2024年11月

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複雑化した業務を効率化し、個人の生産性をアップするためにAIができること ~AIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」とは~

私たちは日々の業務の中で様々なシステムや複数のアプリケーションを活用し、多数の自動化ツールを使って業務をこなしています。しかし、複数のツールが独立して存在しシステム間の連携に負担を強いられているのであれば、本当の意味での業務の効率化とはいえません。

今回は、業務効率化に対して AI ができることとは何か、その効果について解説するとともに、自然言語処理を使用し従業員の意図を理解して作業をサポートすることで複雑な作業を自動化・効率化する、IBM の AIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」をご紹介します。

「部分最適」が従業員の業務効率化を阻む

1990年代以降、世界は PC の誕生および普及とともにコンピューターの歴史上大きな転換点となった「オープンシステム全盛時代の自動化」に突入し、PC とオープンシステム、インターネットの登場と普及は事務処理の速度や柔軟性を向上させました。

オープンシステム全盛時代の自動化では、ジョブ管理や資産管理、インシデント管理、データ活用など、それぞれのエリアに対する最適化を目指し、業務のシステム化およびアプリケーション・パッケージによる自動化が行われました。しかし、同時にそれは「部分最適」であるがために、システムが追加されるごとに人手による業務が発生し、実際に運用する従業員の業務を増加させました。

例えば、様々なシステムやアプリケーションを導入した結果、社内に複数の自動化ツールが乱立するようになり、従業員がそれらの扱いを理解するための負担や操作の手間が増えて思うように生産性を上げられないといったケースがあります。

社内に次々と導入される新たなシステムによる様々な自動化ツールが従業員の負担を増し、それが効率化を阻む要因にもなっていたのです

企業内に残された自動化されていない業務

”業務の自動化”は、企業が取り組むべき課題の上位にランクインしています。

2022年8月に公開された ITR のホワイトペーパー『業務自動化に向けた国内企業の現状と展望』*1 によれば、業務自動化をテーマにした国内大企業(年商規模500億円以上)の部長級以上の役職者に対するアンケート調査の結果、”業務の自動化” を最重要事項と認識している回答者の割合は45%と、”コミュニケーション/コラボレーションの高度化” に次ぐ2番目に高い値を示しています。

DXテーマの重視度(最重要課題と認識している割合)
図1. DXテーマの重視度(最重要課題と認識している割合)

*1. 出典:ITRプレスリリース「ITRがホワイトペーパー『業務自動化に向けた国内企業の現状と展望』を発行 – 目的に即した自動化テクノロジの選定アプローチを解説」(2022年8月18日)

一方で、自動化から取り残されている業務もあります。

例えば、定常的に行わない処理や例外処理、さまざまな認証情報の管理やログイン、システム間でのデータのコピー、反復的な作業など、手作業中心のプロセスや紙・Eメール・表計算ソフトなどからなっている業務、複数システムが必要で処理が煩雑な作業などがそれに当たります。

これらは本来、もっとも自動化したい中位・低位のスキルやリソースで対応可能な業務が自動化から取り残されている要因の1つとして、RPA をはじめとする既存の自動化技術の決定的な弱点である「柔軟性の欠如」があります。
状況によって判断が必要な業務の自動化を事前定義するのは、一定の ITスキルがあっても難しいことです。加えて、たとえ複雑な処理を定義して業務を自動化できたとしても、得られるメリットとコスト・手間を比較した時、それらは「費用対効果が低い」と評価されがちです。

そのような理由で、自動化されないまま企業内のあちこちに残ってしまっている業務が数多く存在します。

複数のアプリによる「部分最適」な自動化を「全体最適」する「エージェント型AI」

企業における業務の自動化を実現する方法として注目されている手法に、ハイパーオートメーションがあります。

ハイパーオートメーションとは、RPA、AI、機械学習(ML)、ローコード/ノーコードプラットフォームなど、様々なテクノロジーとツールを組み合わせてビジネスプロセスやタスクを実行し、複数の部署にまたがるものも含めた業務プロセス全体を自動化・最適化する概念です。
RPA よりも高度で範囲の広い業務の自動化が可能なため、組織の効率化や俊敏性の向上、イノベーションの加速、ビジネス成果の改善を目指す包括的なプロセス改善において、その効果が期待されています。

