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「あなたのそばにIBMのテクノロジー」をテーマに、12月3日(水)に東京国際フォーラムで開催された「IBM TechXchange Summit Japan 2025」は、日本IBM最大のIT技術者・開発者向けイベントです。弊社は昨年に続き、今年もスポンサーとして協賛させていただきました。
イベントの見どころは、ハイブリッド・クラウドやAIの未来をテーマにした基調講演をはじめ、お客様やパートナー様による登壇を含む100以上の専門セッションでした。特に、最新技術を体験できる30を超える展示やブース、そして技術者コミュニティーが集まり交流を深める「Technology Happy Hour」は、学びやネットワーキングの一大拠点となり、大いに盛り上がりました。
それでは、本イベントに参加した弊社社員から寄せられたコメントや感想を、各カテゴリやブランドごとにご紹介いたします。
基調講演
今回の基調講演では、IBMの各分野のエキスパートの方々から、現在直面している課題や今後の展望について多くの示唆を得ることができました。
特に、開会の挨拶で語られた「共創」というキーワードが私の心に深く響きました。
“エンジニア同士が技術を共有し、協力することで新しい世界を創造できる“
とするメッセージには、単なる技術論を超えた、日本のエンジニアへの深い信頼と期待が込められていると感じました。
私自身、日々の業務の中で解決策が見いだせず悩むことがあります。
そんなときに仲間からの何気ないアドバイスや知識の共有が救いになる場面は少なくありません。この言葉には自然と共感しました。
近年のITトレンドでは生成AIなどの先進技術に注目が集まりがちです。
しかし、今回の講演で心に残ったのは、それらの話題に触れる前に「インフラの重要性」が強調されたことでした。
「全ての変革は安定稼働から始まる」という言葉は本質を突いており、どれほど優れたAIやアプリケーションであっても、それを支える基盤が不安定ではその力を発揮できないという事実を改めて実感しました。
IBMが提唱する「4つのハイブリッドクラウド&AI戦略」は、以下の4つのレイヤーで構成されています。
- インフラストラクチャー
- ハイブリッド・クラウド
- データ&AI
- 自動化
各分野の専門家が具体的な将来像を提示し、ITの未来に向けたビジョンを明確に描いていました。その中でも特に印象的だったのは、AIが「人間の指示を待つ便利な助手」から「目的を理解し、自律して行動する頼れるパートナー」へと進化している点です。

その象徴として紹介された事例が「Project Bob」であり、”Bob”は単なるコーディングアシスタントにとどまらず、複雑な設計やテストにも対応する、まさに開発者の「相棒」と呼べる存在です。
IBM社内では、このプロジェクトを活用することで生産性がすでに45%向上しているとのことでした。反復的な作業をBobに任せることで、人間は「何を創るか」「どう課題を解決するか」といった本質的な業務に集中できる環境が生まれていると紹介されました。
このデモを実際に目にし、私は「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIと共創して新たな価値を生み出す」未来が目前に迫っていることを強く感じました。
未来の開発現場はすでに動き始めており、AIが日常業務に深く溶け込んでいる状況は、数年先の話ではなく「今、すでに起きている」現実です。
開発現場が変革の入り口に立つ “いま”、これからAIとの共創がどのような成果をもたらすのかが非常に楽しみになる、感銘深い講演でした。
ブース
展示エリアでは、IBMの26ブースと、9つのスポンサーブースで構成された展示会場が設けられていました。
この展示会場は単なるブースの集まりにとどまらず、例えばフォトスポットとして「Project Bob」のスポットが設置されるなど、さまざまな工夫が凝らされており、魅力的な内容となっていました。

また、この展示エリアには、弊社エヌアイシー・パートナーズもブースを出展しました。弊社のブースでは、コンピューターマネージメント株式会社 様、株式会社ライトウェル 様、株式会社ジール 様と連携し、それぞれのサービスを紹介する共同展示を行いました。
各社様には12時を初回として、2時間ずつの持ち時間で順番に対応していただきました。それぞれの時間枠では、IBM製品と連携する各社様の独自サービスについて、具体的で分かりやすい説明が行われました。
具体的な内容は以下の通りです。
- コンピューターマネージメント 様:
IBM webMethods Hybrid Integration の導入支援サービスについてご紹介いただきました。 - 株式会社ライトウェル 様:
IBM watsonx Orchestrate を活用した業務別ユースケースのデモンストレーションを実施していただきました。 - 株式会社ジール 様:
