1週間、デザインシンキングのトレーニングを実施しましたが、トレーニングを受けた後、現場に帰ったその方達は、「周りのチームメンバーが、全然理解できていない。自分達だけが遊んでいるみたいだ」、と感じたのだそうです。 この教訓を活かし、トレーニングには、チーム単位(5~10名)で参加させることにしました。こうして、現場に戻ってもやらざるを得ない環境作りもサポートしたのです。   デザイン・シンキングのトレーニングはマネジメント層にも必須 実は、それで全てが上手くいったわけではなく、プロジェクトを進めていくと、今度は該当製品開発チームのマネージメント層から「何をやっているんだ」、「これまでの尺度で報告しろ」という意見が出るなど、マネージメントがチームの活動を理解してくれない、IBM デザインシンキングのアプローチで推進できないという相談が トレーニング参加者からありました。そこで、トレーニングを受講するチームのマネジメント層もセットで デザインシンキングのトレーニングを受けてもらうようにしました。マネジメント層に対する1週間のトレーニングは難しいため、0.5日から1日で基本的なことと、なぜ必要なのかということを理解してもらいました。更にメンタルモデルの変化、コーチング方法の変更をについても理解してもらい、ようやく回り始めたのではないかと思います。   このように、IBM でも何度か失敗しているのです。個人だけでなくチーム全体、更にマネジメント層まで浸透させ、評価制度まで変えないと、日本の企業においてデザイン・シンキングの導入、更に変化を起こすことは、難しいのだと思います。 ― 日本の IBM 社内では、どのくらいのトレーニングを実施されているのですか? 営業チームに実施しているのは1日のトレーニングです。1日以上拘束することが、難しいため、与えられた時間で出せる結論までにしています。その内容を元にお客様に提示してみる、営業チームで試してみる、そのように回る仕組みを目指して実施しています。来年からは、少し変更して、デザイン・シンキングそのものだけではなく、 ユーザー・リサーチ(観察)もしっかり実施するようなコース開発も行っています。 e ラーニングも社内では準備しているのですが、デザイン思考に関しては受動的な学習では理解が難しいので、アクティブ・ラーニングによるトレーニングという形を重要視しています。   IBM デザイン・シンキングの進化 ― IBM デザイン・シンキング自体に変化はありますか? 当初 IBM のデザイン思考は、以下のイメージのように"シーケンシャル"に進むイメージで書かれていました。 上記のように以前は 4ステップ あったのですが、今は単純化されて、「Observe(観察)」、「Reflect(洞察)」、「Make(施策)」の 3ステップ です。 ※※()内の和訳は、『IBMの思考とデザイン』 からの引用です。 更に、これらはループします。なぜこの形に行き着いたかと言うと、IBM の製品開発がアジャイル的にどんどん進化したからです。その進化の中で、デザイン・シンキングをステップ通りに進めなければならない、とは もはや言えなくなったのです。どのプロセスからも入ることができるモデルが必要となりました。まずは作り、その結果を熟考してみて、その リフレクション(振り返り、学び)を元に変更を加えて...というやり方でも良くなり、もちろん、従来からのお作法通りに進めても良いのです。 ― アジャイルは、IBM の中でも当たり前のように浸透し、そのアジャイルに適応し、融合するため、このモデルの変更されたのですね。   他のプラクティス、アジャイルやリーンスタートアップと融合することでより強力なツールに この新しいモデルが強力なのは、アジャイルという手法に対し、どういうものを作るか?というアイデアを出す部分をデザイン思考が補完するところにあります。補完して、メイク部分をまずはプロト的に紙芝居のようなものでアジャイル的に作り出していく。アジャイルのプレイヤー達と一緒にどんどんこのサイクルを回していく、ということができます。デザイン思考だけではなく、アジャイルもなくてはならない存在です。加えて、お客様の既存システムといったイメージではなく、新しい事業やサービスラインを作るなどの場合は、リーンスタートアップ ※1 的な手法もここに入ってきます。お客様での成果を見て、実際のアイデアと開発内容に反映します。 これらの手法は、絡み合っています。どれか1つだけでは、片手落ちです。デザイン・トランスフォーメーションを例にとると、企業が目指しているものを明確にし、そこに対してデザイン思考、アジャイル、リーン・スタートアップなど、新しい手法を適材適所に組み合わせて実践します。 ※1. 「リーンスタートアップ」: コストをかけず。最低限の製品やサービス、機能の試作品を短期間で作り、顧客に提供し、顧客反応を得て、観察し、観察結果を分析し、改善し、再び顧客に提供する。このサイクルを繰り返す手法。 IBM でデザイン・カルチャーを作る、という目的を実現するための方程式があります。それは、" People "、" Practice "、" Place " が重要という考え方です。 IBM デザイン・シンキングを支える「場」 ― 先ほどお話いただいたのは方程式のなかで、Practice 「実践」の部分だと思いますが、では、Place 「場」についてお聞かせください。   ここ(IBM Studios)は、共創するための場です。一般的な会議室だと、いきなりセッションを実施したとしても難しいことがあります。やはり集まりやすく、ここに来ると何か面白そうなことが起こるのでは?という雰囲気を感じられることがとても重要です。ここはもちろんセキュリティが厳しいのですが、ソニー社では、1階の受付を通らずすぐ入れるような メイクスペースをお持ちです。  Yahoo 社も Yahoo lodge を開設されています。外部の人の入りやすさであったり、社内の人もそこに来る、そんな場で、様々なことが発生する。このような環境づくりもオープン・イノベーションを謳う企業にとって非常に重要な部分になるのでは、と思います。   多種多様な"人を繋ぐ場" とデザイン・シンキング IBM でもこの「場」というものを非常に大切にしています。その場に来るとデザイナーがいて、ノンデザイナーとデザイン思考を使いながら、お客さんと一緒に問題解決をする。共創し、形にするための道具として、デザイン思考があり、様々なバックグラウンドの人々を繋ぐ役目を果たしています。デザイン思考は、仕事の仕方、ひいては働き方のための OS 、インフラやフレームワークのようなものとして機能し、それを有効的に使える 「場」として、 IBM Studios が存在しているのです。IBM Studio は、現在、世界43箇所に設置され、社内外の人が共創活動を行っています。   お客様にも、「ふらっと来て、デザイナーと話せる、相談できる、そのような場を持つことも重要です。」