その中において、これまで手がつけ難かった個人の業務を効率化するツールとして注目されているのが、「エージェント型AI(Agentic AI)」です。

エージェント型AI は、ユーザーが目標をインプットすることでルールベースのアルゴリズムや機械学習モデルを用いて意思決定を行い、適切な行動を選択し、人間の介入なしに特定のタスクを実行することが可能な自律型インテリジェントシステムです。
例えば、反復的なタスクを AIエージェントに任せることにより、仮想労働力として仕事を補強して人の作業負荷を軽減し組織全体の生産性を向上させ、個々人がよりコアな業務に集中することを可能にします。

Gartner社は、2025年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド*2 における3つのカテゴリの一つとしてこの「Agentic AI」を取り上げています。

*2. 出典:Gartner社サイト「Gartner、2025年の戦略的テクノロジのトップ・トレンドを発表」(2024年10月28日)

複雑な作業を自動化・効率化するAIアシスタント「IBM watsonx Orchestrate」

生成AI を活用して業務をサポートし、複雑な作業を自動化・効率化するのが、IBM の AIアシスタント(エージェント型AI)「watsonx Orchestrate」です。

watsonx Orchestrate は、自然言語を用いてユーザーと様々なシステムやアプリケーションの間に入り、事前定義された「スキル」と呼ばれる自動化のタスクで外部の API を呼び出し、これまで人間にしかできなかった柔軟な処理を実行してシステム化の対象外だった日常業務を支援します。コンシェルジュのように様々な業務の相談に対応し、ユーザー一人ひとりの「アシスタント」として一緒に仕事を進めてくれます。

そのプロセスは、

  1. 相互作用する:
    ユーザーがwatsonx Orchestrateのチャット機能で対話すると、watsonx Orchestrateがユーザーの意図や要求を理解し、業務を把握する上で必要な情報を把握する
  2. 考える:
    把握した意図の実現に必要なプロセスを自動的に考える
  3. 実行する:
    必要な処理の流れを自動的に判断して実行する

というもので、自動化で求められる「相互作用する」「考える」「実行する」という人間の認知能力を watsonx Orchestrate が代替します。

watsonx Orchestrateの仕組み
図2. watsonx Orchestrateの仕組み

watsonx Orchestrateの特長とその効果

watsonx Orchestrate の特長を3つにまとめてご紹介します。

1. 自然な対話形式で操作が可能

1つ目のポイントは「自然な対話形式」です。

watsonx Orchestrate は、関連キーワードや口語を入力することで簡単にスタートさせることができます。人と話すようにチャットするだけで操作でき、ユーザーと相互作用することで双方向に対話し、必要な処理の呼び出しや次に行う処理を提案してくれます。

例えば、”経費精算をしたい” ”営業日報・議事録を作成したい” といったことをチャットで指示するだけで、watsonx Orchestrate が「業務における疑問に対して解決策を提案」し「業務を代行」してくれます。

対話型AI とオートメーション機能を備え、仕事のやり方を変革しながら生産性向上やコスト削減、アジリティ向上を実現し、大切な業務により多くの時間を割くことが可能になります。

2. 多様なアプリとの連携が可能

2つ目のポイントは、多様なアプリとの連携が可能であることです。

基幹システム、ERP、外部サービスなどに対する操作を、watsonx Orchestrate に登録した「スキル」を呼び出すことで実行します。watsonx Orchestrate では標準機能として Salesforce や Box のような「業務アプリ」がスキル・カタログに「プリビルド・スキル」として登録されているため、導入後すぐに利用することができます。
現在40のアプリケーションと1000以上のスキルを利用でき、今後も順次ラインナップの強が予定されています。

これらのスキルを組み合わせてフローとして構成したものを「スキルフロー」と呼び、スキルを組み合わせて1つの一連のスキルとして利用することができます。

また、スキルとして生成AI を呼び出すことにより、メールや申請書、議事録の文章の要約や作成などの様々な処理も実行してくれます。watsonx Orchestrate に搭載された IBM の生成AI は AI for Business を念頭にオープンソースでライトな LLM(大規模言語モデル)となっており、ビジネスユースに最適化されています。

