2021年10月

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運用担当者の負担を軽減!多様化するシステムに悩まないIBM Elastic Storage System。

「データが増え続け、業務に支障をきたさないように運用するのに苦労している」「増えたデータを活用しきれていない」「運用担当者は日々の業務運用で手一杯」。
このような悩みを打ち明けられていることはないでしょうか。

IoTや5Gといったテクノロジーの導入など、今企業では取得できるデータの幅が大きく広がり、データをどう集め、どう格納し、どう活用するか、さらに、急速に増えたデータをどう管理するかは、企業にとって重要なテーマになっています。

このような企業の課題解決の糸口としておすすめなのが、アプライアンス型のストレージです。

ハードウェアとソフトウェアが一体となって提供されるこの製品は、別途サーバーやソフトウェアを選定・初期構築する必要がなく、運用の負担を軽減できます。
さらに、最新のアプライアンスは大容量で拡張性にも富んでいるため、これから「データを蓄積していきたい」「AI活用に着手し、少しずつ本格化させたい」というニーズにも適しています。

そこで本記事では、スケール・アウト型の共用ファイルシステムである「IBM Spectrum Scale」をベースとしたアプライアンス・ストレージ 「IBM Elastic Storage System」を紹介します。

 

Index


 

ハードウェアとソフトウェアが一体化した統合ソリューション
「IBM Elastic Storage System」

IBM Elastic Storage System (以下 IBM ESS) は、アプライアンス・ストレージです。

ハードウェアの構築、ソフトウェアのインストール、そして動作テストまでも工場で事前に実施した上でお客様サイトに搬入されます。
そのため、現場ではただちにラックへのマウント作業に入れます。

また、事前に綿密な設計を施さなくてもエンタープライズレベルのパフォーマンスや可用性を発揮するよう開発されており、短期間で本番運用を開始することができます。
さらに、運用開始後のシステムアップデートも、OSからファームウェアおよび IBM Spectrum Scale、IBM ESS に特化した部分に至るまで包括的なパッチプログラムは IBM から提供されるので、お客様側ではバッチプログラムを適用するだけで済みます。
そのため、ソフトウェア間の互換性のずれなどを気にすることなく、常に最新の状態で利用できます。

包括的なサービス提供ということに関しては、保守についても同様です。
ハードウェア、ソフトウェアの切り分けなく、問い合わせ窓口は IBM に一本化できます。

管理性に優れているのも IBM ESS の大きな特長です。
視認性に富んだ GUI管理ツールを備えており、これを用いることでストレージ専門の担当者でない方もわかりやすくかつ効果的に日常管理を行えます。

 

IBM Elastic Storage System内のエンジン
「IBM Spectrum Scale」

このストレージは、アプライアンスながら Software Defined Storage に属しています。
ベースになっているのは、Software Defined Storage であるスケール・アウト型の共用ファイルシステム IBM Spectrum Scale です。

IBM は長年このテクノロジーの発展に精力を傾けてきました。
長いデータソースのプロトコルを管理するパートとデータを管理するパートが別に存在し、それぞれ必要に応じて柔軟に追加可能です。
そのため、 最初は最少構成で導入して徐々に適用を広げていくといったスモールスタートが可能で、ご要件に合わせていつでも簡単に柔軟に拡張できます。

なかでもメリットの大きな機能として挙げられるのは、データの階層管理機能と拠点間ファイル連携機能です。
データの階層管理機能は、データのアクセス頻度に応じて高頻度のものは高速ストレージに、頻度の低いデータは低速ストレージに、とデータの適材適所保存が可能。
ユーザーは、どのストレージプール上にファイルがあるかを意識する必要はなく、データが移動してもいつも同じ操作でアクセスが可能です。

拠点間ファイル連携機能は Active File Management と呼ばれるもので、複数拠点間での非同期コピーを自動で実現します。
データすべてを選択することが可能なら、一部に絞ることもできます。
また、キャッシュはリードオンリー、リード/ライト、DR など様々なモードが選べるため、現場ユーザーの必要とするデータを本社から定期的に配信したり、逆に現場のデータを本社に自動収集する、といったデータ管理が容易に実現できます。

 

IBM Elastic Storage Systemが誇る6つの特長

IBM ESS がアプライアンス・ストレージとして持つ特長をご紹介します。

 

1. 可用性・性能設計いらずのSpectrum Scale RAID

IBM ESS は、データ保護機能である RAID が設計ずみのソフトウェア機能として提供されます。
このため、通常のストレージのようにストレージ装置側で別途設計する手間をかける必要はありません。
また、このソフトウェアRAID は、一般的なディスク・ドライブでも十分にエンタープライズレベルのパフォーマンスを発揮します。

 

2. サイレント・データ破壊を検出可能なEnd-to-endチェックサム

ストレージ管理においては、常に読み書きできるデータが保管されていることが重要です。

しかし、ときにはコンピュータシステム内部で電磁気的な干渉が発生し、メモリの中でビットが自発的に反転してしまうことがあります。
いわゆる “サイレント・データ破壊” で、通常は障害と見なされず読み出してからデータが壊れていることがわかるという厄介な事象です。