とお伝えするようにしています。中には、「では、空いてる部屋をこれに使おうか」と、自ら場づくり、空気作りにも取り組もうとされているお客様もいらっしゃいます。 ― 確かに、昔ながらの会議室で堅苦しく机を囲んでいるのでは、「さぁ、アイデアを出しましょう!」と言われても活発に思ったことを言い合う雰囲気にはなり辛いですよね。アイデアを出す場合、座っているより、立っている方が良い、ホワイトボードがあって、付箋紙貼れる方が良い、最も重要なのは、多種多様なバックグラウンドを持った人々が気軽に集い参加できる「場」があること、なのですね。   IBM デザイン・シンキングでは特に「人」を重要視している ― それでは、3番目の 「People」 についてお聞かせください。 ありきたりなシステム開発ではなく、ユーザーにとって本当に価値のあるものを見つけ、提供するといった場合、デザイン思考のバックグラウンドを持った人が、ユーザーを理解することから始めます。アイデアを出して簡単に試作をして、評価するということをぐるぐる回して理解します。このような問題の理解から始めないと、本当の価値を見つけ、提供する、ということことはできません。   チーム全体が共感し合うことが大事 その時は、個人的に誰が良くやった、ということではなく「チーム」として成功も失敗も経験するということが重要です。IBM デザインシンキングの中では、特に「チームが大事」ということが言われます。また「共感」が重要とも言われています。ユーザーに共感するだけではなく、チームメンバーにも共感する。チームの各メンバー同士が共感していないと、「私のアイデアが...」といったメンバー間の競争になってしまいます。ユーザーに共感する前に、まずはチームの中で共感し合いながら、お互いの強みや弱みを理解することにより、最大限良いものが出せる、という思想です。 IBM のプロダクト部門があるオースティンを中心にこの取り組みが進んでいます。同じ IBM のオフィスであっても雰囲気が全然違います。助け合いというか、お互いに共感し、オープンな雰囲気があります。そういう意味では、昔の町工場的なイメージです。   単体のチームだけでなく複数チームによる"異種交配の場"をつくる 例えば、オースティンの Watson IoT や Watson Health のような製品開発チームの良い例があるのですが、彼らは、作っているものや、やっている事についての情報を通路に張り出しています。それは、ただ、自分たちが行っていることを発信しているだけでははないのです。その通路に張り出された情報に対し、他のチームの人が自由に意見を書き込んだり、アドバイスしたりと、オープンに意見交換を行っているのです。彼らはこれを花粉の受粉に例えて、"クロスポリネーション"と表現しています。異種の花同士の交配、これを起こさなければならない。チームの中でだけでは新しい意見や発見がなかなか出てこないと考えています。オースティンでは、その中での情報がオープンで共有できる環境をつくるため、オフィスのセキュリティーは非常に厳しく・・・・実は、私は毎度行くたびにロックアウトされてしいまうのです(笑)。ですが、それ位厳しいからこそ、実現できているのだと思います。 異種の芽というのを入れる。デザイン・シンキングそのもののチーム構成は、ビジネスの人だけを入れれば良い、 IT の人だけでチームを構成してしまうと、その分野のエキスパートではありますが、多種多様な意見を引き出すのは難しくなります。様々な人を入れて、問題に対してアプローチする、意見を言ったりする、アイデアを出したりする。異質とか多様性からの創造、チームでもいろんなチームが存在する環境の中で、有機的に交わりながらモノづくりするというのがデザインカルチャーの根底にあるような気がします。 昔の印象とは全然違う姿があり、日本の方がまだまだ個人やチーム間が協力し合っていないイメージにあるように思います。   -そうですね。デザイン・シンキングを実践する人数やメンバー構成を考える上では、やはり出来る限り多様なメンバーを揃えるというのが重要ということですね? はい、そうだと思います。 人数の部分からお答えすると、決まった人数というのはありません。 IBM の製品開発でのデザイナーとエンジニアの最適な人員構成は、元々は 1:50 だったり、1:33 だったり、色々な数字がありました。今は、1:8  にしようとしています。デザイナーが、1,600 人になって、このデザイナーとエンジニアの比率はこれぐらいが良いのでは、となっています。最近のスタートアップ、例えば創業者がデザイナーの Airbnb では、1:2、1:3 の比率とのことです。IBM は製品が複雑で、専門的なスキルが必要ですので、将来的にもその割合にはならないとは思います。 - そうなのですね、確かに 1:8 ぐらいに落ち着きそうですね。 はい、エンジニアは、これぐらい必要だと思います。   デザイナーを大胆に配置し売り上げが倍増 2010 年に買収された企業から Phil Gilbert が IBM に加わり、 BPM チームを任されました。当初、40 ぐらいあったプロダクトを 4 つに整理しました。人も 1,000 人いたディベロッパーを 600 人減らしました。正確な数字は分からないですが、デザイナーを増やし、プロジェクト・マネージャーと合わせて、700 人ぐらいにしました。人を 30 % 減らし 、更に 4 つにプロダクトラインを減らしたのですが、この次の年の売上は 2 倍増になったとのことです。このような人の構成で、有機的に反応し合い、進めるのが良いということがわかりました。ある意味できすぎた話に聞こえてしまうのですが、 IBM では、オファリングマネージャとデザイナー、エンジニアとデザイナー、など組織での比率を常に意識しているのです。   IBM ではデザイナーとエンジニアの比率は 1:8 を理想としていますが、一般企業で言うとどうでしょうか。IT 部門で何か新しいシステムを作るという場合、 1:50 に近い数字のイメージではないでしょうか。しかし、サービスを作るとなると、デザイナーが重要になってきますので、比率はもっと変わってくるのではないかと思います。 ―最後に今後、デザイン思考やってみようとか試してみようとかという企業やビジネスパートナーに向けて、何から手をつけて良いかアドバイスいただければと思います。   理想から言ってしまいますと、とにかくとりあえずやってみましょう、体験してみましょう、ということになります。 今、 IBM 社内 の営業担当者向けにワークショップを実施しています。その内容を是非パートナーさんにも広めたいと思っています。実現するにはその方法を考えなければならないのですが、ワークショップやセッションという形で体験してみていただければ、その体験を通して、これならお客様とも一緒にできる、という感覚を持っていただけるはずです。まずは、このようなステップを踏んでいただけれたら良いかと考えています。 