皆さんこんにちは。てくさぽBLOGメンバーの佐野です。
9/19(火)に御茶ノ水ソラシティにて開催された「IBM Notes/Domino Day 2017 -今日と未来のコラボレーション」に参加してきました。
そのイベント内でいくつか参考になりそうな情報がありましたので共有します。
1.Domino Applications on Cloud
今まで、クラウドを検討したけれど、Notes DBだけがどうしてもオンプレ環境に残ってしまうんだよね・・・とクラウド移行を断念してしまっていた方には朗報です。自社開発のNotes DBもクラウド環境で利用できるサービスが10月から開始になります。
その名も「Domino Applications on Cloud」です。
詳細な内容が判明するGA(発表)は10月ということなので、料金は不明ですが、現時点で以下のことが判明しています。
・課金は.nsf単位の月額課金
・利用は最低10DBから
・PassportAdvantageとしての提供
・BYOL(Bring Your Own License)モデル ←自分で購入したライセンスを持ち込むということです
・初期契約期間は最低1年間
・PaaS(といいつつほぼSaaSに近い形)での提供
・提供する環境はDocker上のDominoサーバー
・オンプレミスと同じ組織認証者を使用可能
・オンプレ環境と複製することが可能
・Notesクライアント、Webブラウザ、ICAAから利用可能(IMAPやPOPクライアントからはアクセス不可)
・保存データは暗号化される
・1DBあたり最大25GBの容量
・月次レポートの提供
etc…
これらのこと以外にも、Dominoサーバーのバージョンアップは勝手に行われますし、DAOSの有効化などもオプションで提供されるようです。
1点注意が必要なのは、Dominoサーバーの管理自体はIBM(サービス提供元)が実施します。オンプレではサーバーの設定を自身で変更することができましたが、このサービスでは、設定変更ができません。
細かいセキュリティ設定をしたい!とか、細かいログを取得して参照したい!ということができなくなります。
逆に良い点は、10月のサービス開始時点からデータセンターとして日本が選択できますので、国外にデータを持ち出す必要がなく、安心して使えるということがあります。初期は3拠点(アメリカ、日本、ドイツ・オランダ)のみですが、今後中国やオーストラリアにも拡大予定があるということなので、お客様拠点に近いDCにDBを配置することもできそうです。
これまではIBMとしてはメールのSaaSサービスしかなかったので、Notes/Dominoを使っているお客様のサービス利用の検討が活発化していくのではないでしょうか。
2.Notes/Dominoアップデート
Notes/Dominoは2016年からバージョンを9.0.1から9.0.2に変えるというようなFixPackの提供ではなく障害修正と機能追加を行う「Feature Pack」というものを提供する形式に変わりました。
例えば、最新版だとFeature Pack 9が提供されており、バージョン情報としては「Domino 9.0.1 FP9」という書き方になります。
この変更によって、バージョンを変えずに新機能を利用できる環境となりました。実際に、IBM Cloud上でしか提供されていなかった「IBM Verse」をオンプレミスで利用できるように機能拡張していたり、ADFS3.0のサポートのように新しい機能へのサポートも追加されています。
次に予定されているFP10では以下のアップデートが予定されているということです。
・DominoサーバーのDockerサポート
・JVM 1.8への対応
・Eclipse/OSGi 4.6.2へのアップグレード
・Domino REST APIの拡張
DominoサーバーのDockerサポートは、Domino Applications on Cloudでも利用している技術ですが、一般的にどういう利用シーンが想定されるのかが気になりますね。
また、基調講演の中で、今後のNotes/Dominoについて、Globalの責任者であるEd Brillさんが「2018年にはDominoの新しいバージョン(9.0.2か10になるかは分からないけれど)について発表があるかもね」と言っていました。
Notes/Domino 9.0.1は現時点では最低でも2021年9月まではサポートをすると明示的に宣言していますが、後続バージョンが出てくれば、更に長期的なサポートが期待できるので、安心してご利用頂ける環境になってきますね。
ちなみに、Notes/Domino 8.5.xは2018年9月30日でサポート終了の発表がされていますので、該当バージョンをご利用の方は9.0.1へのバージョンアップと共にクラウド化というのも是非ご検討下さい。
3.まとめ
今回のイベントの目玉は間違いなくDomino Applications on Cloudの発表です。Office 365にメールは移行したけれど、アプリケーションだけはどうしてもオンプレで残ってしまった、というお客様は十分検討する価値があるサービスだと思います。
また、次バージョンについても示唆していたので、9.0.1でNotes/Dominoが終わってしまうということは無さそうです。
REST APIもどんどん拡張が進んでいるので、他システムからDominoのデータを呼び出すということもできる環境が整ってきています。
まだまだ進化するNotes/Dominoはこれからも楽しみですね。
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