IBM watsonx Orchestrate とCO-ODEを統合したCO-ODEエージェントの紹介を行っていただきました。
各社様による説明は、現場での具体的な活用事例や実務に直結する視点を交えて行われたため、ブースに足を運んでくださったお客様も非常に興味深く耳を傾けていらっしゃいました。
今後もこのような貴重な機会を活用し、より多くのお客様に価値ある情報をお伝えしていきたいと思います。また、パートナー企業様との連携を強化し、新たな価値創造を目指して引き続き取り組んでまいります。
セッション
Storage
BroadcomによるVMware買収以降、市場の大きな変化を受け、多くの企業が代替案を模索する中、「Red Hat OpenShift Virtualization」が現実的な移行先として注目を集めています。これに関連するセッションに参加してきました。
セッションでは、IBM Fusion が OpenShift環境に付加するストレージ機能やバックアップ/災害対策機能について紹介されていました。特に、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)タイプを選択することで、OpenShift環境の迅速な立ち上げや統合管理、さらにIBMが提供するワンストップのサポート窓口によって運用負荷を軽減できる点が強調されていました。
また、Fusion が単なる外部ストレージとして動作するのではなく、OpenShift上のオペレーターとして機能する点が非常に印象的でした。このおかげで、管理者は慣れ親しんだOpenShiftコンソールを利用して、ストレージ操作やバックアップ設定まで一貫して実行することが可能となるため、大きな利便性を提供します。
さらに、OpenShift環境におけるストレージの選択肢についても議論がありました。通常は、ワーカーノードの内蔵ディスクをSDS(Software-Defined Storage)によって共有ストレージ化するHCI型が一般的ですが、必ずしもHCI型が万能というわけではありません。
HCI型には、ディスクリソースの追加に対する柔軟性の制限や、ディスク障害時にリビルドがパフォーマンスに与える影響などのデメリットもあります。このため、FlashSystem のような外部ストレージがより適した選択肢となるケースもあることが紹介されました。
今回のセッションを通じて、OpenShift環境においてストレージ選定が運用における重要なポイントであることを改めて認識しました。
Power
2025年のPowerブランドは、7月に発表された「Power11」を皮切りに、大きな飛躍を遂げた1年となりました。今年は Power11 や IBM i に関する最新情報が続々と発表され、多くの注目を集めています。その中で、今回は特に話題となっている生成AIに焦点を当ててレポートします。
セッションを通じて強く感じたのは、エンタープライズの信頼性が求められる本番環境にAIを適用する際に、Powerが果たす重要な役割です。
間もなく一般提供(GA)が予定されているAIアクセラレーター「Spyre」は、この分野の鍵を握るテクノロジーだといえます。Spyre は低電力ながら高性能を発揮するという特徴があり、これをPowerとの組み合わせで活用することで、ミッションクリティカルな業務へのAI導入が現実的になります。性能面だけでなく、効率的な電力消費の観点からも、非常に大きな可能性を秘めていると感じました。
また、今回のイベントで特に注目を集めたのが、基調講演でも大々的に取り上げられた「Project Bob」でした。このプロジェクトは、Power分野における IBM i の次世代AIコード開発パートナーとして注目されています。会場内ではBobに関連するパネルが至る所に設置され、来場者の関心の高さと、IBM全社を挙げての取り組み規模の大きさが強く印象に残りました。
私自身も現在、「Project Bob」の早期アクセスプログラムへのノミネートを待っている状況ですが、”Bob”にどのような業務を任せられるのかに大きな期待を寄せています。
AIとPowerが生み出す、さらなる高性能かつ信頼性の高いエンタープライズ環境の未来が、今や目の前まで迫っていると実感できたセッションでした。
Cloud ハンズオン
「さわってみよう — 初めての PowerVS ハンズオン」に参加しました。
本ハンズオンは、セッションに併せて開催され、『AIX・IBM i・Linuxのいずれかを触ったことはあるけれど、IBM Power Virtual Server(PowerVS)は未体験の方向け』という説明どおり、私のような PowerVS 未体験者でも気軽に参加できる内容でした。