さらに、OpenAPI に準拠したサービスと接続できるため、OpenAPI の定義ファイルを作成しインポートすればスキル・カタログに登録が無い外部アプリも「カスタム・スキル」として容易に取り込むことができ、これまで使ってきたアプリも簡単に watsonx Orchestrate上で操作することが可能です。

3. ローコード・ノーコードで簡単設定

3つ目のポイントは、「ローコード・ノーコード」で簡単に設定が可能なことです。

watsonx Orchestrate では自動化する業務プロセスを定義する際、コーディングを行うことなく処理を組み込むことができます。

例えば、複数の手続きやその変更、関連部署への連携を行うためには、複数システムの連携による業務の自動化が必要ですが、これに対してもwatsonx Orchestrateは、スキルの選択から、情報の抽出、関連部署の担当者へのメールの作成・送信まで、各業務処理の一連のワークフロー設定をすべてグラフィカルな設定画面で行うことができ、ノーコードで編集可能な GUI となっています。

わかりやすい設定画面から最小限の編集を行うことで、様々な業務処理を自動で実行するワークフローを構築することができます。

また、スキルと自動化機能を構築するための「スキル・スタジオ」を使用すれば、部門の専門家が独自のカスタム・スキルとワークフローを迅速かつ容易に構築でき、さらにカスタマイズ版の AIアシスタントを作成できるため、人事や財務、営業、調達など、企業の様々な職務に役立ちます。

まとめ

エヌアイシー・パートナーズは IBM ソフトウェアおよびハードウェアの認定ディストリビューターとして、watsonx Orchestrate だけではなく、watsonx.ai をはじめとした watsonxシリーズの支援が可能です。

お客様のニーズや要件に合わせて IBM の SW と HW を組み合わせた最適な提案へのカスタマイズを支援するとともに、IBM製品の特徴や利点をわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案をサポートいたします。

「お客様に業務自動化を勧めたい」
「watsonx Orchestrateについて詳しく知りたい」
「watsonx Orchestrateをはじめとしたwatsonxシリーズを絡めたセールスを支援してほしい」

といったご要望があれば、いつでもお気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。

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2025年12月25日

“AI を学習用ではなく事業の現場に馴染ませる”
本格的なAI時代に誕生したIBM Power11の覚悟とは?