デザイン思考については、頭で考え始めても悶々とするだけですので、考えるのは体験してからで良いと思います。   デザイン・シンキングはパートナー様の強みにできる 実は、お客様が本当にどう困っているのかが、わかっていないことがありますが、デザイン思考を使って、パートナー様自らリサーチし、仮説を立案することができます。また、自社のセールス・プランニングのツールとしても使うことができます。また、デザイン・シンキングを含む他の手法をアピール材料に、新たなお客様へアプローチする手もあります。   単純にこの製品を入れましょう、ということだけではなく、例えば、マーケティング・オートメーションのツールだとすると、ユーザーは自動でメール配信ができるのは理解したが、では配信効果が出るのはどのタイミングなのか?ということを実際に配信した結果を元に考えませんか?など、デザイン思考ならではの使い方や取り組みができます。 今後、これらのきっかけとなるセッションをどう実現するか、という課題は残ります。もちろん、課題は課題としてとらえ、日本で IBM として、デザイン・シンキングを広めていくためにできることを考えていきたいと思っています。   2回に渡り、IBM デザイン・シンキングについて、特に IBM 社がどのようにデザイン・シンキングを企業の血や肉としてきたかをお聞かせいただきました。 ツールとしてのデザイン思考に注目が集まりがちですが、そのツールを使う「人」や「場」を準備し、ようやく回り始めるという状況だということがわかりました。 また、単純に推進役だけがデザイン思考というツールを知るだけでなく、チーム全体、マネジメント層の理解を得ることももちろんのこと、ひいては評価制度に至るまで、変えていかなければならない、ということに改めて気づかされました。 その上で「日本にはイノベーションの素養がある」と確信し、それには個人個人、そしてチームのマインドセットが重要との認識を更に強めました。 機会があれば、番外編として、「デザイン思考を実現するマインドセット」について考えてみたいと思います。   ご参考情報 IBM Cloud Garage サービス

2017年11月06日

【特集:インタビュー】「クラウドとデザイン思考」日本企業にはイノベーションの素養がある ~ IBM デザイン・シンキング ~(前編)

interviewee : 長尾 政明 (Masaaki Nagao)氏 IBM iX Creative & Design 統括 IBM デザイン思考推進リーダー IBM Studios Tokyo スタジオリーダー 経歴 ・・・ コンサルティングファームにおいて、戦略・トランスフォーメーション領域でのコンサルティングに従事した後、事業会社に移り、新規事業企画 (大手電機メーカー)、グローバルオペレーション企画 (海外通信機器メーカー) 等を経験。 IBMにおいては、電機・電子業界コンサルティング、戦略コンサルティングを経て、現在はC&D 統括として、IBMデザイン思考推進リーダー、IBM Studios Tokyo スタジオリーダーを務める。クライアントと共に、新しい顧客体験の創造とビジネスデザインを実行、またデザインカルチャーの組織への浸透・実践に取り組んでいる。 専門分野 ・・・  IBMデザイン思考、新規事業企画、ビジネスモデル、イノベーション、FORTH公認ファシリテーター  interviewer : NI+C パートナーズ 企画推進部 加古 当インタビューの背景 今回のインタビューのきっかけは、「デザイン思考とクラウド」と題した特集記事です。素人ながら"デザイン思考は何かから、クラウドとの親和性について”執筆してきました。考察を進めていくうちに、日本の企業はデザイン思考を効果的に導入することが難しいのではないか?という疑問にたどり着きました。 この疑問を紐解くには、やはり、デザイン思考の推進に実際に取り組んでいる方にお話をお伺いするのが良いのではないか?ということになり、日本 IBM で第一人者の長尾氏にインタビューのお時間をいただくことになりました。   IBM デザイン・シンキングを担う組織 ― お話しにくいかもしれませんが、こういうところが難しいんですよとか、成功、及び失敗事例も含めてざっくばらんにお話いただければと思います。まず初めに、長尾様のお仕事、お立場や役割についてお聞かせください。 私は、 IX (インタラクティブ・エクスペリエンス)担当、コンサルタントとして GBS という組織にいます。 IBM グローバルでは、"デジタル・ストラテジー・アンド・インターラクティブ・エクスペリエンス"という顧客体験やユーザー体験、といったお客様に近い部分を担当するチームというイメージです。私には、クリエイティブ・アンド・ デザイン、ここでは顧客体験を作るにあたってデザインやアプリケーション、その前段のそもそもどういうユーザー体験が求められているのかを考えるミッションがあります。 最近 IBM は、エクスペリエンスを全面に押し出し始めています。 これまでのように戦略や要件定義を理詰めで考え、落としこんでも、結局ユーザーが使いたい、または必要な機能にはならないことが多いということを経験してきました。機能をたくさん詰め込んでしまうと、お腹がいっぱいの状態になってしまうのです。 例えば、(テーブルにあったリモコンを指し)テレビのリモコンにはこんなにボタンがありますが、使うボタンはほんの一部です。ボタンが多すぎるのです。(赤、青、黄色・・・ 等のボタンを指しながら)このボタンは、何かしら投票する時などにしか使わないですよね。そもそも使いこなしている人はほとんどいない。同じように、モバイルやクラウド、特にフロント寄りでは、 IoT、 AI 、何でもできるとして、何でも乗っけたくなるのですが、結局無駄なものができてしまい、響かないのです。   ユーザー体験をエンリッチするために 「響く体験、生き残るためにユーザの体験をエンリッチするものでなければならない」、と言うのが2012年にジニー・ロメッティが就任した時の言葉です。「クライアント・エクスペリエンスの今後が、 IBM 成長の鍵となる」と。この瞬間、デジタル・リインベンション、そしてエクスペリエンスが IBM の中心となりました。このデザインを先頭になってやるというのが、我々のチームです。 その中には UX (User Experience) などの上流工程をデザイン・シンキングを使ってデザインしている者もいれば、それを受けて様々なアプリを開発したり、プロダクトにつながるもの、また簡易的なサービスをデザインする者もいます。更に広告代理店系の人材、デジタルマーケティングとかデジタルクリエイティブという人達もいます。大手広告代理店との差別化として、例えば、デジタルマーケティングと IBM のマーケティング関連のオファリングと上手く組み合わせてサービスを作っていくなど、 全く同じことをやるのではなく、デジタルの世界でも、試行錯誤しているところです。 