2021年05月

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デジタル世紀への本格参入「IBM Think 2021」に参加した

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの山田です。

今年も「IBM Think」に参加しました。

昨年同様、IBM 独自の Watson Media を利用したデジタル開催でしたが、今年はアジア地域の時間帯に合わせた配信や機械翻訳に加え日本語同時通訳付きセッションもあり、年々参加しやすくなっています。

6月23日まで Think 2021 オンデマンドでセッションが視聴可能です。
Think 2021 / Partner Experience at Think (IBMサイト)」(※IBM IDが必要となります)

 

AIは、驚異的な量のデータの意味を理解できる唯一の方法

昨年4月に CEO に就任後初めて本格的に昨年度の成果や次の方針を伝える場となるクリシュナ氏の基調講演では、昨年から方針は変わらず、キー・テクノロジーであるハイブリッド・クラウドと AI へ更に注力し、より具体的な新しいソリューションとして以下の発表がありました。

  • IBM Watson Orchestrate
  • AutoSQLのICP4Dへの組み込み
  • Project CodeNet

昨年はバンキング・ヘルス・テレコムなどインダストリー色の強い発表が多くありましたが、今年は製品・サービスでの発表が色濃いとという印象でした。

クリシュナ氏のメッセージは、
“工場や機械に電力が供給されてきたように、あらゆるソフトウェアに AI を活用したインテリジェントが組み込まれていく、そして、依然としてスキルと専門知識の欠如が AI採用の障壁となっている状況に対する解決策を IBM は提供していく”
というものでした。

 

エンドユーザの活動を自動化・省力化するソリューション
「IBM Watson Orchestrate」

IBM Watson Orchestrate は、IBM としては珍しい、エンドユーザの活動を自動化・省力化するインタラクティブな AIソリューションとして発表されました。

IBM が Watson として培った自然言語処理をベースとした AIテクノロジーにより、Salesforce、SAP、Workday などの一般的なビジネスアプリケーションや、チャット、カレンダー、メールなどの標準的なコラボレーションツールと連携可能で、最大50%の時間を取り戻すことができると言います。

会議スケジュール調整や承認などの日常業務で、AI が適切なアラートや分析結果を指示し、提案書作成などまさに個人の生産性を向上させることが具体的にイメージできるソリューションです。

これは、昨年の Think で発表された、汎用的に AI を適用し易い IT運用の自動化にフォーカスしたソリューションであった IBM Watson AIOps に対し、よりオフィスワークへ AI適用範囲を拡大し、営業や人事・オペレーションなど、日常業務のあらゆる自動化へ組み込めるテクノロジーを提供することで、よりパートナー様がイメージできるソリューションであると感じました。

図1:IBM Watson Orchestrate の概念

単なるチャットボットやデジタルアシスタンスとは違うことは、デモ*をみていただいた方がイメージが沸くと思います。
デモページ:「Watson Orchestrate Demo (IBMサイト)」

上記のデモは日本語字幕がありませんが、Thinkオンデマンドのセッションでは日本語字幕もありお勧めです。
Thinkオンデマンド セッション:「Think 2021 (IBMサイト)」

Watson Orchestrate は、OpenShiftベースの IBM Cloud Pak for Business Automation の一部として未だプレビュー中ですが、2021年度中に提供開始予定です。

 

速度は8倍、コストは半分。 データ管理ソリューション「AutoSQL」

次に、AIベースのソリューション「AutoSQL」の紹介がありました。

AI の採用を拡大する際の課題の1つは、機械学習に必要なデータの管理です。

企業は、貴重な洞察につながる可能性があるデータを大量に保有していますが、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなど複数の場所に分散されており、実現には膨大な労力とコストが掛かるのが現実でした。
実際 Cloud Pak for Data においても、日本のお客様からの要望の多くがデータカタログ化にあり、IBM は Information Management領域での知見を惜しみなく IBM Cloud Pak for Data に取り込んでいます。

