2021年10月

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【早わかり】ここが進化したIBM Power10!

日本企業が取り組むべきデジタルトランスフォーメーション(以下 DX)は、もはや助走期間を過ぎました。
2025年の崖を乗り越えデジタル競争の勝者となるためには、よりスピーディに、よりスマートに、企業活動を発展させていく必要があります。

経営とITが不可分である今日、その原動力となるのは企業情報システムです。
なかでも基幹システムは、より多くの処理をこなすだけでなく、より高いパフォーマンスで処理する能力が今まで以上に求められています。

さらに、取るべき戦略を多角的な視点で分析しすばやく意思決定を行っていくために、AIを日常的に活用していく必要があります。
また、ランサムウェアを始め、企業にとってシステムへの脅威は高まる一方で、従来以上にセキュリティ強化を図ることは不可欠です。セキュリティ強化という観点では、データのみならずハードウェアやOSも視野に入れなくてはなりません。
加えて近年は、産業界全体で脱炭素社会の実現をめざしており、企業の取り組みの進度が取引先選別のポイントにもなろうとしています。

企業が直面するこうした様々な課題を解決するために進化したのが、IBM Powerの最新版「IBM Power10」です。
当コラムでは、ハイエンドエンタープライズシステムE1080を基準に、POWER9からパワーアップした機能の数々と、おすすめの活用シーンを紹介します。
 

Index


 

POWER9から大きくステップアップしたPower10

IBMは、プロセッサーからメモリーインターフェース、筐体間通信までを一貫して設計する唯一のベンダーです。
そのため、ビジネス最前線での利用ニーズを見極めながら、あらゆるコンポーネントを相互に最適化させて作り上げることが可能です。
これまでもその取り組みは行われてきましたが、IBM Power10においてその利点が最大限に発揮されたといえそうです。

 

システム全体で目指したパフォーマンスの向上

Power10プロセッサーは、7nm (ナノ・メートル) にて製造されています。POWER9の14nmからプロセスルールを半分にすることにより、最大15コアの搭載が実現しました。
トランジスタ密度がさらに向上したことでコアパフォーマンスが向上し、より多くのワークロードへの対応が可能になります。

実際 IBMによる自社製品の比較検証で、コアパフォーマンスはE980と比較して20~30%増加※1、E880Cとの比較では55~80%増加※1しているといいます。
これは、こうした既存機種を複数ノードで利用していたワークロードがあれば、E1080へ統合可能であることを意味します。
また、コアライセンス体系を持つソフトウェア利用ではライセンス費用の見直しにもなります。

メモリーでは、新しいOpen Memory Interface (以下 OMI) が導入されました。
チップあたり16チャネル搭載が可能となった結果、最大1TB/sの帯域幅を実現。POWER9の230GB/sに比して、4倍以上の性能向上となっています。

また、PowerAXONにより、筐体間でのメモリーのシェア (クラスタリング) が可能になり、メモリー使用の最適化が行えます。
一方インタフェースにおいては、POWER9はPCIe Gen4でしたが、PCIe Gen5にアップデートされたことで、従来比1.8倍※1の帯域幅を提供します。

このように、IBM Power10は、CPU単体性能の向上だけでなく、チップからメモリー、I/Oデバイス、ノード間に至るまでシステム全体で広帯域・低遅延のデータ通信を実現し、コアを中心に行うデータ連携のボトルネックが様々な点で解消されています。

※1. IBMによる自社製品調べ (2021年9月)

 

ハードウェアレベルからのセキュリティ強化

企業の重要な資産である情報システムを守り抜くために「セキュリティはあらゆる角度から考慮すべきだ」とIBMは考えています。
IBM Power10においても、ハードウェアであるプラットフォームからアプリケーションレベルでのワークロードまで、Power10セキュリティエコシステムと称された様々なセキュリティ対策が施されています。

特に目を引くハードウェアのセキュリティ対策では、メモリー暗号化機能が強化されました。
チップ上のメモリーコントローラ内に搭載された暗号化エンジンにより、OSやアプリケーションの種類に関わらず、透過的かつ容易にデータを暗号化できます。

その能力も、POWER9に比べ4倍※1 のAES暗号化エンジンをすべてのCPUコアに搭載しているため、約40%以上の高速化がされており、アプリケーションパフォーマンスへの影響を最小限に抑制可能です。