他にはモバイルとか モバイル・エクスペリエンスの部隊、マーケティング&コマース、セールスフォースの部隊、 エクスペリエンス・アナリティクス、アナリティクス・ ソリューションもあります。 顧客接点のいろいろな体験マーケティングのソリューションを持っているというよりは、後ろに一緒にいて体験を作っていくように関わっていきます。その時の道具として使っているのが IBM デザイン・シンキングです。共創のためのフレームワークと言うアプローチ方法を適応しています。 これらが C&D  (クリエイティブ アンド デザイン)がやっていることで、私は、それをリードしています。いわゆるデザイナーやクリエイティブな人材を抱えていますが、普通のコンサルティングと同じ稼働率で評価されるイメージです(笑)。   ― そこは、なかなか変えることが難しいですよね。 確かに、そこは難しいですね。   IBM デザイン・シンキング -では、IBM デザイン・シンキングについてお聞きしてもよろしいでしょうか。 今の IBM デザイン・シンキングの始まりは、2012年、ジニー・ロメッティは就任の際に、「クライアント・エクスペリエンスが重要だ」と語ったところからです。クラウド、 SaaS といったフィジカルなものではなく、お客様がサービスを試し、良かったら採用する形になる。そうであれば、最初から体験が物を言ってくる、これが重要だ、とも言っています。それを受け、テキサスのオースティンにいるフィル・ギルバートという GM がトップとして 「IBM デザイン」という組織を作りました。そのミッションは、「デザインとデザイン・シンキングのカルチャーを IBM に浸透させる」というものです。 今では、デザイナーを1600人以上抱え、デザイン組織としても有数の規模になっていますが、デザイナーを何人にするということよりもデザインカルチャーを IBM にインストールする、それが浸透して全社員がお客様やユーザーに共感して物事を考えて解決していく、というような組織になりたいということなのです。 そして、私には、デザイン・シンキングを日本の IBM 社内で推進するという役目があります。コンサルタントで稼ぐというのと、他の部門に対してのトレーニング実施、さらに浸透させるためのフォローアップ、これらのバランスが結構難しいです。 今は、営業チーム向けのデザイン・シンキング・トレーニングを四半期に 1、2 回程度行っています。GBS の中途採用者に関しては毎月月初にプログラムとして実施しています。他部門でもニーズがあります。先日もクラウド & コグニティブの部門で 3 日間のイベントをお手伝いしました。 もっと展開できると思っていますが、今はトレーニング (その場で実際の問題を解決するために活用するアクティブラーニングの形をとります)を切り口に浸透させていきたいと考えています。 日本企業には、イノベーションの素養がある ― ここで、デザイン・シンキングって本当に難しいの?という問いについてお考えをお聞かせいただけますか。 デザイン・シンキングは去年結構流行ってましたよね?今年も引き続き流行っていますが、そろそろバズワード化してしまって、結局あれは大したことなかったとなる可能性があります。 それが IBM 社内では起こらないように、きちんと理解してもらった上で、日々お客様サービスやトレーニングでも価値が出るように、日々試行錯誤しています。 先ほど、デザイン・シンキングが日本では難しいんじゃないかという話がありましたよね。確かに難しいんですが、アメリカ人に言わせてみると日本で騒がれていること自体が不思議なようです。   デザイン・シンキングのパイオニア達は日本の『下町ロケット』を参考にした?! デザイン・シンキングは 1990 年から 2000 年にかけてアメリカ西海岸でスタートしました。その前から、もちろんデザイナーが無意識のうちにやっていたと思いますが、明確にそういう言葉が出てきたのはその頃です。Stanford d.School や IDEO (※)のトム・ケリー、デビッド・ケリー、ビル・モグリッジなどが始めたのです。 ※IDEO(アイディオ)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州パロアルトに本拠を置くデザインコンサルタント会社。 彼らを含め、アメリカのデザイン・シンキングに関わる人に言わせると「なぜ日本人は騒いでるんだ?(デザイン・シンキングは)日本人が元々やっていたことを割と参考にしながらやってるんだよ」、ということだそうです。これは、よく言われます。   ― はい、私もそう思います。日本の企業には元々"イノベーション"の素養があるということですね。 多分 Honda さんにしても皆さん、下町ロケット(※)の世界で、大部屋で部門や部署がどうとか関係なくお客様や自分たちの課題があってそれに対してみんなでやってみる。任せて、それぞれの英知を発揮してやってみる。試行錯誤しながら進めていくというようなものだったと思います。正にこれはデザイン・シンキングの世界で、日本にはもともとあった素養なのです。海外から効率化といったものが入ってきて、日本は優等生として取り入れてしまった。その結果、組織が出来上がって、サイロ化して、今では隣の部門が何をやっているのかわからない、そんな縦割りの状況が多く見受けられるようになってしまったのです。弊社でも色々チームを作ってしまうと、そこでどうしても垣根ができてしまう。そういったものを見直したのがアメリカの西海岸のスタートアップの人たちだと思うのです。 (※)池井戸潤の小説、2015 年にテレビドラマ化され話題を呼んだ。 ですので、もともと日本にはそういう素養があります。一度"ガラガラポン"してみてみるのは良いのかなとも思います。   重厚長大な組織でもデザイン・シンキングを導入できる IBM でも 2012 年から本格的に全社を挙げてデザイン・シンキングの導入を始めています。グローバルでは、38 万人の社員の内、9 万人ぐらいが IBM デザインシンキングバッジ認定制度での認定を受けて実践しています。日本だとそれが 7,000 人程度の人間が同様の認定を受けています。 GE 社(※)では、デザイン思考を早くから取り入れていて、リーンスタートアップを取り入れた、ファーストワークス手法を作っています。重厚長大な企業もスタートアップかの如く実践しています。日本の企業も頑張れると思います。ただそこに行くきっかけ、壊すきっかけになるような衝撃、というのがまだまだ足りないのかなと思います。しかし、十分危機感はあるような気がするのですが、今の状況だと。まずは、小さくても良いから試してみる、という思いきりが必要じゃないかなと思います。 ※ゼネラル・エレクトリック(英語: General Electric Company、略称: GE)は、アメリカ合衆国コネチカット州に本社を置く、多国籍コングロマリット企業。   - 私も難しいとは言っていますが、日本の企業が元々やっていることというのは、理解しているつもりです。それでも最近の状況にマッチしないんじゃないか、例えば失敗を許さない雰囲気、コンプライアンスだとか、縦割りの組織であるとか。 IBM がデザイン思考をやると、聞いた時に面白いなあ、と思ったんです。ある意味そことは離れた会社という勝手なイメージがあったので。そこに"デザイン思考"を取り入れていくということは、皆さんがどう苦労され、チャレンジされているのかは、多くの日本企業にとって参考になるのではと思っています。   いくら IBM や GE 社あっても、市場に正式に出した段階、正式リリースした段階などで失敗があった、というのはダメです(笑)。ただ、ここでの小さな失敗はすぐにアップデートしたり軌道修正することもできるので、そういった学習サイクルが早く回ることがどのタイミングであっても大事かと。もちろんそうならないように非常に早いタイミング、これまでよりもずっと早いタイミングで試行(失敗)をするというのがやはり重要です。そのタイミングの失敗だったら、許すよというのが大事です。プロジェクトも後半で、より具現化しなきゃいけない、かなりお金も投入したという段階で、ユーザーテストやユーザーと検証してやっぱり失敗でしたというのはダメです。   本当に早い段階で、まずはアイデアを試す。仮説でもいいからアイデアを作ってみる。アイデアを形にして検証して...というサイクルを早く回してみる。その中で失敗した、で終わるのではなく、その失敗から学んだことを活かして次のステップに進む。なぜ失敗したかということを理解する上では、その過程、その行為を評価する、ということが揃って IBM でも許されてるんじゃないかなという風に思います。   マネージメント層のコーチング・スタイルの変化も必須要件 完全に何をしても失敗してもいい、というものでもないですが、アーリーフェイルア、というよりはランニングですね。そこから何を学習するか、最終的に失敗してしまったら失敗ですけれども、途中の失敗はまだ学習の糧です。マネージメント層もそこをちゃんと理解しないといけない、助言するとしてもこれを前提としたコーチングの方法を身につけなければなりません。   かなり早い段階でこれまでと同じ尺度で、「それいくらになるの?」とお金の話を出すとか、失敗したからだめだよねとか。そういうやり方ではなくて、例えば、ある施策を 10 人のうち 2 人だけすごく欲しいと言っているとします。その場合、見極めて完全に方向転換するのか?この二人というのは実は形にして見せて見ると他の人を取り込めるぐらい先見性を持ったユーザーの 2 人なのか?このような問いができるコーチングや助言が必要です。次のステップに進めるために上手くラーニングを回すための助言が必要なのです。 >> 後編に続く..... 公開済み! ↓  「日本企業にもできるデザイン・シンキング、イノベーションの具体的な方法とは?」後編

2017年08月25日

【特集】クラウドとデザイン思考 ~第二弾~ : 何がデザイン思考導入を難しくするのか

前回、【特集】なぜクラウドとデザイン思考なの?そもそも最近よく聞くデザイン思考って何? では、デザイン思考とは、そしてクラウドとデザイン思考の関係について考えてみました。 IBM のクラウド戦略、そして、その根幹である Bluemix がデザイン思考を元に生まれた製品だと、お伝えしました。また、IBM を始めとする IT ジャイアント各社が、かなりの勢いで、デザイン思考を担う「デザイナー」を採用していることもお伝えしました。 さて、そのデザイン思考ですが、日本での盛り上がりもある一方、デザイン思考の採用が難しい現実も見え隠れしています。 前回の特集では、IBM における成功事例として、Bluemix を挙げました。今回は失敗事例というわけではありませんが、デザイン思考の導入を難しくするものについて、考察を深めてみたいと思います。   デザイン思考、その前に...   前回もデザイン思考の効果的な実践は難しいかも、ということについて触れました。 日本の多くの企業は、成功を前提に(成功事例を基に)ビジネス展開を考えることが多いのではないでしょうか。この「成功」という意味も広いのですが、"成功を前提に"と言うのは、"失敗しないことを前提に"とも言い換えられます。計画を練り、リスクを排除し、とにかく"失敗しないように"プロジェクトを進めます。しかし、デザイン思考の場合、失敗を前提に(できるだけ小さい失敗を重ね失敗から学びながら)、をコンセプトとして、プロジェクトを進めるのです。 このプロジェクトの進め方は今までのものとは対照的あり、"失敗しないようにする"ことに慣れているチームや担当者が急に「失敗前提」でと言われても、なかなかリスクに飛び込めないものです。デザイン思考への移行には、"失敗しない前提"の他にも以下のような課題があります。 期間や予算の予想が通常のプロジェクトとは異なる 複雑な承認プロセスが短期、繰返し型のプロジェクトの足かせとなる 縦割りの組織や、パートナー企業を含む複雑なプロジェクト推進体制もネックに 組織を横断した、また外部からの人選が重要 プロジェクトの評価方法や人事考課が減点方式となると、失敗前提の評価が難しい う~ん、こう考えると暗い気持ちになってきます。何だか日本には向いていない思考法なのかも... と思われたかもしれません。   いいえ、そんなことはありません。デザイン思考には日本の製造業を中心としたモノづくりの方法やアイデアもふんだんに取り入れられています。もちろん、デザイン思考は万能なものではありませんが、イノベーションに悩む日本企業にとって、その方法を学んだり、試したりする価値はあるはずです。   デザイン思考教育の現状   前回の特集を読まれた方で、不思議に思った方も多かったかも知れません。IT  ジャイアント企業の求人で、なぜそんなに「デザイナー」が募集されているのかと。日本でもデザイン思考を導入するのであればさっさと雇ってしまえば良いのではと... しかし、そう簡単ではない現状があります。 まず、デザイン思考に積極的に取り組んでいる海外の大学や大学院を見てみましょう。 Stanford University d.School Illinois Institute of Technology Institute of Design MIT Integrated Design & Management Harvard MS/MBA Aalto University Integrated Design Business Management (Helsinki)   日本では、 京都大学デザインイノーべションコンソーシアム 東京大学 i.school 千葉工業大学 創造工学部 慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科 などがあります。   