2023年12月

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サイバーセキュリティ専門家の人材不足を解決する次世代型セキュリティスイート「IBM Security QRadar Suite」

サイバーセキュリティ専門家の人材不足が一層深刻化し、優秀な人材の確保および定着がこれまで以上に重要になっています。

今回は、これらサイバーセキュリティ専門家の人材不足がもたらす企業のセキュリティ対策の課題と、その解決策となる次世代型セキュリティスイート「IBM Security QRadar Suite」をご紹介します。

ランサムウェアをはじめとした身近に迫るセキュリティ脅威

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のセキュリティセンターは、毎年前年に発生したセキュリティ事故や攻撃の状況などから IPA が脅威候補を選び、その中より企業の実務担当者などからなる約200名のメンバーが選出する「情報セキュリティ10大脅威」を発表しています。

2023年3月に発表された「情報セキュリティ10大脅威 2023」*1 によれば、「組織の脅威候補」の1位は前年に続き「ランサムウェアによる被害」でした。
ついで前年3位から2位に浮上した「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」、前年2位から3位に落ちた「標的型攻撃による機密情報の窃取」と続いています。

順位の変動はあっても、この上位3つの脅威は依然として不動です。
特にランサムウェアの脅威は継続しており、システム停止やサプライチェーン全体への影響を与えるようなインシデントが発生し続けています。

また、昨今はクラウドサービスの利用も一般的になってきています。
サイバー攻撃の多様化に加え「クラウドの停止」「クラウドの仕様変更」など、クラウドサービスへのサイバー攻撃を想定したオンプレミス環境+α のセキュリティ対策も必要となります。

*1. 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター「情報セキュリティ10大脅威 2023」

高度なスキルと専門性を持った「サイバーセキュリティ専門家」の不足

セキュリテイ対策のさらなる強化が必要となる中で、企業や組織はセキュリティチームのスキル不足に直面しています。
つまり、高度なスキルと専門性を持った「サイバーセキュリティ専門家」の不足です。

サイバーセキュリティ専門家資格の非営利団体である ISC2 が毎年実施しているグローバルサイバーセキュリティ人材調査「ISC2 Cybersecurity Workforce Study」の2023年版「Cyber Workforce Study 2023」*2 によれば、2023年の世界のサイバーセキュリティ労働力の規模は2022年からは8.7%増加し(日本は、前年比 24% という急速な成長)、過去最高水準となるおよそ550万人に上るものの、同時にさらに400万人の高度なスキルと専門性を持った「サイバーセキュリティ専門家」が必要になると推定しています。

一方、日本国内の ISC2会員を対象に2023年4月に実施した2023年版「サイバーセキュリティ人材に関するパルスサーベイ」*3 の調査結果では、66%の回答者が脅威のランドスケープの現況は過去5年間で最も厳しいものと認識しています。
また、回答者の約半数(48%)が、不安定な経済状況下において自身の所属する組織のサイバーセキュリティチームが持つ企業・組織の安全を維持するための能力に懸念を示唆しています。

これらの回答者が組織におけるスキルギャップが存在すると感じている分野の上位には、「クラウドコンピューティングセキュリティ」「リスク評価・分析・管理」「脅威インテリジェンス分析」「デジタル・フォレンジック、インシデントレスポンス」「AI」が挙がっています。

また、急激に普及する人工知能(AI)によって、導入すべきソリューションと直面する脅威の両方が変化する状況もこれに拍車をかけています。

それにもかかわらずサイバーセキュリティチームおよびサイバーセキュリティのリーダーや専門家は、人員削減や予算削減の施策にも対応を強いられているのが現状です。

Icon

*2. ISC2 CYBERSECURITY WORKFORCE STUDY「How the Economy, Skills Gap and Artificial Intelligence are Challenging the Global Cybersecurity Workforce 2023」

ダウンロード(PDF 3.3MB)

*3. 出典:PR TIMES「ISC2、サイバーセキュリティ人材の需給ギャップに関する調査結果を発表:日本のサイバーセキュリティ人材が48万人強に増加した一方、未だ11万人に及ぶ記録的な人材不足に陥っていることが明らかに

複雑なIT環境が脅威の迅速な把握と封じ込めを困難に

DX の推進や新型コロナへの対応によるワークスタイルの変化はクラウドサービスの利用を急拡大させるとともに、複数の異なるコンピューティング環境を組み合わせて利用するハイブリッドクラウドや IoT によるネットワークを通じたモノとの相互の情報交換などが入り組んだ複雑な IT環境を作り出しています。

そこでは従来のように社内外のネットワークの境界で脅威の侵入を食い止めようとする方法が通用せず、脅威の迅速な把握と封じ込めを困難にしています。

サイバー攻撃はそこに付け込み、攻撃対象をテレワーク環境下のエンドポイントやクラウド、さらに関係会社や関連会社を含めたサプライチェーン全体にまで拡大しています。
手法もフィッシングや不正ログイン、脆弱性を突いた不正侵入など、巧妙化が増す一方です。

しかも攻撃側は組織化し、高度な知識とスキルを備えた多数のハッカーと最先端のサイバー攻撃ツールでサイバー攻撃の手法を進化・洗練化させているため、サイバー攻撃では攻撃側が圧倒的に優位なことも攻撃を防ぐのを難しくしています。