また、このシステムは来たるべき時代に備え、量子コンピュータにも耐えうる暗号化や、暗号化されたデータを復号化することなく演算を行えるデザインであることも大きな特長です。
つまり、IBM Power10は、ハードウェアレベルから強力なセキュリティ対策を施すことで保護とパフォーマンスを両立しており、新しい脅威にも対応できるといえます。

※1. IBMによる自社製品調べ (2021年9月)

 

IBM Power10だけでもAI活用が可能に

ますます本格化するであろうAI活用のために、Power10プロセッサー上で高速な推論環境が構築できるようになりました。
それが、Matrix-Multiply Assist (以下 MMA) で、機械学習、ディープラーニングなどのアルゴリズムを効率的に実行するための行列演算エンジンです。POWER9に比べて最大20倍※1のAI推論処理性能を有しています。

また、機械学習やディープラーニングで作ったモデルを共通のフォーマット、ランタイムで実行できるようにする、Open Neural Network Exchange (以下 ONNX) をサポートしています。
これをハブとして活用することで、機械学習やディープラーニングの学習にどのフレームワークを利用しても同じフォーマットで実行・推論することが可能です。

このように、IBM Power10では、CPUだけでもAIの推論が実行でき、かつ、ソフトウェアを含めよりスコ―プの大きなエコシステムの構築を支援することで企業のAI活用を促進します。

※1. IBMによる自社製品調べ (2021年9月)

 

可用性、信頼性、保守性をさらにパワーアップ

1年365日停止することの許されないミッションクリティカルなビジネスを支えるため、IBM Power10は、さらに信頼性、可用性を高めています。

リトライ/リカバリーと自己修復のための機能を備えたプロセッサーや、OMIに接続する先進的なメモリーDIMMの搭載がまさにそのためのもの。
さらに、IBM Power10のDIMMは、業界標準のDIMMと比較してメモリーの信頼性と可用性が2倍向上※2しています。

また、新しいノンアクティブ32Gb SMPケーブル採用により、信頼性が向上したのみならず時間領域反射率測定 (TDR) による障害分離が可能になり、保守性も上がりました。
加えてバックプレーン内の配線も不要になり、バスのパフォーマンス向上に寄与しています。

※2.  ITIC 2020 Global Server Hardware, Server OS Reliability Report (2020年4月) に基づく

 

脱炭素社会実現に向けたエネルギーの高効率化

エネルギー効率の向上という点も、IBM Powerは30年以上にわたり注力を続けてきました。
今回7nmを実現したPower10プロセッサーは、POWER9に比べて約3倍のエネルギー効率を実現しています。

これは高集積とリソースの効率的な活用が可能になるということで、同じ規模のワークロードであればより少ないインフラで処理が行えるということです。
消費電力の削減、ひいてはCO2排出量の削減につながることで、単に企業内でTCO削減が実現するというだけでなく脱炭素社会実現に向けた取り組みにもなります。

サステナブル時代に生きる企業にとって、エネルギーを意識した活動はもはや使命といえます。

 

今のビジネスにすぐ貢献 -IBM Power10の適用シーン-

より少ないインフラで稼働してコスト削減

最大15コアという高集積なPower10プロセッサーを有効活用することにより、様々な業務の “コンパクト化” が実現できます。

まず、アプリケーション稼働にリソースが必要な場合、多くのコアで筐体数を減らせます。
例えば、POWER E980 2ノードで稼働していたシステムは Power E1080 1ノードに集約できる可能性があり、そうなれば約33%の消費電力が削減可能※1です。

次に、OracleやSAP HANAなど、アプリケーションのライセンス課金体系がCPU単位である場合、コアの集積度向上とコアあたりの性能向上により、TCO削減の効果が期待できます。

またIBMは、IBM Power10がAIX、IBM i、Linix上で稼働する数千ものISVアプリケーションに対応することを表明しています。
これにより、例えば、RedHat OpenShift対応の様々な業務をこの上で動かすことも可能です。

※1. IBMによる自社製品調べ (2021年9月)

 

データがある場所でAIを実行

“Train Anywhere, Deploy here”。これは、IBM Power10におけるAIコンセプトです。
その意味は、”学習はどの場所でも、デプロイは「IBM Power10」で” というものです。

AIのモデルというのは、一度作れば終わりではありません。変化する社会情勢や事業環境に合わせて日々アップデートする必要があります。
そこで最適なのが、Power10プロセッサーに搭載されたMMAの行列演算エンジンです。

これを用いれば、作成したモデルを基幹業務が稼働しているプラットフォームのすぐ横で動かすことができます。
例えば、同じAIXで稼働している基幹業務のすぐ隣にLinux区画を作り、そこでAIモデルを実行するといった具合です。
外部からやってくるトランザクションデータを取り込むにも同じ筐体で稼働するため、データ転送のオーバーヘッドが小さく管理するプラットフォームも小さく抑えられます (図1)。

また、高パフォーマンスのIBM Power10を用いることにより、システム全体としてのSLA達成も容易になります。

図1. IBM Power10でのAI活用シナリオ例

 

“摩擦レス” にハイブリッドクラウドを動的に拡張

クラウドへのリフト&シフトが進行している今日ですが、「従来のITとうまく統合できない」と悩んでいる企業が多いのも事実です。

その解決策としてIBM Power10では、DynamicCapacityという機能が提供されています。
これは、コアやメモリーといったサーバーリソースを同じモデルのすべてのサーバー同士 (プール) で共有できるというもの。
また、プール内の総起動分を超過して使用した分は事前購入した従量制容量のクラウドリソースで増強できます (図2)。

図2. IBM Power10のDynamic Capacity

そのため、企業はサーバーごとのリソース不足という問題から解放されるだけでなく、バースト的に発生したビジネスピークにいつでも対応可能になります。
また、これをリフト&シフトの一環とし、そのままクラウド上で業務を続けることもできます。

つまり、このシステムは、アプリケーションが実行されている環境がオンプレミスに限られていないということです。
クラウドへも “摩擦レス” に移行でき、そこでも同様のスケーラビリティ、パフォーマンスが得られるということは、大きな差別化ポイントといえるでしょう。

 

POWER9との違いを知りぬいたエヌアイシー・パートナーズにご相談を

こうして見てくると、IBM Power10は、様々な面でブレークスルーを果たしています。

サーバー全体、また、クラウドを含めた情報システム全体のエコシステムという観点で、大きな性能向上、セキュリティ強化、機能追加を果たしたことがよくわかります。
まさに、ハードウェアからOS、ソフトウェア、クラウドまですべてを手がける、IBMならではの価値提案です。

「新しい分野にチャレンジしたい」
「迅速な意思決定のためにシステムパフォーマンスを上げたい」
「凶悪化の一途をたどるサイバー攻撃からシステムを守りたい」
「サステナブル対応が喫緊の課題だ」

といったご要望やお悩みを抱えるエンドユーザー企業のご担当者の方は、IBM Power Systemsに長く携わり、ローンチ以前からIBM Power10に注目し、POWER9との違いも知りぬいたエヌアイシー・パートナーズに、ぜひ、ご相談ください。

 
 


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2025年07月11日

【参加レポート】Domino Hub 2025

公開日:2025-07-11 みなさまこんにちは。ソリューション企画部 松田です。 2025年6月19日・20日と2日間に渡って開催された「Domino Hub 2025」に参加しました。これは HCL Ambassador有志が企画・実行する Dominoコミュニティイベントです。去年に続き、今回が3回目の開催となります。 昨年同様、今回もエヌアイシー・パートナーズはスポンサーとしてご支援させていただき、両日参加いたしました。そのレポートをお送りします。 目次 イベント概要 セッション内容 - Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 -ロードマップ -お客様事例:曽根田工業様 最後に 関連情報 お問い合わせ イベント概要 「Domino Hub」は、HCL Ambassadorが主宰となり、Dominoの利用者、開発者、ソリューションベンダーが一堂に会するコミュニティイベントです。今回は1日目がオンライン、2日目はオンサイトのみの開催でした。 特に2日目は参加率が非常に高かったとのことで、会場も大変盛況でした。結婚式場としても使われている今回の会場は、中庭から陽の光が差し込み、解放感があるラグジュアリーな空間で、一般的なビジネスミーティングよりも上質な雰囲気が感じられました。 併せて展示ブースも設置され、Dominoアプリケーションがスマートフォンやブラウザで使えるようになる「HCL Nomad」などのHCL製品とともに、様々なビジネスパートナー様の多彩な関連製品が数多く展示・紹介されていました。 セッション内容 2日間で全22セッションが行われました。セッションはHCLをはじめ、HCL Ambassadorから、様々な開発ベンダー、製品ベンダー、エンドユーザーからの事例紹介などのセッション、そしてパネルディスカッションがありました。まずHCLからのセッション内でのトピックをお伝えします。機能のみならずライセンスまわりで大きなニュースもありました。 Domino 14.5 リリース 特徴的機能とライセンス改定 Domino Hubの2日前、2025年6月17日にリリースされました。 Domino IQ 特徴的な機能で最も注目すべき、今回もご説明に時間を割かれていたのが「Domino IQ」です。 一言で言えば「Domino内にローカルでLLMを持たせ、蓄積されてきたDominoアプリ内の情報も取り込み、セキュアな環境で生成AIを用いた業務を実現する」ものです。 企業内業務で生成AIをどのように実装し利用していくかは今、皆様の大きな関心事項であられると思います。自社のDomino環境内で、Dominoアプリケーションを用い、Notesクライアントからそれが実現できることになります。 (画像クリックで拡大) Nomad for Web COM対応 またNomad for WebがCOMに対応したことにより、これまではNotesクライアントだけでしかできなかったExcelやPowerPointを埋め込んだDiminoアプリもブラウザから利用できるようになりました。 ライセンスダッシュボード:DLAUの統合 これまでGitHubからダウンロードしてセットアップしていたDomino License Analysis Utility (DLAU)がDomino内にデフォルトで統合され、The Domino License Administration (DLA) となりました。 (画像クリックで拡大) ライセンス改定 そしてライセンスにも大きなベネフィットが付加されました。CCB Termライセンスにはこれまで「Domino Leapで5アプリケーションまで開発・利用が可能」という権利が含まれていましたが、2025年7月1日からその制限がなくなりました。すなわち「2025年7月1日以後有効なCCB Termライセンスをお持ちのお客様は、Domino Leapのフル機能が利用できる」となります。 同時に、Domino Leapライセンスの利用範囲であるHCL Enterprise Integrator(HEI)の利用権利も含まれます。これでCCB Termライセンスのみで、追加費用なく「ブラウザによるノーコード/ローコード開発」「基幹業務とDominoアプリケーションの連携」が可能になります。 さらにCCB Termで利用できるSametime Chatで添付ファイルと画像添付も可能になりました。 ロードマップ Domino、Notes、Verse、Nomadなど各ソリューションについてのロードマップも紹介されました。先々の計画は出てこないものですが、このようにHCLから明確に提示されることにより、Dominoをお使いのお客様はこれからも安心して利用を継続していただけると思います。 Dominoのロードマップ(画像クリックで拡大) Notesのロードマップ(画像クリックで拡大) Nomad, VerseといったエンドユーザーのUI部分が短期間でバージョンアップされていく。(画像クリックで拡大) お客様事例:曽根田工業 様 Dominoユーザーの有限会社曽根田工業 代表取締役 曽根田 直樹 様より、Domino事例のご講演がありました。曽根田様は2001年に静岡県磐田市で個人で企業され、切削機械の刃物を製造されています。曽根田様のお話で非常に興味深かった部分を抜粋致します。 "独立・起業するにあたり、前職で使っていたNotes/Dominoを自社でも使うことにした。現在は大手メーカーからの発注依頼や過去に作った品番の再発注など数多く受けており、当時のCAD/CAMのデータや販売管理データなどをDominoに入れて運用している。 オンプレミス環境のリスクやセキュリティ、IT技術のトレンドに合わせてクラウド化を検討した場合、Dominoからは離れたほうがいいのではないか?と思い、他社SaaS製品も検討しトライアルで利用登録をした。 しばらく触れずにいたところ、アカウント情報に登録していた支払い口座から利用料の引き落としがされていなかったためアカウントが凍結、さらに保存していたデータも突然消去されてしまっていた。支払いが滞っただけで中身まで削除されてしまうようなシステムには会社の大事な資産であるデータを載せられないので、「Dominoを『やめることを止める』判断」をした。" Dominoから他製品への移行を検討され断念されるお客様は多く、その理由は「Dominoの業務アプリケーションを、サービス内容を落とさずに別プラットフォームに移行することがはなはだ困難である」ということをよくお聞きしますが、この点にも意外な理由が潜んでいました。 最後に 初の2年連続開催となった今年のDominoHubは、コミュニティの力を象徴するかのような盛り上がりを見せました。14.5のリリース、生成AIの実装、ライセンス強化など、今後のDominoの発展を確信させる要素が数多く披露されたほか、実際のユーザー事例も非常に示唆に富むものでした。加えてロードマップの提示による未来への安心感も得られました。 DominoHubは単なる情報共有の場に留まらず、技術、コミュニティ、そしてビジネスの未来を交差させる特別な場となっています。これからもこのような取り組みが継続していき、多くのDominoユーザー、デベロッパー、そして販売パートナーが更なる価値を引き出していけることを楽しみにしています。これからもDominoと私たちの未来を築いていきましょう。 関連情報 「Domino Hub」大阪開催 Domino Hubは、2025年9月18日に大阪でのオンサイト開催が決定致しました。詳細およびお申し込みについては、こちらのリンクからご確認ください。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-mail:voice_partners@niandc.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; } figcaption { color: #7c7f78; font-size: smaller; }

