2022年12月

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可用性を高める機能が満載!ストレージの付加価値が高まる「IBM Spectrum Virtualize」

IBM FlashSystem は、高いパフォーマンスや強固なセキュリティを求めている組織にとって理想的なオールフラッシュ・ストレージです。

NVMe に対応し独自技術IBM FlashCoreテクノロジー搭載により、きわめて優れた処理能力でデータからの価値創造に貢献します。
お客様満足度も高く、大手B2Bピアレビュープラットフォームである TrustRadius の「エンタープライズ向けフラッシュ・アレイ・ストレージ・ソリューション」部門で2022年もトップ評価賞を獲得しています。

FlashSystem には IBM Spectrum Virtualize という柔軟性の高いストレージ・ソリューションが搭載されており、HyperSwap(可用性)、データ保全(データコピー)、データ移行(無停止でのボリューム移動)、ストレージ仮想化、ストレージ効率化(EasyTier、データの削減・圧縮)など、多くの機能が実装されています。
これらを活用することで、オンプレミス/オフプレミス、またはその両方の組み合わせで新しいワークロードと従来のワークロードに対応するブロック・ストレージ・サービスを迅速に展開することができます。

今回は「もっと活用したいIBM Spectrum Virtualize」をテーマに、カギとなる機能とお客様にお勧めする理由を解説します。

シンプルかつスマートにストレージの可用性を高めるHyperSwap

高性能なストレージは、高可用性を求められる状況で採用されるケースが多いものです。
障害、災害、サイバー攻撃に遭ったとしても、ビジネスを止めることは許されない。そのような場合には、ストレージにおいても万一の場合でも稼働を継続できる工夫が必要です。

ストレージの高可用性を実現する手段は様々あります。
例えば、OS やアプリケーションの持つデータ二重書き機能を活用することです。
ただし、二重書き機能を持つ OS やアプリケーションは限られるため、冗長化できないデータも出てきます。また、この方法はサーバのリソースを消費するとともに、OS とアプリケーションソフトウェアそれぞれの二重書き機能を利用するとすれば管理が複雑になります。

もう1つの方法として、ストレージ・レプリケーションを活用する方法もあります。
しかし、AストレージがダウンしたときにBストレージに自動的に切り替えるようにするには、スクリプトの作りこみが必要です。また、切り替え時にはダウンタイムが発生します。

このように、メリットもあるがデメリットもあるという従来のストレージ高可用性ソリューションに対して、IBM Spectrum Virtualize では真に堅牢なストレージ基盤を構築するためのソリューションを提供しています。

それが、HyperSwap です。
HyperSwap はアクティブ-アクティブの HA構成で、片系統に障害が発生してもダウンタイムなしにデータへのアクセスを継続できます。

もう少し具体的に見ていきましょう。

HyperSwap

HyperSwap では、4ノード、2 I/Oグループでストレージクラスターを構成します。

グループ0のストレージには、Aサーバ向けのプライマリデータボリュームとBサーバ向けのセカンダリデータボリュームを持ちます。逆にグループ1のストレージには、Aサーバ向けのセカンダリデータボリュームとBサーバ向けのプライマリデータボリュームを持ちます。

つまり、データをたすきがけに持つことで片系統の障害発生に備えます(図1)。

HyperSwapによるストレージクラスター構成
図1:HyperSwapによるストレージクラスター構成

グループ0とグループ1の間には、外部ディスク装置あるいは IP Quorum というストレージの死活監視役を置きます。
これは、グループ0とグループ1から定期的に発信される “正常に動いています” という信号を仲介します。

外部ディスク装置の場合は両方の信号がここに蓄積されるため、グループ0とグループ1それぞれでその信号を確認します。

IP Quorum の場合はグループ0から来た信号はグループ1へ、グループ1から来た信号はグループ0へと相手方へ送信します。
この信号が途絶えたら相手方がダウンしたと判断し、自分の持つデータボリュームをプライマリに昇格させて動かします。

HyperSwap を利用すると、ストレージ筐体全体がダウンしてしまったというときにも問題なく業務を継続できます。
また、ストレージ側で自動切り替えを実施するため処理の作りこみが不要、さらに、サーバ側に専用ソフトや特別な設定は不要で、マルチパス・ドライバーさえ導入されていれば構築可能です。