一方防御側である企業や組織は、対策に割ける人材や資金に限りがあるだけではなく技術面での対抗や怪しいメールの開封防止など、人為的なリスクにも対応しなければなりません。
これはまさに反撃の方法がないワンサイドゲームで、ひとたび不正侵入されれば密かに攻撃の足場が築かれ、そこから情報流出が継続する恐れもあります。

企業や組織は、社会的な信頼やブランド価値の損失、賠償の発生、原因追及や対応のための事業の停止など、甚大な被害を想定してセキュリティ対策に臨む必要があるといえるでしょう。

その打開に向けて重要となるのが「脅威の侵入を前提としたセキュリティ対策」です。

統制された最新セキュリティスイート「IBM Security QRadar Suite」

高度なセキュリティ分析と即時の対応を実現し、迅速かつ正確、そして効率的に脅威を発見し企業を守ることに特化することでセキュリティ担当者を支援するのが、統合型セキュリティ・インテリジェンス・ソリューション(脅威検知・対応スイート製品)「IBM Security QRadar Suite(以下 QRadar Suite)」です。

QRadar Suite は、管理GUI を提供する共通コンポーネント「Unified Analyst Experience(UAX)」を中枢に以下の機能を提供しています。

  • エンドポイントエコシステム全体の状況を詳細に把握できる「QRadar EDR」
  • 膨大な量のログやイベントを一元的に管理しリアルタイムに分析し脅威を発見する「QRadar SIEM」
  • セキュリティインフラ全体の自動化とオーケストレーションを支援する「QRadar SOAR」
  • 統合的にログ管理を行いそのログを高速検索することでセキュリティ・アナリストの作業負荷を軽減する「QRadar Log Insights」

QRadar Suite を活用することで、リアルタイムの脅威検知や膨大なデータの効率的な解析、自動化された対応、セキュリティイベントの可視化など、効果的なセキュリティ運用を支援して企業のセキュリティリスクを大幅に低減できます。

IBMの脅威対策ソリューションQRadar Suite
図1. IBMの脅威対策ソリューションQRadar Suite

SoCにおけるセキュリティインシデント対応を効率化する統合ログ検索ソリューション「UAX」

セキュリティインシデントの調査を自動化し推奨する対処の内容も提示することで、人材不足に対応するとともに複雑な環境でもログを集約せず迅速に情報を収集できるのが、統合ログ検索ソリューション「Unified Analyst Experience(UAX)」です。

UAX は、QRadar Suite にバンドルしスイートを構成する各種ツールに共通する統合ログ検索ソリューションとし、SoC *4 におけるセキュリティインシデント対応を効率化します。

セキュリティ分析担当者の声を反映して機能強化した分析のアウトプットは、相関分析から脅威を検出して優先度を提示するだけではなく SOAR と連携することで、これまで人力で行っていた調査と対応を自動化し推奨する対処の内容も提示します。

*4. SoC(Security Operation Center):
24時間365日体制でネットワークやデバイスを監視し、サイバー攻撃の検出や分析、対応策のアドバイスを行う企業内に設置されたセキュリティ部門やチーム。

脅威の早期発見およびインシデント対応を自動化する「SIEM/SOAR」

QRadar SIEM

ネットワーク機器や UTM などのセキュリティ機器で発生する膨大な量のログを一元的に管理しリアルタイムに分析をすることで、巧妙に潜んだサイバー攻撃の可能性を可視化するのが「QRadar SIEM」(セキュリティ情報イベント管理)です。

QRadar SIEM は収集しながら分析を行う専用の「相関分析」エンジンを持っており、リアルタイムで異常な行動や攻撃を検出できるのが大きな特長です。

また UBA(User Behavior Analytics:ユーザー行動分析)や NTA(Network Traffic Analysis:ネットワークトラフィック分析)など、機械学習に対応した検知エンジンを App Exchange から追加ライセンス費用なしで提供しており、ルールでは見つけにくい内部関係者やなりすましの脅威に対応するための検知ロジックを利用することも可能です。

QRadar SOAR

セキュリティ管理者を忙殺している定型的なタスクを自動処理するとともにセキュリティインフラ全体のオーケストレーションを可能にし、サイバーセキュリティ対策の人材不足を解消し、生産性を向上させるのが「QRadar SOAR」(セキュリティ運用自動化)です。

QRadar SOAR は SIEM が特定した高精度のアラートへの対応を編成して自動化し、脅威の是正に関する洞察を提供します。

インシデント対応ワークフローの自動化およびオーケストレーションを支援し、プロセスを最適化して測定可能な方法で実行されるようにすることで、脅威の見逃しやミスを防ぎます。
その結果、処理できるインシデント数が増えるだけではなく重要性の高い問題のより深い調査も可能になり、組織全体のセキュリティ体制を広く強化することができます。

エヌアイシー・パートナーズにお任せください

エヌアイシー・パートナーズは、IBMソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、QRadar Suite をはじめとする IBM製品に関するパートナー様のビジネスを強力にサポートいたします。

「お客様のニーズや要件に合わせてIBMのSWとHWを組み合わせた最適な提案がしたい」
「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」
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といったお悩みをお抱えの方は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。

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2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で企業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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