皆様こんにちは。ちょっとお久し振りのてくさぽBLOGです。
このコラムを読んでくださっている皆様の中には、アプリケーションサーバーの構築や販売経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。
オンプレでもクラウドでも、B2BでもB2Cでも、Webシステムにアプリケーションサーバーは欠かせない存在ですが、その実行プラットフォームであるIBM WebSphere Application Server(以下 WAS)は、この競争が激しい市場で8年連続TOPシェアを誇る製品です。
WASは昨年2016年6月に最新バージョンであるV9.0が発表されていますが、保守サポートが終了しない限りSWのバージョンアップはしたくない・・というお客様が多いかもしれません。
でも、バージョンアップが保守サポートの制限だけでなくお客様にとって有意義であれば、是非ご提案したいですよね。今日はそんなバージョンアップのお話をしたいと思います。
1.Java SE 6はもうすぐサポート終了
WASにはJavaの実行環境が含まれていますが、Java SE(JDK) 6がサポート終了間近となっていることはご存じですか。
それって結構古いWASでしょ?うちのお客様はそんな古いバージョンは使ってないはず・・と思いきや、そうでもないかもしれません。
Java SEの最新バージョンは8ですので、下図のように古いバージョンのWASをお使いであれば、是非バージョンアップのご検討に入っていただきたいと思います。
2.バージョンアップの利点
とはいえ、Javaの保守サポート終了という理由だけでバージョンアップするのは・・・と躊躇されている皆さんに、是非このブログを参考にしていただきたいと思います。
最新バージョンのWAS V9.0は、Javaの最新仕様に対応しているだけでなく、お客様のビジネス傾向に合わせて以下の特長を持っています。
特長1.多様なクラウド環境への対応
特長2.マイクロサービスとAPIエコノミーへの参画を推進
特長3.従来のPVU課金モデルに加え、仮想コア・ベースの月額課金モデルのライセンス体系も登場 特長3の詳細はこちら(MERITひろばへ)
WASは、基幹システムとエンドユーザーに近いシステム、いずれにも対応しています。
エンドユーザーに近いシステムは変化が激しく、素早い開発や継続的なデリバリーが必須要素となり、マイクロサービスアーキテクチャー型で、インフラもすぐに利用可能なクラウド環境が活用されます。
一方、基幹システムを中心とした安定したエンタープライズ・アプリケーションでは、オンプレ環境でのウォーターフォール型開発が依然として引き継がれていますが、基幹システムが保持している情報をエンド・ユーザーに素早く提供したいというニーズから、API公開する方法、マイクロサービス化といった検討も始まりつつあります。
そしてこれらの2極化したものを連携する仕組みとしてAPIが注目されています。
クラウドやAPIエコノミーへの対応など多様化する用途に対応できる最新バージョンでは、用途に応じたラインタイムが選べるようにもなっています。
3.Libertyランタイムの検討のタイミング
今後のクラウド展開を考えると、もっと軽量なランタイムが欲しいですよね。
先程用途に応じたラインタイムを選べると書きましたが、WASは軽量なLibertyラインタイムを提供しています。
また、従来のラインタイムに比べ、運用の自動化や新機能のいち早い利用も実現されています。
Libertyランタイムはたった5秒で起動でき、メモリー使用量60MB ディスク使用量100MBと軽量で、リソース使用量で課金されるクラウドの利用に適しています。また、構成ファイルはserver.xmlという1ファイルのみのため移行も簡単ですし、再起動なしで構成変更が可能です。
では、何故このような軽量化が実現できたのでしょう。
それはフィーチャーと呼ばれる必要な機能単位だけを柔軟に組み合わせて利用しているからです。使わないフィーチャーはメモリーにロードされないため、高速に起動できます。
また、新機能は新しいフィーチャーで提供され、従来のフィーチャーも使い続けることができるため、ランタイムの更新が不要です。このゼロ・マイグレーションという新しい概念により、既存構成やアプリケーションへの影響を最小化でき、最新ラインタイムへの移行が楽になります。
4.ランタイム選びは注意点もある
他にも、今回ご紹介できなかった多くの特長を持つLibertyランタイムですが、注意点もあります。
たとえば、LibertyはWAS V8.5以降から提供されたランタイムのため、従来の古いランタイムとはサポートしているJavaのレベルが異なるため、使用できない古いAPIが存在します。
また、プロセスの起動・停止方法やログの種類、アプリケーションのデプロイ方法など、運用の仕組みも変わってきます。
5.ほかのアプリケーション・サーバーも気になる!?
もしかしたらWASのバージョンアップどころか、JBoss、WebLogic、Apache Tomcatなど他製品への切り替えが検討されている・・・どいうケースもあるかもしれませんね(涙)。
WASは8年連続TOPシェアを誇る製品ですので多くの特長を持っていますが、今回は軽量性と課金体系について比較してみました。
・軽量性
起動時間とメモリー使用量(フットプリント)を比較した左グラフでは、LibertyランタイムはTomcatに少し劣っているものの、JBossやGlassfish(Weblogicのオープンソース版)の半分以下と非常に軽量です。
また、右のグラフでは、Libertyランタイムはどの製品よりも性能(スループット)が高く、Tomcatより20%も性能が高いことがわかります。
・課金
WASにはランタイムが2種類ありますが、ラインタイムによらず課金体系が豊富です。
オープンソースはライセンス・フリーですが、エンタープライズのお客様には保守サポート付きのメーカー版を選択されているケースが多いのではないでしょうか。WASはご使用環境によって最適な体系を選択することができるよう、複数の課金体系が用意されています。
たとえば、大規模な仮想環境では、物理サーバー全体の性能で課金するとかなり高額になってしまいますね。
その場合には、アプリケーションが稼働しているサーバーの性能分だけ課金する、サブキャパシティ・ライセンス体系が用意されています。この課金体系はRedHat社のJBossでは提供されていません。
また、仮想コア数のみで課金計算できる体系も提供されています。パブリック・クラウドでは、物理サーバーのコア数などの情報を開示していないケースもありますので、コア数を数えるだけ見積もることができますし、もちろん月額課金も用意されています。
6.最後に
実はLibertyランタイムは最新バージョンではないバージョン8.5でも提供されています。しかしながら、是非WASのバージョンアップと共に、新しいLibertyランタイムの検討もお勧めしたいと思います。
この軽量なLibertyランタイムの無償評価版と日本語の技術情報がこちらからダウンロード可能ですので、是非お試しください。
http://ibm.biz/LibertyJPN
この記事に関する、ご質問は下記までご連絡ください。
エヌアイシー・パートナーズ株式会社
技術支援本部
E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp