2023年06月

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【イベント参加レポート】「IBM Think 2023」に参加してきました!

こんにちは。
てくさぽBLOGメンバーの佐野です。

海外で開催されたイベント「IBM Think 2023」に参加してきました。
久しぶりの海外出張なので、移動も含めてレポートしていきます。

IBM Thinkとは

IBM Think」はIBMが年次で開催するテクノロジーとビジネスソリューションにフォーカスしたグローバルなフラッグシップイベントです。
コロナ禍のためオンサイトでの開催は2020年、2021年の2年間中止していましたが2022年から小規模に再開をし、今年は2022年に比べて少し規模を大きくした開催となりました。

2023年度のイベントが「IBM Think 2023」となり、今年は5月9日から11日までの3日間、アメリカ合衆国のフロリダ州オーランドで開催されました。

IBM_Think2023

IBM Think では基調講演内で IBM の CEO から最新の動向や IBM の進む道、新たな製品発表などが行われます。また、AutomationやSecurityといったカテゴリ毎の基調講演もあり、それぞれのより詳細な内容を聞くこともできます。

基調講演だけではなく個別のセッションや多数のゼネラルセッションもあるので、今後の動向や今現在何ができるかを把握しておきたい分野・ソリューションについてより深く知ることができるイベントです。

出発

Think会場のあるオーランドへは日本からの直行便はありません。そのため、アメリカ国内で飛行機を乗り換える必要があります。
今回は羽田からワシントンDC経由でオーランドへ向かいます。

出発日は大雨で羽田空港に向かう電車が遅れていましたが、GW明け直後だったためか空港内は閑散としておりスムーズに出国手続きをすることができました。

羽田:5月8日(月)10:55 → ワシントン:5月8日(月)10:35
所要時間 12時間40分(時差13時間)

飛行機の中ではあまり寝られなかったので時差ボケが心配ですが、無事に定刻でワシントンへ到着。

入国審査の税関では疲れのせいか英語があまり聞き取れず何度も聞き返してしまったために係員がかなり不機嫌でした…(笑)
が、印刷しておいた飛行機の予約やホテル情報を渡してなんとか無事通過できました。

ワシントンでの乗り換え時間は約2時間取っていましたが、入国がスムーズだったため余裕を持って乗り継ぎの時間に間に合いました。

ワシントンでの乗り換え

空港に着いてふと気づいたのですが、アメリカではマスクをしている人はほとんどおらず、付近でマスクをしているのは日本人っぽい人たちだけ。日本とはマスクに対しての意識が全く違うなぁと感じました。

ここまでくれば目的地まであと少しです。オーランド行きの飛行機に搭乗します。

ワシントン:5月8日(月)12:44 → オーランド:5月8日(月)15:04
所要時間 2時間20分

その後トラブル無く定刻でオーランド空港に到着!
リゾート地なので空港の雰囲気がほかの空港とも全然違います。

オーランド空港

滞在するホテルまでUberを使って20分ほどで到着し、ひとまず一安心です。

少し部屋で休憩をし、イベント会場で参加登録を行ってからイベント前日夕方から開催されているウェルカムレセプションへ。

Thinkレセプション

日本時間では真夜中を過ぎそろそろ朝になる時間ですが、外が明るいので物凄く眠たいということはなく、他に日本から来ている方々とご挨拶させて頂き歓談を楽しみました。

その日の夜はぐっすり眠れる・・・わけもなく、まとまって眠れたのは3時間程度でした。。。

IBM Think 2023イベント

さぁ、ここからがイベント本番です!

Think 2023 の初日は IBM CEO である Arvindさんの基調講演からスタート。
この講演の目玉は「watsonx」の発表でした。

watsonx

既にメディア各社で基調講演の概要がまとめられているので詳細は割愛しますが、watsonx について一言でいうと、企業向けに ChatGPT のような機械学習モデルをカスタマイズして利用するためのプラットフォームです。

私自身 ChatGPT(3.5)を時々使っていますが、社内の情報は当然答えてくれないので聞けませんし、入力情報を学習に使われてしまうという情報漏洩のリスクがあり機密情報を入れてはいけないという会社のガイドラインもあるため、当たり障りのないことしか聞けません。

しかし、モデルを自社用にカスタマイズし動かす場所を自分で決められるようになればこのような懸念がなくなるので、仕事で使える場面がかなり増えそうだという期待を感じます。

watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.data」「watsonx.governance」の3つの製品に分かれています。

  • watsonx.ai:
    AIモデルのトレーニングやチューニングを行います。
  • watsonx.data:
    AIモデルの学習に使うためのデータを整備します。
  • watsonx.governance:
    運用しているAIモデルをモニタリングし、モデルのライフサイクル管理や信頼性を管理しコンプライアンスを遵守しリスクを緩和します。

