2023年11月

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SaaSのデータ保護はユーザー責任。導入作業いらずのCloud-to-Cloudバックアップで真の安心・安全を。

SaaS(Software-as-a-Service)は、今や普遍的な選択肢となってきました。
日常利用するシステムに SaaS が増えてきたという企業も多いのではないでしょうか。

IT人材が獲得しにくくなった現在、インフラの運用保守から解放されて利用に集中できる、気がつくと機能が次々アップデートされている、といった SaaS の特長は、企業にとって大きな魅力でありビジネスに欠かせない要素になっています。

しかし実際は、SaaS を利用しても運用保守から完全に解放されるわけではないことをご存じでしょうか。
特に SaaS上に保存するデータに関しては注意が必要で、これに関してはユーザー側でデータ保護を図らねばなりません。

本記事では、SaaS の積極的なデータ保護施策として注目を集めている「IBM Storage Protect for Cloud」をご紹介します。

SaaSベンダー自身がユーザー側でのデータバックアップを推奨

SaaS といえば、「1年365日、何があっても使い続けられる利便性をもたらしてくれるもの」と思っておられる方は多いかもしれません。
確かにクラウドベンダーは可用性を維持するためにインフラのさまざまな面で冗長化に力を入れており、データ保護もその中に含まれています。

ただ、それはあくまでハードウェアやインフラ障害に備えた措置であり、それでもなお中断や停止が発生するリスクはあります。
また、企業がデータを失う状況はハードウェアやインフラ障害ばかりではなく実際はもっと多様です。

たとえば、ユーザーやデータ管理者の操作エラーや、悪意のある内部関係者による敵対的行為も考えられます。
そして昨今特に切実なのが、ランサムウェアを始めとしたサイバー攻撃によるデータ損失です。

大抵の SaaSベンダーは、このような場面を想定したデータ保護策を標準サービスでは提供していません。
オプションとしてバックアップサービスを提供していますが、SaaSベンダー自身、顧客が SaaS上のデータを定期的にバックアップすることを勧めています。

たとえば、Microsoft 365 を提供している Microsoft は、Microsoftサービス規約で「本サービスに保存しているお客様のコンテンツおよび本データは、定期的にバックアップするか、第三者のアプリおよびサービスを使用して保存することをお勧めします。」と記述していますし、SaaS の有用性を最初に世界に知らしめた Salesforce も、Salesforceデータのバックアップのベストプラクティスの中で「データを定期的にバックアップすることと、組織で大規模なデータプロジェクトを進める前の段階で必ず⼿動のバックアップを行うことをお勧めします。」と述べています。

バックアップルールや有用性・利便性を考え、バックアップ先選定は慎重に

データは企業にとって重要な情報資産です。

SaaS上のデータも例外ではなく、SaaSベンダーも勧めるとおり積極的なデータ保護策としてバックアップは必要不可欠です。
身近さという点でいえば、すぐに頭に思い浮かぶのは SaaSベンダーの用意するオプション利用かもしれません。

しかし、ここでバックアップにおける「3-2-1 ルール」を思い出してください。
これは安全なバックアップを実現するためのベストプラクティスの1つで、「データを3つの異なる場所に保存し、2つの異なるメディアを使用し、少なくとも1つのバックアップをオフサイト(異なる物理的な場所)に保存すること」が推奨されています。

なかでも重要なのがオフサイト(異なる物理的な場所)への保存で、万が一のことを考えると同一サービスを利用しない方が賢明です。

また、オプションサービスは汎用的に設計されていることが多く、「バックアップ頻度を上げたい」「取得したデータを精査したい」といった企業それぞれのきめこまかいバックアップニーズに対応できない場合があります。

だからといって、データバックアップのためだけにオンプレミスシステムを社内構築するというのも現実的ではありません。
せっかく SaaS利用でインフラの運用保守から⼿が離れたというのに、それでは主客転倒になってしまいます。