その点IBM ESS には、書きこみ時のチェックサムと読み出し時のチェックサムを比較するEnd-to-endチェックサム機能があります。
異常を検知した段階でRAID復旧が行われますので運用停止はありません。

 

3. パフォーマンス向上に貢献する小容量ファイルの高速Write

このアプライアンス・ストレージでは、NVMeドライブあるいはサーバープロセッサー上の NVDIMMカードが高機能な RAIDコントローラの役割を担っています。
これにより、
4KiB未満の小容量データをメタデータ内に直接格納することができます。

これをキャッシュに書きこんだ後ただちに IBM ESS内の I/Oサーバ間で自動レプリケーションが行われ、これを持って格納完了とします。
そのため、IoTデータなど小容量ながら新しいデータが次々送られてくるような利用ケースにおいてはさらにパフォーマンスを向上させることが可能です(図1)。

図1. IBM ESSの小容量ファイル高速Write機能

 

4. NVDIMM/NVMeによる停電耐性実現で、UPSバックアップいらず

IBM ESS の NVDIMMカード/NVMeドライブは強力です。

まずデータに関しては、直接ディスク書込みをもって格納完了とするライトスルー機能を実現しています。
また、メタデータに関しては上記の特長3.でも触れたとおり、キャッシュ書き込みと2台の I/Oサーバ間でのレプリケーションで格納完了となります。
どちらかの I/Oサーバに障害が発生しても、片方の I/Oサーバで代替運転が可能です。

停電耐性も高く、万が一不測の停電が起きた場合でもNVDIMMカード/NVMeドライブ上のキャパシタがキャッシュ上のデータをただちにフラッシュに退避させます。
これにより、データ消失のリスクを最小限に抑えます。

 

5. 様々な容量のデータに最適対応

ストレージの性能は扱うデータの大きさによっても変化します。

大容量ファイルならば、ディスク内のブロックサイズを大きく設定したほうがパフォーマンス的に有利です。
しかし、小容量ファイルを大きなブロックサイズで管理すると断片化傾向が高まってしまい、性能が低下する上にデータの格納効率も低下してしまいます。

IBM ESSは、ファイルシステム単位で最適なブロックサイズを指定できます。
また、1つのブロックを複数のサブ・ブロックで構成可能であるため、小容量データを効率よく格納できます。
例えば、最大のブロックサイズである 16MiB である場合、16KiB のサブ・ブロックが最大1,024個まで構成可能です。
これにより、ストレージの実効容量を有効に活用できます。

 

6. 手間をかけずに容量の追加・拡張が可能

このアプライアンスはシステム拡張も容易です。
“小さく生んで大きく育てる” ことができる秘密が、この特長にあります。

これから AI活用を本格化させようという場合にはまさに不可欠な機能といえるでしょう。
増設の際、IBM Spectrum Scale がデータのリバランスをバックグランドで自動実行します。増設前後でデータを退避させたり切り戻したり、といった作業は必要ありません。
このため、当初にパフォーマンスや容量見積もりに頭を悩ませる懸念から解放されます。

 

豊富なモデルの組み合わせで自由なカスタマイズが可能に

IBM ESS は、ラインナップが豊富なことも大きな魅力です。

速度重視モデルと容量重視モデルが用意されているので、エンドユーザー企業のニーズにフィットした構成を実現できます。

ただし、正直なところモデルがありすぎるために迷うことも事実です。また、選択したモデル路線をその後継続して利用することになるため、最初のモデル選びには慎重さも求められます。

そこで IBM では、モデル選択のために FOSDE tool というデザインツールを提供しています。

FOSDE tool は、正式名称を「File Object Solution Design Engine tool」といい、Webで提供されています。
IBMid があれば自由に利用することが可能です。

大きく、”案件管理” “IBM Spectrum Scale や IBM ESS の検討事項リスト” “ESS構成” という3つの機能があり、ウィザード形式で1つ1つステップを踏みながら最適なモデルを絞りこめるようになっています。
基本は英語表記ですが、検討事項リストなどには日本語訳がついています。

例えば ESS構成機能では、プルダウンメニューを選択していくだけで構成可能なモデルをどんどん特定していくことができます。
実効容量の計算やパフォーマンスの予測なども可能ですから、ここで欲しいストレージ性能をいろいろシミュレーションできるというわけです(図2)。

図2. FOSDE toolを使ったESS構成シミュレーション例


 

エヌアイシー・パートナーズが、モデル選びを支援します

エヌアイシー・パートナーズでは、エンドユーザー企業の課題解決をパートナーとともに考え、提案できる体制を整えています。

IBM ESS に関しても、IBM Spectrum Scale を含めて技術の詳細に精通したエンジニアがいつでも構成設計をお手伝いします。
もちろん、構成作業を支援する FOSDE tool が存在します。入力した内容は IBM と共有でき、選択した構成に無理がないかどうかなどの観点でレビューが提供されることになっています。