このように、watsonx を利用することで自社でAIモデルを開発し運用を効率的に実施できるようになります。

watsonx3種類

watsonx以外にもこれから出荷開始となる製品がセッション内で紹介されていたり展示会場内のブースがあったりしたので、出荷前にどんな製品なのかを知ることができました。

最近の IBM はまず SaaS でリリースした後にソフトウェア版を提供するという順番となることが多いです。
一般的にも製品の初期バージョンは改良すべき点が多いため、メーカー側で製品を改善しやすいSaaSから提供開始となるのはユーザーにとってもいいことですね。

イベント開催に伴い展示会場もオープンになっています。

展示会場

従来の展示会場と比べると控えめな大きさでしたが、基調講演で発表があったwatsonxの展示スペースは初日、たくさんのお客様で大盛況でした!

レゴで作ったサーバーがあったりスケルトンのIBM z16があったりと、普段は見られないものが設置されているのもイベントならではです。

レゴ1つめ
レゴ2つめ

イベント期間中の朝食・昼食はセルフ形式なので、自分の体調やお腹の具合に応じて食べるものや量を調節できます。朝食にはこんなものが置いてあります↓

朝食

イベント最終日前日(5/10)の夜は、ユニバーサルスタジオのパークを1つ貸し切ってのパーティーです!

ユニバーサルスタジオでのパーティー1
ユニバーサルスタジオでのパーティー2

ところどころにIBMのロゴがプロジェクションされ、貸し切りであることを実感できスケールの大きさに感動しました。

帰国

Think2023は5月11日の午前中で終わりなのですが、当日の帰りの飛行機が取れなかったため、帰国は翌日の5月12日になりました。

帰りはオーランドからシカゴ経由で羽田へ向かいます。

オーランド:5月12日(金)7:30 → シカゴ:5月12日(金)9:33
所要時間 3時間3分(日本とは14時間の時差)
※オーランドは東部時間ですが、シカゴは中部時間のため1時間の時差があります

飛行機の乗り継ぎ時間の確保のため早朝の便になってしまい、ホテルの出発時間は朝の5時…
前日の夜にUberで予約ができるのは非常に便利で助かります!

朝早かったこともあるのか、空港内の人は少なめです。搭乗手続きもすんなり終えることができました。

帰国日の朝食

これからの移動も長いので、オーランド空港で朝ごはんです。

シカゴ:5月12日(金)13:10 → 羽田:5月13日(土)15:55
所要時間 12時間45分

シカゴ空港内で迷ったこと以外は特にトラブルも無く、ようやく帰国便への搭乗です。

羽田行き

帰国便は偏西風に乗れないので行きに比べて1時間ほど時間がかかりますが、ワシントンよりシカゴの方が日本に近いため所要時間はあまり変わりません。
しかし、単純に移動時間が長いので長距離移動は疲れます…

無事に羽田空港へ到着し、帰宅のための電車に乗ることができました。

羽田から京急

帰宅した後2時間ほど仮眠をとったのですが、起きたら真っすぐ歩けない状態!
それほど疲れていたとは自分でも思っていなかったのでびっくりしました。

まとめ

今回のイベントの目玉は新しく発表があった「watsonx」です。
出荷開始は7月とのことなので情報はこれから徐々に入ってくると思いますが、最近の流行りであるGenerative AIを企業向けに使いやすくするためのIBMらしいソリューションだなぁと感じました。
また基調講演内でもメッセージがありましたが、これからどんどんAIを活用したソリューションが出てくるので、個人的には楽しみです。

watsonx以外にも、サステナビリティーソリューションである Envizi や XDR を含めたセキュリティソリューションスイートである QRadar Suite のような、今後の展開が楽しみな製品がありました。
これら最新の IBMソリューションがどういう場合に使えるものなのかをしっかり理解して状況に応じて適切なものをご提案できるよう、引き続き情報収集していきます!

以上、「IBM Think 2023」参加レポートでした。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部

E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp

 

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2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で起業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月30日