もちろん、日本の大学でもデザイン思考を学ぶことはできるのですが、現在、世界のデザインスクールとして上位にランキングされている大学は見受けられないのが現状です。そもそも学部やデザイン・スクールで学べる人の数が少ない、実質的に外部や社会人に開かれていない、学部横断ではない、などがその理由として考えられます。 海外では、スタンフォード大学を例にとると、d.School など学部横断型の組織を持つところも多く、企業での盛り上がりを機に、新たにデザインスクールや学部を設けるところも増えているようです。   また、『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド -the d.school bootcamp bootleg- 』に出てくる、デザインプロセスを進めるにあたって必須のスキルを学ぶ体制が整っているか?ということもあります。それは、インタビューの方法であったり、様々なブレーンストーミングの方法であったりします。 日本人に聞き慣れない例でいえば、『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』の一つにインプロ( Improvisation : 即興演劇/即興コメディ、またその教育手法)があります。欧米では、Google、Facebook、Pixar など多くの企業でインプロを使ったワークショップが実施されています。 即興の教育手法を使い、高度なコミュニケーション能力や発想力を養い、チームビルディングを実現しています。 スタンフォード大学の起業家育成コースでは、1学期を通したインプロのクラス受講の必須としています。これは専属のインプロの先生が指導し、起業家に必須の能力のひとつとして、また、デザイン思考に必要なメソッドとして学んでいます。 このように、デザイン思考そのものだけではなく、そのための予備知識やスキルを学ぶ体制が整っていることもデザイナーを多く輩出できる要因ではないかと考えられます。 更に、重要な点ですが、学生の受け皿である企業が「デザイン思考」を重視しているか?ということも大きいように思います。   IBM の取り組み   以前に IBM が主催するデザイン思考に関するセミナーに参加しました。様々な学びがありましたが、その中でも某航空会社での事例の話は大変興味深いものでした。 その事例の航空会社は、伝統的なウォーターフォール型の開発手法を行っており、IBM が提供するデザイン思考を取り入れたサービスプログラムを実施した際、いったん反発(Resistance)にあったという非常に親近感のわく内容でした。 米国においても歴史のある企業や業界、またその企業文化や企業内の中心的となる年代、世代によって、デザイン思考やアジャイル開発への抵抗感や順応性は異なるようです。   では、IBM ではそのような企業にどのようなアプローチを行っているのでしょうか。   IBM には、IBM Bluemix Garage というデジタル・トランスフォーメーションをサポートするサービスがあります。 詳しくは、こちらをご覧になっていただければと思いますが、前述の某航空会社での事例では、航空会社のエンジニアと IBM のエンジニアがペアになって開発を進めるなど、単純にコンサルタントが助言するイメージではないのが特長的です。 デザイン思考、リーンスタートアップ、アジャイル開発、DevOps など Bluemix 上で短期間にプロトタイプを開発する支援サービスは、非常に体験的なものであり、"助言し実施する"、というより "一緒に実践する" というものであることがわかります。 ウォーターフォール型に慣れ親しんだ企業であってもこのような体系的、かつ体験的なサポート(一緒にやってみせること)により、プロトタイプ開発を一通り経験することができるようです。 IBM Bluemix Garage のメニュー とは言っても、当セミナーでの本音トーク部分では、「現場は選ぶ」と話されていました。デザイン思考に向いている開発現場は、 内製化されている ビジネスと開発が密接に関わっている 失敗を許す文化がある のがポイントになるようです。 また、日本の典型的な IT 現場である、「サイロ化や SIer が絡む」、といった部分も上手くいかない原因になり得てしまう、とのことでした。 やはり、デザイン思考を取り入れていく中で、プロジェクトの規模やテーマ、メンバー選定、さらにサービスに至るまでの準備やマインドセット...等々 高度にコミュニケーションできて、創造的にアイデアを出し合えて、さっさとプロトタイプ開発できるような前準備が大事ポイントとなるのだと、と感じました。   デザイン思考は、プロセスから能力へ   最後に本質的な課題を一つ。実はイノベーションが出てこないことやその枯渇が問題ではなく、そもそも製品企画や開発の「プロセス」が問題、となることがあります。このような場合、一通り、コストをかけてデザイン思考のプロセスを回してみても「何も生まれなかった、平凡なアイデアしか生まれなかった」となることが多々あります。 実はまず課題解決すべきは、製品やサービスの「イノベーション」の部分ではなく、その発生プロセスである場合が多いのです。このイノベーション・プロセスをデザイン思考を通じて立て直していく、再構築するということが、「イノベーション」への遠いようで近道となるのかもしれません。 そこで重要になるのが、「何のためにツールを使うのか」という目的設定であり、縦割りではなく組織を横断的に、時には外部にも広げられる柔軟さではないでしょうか。   デザイン思考の世界的広がりの中心であるスタンフォード大学での今の流れを説明した記事を引用して終わりにしたいと思います。 デザインのやり方にお手本はない 現代はとかく忙しいものです。でも何かを究めるには時間と忍耐と実践が必要です。時には初心者にプロセスに従ったデザインを勧めるのも理解できますが、そのプロセスは絶対的でもお手本でもないことをしっかりと理解して下さい。それによって少しはできるようになった気がするかもしれません。デザインは常に進化し続け、多かれ少なかれプロジェクトにポジティブなインパクトを与える洗練された触媒なのです。しかし、そこに至る道には決まりきったプロセスなどないのです。 Medium Japan、「デザイン・プロセスの話はもうやめよう」、 Carissa Carter (2016年11月19日)   もはや、d.School では、型通りのプロセス(レシピ)を重視しておらず、料理で言えばそのレシピ通りではないオリジナリティあふれる料理を生む「能力」を重視しているとのことです。   当然と言えば当然なのですが、ここに「デザイン思考」の難しさというか、面白さがあるのではないでしょうか。 次回は、本特集の最終回、デザイン思考の事例として IBM Studios Tokyo を訪ね、いろいろお話をお聞きしたいと思っています。  