今回発表された AutoSQL は、自動的にデータカタログを作成する「AutoCatalog」と合わせて活用されることが想定されますが、この実現により複数の場所に保管されているデータウェアハウスやストリーミングデータなど、異なるデータソースを移動させることなく同じクエリーで検索することができる高性能のユニバーサルクエリエンジンとなります。

IBM からの発表によれば、「以前の8倍の速度で、他の比較されたデータウェアハウスのほぼ半分のコスト」の効果があるそうです。

AutoSQL は、IBM Cloud Pak for Data の機能追加として提供される予定です。

 

OpenShiftが大きな鍵を握る、オープンへのこだわり

IBM President であるハースト氏は、”より企業が競争に打ち勝つにはイノベーションが必須であり、オープンであることは戦略的なビジネス上の決定である” と語りました。

オープンとはオープンソースという意味に閉じず、オープンスタンダード、オープン組織、オープンカルチャーなど多岐にわたりますが、多くの場所で実行可能な「オープン」の実現には Red Hat OpenShift のテクノロジーがベースとなると述べています。

これは、IBM のハイブリッド・マルチクラウド戦略や、フォーカス製品である IBM Cloud Paks からも明確にメッセージされていますし、IBM は引続き OpenShift を軸にテクノロジー戦略を推し進める事に何も変わりはなく、ブレのない姿勢を強く印象付けたメッセージだったと感じました。

そのほか、量子コンピューティング IBM Quantum用コンテナ・サービスである Qiskit Runtime のスピード向上や、AI にソースコードを学習させるための大規模データセットである Project CodeNet のリリースなどが発表されました。
特に、Project CodeNet により、コードの別言語への翻訳や異なるコード間の重複と類似性の特定が可能となり、レガシーなコードから最新のコードへの移行などが期待できます。

 

パートナー・エコシステムへの更なる投資

パートナー・エコシステムへの取り組みについても、大きな発表としてメッセージされました。

IBMテクノロジーをわかりやすくお客様に届けるには、パートナー様との協業・共創が必要で、10憶ドルもの投資を行うとの発表がありました。従来型の販売(再販)に加え、ビルド、サービスといったパートナータイプが追加され、ISV・CSP といったソリューションベンダーへの支援プログラムもより拡大されるようです。

特に、クラウドエンゲージメントファンド (CEF) は、お客様のワークロードをハイブリッドクラウド環境に移行するのに役立つ重要な技術リソースとパートナー向けのクラウドクレジットへの投資です。
Think後の日本IBM の中でもこの発表は強く認識されており、IBMグローバルとして、よりパートナー協業を強く推し進める姿勢であり、支援を強化する動きが活発化していると感じます。

 

さいごに

今までにない経験であったこの1年で、10年分のデジタル革命が起きたと言われています。
そしてこれからも続くであろうこの進化を、引き続きパートナーの皆様へお届けしていきたいと思います。

 