2025年06月26日

次世代型のインフラ構築を実現するIBM Fusion HCIがクラウドシフトを加速

公開日:2025-06-26 クラウドファースト時代となり、企業のインフラ構築においてもクラウドネイティブなアーキテクチャをめざす潮流が高まりつつあります。なかでも重要な技術とされるのが、コンテナベースの基盤づくりで、アプリケーションをコンテナ化できれば、その移植性や効率性、スケーラビリティなどが大きく高まり、ビジネスの展開を高速化できると期待が集まっています。 しかし、基盤のコンテナ化は、これまでのシステム構築のあり方と大きく“作法”が異なり、専門のナレッジやスキルが求められます。ただでさえ IT人材が不足している今日、一朝一夕に移行するのは難しく、この点が多くの企業にとって大きなジレンマとなっています。 貴社においても、 「クラウド移行は進めたものの、残るオンプレミスシステムとどう連携させればいいのか」 「自社で腰を据えてAI活用に取り組みたいが、社内リソースが足りない」 などのお悩みはないでしょうか。 今回は、企業が課題を抱えがちな次世代型のインフラ構築をあっさり実現するソリューションIBM Fusion HCIを紹介します。 目次 インフラ基盤が抱える課題 IBM Fusion HCIの概要 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI お問い合わせ インフラ基盤が抱える課題 今日、企業情報システムのインフラ基盤は様々な意味で岐路に立っているといえます。これまで同様の手法では、刻一刻と変化し続けるビジネス環境を受けとめきれず企業競争力を低下させる恐れもあります。 例えば、具体的な危惧の内容として次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブなアーキテクチャ導入の高い難易度 クラウドネイティブなアーキテクチャは柔軟性やスケーラビリティを重視した設計手法で、ビジネススピードの向上にも貢献します。しかしその導入には既存のシステムとは手法が異なるため、互換性確保や高度な専門知識を持つ人材の確保といった点に障壁があります。また、従来型の開発手法から移行する際には、文化的変革や技術的理解のギャップが課題になっています。結果、プロジェクトを立ち上げたものの頓挫してしまった、というケースも発生しています。 2. マルチクラウド戦略を推進する上での壁 マルチクラウド戦略とは複数のクラウドサービスを使い分けることで、効率的なリソース管理やリスク分散を実現することを指します。多くの企業が「オンプレとクラウドを統合」または「複数のクラウド環境を最適化」したいと考えています。 しかし、相互接続性やデータ移動に大きな課題があります。また、異なるプロバイダ間での運用調整やコスト管理の複雑化も実践の妨げになりがちです。特に、各クラウド特有の設計要件への対応やパブリッククラウドとプライベートクラウド間のデータ連携には多くのリソースとノウハウが必要です。 3. 自社AIワークロードの拡大 AIワークロードの拡大は、迅速なデータ処理や大量データ解析を可能にします。しかし、これに伴って高性能なインフラ整備が求められます。既存のインフラでは計算負荷が高く、パフォーマンスが著しく制限されるためです。慎重に選定を進めなければ計算資源の増加による費用の急増が発生するリスクがあります。 エッジ環境でのデータ処理や通信コストの抑制に対応できる基盤という観点も重視しなければなりません。開発プロセスの最適化や適切な AIモデルの選定なども大きな課題です。 4. VMware基盤のコスト問題 すべての企業に当てはまるわけではありませんが、仮想化基盤として VMware を採用するのは普遍的なソリューションであり、信頼性の高い仮想化テクノロジーを提供します。 しかし、近年そのコスト問題が大きく取り沙汰されており、ライセンス料や運用費用の高さが企業にとって大きな負担となっています。長期的な予算圧迫を招く可能性があり、特に運用規模が拡大していくビジネス環境の場合、コスト管理が難航するリスクがあります。さらに、技術的な側面では仮想マシン単位でしか運用管理できないという点があり、リソースの効率的な活用に限界があります。 IBM Fusion HCIの概要 IBM Fusion HCI は、上記のようなインフラ課題を解決するために登場したハイパーコンバージドインフラ(HCI)ソリューションです。コンテナ(Red Hat OpenShift、以下 OpenShift)ベースのシステムを構築するために必要な機能をあらかじめすべてパッケージ化しており、コンテナ専用のオール・イン・ワンソリューションといえます。 