今回は、自分の端末を使用してハンズオンを行い、環境準備から操作まで実際の手順をその場で試せたことが非常に良かったです。また、講師の方が丁寧に説明してくださり、つまずいた箇所ではその都度サポートをいただけたため、スムーズに進行することができました。
最終的には、ハンズオンのゴールであるAIX(または IBM i )インスタンスの作成も無事に完了し、とても楽しく有意義な体験となりました。
PowerCloudNEXT
「PowerCloudNEXTとPower11の未来共創」に参加しました。
このセッションでは、柔軟性と可用性に優れたプラットフォームである PowerCloudNEXT の概要が紹介され、その未来像について語られました。
来年には待望の次世代プロセッサ「Power11」の提供が開始されます。Power11 は、前世代の Power9 と比較して性能が45%向上しており、特に注目すべき点としてAI推論チップを内蔵していることが挙げられます。事前検証結果も好調とのことで、性能向上への期待が高まります。
さらに、2026年までのロードマップでは次のような機能やサービスが計画されていることが明らかになりました。
- AIを実装した「AI組込ポータル」
- データ管理を強化する「ボリュームコピー」
- お客様のニーズに対応する「ベアメタル環境」の提供
これにより、ユーザーの選択肢がさらに広がり、より自由度の高い利用が可能になります。
また、IBMの「Project Bob」によるRPGプログラムの開発支援や、「X-Analysis」を活用したシステム保守支援および後継者育成の取り組みについても紹介されました。これらのソリューションは、業務システムの効率化や技術者不足の解消に向けて大きな効果が期待されています。
Power11のリリースとAI技術の本格的な採用により、PowerCloudNEXT はさらに進化すると確信しています。2026年の動向も引き続き注目していきたいと思います。
watsonx
watsonx Orchestrateに関するハンズオンでは、11月24日から利用可能となった「GPT-OSS 120B — OpenAI(via Groq)」を活用し、ノーコードでエージェントを作成してその動作を確認しました。
AIエージェントの開発がこれほどまでに簡単に行えることに驚きました。
また、パートナー様セッションでは、AIエージェントの具体的な提案プロセスや経験を基にしたリアルな知見を伺い、大変参考になりました。
watsonx.data Premium に関するハンズオンでは、非構造化データ(PDFのデータ)を取り込み、エンティティを抽出した上でそれに意味付けや分類を施し、構造化テーブル(ICEBERG形式)へ格納する手法を学びました。
これまで非構造化データのキューレーション(UDC:Unstructured Data Curation)は難しいイメージがありましたが、実際に手を動かしてみると想像以上に簡単で、直感的に操作できることに衝撃を受けました。非構造化データが信頼できる情報資産としてフル活用される未来が、すぐそこまで来ていると感じています。
これらのハンズオンやセッションを通じて、watsonxシリーズが提供する先進的な技術やその可能性を体感でき、非常に有意義な時間となりました。
IT Automation ワークショップ
IBMの運用自動化ポートフォリオについての解説と、実践的なワークショップを体験しました。
基調講演でも触れられていた「なぜ現在、自動化に取り組むべきなのか」という背景や、自動化がもたらす効果について学んだ後、IBMの運用自動化ソリューションがどのようにそれを実現するかが紹介されました。
自動化と聞くと、「すべてを一括で対応しなければならない」と考えてしまいがちですが、実際には業務の一部を切り出し、段階的に自動化を進めることで効果を得られるということが理解できました。負担を抑えつつ、確実な成果を上げるためのアプローチとして非常に有効だと感じました。
ワークショップの後半では、参加者の関心テーマに基づいたグループワークが実施され、各自が抱える課題に対して具体的な自動化の例や、それを実現するための製品について議論を深めました。このセッションを通じて、運用自動化の可能性についてさらに理解を深めることができました。
まとめ
今回のイベントは、進化を続けるIBMの最新テクノロジーを深く学ぶだけでなく、技術者同士が交流し、新たな知見や繋がりを得る場として、大変活気あふれる充実した内容でした。
さらに、これまで本イベントは年1回の開催でしたが、2026年の「IBM TechXchange Summit Japan」については、春、夏、冬の年3回開催されることが発表されました。これは、より多くの最新情報や交流の機会が提供されることを意味しており、非常に楽しみです。
次回の来春には、どのような新しいテクノロジーやアイデアに出会えるのでしょうか。ますます期待が高まりますね。
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