公開日:2025-12-25 本格的なAI時代の到来で、企業にとってIT基盤の存在感はこれまで以上に重みを増しています。IBM Power11は、そうした時代の要請に応えるべく誕生した真のエンタープライズ・サーバーです。堅牢な信頼性と高い処理性能に加え、外付けカードIBM Spyre Acceleratorによって、地に足がついたAIワークロードをすぐに実装できる実用性を備えるに至っています。既に先行ユーザーは、大きな業務効率化の効果を体感しており、このサーバーは単なるハードウェアを超えて、次世代の標準基盤となる期待を集めています。 今回は、日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)テクノロジー事業本部 Powerテクニカル・セールス部長 釘井 睦和 氏をお迎えし、AI時代をリードするべくして誕生したIBM Power11の“覚悟”について伺いました。 出席者 ゲスト 日本アイ・ビー・エム株式会社テクノロジー事業本部Powerテクニカル・セールス部長釘井 睦和 氏 インタビュアー エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部テクニカル・サポート部部長 広橋 稔 本格的なAI時代の到来で、さらに重みの増すIT基盤 広橋: 経営とITが不可分となった今日、企業のお客様が直面している課題としてどのようなものがあると考えておられますか。 釘井氏: 本格的にAIの時代が到来したことが非常に大きいと思います。企業競争力の維持を図る上で、もはや、AI活用を抜きに戦略を立てられないというところまで来ています。実践段階に入ってきたこともあり、アナリスト機関IDCによれば、これからはAIエージェントが自らアプリケーションを書くようになると予測されています。その結果、アプリケーションの数は爆発的に増加し、今後10億もの新しいアプリケーションが出現すると予測され、そのうち3分の1はAIによって開発される見込みです。こうなってくると、アプリケーションを支えるインフラは、これまでにないスピードと規模でアプリケーション増加への対応と高い可用性を求められます。計画停止すら許されないミッションクリティカルな業務が増えていくことでしょう。そのような世界では、油断をするとシステムのサイロ化やデータ爆発も起きやすくなるため、その対策も必要です。 その一方で、ランサムウェア攻撃を筆頭に、セキュリティリスクも劇的に高まっており、対策強化も喫緊の課題です。だからといって、ITばかりに予算を使うわけにはいきませんから、そこはコスト最適化を図る目線も要求されます。さらに、少子高齢化社会の進行で、IT人材も確保しづらい状況が続いているため、より少ない人員でより多くのことをカバーできるかといった観点での運用効率化も恒常的なテーマとなっています。つまり、今日の企業が対峙している課題は文字どおり山積しているといえます。 広橋: 確かに、日ごろパートナー企業やエンドユーザー企業のお悩みを聞く中で、こうしたお話はよく伺います。特にAI活用については、意欲を持ちつつも、プレッシャーも感じておられるようです。 AI時代のニーズに応える真のエンタープライズ・サーバー 釘井氏: こうした中、今年登場したIBM Power11は、本格的なAI時代のニーズに応える、真のエンタープライズ・サーバーとして位置づけられています。このサーバーは、単なるハードウェアを超えたまさに“企業の中枢を支える基盤”として設計されており、Powerとして従来から定評のある堅牢性と可用性をさらに進化させつつ、計画停止をほぼ不要とする自律的な運用機能や強靭なセキュリティを標準装備しました。また、最新のDDR5メモリと強化されたI/Oアーキテクチャにより、高負荷のトランザクション処理や大規模データ解析なども余裕を持ってこなすとともに、AI推論も得意とします。IBM Power11は、企業がAI時代に向けて加速できるようIBMが考え抜いたフルスタックのイノベーションです。 広橋: IBM Power11を特徴づけるキーワードをいくつか挙げていただけますか。 釘井氏: 一つは、「0」(ゼロ)です。これは、エンドツーエンドの自動化を実現し、計画的なダウンタイムを0にする、つまり、無停止運転を可能にすることを意味します。 従来はメンテナンスウィンドウを設けて実施していたファームウェア更新、I/Oアダプタ更新、仮想化ソフトウェア更新などを、IBM Power 11ではAutomated Platform Maintenance(APM、プラットフォーム自動保守)機能として、管理コンソールであるIBM Hardware Management Console(HMC)からワンクリックまたは準自動で実行可能です。環境をチェックする更新前準備、パッチ配布、ワークロードの退避・復帰を一連のフローで自動化できるため、停止せずに更新できるというわけです。 また、運用データを横断的に集約し、watsonxですぐに実行できる提案と自動化を結びつける、アプリケーション運用向けのAIオートメーション基盤 IBM Concertがあります。Concert for Powerでは、Powerインフラの脆弱性を検出して、現行バージョンに照らして優先度をAI算定、その後に推奨手順を提示し、必要に応じて更新をゼロ計画停止で実行するところまで担います。ここでいう実行とは、HMC/PowerVMが担う処理をConcertが呼び出して一気通貫に自動実行することを意味しています。 広橋: サーバー停止は業務に支障を及ぼしかねず、利用部門や経営層からの圧力も大きいため、情報システム部門としてはなるべく回避したい運用ですから、安定して動き続けてくれるならそれに越したことはないですね。 釘井氏: はい。もう1つのキーワードは「