APMとARMのシームレスな連携で効率的な統合アプリケーション運用管理を実現する ~Instana+Turbonomicのシナジー~

公開日:2025-06-30 ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下においては、アプリケーションスタックが複雑化し、分散され、流動的となり、それがアーキテクチャーと、正しい設計および変化する需要に対応できる十分なリソースの提供を難しくしています。 複雑化したIT環境で、システムの正常性やパフォーマンスリスクに対応するためには、アプリケーションの運用管理において、アプリケーションとインフラ両方の情報を一元管理します。そして、統合的に参照することができ、システムの変調を見逃さない高度な可観測性を実現するアプリケーションの運用の高度化が重要となります。 本コラムでは、アプリケーションパフォーマンス監視(APM)ツール「IBM Instana Observability」(以下 Instana)とアプリケーション・リソース管理(ARM)ソリューション「IBM Turbonomic」の連携で生まれる、統合アプリケーション運用管理の相乗効果について紹介します。 目次 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 6. まとめ お問い合わせ 1. 複雑化したIT環境に求められるAPMによる可視化とアプリケーションの運用高度化 アプリケーションの稼働環境がオンプレミスだけでなくクラウド環境へ拡大しています。クラウド上では様々なクラウドネイティブなサービスが稼働しており、それを利用することはコスト面・スピード面で必然となっています。しかし、クラウドネイティブ環境が増え続けることで複雑化しがちであり、そのような複雑なクラウドネイティブ環境の運用監視をいかに効率的に行うか、がビジネスにおいて大きな課題となっています。 システムを構成するハードウェアとソフトウェアが正常に稼動しているかについて、個々の状態を把握することに主眼がおかれた従来型モニタリングは、ハードウェアの障害やソフトウェアの異常を素早く検知することに役立つ一方で、ハードウェアの故障やサービスの停止をともなわないアプリケーションの性能低下などが検知することが難しく、原因の特定に非常に多くの時間がかかります。 また、従来型モニタリングの多くは、各環境で利用されている言語やプログラムにあわせた事前の導入と構成・設定が必要なだけではなく、サービス間の依存関係が把握できず、固定の閾値を超えたかどうかの確認しかできないため、ダイナミックに変化しつづけるクラウドネイティブ環境に追随していくことは困難です。 これに対して、アプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題が発生した際に迅速に検知し、解決するのが、アプリケーションパフォーマンス管理(Application Performance Management: APM)による「アプリケーションの運用高度化」です。 APMにより、アプリケーションが本番環境で正常に動作していることをモニタリングして、システムやアプリケーションが利用者に提供している「サービスの品質」と「システムの状態」を可視化し、トランザクションのパフォーマンスの状態を測定するのが可能になります。 IBMのAPMツール「Instana」は、「自動化」「コンテキストの把握と解析」「インテリジェントなアクション」の特長を持ち、デジタルプラットフォームの効率的な管理および迅速な障害個所の特定など、クラウドネイティブ環境の可視化を実現しアプリケーションの可用性向上に貢献します。 2. アプリケーションリソース管理の課題を解決するARMの活用 一方、アプリケーションが安定したパフォーマンスを提供し続けるには、アプリケーションがユーザからのリクエストを処理するため必要なリソースを確保することが前提条件となります。 そのためには、適切なリソースを割り当て、必要に応じて増減させる管理をする必要があります。その上で、利用者の要望を実現する高度な機能とストレスのない使いやすいUX/UIの提供、24時間365日無停止での安定したサービスの継続、急激なアクセスの増加にも耐える拡張性や俊敏性が求められます。さらには、システム上で実行されるアプリケーションが、事前に定義されたセキュリティポリシーやルールに完全に適合していなくてはなりません。 しかし、アプリケーションスタックが複雑化し、ワークロードが変化しつづけるハイブリッド・クラウド環境下で、従来のインフラ中心のアプローチや手動ツールを使った人手主体の管理や監視手法だけで24時間365日アプリケーションリソースを維持管理し、適切なリソースを予測し確保し続けることは非常に困難です。 また、リソース不足にならないように、必要以上の余剰な CPU/メモリ/ディスクなどのサーバリソースを持たせることは、コスト面で大きな負担となります。さらに、多頻度のリリースに対応しうる高速・高効率で、継続的な品質担保に対応することが求められる一方で、高スキルのIT人材が、慢性的に不足していることも現状の管理体制の大きな負担となっています。 これに対して、コンピュートリソースの不足を早期に把握し、最適化を行い人手をかけずに適切な意思決定を適切なタイミングで行うことで、アプリケーションのレスポンスを維持するのが、アプリケーションリソース管理(Application Resource Management : ARM)です。 IBM の AI駆動型ARMソリューション「IBM Turbonomic ARM」は、アプリケーションからインフラまでをフルスタックで可視化し、アプリケーションが必要とする ITリソースを最適化します。そして、AI を用いてアプリケーションパフォーマンス、コンプライアンスおよびコストの継続的な管理を可能にします。 3. APMとARMの統合が可能にするアプリケーションの運用管理の効率化 アプリケーション運用管理の効率化は、宣言的に定義されたシステムのあるべき状態にシステムを制御する各種のオーケストレータによって、APMとARMを活用し徹底して自動化することで実現できます。