Remote Copyは機能が改善されIBM Global Data Platformへ

一方、業務によってはそこまで業務継続性にこだわる必要はないというケースもあるかもしれません。

データさえどこかに確保できていれば体制を整えてからそのデータを持って立ち上がればよい。そのような発想のシステムに適しているのが、Remote Copy機能です。

これは、文字どおり離れた場所に設置したストレージにデータをコピーするというものです。
具体的に2つの方法があり、1つが Fibre Channel経由のレプリケーションで、もう1つがネイティブIPレプリケーションです(図2)(図3)。

Fibre Channel経由のレプリケーション
図2:Fibre Channel 経由のレプリケーション
ネイティブIPレプリケーション
図3:ネイティブIPレプリケーション

Fibre Channel経由のレプリケーションの場合、コピーを実行したい2台のストレージの間に FCIP(Fibre Channel over IP)変換装置をそれぞれ設置します。
これがデータ圧縮を実施し、リモートサイトのストレージへデータを転送します。
FCIP は TCP/IP上に Fibre Channel を流すプロトコルで、長距離接続の場合に利用します。

ネイティブIPレプリケーションの場合は、FCIP変換装置は不要です。ストレージ自身がデータを圧縮して転送します。

これまで Remote Copy では、データを転送するストレージとデータを受信するストレージの両方に同じ設定が必要でした。
すなわち、データを転送する側の設定を変更したら受信する側も同じように設定変更が必要でした。

しかし、新しく登場した次世代データ基盤 IBM Global Data Platform(GDP)のアーキテクチャに従えば、データ転送側のストレージ設定を変えると受信側の設定も自動的に変更されます。
また、一定の割合で発生していたデータ転送エラーの割合も改善されています。

これらにより、運用現場では管理負荷を軽減することができます。

さらに、これまでハードウェア上の要件が厳しく受信側でのレスポンスタイムが 10mm/sec までしか許容されていなかったものが、GDP で 80mm/sec にまで緩和されました。

これにより、WAN回線がそれほど高品質でなくても適用可能になります。
海外拠点あるいは遠隔の自社拠点間に災害対策用データを置きたいが、専用線は敷設していない。といった条件でも、Remote Copy を検討できるようになります。

ストレート内に聖域を設けるセーフガード・コピー

サイバー攻撃もまた、企業の事業継続を脅かす大きなリスクの1つです。

IBM Spectrum Virtualize では、ランサムウェア攻撃によるデータ暗号化に備えてセーフガード・コピーという機能を提供しています。
これは、ストレージ上のデータが論理的に破壊されることや、変更または削除されることを防ぐ機能です。
利用するには FlashCopy と Copy Service Manager(以下 CSM)のライセンスが必要ですが、これにより堅牢なデータバックアップ運用が実現します。

CSM はセーフガード・コピーの自動化に関わる機能です。
クライアントが提供する仮想マシンや x86サーバ上で動作する外部ソフトウェアで、コピー・スケジュールとバックアップの保存期間管理を受け持ちます。

IBM Spectrum Virtualize がセーフガード・ポリシーを作成すれば、CSM はそれを自動的に発見しそのポリシーにしたがって動作します。
まさに IBM Spectrum Virtualize と CSM が連携して動くイメージです。

セーフガード・コピーがデータを守るしくみは、下記のようなものになります(図4)。

セーフガード・コピーでデータを守るしくみ
図4:セーフガード・コピーでデータを守るしくみ

ストレージのデータは、ポリシーにしたがって定期的にセーフガード・コピー・プールと呼ばれる保護された子プールにスナップショットが作成されます。
その時間間隔はデータの特性によって自由に設定可能です。1分ごとにバックアップしたいものもあれば、1日に1回でよいというケースもあるかもしれません。

セーフガード・コピー・プールには最大15,864個のオブジェクト、256世代のバックアップを置くことができます。
また、セーフガード・コピー・プールに置かれるコピーデータはイミュータブル(その状態を変えることのできないもの)です。どのサーバやアプリケーションからもアクセスできません。

ランサムウェア攻撃を受けデータに侵害があったことが、ある時点で判明したとします。
ここで次に起こすアクションは、セーフガード・コピー・プールでコピーデータの世代をさかのぼって、まだ侵害を受けていない時点のコピーデータを見つけ出すことです。