SaaSのデータ保護強化ソリューションIBM Storage Protect for Cloud

そうした中、積極的なデータ保護策を図る上で有力な選択肢として登場したのが IBM Storage Protect for Cloud です。

これは、IBM が提供する SaaS上のデータ資産保護の強化のための SaaSソリューションです。
システム構築なしに Cloud-to-Cloudバックアップを実現、エンタープライズのプラットフォームで、堅固な暗号化、厳重なデータセキュリティ、データ保存、高度なクラウド脅威の検出などの機能を提供します。

具体的には、主要な SaaS向けにサービスをそれぞれ展開しています。
ここではその中から2つのサービスをご紹介します。

  • IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365:
    Microsoft 365 の資産のバックアップとリカバリー機能を提供します。
  • IBM Storage Protect for Cloud Salesforce:
    Salesforceアプリケーションのバックアップとリカバリー機能を提供します。

仕組みをもう少し詳しく説明します。

Microsoft 365上で作成されたファイルやデータ、メール、添付ファイル、Salesforce Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud、およびそれらのデータを共有するワークロードが、クラウド上で稼働する Storage Protect for Cloudサービス経由で Azure Storage に自動バックアップされます。
もちろん、オンデマンド・バックアップも可能です。

バックアップ先が Azure Storage ではない方がいいという場合は、導入済やお好みのオンラインストレージで利用することもできます。
Bring Your Own Device ならぬ Bring Your Own Storage というわけです。

オンラインストレージの選択肢は図1のとおりです。
ローカル・ストレージへダウンロードすることも可能です。

IBM Storage Protect for Cloud サービス概要
図1. IBM Storage Protect for Cloud サービス概要

リストアに関しては IBM Storage Protect for Cloud が現⾏とバックアップの間でデータの違いを⽐較し、対象を特定してくれます。
そのため、当該データを探す⼿間が省けます。
またリストアの粒度は、組織、メタデータ、レコード、オブジェクト、フィールドといったさまざまな単位で行えます。

IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365の保護対象
図2. IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365の保護対象

IBM Storage Protect for Cloudが有力な選択肢といえる3つの理由

なぜ IBM Storage Protect for Cloud が有力な選択肢といえるのでしょうか。
その理由は大きく3つあります。

1. データの遠隔地保管が容易に実現

オフサイト(異なる物理的な場所)へのデータバックアップが実現します。

しかも 100% SaaS のため、工数のかかる導入作業は必要なくすぐに実運用ができます。
ストレージの容量制限もありません。
たとえば、10分以内に1,000人規模の Microsoft 365ユーザーのデータを保護する、といったことも可能です。

しかも、SP for Cloudオンライン・サービス・ポータルは視認性に優れています。
専門エンジニアでなくても、わずかな工数で容易にバックアップおよびリストア運用を軌道に乗せることができます。

IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365のバックアップ ホーム画面
図3. IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365のバックアップ ホーム画面

2. マルチSaaS利用時の包括的なデータ保護が可能

Microsoft 365 を使っているが Salesforce も利用する、という企業は増えています。

そのようなケースでは、IBM Storage Protect for Cloud をデータバックアップの標準基盤として活用することが可能です。
これによりデータバックアップに必要なスキルセットが最小限で済み、属人化を防ぎます。

IBM Storage Protect for Cloud としては他に Microsoft Dynamics 365 や Microsoft Azure にも対応しています。

3. 柔軟性の高いデータ保護機能

IBM Storage Protect for Cloud は、きめこまやかなデータバックアップニーズを満たします。

データ活用の進む現在、「データなしに一日もビジネスが回らないことを考えると、日次バックアップや週次バックアップでは心もとない」そういった場面もあるのではないでしょうか。
しかし、この SaaS であれば対応可能です。

1日最大4回のバックアップが可能で、オンデマンドでの実行も行えます。

海外に拠点のある企業では、GDPR や CCPA、FOIA といった規制への対応も求められます。
一例を挙げると、GDPR では保存する必要がない個人情報は削除することが求められます。
そうした場合も、データのクリーンアップ機能を用いて対象のデータを検索し削除する、といったことが容易に実現できます。