具体的に必要な機能とは、統合運用管理ダッシュボード、ストレージファイルシステム、バックアップリストア、コンテナ、仮想マシンを指しており、オプションでデータ連携カタログも選択できます。納品後最短4時間で構築が完了し、すぐに使用を開始することができます。 図1:IBM Fusion HCI概念図 これにより、企業において統合データ管理やクラウドとの透過的アクセス、アプリケーションの高速化といった次世代志向のインフラ構築が実現します。また、IBM Fusion HCI はサーバー/スイッチも統合管理でき、サポートを IBM に統一できるという点においても企業の運用管理負荷を大きく軽減することが可能です。AI を含む負荷の高いワークロードにも対応できます。 このプラットフォームで、データ管理、計算リソース、ストレージを効率的に統合できるため、AIアプリケーションの実行に必要な環境がシームレスに整います。例えば、AIモデルのトレーニングや推論処理を高速化するために計算資源にスケーラビリティをもたせるといったことも可能です。さらに、セキュリティ面でも信頼性の高い機能が提供されており、企業の重要なデータを安全に保護します。 インフラ基盤が抱える課題への最適策 IBM Fusion HCI は 導入しやすく柔軟でパフォーマンスに優れたインフラ基盤 です。コンテナベースのシステム構築を進めたい企業にとって最適の選択肢といえ、そのメリットとしては次のようなものがあります。 1. クラウドネイティブへのスムーズな移行を実現 Red Hat OpenShift を基盤とし、これをあらかじめパッケージした HCI であるため、ユーザーはクラウドネイティブなコンテナ基盤を導入する際に設計を始めとした複雑な調整を省けます。また、専用インストーラーを搭載しており導入をスムーズに進めることができるため、製品が到着したその日からデジタルトランスフォーメーションに着手することが可能です。 2. マルチクラウド/エッジ環境への移行 IBM Fusion HCI は、オンプレミス、パブリッククラウド、エッジ環境のどこでも稼働することができます。特に、ハイブリッドクラウドのアプローチを強化するために設計された新しいサービス「IBM Cloud Satellite」を活用すれば、IBM Cloud サービスのメリットを IBM Fusion HCI の環境にも容易に拡張できます。 例えば、データが特定の地域に留まる必要がある法規制に従う際に、IBM Cloud Satellite はその地域でのデプロイメントをサポートしつつ IBM Cloud が提供する最新の AI、セキュリティ、ストレージ機能をオンプレミス環境で利用できます。 この透過的なデータ連携能力は、マルチクラウド環境のデータ制御に大きな力を発揮します。 3. AIワークロードに対する優れた対応力 セルフ型オンプレミスクラウドの提供 IBM Fusion HCI は AIワークロードに特化した柔軟で高度なインフラ基盤を提供します。強みは、watsonx との連携によるセルフ型オンプレミスクラウドの構築が可能 である点です。この連携により、クラウドの利便性をオンプレミス環境に取り入れ、AIモデルのトレーニングやインファレンス(推論)作業をシームレスかつ効率的に進められます。 AI処理に最適化された設計 IBM Fusion HCI には高速な AI処理を実現する設計が施されています。NVIDIA GPU の活用を可能とし、AIモデルのトレーニングや推論の速度を飛躍的に向上させます。また、watsonx.data と組み合わせることでデータクエリのパフォーマンスを従来インフラの最大90倍まで高速化 することが可能です。 エンタープライズグレードのデータ基盤 IBM Fusion HCI はデータレイクハウスとしての機能を提供し、AIワークロードに必要なデータ収集・分析基盤の構築を支援します。エンタープライズ規模の大容量データ管理に対応し高い柔軟性と拡張性を持つため、DX を推進する企業にとって理想的な選択肢と言えます。 4. コスト削減と効率性の向上 VMwareのライセンス費用をカット IBM Fusion HCI は、VMware を利用した仮想化基盤の代替として大幅なコスト削減の可能性とします。物理サーバー上に Red Hat OpenShift環境を直接構築する仕組みによって VMwareライセンス費用や運用コストを削減すると同時に、OpenShift利用における費用も最適化できます。 