求めるコピーデータが見つかったらCyber Vault

システムとして作成したリカバリーボリュームにリストアします。
そこでリストアされて初めて、サーバやアプリケーションからデータにアクセスできるようになります。

ストレージ内にセーフガード・コピー・プールという “聖域” を設けることによってデータを守るという仕組みは、外部脅威がますます高度化・凶悪化している今日、企業に大きな安心をもたらします。

もちろんヒューマンエラーやハードウェア障害、広域災害によって失われたデータを取り戻す際にも、セーフガード・コピーは有効に働きます。
また、定期的な分析で問題を早期に発見するためのデータ検証や、侵害が判明した際にリカバリーアクションを決定するためのデータフォレンジックにも活用できます。
バックアップシステムを別途構築する必要がなくサーバ運用を簡素化できる、という意味でもお勧めの機能です。

さらに別システムとの連携にはなりますが、データに生じた異常を常時監視するプロアクティブモニタリングを実現することも可能です。
何かあればすぐにアラート通知が送られてくるため、それをフックに健全なコピーをただちに見つけリストアに入るといった、より機敏なアクションを取れるようになります。

まとめ – エヌアイシー・パートナーズがSpectrum Virtualize活用提案をサポート

エヌアイシー・パートナーズではリセラー様における Spectrum Virtualize活用提案について、潜在ニーズを含めたシステム構成支援を始めとして様々な技術的アドバイスが提供可能です。
また取り扱い製品が多岐にわたることから、FlashSystem や Spectrum Virtualize にとどまらず、システム全体の提案支援も行っています。