さらに IBM Storage Protect for Cloud Microsoft 365 には、特定範囲の管理権限をヘルプデスクに委譲したり、ユーザーがセルフサービスでリストアできる機能があります。
また、機械学習により早期の異常検知を実現し、ランサムウェアへの防御⼒を向上しています。

IBM Storage Protect for Cloud Salesforce では、開発・テスト用のサンドボックス環境に個人情報の排除や匿名化を行いながらバックアップデータを登録する、といったことが行えます。

わかりやすいグラフから状況を把握してすばやくアクションを取ることが可能
図4. わかりやすいグラフから状況を把握してすばやくアクションを取ることが可能

エヌアイシー・パートナーズにご相談ください

IBM では、Storage Protect for Cloud の30日間の無償トライアルを実施しています。
試してみたいと思われたお客様は、ぜひエヌアイシー・パートナーズまでお声がけください。
御社の SaaS環境全体を念頭に置いて、バックアップ・リストア運用体制構築を支援させていただきます。

さらにエヌアイシー・パートナーズでは、バックアップソリューションを超えた企業情報システム全体の最適化提案も行っています。
お客様の抱える課題を根本解決するための方法を、リセラー企業の方々とともに汗をかきながら探り出すのがエヌアイシー・パートナーズの使命です。

どのようなことでもお気軽にご相談ください。

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2025年03月26日

【てくさぽBLOG】VMwareユーザー必見!IBM CloudのVCFaaSで、コストを抑えたままVMwareを継続利用

公開日:2025-03-26 こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの宮里です。 皆さんは VMware を利用されていますか?多くの企業が仮想化技術のリーダーである VMware を採用されていますが、Broadcom による買収とそれに伴うライセンス体系の変更で価格が高騰し、多くの企業にとって大きな課題となっています。 このブログでは「VMwareを使い続けたいけど高いライセンスを買うのは嫌!」というお客様に向けて、その最適な解決方法として IBM Cloud for VMware Cloud Foundation as a Service を詳しくご説明します。 目次 VMwareを更新する際の課題 VCFaaSとは VCFaaSのメリット まとめ お問い合わせ VMwareを更新する際の課題 VMware を更新するにあたり、以下の3つの課題が存在します。 価格の高騰化 ライセンス体系の変更に伴いユーザーごとに購入可能なエディションは Broadcom側が設定するようになり、ユーザー側で自由にエディションを選択することができなくなりました。また、以前までの基本ライセンス+アドオンとしての使い方がパッケージ化されたことにより、柔軟性が以前よりも乏しくなってしまっています。 ライセンス料金が約1.2倍近く、ユーザーによっては購入できるライセンスの制限により、最大でも約8倍近く膨れ上がってしまう場合もあります。 DRサイトにかかるコスト 全ての機器が VMware である必要はないものの特定の環境では引き続き VMware を維持したい、など、依然として VMware を使用しなければならないユーザーも多く存在します。 「どうにかコストは抑えたまま今まで通りに VMware を使い続けたい。」という場合に重要なのが、DR(ディザスタリカバリ)サイトの運用方法です。DRサイトはビジネスを継続するための重要な要素ですが普段から使う環境ではないため、サービスレベルは維持しつつコストはおさえることが必要です。 見積もりに時間がかかる VMware のライセンス体系が変更されてから「VMwareのライセンス見積もりに時間がかかる」というお声もよく耳にします。これは、個別見積対応となるため見積を取得するまでに時間がかかってしましまうことが原因となっています。 特に急いでいるプロジェクトの予算計画を立てる際の大きな課題となります。 VCFaaSとは VMware Cloud Foundation as a Service(以下 VCFaaS)は、IBM Cloud上でハードウェアリソースと VMware のライセンスを提供するクラウドサービスです。