効率的なリソース管理 コンテナ単位での精細なリソース管理を実現する IBM Fusion HCI は、従来の仮想マシン管理よりも大きな効率性を発揮します。これにより、仮想化環境の課題(例:仮想マシン単位でしかリソースを扱えない問題)を解消し、リソースの使用効率を最大化します。 運用負荷とコストの削減 IBM Fusion HCI は設計・導入・運用にかかる負担を軽減し、運用管理の効率化を達成します。IBM による一元的なサポートが可能なため、トラブル発生時の対応が迅速かつスムーズです。また、watsonx を活用した次世代ワークロードに最適化されており、最新技術を活用しながら長期的なライセンスコストの抑制を実現します。 5. 障害時の運用負荷負担削減 IBM Fusion HCI は、システムの信頼性を高めるために設計された自動監視および報告機能である CallHome機能を搭載しています。そのため、障害発生時に IBM に自動通知でき、運用負担を軽減することができます。統合管理コンソールによりシステムの状態を一元的に確認できるため、トラブルシューティングも容易に行うことができます。 IBM Fusion HCIを利用したユースケース 1. IoTサービスでの利用 製造業で IoTサービスを開始したいという場合、製品や生産機械から IoTデータを収集し、このデータをクラウドなど IoTサービスの拠点に送る必要があります。しかし、生産拠点によってはセキュリティやネットワーク要件が厳しくデータをクラウドに出せないということもあります。 そこで、条件の厳しい工場には IBM Fusion HCI を設置しクラウド同様の IoTサービスを展開することで、エンドユーザーにデータから得られる知見を提供できます。 2. マルチクラウドでの利用 すでに進んでいるクラウド移行を統一管理したい場合にも IBM Fusion HCI は活躍します。例えば、複数クラウドの OpenShift環境に統一したセキュリティポリシーを適用するとした場合、お客様サイトの IBM Fusion HCI を起点として IBM Cloud を介して様々なロケーションの OpenShiftサービスを一元化できます。ポリシーをアップデートする際も変更が自動的に反映されるため、運用管理の負荷が大きく軽減できます。 3. AIワークロードでの利用 AIデータ処理を IBM Fusion HCI上の NVIDIA A100 GPU で実行することができます。これにより、大規模な AIシステムを構成するコアシステムやクラウド上の AIアプリケーションのデータへライブストリーミングすることができます。また、エッジで処理を終えてから、コアシステムやクラウド上のデータレイクやデータウェアハウスに送信するといったことも可能です。 図2:エッジのIBM Fusion HCIでAIデータ処理を実行 次世代のインフラ基盤への鍵を握るIBM Fusion HCI 未来志向のインフラ基盤に求められるのは「柔軟性」「効率性」「スピード」「安全性」です。IBM Fusion HCI は、これらすべてを備えた次世代型のソリューションとして、顧客提案の新しい切り札になると考えられます。 エヌアイシー・パートナーズは、IBM ソフトウェア/ハードウェアの認定ディストリビューターとして、IBM Fusion HCI のお客様への提案をサポートします。また、IBM のソフトウェア製品およびハードウェア製品を組み合わせた最適な提案を提供するとともに、製品の特長や利点をお客様にわかりやすく説明し、お客様・パートナー様のビジネスをサポートしています。 「お客様のニーズや要件に合わせて総合的なIBMソリューションを提案したい」 「IBM製品の機能や適用方法についての問い合わせに適切に対応したい」 「IBM製品の特長や利点を活かしてお客様ビジネスに最適なプランを提示したい」 といったご要望をお持ちの際は、お気軽にエヌアイシー・パートナーズへご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するお問い合せは以下のボタンよりお願いいたします。お問い合わせ   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:26px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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