2017年07月28日

【セミナー・レポート】Watson の基礎技術:ビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?~ 繰り返しますが”今”です ~

座談会:画像認識だけじゃない!ディープラーニングの「使いどころ」とは?   AI、ディープラーニングが注目を集めているが、AI のビジネス活用は、「何ができるのか」から、具体的に「何をするか」という実践のフェーズに入ってきた。とはいえ、多くの企業は必要性は感じつつも、「使いどころ」が明確にイメージできていないのが現状だろう。 そこで今回は「ディープラーニング」にフォーカスし、日本IBM の IT スペシャリストの 藤岡 英典 氏、頼 伊汝(らい・いる) 氏とエヌアイシー・パートナーズの 久田 修央 氏に、ビジネスのユースケースや活用のポイントについて聞いてみた。 右から日本アイ・ビー・エム システムズ・ハードウェア事業本部 先進テクノロジー・センター 頼 伊汝氏、藤岡 英典氏、 エヌアイシー・パートナーズ 企画本部 企画推進部 久田 修央氏、ビジネス+IT編集部 松尾 慎司氏 ディープラーニングは「人間の認識レベル」を超えている   まず、AI の現状について、企業における認識の変化などで感じることを教えてください。 藤岡氏:我々がお客さま先に訪問して感じるのは、「AI で何ができるのか」「何に使えるのか」がまだ明確になっていないケースです。AI は注目されているものの、自社の業務にすぐに活用できるというイメージを持っている企業はまだまだ多くないと感じます。 久田氏:AI という言葉が社会に浸透してきて、企業は取り組む必要性を感じています。一方で、高かった期待値の反動というか、「自分たちに今できることは何か」を冷静に見極めようと考える企業が多いように感じます。 では、AI で何ができるのかについて、改めて現状を整理してください。 頼氏:人工知能は「汎用型人工知能」と「特化型人工知能」に分かれます。汎用型は、人と同じような知能を備えた人工知能で、残念ながらこれはまだ実現できていません。 一方、特化型は、ある特定の領域、分野において人間より優れた知能を持ったテクノロジーのことです。コンピューター囲碁や将棋、自動運転、画像認識といった先端事例を目にする方も多いでしょう。 ルールが決まっている、プログラミングできる特定の領域で、大量のデータを学習することで、人間よりも高いパフォーマンスで正解を導き出そうというテクノロジーといえます。 AI というと、テクノロジーの変化が早く、また、マーケットにはさまざまな用語が飛び交い、そこが混乱を招いている側面もあります。そのあたりを整理していただけますか。 頼氏:人工知能は、1960 年代に提唱され、人間の知能を再現するためのソフトウェアや、ロボティクスなども含む幅広い学問の分野です。その中の 1 つのテクノロジーが機械学習。これは大量のデータからパターンをみつけて、未来を予測していくものです。そして、機械学習の 1 つの手法がディープラーニングで「IBM Watson」(Watson)は、機械学習とディープラーニングの双方にまたがっています。 AI 関連の用語の整理 Watson は PaaS としての「IBM Bluemix」上で動作し、自然言語処理、画像認識などの技術を用いて、様々な機能を API として提供しています。ディープラーニングは Watson の基礎技術の 1 つです。  ディープラーニングについて、もう少し詳しく教えてください。 藤岡氏:次の写真を見て欲しいのですが、この中で、写っているのが「唐揚げ」でないのはどれだか分かりますか? 唐揚げでないのはどれか? ぱっと見たところでは難しいですね。どれも唐揚げに見えます。 藤岡氏:実は、唐揚げでないのは【2】なのです。写っているのは犬(トイプードル)ですが、このように人が誤認識してしまうかもしれない画像を、正しく認識できることが期待されています。 最先端の画像認識技術を競う世界的なコンテストがありますが、2011 年までは、画像認識のアルゴリズムは機械学習のロジックを用いるのが主流で、誤認識率は 25 % あたりが限界値だと思われていました。 これが、2012 年のコンテストでディープラーニングが登場し、一気に 15 % くらいまで、誤認識率が 10 % ほど改善したのです。その後、さらにテクノロジーが洗練され、2015 年の段階で、誤認識率は 5 % 未満に達しました。 人間の誤認識率は平均で 5 % といわれます。すでにディープラーニングは人間の認識レベルを超えるところまで進化しているのです。 AI のがそう認識率は人間を越えている   すでに製造業の工場や、サービス業などでディープラーニングの活用事例が出てきた   では、実際に、ディープラーニングで何ができるのか、もう少し詳しく教えてください。 藤岡氏:AI のゴールは「人間の知能の代わりになること」にあり、特に、知覚、ビジュアルに関する領域でユースケースが広がってきています。たとえば、画像や映像の中に何が映っているかを検出し、それをカテゴリー分けする技術などがあります。 人が物体を見て「何か」を認識、判断するプロセスは、それまで経験してきた膨大なデータ(記憶)から照らし合わせて判断しています。これが 1 つの学習です。AI も同じで、膨大な画像データから、ものの色や大きさ、形状などさまざまな要素を照合し、「これが リンゴ である」と区別しています。 また、画像の一部が欠損している場合に、人間は頭の中で「そこに何が写っているか」を補うことができますが、機械も同じようなことができます。 そうしたことが実現できると、どんなメリットがあるのですか。 藤岡氏:これまでの機械学習は、たとえば、「目が 2 つあって鼻と口があるのは人間ですよ」というように、正解(特徴)を人間が定義する必要がありました。正解を人が機械に教える必要があるという意味で、これを「教師あり学習」といいます。ディープラーニングはそれをしないで、人工知能自身が記憶を洗練させていくことができる特徴があります。 頼氏:これまでの機械学習とディープラーニングの大きな違いは、扱えるデータ量です。従来の機械学習な得意な領域は数値データ。たとえば、小売店でこういう商品が売れた、その傾向から、このお客さまにはこの商品も売れるのではないか、と予測することです。 過去のデータから予測するので、入力する特徴量がシンプルなのです。 一方、ディープラーニングは、画像や音声、テキストといった非構造化データを扱うことが得意です。たとえば、画像は同じ犬の写真でも、複雑で、1 つとして同じ画像がありません。そうしたデータから正解を予測するのは難しく、上述した通り、これまでは誤認識率が高かったのです。 ディープラーニングにより、煩雑なデータに対しても、高い正解率が期待できるようになりました。 では、実際の事例について教えてください。 