2025年12月24日

【イベントレポート】Automation テクニカルワークショップ第一回 開催しました

公開日:2025-12-24 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの和田です。 2025年11月26日に「Automation テクニカルワークショップ」第一回を開催しました。 本ワークショップは、2025年7月および9月に実施した「watsonx Orchestrate ハンズオンセミナー」に続く取り組みとして、IBM Automation製品群の中で弊社が注力しているAIOpsソリューションを中心に企画検討し、利用イメージがつきやすいInstanaのハンズオンを実施しました。 ハンズオンだけでなくワークショップ形式でのセッションを通じて、ITシステム運用の現場で直面する課題をどのように解決できるのか、Instanaを活用した具体的な方法を参加者同士が議論しました。また、セッションの最後には各チームごとに成果を発表・共有する場を設け、Instanaに対する理解を深めるとともに、参加者間の交流を促進することを目的としました。 本ブログでは、このテクニカルワークショップの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 ワークショップアジェンダ Instana概要 Instanaハンズオン グループワーク まとめ お問い合わせ ワークショップアジェンダ ワークショップのアジェンダについては以下の通り実施いたしました。 IBM AIOpsソリューション概要 Instana 座学 Instana ハンズオン Instana最新情報 グループワーク IBM AIOpsソリューション概要では、IBMが取り揃えているAIOpsソリューションのラインナップと利用シーンをご紹介し、その中でもお客様のROIが高いお勧めのソリューションをピックアップしてご紹介しました。 また、Instana最新情報ではIBM様にご登壇いただき、DBMarlinとの連携やAIでの監視支援、LLMのトークン数を収集できる機能など最新アップデート情報をご紹介いただきました。 Instana概要 Instanaについては過去にこちらの記事でご説明しております。 今回はInstanaのAgentを導入することからハンズオンで実施しますので、Instana Agentがどのようにデータを収集するかについてご説明します。 InstanaはAgentのセンサー機能が監視対象を自動検出してデータ収集します。 Agent自体がセンサー機能を持っているわけではなく、Agentインストール後にセンサー機能をインストールし、そのセンサー機能で各コンポーネントを検出しデータを収集しています。 Instana Agentは収集したデータをInstana バックエンド(SaaSもしくは自己ホスト)に送信します。   Instanaハンズオン Instana Agentの導入からInstanaでの情報確認、障害発生時のエラー発生箇所確認をハンズオンで体験頂きました。 実施内容 環境の説明/ログイン Instana Agentのインストール インフラストラクチャー情報確認 アプリケーション設定/アプリケーション情報確認 アラートチャネル作成/アラート設定 障害注入/エラー発生箇所確認   今回のハンズオンではサンプルアプリケーションを導入してあるサーバーを参加人数分ご用意したので、参加者の方々全員がInstana Agentの導入を体験いただけました。 ハンズオンではInstana Agentの導入を行うためCLIでサーバーにログインいただきました。 普段CLIを利用されないかたもいらっしゃったのでログインに苦戦された方もいましたが、AgentのインストールはLinuxの場合ワンライナーで導入できるため、Agent導入はスムーズに行えてました。 実際にAgent導入したサーバの情報やアプリケーションの情報をみていただくことで、Instanaではどういった情報が表示されるのか、どういった操作感なのかを体験していただけました。 また、サンプルアプリケーションにエラーを発生させるスクリプトもご用意しましたので、実際にエラーが起きた場合正常時と比較しどのように見えるか、アラート設定をした場合、どのような通知がくるのかを体験いただきました。 その他のハンズオンについて詳しく知りたい方は、ブログの最後に記載している「お問い合わせ」までお気軽にご連絡ください。 グループワーク 今回、ハンズオンだけでなくITシステム運用の現場における課題を洗い出し、それらの課題を解決する手段としてInstanaがどう使えるかという観点でチームに分かれてグループワークを行いました。 1チーム4,5人の合計3チームに分かれてNI+C Pメンバーがファシリテートしながらアイディア出し・ディスカッションを行いました。 当日上がった課題及びInstanaを活用することで改善できることをいくつかピックアップします。 運用の属人化がおきている 障害原因の特定までをInstanaがガイドしてくれるためどんな人でも対応できる ログの分析に時間がかかる Instanaの画面上でログの確認・分析ができるため時間短縮できる ご参加して頂いたパートナー様が携わっていらっしゃる業務や、業務の経験年数が異なることより多様な意見が出ておりました。 アドバイザーで参加いただいたIBM様も含め、各チーム貴重な意見交換をできるグループワークとなりました。 グループワークの感想について、「他の会社の意見が聞けてよかった」や、「Instanaを利用するシーンがより理解できた」といったような意見をいただきました。 まとめ このたび、Automation製品に関する初めてのワークショップを無事に開催することができ、安堵しております。 ご参加いただいた皆様からのアンケートでは、「はじめてInstanaに触れましたが、実際に障害が発生した際の挙動を見ることができたうえ、他社の方々との交流や意見交換の機会もあり、大変有意義な時間となりました」とのご意見をいただきました。このようなお声をいただけたことで、準備を重ねてきた甲斐があったと感じ、心より嬉しく思っております。 今後も、製品を実際に体験いただけるハンズオンや、参加者同士が交流・情報共有を行えるワークショップを継続的に開催してまいります。ご興味ある方は是非ご参加いただけますと幸いです。 また、「こんなことをやってほしい」「この製品を使ったワークショップをお願いしたい」といったご要望がございましたら、ぜひお気軽にお聞かせください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

