DX によるデータ活用の進展により、近年、企業で保有するデータ容量が急激に増加しています。一つの企業がペタバイトクラスのデータを持つことも珍しくありません。
このような大量のデータの保管場所としてクラウドが選ばれることが多いですが、データ容量が増えると最も安価なストレージを使用してもコストが大幅に上昇してしまいます。
そこで注目していただきたいのが、IBM の次世代長期アーカイブソリューション「IBM Storage Deep Archive」です。導入が容易で、かつデータ保管コストを大幅に削減できるのが特徴です。
本コラムでは、その概要とともに、コストを抑えながら重要な大容量データを長期間保管する方法をご紹介します。
大容量データの時代 – 企業が抱えるペタバイト級のデータ
近年の技術革新とデジタル化の進展により、以下の分野で取り扱われるデータ量は急激に増加しています。これらのデータは日常的に使用されないものの、必要な際には速やかに参照できるよう長期にわたり安全に保管することが求められています。
例えば、以下のような分野のデータがあります。
HPC(高性能計算)
高性能計算システムでは、大規模なシミュレーションや計算モデルの結果として生成されるデータセットは非常に膨大です。これらのデータは研究や分析のために長期保管が必要であり、再現性の確認や後続の研究の基盤として重要です。
分析データ
ビッグデータ分析や機械学習の普及により、企業や研究機関では大量の分析データが生成されています。これらのデータは将来の意思決定や新たなインサイトの発見のために保管しておく必要がありますが、日常的なアクセス頻度は高くありません。
研究データ
科学研究や工学分野で生成されるデータは、実験結果や観測データ、シミュレーションの出力など、多岐にわたります。これらのデータは、将来の研究や過去の記録の検証のために長期保存が求められます。
医療、ゲノム、製薬
患者の医療記録やゲノム解析データ、臨床試験の結果など、医療・製薬分野のデータは非常に重要です。長い期間アクセスされない場合もありますが、後続の治療や研究のために保管しておく必要があります。
映像、動画、エンタメ
映像制作や放送業界では、過去の作品や未使用の素材、大規模な映像プロジェクトのデータを長期保存する必要があります。頻繁にはアクセスされませんが、リメイクや再利用の際に重要な資産となります。
監査対応、法定保管資料
企業の監査対応や法的要件に基づく記録の保管は長期間にわたる保存が必要です。これらのデータは日常的にアクセスされることはほとんどありませんが、コンプライアンスや証拠として重要な役割を果たします。
大容量データのクラウド保管 – コスト面での難題
これらのデータを持つ企業にとって、長期間にわたってアクセスされないことを考慮しながら安全かつ効率的に保管することはますます重要な課題となっています。
例えば AWS S3 などのクラウドストレージは、スケーラビリティ、信頼性、アクセス性の高さから多くの企業に利用されています。これらのサービスは必要なストレージ容量を瞬時に拡張でき、データへのアクセスも非常に柔軟です。
しかし、大容量データの長期保管においては、そのコストが企業に大きな影響を与える要因となりえます。そのため、ペタバイト級に届く大容量データの長期保管においては、クラウド以外の手段でコスト効率の高い保管ソリューションを検討する必要があります。
クラウドよりも経済的 – 大容量データの低コスト保管に最適
そこでご注目いただきたいのが、大容量データの保管に最適化された次世代の長期アーカイブ・ソリューションである「IBM Storage Deep Archive」です。
このソリューションは、IBM Diamondbackテープライブラリを基盤としてミッドレンジとハイエンドの中間に位置づけられたテープ・ストレージと統合されています。また、S3 Glacierストレージクラスの標準化されたインターフェースを提供し、使いやすさを重視しています。
以下に、具体的な特徴や利点をご紹介します。
経済性
IBM Storage Deep Archive の最大の特長は ”コスト効率” です。
1ラックで最大27PBのデータを格納でき、従来のクラウドストレージの約1/20以下のコストで保管が可能です。特に長期間の視点でのコスト抑制が求められる二次および三次のデータ保管には最適な選択肢です。
長期保存の信頼性
テープ・ストレージは数十年にわたりデータを安全に保管できるため、HPC(高性能計算)で生成されるデータや複雑な分析データ、研究データ、医療・ゲノム・製薬分野のデータなどの保管にも適しています。さらに、過去の映像素材や未使用のフィルムを低コストで長期にわたり保管することが可能で、法定保管資料や監査対応のデータ保管にも理想的です。
エア・ギャップ
IBM Storage Deep Archive は物理的にネットワークから切り離せるテープ・ストレージを使用しており、サイバー攻撃や不正アクセスからデータを保護するためのエア・ギャップを実現します。これにより、重要なデータのセキュリティが格段に向上します。
導入のしやすさ
IBM Storage Deep Archive は特別な設定が不要で、一般的なネットワークアクセスを使用して簡単に接続できます。既に AWS S3 Glacier対応のアプリケーションを使用している場合でも、接続先を IBM Storage Deep Archive に変えるだけで利用を開始できます。テープに関する専門技術がなくても、オブジェクトストレージ管理者であれば問題なくサポート可能です。
まとめ
IBM Storage Deep Archive は、大容量データの二次および三次保管に最適なソリューションです。経済性、導入のしやすさ、長期保存の信頼性、エア・ギャップなど、多くの利点を提供します。これにより、企業は重要なデータを安全かつ経済的に長期保管し、ビジネスの継続性を確保することができます。
エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Storage Deep Archive のお客様への提案をサポートします。また、IBMのソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートします。
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