頼氏:画像認識については、ディープラーニングを用い、半導体などの製造ラインで、傷やゴミ、汚れなどを判別し、不良品を検出する事例や、工場に限らず、高層ビルやダムなど、人が立ち入りにくい場所にある構造物のひび割れなども、ドローンなどと組み合わせることで、より高精度で効率よく検出できるような事例が出てきています。 実際に、国内企業でディープラーニングの取り組みは進んでいるのですか? 藤岡氏:国内でも徐々に事例が出てきました。ある損保企業では、自動車保険を乗り換える顧客が保有するさまざまな保険証、車検証などを画像データでもらい、色んな会社の書式をディープラーニングで学習することで、契約時の手入力を省力化する業務効率化のツールとして活用しています。 別の会社では、人の視覚を肩代わりして、熟練したエンジニアの作業を代わりに行うとか、熟練エンジニアの作業を学んで、スキル移転のツールに使うといった事例もあります。 企業にディープラーニング活用を提案する立場として感じることはありますか? 久田氏:ディープラーニングには大きな可能性を感じます。今は代表的な分野として画像認識に注目が集まっていますが、ビッグデータの時代に、データの組み合わせで色々な発想、可能性が広がってくるでしょう。 ユーザー企業に提案する立場としては、お客さまのビジネスに今、何が求められているかを考えることが、AI のユースケースを広げていくことにつながると考えます。 導入には「正しい教師データ」が不可欠。ハードウェアの整備とあわせて進めたい。 では、企業がAI活用をうまく進めていくためのポイントはどこにありますか? 頼氏:正しい教師データがあるかどうかがポイントです。一般的な数値データであれば、既存の機械学習の手法で、いいスコアが出ることが期待できます。しかし、ディープラーニングは、先のクイズの"唐揚げ"のような画像や動画といったこれまで分析対象ではなかった非構造化データが必要です。 教師データを整備するには、大量の非構造化データをどう溜め、整理するかという課題もあります。 頼氏:分析の精度に関わるのはデータ量で、画像であれば枚数が多ければ多いほどよいです。 久田氏:そう考えると、データを溜める「器」が重要で、サーバやストレージといったデータセンターの整備が欠かせません。 ディープラーニングを取り入れるに際して、導入ステップというか、環境作りをどう進めるかを教えてください。 頼氏:サーバやストレージの他にはポイントは 3 つ あります。 1 つ は「GPU マシン」で、ビッグデータ解析が可能なコンピューティングパワーが必要です。 2 つ目は「フレームワーク」。ここでいう「フレームワーク」とは、ディープラーニングの分析モデルをパーツ化したもので、これを組み合わせる知識が必要です。そして、3 つ目はそのための「プログラミング」スキルです。 最近は、サービス化されたフレームワークも出てきており、分析モデルを指定してデータを投入すれば、学習結果を出力してくれるサービスが出てきています。その意味で、昔に比べると非常に環境構築はやりやすくなりました。 とはいえ、導入のハードルはかなり高いように感じます。 藤岡氏:IBM では、上述したフレームワークを使いこなせるスキルがなくても、画像を入れれば学習結果を返してくれるサービスを開発しています。これが、ノンプログラミングで、既成の学習パターンで学習してくれるサービス「AI Vision」です。これは「データの準備」「モデルの作成」「モデルの学習」「モデルの利用」の 4 ステップで活用できます。 今はディープラーニングも簡単に活用できる! 画像をアップロードして、学習モデル(例えば、鳥の画像を分類するというような「タスク内容」)を作成すれば、学習結果が得られ、さらにそれを API として利用できるようになるものです。 API は Web で広く使われているREST API に対応しており、例えば、モバイルアプリと連携することも可能です。 ハードウェアのコスト感はどの程度でしょうか? 藤岡氏:IBM では、GPU を積んだディープラーニング専用のハードウェアを推奨しており、ディープラーニング用のサーバとして「Minsky」を用意しています。 ディープラーニング用のサーバー「Minsky」 GPU を搭載し、画像等のデータを大量に処理する場合に、GPU と RAM の通信を高速化する「NVLink」に対応しています。提供価格 400 万円からで、Minsky と相性のいいストレージ」「ESS (Elastic Storage Server)」を組み合わせれば、並列に分散処理を行う環境を構築することもできます。 「Minsky」と相性の良いストレージ 最後に、今後、AIやディープラーニングはどう進化していくと思いますか? 藤岡氏:画像以外の領域としては、IoT のセンサーデータから機器のメンテナンスタイミングを予測する予兆分析などにディープラーニングが活用されるようになるでしょう。 あるいは、音声データから文章を要約、テキストを自動生成することや、広告のキャッチコピーを学習して、コピー文案を考えるといった領域での活用が期待されます。 頼氏:これまではロボティクスと AI を結びつけるのは難しいことでした。今後は、例えばディープラーニングの画像認識でモノを認識し、そのモノにあったつかみ方を判断することで、ロボットアームが最適なピッキングをする、というように、AI が現実世界に対してインタラクションするケースが増えてくるでしょう。 久田氏:こうした先端事例が増えていく中で、まずは「AI Vision」のように、お客さまにはディープラーニングに実際に触れる体験をしていただき、弊社でも新しい技術、製品に習熟していくことで、パートナーと一緒に、お客さまのビジネスに最適な提案、ユースケースを考えていきたいです。   本日は、貴重なお話をありがとうございました。   当セミナーの”動画”は、以下にて公開中です。あわせてご視聴ください。 [ダイジェスト動画公開] 7月13日【NI+C P主催】Webセミナー「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニング とは?」 ~ 繰り返しますが”今”です ~ [動画・資料公開]7月13日【NI+C P主催】「Watson の基礎技術 今のビジネスに活かせる AI / ディープラーニングとは?」~ 繰り返しますが”今”です ~(MERITひろば) ※ビジネスパートナー専用サイト(MERITひろば)のコンテンツです。ログイン or  新規会員登録が必要となります。   ご参考情報 ◆製品発表情報 【新製品発表】 HPC 用 Linux モデルIBM Power System S822LC (8335-GTB) ◆技術情報 "Minsky" POWER8 NVLink Server (日本情報通信株式会社サイト)

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