2025年12月24日

【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateでAIエージェント開発してみた(Part1)

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 8月は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx OrchestrateのADKを使ってみた」でADKの操作感や感想をご紹介しました。今回は、2025年6月のアップデート後のwatsonx OrchestrateのUIからエージェントを開発し、操作感や感想を2回に分けてご紹介いたします。なお、Part2ではエージェントのデモ動画もご紹介する予定ですのでぜひご期待ください! 目次 はじめに サンプルエージェントのシナリオ サンプルエージェント開発 さいごに お問い合わせ はじめに 6月のアップデートで、watsonx Orchestrateはメニュー構成・操作方法・機能名称が変更されました。例えば、従来「Skill」と呼ばれていたものが「Tool」に変更されています。Toolとは、AIエージェントが呼び出して実行するアクションの部品と考えて頂ければと思います。ユーザーがチャットへ自然言語で問い合わせると、AIエージェントは内容に応じて適切なツールを選択して実行します。これにより、生成AIによる要約や抽出などのテキスト処理だけでなく、外部システムやサービスと連携した処理も行うことができます。 その他の変更点については、「【イベントレポート】watsonx Orchestrate テクニカルワークショップ第一回 開催しました」内でもご紹介していますのをご参照ください。 サンプルエージェントのシナリオ サンプルエージェントのシナリオは、企画担当者が在庫商品を参照し、在庫情報に基づいて顧客へキャンペーンメールを送信する作業を想定しています。 通常は、担当者が在庫情報を確認するためにデータベースへログインし、目視でキャンペーン対象商品を選定したうえでメールの文面を作成することが想定されます。キャンペーンメール送信対象はSFAなどのシステムで確認し、メールツールを利用して送信します。振り返ると、データベース・SFA・メールツールと複数のシステムを利用し、対象商品の選定やメール内容を人力で考える必要があるため、作業は煩雑で時間と労力を要します。 watsonx Orchestrateを導入すると、AIエージェントが在庫情報と顧客情報の取得し、在庫の多い商品のキャンペーンメール文面をAIが作成し、メールの作成・送信までを一気通貫で実行することが可能です。 サンプルエージェントの開発 それではサンプルエージェントを開発します。開発ではIBM Cloud 上の watsonx Orchestrate、メールツール(Brevoに弊社アカウントを紐づけて利用)、SFA の Salesforce(弊社 Sandbox 環境)を利用します。 本記事Part1では図のピンクで囲った部分「Salesforceから顧客情報を取得」と「在庫情報の取得」をご紹介いたします。 watsonx Orchestrateへログイン・環境のご紹介 watsonx Orchestrateへのログイン方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx Orchestrateを使ってみた(Part1)」をご参照ください。ログインすると下記のチャット画面に入ります。作成したAIエージェントをデプロイすると、このチャット画面から問い合わせをすることができます。 左上のメニューバーをクリックします。一番上の「Chat」をクリックすると前述のチャットインターフェース画面に遷移します。「Discover」をクリックするとwatsonx Orchestrateに事前定義されたエージェントやツールのカタログをみることができます。 「Discover」内の事前定義エージェント、ツールを簡単にご紹介します。TypeをAgentsに絞ります。事前定義エージェントとは、特定のシステムとの接続が定義されたエージェントが提供されており、環境接続設定を行うとすぐ利用することが可能です。(watsonx Orchestrateのプランによっては追加費用がかかるエージェントがございます。) TypeをToolsに絞ると特定システムで利用できるツールが提供されています。下記画面はSalesforceで利用できる事前定義ツールの一覧です。今回はSalesforceから顧客情報を取得するため「List accounts in Salesforce」と「List contacts in Salesforce」のツールを使用します。ツールの機能は下記になります。 List accounts in Salesforce:ユーザーの入力に基づき、Salesforceからアカウント情報を表示 List contacts in Salesforce:ユーザーの入力に基づき、Salesforce からアカウントの連絡先を表示 Salesforceとの接続設定 Salesforceの事前定義ツールを用いてエージェントが顧客情報を取得できるようにするため、はじめにSalesforceとの接続設定を行います。 1. Salesforce側設定(コンシュマー鍵と秘密鍵の生成) Salesforceへログインし、設定>外部クライアントアプリケーション>外部クライアントアプリケーションマネージャーをクリックします。コールバックURLは「https://ご使用リージョン/mfe_connectors/api/v1/agentic/oauth/_callback」と設定します。OAuth範囲は下記画面の通りを設定します。 コンシュマー鍵と秘密鍵をクリックし、生成されたコンシュマー鍵と秘密鍵をメモをしておきます。Salesforceの設定は以上です。 