1VMから利用でき、クラウドサービスのためハードウェアの調達やソフトウェアのライセンス管理に煩わされることなくすぐに利用を開始できます。 シングルテナントとマルチテナント VCFaaS は、シングルテナントとマルチテナントの2つモデルを提供しています。 マルチテナントモデルでは、月額約18,900円(127米ドル)からのスモールスタートが可能です。手頃な価格でスタートできるため、小規模なプロジェクトや初期段階の導入に最適です。一方、シングルテナントモデルはより大規模な運用や特別な要件が必要な場合に適しています。2台のサーバー(vSANプロファイルの場合は6台のサーバー)が最小構成として必要です。 ※2025年3月19日時点の価格 モデルごとの特長 マルチテナントモデル: 1VMから利用可能で、数分で利用開始が可能 オンデマンドタイプは時間課金、リサーブドタイプは月額課金のどちらかを選択可能 仮想サーバのプロファイルを複数から選択可能 課金単位はvCPUおよびRAM(1ゲストOSから) シングルテナントモデル: ユーザー専用の物理ホストを提供し、ハイパフォーマンスとセキュリティを確保 リザーブドタイプによる月額課金のみ 複数のIBM Cloud Bare Metal Serversからプロファイルやコンポーネントを必要に応じて選択可能 課金単位は物理ホスト(2台から) VCFaaSのメリット VCFaaS を導入することによって得られる具体的なメリットについて詳細にご説明します。 コスト効率と柔軟性 VCFaaS は必要に応じてリソースを容易に追加・削減することができ、ビジネスの規模やワークロードに合わせた最適なリソース管理が可能です。また、高可用性の管理プレーンを通じて VCFaaS が提供しているハードウェアとハイパーバイザーの監視やパッチ適用、アップグレード、セキュリティ管理を IBM が支援するため、企業は安心してクラウド環境を運用することができます。 以上の様に VCFaaS は迅速な展開と運用が可能であり、コスト効率と柔軟性を兼ね備えたクラウドソリューションと言えます。 DRサイトのコスト低減 VCFaaS は VMware Cloud Director Availability(VCDA)というツールが利用可能で、既存のオンプレミス環境と IBM Cloud間を簡単に行き来することができます。 すぐに本番環境を移行ができない場合、DRサイトだけでも VCFaaS に移行させることでデータセンターやラックの費用を抑えることができ、DRサイトの運用にまつわるコストを削減することができます。 迅速な見積もり IBM Cloud による見積もりプロセスは非常にシンプルであり、金額情報も明確に公開されています。複雑な計算や営業担当との煩雑なやり取りをせずに、必要なコスト情報を迅速に入手することが可能です。 また、マルチテナントモデルを選択することで購入後すぐにデプロイして利用を開始することが可能です。この即時性によりリードタイムを大幅に短縮し、迅速なビジネス運用を実現できます。ITリソースの準備を待つことなく、すぐにプロジェクトを始動できるため、タイムロスを最小限に抑えられます。 まとめ VCFaaS は、VMware のライセンス体系の変革や DRサイトの運用コスト、見積もり時間の課題をまとめて解決するクラウドソリューションです。IBM Cloud上で提供されるこのサービスはマルチテナントとシングルテナントの2つのモデルを選択可能で、柔軟かつ拡張性に優れた環境を提供します。特にマルチテナントモデルでは手軽にスモールスタートが可能で、小規模プロジェクトやテスト環境に最適です。 また、DRサイトのコストを大幅に低減する機能や迅速な見積もりプロセスにより、ビジネスのスピードを損なうことなく運用を開始でき、ストレスフリーで効率的なクラウド環境を実現し、ビジネスの成長と変化に柔軟に対応することが可能です。 VMware の環境をご利用の方は、まずは 1VM からでも VCFaaS の良さを体感してみていただけたらと思います。このブログを見て興味を持たれた際は、是非一度ご相談ください。 お問い合わせ この記事に関するご質問は以下の宛先までご連絡ください。 エヌアイシー・パートナーズ株式会社技術企画本部E-mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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