こんにちは。
企画推進部の久田です。
新時代のバックアップと言われている IBM Cloud Storage Solution for i (以下 CS4i)についてご紹介したいと思います。CS4i はIBM Cloud や Amazon S3 のクラウド上へ IBM i のデータをバックアップし、簡易な災害対策としても注目されているソリューションです。
IBM i でのバックアップ方法
従来の IBM i では、多くの場合(バックアップ対象のデータ容量によっては) IBM i 筐体内のディスクへのバックアップや、外部媒体へ保管するケースでも物理テープへのバックアップ(バックアップ後は物理搬送で遠隔地保管)を行っていました。ただし、ここ数年は「生産性向上」や「業務効率化」、「デジタルトランスフォーメーションの推進」により、クラウドファーストへと IT 変革を進める企業が増加しています。
CS4i も2016年の発表以降、年々導入されるユーザー様は増加の傾向にあります。それはまさに、「生産性向上」、「業務効率化」、「コスト削減」においてユーザー様から評価を得られている証拠です。そこで今回、具体的に CS4i 導入のメリットをご紹介いたします。
従来の主なIBM i でのバックアップ取得とCS4i を利用したクラウド連携のバックアップイメージ
CS4i のメリット
CS4i を採用することによるメリットをご紹介いたします。
- コスト低減
- クラウドへのバックアップによりコスト低減
- バックアップ先のハードウェアやメディアを準備する必要がないため、初期および運用時のコストを削減できる
- 圧縮機能によるデータ量削減の結果、クラウド使用料やデータの転送時間短縮が期待できる
- クラウドへのバックアップによりコスト低減
- 新スキルの習得が不要
- IBM i からのコマンドラインや GUI からバックアップリストアを実行するため、既存のスキルをそのまま流用することが可能
※既存スキルの流用が可能
- IBM i からのコマンドラインや GUI からバックアップリストアを実行するため、既存のスキルをそのまま流用することが可能
- 運用の負担軽減
- テープ媒体が不要なため、それにまつわる運用コストの低減が期待できる
- 特にメディアの世代管理のわずらわしさから解放される
- オンプレミスの VTL 装置と比較して、クラウドの場合バックアップの容量追加が簡単
※VTL装置は仮想テープライブラリとして、ハードディスク上に仮想のテープドライブを疑似的に作り、システム(OS)からテープドライブが接続されているかのように見せかける仕組み
以上のメリットによりユーザー様から評価を得られ、採用実績が増えております。
考慮事項
CS4i を導入するうえでは考慮すべき点もあります。
- 障害対策やDR 対策の観点で、データ容量や帯域などがRPO (Recovery Point Objective:目標復旧時点)やRTO (Recovery Time Objective:目標復旧時間)を満たせる構成になるか、事前にシミュレーションをする必要があります。
※CS4i はレベル1に該当します。
- クラウドへの保管対象であるバックアップデータ容量でのコストシミュレーションが必要です。具体的には、リカバリーポイントまで定めた業務復旧時間内にリストア処理が完了するかのシミュレーションをクラウド使用時のコスト v.s. オンプレミス構成時のコストの観点で必要になります。また、業務復旧時間内に完了しないシミュレーション結果の場合は、回線帯域を増やした場合のコストシミュレーションも状況に応じて必要になります。
- クラウドを利用する場合は自社のセキュリティポリシーに抵触しないか確認が必要です。
ご参考情報(CS4i V1.2 の参考価格)
CS4i を導入するうえでは、CS4iの費用とCloudの費用が必要になります。また、IBM Cloud Object Storage(ICOS)は、IBM CloudのStorageを示します。
※以下のCS4i V1.2 価格参考情報ではIBM Cloudでの試算です
まとめ
CS4i では簡単にクラウド環境へ仮想テープ・イメージをバックアップすることが可能です。操作も OS コマンドと同様なため、実装に際し高度な技術を要しません。クラウドや別拠点へのバックアップを行うことで災害時の対策にもなります。価格も廉価でありますので直ぐに検討に踏み切れるソリューションです。HW の更改時やデータの活用方法を改革される際は、是非、CS4i 導入をご検討下さい。
※この記事は2019年5月8日時点の情報を基に作成しています。