ただし、システムで現在起きている問題のリアルタイムでの監視や、オーケストレータを介した問題へ自動に対処することはもちろん、あるべき姿へ迅速に回帰する「クローズドループサイクル(循環生産)」型のプロセスを実現することが不可欠となります。 このプロセスにおいて、APMとARMをそれぞれ独立した状態で活用するだけでは、目的に応じた画面の切り替えやツールごとの設定・操作などに非常に手間が掛かります。 APMであるInstanaとARMであるTurbonomicを連携することで、「統合的なアプリケーションの運用管理」を実現し、運用管理作業効率を向上することで以下のような効果を発揮します。 (1)ワンストップでインフラやアプリUXなどのパフォーマンスを統合管理できる (2)素早く問題の発生を検知し原因を特定できる (3)新規の監視対象を自動で認識でき個別の作業が不要となる (4)メンテナンスに工数がかからない 4. InstanaとTurbonomicの連携による、一元的な管理の相乗効果 InstanaとTurbonomicを連携させ、双方向の統合を設定することで、画面を切り替えることなく、1ヵ所・1画面の一元化された操作で、効率的に統合的なアプリケーションの運用管理を行うことが可能です。 InstanaとTurbonomic の連携による相乗効果には、次のようなものか挙げられます。 (1)アプリケーションレベルからインフラレベルまで統一管理できる TurbonomicにInstanaの情報を連携することにより、1つの画面でインフラからアプリケーションレベルまでアプリケーション・スタック全体を統合的に可視化し、操作もシームレスに連携することで、パフォーマンスのリスクを把握しリソースを最適化するための積極的な推奨策を得るとともに、リスクの軽減や迅速な判断をすることが可能になります。 (2)故障が発生する前に予兆を検知して事前に対応できる アプリケーション視点でのパフォーマンス・障害分析とインフラ観点でのリソース分析と最適化を同時に行うことで、障害の発生を未然に防ぐための対策を実施できるようになるため、アプリケーションの可用性を向上することができるようになります。 そのため、リソースの輻輳を最小限に抑えることができ、その効果として、平均修復時間(MTTR)と平均故障間隔(MTBF)を改善し、機会損失を最小限に抑えます。 (3)パフォーマンスに影響するリソースを理解し対応ができるようになる Instanaは、Turbonomicの実行したアクションと監視対象アプリケーションのパフォーマンスへの影響について、履歴の記録を得ることができます。また、Turbonomicによって提供されるリソース自動最適化機能を統合し、IT環境全体の集約された性能を最適な状態に維持します。これにより、ユーザは、単一の場所から一元的にアプリケーションを監視し、リアルタイムのデータと需要に基づいた状況に合わせて、需要に則したリソース割りあて・確保の決定を実行することができます。 InstanaとTurbonomicの統合によって、クラウド環境やKubernetesのリソース費用を正確に把握できるようになるため、十分に活用されていないリソースやオーバープロビジョニングされたリソースを最適化するための推奨案が得られます。これを元に、ハイブリッド(セルフ・マネージド)やクラウドネイティブ、Kubernetesのワークロードのパフォーマンス改善、効率化、コンプライアンス対応、コスト削減を促進し、クラウドの無駄を削減するとともに、その効果を向上させることが可能になります。 5. InstanaとTurbonomicの連携による、統合的なアプリケーションの運用管理の価値 このようにInstanaとTurbonomicを連携させることで、お客様は、インフラ・アプリケーションを統合的に可視化できるようになるだけでなく、アプリケーションのパフォーマンスリスクに素早く対応することが可能になります。 また、Turbonomicと連携できるAPMはInstanaだけではなく、お客様が、現在お使いになっているAPMとも連携することも可能です。さらには下図のロードマップのように、APM+ARMだけでなく、他のソリューションとも連携させることで、お客様のアプリケーションの運用高度化をさらに進め、ビジネスにより大きな価値をもたらすことができます。 図1:InstanaとTurbonomicの連携によるアプリケーションの運用高度化 6. まとめ このように、InstanaとTurbonomicを連携させた一元的な操作によって、複雑化したIT環境においても、ワンストップでインフラやアプリUXなどを監視・管理し、リソースの無駄やクラウド費用の増加なしに、アプリケーションに最適なリソースを動的に割りあてることができます。これにより、効率的なアプリケーションの管理の実現と、期待どおりのパフォーマンスを発揮して顧客のニーズを満たすことが可能になります。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社は、IBMソフトウェア(SW)とハードウェア(HW)の認定ディストリビュータとして、InstanaおよびTurbonomicに関する支援が可能です。 お客様のニーズや要件に合わせて、IBMのSWとHWを組み合わせた最適な提案やカスタマイズの支援、IBM製品の特長・利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスに最適な提案でサポートいたします。 「シナジー効果の高いInstanaおよびTurbonomicに絡めたセールスをサポートしてほしい」といったご要望があれば、いつでもお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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