2. watsonx Orchestrate側設定(接続設定と接続確認) watsonx OrchestrateのメニューからManage>Connectionsをクリックします。 接続設定の一覧が表示されるのでSalesforceを探し、鉛筆マークをクリックします。 下記画面が表示されます。Draft環境、Live環境と環境を分けて設定することができます。今回はDraftで設定します。各項目には以下を値を入力します。 Server URL:Salesforce環境のURL TokenURL:Salesforce環境のURL/services/oauth2/token Authorization URL:Salesforce環境のURL/services/oauth2/authorize ClientID:Salesforceで取得したコンシュマー鍵 Client Secret:Salesforceで取得した秘密鍵 下にスクロールし、Credential typeを選択します。Member credentialsにするとユーザーは個人の認証情報を使用してアプリケーションにアクセスできます。ここではTeam credentialsにし、チームメンバーが資格情報を使用してアプリケーションにアクセスできるようにします。最後にConnectをクリックします。 Webブラウザが開き、Salesforceのログイン画面が表示されます。ユーザ名、パスワードを入力してログインします。 watsonx Orchestrateの画面に戻り、Connectedとなっていることを確認しSaveします。 下記の様にConnectされている状態で緑のチェックがついていることを確認します。 Salesforceとwatsonx Orchestrateの接続設定は完了です。 Salesforceの事前定義ツール構成 それではエージェントを作成し、Salesforceから顧客情報を呼び出すツールをエージェントに構成していきます。 メニューのBuildをクリックします。 Create agent +をクリックしてエージェント作成画面に入ります。 Nameには任意のエージェント名、Decriptionはエージェントの説明を入力します。最後にCreateをクリックします。 下記画面が表示されます。エージェントが使用するモデルを選択します。2025年12月時点はllama-3-2-90b-vision-instruct(Default)、llama-3-405b-instruct、GPT-OSS 120B-OpenAI(via Groq)が利用できます。Agent Development Kitからは外部のLLMを紐づけることも可能です。弊社環境はgpt-oss-120bを紐づけています。今回はGPT-OSS 120B-OpenAI(via Groq)を指定します。 下にスクロールします。Welcomeメッセージとクイックスタートプロンプトを設定することができます。今回はデフォルトのままにします。 Agent Styleを設定することができます。Agent styleとはユーザの要求に対してどのように理解、決定、タスクを完了するか定義するものです。現在は DefaultとReActの2種類から選択することができます。今回はDefaultを指定します。 なお、Voice modalityではユーザとのコミュニケーションに音声を利用することができますが、今回は利用しません。 KnowledgeはエージェントでRAGを実装することができます。後程設定します。 エージェントが使用するツールを設定します。Toolset欄のAdd tool+をクリックします。 以下画面が表示されるのでCatalogをクリックします。 Appsの中からSalesforceにチェックを入れます。右側にエージェントが使用できるSalesforceのツール一覧が表示されます。 List accounts in Salesforceを選択しAdd to agentをクリックします。同様にList contacts in Salesforceも追加します。 Toolsetの画面に戻ると以下の様にツールが登録されています。 Behaviorのセクションまで下にスクロールします。Behaviorではエージェントがユーザの要求に対してどのように反応し、応答するか振る舞いを定義します。以下のように振る舞いを定義します。 ここまで設定したところでエージェントの動きを確認します。検証ではデプロイはせず右画面のPreviewから確認したいと思います。 チャットに「アカウントリストを教えて」と入力します。しばらくするとエージェントが登録したList accounts in Salesforceを使用してSalesforceからアカウント情報を取得、回答してくれました。(企業名は検証用に疑似的に作成しています) 次に担当者の連絡先を知りたいので、チャットへ「D&Gソリューションのコンタクトリストを表示して」と問い合わせます。しばらくすると、エージェントが指定した企業名をキーに「List contacts in Salesforce」を実行し、担当者名と連絡先を回答してくれました。このように、ツール自体はSalesforceからアカウント情報やコンタクトリストを取得する機能ですが、チャットで指定した企業名をキーとして、エージェントが絞り込んで回答することができます。 Salesforceの事前定義ツールの構成は完了です。 Knowledgeの構成 エージェントが在庫データから情報検索できるようにKnowledgeを構成します。2025年12月時点、構成できるデータソースはwatsonx.dataのMilvus、Elasticserch、AstraDB、カスタムサービス、watsonx Orchestrateへ直接アップロードの6つです。ここではサンプルのCSVファイルを用意し、直接watsonx Orchestrateへアップロードします。 