エンドユーザーの抱える課題を解決するための方策を、弊社はリセラーの皆様とともに考え導き出していきます。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 ビジネスへの生成AI の取り込みに注目が集まっている今日、watsonx.ai をどう活用すればいいのか、多くのお客様からお問い合わせ頂いています。そこで前回の「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」では、watsonx.ai のユースケースとして Retrieval-Augmented Generation(以下 RAG)をご紹介しました。 今回は、RAG の仕組みを利用し AIチャットボットを提供する「watsonx Assistant(以下 Assistant)」と検索エンジン機能を提供する「Watson Discovery(以下 Discovery)」、「watsonx.ai」を組み合わせた連携ソリューションをご紹介します。 目次 AssistantとDiscoveryの連携 watsonx.aiを取り入れた連携 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた さいごに お問い合わせ AssistantとDiscoveryの連携 本来なら各製品を一つのブログで詳しくご説明したいところですが、今回は連携した結果についてのご紹介となりますので、Assistant と Discovery については今後のブログであらためてご紹介したいと思います。 Assistant は watsonx の大規模言語モデルが搭載され、自然言語の問い合わせを理解し、適切な回答を返すことができるチャットボット機能を提供する製品です。一方 Discovery はドキュメントから適切な情報を検索する検索エンジン機能、パターンや傾向を読み取る分析エンジンとしての機能を備えた製品です。 Assistant と Discovery を組合わせたユースケースでは Assistant にあらかじめ回答を用意してルールベースで回答させ、答えることが難しい問い合わせに対しては Discovery の検索結果を利用して回答します。 watsonx.aiを取り入れた連携 上記の連携では Discovery の検索結果がユーザーに表示される仕組みとなっていますが、watsonx.ai を介して回答を提供することでDiscovery が得た検索結果をさらに整理し、より理解しやすい形での返答が実現できます。 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた Assistant、Discovery、watsonx.ai を連携してみます。 事前準備 利用環境 今回は IBM Cloud で提供される SaaS を利用して検証します。なお、Assistant と Discovery の Plusプランは30日間無償期間が付属されていますので、是非ご活用ください。 watsonx Assistant:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) Watson Discovery:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) watsonx.ai:Essentialプラン(有償) 検証の目的 検証では構築手順の他、以下の点を確認します。 「Assistant + Discovery + watsonx.ai」と「Assistant + Discovery」の連携による回答の違いを比較 言語モデルを変えて問い合わせを行い、回答の違いの比較 実施手順 以下の流れで検証を実施します。 Assistantのプロビジョニング Discoveryのプロビジョニング、検索対象とするデータの取り込み※取り込むデータは「IBM Power S1014 データシート」のS1014のPDF watsonx.aiのプロビジョニング Assistantの初期設定 Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 言語モデルを変えて問い合わせの検証 検証実施 1. Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. Discoveryのプロビジョニング 次に Discovery をプロビジョニングします。 カタログ画面から "Discovery" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Discovery がプロビジョニングされます。※ここで、資格情報内にある「API鍵」と「URL」をメモに控えます 「Watson Discoveryの起動」をクリックし「New Project +」をクリックします。 Project name に任意の名前を入力、Project type では「Conversational Serch」を選択し「Next」をクリックします。 作成されたプロジェクトをクリックします。 「Integration Deploy」をクリックします。 「API Information」タブをクリックし「Project ID」をメモに控えます。 次に検索対象の PDF を Discovery に取り込みます。 「Manage collections」から「New collection +」をクリックし、「Collection name」に任意の名前を入力、「Select language」を「Japanese」に設定します。 Upload files の領域に PDF をドラッグアンドドロップして「Finish」をクリックします。 アップロードが完了しました。次に、Smart Document Understanding機能(以下 SDU)を利用して PDF内のヘッダーやテキストなどのフィールドを定義します。 SDU は、PDFをはじめとする非構造化データの文書構造を理解して検索や分析の精度を向上させる機能です。例えばタイトルと定義した箇所を検索キーとしたり、検索対象をテキストと定義した箇所のみとするなど可能になります。 「Identify Field」タブをクリックします。 取り込んだ PDF が表示されるので右側の Field labels からヘッダー箇所やタイトル箇所などをドラッグアンドドロップして指定していきます。 ページの定義が終わったら「Submit page」をクリックして次の頁を定義していきます。 SDU では数ページ指定すると自動的にヘッダー箇所やテキスト箇所を認識してくれるので、何ページもあるドキュメントには便利な機能です。 今回は SDU を使って PDF の文書構造を定義しました。SDU以外の Discovery の機能については、また別の機会にご紹介したいと思います。 3. watsonx.aiのプロビジョニング ※watsonx.ai のプロビジョニング方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part1)」をご参照ください。 4. Assistantの初期設定 Assistant の初期設定を行います。 Assistant を起動します。 起動後、以下の項目を入力します。 Assistant name:任意の名前を入力 Assistant Language:「English」を選択※日本語を選択することが可能ですが、Assistant のスターターキットは英語での利用を想定しているため今回はEinglishを選択します Assistant の公開先を「web」に設定します。※"Tell us about your self" 以降はご自身の情報を入力ください 入力後「Next」をクリックします。 デフォルトのチャットUI を利用するため「Next」をクリックします。 プレビュー画面が表示されるので「Create」をクリックします。(以下の画面は「Create」が隠れてしまっています) 「Congratulations!」と表示されたら初期設定は完了です。 5. Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる 「Githubのassistant-toolkit」から "watson-discovery-query-openapi.jsonファイル" をダウンロードします。 Assistant のメニューから「Integration」をクリックします。 下にスクロールし「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 「Extension name」に任意の名前を入力し「Next」をクリックします。 先程ダウンロードした watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Basic auth」を選択 Username:「apikey」と入力 Password:メモに控えたWatson DiscoveryのAPI鍵 discovery_url:メモに控えたWatson DiscoveryのURLから"http://"を除いた値 ※以下の画面ショットは discovery_url入力箇所が切れてしまっていますが、実際は「Servers」の下に discovery_url の項目があります 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで watsonx Assistant と Watson Discovery が連携できました。 6. Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる 次に、Assistant のカスタム拡張機能から watsonx.ai を利用できるように設定します。 設定には IBM Cloud の APIキーと watsonx.ai のプロジェクトID が必要です。取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」をご参照ください。なお、今回は東京リージョンで watsonx.ai をプロビジョニングします。 Github の「assistant-toolkit」から "watsonx-openapi.json" をダウンロードします。 Visual Studio Code などで東京リージョンの URL に編集し保存します。 Discovery の連携と同様に、Assistant のメニューから「Integration」「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、任意の Extension name を入力して「Next」をクリックします。 編集した watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードして「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Oauth 2.0」を選択 Grant type:「Custom apikey」を入力 apikey:取得済みのIBM CloudのAPIキー Client authentication:「Send as Body」を選択 Header prefix:Bearer(デフォルト) Servers:https://jp-tok.ml.cloud.ibm.com(自動入力) 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで Assistant と watsonx.ai が連携できました。 7. 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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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