ただ、英語表記ということもあり、ウィザードを進める過程では疑問・質問が生じることもあるかと思います。
そうした際は、ぜひ、エヌアイシー・パートナーズにご相談ください。パートナー、エンドユーザー企業の立場に立って支援させていただきます。

 
 


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エヌアイシー・パートナーズ株式会社
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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 ビジネスへの生成AI の取り込みに注目が集まっている今日、watsonx.ai をどう活用すればいいのか、多くのお客様からお問い合わせ頂いています。そこで前回の「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」では、watsonx.ai のユースケースとして Retrieval-Augmented Generation(以下 RAG)をご紹介しました。 今回は、RAG の仕組みを利用し AIチャットボットを提供する「watsonx Assistant(以下 Assistant)」と検索エンジン機能を提供する「Watson Discovery(以下 Discovery)」、「watsonx.ai」を組み合わせた連携ソリューションをご紹介します。 目次 AssistantとDiscoveryの連携 watsonx.aiを取り入れた連携 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた さいごに お問い合わせ AssistantとDiscoveryの連携 本来なら各製品を一つのブログで詳しくご説明したいところですが、今回は連携した結果についてのご紹介となりますので、Assistant と Discovery については今後のブログであらためてご紹介したいと思います。 Assistant は watsonx の大規模言語モデルが搭載され、自然言語の問い合わせを理解し、適切な回答を返すことができるチャットボット機能を提供する製品です。一方 Discovery はドキュメントから適切な情報を検索する検索エンジン機能、パターンや傾向を読み取る分析エンジンとしての機能を備えた製品です。 Assistant と Discovery を組合わせたユースケースでは Assistant にあらかじめ回答を用意してルールベースで回答させ、答えることが難しい問い合わせに対しては Discovery の検索結果を利用して回答します。 watsonx.aiを取り入れた連携 上記の連携では Discovery の検索結果がユーザーに表示される仕組みとなっていますが、watsonx.ai を介して回答を提供することでDiscovery が得た検索結果をさらに整理し、より理解しやすい形での返答が実現できます。 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた Assistant、Discovery、watsonx.ai を連携してみます。 事前準備 利用環境 今回は IBM Cloud で提供される SaaS を利用して検証します。なお、Assistant と Discovery の Plusプランは30日間無償期間が付属されていますので、是非ご活用ください。 watsonx Assistant:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) Watson Discovery:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) watsonx.ai:Essentialプラン(有償) 検証の目的 検証では構築手順の他、以下の点を確認します。 「Assistant + Discovery + watsonx.ai」と「Assistant + Discovery」の連携による回答の違いを比較 言語モデルを変えて問い合わせを行い、回答の違いの比較 実施手順 以下の流れで検証を実施します。 Assistantのプロビジョニング Discoveryのプロビジョニング、検索対象とするデータの取り込み※取り込むデータは「IBM Power S1014 データシート」のS1014のPDF watsonx.aiのプロビジョニング Assistantの初期設定 Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 言語モデルを変えて問い合わせの検証 検証実施 1. Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. Discoveryのプロビジョニング 次に Discovery をプロビジョニングします。 カタログ画面から "Discovery" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Discovery がプロビジョニングされます。※ここで、資格情報内にある「API鍵」と「URL」をメモに控えます 「Watson Discoveryの起動」をクリックし「New Project +」をクリックします。 Project name に任意の名前を入力、Project type では「Conversational Serch」を選択し「Next」をクリックします。 作成されたプロジェクトをクリックします。 「Integration Deploy」をクリックします。 「API Information」タブをクリックし「Project ID」をメモに控えます。 次に検索対象の PDF を Discovery に取り込みます。 「Manage collections」から「New collection +」をクリックし、「Collection name」に任意の名前を入力、「Select language」を「Japanese」に設定します。 Upload files の領域に PDF をドラッグアンドドロップして「Finish」をクリックします。 アップロードが完了しました。次に、Smart Document Understanding機能(以下 SDU)を利用して PDF内のヘッダーやテキストなどのフィールドを定義します。 SDU は、PDFをはじめとする非構造化データの文書構造を理解して検索や分析の精度を向上させる機能です。例えばタイトルと定義した箇所を検索キーとしたり、検索対象をテキストと定義した箇所のみとするなど可能になります。 「Identify Field」タブをクリックします。 取り込んだ PDF が表示されるので右側の Field labels からヘッダー箇所やタイトル箇所などをドラッグアンドドロップして指定していきます。 ページの定義が終わったら「Submit page」をクリックして次の頁を定義していきます。 SDU では数ページ指定すると自動的にヘッダー箇所やテキスト箇所を認識してくれるので、何ページもあるドキュメントには便利な機能です。 今回は SDU を使って PDF の文書構造を定義しました。SDU以外の Discovery の機能については、また別の機会にご紹介したいと思います。 3. watsonx.aiのプロビジョニング ※watsonx.ai のプロビジョニング方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part1)」をご参照ください。 4. 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2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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