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2022年06月24日

【早わかり】AIX と IBM i ライセンス情報

こんにちは。エヌアイシー・パートナーズ 村上です。 2022年度は新しい試みとして、 ・理解しているつもりだけど説明はできない ・時間があれば調べたいと思っていた ・当たり前な知識かもしれなくて質問しにくい という内容を取り上げた「早わかりシリーズ」を掲載していきます。 今回は、IBM Power のメインOS、AIX と IBM i のライセンス情報をご紹介します。 AIX とIBM i は、片方のライセンス情報しか知らないという方も意外と多いので、ぜひこの機会に比較しながら読んでみてくださいね。   セクション 1) 永続ライセンスのおさらい 2) マンスリーとサブスクリプションをご存じですか? 3) ライフサイクルとバージョンのポイント   1) 永続ライセンスのおさらい AIX とIBM i のスタンダードなライセンス「永続ライセンス」。 有効期限のない永続ライセンスは、SWMA (SoftWare MAintenance) と合わせて所有します。 永続ライセンス OSを利用できる権利。1年目に購入。 SWMA 「サブスクリプション(最新バージョンへのアップグレード)」と「テクニカルサポート(対象製品に対するQAサポート)」の権利。 1年~5年で選択し、継続するためには都度オーダーが必要。 更改などで新ハードウェアへ移行する場合、 AIX 永続ライセンスはIBM Power本体に紐づくので、新ハードウェアになるタイミングで永続ライセンスが買い直しになります IBM i 既存機のライセンスを新ハードウェア移管することが可能です(移行先の機械レベルが高くなる場合は追加料金が発生) IBM i には、移行中ライセンスとして安価なITL(IBM Temporary License)が提供されたり、DR機専用のライセンスがあったりもします。   2) マンスリーとサブスクリプションをご存じですか? さて、このセクションが今回のブログの本題です。 2022年6月現在、AIX とIBM i には「永続」「マンスリー」「サブスクリプション」と3種類のライセンスがあります。 以下は利用ケースのイメージです。 利用ケース 永続ライセンス ・長期間利用 マンスリーラインセンス ・移行時の短期利用 ・スパイク(最低限の環境をさっと作って概ねの方向性を確認する) サブスクリプションライセンス ・初期投資を抑えたい場合に利用 ・HWに依存せず臨機応変に利用(中長期間でAIXの場合) サブスクリプションライセンスは、AIX は2021年、IBM i は2022年に提供が開始されました。 (表が見えにくいのでクリックして拡大してご覧ください) サブスクリプションライセンスは、今後拡張が予定されています。 利用ケースにあったライセンスを選択できるようになってきたので、臨機応変な検討ができるようになりますね。   3) ライフサイクルとバージョンのポイント 2022年6月時点で、IBMは「AIX も IBM i も将来の投資を継続する」という発表をしています。 IBM Power ユーザとしては一安心です。 どちらのOSも、サポートライフサイクルは10年間となります。 下記にバージョンのポイントを纏めてみました。 <AIX > 購入できるバージョン v7.2 , v7.3 標準サポートがあるバージョン v7.1, v7.2, v7.3 どうやってもサポートが終わっているバージョン v5.3 実はまだ有償延長サポートがあるバージョン v6.1 TLが出るタイミング(※) 1回/年、成熟してくると1回/2年 サポートライフサイクル(10年) 標準(最短6年)+延長保守(3~5年) <IBM i > 購入できるバージョン v7.3 , v7.4, v7.5 標準サポートがあるバージョン v7.3, v7.4, v7.5 どうやってもサポートが終わっているバージョン v6.1 実はまだ有償延長サポートがあるバージョン v7.1, v7.2 TRが出るタイミング(※) 2回/年(最新バージョンと1世代前のバージョンに対して) サポートライフサイクル(10年) 標準(7年)+延長保守(3年) <※TLとTRの補足> TL:テクノロジー・レベル。AIXにおける問題の修正、新しいハードウェアのサポート、ソフトウェアの機能拡張が含まれたプログラム。 TR:テクノロジー・リフレッシュ。IBM i におけるオファリング、サービス、およびハードウェアの機能拡張を提供するプログラム。 かなり前のバージョンも、延長保守のサポートがあるため更改時も安心です。 ただ、延長保守サポートは、部品不足による急な保守終了や、新規の問い合わせに対応いただけない、という面があるので要注意です。 また、延長保守サポートには細かい前提が設けられており前提にも随時変更が入りますので、ご利用を検討される際はお問い合わせください。   さいごに つい先日(2022年6月)、IBM i の複数のソフトウェアラインセンスが無償化される発表(IBM PartnerWorld)がありました。 IBM i では更改の検討が始まると、実際に利用している有償ソフトウェアの見直しが入ったりして、見積もりに時間がかかることがありますよね。 有償ライセンスが減ったことで、見積もりが少しでも簡単になり助かります。 クラウドシフトが進む中で、ライセンス体系、課金、監査方法が複雑化しています。 弊社には毎日のようにパートナー様からライセンス関連の相談やお問い合わせが来ています。 OSのみではなく、あらゆるソフトウェアのライセンス情報収集に日々奮闘(?)しているSEが多数おりますので、お困りの際はお気軽にご連絡ください! ※ 本ブログの情報は時間経過とともに変更が入る可能性があります。   お問い合わせ この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社 E-Mail:voice_partners@niandc.co.jp  

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