Knowledgeセクションまでスクロールし、Add source +をクリックします。 New knowledgeをクリックします。 Select sourceからUpload filesを選択してNextをクリックします。 CSVファイルをドラッグアンドドロップしてNextをクリックします。 NameにはKnowledgeの任意の名前を、Descriptionにはユーザーからどのような要求でKnowledgeを使用するかを入力します。最後にSaveをクリックします。 下記画面の通り、Knowledgeが作成されました。 PreviewからエージェントがKnowledgeを使用して回答できるか確認します。チャットから「在庫情報を表形式で回答して」と問い合わせると下記画面のようにKnowledgeのCSVファイルデータを参照して表形式で回答されました。 矢印をプルダウンすると参照先を確認することができます。 行数が多いため、「在庫の多い上位5件を表形式で回答して」と問い合わせます。しばらくすると数量の多い上位5件の商品を表形式で回答してくれました。在庫一覧の提示だけでなく、ユーザーの要求から、情報を絞り込んだ回答も可能であることが確認できました。 Knowledgeの構成は完了です。 さいごに Part1ではAIエージェントを作成し、Salesforce環境へ接続して事前定義ツールを用いて顧客情報を取得。さらに、在庫データをKnowledgeに構成してRAGを実装しました。 今回はSalesforceの事前定義ツールとして「List accounts in Salesforce」と「List contacts in Salesforce」を構成しました。各ツールはアカウントやコンタクト情報をリストする機能ですが、List accountsの結果をAIが受け取り、ユーザーが特定の企業を指定すると、その企業のコンタクト情報を回答できることが確認できました。また、Knowledgeでは在庫データを表形式で提示するだけでなく、在庫の多い上位5件の抽出などの絞り込みも可能で、エージェント的な振る舞いを確認できました。 Part 2では、在庫の多い商品を基にAIがキャンペーンメールを作成し、コンタクト宛に送信する機能をエージェントへ実装したいと思います! お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 技術企画本部 E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp     .bigger { font-size: larger; } .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .table { border-collapse: collapse; border-spacing: 0; width: 100%; } .td { padding: 10px; vertical-align: top; line-height: 1.5; } .tbody tr td:first-child { font-weight: bold; width: 20%; } .tbody tr td:last-child { width: 80%; } .ul { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .ol { margin: 0 !important; padding: 0 0 0 20px !important; } .tr { height: auto; } .table { margin: 0; } *, *:before, *:after { -webkit-box-sizing: inherit; box-sizing: inherit; } .html { -webkit-box-sizing: border-box; box-sizing: border-box; font-size: 62.5%; } .btn, a.btn, button.btn { font-size: 1.6rem; font-weight: 700; line-height: 1.5; position: relative; display: inline-block; padding: 1rem 4rem; cursor: pointer; -webkit-user-select: none; -moz-user-select: none; -ms-user-select: none; user-select: none; -webkit-transition: all 0.3s; transition: all 0.3s; text-align: center; vertical-align: middle; text-decoration: none; letter-spacing: 0.1em; color: #212529; border-radius: 0.5rem; } a.btn--orange { color: #fff; background-color: #eb6100; border-bottom: 5px solid #b84c00; } a.btn--orange:hover { margin-top: 3px; color: #fff; background: #f56500; border-bottom: 2px solid #b84c00; } a.btn--shadow { -webkit-box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); box-shadow: 0 3px 5px rgba(0, 0, 0, .3); }

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